(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040845
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】可変抵抗回路、抵抗分圧回路、差動アンプ、およびモータドライバ
(51)【国際特許分類】
H03H 11/46 20060101AFI20240318BHJP
H01C 10/06 20060101ALI20240318BHJP
H03H 7/25 20060101ALI20240318BHJP
H02P 29/00 20160101ALN20240318BHJP
【FI】
H03H11/46 A
H01C10/06
H03H7/25
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145467
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 貴重
【テーマコード(参考)】
5E030
5H501
5J098
【Fターム(参考)】
5E030JA01
5H501BB04
5H501DD10
5H501GG05
5H501HA01
5H501JJ24
5H501KK07
5H501LL22
5J098AA03
5J098AA11
5J098AB02
5J098AC06
5J098AC10
5J098AC17
5J098AC20
5J098AD25
5J098EA01
5J098EA08
(57)【要約】
【課題】レイアウト面積を縮小しつつ精度を向上させる可変抵抗回路を提供する。
【解決手段】可変抵抗回路(VR100)は、MOSスイッチ(M101~M107)がオフ状態の場合の抵抗ユニット回路(RU1~RU7)の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第1合成抵抗値と、前記MOSスイッチがオン状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第2合成抵抗値との間の、前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量をΔ、すべての前記抵抗ユニット回路の前記MOSスイッチがオフ状態の場合の、前記複数の前記抵抗ユニット回路の各合成抵抗値の総和と、第3抵抗(R103)の抵抗値との和をRAとして、前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量比率=(Δ/RA)×100%によって可変抵抗の抵抗値を変化させるように構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1抵抗に対して、第2抵抗とMOSスイッチとの直列接続構成が並列に接続されて構成される抵抗ユニット回路を複数備え、
前記複数の前記抵抗ユニット回路が直列に接続された構成に対して直列に接続される第3抵抗を備え、
前記MOSスイッチがオフ状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第1合成抵抗値と、前記MOSスイッチがオン状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第2合成抵抗値との間の、前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量をΔ、
すべての前記抵抗ユニット回路の前記MOSスイッチがオフ状態の場合の、前記複数の前記抵抗ユニット回路の各合成抵抗値の総和と、前記第3抵抗の抵抗値との和をRAとして、
前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量比率=(Δ/RA)×100%によって可変抵抗の抵抗値を変化させるように構成される、可変抵抗回路。
【請求項2】
当該可変抵抗回路の抵抗値=RA+(20×(1LSB)×b0+・・・+2(m-1)×(1LSB)×bm-1)×RAで表される、請求項1に記載の可変抵抗回路。
ただし、1LSBは絶対値が最小の前記抵抗変化量比率、mは前記抵抗ユニット回路の個数、bn-1はnビット目(n=1~m)の前記抵抗ユニット回路における前記MOSスイッチのオンオフ状態を示すビット値
【請求項3】
前記第1抵抗、前記第2抵抗および前記第3抵抗は、単体の単位抵抗素子、または複数の前記単位抵抗素子の組み合わせにより構成される、請求項1に記載の可変抵抗回路。
【請求項4】
前記抵抗ユニット回路を前記第2抵抗の抵抗値が小さいものから順に低電位側から高電位側にかけて並べて直列接続している、請求項1に記載の可変抵抗回路。
【請求項5】
前記MOSスイッチがオン状態である場合の前記複数の抵抗ユニット回路の各合成抵抗値は、いずれも異なっている、請求項1に記載の可変抵抗回路。
【請求項6】
少なくともいずれかの前記抵抗ユニット回路において、前記第1合成抵抗値および前記第2合成抵抗値は、前記抵抗ユニット回路に直列接続される抵抗成分を含んでおり、
前記第3抵抗は、前記抵抗成分を含んでいる、請求項1に記載の可変抵抗回路。
【請求項7】
高電位側に配置される上側可変抵抗回路と、低電位側に配置される下側可変抵抗回路と、を備え、
前記上側可変抵抗回路および前記下側可変抵抗回路は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の可変抵抗回路により構成される、抵抗分圧回路。
【請求項8】
前記上側可変抵抗回路における少なくともいずれかの前記MOSスイッチはPMOSトランジスタにより構成され、前記下側可変抵抗回路における少なくともいずれかの前記MOSスイッチはNMOSトランジスタにより構成される、請求項7に記載の抵抗分圧回路。
【請求項9】
前記上側可変抵抗回路における低電位側の前記MOSスイッチと、前記下側可変抵抗回路における高電位側の前記MOSスイッチと、の少なくとも一方は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとが並列接続されて構成される、請求項8に記載の抵抗分圧回路。
【請求項10】
オペアンプと、
負入力電圧の印加端に接続される第1端と前記オペアンプの反転入力端に接続される第2端とを有する第1入力抵抗と、
前記オペアンプの出力端に接続される第1端と前記第1入力抵抗の第2端に接続される第2端とを有する帰還抵抗と、
正入力電圧の印加端に接続される第1端と前記オペアンプの非反転入力端に接続される第2端とを有する第2入力抵抗と、
前記第2入力抵抗の第2端に接続される第1端と基準電圧の印加端に接続される第2端とを有する基準抵抗と、
を備え、
前記基準抵抗は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の可変抵抗回路を有する、差動アンプ。
【請求項11】
前記正入力電圧の印加端は、電流を検出するためのセンス抵抗の第1端に接続可能に構成され、前記負入力電圧の印加端は、前記センス抵抗の第2端に接続可能に構成される、請求項10に記載の差動アンプ。
【請求項12】
請求項11に記載の差動アンプを備え、ボイスコイルモータを駆動するように構成されるモータドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変抵抗回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途において可変抵抗回路が用いられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可変抵抗回路では、精度(抵抗値変化の分解能)の向上、および回路レイアウト面積の縮小が要求されている。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、レイアウト面積を縮小しつつ精度を向上させることが可能となる可変抵抗回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示の可変抵抗回路は、第1抵抗に対して、第2抵抗とMOSスイッチとの直列接続構成が並列に接続されて構成される抵抗ユニット回路を複数備え、
前記複数の前記抵抗ユニット回路が直列に接続された構成に対して直列に接続される第3抵抗を備え、
前記MOSスイッチがオフ状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第1合成抵抗値と、前記MOSスイッチがオン状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第2合成抵抗値との間の、前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量をΔ、
すべての前記抵抗ユニット回路の前記MOSスイッチがオフ状態の場合の、前記複数の前記抵抗ユニット回路の各合成抵抗値の総和と、前記第3抵抗の抵抗値との和をRAとして、
前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量比率=(Δ/RA)×100%によって可変抵抗の抵抗値を変化させるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的な可変抵抗回路によれば、レイアウト面積を縮小しつつ精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、第1比較例に係る可変抵抗回路の一部構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第2比較例に係る可変抵抗回路の一部構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態に係る可変抵抗回路の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、可変抵抗回路のより具体的な回路構成を示す図である。
【
図6】
図6は、抵抗素子のスライドコンタクトレイアウトの一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る可変抵抗回路の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、抵抗ユニット回路の適切化の例を示す図である。
【
図9】
図9は、適切化前後の可変抵抗回路の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る抵抗分圧回路の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、抵抗分圧回路のより具体的な回路構成を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る抵抗分圧回路の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、モータ駆動システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<差動アンプ>
ここでは、差動アンプについて述べる。
図1は、差動アンプDAの構成を示す図である。差動アンプDAは、オペアンプOPと、入力抵抗R1と、帰還抵抗R2と、入力抵抗R3と、基準抵抗R4と、を備える。入力抵抗R1の第1端には、負入力電圧V-の印加端が接続される。入力抵抗R1の第2端は、オペアンプOPの反転入力端(-)に接続される。入力抵抗R3の第1端には、正入力電圧V+の印加端が接続される。入力抵抗R3の第2端は、オペアンプOPの非反転入力端(+)に接続される。基準抵抗R4の第1端は、入力抵抗R3の第2端とともにオペアンプOPの非反転入力端(+)に接続される。基準抵抗R4の第2端は、基準電圧VREFの印加端に接続される。帰還抵抗R2の第1端は、オペアンプOPの出力端に接続される。帰還抵抗R2の第2端は、入力抵抗R1の第2端とともにオペアンプOPの反転入力端に接続される。R1=R3、かつR2=R4として抵抗値が設定される。
【0011】
差動アンプDAは、正入力電圧V+と負入力電圧V-との差分を抵抗R1~R4の抵抗値で決定される差動ゲインにより増幅して出力電圧Voを出力する。ここで、差動アンプDAでは、同じ正入力電圧V+と負入力電圧V-を入力した場合に出力電圧Voが0となることが理想であるが、実際には抵抗R1~R4のばらつきなどにより出力電圧Voが0からずれる。そこで、差動アンプDAでは、いわゆるCMRR(同相除去比;Common Mode Rejection Ratio)の値を大きくすることが重要となる。CMRR=差動ゲイン÷同相ゲインである。CMRRは、抵抗R1~R4の抵抗値により決定される。CMRRの値を大きくするには、抵抗の高いマッチングが必要となる。
【0012】
そこで、
図1に示す差動アンプDAでは、抵抗R1~R4のうち基準抵抗R4を抵抗値が変化可能な可変抵抗とし、基準抵抗R4の抵抗値を調整することでトリミングを行い、CMRRの値を大きくすることができる。例えば、CMRR>70dBとすることが実現できる。
【0013】
実際には、
図1に示すように、基準抵抗R4は、抵抗R41と可変抵抗回路VRとの直列接続により構成される。例えば、抵抗R1=R2=R3=5kΩに対して、R41=4.5kΩ、VR=0.5kΩとしている。差動アンプDAではR1~R3およびR41のマッチングが重要でR1~R3およびR41の抵抗素子サイズは可変抵抗回路VRで使用している抵抗素子サイズよりもかなり大きくしている。また、素子サイズを大きくすることで1/fノイズの低減も図っている。
【0014】
<比較例の可変抵抗>
図2は、第1比較例に係る可変抵抗回路VR1の一部構成を示す図である。可変抵抗回路VR1は、抵抗ユニット回路RUが直列に接続されて構成される。抵抗ユニット回路RUは、それぞれ抵抗R10とMOSスイッチM10との並列接続、抵抗R11とMOSスイッチM11との並列接続などにより構成される。MOSスイッチM10,M11などは、それぞれMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)により構成される。
図2では、MOSスイッチは、NMOSトランジスタ(Nチャネル型MOSFET)としている。
【0015】
これにより、MOSスイッチM10,M11などをそれぞれオン状態することで抵抗R10,R11などをバイパスする状態とし、オフ状態とすることで抵抗R10,R11などを有効とする状態とすることができる。このように抵抗ユニット回路RUそれぞれの抵抗値を可変とすることで、可変抵抗回路VR1の全体の抵抗値を可変とする。
【0016】
可変抵抗回路VR1の構成では、抵抗R10,R11などとMOSスイッチM10,M11などのオン抵抗の並列接続による合成抵抗値の絶対値を用いる設計としている。しかしながら、M10のオン抵抗<<R10、M11のオン抵抗<<R11などのようにMOSスイッチのオン抵抗を並列接続される抵抗よりも抵抗値を十分に小さくする必要がある。可変抵抗回路VR1の精度を向上させるためには、抵抗R10,R11などの抵抗値を小さくする必要があり、MOSスイッチM10,M11などのオン抵抗をより小さくする必要がある。そのため、MOSスイッチのレイアウト面積が増大する課題がある。
【0017】
図3は、第2比較例に係る可変抵抗回路VR2の一部構成を示す図である。可変抵抗回路VR2のVR1との違いは、抵抗ユニット回路RUが、抵抗R10,R11などに対して、抵抗R20,R21などとMOSスイッチM10,M11などが直列接続された構成が並列接続されて構成されることである。MOSスイッチM10,M11などがそれぞれオン状態/オフ状態を切り替えられることで抵抗ユニット回路RUそれぞれの抵抗値を可変として、可変抵抗回路VR2全体の抵抗値を可変としている。
【0018】
可変抵抗回路VR2の構成では、抵抗R10,R11など、抵抗R20,R21など、およびMOSスイッチM10,M11などのオン抵抗による合成抵抗値の絶対値を用いる設計としている。可変抵抗回路VR2の精度を向上させるためには、小さい抵抗値の抵抗R10,R11などに対して小さい抵抗値の抵抗R20,R21などを並列接続する必要がある。MOSスイッチM10,M11などのオン抵抗は、直列に接続される抵抗R20,R21などの抵抗値の5%程度であればよいが、上記オン抵抗は小さくする必要がある。そのため、MOSスイッチのレイアウト面積が増大する課題がある。
【0019】
特に、可変抵抗回路VR1,VR2を先述した差動アンプDAの基準抵抗R4に適用する場合、熱雑音低減目的で基準抵抗R4の値を小さくする必要があり、より上述の課題が顕著となる。
【0020】
<本開示に係る可変抵抗回路>
上記のような課題を解決すべく、以下説明する本開示に係る実施形態が実施される。
図4は、本開示の例示的な実施形態に係る可変抵抗回路VR100の構成を示す図である。可変抵抗回路VR100の抵抗値=RAであり、後述するように単位抵抗=Raとして、RA=10Raから減少する方向に抵抗値を変化させることができる。
【0021】
図5は、可変抵抗回路VR100のより具体的な回路構成を示す図である。
図5に示すように、可変抵抗回路VR100は、抵抗ユニット回路RU1~RU7を備えている。抵抗ユニット回路RU1~RU7は、低電位側(GND側)から高電位側(所定電圧Vcc側)にかけて順に直列に接続される。すなわち、抵抗ユニット回路RU1が最も低電位側であり、抵抗ユニット回路RU7が最も高電位側である。
【0022】
抵抗ユニット回路RU1~RU7のそれぞれは、第1抵抗R101に対して、第2抵抗R102とMOSスイッチM101~M107との直列接続構成が並列接続されて構成される。MOSスイッチM101~M107は、NMOSトランジスタにより構成される。
【0023】
また、可変抵抗回路VR100は、第3抵抗R103を備える。第3抵抗R103は、抵抗ユニット回路RU7と所定電圧Vccの印加端との間に接続される。すなわち、第3抵抗R103は、抵抗ユニット回路RU7に直列接続される。
【0024】
MOSスイッチM101~M107がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU1~RU7それぞれの合成抵抗値=第1抵抗R101の抵抗値となる。抵抗ユニット回路RU1~RU6のそれぞれの第1抵抗R101の抵抗値はRaであり、抵抗ユニット回路RU7の第1抵抗R101の抵抗値は2Raである。第3抵抗R103の抵抗値は2Raである。従って、すべての抵抗ユニット回路RU1~RU7におけるMOSスイッチM101~M107がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU1~RU7の第1抵抗R101の抵抗値と第3抵抗R103の抵抗値の総和が可変抵抗回路VR100の抵抗値RAとなり、RA=6×Ra+2Ra+2Ra=10Raとなる(
図4)。
【0025】
抵抗ユニット回路RU1においては、R101=Ra、R102=39Raである。これにより、MOSスイッチM101がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU1の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM101がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU1の合成抵抗値は0.975Raとなる。すなわち、オン状態のオフ状態からの抵抗値変化量Δ=-0.025Raとなる。RA=10Raであるから、Δ=-0.0025RAとなり、抵抗変化量比率=(Δ/RA)×100%=-0.25%となる。
【0026】
抵抗ユニット回路RU2においては、R101=Ra、R102=19Raである。これにより、MOSスイッチM102がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU2の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM102がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU2の合成抵抗値は0.95Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-0.05Ra=-0.005RAとなり、抵抗変化量比率=-0.5%となる。
【0027】
抵抗ユニット回路RU3においては、R101=Ra、R102=9Raである。これにより、MOSスイッチM103がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU3の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM103がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU3の合成抵抗値は0.9Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-0.1Ra=-0.01RAとなり、抵抗変化量比率=-1%となる。
【0028】
抵抗ユニット回路RU4においては、R101=Ra、R102=4Raである。これにより、MOSスイッチM104がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU4の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM104がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU4の合成抵抗値は0.8Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-0.2Ra=-0.02RAとなり、抵抗変化量比率=-2%となる。
【0029】
抵抗ユニット回路RU5においては、R101=Ra、R102=1.5Raである。これにより、MOSスイッチM105がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU5の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM105がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU5の合成抵抗値は0.6Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-0.4Ra=-0.04RAとなり、抵抗変化量比率=-4%となる。
【0030】
抵抗ユニット回路RU6においては、R101=Ra、R102=0.25Raである。これにより、MOSスイッチM106がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU6の合成抵抗値はRaとなり、MOSスイッチM106がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU6の合成抵抗値は0.2Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-0.8Ra=-0.08RAとなり、抵抗変化量比率=-8%となる。
【0031】
抵抗ユニット回路RU7においては、R101=2Ra、R102=0.5Raである。これにより、MOSスイッチM107がオフ状態の場合、抵抗ユニット回路RU7の合成抵抗値は2Raとなり、MOSスイッチM107がオン状態の場合、抵抗ユニット回路RU7の合成抵抗値は0.4Raとなる。すなわち、抵抗値変化量Δ=-1.6Ra=-0.16RAとなり、抵抗変化量比率=-16%となる。
【0032】
これにより、すべての抵抗ユニット回路RU1~RU7のMOSスイッチM101~M107をオフ状態とした可変抵抗回路VR100の抵抗値RA(=10Ra)から、抵抗ユニット回路RU1~RU7それぞれのMOSスイッチM101~M107をオン状態にすることで、1LSB(最小分解能)=-0.25%として、-0.25%~-31.75%変化させることができる。
【0033】
抵抗ユニット回路RU1~RU7をそれぞれ1ビット目から7ビット目に相当するとして、
RA=10Ra+(20×(-0.25%)×b0+21×(-0.25%)×b1+22×(-0.25%)×b2+23×(-0.25%)×b3+24×(-0.25%)×b4+25×(-0.25%)×b5+26×(-0.25%)×b6)×10Ra
ただし、b0~b6は、それぞれ1ビット目から7ビット目のビット値であり、MOSスイッチM101~M107=オフ状態でビット値=0であり、M101~M107=オン状態でビット値=1である。
【0034】
従って、7ビットのデジタルデータに応じて可変抵抗回路VR100の抵抗値RAを変化させることが可能となり、トリミング用途に特に有効である。
【0035】
このように、本実施形態は、MOSスイッチM101~M107をオン状態とすることで抵抗値変化量Δを生成することが特徴であり、先述した比較例のような絶対値設計思想ではなく、相対値設計思想である。大きな抵抗値である第1抵抗R101と、大きな抵抗値である第2抵抗R102とMOSスイッチM101~M107との直列接続構成とを並列接続することで、小さなΔを実現できる。このとき、MOSスイッチM101~M107のオン抵抗は、MOSスイッチM101~M107と直列接続される第2抵抗R102の抵抗値の5%程度であればよいため、MOSスイッチM101~M107のレイアウト面積の増大を抑制できる。
【0036】
また、絶対値設計思想では、並列接続によってより小さな抵抗値を生成するため、必要な抵抗本数が多くなる。これに対し、本実施形態では、ΔRの実現を目的としているため、実現のための抵抗本数は少なくて済む。
図5に示す可変抵抗回路VR100では、必要な基本抵抗Raの本数は90本である。
【0037】
また、本実施形態では、第1抵抗R101、第2抵抗R102および第3抵抗R103は、単体の単位抵抗Ra、または複数の単位抵抗Raの組み合わせにより構成される。例えば、
図5の構成において、抵抗ユニット回路RU6の第1抵抗R101は抵抗値がRaであり単体の単位抵抗Raから構成され、抵抗ユニット回路RU6の第2抵抗R102は抵抗値が0.25Raであり4つの並列接続される単位抵抗Raから構成される。すなわち、本実施形態では、使用される抵抗素子は、同一抵抗素子のみとすることができる。
【0038】
ここで、
図6は、抵抗素子のスライドコンタクトレイアウトの一例を示す概略図である。スライドコンタクトは、抵抗素子(ポリシリコン抵抗体など)が延びる方向に電極をスライドさせることで抵抗値を設定する方法である。
図6の例では、抵抗値が同じ抵抗素子Rxと、Rxと抵抗値が異なる抵抗素子Ryが示され、電極E1~E3も示される。本実施形態では、使用される抵抗素子を同一抵抗素子のみとすることができるため、スライドコンタクトレイアウトが不要となり、可変抵抗回路における抵抗のペア性が向上し、可変抵抗回路の精度を向上させることができる。
【0039】
図7は、
図5で示す可変抵抗回路VR100の変形例に係る可変抵抗回路VR101の構成を示す図である。可変抵抗回路VR101では、可変抵抗回路VR100との違いとして、抵抗ユニット回路RU1~RU7を第2抵抗R102の抵抗値が小さいものから順に低電位側から高電位側にかけて並べて直列接続している。これにより、第2抵抗値R102が0.25Raで最小の抵抗ユニット回路RU6を最も低電位側に配置し、第2抵抗値R102が39Raで最大の抵抗ユニット回路RU1を最も高電位側に配置している。
【0040】
MOSスイッチM101~M107のオン抵抗は、M101~M107に直列接続される第2抵抗R102の抵抗値に応じた抵抗値にする必要があるため、第2抵抗R102が小さいほど、MOSスイッチM101~M107のオン抵抗を小さくする必要がある。これにより、すべての抵抗ユニット回路RU1~RU7でMOSスイッチM101~M107のサイズが同じである場合、第2抵抗R102が小さいほど、MOSスイッチM101~M107のVgs(ゲート・ソース間電圧)を大きくする必要がある。MOSスイッチM101~M107のゲート電圧が抵抗ユニット回路RU1~RU7で同じであるとして、低電位側ほど第2抵抗R102が小さく、MOSスイッチM101~M107のVgsを大きくすることができる。低電位側ほどMOSスイッチM101~M107のソース電圧が小さいためである。
【0041】
<抵抗ユニット回路の適切化>
次に、
図5に示した構成の可変抵抗回路VR100において抵抗ユニット回路をより適切化する設計例について述べる。
図8は、抵抗ユニット回路の適切化の例を示す図である。
【0042】
図8において、抵抗変化量比率=-4%である抵抗ユニット回路RU5においては、適切化前には第1抵抗R101=Ra、第2抵抗R102=1.5Raとしていたのを、適切化後にはR101=0.5Ra、R102=0.125Raとし、抵抗ユニット回路RU5に抵抗成分R103A(=0.5Ra)を直列接続している。抵抗成分R103Aは、第3抵抗R103の一部である。これにより、上位ビットの抵抗ユニット回路RU6,RU7におけるMOSスイッチM106,M107のソース電圧を低くすることができる。
図8に示す抵抗変化量比率=-2%である抵抗ユニット回路RU4における適切化も上記と同様にソース電圧低下の目的で行っている。
【0043】
図8において、抵抗変化量比率=-1%である抵抗ユニット回路RU3においては、適切化前にはR101=Ra、R102=9Raとしていたのを、適切化後にはR101=0.5Ra、R102=2Raとし、抵抗ユニット回路RU3に抵抗成分R103A(=0.5Ra)を直列接続している。これにより、必要な単位抵抗Raの本数が10本から6本へ削減される。抵抗変化量比率=-0、5%、-0.25%である抵抗ユニット回路RU2,RU1における適切化も上記と同様に単位抵抗本数の削減を目的に行っている。
【0044】
このような適切化の結果を
図9に示す。
図9の左側は
図5に示す構成と同一であり、
図9の右側は適切化後の構成を示す。適切化後の構成において、第3抵抗R103は、
図8に示す適切化後の抵抗成分R103Aの総和(=3Ra)と適切化前のR103の値(=2Ra)の合計(=5Ra)としている。このような適切化により、単位抵抗Raの本数が90本から49本へ削減できている。また、上位ビットのMOSスイッチM106,M107のソース電圧を低く設定できる。
【0045】
<抵抗分圧回路への適用>
次に、可変抵抗回路を抵抗分圧回路に適用した例について述べる。
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る抵抗分圧回路DV100の構成を示す図である。
【0046】
抵抗分圧回路DV100は、入力電圧Vinの印加端とグランド電位の印加端との間に上側可変抵抗回路VR200_Uと下側可変抵抗回路VR200_Lが直列に接続されて構成される。上側可変抵抗回路VR200_Uが高電位側に配置され、下側可変抵抗回路VR200_Lが低電位側に配置される。可変抵抗回路VR200_U,VR200_Lが接続されるノードから出力電圧Voutが出力される。出力電圧Voutは、可変抵抗回路VR200_U,VR200_Lの各抵抗値に応じて入力電圧Vinが分圧されて生成される。
【0047】
上側可変抵抗回路VR200_Uの抵抗値=RAであり、単位抵抗=Raとして、RA=10Raから減少する方向に抵抗値を変化させることができる。下側可変抵抗回路VR200_Lの抵抗値=RBであり、単位抵抗=Rbとして、RB=10Rbから減少する方向に抵抗値を変化させることができる。
【0048】
図11は、
図10に示す構成をより具体化した抵抗分圧回路DV100の回路構成を示す図である。
【0049】
図11に示すように、上側可変抵抗回路VR200_Uは、上側抵抗ユニット回路RU_U1~RU_U7が直列に接続されて構成される。上側抵抗ユニット回路RU_U1~RU_U7のそれぞれは、第1抵抗R201_Uに対して、第2抵抗R202_UとMOSスイッチM201_U~M207_Uとの直列接続構成を並列接続して構成される。MOSスイッチM201_U~M207_Uは、PMOSトランジスタ(Pチャネル型MOSFET)により構成される。上側抵抗ユニット回路RU_U1~RU_U7は、順に高電位側(入力電圧Vin側)から低電位側にかけて配置される。また、上側可変抵抗回路VR200_Uにおいては、最も低電位側の上側抵抗ユニット回路RU_U7の低電位側に第3抵抗R203_Uが直列に接続される。
【0050】
すべてのMOSスイッチM201_U~M207_Uがオフ状態の場合に、上側可変抵抗回路VR200_Uの抵抗値RA=10Raとなる。上側抵抗ユニット回路RU_U1~RU_U7のそれぞれの抵抗変化量比率は、-0.25%、-0.5%、-1%、-2%、-4%、-8%、-16%である。これにより、1LSB=-0.25%として、7ビットのデジタルデータに応じて上側可変抵抗回路VR200_Uの抵抗値RAを変化させることができる。
【0051】
図11に示すように、下側可変抵抗回路VR200_Lは、下側抵抗ユニット回路RU_L1~RU_L7が直列に接続されて構成される。下側抵抗ユニット回路RU_L1~RU_L7のそれぞれは、第1抵抗R201_Lに対して、第2抵抗R202_LとMOSスイッチM201_L~M207_Lとの直列接続構成を並列接続して構成される。MOSスイッチM201_L~M207_Lは、NMOSトランジスタにより構成される。下側抵抗ユニット回路RU_L1~RU_L7は、順に低電位側(GND側)から高電位側にかけて配置される。また、下側可変抵抗回路VR200_Lにおいては、最も高電位側の下側抵抗ユニット回路RU_L7の高電位側に第3抵抗R203_Lが直列に接続される。
【0052】
すべてのMOSスイッチM201_L~M207_Lがオフ状態の場合に、下側可変抵抗回路VR200_Lの抵抗値RB=10Rbとなる。下側抵抗ユニット回路RU_L1~RU_L7のそれぞれの抵抗変化量比率は、-0.25%、-0.5%、-1%、-2%、-4%、-8%、-16%である。これにより、1LSB=-0.25%として、7ビットのデジタルデータに応じて下側可変抵抗回路VR200_Lの抵抗値RBを変化させることができる。
【0053】
下側可変抵抗回路VR200_Lでは、MOSスイッチM201_L~M207_Lのソース電圧が低いため、MOSスイッチM201_L~M207_LをNMOSトランジスタとしてもVgsを確保してオン抵抗を低くできるが、上側可変抵抗回路VR200_UでMOSスイッチM201_U~M207_UをNMOSトランジスタとするとVgsが確保しにくい。そこで、MOSスイッチM201_U~M207_Uは、PMOSトランジスタにより構成している。
【0054】
ただし、上側可変抵抗回路VR200_Uにおける低電位側の抵抗ユニット回路、および下側可変抵抗回路VR200_Lにおける高電位側の抵抗ユニット回路では、それぞれMOSスイッチのVgsを十分に確保できずオン抵抗を低くできない場合もある。そこで、
図12に示すように、上側可変抵抗回路VR200_Uにおける低電位側の抵抗ユニット回路(例えばRU_U7)において、MOSスイッチM207_UをPMOSトランジスタPUとNMOSトランジスタNUとの並列接続により構成し、下側可変抵抗回路VR200_Lにおける高電位側の抵抗ユニット回路(例えばRU_L7)において、MOSスイッチM207_LをNMOSトランジスタNLとPMOSトランジスタPLの並列接続により構成し、MOSスイッチのオン抵抗を低くするようにしてもよい。
【0055】
<モータドライバへの適用>
本開示に係る可変抵抗回路は様々なアプリケーションに適用可能であるが、その一例としてモータドライバについて述べる。
図13は、モータ駆動システム10の構成を示す図である。モータ駆動システム10は、モータドライバ101と、センス抵抗8と、モータ9と、を備える。
【0056】
モータ9は、HDD(ハードディスクドライブ)に備えられるVCM(ボイスコイルモータ)である。VCMは、磁気ヘッドを駆動するために用いられる。センス抵抗8は、モータ9に流れる電流を検出するための抵抗である。
【0057】
モータドライバ101は、差動アンプ1と、抵抗2と、可変抵抗3と、DAC(DAコンバータ)4と、エラーアンプ5と、PI制御部6と、ドライバ7と、を有し、モータ9を駆動する。
【0058】
センス抵抗8の第1端は、差動アンプ1の正入力電圧V+の入力端に接続される。センス抵抗8の第2端は、差動アンプ1の負入力電圧V-の入力端に接続される。これにより、差動アンプ1は、センス抵抗8の両端間に発生する電圧が入力され、入力された電圧を増幅する。差動アンプ1の出力端は、抵抗2の第1端に接続される。抵抗2の第2端は、可変抵抗3の第1端に接続されるとともにエラーアンプ5の反転入力端(-)に接続される。可変抵抗3の第2端は、DAC4の出力端に接続される。エラーアンプ5の非反転入力端(+)には、基準電圧Refが印加される。DAC4の出力と基準電圧Refによりモータ9に流れる電流の目標値が設定される。エラーアンプ5の出力は、PI制御部6に入力される。PI制御部6は、エラーアンプ5からの入力に基づいてPI制御(比例・積分制御)処理を行い、制御信号をドライバ7へ出力する。ドライバ7は、PI制御部から入力される制御信号に基づいてセンス抵抗8を介してモータ9に電流を流す。これにより、モータ9に流れる電流を目標値に制御することができる。
【0059】
差動アンプ1は、センス抵抗8に流れる電流を検出するための電流センスアンプとして用いられる。差動アンプ1は、先述した
図1と同様にオペアンプOP、入力抵抗R1、帰還抵抗R2、入力抵抗R3、および基準抵抗R4を有する。電流センスアンプの要求性能として、熱雑音低減目的で抵抗R1~R4の抵抗値を小さくする必要があり、CMRRの値を大きくすることが必要である。基準抵抗R4に可変抵抗回路を適用することで、抵抗のペア性を改善してCMRRの値を大きくすることができる。また、基準抵抗R4の抵抗値を小さくしても、先述したように本実施形態に係る可変抵抗回路はMOSスイッチのレイアウト面積の増大を抑制しつつ、高精度を実現できる。
【0060】
<その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0061】
<付記>
以上のように、本開示の一態様に係る可変抵抗回路(VR100)は、
第1抵抗(R101)に対して、第2抵抗(R102)とMOSスイッチ(M101~M107)との直列接続構成が並列に接続されて構成される抵抗ユニット回路(RU1~RU7)を複数備え、
前記複数の前記抵抗ユニット回路が直列に接続された構成に対して直列に接続される第3抵抗(R103)を備え、
前記MOSスイッチがオフ状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第1合成抵抗値と、前記MOSスイッチがオン状態の場合の前記抵抗ユニット回路の抵抗値を少なくとも含む前記抵抗ユニット回路ごとの第2合成抵抗値との間の、前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量をΔ、
すべての前記抵抗ユニット回路の前記MOSスイッチがオフ状態の場合の、前記複数の前記抵抗ユニット回路の各合成抵抗値の総和と、前記第3抵抗の抵抗値との和をRAとして、
前記抵抗ユニット回路ごとの抵抗変化量比率=(Δ/RA)×100%によって可変抵抗の抵抗値を変化させるように構成される(第1の構成、
図5)。
【0062】
また、上記第1の構成において、当該可変抵抗回路の抵抗値=RA+(20×(1LSB)×b0+・・・+2(m-1)×(1LSB)×bm-1)×RAで表される構成としてもよい(第2の構成)。
ただし、1LSBは絶対値が最小の前記抵抗変化量比率、mは前記抵抗ユニット回路の個数、bn-1はnビット目(n=1~m)の前記抵抗ユニット回路における前記MOSスイッチのオンオフ状態を示すビット値
【0063】
また、上記第1または第2の構成において、前記第1抵抗(R101)、前記第2抵抗(R102)および前記第3抵抗(R103)は、単体の単位抵抗素子(Ra)、または複数の前記単位抵抗素子の組み合わせにより構成されることとしてもよい(第3の構成)。
【0064】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記抵抗ユニット回路を前記第2抵抗の抵抗値が小さいものから順に低電位側から高電位側にかけて並べて直列接続している構成としてもよい(第4の構成、
図7)。
【0065】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記MOSスイッチがオン状態である場合の前記複数の抵抗ユニット回路の各合成抵抗値は、いずれも異なっている構成としてもよい(第5の構成)。
【0066】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、少なくともいずれかの前記抵抗ユニット回路において、前記第1合成抵抗値および前記第2合成抵抗値は、前記抵抗ユニット回路に直列接続される抵抗成分(R103A)を含んでおり、
前記第3抵抗は、前記抵抗成分を含んでいる構成としてもよい(第6の構成、
図8、9)。
【0067】
また、本開示の一態様に係る抵抗分圧回路(DV100)は、高電位側に配置される上側可変抵抗回路(VR200_U)と、低電位側に配置される下側可変抵抗回路(VR200_L)と、を備え、
前記上側可変抵抗回路および前記下側可変抵抗回路は、上記第1から第6のいずれかの構成の可変抵抗回路により構成される(第7の構成、
図10、11)。
【0068】
また、上記第7の構成において、前記上側可変抵抗回路における少なくともいずれかの前記MOSスイッチ(M201_U~M207_U)はPMOSトランジスタにより構成され、前記下側可変抵抗回路における少なくともいずれかの前記MOSスイッチ(M201_L~M207_L)はNMOSトランジスタにより構成される構成としてもよい(第8の構成)。
【0069】
また、上記第8の構成において、前記上側可変抵抗回路における低電位側の前記MOSスイッチ(M207_U)と、前記下側可変抵抗回路における高電位側の前記MOSスイッチ(M207_L)と、の少なくとも一方は、PMOSトランジスタ(PU,PL)とNMOSトランジスタ(NU,NL)とが並列接続されて構成される構成としてもよい(第9の構成、
図12)。
【0070】
また、本開示の一態様に係る差動アンプ(1)は、オペアンプ(OP)と、
負入力電圧(V-)の印加端に接続される第1端と前記オペアンプの反転入力端に接続される第2端とを有する第1入力抵抗(R1)と、
前記オペアンプの出力端に接続される第1端と前記第1入力抵抗の第2端に接続される第2端とを有する帰還抵抗(R2)と、
正入力電圧(V+)の印加端に接続される第1端と前記オペアンプの非反転入力端に接続される第2端とを有する第2入力抵抗(R3)と、
前記第2入力抵抗の第2端に接続される第1端と基準電圧(VREF)の印加端に接続される第2端とを有する基準抵抗(R4)と、
を備え、
前記基準抵抗は、上記第1から第6のいずれかの構成の可変抵抗回路を有する(第10の構成、
図13)。
【0071】
また、上記第10の構成において、前記正入力電圧の印加端は、電流を検出するためのセンス抵抗(8)の第1端に接続可能に構成され、前記負入力電圧の印加端は、前記センス抵抗の第2端に接続可能に構成される構成としてもよい(第11の構成)。
【0072】
また、本開示の一態様に係るモータドライバ(101)は、上記第11の構成の差動アンプを備え、ボイスコイルモータ(9)を駆動するように構成される(第12の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示は、例えば、各種用途の可変抵抗回路に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 差動アンプ
2 抵抗
3 可変抵抗
4 DAC
5 エラーアンプ
6 PI制御部
7 ドライバ
8 センス抵抗
9 モータ
10 モータ駆動システム
101 モータドライバ
DA 差動アンプ
DV100 抵抗分圧回路
E1~E3 電極
RU_L1~RU_L7 下側抵抗ユニット回路
RU_U1~RU_U7 上側抵抗ユニット回路
M10,M11 MOSスイッチ
M101~M107 MOSスイッチ
NL NMOSトランジスタ
NU NMOSトランジスタ
OP オペアンプ
PL PMOSトランジスタ
PU PMOSトランジスタ
R1 入力抵抗
R10,R11 抵抗
M10,M11 MOSスイッチ
M201_U~M207_U,M201_L~M207_L MOSスイッチ
R101 第1抵抗
R102 第2抵抗
R103 第3抵抗
R103A 抵抗成分
R2 帰還抵抗
R20,R21 抵抗
R201_U 第1抵抗
R202_U 第2抵抗
R203_U 第3抵抗
R201_L 第1抵抗
R202_L 第2抵抗
R203_L 第3抵抗
R3 入力抵抗
R4 基準抵抗
R41 抵抗
RU 抵抗ユニット回路
RU_L1~RU_L7 下側抵抗ユニット回路
RU_U1~RU_U7 上側抵抗ユニット回路
RU1~RU7 抵抗ユニット回路
Ra 単位抵抗
Rx 抵抗素子
Ry 抵抗素子
VR 可変抵抗回路
VR200_U 上側可変抵抗回路
VR200_L 下側可変抵抗回路
VR1,VR2 可変抵抗回路
VR100 可変抵抗回路
VR101 可変抵抗回路
VR200_U 上側可変抵抗回路
VR200_L 下側可変抵抗回路