(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040856
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】開度検出装置、開度監視システム、開度監視装置、及び開度監視方法
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20240318BHJP
F16K 31/60 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F16K37/00 D
F16K37/00 F
F16K31/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145486
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】金澤 怜志
【テーマコード(参考)】
3H063
3H065
【Fターム(参考)】
3H063BB07
3H063BB42
3H063BB47
3H063DA02
3H063EE17
3H065BA01
3H065BA07
3H065BB11
3H065CA03
(57)【要約】
【課題】大がかりな工事を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができる開度検出装置等を提供する。
【解決手段】開度検出装置10は、手動バルブを開閉させるハンドルの回転を検出する検出素子D1,D2の検出結果が入力される入力部11と、入力部11に入力される検出素子D1,D2の検出結果と、ハンドルの回転量と手動バルブの開度との関係を示すレンジ情報RGとに基づいて、手動バルブの開度を求める演算部12と、演算部12で求められた手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信する無線通信部13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動バルブを開閉させるハンドルの回転を検出する検出素子の検出結果が入力される入力部と、
前記入力部に入力される前記検出素子の検出結果と、前記ハンドルの回転量と前記手動バルブの開度との関係を示す特性情報とに基づいて、前記手動バルブの開度を求める演算部と、
前記演算部で求められた前記手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信する無線通信部と、
を備える開度検出装置。
【請求項2】
前記検出素子は、前記ハンドルに近接配置された第1検出素子及び第2検出素子を備えており、
前記演算部は、前記第1検出素子及び前記第2検出素子の検出結果に基づいて、前記ハンドルの回転量と前記ハンドルの回転方向とを求める、
請求項1記載の開度検出装置。
【請求項3】
前記特性情報は、前記手動バルブを全閉状態から全開状態にするまで、又は前記手動バルブを全開状態から全閉状態にするまでに必要な前記ハンドルの回転量を示すレンジ情報を含む、請求項2記載の開度検出装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記ハンドルの回転量、前記ハンドルの回転方向、前記レンジ情報、及び前記ハンドルが前回操作された際の前記手動バルブの開度を示す前回開度情報を用いて前記手動バルブの開度を求める、請求項3記載の開度検出装置。
【請求項5】
前記検出素子は、前記ハンドルにおけるスポーク部の接近を非接触で検出する近接センサ、前記ハンドルに取り付けられた磁石の磁気を非接触で検出する磁気センサ、又は前記スポーク部を接触により検出する接触式センサである、請求項1記載の開度検出装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の開度検出装置と、
前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報に基づいて、前記手動バルブの開度を監視する開度監視装置と、
を備える開度監視システム。
【請求項7】
前記開度検出装置は、複数の前記手動バルブに対してそれぞれ設けられており、
前記開度監視装置は、前記開度検出装置の検出対象である前記手動バルブの操作順を示すシーケンス情報と、前記開度検出装置から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う、請求項6記載の開度監視システム。
【請求項8】
前記開度検出装置は、前記ハンドルを操作する作業者による特定の指示がなされた場合に、検出対象である前記手動バルブの識別情報を送信し、
前記開度監視装置は、前記開度検出装置から送信されてきた前記識別情報で識別される前記手動バルブが、操作されるべき前記手動バルブであるか否かを示す情報を、前記識別情報を送信した前記開度検出装置に送信する、
請求項7記載の開度監視システム。
【請求項9】
前記開度監視装置は、前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報で示される前記手動バルブの開度が適切でない場合には、前記開度情報を送信した前記開度検出装置に前記手動バルブの開度を再度検出させる、請求項8記載の開度監視システム。
【請求項10】
前記開度監視装置は、前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報で示される前記手動バルブの開度が適切であって、次に操作されるべき手動バルブが存在する場合には、次に操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う、請求項8記載の開度監視システム。
【請求項11】
手動バルブの操作順を示すシーケンス情報と、前記手動バルブの開度を検出する開度検出装置から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う操作順管理部を備える開度監視装置。
【請求項12】
開度検出装置が、手動バルブを開閉させるハンドルの回転を検出する検出素子の検出結果と、前記ハンドルの回転量と前記手動バルブの開度との関係を示す特性情報とに基づいて前記手動バルブの開度を求め、前記手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信し、
開度監視装置が、前記開度検出装置から送信されてくる前記開度情報に基づいて、前記手動バルブの開度を監視する、
開度監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開度検出装置、開度監視システム、開度監視装置、及び開度監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス流体を取り扱う産業(例えば、石油産業、化学産業、鉄鋼業等)では、様々な口径を有する多種多様なバルブが利用されている。このようなバルブは、例えば、プロセス流体の流量制御が必要となる箇所、プロセス流体の流路の封止又は開放が行われる箇所に設けられる。バルブには、人が操作することなく自動で開閉が制御されるもの(自動バルブ)と、人の操作によって開閉が行われるもの(手動バルブ)とがある。尚、全てのバルブが自動バルブとなれば人手を介さずにバルブの操作を行うことができるが、自動化するために要するコストも膨大となる。このため、プロセスや対象部位・装置の重要度等の観点から、自動バルブではなく手動バルブが設けられることも多い。
【0003】
以下の特許文献1には、従来の自動バルブの一例が開示されている。具体的には、バルブの弁体に連結された回転軸がモータによって回動され、回転軸の回転角がポテンショメータ等の位置センサによって検出され、その検出結果に基づいて回転軸の操作量が決定される自動バルブが開示されている。尚、この自動バルブでは、モータの回転を検出するセンサや、上記位置センサの故障を診断することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に開示された自動バルブでは、例えば、ポテンショメータ等の位置センサの検出結果を用いることにより、開度(開閉状態)の監視を行うことができる。しかしながら、上述した手動バルブには、ポテンショメータ等のセンサが設けられていないため、手動バルブの開度は、基本的に、作業員が手動バルブの設置場所に赴いて点検する必要があった。
【0006】
ここで、上述した特許文献1に開示されたポテンショメータ等のセンサを手動バルブの回転軸に取り付ければ、手動バルブの開度を検出することができるとも考えられる。しかしながら、手動バルブの回転軸や可動部位に位置センサを取り付けるには、大がかりな工事が必要になり、コスト高になることが考えられる。また、手動バルブは、様々な動作方式、口径を有し多種多様で、回転動作をするバルブであっても回転軸の回転量と開度との関係が一意に定まらない。このため、例えば、回転軸の回転量と開度との関係を一定とする特殊な機構を手動バルブ毎に設ける必要があり、これによってもコスト高になることが考えられる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、大がかりな工事を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができる開度検出装置、開度監視システム、開度監視装置、及び開度監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による開度検出装置(10)は、手動バルブ(V1)を開閉させるハンドル(HD)の回転を検出する検出素子(D1、D2)の検出結果が入力される入力部(11)と、前記入力部に入力される前記検出素子の検出結果と、前記ハンドルの回転量と前記手動バルブの開度との関係を示す特性情報とに基づいて、前記手動バルブの開度を求める演算部(12)と、前記演算部で求められた前記手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信する無線通信部(13)と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様による開度検出装置は、本発明の第1の態様による開度検出装置において、前記検出素子が、前記ハンドルに近接配置された第1検出素子(D1)及び第2検出素子(D2)を備えており、前記演算部が、前記第1検出素子及び前記第2検出素子の検出結果に基づいて、前記ハンドルの回転量と前記ハンドルの回転方向とを求める。
【0010】
本発明の第3の態様による開度検出装置は、本発明の第2の態様による開度検出装置において、前記特性情報が、前記手動バルブを全閉状態から全開状態にするまで、又は前記手動バルブを全開状態から全閉状態にするまでに必要な前記ハンドルの回転量を示すレンジ情報(RG)を含む。
【0011】
本発明の第4の態様による開度検出装置は、本発明の第3の態様による開度検出装置において、前記演算部が、前記ハンドルの回転量、前記ハンドルの回転方向、前記レンジ情報、及び前記ハンドルが前回操作された際の前記手動バルブの開度を示す前回開度情報(OP)を用いて前記手動バルブの開度を求める。
【0012】
本発明の第5の態様による開度検出装置は、本発明の第1から第4の何れかの態様による開度検出装置において、前記検出素子が、前記ハンドルにおけるスポーク部(SP)の接近を非接触で検出する近接センサ、前記ハンドルに取り付けられた磁石(MG)の磁気を非接触で検出する磁気センサ、又は前記スポーク部を接触により検出する接触式センサである。
【0013】
本発明の第1の態様による開度監視システム(1、2)は、本発明の第1から第5の何れかの態様による開度検出装置(10)と、前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報に基づいて、前記手動バルブの開度を監視する開度監視装置(40、40A)と、を備える。
【0014】
本発明の第2の態様による開度監視システムは、本発明の第1の態様による開度検出システムにおいて、前記開度検出装置が、複数の前記手動バルブに対してそれぞれ設けられており、前記開度監視装置が、前記開度検出装置の検出対象である前記手動バルブの操作順を示すシーケンス情報(SQ)と、前記開度検出装置から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う。
【0015】
本発明の第3の態様による開度監視システムは、本発明の第2の態様による開度検出システムにおいて、前記開度検出装置が、前記ハンドルを操作する作業者による特定の指示がなされた場合に、検出対象である前記手動バルブの識別情報(TG)を送信し、前記開度監視装置が、前記開度検出装置から送信されてきた前記識別情報で識別される前記手動バルブが、操作されるべき前記手動バルブであるか否かを示す情報を、前記識別情報を送信した前記開度検出装置に送信する。
【0016】
本発明の第4の態様による開度監視システムは、本発明の第2又は第3の態様による開度検出システムにおいて、前記開度監視装置が、前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報で示される前記手動バルブの開度が適切でない場合には、前記開度情報を送信した前記開度検出装置に前記手動バルブの開度を再度検出させる。
【0017】
本発明の第5の態様による開度監視システムは、本発明の第2から第4の何れかの態様による開度検出システムにおいて、前記開度監視装置が、前記開度検出装置から送信されてきた前記開度情報で示される前記手動バルブの開度が適切であって、次に操作されるべき手動バルブが存在する場合には、次に操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う。
【0018】
本発明の一態様による開度監視装置(40A)は、手動バルブ(V1)の操作順を示すシーケンス情報(SQ)と、前記手動バルブの開度を検出する開度検出装置(10)から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき前記手動バルブを検出対象とする前記開度検出装置に対して指示を行う操作順管理部(43)を備える。
【0019】
本発明の一態様による開度監視方法は、開度検出装置(10)が、手動バルブ(V1)を開閉させるハンドル(HD)の回転を検出する検出素子(D1、D2)の検出結果と、前記ハンドルの回転量と前記手動バルブの開度との関係を示す特性情報とに基づいて前記手動バルブの開度を求め、前記手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信し、開度監視装置(40、40A)が、前記開度検出装置から送信されてくる前記開度情報に基づいて、前記手動バルブの開度を監視する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大がかりな工事を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態による開度監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における検出素子及び押しボタンの配置例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による開度検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態による開度監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による開度検出装置の現場起点動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態による開度検出装置の第1上位起点動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態による開度検出装置の第2上位起点動作を示すフローチャートである。
【
図8】手動バルブのハンドルの回転を検出する他の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による開度検出装置、開度監視システム、開度監視装置、及び開度監視方法について詳細に説明する。以下では、まず、本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0023】
〔概要〕
本発明の実施形態は、大がかりな工事を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができるようにするものである。例えば、大がかりな工事を行うことなく、様々な口径を有するゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、その他の手動バルブの開度を監視することができるようにするものである。
【0024】
例えば、手動バルブの一種であるゲートバルブは、流路に対して垂直方向に進退可能に構成された弁体、弁体に連結された軸、軸と螺合するハンドルとを備えており、ハンドルが手動で操作されることによって開度が変更される。つまり、ゲートバルブでは、ハンドルが手動で回転操作されることにより、その回転動作が軸方向の動作に変換され、弁体が流路を閉鎖又は開放することにより開度が変更される。
【0025】
このようなゲートバルブには、ポテンショメータ等のセンサが設けられていないため、ゲートバルブの開度は、基本的に、作業員がゲートバルブの設置場所に赴いて点検されている。このため、点検に時間を要することによる作業工数の圧迫、人手によって行われることによる点検・記録ミス、悪天候時においても巡回点検しなければならない等のリスクが存在する。
【0026】
また、ゲートバルブにおいては、全閉点・全開点に近接スイッチ等を設置すれば、全閉、全開の自動監視を行うことができると考えられる。しかしながら、全閉及び全開の2状態の監視しかできず、中間開度の監視ができない。また、ゲートバルブ毎に、近接スイッチを固定する専用の固定金具が必要になるが、上下動する軸の検出には回転するハンドルをまたぐ形で近接スイッチを設置する必要があり、固定金具が大型化する。これにより、固定金具のコスト及び作業コストを考慮するとコスト高になることが考えられる。
【0027】
本発明の実施形態による開度検出装置は、手動バルブを開閉させるハンドルの回転を検出する検出素子の検出結果と、ハンドルの回転量と手動バルブの開度との関係を示す特性情報とに基づいて手動バルブの開度を求める。そして、求められた手動バルブの開度を示す開度情報を無線信号で送信する。これにより、大型の固定金具並びに大がかりな工事を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができる。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による開度監視システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態の開度監視システム1は、開度検出装置10、無線アクセスポイント20、無線ゲートウェイ30、及び開度監視装置40を備える。このような開度監視システム1は、開度検出装置10が手動バルブ(図示省略)の開度を検出し、開度検出装置10が検出した開度を示す開度情報を、無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を介して開度監視装置40に送信するものである。手動バルブの開度を示す開度情報が、開度検出装置10から開度監視装置40に無線信号で送信されるため、開度監視装置40は、手動バルブの開度を遠隔から監視することができる。
【0029】
ここで、開度検出装置10による開度の検出対象となる手動バルブは、例えば、ゲートバルブ、グローブバルブ、ギア式のボールバルブ・バタフライバルブ等である。尚、本実施形態では、理解を容易にするために、開度検出装置10による開度の検出対象となる手動バルブがゲートバルブであるとする。尚、ゲートバルブは、ハンドルが手動で多数回回転操作されることにより、その回転動作が軸方向の動作に変換され、弁体が流路を閉鎖又は開放することにより開度が変更されるバルブである。
【0030】
開度検出装置10は、入力部11、演算部12、無線通信部13、アンテナ14、表示部15、及び電源部16を備える。このような開度検出装置10は、検出対象である手動バルブ(ゲートバルブ)の開度を検出し、その開度を示す開度情報を開度監視装置40に向けて送信する。尚、手動バルブが複数設けられている場合には、例えば、開度を検出する必要のある手動バルブの各々に対して開度検出装置10が設けられる。
【0031】
入力部11には、検出素子D1(第1検出素子)、検出素子D2(第2検出素子)、及び押しボタンB1が接続され、検出素子D1,D2の検出結果及び押しボタンB1の操作内容が入力される。入力部11は、入力された検出素子D1,D2の検出結果及び押しボタンB1の操作内容を演算部12に出力する。検出素子D1,D2は、手動バルブに設けられたハンドル(手動バルブを開閉させるハンドル)の回転を検出する素子であり、例えば、物体の接近を非接触で検出する近接センサである。ハンドルの回転量及び回転方向を求めるために2つの検出素子D1,D2が設けられる。押しボタンB1は、開度検出装置10を起動させて(スタンバイモード(低消費電力モード)を解除させて)、手動バルブの開度の検出を行わせるためのボタンであり、例えば、手動バルブのハンドルを操作する作業者によって操作される。
【0032】
図2は、本発明の第1実施形態における検出素子及び押しボタンの配置例を示す図である。尚、
図2(a)は、手動バルブV1に設けられたハンドルHDを斜め方向から見た図であり、
図2(b)は、手動バルブV1に設けられたハンドルHDを軸AXの方向から見た図である。
図2に示す通り、ハンドルHDは、円環形状のハンドル部HPと、ハンドル部HPの内周部に設けられた複数のスポーク部SPとを備える。尚、複数のスポーク部SPの間は空隙部APとされている。複数のスポーク部SPが集合している部分(ハブ)の中央部には、穴部Hが形成されており、その穴部Hには手動バルブV1の軸AXが挿通されている。ハブの中央部に形成された穴部Hの内周面及び軸AXの外周面にはネジ溝が形成されており、ハンドルHDと軸AXとは螺合している。
【0033】
図2(a)に示す通り、軸AXの一端部はハンドルHDの上方(符号d22が付された方向)に突出しており、軸AXの他端部は手動バルブV1の本体部BD内において手動バルブV1の弁体(図示省略)に連結されている。ハンドルHDを符号d11が付された方向に回転させると、符号d21が付された方向に軸AXが移動し、これにより流路が閉鎖される。これに対し、ハンドルHDを符号d12が付された方向に回転させると、符号d22が付された方向に軸AXが移動し、これにより流路が開放される。
【0034】
検出素子D1,D2は、
図2(a)に示す通り、ハンドルHDの下方に配置され、ハンドルHDが回転した場合に、複数のスポーク部SPが順次接近する位置に固定されている。これは、スポーク部SPの接近を非接触で検出することによって、ハンドルHDの回転を検出するためである。また、検出素子D1,D2は、
図2(b)に示す通り、例えば、ハンドルHDの径方向の位置を同じにした状態で、ハンドルHDの周方向に配列される。これは、ハンドルHDの回転方向を求められるようにするためである。尚、検出素子D1,D2は、ハンドルHDの径方向については、ハンドルHDが回転した場合に複数のスポーク部SPが順次接近する位置であれば、異なる位置に配置されていてもよい。
【0035】
押しボタンB1は、例えば、
図2(a)に示す通り、検出素子D1,D2の近傍に配置される。但し、押しボタンB1は、必ずしも検出素子D1,D2の近傍に配置する必要はなく、接続されている開度検出装置10の検出対象である手動バルブV1の近くに配置されていれば良い。尚、検出素子D1,D2の近傍に押しボタンB1を配置するようにすれば、検出素子D1,D2を固定するための取り付け金具に押しボタンB1を取り付けることができることから取り付け金具の数を減らすことができる。
【0036】
演算部12は、入力部11に入力される検出素子D1,D2の検出結果と、手動バルブV1におけるハンドルHDの回転量と開度との関係を示す特性情報とに基づいて、手動バルブV1の開度を求める。ここで、演算部12は、タグ番号TG(識別情報)、レンジ情報RG、及び開度情報OP(前回開度情報)を記憶する。タグ番号TGは、検出対象である手動バルブV1の識別情報である。レンジ情報RGは、手動バルブV1を全閉状態から全開状態にするまで、又は手動バルブV1を全開状態から全閉状態にするまでに必要なハンドルHDの回転量を示す情報であり、上記の特性情報に含まれる情報である。開度情報OPは、ハンドルHDが前回操作された際の手動バルブV1の開度を示す情報である。
【0037】
タグ番号TGは、例えば、手動バルブV1に付随して設けられる二次元コードに記録されており、或いは、手動バルブV1に付随して設けられるプレートに記載されている。作業者が、二次元コードに記録されたタグ番号TG、又は、プレートに記載されたタグ番号TGを読み取って開度検出装置10に入力することで演算部12に記憶される。尚、二次元コードに記録されたタグ番号TGは、例えば、作業者が携帯するスマートフォン又はタブレット等を用いて読み取ることができ、プレートに記載されたタグ番号TGは、例えば、作業者が目視により読み取ることができる。或いは、開度検出装置10に事前に記憶させておくことができる。レンジ情報RGは、例えば、作業者が、手動バルブV1のメーカーから提供される手動バルブV1の仕様を示す仕様情報に基づいて開度検出装置10に入力することで演算部12に記憶される。開度情報OPは、演算部12が手動バルブV1の開度を求める度に自動的に記憶する。
【0038】
演算部12は、検出素子D1,D2の検出結果に基づいて、ハンドルHDの回転量とハンドルHDの回転方向とを求める。具体的に、演算部12は、検出素子D1(又は、検出素子D2)がハンドルHDのスポーク部SPの接近を検出した回数をnとし、ハンドルHDのスポーク部SPの数をkとすると、(360°/k)×nなる演算を行って、ハンドルHDの回転量を求める。尚、演算部12は、ハンドルHDの回転角又は回転数を求めてもよい。
【0039】
また、演算部12は、押しボタンB1が押されて起動した後に、検出素子D1,D2のうちの何れが最初にハンドルHDのスポーク部SPの接近を検出したか、に基づいてハンドルHDの回転方向を求める。例えば、検出素子D1,D2が、
図2(b)に示す位置関係である場合を考える。この場合において、検出素子D1が最初にスポーク部SPの接近を検出した場合には、演算部12は、時計回りの方向をハンドルHDの回転方向として求める。これに対し、検出素子D2が最初にスポーク部SPの接近を検出した場合には、演算部12は、反時計回りの方向をハンドルHDの回転方向として求める。
【0040】
演算部12は、検出素子D1,D2の検出結果に基づいて求めたハンドルHDの回転量及びハンドルHDの回転方向と、演算部12に記憶されているレンジ情報RG及び開度情報OPとを用いて手動バルブV1の開度を求める。演算部12は、手動バルブV1の開度を求めた場合には、記憶している開度情報OPを新たに求めた開度を示す開度情報で上書きすることで開度情報OPを更新する。
【0041】
無線通信部13は、演算部12の制御の下で、例えば、ISA100.11a、WirelessHART(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等に準拠した無線通信を行う。無線通信部13は、例えば、低消費電力長距離無線通信が可能な通信路(LPWAN:Low Power Wide Area Network)を介した無線通信を行ってもよい。上記の低消費電力長距離無線通信は、例えば、LoRa(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信である。或いは、無線通信部13は、3G方式、4G方式、5G方式、LTE(登録商標)方式等の移動体通信方式のネットワークを介した無線通信を行ってもよい。無線通信部13は、演算部12が手動バルブV1の開度を求めた場合には、演算部12の制御の下で、手動バルブV1の開度を示す開度情報を無線信号で送信する。尚、無線通信部13は、開度検出装置10宛ての情報(例えば、表示部15に表示させる情報)が送信されてきた場合には、その情報を受信して演算部12に出力する。
【0042】
アンテナ14は、無線信号の送受信を行う。例えば、アンテナ14は、無線通信部13から出力される信号を無線信号にして無線アクセスポイント20に向けて送信し、無線アクセスポイント20から送信されてくる無線信号を受信して、無線通信部13に出力する。尚、アンテナ14は、線状アンテナ(例えば、スリーブアンテナ、ホイップアンテナ等)であってもよく、平面アンテナ(例えば、パッチアンテナ)であってもよい。
【0043】
表示部15は、例えば、液晶表示装置等の表示装置を備えており、演算部12の制御の下で各種情報を表示する。例えば、表示部15は演算部12で求められた手動バルブV1の開度を示す開度情報を表示し、或いは、開度監視装置40から送信されてくる各種情報を表示する。
【0044】
電源部16は、開度検出装置10の動作に必要となる電力を開度検出装置10の各部に供給する。電源部16は、例えば、電池(例えば、塩化チオニルリチウム電池等の自己放電が極めて少ない一次電池や二次電池)を備えており、電池から得られる電力を開度検出装置10の各部に供給する。尚、電源部16は、電池に代えて、燃料電池、キャパシタ、或いは環境発電(所謂、太陽電池等のエナジーハーベスト)を行う発電回路等を備えていてもよい。
【0045】
ここで、開度検出装置10は、電源部16の電力消費を抑えるために、手動バルブV1の開度を検出しない場合には、スタンバイモード(低消費電力モード)に移行する。具体的に、開度検出装置10がスタンバイモードに移行すると、電源部16から演算部12、無線通信部13、及び表示部15の少なくとも何れかに対する電力の供給が停止又は制限される。尚、スタンバイモードは、例えば、押しボタンB1が操作されることによって、或いは、開度監視装置40からの指示に基づいて解除される。
【0046】
無線アクセスポイント20は、開度検出装置10が無線通信を行う通信路又はネットワークと、無線ゲートウェイ30とを接続する。無線アクセスポイント20は、開度検出装置10から送信されてきた無線信号を受信して無線ゲートウェイ30に出力し、無線ゲートウェイ30から出力される信号を無線信号にして開度検出装置10に送信する。無線ゲートウェイ30は、無線アクセスポイント20と開度監視装置40とを接続し、無線アクセスポイント20と開度監視装置40との間で送受信される各種データの中継を行う。
【0047】
開度監視装置40は、開度検出装置10の検出対象である手動バルブV1の開度を監視する。具体的に開度監視装置40は、開度検出装置10から無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を介して送信されてきた手動バルブV1の開度を示す開度情報に基づいて、手動バルブV1の開度を遠隔から監視する。開度監視装置40は、例えば、手動バルブV1が設けられたプラントにおける監視室等に設けられる。
【0048】
開度監視装置40は、通信部41及び開度監視部42を備える。通信部41は、開度検出装置10から無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を介して送信されてきた情報(例えば、手動バルブV1の開度を示す開度情報)を受信する。また、通信部41は、開度検出装置10に送信する情報(例えば、開度検出装置10の表示部15に表示させる情報)を無線ゲートウェイ30に出力する。開度監視部42は、通信部41で受信された開度情報に基づいて、手動バルブV1の開度を監視する。
【0049】
図3は、本発明の第1実施形態による開度検出装置の動作を示すフローチャートである。尚、
図3に示すフローチャートの処理は、例えば、作業者が、開度検出装置10に接続された押しボタンB1を操作することによって開始される。作業者が押しボタンB1を操作すると、その操作内容を示す情報が入力部11を介して演算部12に入力され、開度検出装置10においてスタンバイモードを解除する処理が行われる(ステップS10)。具体的には、電源部16から演算部12、無線通信部13、及び表示部15に対し、停止又は制限されていた電力の供給が行われる。
【0050】
スタンバイモードが解除されると、まず、手動バルブV1に設けられたハンドルHDの回転検出が演算部12で行われる(ステップS11)。具体的には、入力部11を介して入力される検出素子D1,D2の検出結果に基づいて、演算部12がハンドルHDの回転量と回転方向とを求める。例えば、演算部12は、検出素子D1で検出されたスポーク部SPの接近回数nと、ハンドルHDのスポーク部SPの数kとを用い、(360°/k)×nなる演算を行ってハンドルHDの回転量を求める。また、演算部12は、スポーク部SPの接近が、最初に検出素子D1で検出された場合には、時計回りの方向をハンドルHDの回転方向として求め、最初に検出素子D2で検出された場合には、反時計回りの方向をハンドルHDの回転方向として求める。
【0051】
次に、手動バルブV1の開度を算出する処理が演算部12で行われる(ステップS12)。具体的には、ステップS11で求められたハンドルHDの回転量及びハンドルHDの回転方向と、演算部12に記憶されているレンジ情報RG及び開度情報OPとを用いて、手動バルブV1の開度を求める処理が演算部12で行われる。例えば、ハンドルHDの回転方向が反時計回り(バルブを閉じる方向)である場合には、演算部12は、開度情報OPで示される開度から、ハンドルHDの回転量をレンジ情報RGで示される値で除算して得られる値を減算する演算を行って手動バルブV1の開度を求める。これに対し、ハンドルHDの回転方向が時計回り(バルブを開く方向)である場合には、演算部12は、開度情報OPで示される開度に対し、ハンドルHDの回転量をレンジ情報RGで示される値で除算して得られる値を加算する演算を行って手動バルブV1の開度を求める。
【0052】
次いで、開度情報OPを更新する処理が演算部12で行われる(ステップS13)。具体的には、記憶している開度情報OPを、新たに求めた開度を示す開度情報で上書きする処理が演算部12で行われる。尚、上書き処理によって、次回のハンドル操作に基づいてステップS10以降の処理が行われた場合、ステップS12では、上書きされた開度情報が前回開度情報として用いられる。続いて、手動バルブV1の開度を示す開度情報を送信する処理が無線通信部13で行われる(ステップS14)。具体的には、手動バルブV1の開度を示す開度情報が演算部12から無線通信部13に出力され、その開度情報が無線通信部13からアンテナ14を介して無線信号として送信される。そして、無線信号が送信されると、開度検出装置10はスタンバイモードに移行する(ステップS15)。これにより、電源部16から演算部12、無線通信部13、及び表示部15に対する電力の供給が停止又は制限される。
【0053】
開度検出装置10から送信された無線信号は無線アクセスポイント20で受信され、無線アクセスポイント20からは開度情報が出力される。無線アクセスポイント20から出力された開度情報は、無線アクセスポイント20を介して開度監視装置40の通信部41で受信され、開度監視部42に入力される。開度監視部42は、入力された開度情報を参照することで、開度検出装置10の検出対象である手動バルブV1の開度を監視することができる。
【0054】
尚、開度検出装置10は、演算部12で求められた開度情報を開度監視装置40に送信する場合には、タグ番号TGを併せて送信するようにしてもよい。演算部12で求められた開度情報とともにタグ番号TGを送信することで、開度監視装置40は、送信されてきた開度情報が、どの手動バルブの開度情報であるのかを容易に判別することができる。
【0055】
以上の通り、本実施形態では、まず、手動バルブV1に設けられたハンドルHDの回転を、検出素子D1,D2を用いて非接触で検出している。次に、検出素子D1,D2の検出結果と、ハンドルHDの回転量と手動バルブV1の開度との関係を示す特性情報としてのレンジ情報RGとに基づいて、手動バルブV1の開度を求めている。そして、求められた手動バルブV1の開度を示す開度情報を無線信号で送信するようにしている。これにより、大規模な固定金具を必要とせずに、様々な手動バルブの開度を監視することができる。
【0056】
ここで、検出素子D1,D2は、ハンドルHDのスポーク部SPの接近を非接触で検出することによって、ハンドルHDの回転を検出するものであるから、大がかりな工事を必要とせずに低コストで検出素子D1,D2を設置することができる。また、手動バルブV1の開度を示す開度情報は無線信号で送信されるため、開度情報を送信するための配線の敷設が必要なく、配線の敷設に要するコストを削減することができる。
【0057】
また、開度検出装置10は、押しボタンB1が操作された場合にはスタンバイモードが解除されて手動バルブV1の開度を検出するが、手動バルブV1の開度を検出しない場合にはスタンバイモードに移行する。よって、手動バルブV1の開度を検出しない場合における開度検出装置10の消費電力を抑えることができる。
【0058】
また、開度検出装置10は、ハンドルHDの回転量と手動バルブV1の開度との関係を示す特性情報としてのレンジ情報RGを用いて手動バルブV1の開度を求めていることから、手動バルブの口径、メーカー、モデルに拘わらず開度を求めることができる。また、開度検出装置10は、手動バルブV1の開度を示す開度情報を無線信号によって送信しており、ケーブル等が不要であることから、既設の手動バルブに対しても容易に適用可能である。
【0059】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態による開度監視システムの全体構成を示すブロック図である。
図4に示す通り、本実施形態の開度監視システム2は、
図1に示す開度監視システム1が備える開度監視装置40を開度監視装置40Aに替えた構成である。このような開度監視システム2は、開度監視装置40Aが開度検出装置10と連携して手動バルブの操作順を確認することで、誤った手動バルブの操作を防止するようにしたものである。
【0060】
本実施形態の開度監視システム2は、複数の手動バルブを規定の順番で操作する必要がある場合等に適用して好適なものである。例えば、流量計の上流側及び下流側に取り付けられたブロックバルブ、ブロックバルブが設けられた区間をバイパスするバイパス流路に取り付けられたバイパスバルブ、上記区間内に設けられたドレインバルブを規定の順番で操作する場合等である。この例において、流量計の交換を行う場合には、最初に、バイパスバルブを開状態にしてバイパス流量を開放し、次に、ブロックバルブを閉状態にして流量計の流路を閉鎖し、次いで、ドレインバルブを開状態にして流量計の流路に残留した液体を抜く必要がある。
【0061】
開度監視装置40Aは、
図1に示す開度監視装置40の開度監視部42を操作順管理部43に替えた構成である。操作順管理部43は、手動バルブの操作順を示すシーケンス情報SQと、開度検出装置10から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき手動バルブを検出対象とする開度検出装置10に対して指示を行う。ここでシーケンス情報SQは、例えば、手動バルブの操作順に、手動バルブのタグ番号、手動バルブに設けられたハンドルHDの回転量、及び手動バルブの開度が適切であるか否か、即ち適切な開度の範囲内であるか否かを判断する閾値等が対応付けられた情報である。
【0062】
具体的に、操作順管理部43は、開度検出装置10からタグ番号が送信されてきた場合に、そのタグ番号で特定される手動バルブが、操作されるべき手動バルブであるか否かを、シーケンス情報SQを用いて確認する。そして、操作順管理部43は、その確認結果に応じた情報(タグ番号で特定される手動バルブが、操作されるべき手動バルブであるか否かを示す情報)を、タグ番号を送信した開度検出装置10に送信する。
【0063】
操作順管理部43は、開度検出装置10から開度情報が送信されてきた場合に、その開度情報で示される手動バルブの開度が適切か否かを、シーケンス情報SQに含まれる閾値を用いて判断する。操作順管理部43は、開度が適切でないと判断した場合には、開度情報を送信した開度検出装置10に手動バルブの開度を再度検出させる指示を行う。一方、操作順管理部43は、開度が適切であると判断した場合には、次に操作されるべき手動バルブが存在するか否かを、シーケンス情報SQを用いて判断する。そして、操作順管理部43は、次に操作されるべき手動バルブが存在する場合には、次に操作されるべき手動バルブを検出対象とする開度検出装置10に対して指示を行う。
【0064】
次に、上記構成における開度監視システム2の動作について説明する。開度監視システム2の動作は、作業者の指示が起点となる動作(以下、「現場起点動作」という)と、開度監視装置40Aの指示が起点となる動作(以下、「上位起点動作」という)とに大別される。また、上位起点動作は、開度監視装置40Aが、操作の対象となる手動バルブに対して順次指示する動作(以下、「第1上位起点動作」という)と、操作の対象となる全ての手動バルブに対して一括指示する動作(以下、「第2上位起点動作」という)とに分けられる。以下、現場起点動作、第1上位起点動作、及び第2上位起点動作について順次説明する。
【0065】
〈現場起点動作〉
図5は、本発明の第2実施形態による開度検出装置の現場起点動作を示すフローチャートである。尚、
図5に示すフローチャートの処理は、例えば、作業者が、操作の対象となる手動バルブの何れかに設けられた開度検出装置10に接続された押しボタンB1を操作することによって開始される。作業者が押しボタンB1を操作すると、その押しボタンB1が接続された開度検出装置10においてスタンバイモードを解除する処理が行われる(ステップS20)。
【0066】
スタンバイモードが解除されると、まず、その開度検出装置10において、演算部12に記憶されたタグ番号TGを送信する処理が行われる(ステップS21)。具体的には、演算部12に記憶されたタグ番号TGが無線通信部13に出力され、そのタグ番号TGが無線通信部13からアンテナ14を介して無線信号として送信される。開度検出装置10から送信されたタグ番号TGは、無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を順次介して、開度監視装置40Aで受信される。
【0067】
次に、開度監視装置40Aにおいて、シーケンス情報SQと受信したタグ番号TGとに基づいて、操作順を確認する処理が行われる(ステップS30)。例えば、受信したタグ番号TGが、シーケンス情報SQにおける手動バルブの操作順の最初(先頭)に登録されているかを確認する処理が、開度監視装置40Aの操作順管理部43で行われる。そして、操作順管理部43の確認結果に応じた指示を開度検出装置10(タグ番号TGを送信した開度検出装置10)に送信する処理が開度監視装置40Aの通信部41で行われる(ステップS31)。
【0068】
開度監視装置40Aから送信された指示は、無線ゲートウェイ30及び無線アクセスポイント20を順次介して、開度検出装置10(タグ番号TGを送信した開度検出装置10)で受信される。尚、開度監視装置40Aから送信される指示は、操作順が合っている場合には、「次のステップへ進む」旨を示す指示であり、操作順が合っていない場合には、「次のステップへ進まない」旨を示す指示である。
【0069】
次いで、開度検出装置10において、開度監視装置40Aから送信されてきた指示を表示部15に表示させる処理が行われる(ステップS22)。これにより、例えば、表示部15には、「次のステップへ進む」なる表示、又は「次のステップへ進まない」なる表示が表示される。表示部15に「次のステップへ進む」なる表示がなされた場合には、作業者は、その開度検出装置10の検出対象である手動バルブを操作しても良い旨を把握する。これに対し、表示部15に「次のステップへ進まない」なる表示がなされた場合には、作業者は、その開度検出装置10の検出対象である手動バルブを操作してはいけない旨を把握する。
【0070】
続いて、開度監視装置40Aから送信されてきた指示が、「次のステップへ進む」旨を示す指示であるか否かを判断する処理が演算部12で行われる(ステップS23)。開度監視装置40Aから送信されてきた指示が、「次のステップへ進む」旨を示す指示である場合(ステップS23の判断結果が「YES」の場合)には、演算部12は、押しボタンB1が操作されたか否かを判断する(ステップS24)。尚、作業者は、表示部15に「次のステップへ進む」なる表示がなされた場合には、手動バルブを操作するために押しボタンB1を操作する一方で、表示部15に「次のステップへ進まない」なる表示がなされた場合には、押しボタンB1を操作しない。
【0071】
押しボタンB1が操作されていないと演算部12が判断した場合(ステップS24の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS24の処理が繰り返される。これに対し押しボタンB1が操作されたと演算部12が判断した場合(ステップS24の判断結果が「YES」である場合)には、開度検出装置10において、手動バルブの開度を検出し、その開度を示す開度情報を送信する処理が行われる(ステップS1)。尚、このステップS1の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS11~S14と同じ処理である。開度検出装置10から送信された開度情報は、無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を順次介して、開度監視装置40Aで受信される(ステップS32)。開度情報を送信する処理が終了すると、開度検出装置10では、スタンバイモードに移行する処理が行われる(ステップS25)。
【0072】
一方、開度監視装置40Aから送信されてきた指示が、「次のステップへ進まない」旨を示す指示である場合(ステップS23の判断結果が「NO」の場合)には、開度検出装置10では、スタンバイモードに移行する処理が行われる(ステップS25)。尚、開度検出装置10がスタンバイモードに移行すると、電源部16から演算部12、無線通信部13、及び表示部15に対する電力の供給が停止又は制限される。以上の処理にて、
図5に示す一連の処理が終了する。
【0073】
〈第1上位起点動作〉
図6は、本発明の第2実施形態による開度検出装置の第1上位起点動作を示すフローチャートである。尚、
図6に示すフローチャートの処理は、例えば、管理者が、開度監視装置40Aに対して、処理開始の指示を行うことによって開始される。尚、シーケンス情報SQに手動バルブの操作時刻を含め、シーケンス情報SQの操作時刻が到来したら、
図6に示すフローチャートの処理が自動的に開始されるようにしても良い。
【0074】
処理が開始されると、開度監視装置40Aにおいて、対象バルブを検出対象とする開度検出装置10に対して指示情報を送信する処理が行われる(ステップS40)。例えば、シーケンス情報SQにおける手動バルブの操作順の最初の行(先頭の行)が操作順管理部43によって読み出され、その最初の行におけるタグ番号とハンドルHDの操作量若しくは目標開度とが、上記の指示情報(特定の指示)として送信される。開度監視装置40Aから送信された指示情報は、無線ゲートウェイ30及び無線アクセスポイント20を順次介して、対象バルブ(例えば、最初に操作される手動バルブ)を検出対象とする開度検出装置10で受信される。
【0075】
開度監視装置40Aから送信された指示情報を受信すると、その開度検出装置10において、スタンバイモードを解除する処理が行われる(ステップS50)。スタンバイモードが解除されると、まず、開度監視装置40Aから送信されてきた指示情報を表示部15に表示させる処理が行われる(ステップS51)。これにより、表示部15には、手動バルブのハンドルHDの操作量又は目標開度が表示される。この表示内容を参照することで、作業者は、開度検出装置10の検出対象である手動バルブが操作の対象であること、及びその手動バルブの操作量を把握する。
【0076】
次に、押しボタンB1が操作されたか否かが演算部12によって判断される(ステップS52)。尚、作業者は、開度検出装置10の検出対象である手動バルブが操作の対象であることを把握した場合には、当該手動バルブを操作することを開度監視装置40に伝達するために押しボタンB1を操作する。押しボタンB1が操作されていないと演算部12が判断した場合(ステップS52の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS52の処理が繰り返される。
【0077】
これに対し押しボタンB1が操作されたと演算部12が判断した場合(ステップS52の判断結果が「YES」である場合)には、タグ番号TGや操作されたことを表す信号を送信する処理が行われる(ステップS53)。開度検出装置10から送信されたタグ番号TGや信号は、無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を順次介して、開度監視装置40Aで受信される。
【0078】
開度検出装置10から送信されたタグ番号TGや信号を受信すると、開度監視装置40Aにおいて、作業者によって操作される対象バルブを確認する処理が行われる(ステップS41)。具体的には、ステップS40で送信した対象情報に含まれるタグ番号と、ステップS53で開度検出装置10から送信されてきたタグ番号とが一致するか否かを判断する処理が行われる。そして、開度監視装置40Aにおいて、その確認結果を開度検出装置10に送信する処理が行われる(ステップS42)。
【0079】
尚、この確認結果は、ステップS53でタグ番号TGを送信した開度検出装置10の検出対象である手動バルブが、操作されるべき手動バルブであるか否かを示す情報ということができる。開度監視装置40Aから送信された確認結果は、無線ゲートウェイ30及び無線アクセスポイント20を順次介して、タグ番号TGを送信した開度検出装置10で受信される。
【0080】
開度監視装置40Aから送信された確認結果を受信すると、その開度検出装置10において、対象バルブであるか否かを判断する処理が行われる(ステップS54)。具体的には、開度監視装置40Aから送信された確認結果が対象バルブである旨を示すもの(ステップS40で送信された対処情報に含まれるタグ番号と、ステップS53で送信されたタグ番号とが一致する旨を示すもの)であるか否かを判断する処理が行われる。
【0081】
対象バルブであると演算部12が判断した場合(ステップS54の判断結果が「YES」である場合)には、開度検出装置10において、手動バルブの開度を検出し、その開度を示す開度情報を送信する処理が行われる(ステップS1)。尚、ステップS1の間は、表示部15にて、操作中のバルブの開度情報をリアルタイムで表示してもよい。開度検出装置10から送信された開度情報は、無線アクセスポイント20及び無線ゲートウェイ30を順次介して、開度監視装置40Aで受信される。
【0082】
一方、対象バルブでないと演算部12が判断した場合(ステップS54の判断結果が「NO」である場合)には、開度検出装置10では、表示部15にて操作対象装置ではないことを表示して、作業者に操作対象ではないことを伝えスタンバイモードに移行する処理が行われる(ステップS55)。尚、開度検出装置10がスタンバイモードに移行すると、電源部16から演算部12、無線通信部13、及び表示部15に対する電力の供給が停止又は制限される。
【0083】
開度検出装置10から送信されてきた開度情報を開度監視装置40Aが受信した場合には、その開度情報で示される開度が適切であるか否かが操作順管理部43で判断される(ステップS43)。例えば、開度検出装置10から送信されてきた開度情報で示される開度が、シーケンス情報SQにおける手動バルブの操作順の最初の行(先頭の行)における閾値で規定される範囲に収まっているか否かが操作順管理部43で判断される。
【0084】
開度検出装置10から送信されてきた開度情報が適切ではないと操作順管理部43が判断した場合(ステップS43の判断結果が「NO」の場合)には、開度監視装置40Aから、開度情報を送信した開度検出装置10に対して、手動バルブの開度を再度検出する旨を示す再検出指示が送信される(ステップS44)。この視検出指示を受信した開度検出装置10では、ステップS1の処理が再度行われる。
【0085】
これに対し、開度検出装置10から送信されてきた開度情報が適切であると操作順管理部43が判断した場合(ステップS43の判断結果が「YES」の場合)には、開度監視装置40Aにおいて、他の対象バルブの有無が判断される(ステップS45)。他の対象バルブが有ると判断された場合(ステップS45の判断結果が「YES」の場合)には、処理がステップS40に戻り、次の対象バルブに対して指示情報を送信する処理が行われる。例えば、シーケンス情報SQにおける手動バルブの操作順の2番目の行が操作順管理部43によって読み出され、その2番目の行におけるタグ番号とハンドルHDの操作量又は目標開度とが、上記の指示情報として送信される。これに対し、他の対象バルブが無いと判断された場合(ステップS45の判断結果が「NO」の場合)には、
図6に示す一連の処理が終了する。
【0086】
〈第2上位起点動作〉
図7は、本発明の第2実施形態による開度検出装置の第2上位起点動作を示すフローチャートである。尚、
図7に示すフローチャートの処理は、例えば、
図6に示すフローチャート同容に、管理者が、開度監視装置40Aに対して、処理開始の指示を行うことによって開始される。尚、
図7においては、
図6に示すステップと同様のステップについては同一の符号を付してある。
【0087】
処理が開始されると、開度監視装置40Aにおいて、全ての対象バルブに対して指示情報を送信する処理が行われる(ステップS60)。具体的には、シーケンス情報SQから、全ての対象バルブについての情報(操作順、タグ番号、ハンドルHDの操作量又は目標開度、及び閾値等)が操作順管理部43によって読み出され、全ての操作バルブについてのタグ番号とハンドルHDの操作量又は目標開度と各バルブの操作の順番が、上記の指示情報として送信される。開度監視装置40Aから送信された指示情報は、無線ゲートウェイ30及び無線アクセスポイント20を順次介して、対象バルブを検出対象とする開度検出装置10の全てで受信される。
【0088】
開度監視装置40Aから送信された指示情報を受信すると、開度検出装置10の全てにおいて、スタンバイモードを解除する処理が行われる(ステップS50)。スタンバイモードが解除されると、まず、開度監視装置40Aから送信されてきた指示情報を表示部15に表示させる処理が行われる(ステップS51)。これにより、表示部15には、手動バルブのハンドルHDの操作量又は目標開度が表示される。この表示内容を参照することで、作業者は、開度検出装置10の検出対象である手動バルブが操作の対象であること、及びその手動バルブの操作量と各バルブの操作の順番を把握する。
【0089】
尚、
図7に示すステップS50,S51の処理(ステップS2の処理)は、対象バルブを検出対象とする開度検出装置10の全てで同時(或いは、ほぼ同時)に行われる。これに対し、
図7に示すステップS1を含むステップS52~S55の処理(ステップS3の処理)は、対象バルブを検出対象とする開度検出装置10で順次(シーケンス情報SQで規定されている操作順で順次)行われる。
【0090】
例えば、最初に操作されるべき対象バルブを検出対象とする開度検出装置10において、押しボタンB1が操作されたか否かが判断される(ステップS52)。押しボタンB1が操作されていないと演算部12が判断した場合(ステップS52の判断結果が「NO」である場合)には、ステップS52の処理が繰り返される。これに対し押しボタンB1が操作されたと判断した場合(ステップS52の判断結果が「YES」である場合)には、タグ番号TGを送信する処理が行われる(ステップS53)。
【0091】
開度検出装置10から送信されたタグ番号TGや信号を受信すると、開度監視装置40Aにおいて、作業者によって操作される対象バルブを確認する処理が行われる(ステップS41)。そして、開度監視装置40Aにおいて、その確認結果を開度検出装置10に送信する処理が行われる(ステップS42)。
【0092】
開度監視装置40Aから送信された確認結果を受信すると、その開度検出装置10において、対象バルブであるか否かを判断する処理が行われる(ステップS54)。対象バルブであると演算部12が判断した場合(ステップS54の判断結果が「YES」である場合)には、開度検出装置10において、手動バルブの開度を検出し、その開度を示す開度情報を送信する処理が行われる(ステップS1)。そして、スタンバイモードに移行する処理が行われる(ステップS55)。尚、ステップS54において、対象バルブでないと判断した場合(ステップS54の判断結果が「NO」である場合)も、スタンバイモードに移行する処理が行われる(ステップS55)。
【0093】
開度検出装置10から開度情報が送信されてくると、開度監視装置40Aでは、開度情報を受信する処理が行われる(ステップS61)。そして、開度監視装置40Aでは、開度検出装置10から終了指示が送信されてきたか否かを判断する処理が行われる(ステップS62)。ここで、作業者は、全ての対象バルブの操作を終了した場合に、その旨を示す操作を行う。例えば、作業者は、押しボタンB1に対し、通常の操作とは異なる操作(例えば、連続押下、長押し等)を行う。このような操作がなされると、その操作がなされた押しボタンB1が接続された開度検出装置10から開度監視装置40Aに対し、終了指示が送信される。
【0094】
開度監視装置40Aにおいて、終了指示が送信されてきていないと判断された場合(ステップS62の判断結果が「NO」の場合)には、ステップS41の処理に戻り、ステップS41,S42,S61の処理が繰り返される。例えば、作業者が、次に操作されるべき対象バルブを検出対象とする開度検出装置10において、押しボタンB1を操作することで、その開度検出装置10でステップS3の処理が行われる。これにより、開度監視装置40AにおいてステップS41,S42,S61の処理が行われる。
【0095】
これに対し、開度監視装置40Aにおいて、終了指示が送信されてきたと判断された場合(ステップS62の判断結果が「YES」の場合)には、全ての対象バルブの開度が適切であるか否かを判断する処理が、操作順管理部43で行われる(ステップS63)。全ての対象バルブの開度が適切であると判断された場合(ステップS63の判断結果が「YES」の場合)には、
図7に示す一連の処理が終了する。これ対して、開度が適切でない対象バルブがあると判断された場合(ステップS63の判断結果が「NO」の場合)には、ステップS60の処理に戻り、
図7に示す処理が最初から再び行われて、バルブの開度を再度検出させる。尚、全ての検出装置を検出させるのではなく、適切な開度に設定されていないバルブに限ってもよい。
【0096】
以上の通り、本実施形態では、開度監視装置40Aが、開度検出装置10の検出対象である手動バルブの操作順を示すシーケンス情報SQと、開度検出装置10から送信されてくる情報とに基づいて、操作されるべき手動バルブを検出対象とする開度検出装置10に対して指示を行うようにしている。これにより、手動バルブの操作順を確認することができ、誤った手動バルブの操作を防止することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態による開度検出装置、開度監視システム、開度監視装置、及び開度監視方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ハンドルHDの回転を検出する検出素子D1,D2として、近接センサを用いる例について説明したが、近接センサ以外のセンサを用いても良い。
【0098】
図8は、手動バルブのハンドルの回転を検出する他の方法を説明する図である。
図8においては、
図2に示した部材に相当する部材については、同一の符号を付してある。尚、
図8は、
図2(b)に示す通り、手動バルブV1に設けられたハンドルHDを軸AXの方向から見た図である。
【0099】
図8に示す通り、ハンドルHDのハンドル部HPには、円周方向に沿って等間隔に複数の磁石MGが取り付けられており、ハンドル部HPの側方に検出素子D1,D2が配置されている。この検出素子D1,D2としては、磁石MGの磁気を非接触で検出する磁気センサを用いることができる。検出素子D1,D2は、磁石MGの磁気を非接触で検出可能な位置に配置され、ハンドルHDの回転方向を検出可能とするために、ハンドル部HPの接線方向に所定間隔をもって並べて配列されている。
【0100】
図8に示す検出方法においても、検出素子D1,D2の検出結果を用い、
図2を用いて説明した方法と同様の方法で、ハンドルHDの回転量及び回転方向を検出することができる。
図8に示す方法は、例えば、小型の手動バルブでハンドルHDが小さいため、
図2に示す通り、2つの検出素子D1,D2をハンドルHDの下方に配置することができない場合等に有効である。
【0101】
また、本発明は、物体の接近を非接触で検出する近接センサ、磁気を非接触で検出する磁気センサ以外に、リミットスイッチ等の接触式センサを用いることも可能である。このような接触式センサは、例えば、
図2に示す検出素子D1,D2と同様に、ハンドルHDの下方に配置され、ハンドルHDが回転した場合に、複数のスポーク部SPが順次接触する位置に固定される。接触式センサは、スポーク部SPが接触することにより、スポーク部SPを検出する。
【0102】
また、上記実施形態では、検出素子D1,D2の検出結果からハンドルHDの回転量を求め、求めたハンドルHDの回転量に基づいて手動バルブの開度を求めていた。しかしながら、ハンドルHDの回転量を求めることなく、検出素子D1,D2の検出結果(ハンドルHDのスポーク部SPの検出回数)に基づいて手動バルブの開度を求めるようにしてもよい。
【0103】
検出素子D1,D2の検出結果に基づいて手動バルブの開度を求める場合には、演算部12に記憶されるレンジ情報RGを変える必要がある。具体的には、手動バルブV1を全閉状態から全開状態にするまで、又は手動バルブV1を全開状態から全閉状態にするまでに検出素子D1(又は、検出素子D2)で検出されるスポーク部SPの総数をレンジ情報RGとして演算部12に記憶させる必要がある。
【0104】
この場合において、手動バルブV1の開度は、検出素子D1(又は、検出素子D2)で検出されたスポーク部SPの数及びハンドルHDの回転方向と、演算部12に記憶されているレンジ情報RG及び開度情報OPとを用いて求められる。例えば、ハンドルHDの回転方向が反時計回り(バルブを閉じる方向)である場合には、演算部12は、開度情報OPで示される開度から、検出素子D1(又は、検出素子D2)で検出されたスポーク部SPの数をレンジ情報RGで示されるスポーク部SPの総数で除算して得られる値を減算する演算を行って手動バルブV1の開度を求める。これに対し、ハンドルHDの回転方向が時計回り(バルブを開く方向)である場合には、演算部12は、開度情報OPで示される開度に対し、検出素子D1(又は、検出素子D2)で検出されたスポーク部SPの数をレンジ情報RGで示されるスポーク部SPの総数で除算して得られる値を加算する演算を行って手動バルブV1の開度を求める。
【0105】
また、上述した実施形態では、押しボタンB1が操作された場合に、開度検出装置10が手動バルブの開度の検出を行う例について説明した。しかしながら、検出素子D1,D2から検出結果を定期的にモニタし、検出素子D1,D2から検出結果が出力された場合に、ハンドルHDが操作されたと判断して、開度検出装置10が手動バルブの開度の検出を行うようにしてもよい。この場合には、押しボタンB1を省略することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、開度検出装置10の演算部12で求められた手動バルブV1の開度を示す開度情報、或いは、開度監視装置40から送信されてくる各種情報を、開度検出装置10の表示部15に表示する例について説明した。しかしながら、開度検出装置10に信号を出力する出力部を設け、パトライト(登録商標)、ブザー、表示器等の外部機器に開度監視装置40から送信されてくる各種情報を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,2 開度監視システム
10 開度検出装置
11 入力部
12 演算部
13 無線通信部
40,40A 開度監視装置
43 操作順管理部
D1,D2 検出素子
HD ハンドル
MG 磁石
OP 開度情報
RG レンジ情報
SP スポーク部
SQ シーケンス情報
TG タグ番号
V1 手動バルブ