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  • 特開-情報家電、および、家電連携方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040875
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報家電、および、家電連携方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240318BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240318BHJP
   H04W 12/00 20210101ALI20240318BHJP
   H04W 12/73 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04W84/12
H04W12/00
H04W12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145511
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】船山 敦子
(72)【発明者】
【氏名】青山 勝
【テーマコード(参考)】
5K048
5K067
【Fターム(参考)】
5K048AA15
5K048BA13
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF01
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】スマート家電の連携情報を管理するサーバの利用不可期間であっても、スマート家電の連携を適切に更新すること。
【解決手段】冷蔵庫1の機器識別番号と、冷蔵庫1の使用履歴とを対応付けて管理し、機器識別番号と連携した使用者が使用するスマホ6に対して使用履歴を閲覧させる管理装置5と、接続する無線LANルータ3を介して管理装置5に使用履歴を送信する冷蔵庫1とを備える家電連携システムに用いられる冷蔵庫1であって、接続する無線LANルータ3のSSIDと機器識別番号とを対応付けて自身の記憶部で管理しており、無線LANルータ3のSSIDの変更を検知した場合に機器識別番号を更新することで、更新前の機器識別番号と連携した使用者が使用するスマホ6に対して使用履歴の閲覧を不許可とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報家電の機器識別番号と、前記情報家電の使用履歴とを対応付けて管理し、前記機器識別番号と連携した使用者が使用する操作端末に対して前記使用履歴を閲覧させる管理装置と、
接続する無線ルータを介して前記管理装置に前記使用履歴を送信する前記情報家電とを備える家電連携システムに用いられる前記情報家電であって、
前記情報家電は、
接続する前記無線ルータのSSIDと前記機器識別番号とを対応付けて自身の記憶部で管理しており、
前記無線ルータのSSIDの変更を検知した場合に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする
情報家電。
【請求項2】
情報家電の機器識別番号と、前記情報家電の使用履歴とを対応付けて管理し、前記機器識別番号と連携した使用者が使用する操作端末に対して前記使用履歴を閲覧させる管理装置と、
前記管理装置に前記使用履歴を送信する前記情報家電とを備える家電連携システムに用いられる前記情報家電であって、
前記情報家電は、
前記機器識別番号を自身の記憶部で管理しており、
自身の電源断を検知した場合、その電源回復後に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする
情報家電。
【請求項3】
前記情報家電は、自身の電源断を検知した場合、その電源回復後に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする
請求項1に記載の情報家電。
【請求項4】
前記情報家電は、所定時間未満の電源断については、電源断の検知からは除外することを特徴とする
請求項2または請求項3に記載の情報家電。
【請求項5】
前記情報家電は、庫内の温度を制御する冷蔵庫であり、電源断からの回復時における庫内の温度が所定値未満の場合については、電源断の検知からは除外することを特徴とする
請求項2または請求項3に記載の情報家電。
【請求項6】
前記情報家電は、前記機器識別番号を自身の揮発性メモリ内で管理し、電源断の発生に伴い更新前の前記機器識別番号を消失させるように構成することを特徴とする
請求項2または請求項3に記載の情報家電。
【請求項7】
情報家電の機器識別番号と、前記情報家電の使用履歴とを対応付けて管理し、前記機器識別番号と連携した使用者が使用する操作端末に対して前記使用履歴を閲覧させる管理装置と、
接続する無線ルータを介して前記管理装置に前記使用履歴を送信する前記情報家電とを備える家電連携システムに用いられる前記情報家電による家電連携方法であって、
前記情報家電は、
接続する前記無線ルータのSSIDと前記機器識別番号とを対応付けて自身の記憶部で管理しており、
前記無線ルータのSSIDの変更を検知した場合に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする
家電連携方法。
【請求項8】
前記情報家電は、自身の電源断を検知した場合、その電源回復後に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする
請求項7に記載の家電連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報家電、および、家電連携方法に関する。
【0002】
スマートフォン(スマホ)から家電を遠隔操作するシステムが、スマート家電として普及している。スマート家電では、スマートフォンと家電との連携情報を事前にサーバに登録しておき、連携情報を有するスマートフォンにだけ家電の遠隔操作を許可する構成が用いられる。これにより、住宅内の家電を身内のスマートフォンから遠隔操作させるとともに、他人のスマートフォンからの遠隔操作を適切に禁止できる。
なお、家電が住宅に備え付けの住宅設備機器である場合、旧入居者が転居して新入居者が居住する場合もある。その場合、旧入居者と住宅設備機器との連携情報をサーバに残したままでは、新入居者が居住する住宅の住宅設備機器を、旧入居者が遠隔操作できてしまう。
【0003】
そこで、特許文献1には、住宅設備機器と連携する入居者の情報として、入居者ごとに使用される無線LANルータの識別情報を含める旨が記載されている。これにより、無線LANルータの識別情報を用いて通信設定を行う時点で、サーバは無線LANルータの識別情報が変更されたことを認識できる。よって、サーバは旧入居者と住宅設備機器との連携情報を無効化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-182452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方式では、住宅設備機器からネットワーク接続されるサーバが、連携情報の有効化および無効化の役割を果たす。そのため、サーバのメンテナンス期間や、サーバの装置障害の期間などのサーバの利用不可期間では、連携情報を最新の情報に更新できなくなる。
しかし、セキュリティの観点からは、サーバの利用不可期間であっても、スマートフォンと家電との連携を最新の状態として管理したいという要望がある。例えば、スマート家電の中古売買によって、所有者が変更されるときには、サーバの利用不可期間であっても、旧所有者の連携を適切に無効化するように、連携を最新の状態に更新することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の情報家電は、以下の特徴を有する。
本発明は、情報家電の機器識別番号と、前記情報家電の使用履歴とを対応付けて管理し、前記機器識別番号と連携した使用者が使用する操作端末に対して前記使用履歴を閲覧させる管理装置と、
接続する無線ルータを介して前記管理装置に前記使用履歴を送信する前記情報家電とを備える家電連携システムに用いられる前記情報家電であって、
前記情報家電が、
接続する前記無線ルータのSSIDと前記機器識別番号とを対応付けて自身の記憶部で管理しており、
前記無線ルータのSSIDの変更を検知した場合に前記機器識別番号を更新することで、更新前の前記機器識別番号と連携した使用者が使用する前記操作端末に対して前記使用履歴の閲覧を不許可とすることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に関する本発明の家電連携システムの構成図である。
図2】本実施形態に関する図1の家電連携システムを構成する各装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態に関する前所有者がスマート家電の機能を準備して使用する手順を示すシーケンス図である。
図4】本実施形態に関する第1トリガの発生により前所有者から後所有者への中古売買が発生したものと推定し、後所有者がスマート家電の機能を準備する手順を示すシーケンス図である。
図5】本実施形態に関する第2トリガの発生により前所有者から後所有者への中古売買が発生したものと推定し、後所有者がスマート家電の機能を準備する手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の家電連携システムの構成図である。
本実施形態では、家電連携システムが扱う情報家電の一例として冷蔵庫1を説明するが、洗濯機など他の情報家電にも適用できる。家電連携システムは、冷蔵庫1と、無線LANルータ(無線ルータ)3と、スマホ(操作端末)6とがユーザ宅10に配置されており、無線LANルータ3およびスマホ6は、通信網4を介して管理装置5に接続される。
管理装置5は、冷蔵庫1の機器識別番号と、冷蔵庫1の使用履歴とを対応付けて管理し、機器識別番号と連携した使用者が使用するスマホ6に対して使用履歴を閲覧させる。
【0010】
冷蔵庫1は、接続する無線LANルータ3を介して管理装置5に使用履歴を送信する。また、冷蔵庫1は、接続する無線LANルータ3のSSIDと機器識別番号とを対応付けて自身の記憶部(接続情報記憶部5c)で管理している。
そして、冷蔵庫1は、無線LANルータ3のSSIDの変更を検知した場合に機器識別番号を更新することで、更新前の機器識別番号と連携した使用者が使用するスマホ6に対して使用履歴の閲覧を不許可とする。または、冷蔵庫1は、自身の電源断を検知した場合、その電源回復後に機器識別番号を更新することで、更新前の機器識別番号と連携した使用者が使用するスマホ6に対して使用履歴の閲覧を不許可とする。
以下、管理装置5および冷蔵庫1の詳細を説明する。
【0011】
管理装置5は、関連付け記憶部5aと使用履歴記憶部5bとを有する。
関連付け記憶部5aは、冷蔵庫1の機器識別番号と、その冷蔵庫1に対してスマート家電の機能を許可したスマホ6の使用者ごとに識別する使用者識別情報との関連付け(連携)の情報を記憶する。
スマート家電の機能とは、例えば、冷蔵庫1を遠隔操作したり、冷蔵庫1の作動によって保存された使用履歴を閲覧したりする機能である。
【0012】
使用履歴記憶部5bは、冷蔵庫1から送信された使用履歴を記憶する。この使用履歴は、例えば、冷蔵庫1の運転履歴(午後3時から急速冷凍モードを開始する、午後5時にドアを開けるなど)、および、冷蔵庫1の庫内を撮影したカメラ画像である。使用履歴は、関連付け記憶部5aにおいて関連付けされた使用者識別情報の使用者が使うスマホ6に対して閲覧を許可するとともに、関連付けされていない使用者が使う他人スマホ6zに対して閲覧を禁止する。
【0013】
冷蔵庫1は、接続情報記憶部5cを装置内に収容する構成または接続情報記憶部5cを装置外でアクセス可能に接続する構成をとる。
接続情報記憶部5cは、冷蔵庫1の機器識別番号と、無線LANルータ3の識別情報(SSID:Service Set Identifier)と、そのSSIDと組み合わせて接続するためのパスワードとを対応付けて記憶する。
なお、接続情報記憶部5cに登録済のSSIDの変更を検知した冷蔵庫1は、変更前のSSIDに対応する冷蔵庫1の機器識別番号を破棄し、冷蔵庫1の新たな機器識別番号をリフレッシュ(新規採番)する。そして、冷蔵庫1は、リフレッシュした冷蔵庫1の機器識別番号と、変更後のSSIDと、そのSSIDのパスワードとを対応付けて記憶する。
【0014】
冷蔵庫1は、冷蔵庫1の使用者が変更されたと推定されるトリガ発生を契機に、管理装置5が利用可能期間か利用不可期間かにかかわらず、冷蔵庫1の機器識別番号を更新(新規発行)して、その結果を接続情報記憶部5cに登録(更新)する。トリガは、例えば、以下の第1トリガまたは第2トリガである。
・第1トリガ=無線LANルータ3の識別情報(SSID)の変更。
・第2トリガ=冷蔵庫1の電源断。
【0015】
図2は、図1の家電連携システムを構成する各装置のハードウェア構成図である。
家電連携システムの各装置は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有するコンピュータ900として構成される。
通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
【0016】
以下、図1の家電連携システムによる手順について、図3図5を参照して説明する。図3図5では、前所有者から後所有者への中古売買が発生したものと推定される例を説明する。
【0017】
図3は、前所有者がスマート家電の機能を準備して使用する手順を示すシーケンス図である。
冷蔵庫1のWPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタンと、無線LANルータ3のWPSボタンが同時にユーザによって押されることで、冷蔵庫1は、無線LANルータ3のSSIDを介した無線接続を要求し(S11a)、無線LANルータ3はその接続を受け付ける(S11b)。これにより、冷蔵庫1は、無線LANルータ3のSSIDおよびそのパスワードを取得する。さらに、冷蔵庫1は、接続した無線LANルータ3を介して管理装置5と通信可能となる。
【0018】
冷蔵庫1は、スマート家電の機能を実行するために、自身の機器識別番号を発行する(S12)。
冷蔵庫1は、S12の機器識別番号と、S11aのSSIDと、そのSSIDのパスワードとを対応付けて接続情報記憶部5cに登録する(S13)。
また、冷蔵庫1は、自身の機器識別番号と対応付けた自身の使用履歴を管理装置5に送付する(S14a)。管理装置5は、受信した機器識別番号と使用履歴とをを対応付けて使用履歴記憶部5bに記憶する(S14d)。
【0019】
次に、冷蔵庫1とスマホ6とのペアリング手順を説明する。
冷蔵庫1は、アクセスポイント(AP:access point)モードの設定ボタンがユーザによって押されることで、APモードを有効化する(S15a)。スマホ6は、S15aで有効化された冷蔵庫1のAPモードにより、冷蔵庫1を無線接続可能なアクセスポイントの候補として認識できる。よって、スマホ6は、スマート家電の機能を使用したい冷蔵庫1に対して、AP接続する(S15c)。
【0020】
冷蔵庫1は、自身の機器識別番号をS15cで接続したスマホ6に送付する(S16a)。これにより、冷蔵庫1の現時点で最新の機器識別番号がスマホ6にも共有されるので、ペアリングが完了する(S16c)。冷蔵庫1は、ペアリングしたスマホ6の使用者に関する使用者識別情報と、自身の機器識別番号とを関連付ける旨の情報を管理装置5に送付する(S17a)。管理装置5は、受信した機器識別番号と使用者識別情報とをを対応付けて関連付け記憶部5aに記憶する(S17d)。
【0021】
そして、冷蔵庫1とスマホ6とのスマート家電の機能を説明する。
関連付けに成功したスマホ6は、機器識別番号を含む遠隔操作の要求を冷蔵庫1に送付する(S18c)。遠隔操作の要求を受けた冷蔵庫1は、接続情報記憶部5cに記憶されている自身の最新の機器識別番号が、遠隔操作を要求したスマホ6とペアリングされていることにより、その遠隔操作を許可して実行する(S18a)。
一方、他人スマホ6zからの遠隔操作の要求に対しては、冷蔵庫1は、機器識別番号が他人スマホ6zとペアリングされていないことで、適切にその遠隔操作を不許可にできる。
【0022】
関連付けに成功したスマホ6は、機器識別番号を含む使用履歴の閲覧要求を管理装置5に送付する。閲覧要求を受けた管理装置5は、使用履歴記憶部5bに記憶されている冷蔵庫1の最新の機器識別番号が、閲覧要求したスマホ6とペアリングされていることにより、その閲覧要求を許可して使用履歴をスマホ6に送付する(S19d)。これにより、スマホ6は、使用履歴を画面表示することで、ユーザに閲覧させる(S19c)。
一方、他人スマホ6zからの使用履歴の閲覧要求に対しては、冷蔵庫1は、機器識別番号が他人スマホ6zとペアリングされていないことで、適切にその閲覧要求を不許可にできる。
【0023】
図4は、第1トリガの発生により前所有者から後所有者への中古売買が発生したものと推定し、後所有者がスマート家電の機能を準備する手順を示すシーケンス図である。
まず、管理装置5のメンテナンス期間や、サーバの装置障害の期間などにより、S31の使用不可時刻からS32の使用可能時刻までの利用不可期間が発生したとする。
特許文献1などの従来の技術では、この利用不可期間では、前所有者から後所有者への中古売買などで連携情報を最新の情報に更新できなかった。一方、本実施形態では、以下に説明する図4の処理により、サーバ(管理装置5)の利用不可期間でも対処可能にする。
【0024】
前所有者の無線LANルータ3から後所有者の無線LANルータ3への変更に伴い、無線LANルータ3の設定(SSIDとそのパスワード)が変更される(S21b)。そのため、冷蔵庫1は、接続情報記憶部5cに記憶されていた前所有者の無線LANルータ3の設定では、後所有者の無線LANルータ3との無線接続が不通になる(S21a)。つまり、冷蔵庫1は、第1トリガの発生を認識する。
【0025】
そこで、冷蔵庫1は、図3の無線接続を要求する処理(S11a)を再度実行し、後所有者の無線LANルータ3はその接続を受け付ける(S11b)。そして、冷蔵庫1は、図3のS12と同様に、後所有者の無線LANルータ3に応じて使用する冷蔵庫1の機器識別番号を再発行する(S12x)。
冷蔵庫1は、図3のS13と同様に、S12xで再発行された機器識別番号と、S11aのSSIDと、そのSSIDのパスワードとを対応付けて接続情報記憶部5cに再登録する(S13x)。ここで、接続情報記憶部5cに登録済の前所有者の機器識別番号のレコードは、S13xの再登録に伴い削除することが望ましい。
【0026】
以下、S14aからの処理は、図3で説明したものである。ただし、以下に列挙する冷蔵庫1の機器識別番号は、S12xで再発行した最新の機器識別番号に置き換わる。
・S14a→S14dで使用履歴と対応付けて管理装置5に送付され、使用履歴記憶部5bに記憶される機器識別番号。なお、管理装置5は、使用履歴記憶部5bに記憶されていた古い(前所有者との間の)機器識別番号の使用履歴を削除してもよい。
・S16a→S16cで冷蔵庫1と後所有者のスマホ6との間でペアリングされる機器識別番号。
・S17a→S17dで後所有者の使用者識別情報と関連付けされ、関連付け記憶部5aに登録される機器識別番号。なお、管理装置5は、関連付け記憶部5aに記憶されていた古い(前所有者との間の)機器識別番号の関連付けを削除してもよい。
【0027】
なお、機器識別番号の新旧判定は、例えば、以下の方法がある。
まず、冷蔵庫1は、冷蔵庫1のMAC(Media Access Control)アドレスなどの不変の番号と、採番されるたびに数値が増える連続番号との組み合わせを、冷蔵庫1の機器識別番号として発行する。
そして、管理装置5は、同じ冷蔵庫1のMACアドレスが含まれる2つの機器識別番号のうちの連続番号が小さい番号を古い機器識別番号と判定する。
【0028】
図5は、第2トリガの発生により前所有者から後所有者への中古売買が発生したものと推定し、後所有者がスマート家電の機能を準備する手順を示すシーケンス図である。
まず、図4と同様に、S31の使用不可時刻からS32の使用可能時刻までの管理装置5の利用不可期間が発生したとする。
【0029】
前所有者から後所有者の中古売買に伴う冷蔵庫1の物理的移動などにより、電源断の発生時刻(S22a)から電源断の復帰時刻(S23)までの期間に、冷蔵庫1に電源断(第2トリガ)が発生したとする。この場合、冷蔵庫1と無線LANルータ3との間の接続が切断される(S22b)。
【0030】
なお、冷蔵庫1の電源断のうち、以下のいずれかの事象は、前所有者から後所有者の譲渡とは別の理由と推定されるため、第2トリガの発生からは、除外してもよい。
・所定時間未満(例えば3時間未満)の電源断。この場合は短期間の停電の可能性が高い。
・電源断の期間にかかわらず、冷蔵庫1の電源断からの回復時における庫内の温度が所定値未満の場合。つまり、電源断からの回復時にも冷蔵庫1の庫内が充分に冷えている状態であることを認識できた場合。この場合は電源断の期間を時間計測する必要が無くなる。
【0031】
以下、図5のS11aからの処理は、図4で説明したものである。つまり、以下に列挙する冷蔵庫1の機器識別番号は、S12xで再発行した最新の機器識別番号に置き換わる。
・S13xで接続情報記憶部5cに再登録される機器識別番号。
・S14a→S14dで使用履歴と対応付けて管理装置5に送付され、使用履歴記憶部5bに記憶される機器識別番号。
・S16a→S16cで冷蔵庫1と後所有者のスマホ6との間でペアリングされる機器識別番号。
・S17a→S17dで後所有者の使用者識別情報と関連付けされ、関連付け記憶部5aに登録される機器
【0032】
なお、図5のS13xの再登録に伴い、接続情報記憶部5cに登録済の過去の機器識別番号のレコードは、電源断の復帰時刻(S23)に削除することが望ましい。この削除方法については、冷蔵庫1から直接的に削除命令を発行する方法でもよい。または、冷蔵庫1は、機器識別番号を自身の揮発性メモリ内で管理し、電源断の発生に伴い更新前の機器識別番号を消失させるように構成してもよい。
つまり、冷蔵庫1は、電気が通っているときのみデータの記録が行える揮発性メモリ内に接続情報記憶部5cを構築し、冷蔵庫1の電源断に伴い、直接的に削除命令を発行しなくても過去の機器識別番号のレコードが消失するように構成してもよい。
さらに、冷蔵庫1は、所定時間未満(例えば3時間未満)の電源断(短期間の停電)では揮発性メモリ内の接続情報記憶部5cのデータ消去を防止するために、冷蔵庫1の停電時でも所定時間程度は揮発性メモリへの通電ができるバッテリを搭載してもよい。
【0033】
以上説明した本実施形態では、スマート家電の機能を実行するための冷蔵庫1の機器識別番号を管理する接続情報記憶部5cを、管理装置5の側ではなく冷蔵庫1の側(ユーザ宅10)に配備する(図1)。これにより、管理装置5の利用不可期間であってもその利用不可期間からの回復を待たずに、冷蔵庫1は、新たな使用者との間で使用する新たな冷蔵庫1の機器識別番号を発行して、接続情報記憶部5cに登録できる。
よって、管理装置5の利用不可期間であっても、最新の使用者との間でスマート家電の機能を有効化できるとともに、過去の最新の使用者との間でスマート家電の機能を適切に無効化できる。
【0034】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【0035】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体におくことができる。また、クラウドを活用することもできる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
さらに、各装置を繋ぐ通信手段は、無線LANに限定せず、有線LANやその他の通信手段に変更してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 冷蔵庫(情報家電)
3 無線LANルータ(無線ルータ)
4 通信網
5 管理装置
5a 関連付け記憶部
5b 使用履歴記憶部
5c 接続情報記憶部
6 スマホ(操作端末)
6z 他人スマホ
10 ユーザ宅
図1
図2
図3
図4
図5