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特開2024-40855情報処理装置、ユーザ端末、及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040855
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、ユーザ端末、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240318BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20240318BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240318BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q40/02
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145485
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】520248324
【氏名又は名称】ジーフィット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦島 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】阪根 信一
(72)【発明者】
【氏名】栢本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 隆裕
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA01
5L049AA04
5L055BB25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】商品売買や取引における為替レートの変動の影響を吸収する情報処理装置、ユーザ端末及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】電子商取引システムにおいて、情報処理装置であるサービスサーバは、出品ユーザが出品しようとする第1の商品のカテゴリ、販売価格、販売個数、販売期間が少なくとも含まれる商品情報を取得することと、出品ユーザが過去に出品した第1の商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品の第1の販売実績の情報を取得することと、出品ユーザとは異なる他の出品ユーザが出品した前記カテゴリと同一のカテゴリの商品の第2の販売実績の情報を取得することと、商品情報、第1の販売実績の情報及び第2の販売実績の情報から、出品ユーザが販売期間に販売可能な商品の第1の個数を推定することと、第1の個数と販売価格に基づく金額に相当する通貨の購入処理を実施することと、を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子商取引(EC)サイトに商品を出品する出品ユーザのユーザ端末と、前記ECサイトを運営するECサーバを介して通信する情報処理装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記出品ユーザが出品しようとする第1の商品に関する商品情報であって、前記第1の商品のカテゴリ、販売価格、販売個数、販売期間が少なくとも含まれる前記商品情報を取得することと、
前記出品ユーザが過去に出品した前記第1の商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品の第1の販売実績の情報を取得することと、
前記出品ユーザとは異なる他の出品ユーザが出品した前記カテゴリと同一のカテゴリの商品の第2の販売実績の情報を取得することと、
前記商品情報、前記第1の販売実績の情報、及び、前記第2の販売実績の情報から、前記出品ユーザが前記販売期間に販売可能な商品の第1の個数を推定することと、
前記第1の個数と前記販売価格とに基づく金額に相当する通貨の購入処理を実施することと、
を実行させ、
前記販売価格は通貨の第1の単位において示され、前記購入処理において購入される通貨の単位は、前記第1の単位とは異なる第2の単位である、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の販売実績と前記第2の販売実績とには、それぞれ、前記第1の商品の価格帯と同一の第1の価格帯における販売実績と、前記第1の商品の価格帯とは異なる第2の価格帯における販売実績との少なくともいずれかが含まれる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の個数を推定することは、
前記販売期間内に販売可能なそれぞれの個数の実現確率として第1の確率を推定することと、
前記販売期間内に販売可能な個数のうち、個数の小さい順、又は、個数の大きい順で前記第1の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる個数を前記第1の個数とすることとを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の個数を推定することにおいては、
前記出品ユーザの前記第1の販売実績の情報が存在する場合に、前記第1の販売実績の情報を前記第2の販売実績の情報に優先して、前記推定が行われ、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在しない場合に、前記第2の販売実績の情報に基づいて前記推定が行われる、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記商品情報、前記第1の販売実績の情報、及び、前記第2の販売実績の情報から、前記出品ユーザが前記販売個数を販売可能な期間を推定することを更に実行させ、
前記販売可能な期間を推定することは、
複数の期間のそれぞれにおいて前記販売個数の全てが販売可能となる確率として第2の確率を推定することと、
前記複数の期間のうち、期間の短い順、又は、期間の長い順で前記第2の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる期間を前記販売可能な期間と推定することとを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記販売可能な期間を推定することにおいては、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在する場合には、前記第1の販売実績の情報を前記第2の販売実績の情報に優先して、前記推定が行われ、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在しない場合には、前記第2の販売実績の情報に基づいて前記推定が行われる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第1の個数と当該第1の個数に基づき決定された第1の為替レートとを含む、前記出品ユーザからの承認を受け付けるための画面情報を前記ユーザ端末に送信することと、
前記ユーザ端末から、前記第1の個数を第2の個数に変更する指示を受信した場合に、前記第1の為替レートを前記第2の個数に合わせて第2の為替レートに変更することと、
前記第2の為替レートに対する前記出品ユーザによる承認を受け付けることと
を更に実行させ、
前記第1の為替レート及び前記第2の為替レートは、前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の為替レートである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2の為替レートは、前記第1の個数と前記第2の個数との差分に応じて設定される、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記ECサーバから、前記第1の商品の販売完了の通知を受信することと、
前記販売完了の通知を受信すると、その時点における前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の第3の為替レートと、承認された前記第2の為替レートとに基づき精算処理を実行することと、
を更に実行させ、前記精算処理には、前記第3の為替レートと前記第2の為替レートに基づく前記販売価格の変動分の前記ECサイトの所定の口座に対する請求又は入金、前記販売価格の前記第3の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
電子商取引(EC)サイトを運営するECサーバを介し請求項1に記載の情報処理装置と通信する、前記ECサイトに商品を出品する出品ユーザのユーザ端末であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記出品ユーザが出品しようとする第1の商品に関する商品情報であって、前記第1の商品のカテゴリ、第1の単位の通貨で表される販売価格の情報の入力を受け付けること、
前記第1の単位とは異なる第2の単位の通貨の指定を受け付けることと、
前記第1の商品が販売された場合に、前記販売価格を前記第1の商品の登録時における前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の為替レートで換算した支払いの保証を受けるかどうかの選択を受け付けることと、
前記支払いの保証を受けることが選択された場合に、前記第1の商品の販売個数、販売期間の情報の入力を更に受け付けることと、
前記入力を受け付けた情報を前記ECサーバを介して前記情報処理装置に通知することと、
を実行させる、ユーザ端末。
【請求項11】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記情報処理装置が送信した、前記販売期間内に販売可能な商品の個数の推定結果として第1の個数の通知を、前記ECサーバを介して受信することと、
前記通知に含まれる推定結果の承認を受け付けることと、
前記承認を前記ECサーバを介して前記情報処理装置に通知することと
を更に実行させる、請求項10に記載のユーザ端末。
【請求項12】
前記推定結果の通知には、前記第1の個数に基づき決定された第1の為替レートが含まれ、
前記通知の内容は、前記ユーザ端末の表示画面に表示され、
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記第1の個数を第2の個数に変更する指示を受け付けることと、
前記第2の個数への変更に応じて、前記第2の個数に合わせて前記第1の為替レートから変更された第2の為替レートを前記表示画面に表示することと、
を更に実行させ、前記承認は、前記第2の為替レートに対して受け付けられる、請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記第1の商品が販売された場合に、前記販売価格を承認された前記第2の為替レートに換算した金額に基づく受取金額の通知を受信することと、
前記受取金額を表示部に表示することと
を更に実行させる、請求項12に記載のユーザ端末。
【請求項14】
仕入れ商品の販売を行うリテール業者のリテールサーバと通信する情報処理装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
第1の期間における、商品の売上に関連する情報と、前記商品の仕入れに関わる為替レートの情報とを取得することと、
前記リテール業者の過去の売上実績の情報を取得することと、
前記商品の売上に関連する情報及び前記売上実績の情報から、前記リテール業者の前記第1の期間における売上実績を予測することと、
予測された前記売上実績に相当する通貨の購入処理を実施することと、
を実行させ、
前記為替レートは、第1の通貨の単位と第2の通貨の単位において表され、前記商品の仕入れは前記第1の通貨の単位において実行され、前記仕入れ商品の販売は前記第2の通貨の単位において実行され、前記通貨の購入処理は、前記第1の通貨の単位において実行される、情報処理装置。
【請求項15】
前記商品の売上に関連する情報には、前記仕入れ商品のカテゴリ、仕入れ価格、仕入れ個数が少なくとも含まれ、
前記リテール業者の過去の売上実績の情報には、前記仕入れ商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品に関する過去の売上実績の情報が少なくとも含まれ、
前記第1の期間における売上実績を予測することは、前記第1の期間における、前記仕入れ価格において仕入れ可能な前記仕入れ商品の第3の個数を予測することを含む、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第3の個数と当該第3の個数に基づき決定された第4の為替レートとを含む、前記リテール業者からの承認を受け付けるための画面情報を前記リテールサーバに送信することと、
前記リテールサーバから、前記第3の個数を第4の個数に変更する指示を受信した場合に、前記第4の為替レートを前記第4の個数に合わせて第5の為替レートに変更することと、
前記第5の為替レートに対する前記リテール業者による承認を受け付けることと
を更に実行させる、請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記第5の為替レートは、前記第3の個数と前記第4の個数との差分に応じて設定される、請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記リテールサーバから、前記商品の取引に関わる通知を受信することと、
前記通知に含まれる取引金額に基づき、その時点における第6の為替レートと、前記第5の為替レートとに基づく精算処理を実行することと、
を更に実行させ、
前記精算処理には、前記第6の為替レートと前記第5の為替レートに基づく前記取引金額の変動分の前記リテール業者の所定の口座に対する請求又は入金、前記取引金額の前記第5の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記仕入れ可能な前記仕入れ商品の前記第3の個数を予測することは、
前記第1の期間内に仕入れが可能な前記仕入れ商品のそれぞれの個数の実現確率として第3の確率を推定することと、
前記第1の期間内に仕入れが可能な個数のうち、個数の小さい順、又は、個数の大きい順で前記第3の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる個数を前記仕入れ可能な前記仕入れ商品の前記第3の個数として予測することとを含む、請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項20】
予測された前記売上実績は、第1の売上予測を含み、
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第1の売上予測に基づく第1の保証金額と、当該第1の売上予測に基づき決定された第7の為替レートとを含む、前記リテール業者からの承認を受け付けるための画面情報を前記リテールサーバに送信することと、
前記リテールサーバから、前記第1の保証金額を第2の保証金額に変更する指示を受信した場合に、前記第7の為替レートを前記第2の保証金額に合わせて第8の為替レートに変更することと、
前記第8の為替レートに対する前記リテール業者による承認を受け付けることと
を更に実行させ、
前記購入処理は、前記第1の保証金額に相当する通貨について実施される、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記第8の為替レートは、前記第1の保証金額と前記第2の保証金額との差分に応じて設定される、請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記商品の売上に関連する情報には、前記第1の期間における見込みの売上金額が少なくとも含まれ、
前記第1の期間における売上実績を予測することは、
前記第1の期間内の売上金額として、前記見込みの売上金額に基づくそれぞれの売上金額の実現確率として、第4の確率を推定することと、
前記第1の期間内の売上金額として、金額の小さい順、又は、金額の大きい順で前記第4の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる売上金額を前記売上実績として予測することとを含む、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記リテールサーバから、前記商品の取引に関わる通知を受信することと、
前記通知に含まれる取引金額に基づき、その時点における第9の為替レートと、前記第8の為替レートとに基づく精算処理を実行することと、
を更に実行させ、
前記精算処理には、前記第9の為替レートと前記第8の為替レートに基づく前記取引金額の変動分の前記リテール業者の所定の口座に対する請求又は入金、前記取引金額の前記第8の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項24】
コンピュータを請求項1から9、14から23のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項25】
コンピュータを請求項10から13のいずれか1項に記載のユーザ端末として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、ユーザ端末、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商品代金に外国為替が関与する場合(例えば、支払いは日本円で行われるが、最終的にドルに換金されることが想定されている場合、或いはその逆)、商品の販売価格の設定時点から取引成立時点までに為替レートに変動があると、実際に支払われる金額を為替換算した場合には、想定していた金額と異なることがあり得る。
【0003】
このような事態を防止するために、為替予約と呼ばれる仕組みを利用することが可能である(特許文献1を参照)。為替予約を利用することで、売買価格の設定時点から売買成立時点までに一定期間が経過した場合であっても価格設定時の為替レートで支払金額が換金されるので、当該一定期間内の為替レートの変動の影響を受けずに済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-220108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、為替予約を行うためには事前に金額と期間を定めておかなければならず、いつどれだけ売れるかが事前に分からないリテール(越境ECを含む)などの分野では適切な為替予約が困難であった。また、利用者にとっては手続きが煩雑であるため、利便性に欠けるところがあった。
【0006】
そこで本発明は、商品売買や取引における為替レートの変動の影響を吸収可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのある側面に対応する本発明は、電子商取引(EC)サイトに商品を出品する出品ユーザのユーザ端末と、前記ECサイトを運営するECサーバを介して通信する情報処理装置であって、
プロセッサと、メモリと、前記メモリに格納されたプログラムとを備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記出品ユーザが出品しようとする第1の商品に関する商品情報であって、前記第1の商品のカテゴリ、販売価格、販売個数、販売期間が少なくとも含まれる前記商品情報を取得することと、
前記出品ユーザが過去に出品した前記第1の商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品の第1の販売実績の情報を取得することと、
前記出品ユーザとは異なる他の出品ユーザが出品した前記カテゴリと同一のカテゴリの商品の第2の販売実績の情報を取得することと、
前記商品情報、前記第1の販売実績の情報、及び、前記第2の販売実績の情報から、前記出品ユーザが前記販売期間に販売可能な商品の第1の個数を推定することと、
前記第1の個数と前記販売価格とに基づく金額に相当する通貨の購入処理を実施することと、を実行させ、
前記販売価格は通貨の第1の単位において示され、前記購入処理において購入される通貨の単位は、前記第1の単位とは異なる第2の単位である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品売買や取引における為替レートの変動の影響を吸収可能とするための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に対応する電子商取引システムの構成の一例を示す図。
図2】実施形態に対応するサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態1に対応する電子商取引システムにおいて実行される処理の一例に対応するタイミングチャート。
図4A】実施形態1に対応する商品情報の入力画面の一例を示す図。
図4B】実施形態1に対応するレート保証の承認画面の一例を示す図。
図5】実施形態1に対応する電子商取引システムにおいて実行される処理の他の一例に対応するタイミングチャート。
図6】実施形態1に対応する販売予測処理の一例を示すフローチャート。
図7】実施形態2に対応する電子商取引システムにおいて実行される処理の一例に対応するタイミングチャート。
図8A】実施形態2に対応する商品情報の入力画面の一例を示す図。
図8B】実施形態2に対応するレート保証の承認画面の一例を示す図。
図9A】実施形態2に対応する商品情報の入力画面の他の一例を示す図。
図9B】実施形態2に対応するレート保証の承認面の他の一例を示す図。
図10】実施形態2に対応する電子商取引システムにおいて実行される処理の他の一例に対応するタイミングチャート。
図11】実施形態2に対応する売上予測処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[実施形態1]
図1は、発明の実施形態に対応する電子商取引(ElECtronic Commerce:EC)システム10の一般的な構成を示す。ここでは、本実施形態に対応するレート保証サービスを提供する情報処理装置であるサービスサーバ101と、ECサイト上でユーザに対してサービスを提供するEC業者(国を跨いだユーザにサービスを提供しているので「越境EC業者」とも言う。)のECサーバ102と、仕入れ商品を一般消費者の販売するリテール業者のリテールサーバ103と、ECサーバ102やリテールサーバ103を介して商品の売買を行う顧客が使用するユーザ端末104(AからC)と、サービスサーバ101からの注文指示に応じて通貨の売買を行う金融商品取引業者の金商業者システム105とが、インターネット等のネットワーク106を介して接続されている。ユーザ端末104は、汎用のパーソナルコンピュータやスマートフォン等で構成される。図1では、サービスサーバ101、ECサーバ102、リテールサーバ103を独立したノードとして記載しているが、これらを1つ以上のノードにまとめてもよい。
【0012】
本実施形態において、ユーザ端末104を使用するユーザは、ECサーバ102がネットワーク106を介して提供するECサイト上で、商品を出品し、他のユーザに対して販売することができる。また、ユーザ端末104のユーザは、ECサイト上で出品されている商品を購入することができる。このように出品者たるユーザ(出品ユーザ)は、ECサイトに商品を出品し販売価格を設定して、ECサイト上の他のユーザ(購入ユーザ)に対して当該商品の販売を行うことができる。本実施形態においてECサイトに出品可能な商品は、取引され得る任意の対象物である。
【0013】
次に、図2を参照して、サービスサーバ101のハードウェア構成について説明する。サービスサーバ101は、情報処理装置として、例えば、1以上のパーソナルコンピュータから構成することができる。図2において、プロセッサとしてのCPU201で、メモリとしてのRAM(ランダムアクセスメモリ)202やROM(リードオンリメモリ)205に格納されたプログラムやデータ等を用いてサービスサーバ101の制御を行うと共に、後述する実施形態に対応する処理(図3図5図6図7図10及び図11)を実行する。RAM202で、内部記憶装置207内に格納された処理プログラムや外部記憶装置208に格納されている情報を読み込むエリアを備えると共に、CPU201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアも備える。
【0014】
入力部203はサービスサーバ101の管理者から入力を受付ける入力手段であって、キーボードやマウスなどで構成される。通信I/F(インタフェース)204は、ネットワーク106等に接続するためのI/Fとして機能する。ROM205は、サービスサーバ101全体の制御を行うプログラム(例えばブートプログラム等)等を格納する。表示部206は表示画面としての表示部で、液晶表示装置等により構成されている。
【0015】
内部記憶装置207は、主としてハードディスクで構成され、サービスサーバ101が処理を実行するためのプログラムや各種アプリケーションデータを格納する。ここに格納されているデータは必要に応じてRAM202に読み出される。外部記憶装置208は、データベースであり、商品情報、過去の取引情報等が随時格納される。バス209は上述の各ブロックの相互接続を提供する。
【0016】
図2に示すハードウェア構成は、図1に示すECサーバ102、リテールサーバ103、金商業者システム105についても同様の構成を採用することができる。また、ユーザ端末104についても、基本的なハードウェア構成は図2に示したものと同様である。
【0017】
次に、電子商取引システム10において実行される処理について説明する。図3は、本実施形態に対応する出品商品の登録時の処理の流れの概要を示すタイミングチャートである。ここでは、ユーザはECサーバ102がネットワーク106上で提供するECサイト上で、商品の販売を行うことを想定している。そのためにまず、S301では、ユーザ端末104において商品情報の入力を受け付ける。
【0018】
ここで出品ユーザは、商品情報として、ECサイトにおいて販売を希望する商品の商品名、カテゴリ(商品属性)、現地通貨、販売価格、参考価格等の商品に関する情報を入力することができる。販売価格の通貨の単位は、顧客となる購入ユーザが在住する国の通貨の単位で入力することができる。例えば、商品を購入することが見込まれる購入ユーザを日本に在住するユーザとする場合には、日本円で指定することができる。
【0019】
また、現地通貨として、出品ユーザが在住する国の通貨の単位を指定することができる。例えば、ユーザが在住する国が米国である場合には現地通貨として米ドルを指定することができる。通貨単位についてはユーザ端末104側で位置情報に基づき自動で候補となる通貨単位を提示してもよい。
【0020】
本実施形態では出品ユーザは販売価格を任意に設定することができるが、出品ユーザが日本国外(例えば米国)に在住で、日本在住の購入ユーザに対して商品を販売しようとする場合、日本円で販売価格を設定するが、支払われた金額は米国ドルに換金する必要がある。このとき、販売価格を設定してから出品ユーザと購入ユーザとの間で取引契約が成立し、購入ユーザから販売価格に相当する代金(日本円)が支払われるまでに為替レートの変動があった場合、具体的には円安が進んだ場合には、出品ユーザが受け取ることのできるドルの額は減額される。これにより、出品ユーザの利益が減少してしまう。特に、販売まで一定期間を要し円安が大幅に進行した場合、仕入れ値や手数料などを差し引いた金額がマイナスになりかねない。
【0021】
このような事態に対処すべく、本実施形態では、商品登録時の為替レートで代金を受け取ることを可能とする仕組みを提供する。この仕組みを本実施形態では「レート保証」と呼ぶ。出品ユーザがレート保証を利用することで、将来的に為替レートが変動した場合であっても、商品販売後の精算時に商品登録時の為替レートで代金が支払われることになる。
【0022】
S302では、レート保証を行うか否かの設定を受け付ける。レート保証を行う設定では、保証情報を更に設定することができる。具体的に、続くS303では、レート保証に関する情報(保証情報)の入力を受け付ける。保証情報には、具体的に、S301で指定した商品の保証個数、レート保証を適用する販売期間(保証期限、販売期限に対応)等が含まれる。例えば、口紅を商品として販売したい場合、保証個数を10個とし、販売期間を3週間、即ち、保証期限を3週間後とすることができる。この場合、指定した10個を3週間以内に販売する限りにおいて、登録時点での為替レートの保証を希望していることとなる。実際にこの希望が通るかどうかについては、サービスサーバ101側の判断を仰ぐ必要がある。
【0023】
ここで、図4Aに、出品ユーザがS301からS303において出品商品に関する情報を入力する際に利用する入力画面の一例を示す。画面400において、ユーザ名401は、商品情報を入力しようとする出品ユーザが事前にECサイトに登録しているユーザ名を示す。ユーザ名は出品ユーザを一意に識別可能な識別情報(ユーザID)と関連付けられている。
【0024】
商品名402には、出品ユーザが出品しようとしている商品名を入力することができる。当該商品名は、ユーザが任意に指定することができる。カテゴリ403には、出品しようとしている商品の属性や分類を入力することができる。カテゴリ403は、段階的に設定可能に構成されていてもよい。例えば、レディース、メンズの別を入力した後に、それぞれの性別カテゴリに関連する商品のカテゴリを選択可能とすることができる。カテゴリは、出品商品を類別するのに役立つ情報であるので、詳細に設定可能に構成することができる。
【0025】
現地通貨404は、出品ユーザが販売代金の換金を希望する通貨単位を設定することができる。現地通貨404は予め定められた選択肢の中から該当する通貨単位を選択するように構成することができる。販売価格405は出品ユーザが設定する出品商品の価格であり、出品者が任意に設定することができるが、仕入れ値やECサイトに対して支払う手数料、クレジットカードの手数料等の諸々の経費を考慮して金額を設定することになる。販売価格405の通貨単位は、現地通貨404で設定された通貨単位とは異なる通貨単位であり、購入ユーザが購入する際に利用する通貨単位である。例えば、購入ユーザとして日本在住のユーザを想定している場合、日本円が設定される。参考価格406は、出品する商品の通常価格(市場価格)であり、参考情報として提示することができる。参考価格406の通貨単位は、出品ユーザが仕入れる際に支払う代金の通貨単位に従う。出品ユーザが米国在住で、米国で商品を仕入れるのであれば米国ドルで表示される。
【0026】
レート保証ボタン407は、本実施形態に対応するレート保証を設定するボタンであり、「YES」と「NO」のいずれかを選択することができる。「YES」が選択された場合には、保証個数408と保証期限409を更に設定することができる。保証個数408は、レート保証の対象となる商品の個数であり、出品ユーザが任意に設定することができる。保証期限409は、レート保証を有効とする期限であり、出品ユーザが任意に設定することができる。
【0027】
図4Aに示した入力画面は一例であって、図4Aに示した情報以外の追加の情報を更に入力可能としてもよい。例えば、出品された商品が購入された後に出品ユーザが受け取る金額について通貨の単位を指定することができる。その他、商品写真、商品に関するコメント、商品のブランド名、シーズン、色・サイズ、配送方法、買付地、発送地、参考価格、関税込みか否か等の情報を含めることができる。
【0028】
上記の設定内容は、登録ボタン410が操作されるとECサーバ102へ送信されて、商品情報として登録され、キャンセル411が操作されると商品情報は無効化され、ECサーバ102には登録されない。
【0029】
S301からS303で入力された情報は、商品情報及び保証情報としてECサーバ102に送信され、S304において、ECサーバ102のデータベースに保存される。当該情報は、ECサーバ102を介してサービスサーバ101にも提供される。また、ECサーバ102からは、登録された出品商品に関連する過去の取引情報がサービスサーバ101に提供される。サービスサーバ101は、受信したこれらの情報を内部記憶装置207内に記憶する。
【0030】
サービスサーバ101はECサーバ102から取得した情報に基づいて、S305において指定商品の販売予測を行い、S306で予測結果に基づきレート保証条件を決定する。決定されたレート保証条件は、ECサーバ102を介してユーザ端末104に提供される。ユーザ端末104は、S307において受信したレート保証条件の承認画面を表示部に表示し、出品ユーザの承認を受け付ける。承認画面の一例については図4Bを参照して後述する。
【0031】
S308において、出品ユーザによるレート保証条件の承認が得られると、承認確認がECサーバ102を介してサービスサーバ101に提供される。サービスサーバ101は、レート保証条件の承認確認を受信すると、S309において商品情報において指定された通貨単位(現地通貨404で設定された内容)について、販売予測及びレート保証条件に従った価格分を購入する注文を金商業者システム105に対して発行してカバー取引を実行する。
【0032】
具体的には、例えば3000円の商品10個についてドルのレート保証を行う場合であって、その時点のドル円の為替レートが1ドル130円、S306における処理で出品ユーザが販売可能と推定される個数(後述する予測販売個数)が5個であった場合には115.4ドルを購入するカバー取引を行う。また、S310では、レート保証条件の情報、カバー取引を行った金額と共に商品情報を内部記憶装置207内に記憶する。その後、ECサーバ102においては、S311において出品商品をECサイトに掲載し、購入ユーザからの購入を受け付ける。
【0033】
次に、図5を参照して、電子商取引システム10において実行される出品商品の販売時の処理について説明する。図5は、本実施形態に対応する出品商品の販売時の処理の流れの概要を示すタイミングチャートである。
【0034】
まず、S501では、ECサーバ102が購入ユーザにより出品商品が購入されたことを検知すると、販売完了の通知がECサーバ102からサービスサーバ101に対して通知される。販売完了通知には、出品ユーザのユーザID、出品商品の商品ID、数量の情報が少なくとも含まれる。サービスサーバ101側では、販売完了通知の受信に応じて、ユーザID、商品ID、数量の情報に基づき、内部記憶装置207に記憶された商品情報に基づき販売された商品を特定し、S502において当該商品の登録時におけるレート保証の設定の有無を判定する。
【0035】
当該商品がレート保証の対象であった場合、S503において精算処理を行う。具体的には、販売された商品のドル価格分の受渡し(ドルの受取り)を金商業者システム105に対して行うか、または売り注文を金商業者システム105に対して発行する。そして、支払い代金相当額としてドル、または商品の登録時の為替保証レートと、販売完了通知時における為替レートに基づき、差分金額を算出し、差分金額分の円貨をECサイトの口座へ振り込む、またはECサイトへ請求する処理を行う。
【0036】
例えば、商品登録時の為替保証レートが1ドル130円であり、販売完了時の為替レートが1ドル135円であった場合、3000円の商品の販売に必要なドルは、商品登録時であれば23.08ドルであるのに対し、販売完了時では22.22ドルとして、0.86ドル少なくなっている。そこで、本実施形態ではレート保証価格(130円)で23.08ドルの受渡し(両替)を行う、またはこの0.86ドル相当の円貨を差分金額としてECサイトの口座に補填する処理を行う。日本円で補填する場合には、0.86×135=116円を支払う。なお、この精算処理は、一定期間(例えば、1月毎)に一括して行ってもよい。
【0037】
また、カバー取引時と現時点での為替の変動が円高方向に振れていた場合、例えば、為替保証レートが1ドル130円であり、現在の為替レートが1ドル125円であった場合、3000円に相当するドルは23.08ドルから24ドルに増加している。この場合、ECサイトに対して23.08ドルの受渡し、または差金の請求(23.08ドル×(130-125)=115円)を行う。
【0038】
サービスサーバ101が受渡し代金、または差分金額を振り込む先のECサイトの口座は、ECサーバ102が管理するECサイトの口座(銀行口座)のうち、出品ユーザの資金を預かっている口座とすることができる。ECサーバ102は、個々の出品ユーザから資金を預かり管理するための口座を設定しておき、当該口座において各出品ユーザの資金を管理することができる。そして、出品商品の売上は、出品ユーザに割り当てられた口座に入金される。出品ユーザは、必要に応じて預り口の資金を自身の銀行口座に送金することができる。
【0039】
精算処理が完了すると、サービスサーバ101はECサーバ102に対して精算完了通知を送信する。精算完了通知を受けて、ECサーバ102は、S504において出品ユーザの受取分の金額(受取金額)の振り込みを上記出品ユーザの口座に対して行う。精算処理により差分金額の振り込みが一定期間ごとにまとめて行われる場合には、精算完了通知を受け取る以前に受取金額の振り込みを行ってもよい。
【0040】
受取金額の振り込みは、ドルで支払うのであれば、売上金額の日本円を商品登録時の為替レートでドル換算して支払う。上記の例では販売金額は、ドルで23.08ドル、日本円であれば3116円となる。なお、受取金額は販売金額から諸々の手数料を差し引いた額として算出される。振り込みが行われると、ECサーバ102からユーザ端末104へ振込通知が送信される。ユーザ端末104の表示画面には、S505において振込まれた受取金額の表示がなされる。
【0041】
次に、図3のS305における販売予測処理の詳細を、図6のフローチャートを参照して説明する。図6は、販売予測処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、S601において、出品ユーザの情報を取得する。出品ユーザのユーザ名、或いは、識別情報を取得する。識別情報はユーザ毎に予め与えられていてもよい。次に、S602において商品情報を取得する。当該商品情報には、少なくともカテゴリ(商品属性)、販売価格、保証期限が含まれている。カテゴリは商品の属性・種類を表す情報であり、例えば口紅、香水等の商品の種別や分類を表す総称である。洋服であれば、レディース、メンズの別、洋服の種類(トップス、ボトムス、アウター等、トップスであれば更にサブカテゴリとしてTシャツ、ブラウス、セーター等)、材質(レザー、ウール、シルク等)などの情報により分類される。
【0043】
販売価格は、出品ユーザが図4Aの販売価格405で指定した情報である。保証期限は、出品ユーザが図4Aの保証期限409で指定した期限を示す情報である。商品情報には、上述の情報に追加して商品名やブランド名等が含まれてもよい。
【0044】
続くS603において過去の取引情報を履歴情報として取得する。履歴情報は、S602で取得したカテゴリの情報に対応する商品の販売履歴の情報である。また、出品ユーザの情報が取得できる場合には、S601において取得したユーザ情報に基づき出品ユーザの販売履歴情報を他のユーザの履歴情報とは別に取得する。
【0045】
次に、S604では取得した履歴情報に基づき、まず、出品ユーザの過去の履歴情報から、出品ユーザが出品しようとしている商品のカテゴリに対応する商品の履歴情報を抽出し、指定された販売価格及び保証期限に基づく販売期間における販売実績を特定する。当該処理においては、まず、指定されたカテゴリと同じカテゴリの商品について、指定された販売価格と同じ価格帯(例えば、価格差±10~20%)の商品について、同じ季節における販売実績を特定する。
【0046】
具体的には、期間Tnにおいて販売された商品の個数Nnを特定する。販売実績の特定方法には、例えば、個々の出品ユーザについて、期間Tnを今回指定された保証期限に基づき特定される販売期間Tと一致させて、その間に販売された商品の個数Nnを特定する方法がある。また、それとは別に、商品の個数Nnを今回指定された保証個数Nと一致させて、個々の出品ユーザがN個を販売するのに要した期間Tnを特定する方法がある。次いで、指定された販売価格と異なる価格帯の同じ季節における販売実績を同様に特定する。
【0047】
次に、S605において、履歴情報に基づき、他の出品ユーザの過去の履歴情報から、出品ユーザが出品しようとしている商品属性に対応する履歴情報を抽出し、指定された販売価格及び販売期間における販売実績を特定する。当該処理においては、まず、指定された商品属性と同じ商品属性の商品について、指定された販売価格と同じ価格帯(例えば、価格差±10~20%)の商品について、同じ季節における販売実績を特定する。次いで、指定された販売価格と異なる価格帯の同じ季節における販売実績を特定する。ここでの販売実績の特定は、S604において記載したのと同様に実施することができる。
【0048】
続くS606では、S604で取得した出品ユーザの同一商品カテゴリの販売実績と、S605で取得した他の出品ユーザの同一商品属性の販売実績とに基づき、今回の販売個数を推定する。販売個数の推定結果は、指定された販売期間T内で販売できる個数について、例えば、指定された保証個数をNとした場合に、N、N/2、2N/3、3N/4、4N/5等の販売確率といった具合に、分散として求めることができる。たとえば、N=10個の販売を出品ユーザが希望する場合に、10/2の5個については10%、20/3の6個については10%、30/4の7個については10%、40/5の8個については50%、同様に9個について10%、10個については10%といった形で、指定期間内に販売可能な確率を算出する。
【0049】
例えば、出品ユーザが、過去の10回の販売実績において、出品期間Tの間に販売できた数が、10個が1回、9個が1回、8個が5回、7個が1回、6個が1回、5個が1回であった場合、出品期間Tの間に販売できる個数が10個である確率が10%、9個である確率が10%、8個である確率は50%、7個である確率は10%、6個である確率は10%、5個である確率は10%となる。このとき、確率の合計は、個数の小さい順に5個、6個、7個、8個の合計(或いは、個数の大きい順に10個、9個、8個の合計)で50%を超える(10+10+10+50=80>50)こととなる。なお、個数の小さい順の確率の合計から特定される個数と、個数の大きい順の確率の合計から特定される個数とが異なる場合には、当該特定された個数の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0050】
S606における販売個数の推定は、例えば、出品ユーザが同一商品カテゴリの同一価格帯の販売実績を豊富に有する場合には、出品ユーザの販売実績を優先して推定することができる。一方、出品ユーザの当該販売実績が乏しい場合には、他のユーザの販売実績を優先して推定することができる。その際、出品ユーザが他の価格帯において豊富な販売実績を有している場合には、当該他の価格帯における販売実績と同価格帯における他のユーザの販売実績の相違に基づいて、他のユーザの販売実績に基づく推定を修正してもよい。具体的に、出品ユーザの他の価格帯における販売実績が同他の価格帯における他のユーザの販売実績の2割増しである場合には、推定する販売個数を他のユーザの販売実績から得られる数字の2割増しとすることができる。
【0051】
例えば、出品ユーザが、他の価格帯の過去の10回の販売実績において、出品期間Tの販売数が12個で確率の合計が50%を超えるのに対し、他の出品ユーザの平均実績では出品期間Tの販売数が10個で確率の合計が50%を超えるものであったとすると、出品ユーザの実績は他のユーザに対して2割増しとなる。このような場合、出品ユーザの同一価格帯の販売実績の推定値を、他のユーザの平均実績の2割増しとする。
【0052】
次に、S607では、S604で取得した出品ユーザの同一商品属性の販売実績と、S605で取得した他の出品ユーザの同一商品属性の販売実績とに基づき、今回の指定個数を販売するのに要する期間を推定する。販売期間の推定結果は、指定された個数について、例えば、保証期限までの期間(指定期間)をTとした場合に、指定期間T内の販売確率として求めることができる。指定期間T内に指定個数を販売可能である(販売確率100%)場合、指定個数を全部販売するまでの販売期間について確率を求める。また指定期間内に指定個数を販売できない場合にも、指定個数を全て売り切るために要する販売期間について確率を求める。
【0053】
例えば、出品ユーザが、過去の10回の販売実績において、10個を販売するのに要した期間が、33日が1回、34日が1回、35日が5回、36日が1回、37日が1回、38日が1回であった場合、出品期間Tが40日であるとすると、33日で10個全てを販売できる確率は10%、34日であれば同確率は10%、35日であれば同確率は50%、36日であれば同確率は10%、37日であれば同確率は10%、38日であれば同確率は10%となる。このとき、確率の合計は、期間の短い順に33日、34日、35日の合計(或いは、期間の長い順に38日から35日の合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、期間の短い順の確率の合計から特定される期間と、期間の長い順の確率の合計から特定される期間とが異なる場合には、当該特定された期間の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0054】
また、例えば出品ユーザが、過去の10回の販売実績において、10個を販売するのに要した期間が、39日が1回、40日が1回、41日が5回、42日が1回、43日が1回、44日が1回であった場合、出品期間Tが40日であるとすると、39日で10個全てを販売できる確率は10%、40日であれば同確率は10%、41日であれば同確率は50%、42日であれば同確率は10%、43日であれば同確率は10%、44日であれば同確率は10%となる。このとき、確率の合計は、期間の短い順に39日、40日、41日の合計(或いは、期間の長い順に44日から41日の合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、期間の短い順の確率の合計から特定される期間と、期間の長い順の確率の合計から特定される期間とが異なる場合には、当該特定された期間の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0055】
S607における予測も、例えば、出品ユーザが同一商品カテゴリの同一価格帯の販売実績を豊富に有する場合には、出品ユーザの販売実績を優先して予測を立てることができる。一方、出品ユーザの当該販売実績が乏しい場合には、他のユーザの販売実績を優先して予測を立てることができる。その際、出品ユーザが他の価格帯において豊富な販売実績を有している場合には、当該他の価格帯における販売実績と同価格帯における他のユーザの販売実績の相違に基づいて、他のユーザの販売実績に基づく予測を修正してもよい。具体的に、出品ユーザの他の価格帯における販売期間が同他の価格帯における他のユーザの販売期間よりも1割短い場合には、予測する販売期間を他のユーザの販売期間から得られる期間よりも1割短い期間とすることができる。
【0056】
例えば、出品ユーザが、他の価格帯の過去の10回の販売実績において、10個の商品を販売するのに要した期間が27日で確率の合計が50%を超えるのに対し、他の出品ユーザの平均実績では10個の商品を販売するのに要した期間が30日で確率の合計が50%を超えるものであったとすると、出品ユーザは他のユーザに対して販売期間が1割短くなる。このような場合、出品ユーザの同一価格帯の販売実績を、他のユーザの平均実績よりも1割短くすることができる。
【0057】
次にS608では、S606及びS607で求めた推定の商品個数と販売期間とに基づいて、指定期間T内に販売が可能な個数(予想販売個数)nを決定する。例えば、S606において、確率の合計が閾値である50%以上となる個数を個数nとする。上述の例の場合、8個であれば確率の合計が50%を超えているので、個数nを8個とする。なお、閾値の値は50%以外の任意の数値としてよい。その一方で、仮に指定期間T内に指定個数N個を全て販売可能である場合には、S607で算出したN個を販売するまでの期間とTとの差分に基づき、指定期間T内に販売可能な最大個数を算出する。例えば、2T/3の期間でN個販売が可能な場合には、3N/2個を予測販売個数として算出する。このように本実施形態ではユーザが指定した個数よりも多い販売個数を予測結果として返すことも可能である。
【0058】
以上の図6の説明を踏まえてS306におけるレート保証条件決定のための処理について説明する。当該処理においては、S305における販売予測の結果に従い、レート保証における推奨個数と、レート保証する為替レート(為替保証レート)の金額を決定する。図6のS608で得られた予測販売個数を推奨個数とし、カバー取引はこの個数分の価格について行うことになる。しかし、この個数は出品ユーザが当初に指定した保証個数との間で乖離が生ずる場合がある。上述の例では、保証個数10個に対して予測販売個数8個となっている。
【0059】
このような場合に、仮に出品ユーザが推奨個数よりも多い個数、或いは、保証個数でのレート保証を希望する場合、推奨個数を上回る分はカバー取引の対象外となるためカバー取引に対するリスクが生ずることとなる。このリスクは、出品ユーザが希望する保証個数と、推奨個数との間の差に応じて変動する。例えば、保証個数と推奨個数とが一致する場合にはリスクが小さくなり、保証個数が推奨個数を大幅に上回る場合にはリスクが大きくなる。そこで、カバー取引のリスクの大きさに応じて、レート保証の金額を調整する。具体的には、カバーしていない部分の個数、商品単価、発生確率等に基づき、リスク金額を算出し、為替保証レートに加算する。
【0060】
本実施形態においては、このリスクを表す係数をRn1、その他の取引手数料をMt1、登録時における為替レートをRc1とすると、為替保証レートをRg1はRg1=Rc1+Rn1+Mt1と表すことができる。このうち、Rn1、Mt1は、ユーザの希望する個数に応じて変動させることができる。
【0061】
本実施形態では、このようにして決定された推奨個数と為替保証レートとを承認画面としてユーザ端末104に送信し、出品ユーザの承認を受ける。図4Bはレート保証の承認画面の一例を示す。承認画面410において、ユーザ名401、商品名402、現地通貨404、販売価格405、保証期限409については、図4Aの画面の内容を引き継いでいるので、ここでの説明は省略する。レート保証個数412とレート保証価格413は、サービスサーバ101側の処理により決定されたレート保証条件に関する情報の提示領域であり、レート保証個数412には、初期値として推奨個数(予想販売個数)が表示される。また、レート保証価格413には、推奨個数で算出された為替保証レートRg1が表示される。なお、為替保証レートRg1のうち、リスク係数Rn1、取引手数料Mt1の料金は、為替保証レートの表示において別途通知してもよい。出品ユーザは、この承認画面410を確認し、表示された条件で承認するのであれば承認ボタン414を選択する。キャンセルボタン415が操作されると、商品の出品はキャンセルとなる。
【0062】
出品ユーザは承認画面410においてレート保証個数412の数値を変更することができる。個数が変更されると、それに伴ってレート保証価格413が変更後の個数に応じた値に変更される。数値の変更範囲は、初期値の所定倍まで許容してもよいし、無制限としてもよい。いずれの場合であっても、変更後の個数に応じたレート保証価格413が表示される。レート保証個数412の変更に伴うレート保証価格413の値はサービスサーバ101から提供される。
【0063】
以上の実施形態1によれば、ECサイトに商品を出品する出品ユーザは、出品から商品の販売までの間に為替レートの変動があった場合であっても、商品が購入された際の販売代金を出品時の為替レートで換算した金額で受け取ることが可能となる。これにより、出品者は為替の変動リスクを心配する必要がなくなり、より柔軟な価格設定が可能となる。
【0064】
[実施形態2]
実施形態1では、EC業者のECサーバ102が管理するECサイトに商品を出品した出品ユーザに対してレート保証を行う場合を説明した。これに対し本実施形態では、仕入れた商品を一般消費者に対して販売するリテール業者に対し、レート保証を行う場合を説明する。
【0065】
一般に、商品を仕入れて一般消費者に販売するリテール業者が行う為替リスクヘッジには、大きく分けて「包括ヘッジ」と「個別ヘッジ」がある。「包括ヘッジ」は、個別の取引とは独立に一定期間(例えば、三か月から1年)において一定金額をヘッジする手法である。包括ヘッジの場合、財務責任者(例えば、経営者)の裁量に依存することが多いため、判断が正しければ効率的にヘッジできる利点がある一方で、汎用性に欠ける。包括ヘッジは、リテール業者全体を対象とすることや、特定の商品グループを対象とすることがある。一方の「個別ヘッジ」は個別の仕入れ商品のオーダ(受注・発注)ごとにヘッジをかけるもので、効率性に欠けるものの特定の個人/チームに依存しない利点がある。その一方で、リテール(BtoC)ビジネスにおいては(BtoBとは異なり)取扱商品数が膨大であり、また商品の入替えが頻繁に発生する場合があるなど、オーダが細かすぎることに加えて、何が・いつ・どれだけ売れるかが分かっていないと個別ヘッジを実行することができない。
【0066】
本実施形態ではレート保証を利用することで、リテールビジネスにおける「個別ヘッジ」と「包括ヘッジ」とを効率的に実現する。
【0067】
本実施形態におけるシステム構成は図1に示したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。本実施形態において、ユーザ端末104を使用するユーザは、リテール業者のリテールサーバ103がネットワーク106を介して提供するECサイトや小売店で商品を購入することができる。
【0068】
本実施形態における処理の流れを図7のフローチャートを参照して説明する。図7は、本実施形態に対応するヘッジ対象の登録時の処理の流れの概要を示すタイミングチャートである。
【0069】
S701では、リテールサーバ103においてヘッジ対象に関する情報の入力を受け付ける。上述の個別ヘッジを行う場合、リテールサーバ103は、商品情報として、ヘッジ対象商品の商品名、カテゴリ(商品属性)、ヘッジ対象の為替レート、仕入れ価格等の商品に関する情報を入力することができる。仕入れ価格は、商品の仕入れ先の国の通貨の単位で入力することができる。例えば、商品を米国で仕入れる場合には米ドルで指定することができる。また、為替レートは仕入れ価格の通貨単位と、仕入れた商品の輸入先の通貨の単位とで示される、例えば、米国で仕入れた商品を日本に輸入して販売する場合には米ドル-日本円とすることができる。
【0070】
一方、上述の包括ヘッジを行う場合、リテールサーバ103は、個別の商品情報の入力は行わず、保証金額及びヘッジ対象の為替レートの情報を入力することができる。保証金額は、取引先の国の通貨の単位で入力することができる。例えば、商品を米国で仕入れることを想定している場合には米ドルで指定することができる。また、為替レートは、取引先の国の通貨の単位と、自分たちが利用する通貨単位とで示される、例えば、米国で仕入れた商品を日本に輸入して販売する場合には米ドル-日本円とすることができる。
【0071】
S702では、レート保証を行うか否かの設定を受け付ける。レート保証を行う設定では、保証情報を更に設定することができる。具体的に、続くS703では、レート保証に関する情報(保証情報)の入力を受け付ける。保証情報には、個別ヘッジであればS701で指定した仕入れ対象商品の保証個数、レート保証の保証期限等が含まれる。例えば、電子回路部品を商品として仕入れたい場合、保証個数を10万個とし、保証期限の日付として6か月後の日付、或いは、単に6か月と設定とすることができる。このようなケースは、電子回路部品を半年間は価格固定で販売し、在庫がなくなると追加注文を行うビジネス形態が対応する。この場合、指定した10万個を6か月の期間において仕入れる限りにおいて、登録時点での為替レートの保証を希望していることとなる。また、包括ヘッジでは、商品を特定せず、月ごと、季節ごとの売上予想に基づくヘッジが希望されるので、保証金額、為替レート、保証期間を設定することができる。
【0072】
ここで図8A図9Aに、リテールサーバ103においてS701からS703において情報入力が行われる際に利用される入力画面の一例を示す。図8Aは個別ヘッジの場合の入力画面の一例を示す。図9Aは包括ヘッジの場合の入力画面の一例を示す。
【0073】
まず、図8Aの画面800において、商品名801には、ヘッジ対象商品の商品名を入力することができる。当該商品名は任意に指定することができる。カテゴリ802には、商品の属性や分類を入力することができる。カテゴリ802は、段階的に設定可能に構成されていてもよい。例えば、電子回路部品であれば、トランジスタ、コンデンサ等のサブカテゴリを選択可能とすることができる。カテゴリは、商品を類別するのに役立つ情報であるので、詳細に設定可能に構成することができる。
【0074】
為替レート803は、仕入れ価格の通貨単位と、仕入れた商品の輸入先の通貨の単位とで示される。図8Aの例では、米ドルと日本円の為替レートが選択された場合を示している。仕入れ価格804には、予定している仕入れ価格を仕入れ先の国の通貨単位(上述の例では米ドル)で設定することができる。レート保証ボタン805は、本実施形態に対応するレート保証を設定するボタンであり、「YES」と「NO」のいずれかを選択することができる。「YES」が選択された場合には、保証個数806と保証期限807を更に設定することができる。保証個数806は、レート保証の対象となる商品の個数であり、任意に設定することができる。保証期限807は、レート保証を有効とする期限であり、任意に設定することができる。
【0075】
上記の設定内容は、登録ボタン808が操作されるとリテールサーバ103内に入力情報として登録され、キャンセル809が操作されると入力情報は無効化され登録されない。
【0076】
次に、図9Aの画面900において、保証金額901には、レート保証を申請する金額の合計が設定される。保証金額は、取引先の国の通貨の単位で入力することができる。例えば、商品を米国で仕入れることを想定している場合には米ドルで指定することができる。また、為替レート902は、取引先の国の通貨の単位と、自分たちが利用する通貨単位とで示される。例えば、米国で仕入れた商品を日本に輸入して販売する場合には米ドル-日本円とすることができる。
【0077】
レート保証ボタン903は、本実施形態に対応するレート保証を設定するボタンであり、「YES」と「NO」のいずれかを選択することができる。「YES」が選択された場合には、保証期間904を更に設定することができる。保証期間904は、レート保証を有効とする期間であり、任意に設定することができる。上記の設定内容は、登録ボタン905が操作されるとリテールサーバ103内に入力情報として登録され、キャンセル906が操作されると入力情報は無効化され登録されない。
【0078】
S701からS703で入力された情報は、過去の取引情報と共にサービスサーバ101に送信され、サービスサーバ101は、受信したこれらの情報を内部記憶装置207内に記憶する。本実施形態においては、リテールサーバ103は、過去の取引実績を月ごとに10年から20年分蓄積しており、それを提供する。
【0079】
サービスサーバ101はリテールサーバ103から取得した情報に基づいて、S704において売上予測を行い、S705で売上予測に基づき金額およびレート保証条件を決定する。決定されたレート保証条件は売上予測と共にリテールサーバ103に提供される。リテールサーバ103は、S706において受信した売上予測と金額およびレート保証条件の承認画面を表示部に表示し、承認を受け付ける。承認画面の一例については図8B図9Bを参照して後述する。
【0080】
S707において、レート保証条件の承認が得られると、承認確認がサービスサーバ101に提供される。サービスサーバ101は、レート保証条件の承認確認を受信すると、仕入れ価格と売上予測個数から導き出される仕入額分、或いは、売上予測金額分を購入するカバー取引をS708において実行する。具体的には、個別ヘッジについて例えば売上予測として10ドルの商品10万個可能と予測した場合、100万ドル分を購入する注文を金商業者システム105に対して発行してカバー取引を行う。また、包括ヘッジについて保証金額として100万ドルの売り上げを予測する場合には、100万ドルを購入する注文を金商業者システム105に対して発行してカバー取引を行う。S709では、レート保証条件の情報、保証金額、保証個数等の情報を内部記憶装置207内に記憶する。
【0081】
次に、図10を参照して、電子商取引システム10において実行される、取引が発生しレート保証の範囲で支払いが必要となった場合の処理について説明する。図10は、本実施形態に対応する処理の流れの概要を示すタイミングチャートである。
【0082】
まず、S1001では、リテールサーバ103において、追加の注文が発生し、代金の支払いが必要となったことを検知すると、サービスサーバ101に対して、支払金額の通知、或いは、個数と仕入れ価格の通知を行う。この通知には、リテールサーバ103を識別するためのID、仕入れ商品の商品IDなども含まれる。サービスサーバ101側では、数量・金額通知の受信に応じて、ID、商品ID、数量等の情報に基づき、内部記憶装置207に記憶された登録情報を特定し、S1002において登録時におけるレート保証の設定の有無を判定する。
【0083】
当該取引がレート保証の対象であった場合、S1003において精算処理を行う。具体的には、仕入れ商品の価格分の売り注文を金商業者システム105に対して発行する。そして、通知された仕入れ価格や、通知された情報から特定される金額に相当する受渡し、または差分金額に相当する額をリテール業者の所定の口座(銀行口座)へ振り込む処理を行う。具体的には、10万ドル分のレート保証を行っている状況で、そのうち3万ドル分の取引が発生した場合には、3万ドル分について受渡し、または売り注文を金商業者システム105に対して発行する。そして、レート保証価格での両替、またはカバー取引時と現時点での為替の変動分を差分金額として算出する。例えば、カバー取引時の為替レートが1ドル130円であり、現在の為替レートが1ドル135円であった場合、3万ドルに相当する日本円は390万円から405万円に15万円増加している。そこで、本実施形態ではリテール業者から390万円を受け取って130円換算で3万ドルに両替、またはこの15万円分を差分金額として補填する処理を行う。これで残りは7万ドルになる。仮に、残額に対して要求金額が上回る場合には、金額不足の通知を返す。
【0084】
なお、カバー取引時と現時点での為替の変動が円高方向に振れていた場合、例えば、カバー取引時の為替レートが1ドル130円であり、現在の為替レートが1ドル125円であった場合、3万ドルに相当する日本円は390万円から375万円に15万円減少している。この場合、リテール業者から390万円を受け取って保証レート(1ドル130円)で3万ドルに両替、または差額分をリテール業者に対して請求する。
【0085】
精算処理が完了すると、サービスサーバ101はリテールサーバ103に対して精算完了通知を送信する。精算完了通知を受けて、リテールサーバ103は、S1004において振り込まれた金額を表示部に表示して通知する。また、取得した金額に基づいてS1005において金額の受け払いを行う。
【0086】
次に、図7のS704における売上予測処理の詳細を、図11のフローチャートを参照して説明する。図11は、売上予測処理の一例を示すフローチャートである。
【0087】
S1101において情報を取得する。当該情報には、個別ヘッジであれば、対象商品のカテゴリ(商品属性)、仕入価格、保証期限、保証個数等の情報が含まれている。また、包括ヘッジの場合には、保証金額、保証期間の情報を取得する。これらは、S701からS703等で入力され、サービスサーバ101に対して提供された情報である。
【0088】
続くS1102において過去の取引情報を履歴情報として取得する。履歴情報は、個別ヘッジの場合は、S1101で取得したカテゴリの情報に対応する商品の月毎の売上実績の情報である。包括ヘッジの場合は、リテール業者の月毎の業績に関する情報である。
【0089】
次に、S1103では履歴情報に基づき売上実績を特定する。個別ヘッジの場合、カテゴリに対応する商品の履歴情報から、指定された仕入価格及び保証期限に基づく販売期間における売上実績を特定する。当該処理においては、まず、指定されたカテゴリと同じカテゴリの商品について、指定された仕入価格と同じ価格帯(例えば、価格差±10~20%)の商品について、同じ季節における売上実績を特定する。
【0090】
具体的には、期間Tnにおいて販売された商品の個数Nnを特定する。売上実績の特定方法には、例えば、期間Tnを今回指定された保証期限に基づき特定される販売期間Tと一致させて、その間に販売された商品の個数Nnを特定する方法がある。また、それとは別に、商品の個数Nnを今回指定された保証個数Nと一致させて、N個を販売するのに要した期間Tnを特定する方法がある。次いで、指定された販売価格と異なる価格帯の同じ季節における販売実績を同様に特定する。包括ヘッジの場合、企業業績における以前の売上実績を例えば月毎に特定する。
【0091】
続くS1104では、S1103で取得した売上実績に基づき、売上を推定する。個別ヘッジの場合、売上推定は、指定された販売期間T内で販売できる個数について、例えば、指定された保証個数をNとした場合に、N、N/2、2N/3、3N/4、4N/5等の各販売確率といった具合に、分散として求めることができる。たとえば、N=10万個の販売を出品ユーザが希望する場合に、10万/2の5万個については10%、20万/3の6.6万個については10%、30万/4の7.5万個については50%、同様に、8万個、9万個、10万個についてそれぞれ10%といった形で、指定期間内に販売可能な確率を算出する。このとき、確率の合計は、5万個、6.6万個、7.5万個の合計(或いは、10個、9個、8個、7.5万の合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、個数の小さい順の確率の合計から特定される個数と、個数の大きい順の確率の合計から特定される個数とが異なる場合には、当該特定された個数の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0092】
包括ヘッジの場合、売上推定は、指定された保証期間T内における売上について、保証金額として指定された金額Mについて、M、M/2、2M/3、3M/4、4M/5等の各実現確率といった具合に、分散として求めることができる。たとえば、M=10万ドルの保証金額が希望されている場合に、10万/2の5万ドルについては10%、20万/3の6.6万ドルについては10%、30万/4の7.5万ドルについては50%、同様に、8万ドル、9万ドル、10万ドルについてはそれぞれ0%といった形で、保証期間内内に実現可能な売り上げの確率を算出する。このとき、確率の合計は、5万ドル、6.6万ドル、7.5万ドル(或いは、10万ドル、9万ドル、8万ドル、7.5万ドルの合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、金額の小さい順の確率の合計から特定される金額と、金額の大きい順の確率の合計から特定される金額とが異なる場合には、当該特定された金額の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0093】
次に、S1105では、S1103で特定した売上実績に基づき、保証可能な期間を推定する。個別ヘッジの場合、保証可能な期間の推定は、指定された保証個数について、例えば、保証期限までの期間(保証期間)をTとした場合に、保証期間T内の販売確率を求める。保証期間T内に指定個数を販売可能である(販売確率100%)場合、保証個数を全部販売するまでの販売期間について確率を求める。また保証期間T内に指定個数を販売できない場合にも、指定個数を全て売り切るために要する販売期間について確率を求める。
【0094】
例えば、リテール企業の過去の販売実績において、10万個を販売するのに要した期間が、150日が1回、155日が1回、160日が5回、165日が1回、170日が1回、175日が1回であった場合、保証期間Tが180日であるとすると、160日で10万個全てを販売できる確率は50%、残りの150日、155日、165日、170日、175日であれば10万個全てを販売できる確率はそれぞれ10%となる。このとき、確率の合計は、150日、155日、160日の合計(或いは、160日から175日の合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、期間の短い順の確率の合計から特定される期間と、期間の長い順の確率の合計から特定される期間とが異なる場合には、当該特定された期間の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0095】
また、例えば過去の販売実績において、10万個を販売するのに要した期間が、175日で1回、180日で1回、185日が5回、190日が1回、195日が1回、200日が1回であった場合、保証期間Tが180日であるとすると、185日で10万個全てを販売できる確率は50%、175日、180日、190日、195日、200日であれば10万個全てを販売できる確率はそれぞれ10%となる。このとき、確率の合計は、175日、180日、185日の合計(或いは、185日から200日の合計)で50%を超える(10+10+50=70>50)こととなる。なお、期間の短い順の確率の合計から特定される期間と、期間の長い順の確率の合計から特定される期間とが異なる場合には、当該特定された期間の平均値或いは中間値をとるようにしてもよい。
【0096】
次にS1106では、S1104及びS1105で求めた売上推定結果と、保証期間の推定結果に基づいて、保証期間T内に販売が可能な個数(予想販売個数)n、売上予測、保証期間を決定する。例えば、個別ヘッジの場合、S1104において、確率の合計が50%以上となる個数を個数nとする。上述の例の場合、7.5万個であれば確率の合計が50%以上となっているので、個数nを7.5万個とする。また、包括ヘッジの場合、S1104において、実確率の合計が50%以上となる金額を売上予測とする。上述の例の場合、7.5万ドルであれば確率の合計が50%を超えるので、売上予測を7.5万ドルとする。なお、これらの閾値の値は50%以外の任意の値としてもよい。
【0097】
その一方で、仮に保証期間T内に指定個数N個を100%販売可能である場合には、S1105で算出したN個を販売するまでの期間とTとの差分に基づき、指定期間T内に販売可能な最大個数を算出する。例えば、2T/3の期間でN個販売が可能な場合には、3N/2個を予測販売個数として算出する。このように本実施形態ではユーザが指定した個数よりも多い販売個数を予測結果として返すことも可能である。指定された保証金額分を保証期間T内に処理可能な場合も、同様に、保証金額を同様の方法で上方修正することができる。
【0098】
以上の図10の説明を踏まえてS705におけるレート保証条件決定のための処理について説明する。当該処理においては、S704における売上予測の結果に従い、レート保証における推奨個数或いは推奨売上と、レート保証する為替レート(為替保証レート)の金額を決定する。個別ヘッジの場合、図11のS1106で得られた予測販売個数を推奨個数とし、カバー取引はこの個数分の価格について行うことになる。また、包括ヘッジの場合、図11のS1106で得られた売上予測についてカバー取引を行うことになる。
【0099】
しかし、この予測販売個数や売上予測は、リテール業者が当初に指定した保証個数や保証金額との間で乖離が生ずる場合がある。上述の例では、個別ヘッジの場合、保証個数10万個に対して予測販売個数7.5万個となっている。また、包括ヘッジの場合、保証金額10万ドルに対し、売上予測は7.5万ドルとなっている。
【0100】
このような場合に、仮にリテール業者が推奨個数よりも多い個数や、売上予測よりも高い金額でのレート保証を希望する場合、推奨個数や売上予測を上回る分はカバー取引の対象外となるためカバー取引に対するリスクが生ずることとなる。このリスクは、リテール業者が希望する保証個数と、推奨個数との間の差、或いは、保証金額と売上予測との差に応じて変動する。例えば、保証個数と推奨個数とが一致する場合にはリスクが小さくなり、保証個数が推奨個数を大幅に上回る場合にはリスクが大きくなる。保証金額と売上予測の関係についても同様である。そこで、カバー取引のリスクの大きさに応じて、レート保証の金額を調整する。具体的には、カバーしていない部分の個数、商品単価、金額、発生確率等に基づき、リスク金額を算出し、為替保証レートに加算する。
【0101】
本実施形態においては、このリスクを表す係数をRn2、その他の取引手数料をMt2、登録時における為替レートをRc2とすると、為替保証レートをRg2はRg2=Rc2+Rn2+Mt2と表すことができる。このうち、Rn2、Mt2は、リテール業者の希望する個数や金額に応じて変動させることができる。
【0102】
本実施形態では、このようにして決定された推奨個数、推奨金額、為替保証レートを承認画面としてユーザ端末104に送信し、出品ユーザの承認を受ける。為替保証レートの承認画面は、図8Bに示す個別ヘッジ用の画面と、図9Bに示す包括ヘッジ用の画面とがある。
【0103】
図8Bは、個別ヘッジ用のレート保証の承認画面の一例を示す。承認画面810において、商品名801、為替レート803、仕入価格804、保証期限807については、図8Aの画面の内容を引き継いでいるので、ここでの説明は省略する。レート保証個数811とレート保証価格812は、サービスサーバ101側の処理により決定されたレート保証条件に関する情報の提示領域であり、レート保証個数811には、初期値として予想販売個数が表示される。また、レート保証価格812には、レート保証個数で算出された為替保証レートRg2が表示される。なお、為替保証レートRg2のうち、リスク係数Rn2、取引手数料Mt2の料金は、為替保証レートの表示において別途通知してもよい。
【0104】
リテール業者は、この承認画面810を確認し、表示された条件で承認するのであれば承認ボタン813を選択する。キャンセルボタン814が操作されると、取引はキャンセルとなる。
【0105】
リテール業者は承認画面810においてレート保証個数811の数値を変更することができる。個数が変更されると、それに伴ってレート保証価格812が変更後の個数に応じた値に変更される。数値の変更範囲は、レート保証個数の所定倍まで許容してもよいし、無制限としてもよい。いずれの場合であっても、変更後の個数に応じたレート保証価格812が表示される。レート保証個数811の変更に伴うレート保証価格812の値はサービスサーバ101から提供される。
【0106】
図9Bは包括ヘッジ用のレート保証の承認画面の一例を示す。承認画面910において、為替レート902、保証期間904については、図9Aの画面の内容を引き継いでいるので、ここでの説明は省略する。レート保証金額911とレート保証価格912は、サービスサーバ101側の処理により決定されたレート保証条件に関する情報の提示領域であり、レート保証金額911には、初期値として売上予測の金額が表示される。また、レート保証価格912には、当該売上予測について算出された為替保証レートRg2が表示される。なお、為替保証レートRg2のうち、リスク係数Rn2、取引手数料Mt2の料金は、為替保証レートの表示において別途通知してもよい。
【0107】
リテール業者は、この承認画面910を確認し、表示された条件で承認するのであれば承認ボタン913を選択する。キャンセルボタン914が操作されると、取引はキャンセルとなる。
【0108】
リテール業者は承認画面910においてレート保証金額911の数値を変更することができる。金額が変更されると、それに伴ってレート保証価格912が変更後の金額に応じた値に変更される。数値の変更範囲は、レート保証金額の所定倍まで許容してもよいし、一定の限界値を設けるようにしてもよい。いずれの場合であっても、変更後の金額に応じたレート保証価格912が表示される。レート保証金額911の変更に伴うレート保証価格912の値はサービスサーバ101から提供される。
【0109】
以上の実施形態2によれば、リテール業者は、商品ごとの取引について、或いは、商品を特定しない一定期間の取引について、為替レートの変動があった場合であっても、レート保証を適用する金額の範囲において、決済時の代金をレート保証を申請した時点の為替レートで換算した金額で支払うことが可能となる。これにより、リテール業者は為替の変動リスクを心配する必要がなくなり、より健全かつ安定的にビジネスを行うことが可能となる。
【0110】
[実施形態3]
上述の実施形態においては、レート保証を適用する期間において、商品の価格が変更されないことを前提としていた。しかし、価格の変更が許容されるのであれば、上記の実施形態において商品の価格を為替レート変動に伴って変化させることで、為替変動のリスクをヘッジできる。その一方で、BtoCビジネスにおいて短期的に商品価格が変動することを購入者側は望んでいない。但し、毎分・毎時間・毎日価格が頻繁に変動するのではなく、一定期間は価格が変動せず、例えば、1ヶ月に一度、或いは、3ヶ月に一度のように時間間隔をおいて価格が変わる事ならば受け入れられる可能性がある。
【0111】
そこで上記実施形態における保証期間については、価格変更の間隔が予め決められるのであれば、その感覚と一致させることができる。これにより、価格が変更されるまでの期間のみ為替変動リスクをヘッジすれば良いことになるので、期間を限定する分だけ受注予測(何が・いつ・どれだけ売れるか)を行い易く、より精度の高くレート保証を行うことができる。
【0112】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の情報処理装置、及び、コンピュータプログラムを少なくとも開示する。
【0113】
(1) 電子商取引(EC)サイトに商品を出品する出品ユーザのユーザ端末と、前記ECサイトを運営するECサーバを介して通信する情報処理装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記出品ユーザが出品しようとする第1の商品に関する商品情報であって、前記第1の商品のカテゴリ、販売価格、販売個数、販売期間が少なくとも含まれる前記商品情報を取得することと、
前記出品ユーザが過去に出品した前記第1の商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品の第1の販売実績の情報を取得することと、
前記出品ユーザとは異なる他の出品ユーザが出品した前記カテゴリと同一のカテゴリの商品の第2の販売実績の情報を取得することと、
前記商品情報、前記第1の販売実績の情報、及び、前記第2の販売実績の情報から、前記出品ユーザが前記販売期間に販売可能な商品の第1の個数を推定することと、
前記第1の個数と前記販売価格とに基づく金額に相当する通貨の購入処理を実施することと、
を実行させ、
前記販売価格は通貨の第1の単位において示され、前記購入処理において購入される通貨の単位は、前記第1の単位とは異なる第2の単位である、情報処理装置。
【0114】
(2) 前記第1の販売実績と前記第2の販売実績とには、それぞれ、前記第1の商品の価格帯と同一の第1の価格帯における販売実績と、前記第1の商品の価格帯とは異なる第2の価格帯における販売実績との少なくともいずれかが含まれる、(1)に記載の情報処理装置。
【0115】
(3) 前記第1の商品の個数を推定することは、
前記販売期間内に販売可能なそれぞれの個数の実現確率として第1の確率を推定することと、
前記販売期間内に販売可能な個数のうち、個数の小さい順、又は、個数の大きい順で前記第1の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる個数を前記第1の個数とすることとを含む、(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0116】
(4) 前記第1の個数を推定することにおいては、
前記出品ユーザの前記第1の販売実績の情報が存在する場合に、前記第1の販売実績の情報を前記第2の販売実績の情報に優先して、前記推定が行われ、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在しない場合に、前記第2の販売実績の情報に基づいて前記推定が行われる、(3)に記載の情報処理装置。
【0117】
(5) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記商品情報、前記第1の販売実績の情報、及び、前記第2の販売実績の情報から、前記出品ユーザが前記販売個数を販売可能な期間を推定することを更に実行させ、
前記販売可能な期間を推定することは、
複数の期間のそれぞれにおいて前記販売個数の全てが販売可能となる確率として第2の確率を推定することと、
前記複数の期間のうち、期間の短い順、又は、期間の長い順で前記第2の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる期間を前記販売可能な期間と推定することとを含む、(1)から(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0118】
(6) 前記販売可能な期間を推定することにおいては、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在する場合には、前記第1の販売実績の情報を前記第2の販売実績の情報に優先して、前記推定が行われ、
前記出品ユーザの第1の販売実績の情報が存在しない場合には、前記第2の販売実績の情報に基づいて前記推定が行われる、(5)に記載の情報処理装置。
【0119】
(7) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第1の個数と当該第1の個数に基づき決定された第1の為替レートとを含む、前記出品ユーザからの承認を受け付けるための画面情報を前記ユーザ端末に送信することと、
前記ユーザ端末から、前記第1の個数を第2の個数に変更する指示を受信した場合に、前記第1の為替レートを前記第2の個数に合わせて第2の為替レートに変更することと、
前記第2の為替レートに対する前記出品ユーザによる承認を受け付けることと
を更に実行させ、
前記第1の為替レート及び前記第2の為替レートは、前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の為替レートである、(1)から(6)に記載の情報処理装置。
【0120】
(8) 前記第2の為替レートは、前記第1の個数と前記第2の個数との差分に応じて設定される、(7)に記載の情報処理装置。
【0121】
(9) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記ECサーバから、前記第1の商品の販売完了通知を受信することと、
前記販売完了の通知を受信すると、その時点における前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の第3の為替レートと、承認された前記第2の為替レートとに基づき精算処理を実行することと、
を更に実行させ、
前記精算処理には、前記第3の為替レートと前記第2の為替レートに基づく前記販売価格の変動分の前記ECサイトの所定の口座に対する請求又は入金、前記販売価格の前記第3の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、(1)から(8)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0122】
(10) 電子商取引(EC)サイトを運営するECサーバを介し(1)から(7)のいずれか1つに記載の情報処理装置と通信する、前記ECサイトに商品を出品する出品ユーザのユーザ端末であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記出品ユーザが出品しようとする第1の商品に関する商品情報であって、前記第1の商品のカテゴリ、第1の単位の通貨で表される販売価格の情報の入力を受け付けること、
前記第1の単位とは異なる第2の単位の通貨の指定を受け付けることと、
前記第1の商品が販売された場合に、前記販売価格を前記第1の商品の登録時における前記第1の単位の通貨と前記第2の単位の通貨との間の為替レートで換算した支払いの保証を受けるかどうかの選択を受け付けることと、
前記支払いの保証を受けることが選択された場合に、前記第1の商品の販売個数、販売期間の情報の入力を更に受け付けることと、
前記入力を受け付けた情報を前記ECサーバを介して前記情報処理装置に通知することと、
を実行させる、ユーザ端末。
【0123】
(11) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記情報処理装置が送信した、前記販売期間内に販売可能な商品の個数の推定結果として第1の個数の通知を、前記ECサーバを介して受信することと、
前記通知に含まれる推定結果の承認を受け付けることと、
前記承認を前記ECサーバを介して前記情報処理装置に通知することと
を更に実行させる、(10)に記載のユーザ端末。
【0124】
(12) 前記推定結果の通知には、前記第1の個数に基づき決定された第1の為替レートが含まれ、
前記通知の内容は、前記ユーザ端末の表示画面に表示され、
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記第1の個数を第2の個数に変更する指示を受け付けることと、
前記第2の個数への変更に応じて、前記第2の個数に合わせて前記第1の為替レートから変更された第2の為替レートを前記表示画面に表示することと、
を更に実行させ、前記承認は、前記第2の為替レートに対して受け付けられる、(11)に記載のユーザ端末。
【0125】
(13) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記ユーザ端末に、
前記第1の商品が販売された場合に、前記販売価格を承認された前記第2の為替レートに換算した受取金額の通知を受信することと、
前記受取金額を表示部に表示することと
を更に実行させる、(10)から(12)のいずれか1つに記載のユーザ端末。
【0126】
(14) 仕入れ商品の販売を行うリテール業者のリテールサーバと通信する情報処理装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
前記メモリに格納されたプログラムと
を備え、前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
第1の期間における、商品の売上に関連する情報と、前記商品の仕入れに関わる為替レートの情報とを取得することと、
前記リテール業者の過去の売上実績の情報を取得することと、
前記商品の売上に関連する情報及び前記売上実績の情報から、前記リテール業者の前記第1の期間における売上実績を予測することと、
予測された前記売上実績に相当する通貨の購入処理を実施することと、
を実行させ、
前記為替レートは、第1の通貨の単位と第2の通貨の単位において表され、前記商品の仕入れは前記第1の通貨の単位において実行され、前記仕入れ商品の販売は前記第2の通貨の単位において実行され、前記通貨の購入処理は、前記第1の通貨の単位において実行される、情報処理装置。
【0127】
(15) 前記商品の売上に関連する情報には、前記仕入れ商品のカテゴリ、仕入れ価格、仕入れ個数が少なくとも含まれ、
前記リテール業者の過去の売上実績の情報には、前記仕入れ商品のカテゴリと同一のカテゴリの商品に関する過去の売上実績の情報が少なくとも含まれ、
前記第1の期間における売上実績を予測することは、前記第1の期間における、前記仕入れ価格において仕入れ可能な前記仕入れ商品の第3の個数を予測することを含む、(14)に記載の情報処理装置。
【0128】
(16) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第3の個数と当該第3の個数に基づき決定された第4の為替レートを含む、前記リテール業者からの承認を受け付けるための画面情報を前記リテールサーバに送信することと、
前記リテールサーバから、前記第3の個数を第4の個数に変更する指示を受信した場合に、前記第4の為替レートを前記第4の個数に合わせて第5の為替レートに変更することと、
前記第5の為替レートに対する前記リテール業者による承認を受け付けることと
を更に実行させる、(15)に記載の情報処理装置。
【0129】
(17) 前記第5の為替レートは、前記第3の個数と前記第4の個数との差分に応じて設定される、(16)に記載の情報処理装置。
【0130】
(18) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記リテールサーバから、前記商品の取引に関わる通知を受信することと、
前記通知に含まれる取引金額に基づき、その時点における第6の為替レートと、前記第5の為替レートとに基づく精算処理を実行することと、
を更に実行させ、
前記精算処理には、前記第6の為替レートと前記第5の為替レートに基づく前記取引金額の変動分の前記リテール業者の所定の口座に対する請求又は入金、前記取引金額の前記第5の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、(16)または(17)に記載の情報処理装置。
【0131】
(19) 前記仕入れ可能な前記仕入れ商品の前記第3の個数を予測することは、
前記第1の期間内に仕入れが可能な前記仕入れ商品のそれぞれの個数の実現確率として第3の確率を推定することと、
前記第1の期間内に仕入れが可能な個数のうち、個数の小さい順、又は、個数の大きい順で前記第3の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる個数を前記仕入れ可能な前記仕入れ商品の前記第3の個数として予測することとを含む、(15)から(18)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0132】
(20) 予測された前記売上実績は、第1の売上予測を含み、
前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記第1の売上予測に基づく第1の保証金額と、当該第1の売上予測に基づき決定された第7の為替レートを含む、前記リテール業者からの承認を受け付けるための画面情報を前記リテールサーバに送信することと、
前記リテールサーバから、前記第1の保証金額を第2の保証金額に変更する指示を受信した場合に、前記第7の為替レートを前記第2の保証金額に合わせて第8の為替レートに変更することと、
前記第8の為替レートに対する前記リテール業者による承認を受け付けることと
を更に実行させ、
前記購入処理は、前記第1の保証金額に相当する通貨について実施される、(14)に記載の情報処理装置。
【0133】
(21) 前記第8の為替レートは、前記第1の保証金額と前記第2の保証金額との差分に応じて設定される、(20)に記載の情報処理装置。
【0134】
(22) 前記商品の売上に関連する情報には、前記第1の期間における見込みの売上金額が少なくとも含まれ、
前記第1の期間における売上実績を予測することは、
前記第1の期間内の売上金額として、前記見込みの売上金額に基づくそれぞれの売上金額の実現確率として、第4の確率を推定することと、
前記第1の期間内の売上金額として、金額の小さい順、又は、金額の大きい順で前記第4の確率を合計した場合に、合計値が閾値を超えることになる売上金額を前記売上実績として予測することとを含む、(14)に記載の情報処理装置。
【0135】
(23) 前記プログラムが前記プロセッサにより実行されると、前記情報処理装置に、
前記リテールサーバから、前記商品の取引に関わる通知を受信することと、
前記通知に含まれる取引金額に基づき、その時点における第9の為替レートと、前記第8の為替レートとに基づく精算処理を実行することと、
を更に実行させ、前記精算処理には、前記第9の為替レートと前記第8の為替レートに基づく前記取引金額の変動分の前記リテール業者の所定の口座に対する請求又は入金、前記取引金額の前記第8の為替レートでの両替の少なくともいずれかが含まれる、(20)または(21)に記載の情報処理装置。
【0136】
(24) コンピュータを(1)から(9)、(14)から(23)のいずれか1つに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【0137】
(25) コンピュータを(10)から(13)のいずれか1つに記載のユーザ端末として機能させるためのプログラム。
【0138】
[他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。また本発明に係る情報処理装置は、1以上のコンピュータを該情報処理装置として機能させるコンピュータプログラムによっても実現可能である。該コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0139】
10:電子商取引システム、101:サービスサーバ、102:ECサーバ、103:リテールサーバ、104ユーザ端末、105:金商業者システム、106:ネットワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
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図8B
図9A
図9B
図10
図11