(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040884
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】流体改質装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20230101AFI20240318BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20240318BHJP
B01F 25/21 20220101ALI20240318BHJP
B01F 25/452 20220101ALI20240318BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20240318BHJP
【FI】
C02F1/68 510A
B01F23/231
B01F25/21
B01F25/452
B01F23/2373
C02F1/68 510B
C02F1/68 520B
C02F1/68 530A
C02F1/68 530L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145525
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】506195376
【氏名又は名称】株式会社鈴矢電機サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英世
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AC15
4G035AC26
4G035AE01
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】水等の流体を良好に改質することができる流体改質装置を提供する。
【解決手段】流体改質装置10は、貯留部12と、気体調整部15と、気体輸送部16と、を具備する。貯留部12は、処理水11が貯留される。気体調整部15は、気体13の温度および圧力を調整することにより、調整済気体14を生成する。気体輸送部16は、気体調整部15で調整された後の調整済気体14を貯留部12に導く。気体輸送部16は、第1気体輸送部161と、第2気体輸送部162と、第3気体輸送部163と、吹出部17と、を有する。第1気体輸送部161は、貯留部12の外部から貯留部12の底面の近傍まで伸びる。第2気体輸送部162は、第1気体輸送部161と連続して底面に沿って伸びる。第3気体輸送部163は、第2気体輸送部162と連続して略環状に形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水が貯留される貯留部と、
気体の温度および圧力を調整することにより、調整済気体を生成する気体調整部と、
前記気体調整部で調整された後の前記調整済気体を前記貯留部に導く気体輸送部と、を有し、
前記気体輸送部は、
前記貯留部の外部から前記貯留部の底面の近傍まで伸びる第1気体輸送部と、
前記第1気体輸送部と連続し、前記底面に沿って伸びる第2気体輸送部と、
前記第2気体輸送部と連続し、略環状に形成された第3気体輸送部と、
前記第3気体輸送部に形成された孔であり、前記気体が前記処理水に噴き出される吹出部と、を有することを特徴とする流体改質装置。
【請求項2】
前記吹出部は、前記第3気体輸送部の、半径方向内側面および半径方向外側面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体改質装置。
【請求項3】
前記第3気体輸送部は、前記貯留部の底面部から離間した上方側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の流体改質装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体改質装置に関し、例えば、水を改質する流体改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水は、工業、農業をはじめとする様々な産業で活用されている。例えば、工業分野では、鉄板等をはじめとする板状材料の表面に塗料を塗布する塗装工程が存在する。塗装工程では、塗料を良好に塗布する為に、鉄板の表面を洗浄する洗浄工程を実施するが、当該洗浄工程では専用の薬剤が添加された洗浄水を用いる。係る事項は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
一方、特許文献2を参照して、空気の各種性質を改良する装置が開発されている。ここでは、空気に対して所定の圧力を加えながら波動を与えることで、空気の物性を良好な状態としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-223048号公報
【特許文献2】特開2009-117492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1等に記載された発明では、洗浄に要するコストの観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載された発明では、塗装工程において基材の洗浄のために専用の溶液を使用すると、専用の溶液の購入、調合、保管および破棄が必要になることから、工業用製品の製造コストが上昇してしまう課題があった。更に、特許文献2に記載された発明は、空気を改質するものであるが、水などの液体を対象とする発明ではなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、水等の流体を良好に改質することができる流体改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流体改質装置は、処理水が貯留される貯留部と、気体の温度および圧力を調整することにより、調整済気体を生成する気体調整部と、前記気体調整部で調整された後の前記調整済気体を前記貯留部に導く気体輸送部と、を有し、前記気体輸送部は、前記貯留部の外部から前記貯留部の底面の近傍まで伸びる第1気体輸送部と、前記第1気体輸送部と連続し、前記底面に沿って伸びる第2気体輸送部と、前記第2気体輸送部と連続し、略環状に形成された第3気体輸送部と、前記第3気体輸送部に形成された孔であり、前記気体が前記処理水に噴き出される吹出部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の流体改質装置では、前記吹出部は、前記第3気体輸送部の、半径方向内側面および半径方向外側面に形成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の流体改質装置では、前記第3気体輸送部は、前記貯留部の底面部から離間した上方側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体改質装置は、処理水が貯留される貯留部と、気体の温度および圧力を調整することにより、調整済気体を生成する気体調整部と、前記気体調整部で調整された後の前記調整済気体を前記貯留部に導く気体輸送部と、を有し、前記気体輸送部は、前記貯留部の外部から前記貯留部の底面の近傍まで伸びる第1気体輸送部と、前記第1気体輸送部と連続し、前記底面に沿って伸びる第2気体輸送部と、前記第2気体輸送部と連続し、略環状に形成された第3気体輸送部と、前記第3気体輸送部に形成された孔であり、前記気体が前記処理水に噴き出される吹出部と、を有することを特徴とする。本発明の流体改質装置によれば、略環状に形成された第3気体輸送部に形成された吹出部から、調整済気体を処理水に吹き出すことにより、処理水を適切に改質できる。
【0012】
また、本発明の流体改質装置では、前記吹出部は、前記第3気体輸送部の、半径方向内側面および半径方向外側面に形成されることを特徴とする。本発明の流体改質装置によれば、第3気体輸送部の半径方向外側および半径方向内側の両方から、処理水に対して調整済気体を噴出することができ、更に効果的に且つ早期に処理水を改質できる。
【0013】
また、本発明の流体改質装置では、前記第3気体輸送部は、前記貯留部の底面部から離間した上方側に配置されることを特徴とする。本発明の流体改質装置によれば、第3気体輸送部と底面部との間に間隙を形成し、当該間隙に処理水を流通させることで、調整済気体による処理水の攪拌作用を大きくし、更に効果的に処理水を改質できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体改質装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る流体改質装置の気体輸送部を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る流体改質装置の気体輸送部を示す側方断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る流体改質装置の気体調整部を示す側方断面図等である。
【
図5】本発明の実施形態に係る流体改質装置の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0016】
図1は、流体改質装置10を模式的に示す斜視図である。
図1では、調整済気体14が流動する方向を矢印で示している。係る事項は他の図においても同様である。
【0017】
流体改質装置10は、貯留部12と、気体調整部15と、気体輸送部16と、を主要に具備する。流体改質装置10の概略機能は、気体調整部15から取り入れた気体13を改質することにより調整済気体14を生成し、調整済気体14を処理水11に曝気することで、処理水11を改質することである。
【0018】
処理水11は、流体改質装置10により改質される液体であり、例えば水を採用できる。水としては、例えば、水道水、井戸水または湧水等を採用できる。
【0019】
貯留部12は、処理水11が貯留される。貯留部12は、例えば、鉄板等の金属板またはアクリル樹脂等の合成樹脂板から成り、略直方体形状を呈している。貯留部12の上部は開放状態でも良いし、閉鎖状態でも良い。ここでは図示しないが、貯留部12には、改質前の処理水11を導入するための導入管、および、改質後の処理水11を導出するための導出管が接続する。
【0020】
気体調整部15は、気体13の温度および圧力等を調整することにより、調整済気体14を生成する。気体調整部15の詳細は、
図4を参照して後述する。
【0021】
気体輸送部16は、気体調整部15で調整された後の調整済気体14を、貯留部12に導くための導管である。気体輸送部16は、鉄などの金属または塩化ビニル等の合成樹脂等から成る。気体輸送部16は、第1気体輸送部161と、第2気体輸送部162と、第3気体輸送部163と、吹出部17と、を有する。
【0022】
第1気体輸送部161は、貯留部12の外部から貯留部12の底面の近傍まで伸びる。例えば、第1気体輸送部161の右端側部分は気体調整部15に接続する。第1気体輸送部161の中間部は、貯留部12の上方開口を経由する。第1気体輸送部161の左端側部分は、貯留部12の底面に向かって伸びる。
【0023】
第2気体輸送部162は、第1気体輸送部161と連続して底面に沿って伸びる。具体的には、第2気体輸送部162は略直線状の導管であり、貯留部12の底面の近傍に配置され、当該底面に対して略平行に且つ略直線状に伸びる。第1気体輸送部161の下方側端部は、第2気体輸送部162の中間部と連通する。
【0024】
第3気体輸送部163は、第2気体輸送部162と連続して略円環状に形成される。具体的には、第3気体輸送部163は、貯留部12の底面の近傍に配置され、当該底面に対して略平行に伸びる。第2気体輸送部162の左方側端部は、第3気体輸送部163の左方側端部における内側部分と連通する。また、第2気体輸送部162の右方側端部は、第3気体輸送部163の右方側端部における内側部分と連通する。
【0025】
吹出部17は、第3気体輸送部163に形成された孔であり、気体13が処理水11に噴き出される。吹出部17の詳細は
図2を参照して後述する。
【0026】
流体改質装置10により処理水11を改質する方法を説明する。まず、貯留部12に処理水11を導入する。処理水11が貯留部12に充分に貯留されたら、例えば大気中の空気である気体13を、気体調整部15において調整済気体14に調整する。調整済気体14は、第1気体輸送部161および第2気体輸送部162を経由して第3気体輸送部163に導入される。第3気体輸送部163に導入された調整済気体14は、第3気体輸送部163に形成された吹出部17から、処理水11の内部に放出される。調整済気体14は、処理水11の内部を上昇する。処理水11の内部における調整済気体14の放出を続行すると、処理水11が徐々に改質される。例えば、処理水11のPHが上昇する。処理水11が充分に改質されたら、例えば、処理水11のPHが所定の値に達したら、気体調整部15の運転を終了し、処理水11を貯留部12から所定箇所に移送する。
【0027】
例えば、処理後の処理水11を利用して、塗装前の金属板の表面を洗浄する。洗浄が終了したら、金属板の表面に対して塗装処理を施す。本実施形態の処理水11は、例えば水道水等に対して簡易に処理を施すことにより生成される。よって、洗浄後の処理水11は容易に排水処理することができる。また、洗剤等を添加せずとも洗浄を行うことができることから、洗浄に要するコストを低減できる。また、改質後の処理水11は、農業等にも適用することができ、そのようにすることで収穫後の農作物の賞味期限を延長することができる。
【0028】
図2は、流体改質装置10の気体輸送部16を示す上面図である。
【0029】
第3気体輸送部163は、塩化ビニル等の合成樹脂から成る樹脂管を、略円環状に曲折成形したものである。
【0030】
前述したように、第3気体輸送部163には吹出部17が形成される。吹出部17は、第3気体輸送部163に形成した貫通孔である。吹出部17は、外側吹出部171と内側吹出部172とを有する。
【0031】
外側吹出部171は、第3気体輸送部163の半径方向外側部分に形成した貫通孔である。外側吹出部171は、半径方向外側部分において、略等間隔、例えば2.0cm間で複数が形成される。外側吹出部171は、例えば、直径が略2mmの略円形を呈する貫通孔として形成される。外側吹出部171は、例えば電動ドリル等により簡易に形成できる。本実施形態では、一般的にマイクロバブルを発生する際に必要とされる装置を必要としないので、装置の全体構成を簡素にできる。
【0032】
内側吹出部172は、第3気体輸送部163の半径方向内側部分に形成した貫通孔である。内側吹出部172は、半径方向外側部分において、略等間隔、例えば2.0cm間で複数が形成される。内側吹出部172は、例えば、直径が略2mmの略円形を呈する貫通孔として形成される。内側吹出部172は、例えば電動ドリル等により簡易に形成できる。
【0033】
第1気体輸送部161から導入された調整済気体14は、第2気体輸送部162の内部を左方向および右方向に向かって流動する。第3気体輸送部163に流入した調整済気体14は、第3気体輸送部163の内部に沿って流動する。その後、調整済気体14は、外側吹出部171および内側吹出部172を介して外部、即ち前述した処理水11に放出される。
【0034】
本実施形態では、第3気体輸送部163の半径方向外側および半径方向内側の両方に、外側吹出部171および内側吹出部172を形成していることから、多数の吹出部17を形成することができる。これにより、吹出部17から放出される調整済気体14と、前述した処理水11とが接触する機会を増加させることができ、処理水11を改質する効果を大きくできる。
【0035】
図3は、流体改質装置10の気体輸送部16を示す側方断面図である。
【0036】
前述したように、第3気体輸送部163に形成された外側吹出部171および内側吹出部172から、調整済気体14が処理水11に放出される。放出された調整済気体14は、処理水11の内部を上昇する。この際、上昇する調整済気体14により、処理水11の内部において水流が形成される。このようにすることで、調整済気体14と処理水11とが接触する機会を更に増大させ、処理水11を効果的に改質できる。
【0037】
また、第3気体輸送部163は、貯留部12の底面部121から離間して配置される。即ち、第3気体輸送部163の下端と、底面部121の上面との間には間隙が形成される。このようにすることで、調整済気体14が処理水11の内部を上昇することで発生する水流が、第3気体輸送部163と底面部121との間に形成される間隙を通過できる。よって、当該水流が良好に形成されるようになり、調整済気体14と処理水11との接触が更に促進され、処理水11を更に早期に且つ良好に改質できる。
【0038】
図4は、流体改質装置10の気体調整部15を示す側方断面図である。
図4の上部には気体調整部15を示し、
図4の下部には円板21を示す。
【0039】
気体調整部15は、容器19と、送風ブロア18と、配管26と、サイレンサ20と、円板21と、バルブ23等と、を主要に有する。気体調整部15は、前述したように、気体13から調整済気体14を生成する構成機器である。
【0040】
流体改質装置10の概略機能は、送風ブロア18から空気を取り込み、この空気の吐出圧力及び吐出温度を調節することで、空気中の水分子の固有振動数と共振する共鳴電磁波を発生する最適の熱衝撃波を発生させ、空気中の水分子の水素結合を分離させ、水素原子から電子を放出することにより、マイナスイオン風である調整済気体14を発生させることにある。
【0041】
容器19は、金属製の円筒体からなり、気体調整部15の本体部を構成する。容器19は、入口部27と出口部28とを有する。入口部27は、送風ブロア18と連通することにより、気体13が導入される開口である。出口部28は、調整後の調整済気体14が導出される開口である。容器19の入口部27と送風ブロア18との間は配管29で接続されている。容器19の出口部28には、容器19の外部に調整済気体14を放出させるための配管30が接続する。また、容器19の内部空間は、空間31と空間32とが形成される。気体調整部15の内部を流れる空気の流れにおいて、空間31は上流側部分であり、空間32は下流側部分である。
【0042】
送風ブロア18は、空気である気体13を、大気中から取り込み、所定の風量をもって気体13を容器19に送風する。
【0043】
配管26は、容器19の外部に設けられ、空間31と空間32を連結させる。
【0044】
サイレンサ20は、金属製の線状部材が巻きつけられて成る。サイレンサ20は、空間31および空間32の夫々に収納される。サイレンサ20は、円板21が動作する際に発生する音を吸音し、気体調整部15から発生する騒音を低減する。
【0045】
円板21は、空間31と空間32との境界に配設された金属板であり、吐出圧力及び吐出温度の調節手段として機能する。円板21は、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔22を有する。貫通孔22の貫通方向と空気の流出方向とが同一となるように、容器19の内部の長さ方向中央部に、立てて配置される。円板21に形成する貫通孔22の個数や孔径は、容器19の寸法や、空気の吐出圧力及び吐出温度の調節範囲に応じて、適宜変更可能である。円板21の貫通孔22を通過する空気の吐出圧力及び吐出温度を調節することで、マイナスイオン風である調整済気体14を発生させるように構成されている。
【0046】
バルブ23は、配管29の途中部分に設置される。バルブ24は、配管30の途中部分に設置される。バルブ25は配管26の途中部分に設置される。バルブ23、バルブ24およびバルブ25は、気体13の流入量や調整済気体14の放出量が調節できるように構成されている。ここで、バルブ25は、容器19の内部に形成された二つの空間31および空間32に封入された空気の温度や圧力を調節し、円板21の貫通孔22を通過する空気の吐出圧力及び吐出温度を微調節するための調節バルブとして機能する。
【0047】
次に、気体調整部15を用いて、マイナスイオン風である調整済気体14を発生させる方法について説明する。
【0048】
まず、送風ブロア18から、配管29及び入口部27を経て、気体調整部15をなす容器19の内部に、空気である気体13を送り込む。
【0049】
次に、容器19の内部に封入された気体13を、所定の吐出圧力(例えば、30Kpa以上150Kpa以下)及び吐出温度(40℃以上250℃以下)に調節しつつ、円板21の貫通孔22を通過させることで、マイナスイオン風を発生させる。つまり、円板21の貫通孔22を通過した後の空気が封入される空間32にはマイナスイオン風が存在する。これは加熱圧縮された高圧空気が円板21の貫通孔22を通過した際にジェット気流となって急激に拡散するため、空気中の水分子の固有振動数と共振すると推測される共鳴電磁波が発生し、空気中の水分子を共振させて水素結合を分離させ、水素原子から放出された電子を窒素の外郭に取り込んでマイナスイオン化されるものと考えられる。そして、容器19の出口部28から配管30を経て、適宜マイナスイオン風である調整済気体14を放出させる。
【0050】
放出されたマイナスイオン風をマイナスイオン測定器で測定したところ、通常運転時の吐出し圧力が80KPaで装置の吹き出し口より5mの位置で1760個/ccのマイナスイオンが検出された。
【0051】
すなわち、気体調整部15によれば、調整済気体14の吐出圧力及び吐出温度を調節することで調整済気体14を発生させることができるため、小型装置を用いて、低コストで効率よくマイナスイオン風である調整済気体14を発生させることができる。更に、気体調整部15によれば、調整済気体14のPHのみならず、ORP(酸化還元電位)、DO(溶存酸素量)、PH電位も好適に調整することができる。
【0052】
前述したように、本実施形態では、気体調整部15で得られた調整済気体14を、処理水11に曝気しているため、処理水11を効果的に改質することができる。例えば、処理水11のPHを上昇させることができる。
【0053】
図5は、流体改質装置10の効果を示すグラフである。横軸は流体改質装置10による処理水11の改質を継続する時間を示し、縦額は処理水11のPHを示す。
【0054】
このグラフを参照して、流体改質装置10による処理水11の処理を続行すると、処理水11のPHが上昇することが理解できる。具体的には、開始直後における処理水11のPHは6.5程度であったが、20分が経過すると処理水11のPHは8以上を示している。即ち、流体改質装置10による処理を続行することで、薬剤を用いずとも、処理水11をアルカリ性にすることができる。また、アルカリ性を示す処理水11を用いることにより、例えば、鉄板等の金属板の表面を効果的に洗浄できる。
【0055】
更に、流体改質装置10により改質された処理水11は、農業分野に適用することができる。例えば、サラダ菜、イチゴ等の植物の生育に際して、改質された処理水11を用いたところ、採取後の植物の保管期間を延長することができた。このような顕著な効果が奏される理由は、未だ検証中であるが、流体改質装置10による処理水11の改質を行うことにより、処理水11が分子レベルで改質され、これにより処理水11における雑菌の繁殖が抑制できるからであると予測される。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 流体改質装置
11 処理水
12 貯留部
121 底面部
13 気体
14 調整済気体
15 気体調整部
16 気体輸送部
161 第1気体輸送部
162 第2気体輸送部
163 第3気体輸送部
17 吹出部
171 外側吹出部
172 内側吹出部
18 送風ブロア
19 容器
20 サイレンサ
21 円板
22 貫通孔
23 バルブ
24 バルブ
25 バルブ
26 配管
27 入口部
28 出口部
29 配管
30 配管
31 空間
32 空間