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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040889
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】光検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240318BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240318BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
G02B5/20 101
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145534
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 博章
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BD21
2H148BG11
2H148BH15
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118GA02
4M118GA09
4M118GC07
4M118GC08
4M118GD04
4M118GD07
(57)【要約】
【課題】カラーフィルタ間の隔壁部で反射された光による光学混色を抑制可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】複数の光電変換部が形成された半導体基板と、半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及びカラーフィルタ間に配置され、カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層と、カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズと、マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体と、を備える構成とした。そして、高屈折率構造体を、高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる構造体とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及び前記カラーフィルタ間に配置され、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体と、を備え、
前記高屈折率構造体は、前記高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる
光検出装置。
【請求項2】
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの光入射面側に配置されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、入射光のうちの予め定めた所定波長以上の波長域にピーク波長を持つ光を透過する第1のカラーフィルタと、入射光のうちの前記所定波長未満の波長域にピーク波長を持つ光を透過する第2のカラーフィルタとを含み、
前記高屈折率構造体は、前記第1のカラーフィルタ及び前記第2のカラーフィルタのうちの、前記第1のカラーフィルタの光入射面側にのみ配置されている
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1のカラーフィルタは、赤色光を透過するカラーフィルタである
請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの光入射面から、前記マイクロレンズ側に離れた位置に配置されている
請求項2に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記カラーフィルタの光入射面を被覆するストッパー膜を備え、
前記高屈折率構造体は、前記ストッパー膜の光入射面側に配置されている
請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの内部に配置されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記半導体基板の光入射面と直交する断面における、前記高屈折率構造体の断面形状は、光入射面側に向かうほど幅が狭くなっているテーパー状、又は光入射面側に向かうほど幅が広くなっているテーパー状である
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記高屈折率構造体は、屈折率の異なる2以上の層を含む多層構造の構造体である
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合における、前記高屈折率構造体の平面形状は、円形、四角形又は菱形である
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記カラーフィルタのそれぞれは、瞳補正がされた位置に配置されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
複数の光電変換部が形成された半導体基板、前記半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及び前記カラーフィルタ間に配置され、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズ、並びに前記マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体を備え、前記高屈折率構造体は、前記高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる光検出装置を備える
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルタ間に、カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有する光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光検出装置では、カラーフィルタと隔壁部との界面で光を反射して、反射した光をそのカラーフィルタに対応する光電変換部の方向(奥側)に進ませることで、カラーフィルタ内に入射した光が隣のカラーフィルタ内へ侵入することを抑制し、光学混色を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-165216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の光検出装置では、光の入射角度(CRA)が大きくなると、隔壁部で反射された光が、カラーフィルタ内を反対向きに進み、反射先の方向に位置する画素の光電変換部内に漏れて、光学混色を生じる可能性があった。近年、画素の微細化が進んでいるが、このような光学混色は、特に、微細画素で増大する可能性があった。
【0005】
本開示は、カラーフィルタ間の隔壁部で反射された光による光学混色を抑制可能な光検出装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光検出装置は、(a)複数の光電変換部が形成された半導体基板と、(b)半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及びカラーフィルタ間に配置され、カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層と、(c)カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズと、(d)マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体と、を備え、(e)高屈折率構造体は、高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなることを要旨とする。
【0007】
本開示の電子機器は、(a)複数の光電変換部が形成された半導体基板、(b)半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及びカラーフィルタ間に配置され、カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層、(c)カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズ、(d)並びにマイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体を備え、(e)高屈折率構造体は、高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる光検出装置を備えることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
図2図1のA-A線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図3図2のB-B線で破断した場合の、カラーフィルタ層の断面構成を示す図である。
図4】カラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図5】高屈折率構造体が省略された場合の固体撮像装置の全体構成を示す図である。
図6】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図7】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図8】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図9】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図10】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図11】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図12】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図13】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図14】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図15】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図16】変形例に係るカラーフィルタ層と高屈折率構造体との平面構成を示す図である。
図17】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図18】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図19】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図20】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図21】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図22】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図23】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図24】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図25】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図26】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図27】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図28】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図29】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図30】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図31】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図32】変形例に係るカラーフィルタ層の平面構成を示す図である。
図33】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図34】第2の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図35図34のC-C線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
図36】高屈折率構造体が省略された場合の固体撮像装置の全体構成を示す図である。
図37】第3の実施形態に係る電子機器の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態に係る光検出装置及び電子機器の一例を、図1図37を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0010】
1.第1の実施形態:固体撮像装置
1-1 固体撮像装置の全体の構成
1-2 要部の構成
1-3 変形例
2.第2の実施形態:固体撮像装置
2-1 要部の構成
2-2 変形例
3.第3の実施形態:電子機器への応用例
【0011】
〈1.第1の実施形態:固体撮像装置〉
[1-1 固体撮像装置の全体の構成]
本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1(広義には「光検出装置」)について説明する。図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成を示す図である。
図1の固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。図37に示すように、固体撮像装置1(1002)はレンズ群1001を介して、被写体からの像光(入射光)を取り込み、撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
図1に示すように、固体撮像装置1は、画素領域2と、垂直駆動回路3と、カラム信号処理回路4と、水平駆動回路5と、出力回路6と、制御回路7とを備えている。
【0012】
画素領域2は、二次元アレイ状に配置された複数の画素8を有している。画素8は、図2に示した光電変換部19と、複数の画素トランジスタとを有している。複数の画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、及び選択トランジスタによって構成される4つのMOSトランジスタが挙げられる。
垂直駆動回路3は、例えば、シフトレジスタによって構成され、所望の画素駆動配線9を選択し、選択した画素駆動配線9に画素8を駆動するためのパルスを供給し、各画素8を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路3は、画素領域2の各画素8を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素8の光電変換部19において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線10を通してカラム信号処理回路4に供給する。
【0013】
カラム信号処理回路4は、例えば、画素8の列毎に配置されており、1行分の画素8から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路4は画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
水平駆動回路5は、例えば、シフトレジスタによって構成され、水平走査パルスをカラム信号処理回路4に順次出力して、カラム信号処理回路4の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路4の各々から信号処理が行われた画素信号を水平信号線11に出力させる。
【0014】
出力回路6は、カラム信号処理回路4の各々から水平信号線11を通して、順次に供給される画素信号に対し信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
制御回路7は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路7は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5等に出力する。
【0015】
[1-2 要部の構成]
次に、固体撮像装置1の詳細構造について説明する。図2は、図1のA-A線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
図2に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板12、絶縁膜13及び平坦化膜14がこの順に積層されてなる受光層15が配置されている。また、受光層15の平坦化膜14側の面(以下、「裏面S1」とも呼ぶ)には、カラーフィルタ層16、及びマイクロレンズアレイ17がこの順に配置されている。さらに、受光層15の半導体基板12側の面(以下、「表面S2」とも呼ぶ)には、配線層18が配置されている。
【0016】
半導体基板12は、例えば、シリコン(Si)基板によって構成されている。半導体基板12には、各画素8の領域それぞれに光電変換部19が形成されている。即ち、半導体基板12には、複数の光電変換部19が二次元アレイ状に配置されている。光電変換部19は、pn接合によってフォトダイオードを構成し、受光量に応じた電荷を生成する。また、光電変換部19は、pn接合で生じる静電容量に光電変換で生成した電荷を蓄積する。
また、半導体基板12には、隣り合う光電変換部19間の領域すべてにトレンチ部20が形成されている。即ち、トレンチ部20は、光電変換部19それぞれを囲むように、格子状に形成されている。図2では、トレンチ部20を、半導体基板12の光入射面(以下「裏面S3」とも呼ぶ)側から表面S2側まで貫通した構成とした場合を例示している。
【0017】
絶縁膜13は、半導体基板12の裏面S3側に配置され、裏面S3全体を連続的に被覆している。また、絶縁膜13は、トレンチ部20の内部に埋め込まれている。絶縁膜13の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)を採用できる。
平坦化膜14は、絶縁膜13の光入射面(以下「裏面S4」とも呼ぶ)側に配置され、受光層15の裏面S1が平坦となるように裏面S4を連続的に被覆している。平坦化膜14の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)を採用できる。
【0018】
カラーフィルタ層16は、平坦化膜14の裏面S1側に配置され、画素8それぞれに対応するように二次元アレイ状に配置された複数のカラーフィルタ21を有している。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのカラーフィルタ21が配置されている。複数のカラーフィルタ21には、互いに異なる所定波長の光のみを透過させる複数種類のカラーフィルタ(つまり、透過特性の異なるカラーフィルタ)が含まれている。例えば、図3に示すように、赤色光を透過させるRフィルタ21R、緑色光を透過させるGフィルタ21G、青色光を透過させるBフィルタ21Bが挙げられる。これにより、カラーフィルタ21のそれぞれは、透過特性に応じた所定波長の光を透過し、透過した光を、対応する光電変換部19に入射させる。図3は、図2のB-B線で破断した場合の、カラーフィルタ層16の断面構成を示す図である。図3では、カラーフィルタ層16は、4×4のカラーフィルタ21を繰り返し単位とし、繰り返し単位が行方向及び列方向に配置されることで構成された場合を例示している。4×4のカラーフィルタ21は、右上の2×2のカラーフィルタ21それぞれがBフィルタ21Bであり、左下の2×2のカラーフィルタ21それぞれがRフィルタ21Rであり、左上の2×2のカラーフィルタ21及び右下の2×2のカラーフィルタ21それぞれがGフィルタ21Gである。また、カラーフィルタ21の材料としては、例えば、屈折率1.4~1.9のカラーレジストを採用することができる。
【0019】
また、画素領域2(図1参照)のうちの有効画素領域の端部側(高像高側)では、カラーフィルタ21のそれぞれは、瞳補正がされた位置に配置されている。即ち、有効画素領域の中央部から端部側に向かうに従って、半導体基板12の厚さ方向から見た場合(平面視した場合)におけるカラーフィルタ21の中心部が、カラーフィルタ21に対応する光電変換部19の中心よりも、有効画素領域の中心部側にずらされている。瞳補正された位置に配置することにより、有効画素領域の端部側(高像高側)において、カラーフィルタ21を透過した光を、対応する光電変換部19により適切に入射させることができる。
【0020】
また、カラーフィルタ層16には、隣り合うカラーフィルタ21間の領域すべてに隔壁部22が配置されている。即ち、隔壁部22は、カラーフィルタ21それぞれを囲むように、格子状に形成されている。図2では、隔壁部22を、カラーフィルタ層16の光入射面(以下「裏面S5」とも呼ぶ)側から反対面側まで連続した構成とした場合を例示している。隔壁部22の材料としては、例えば、カラーフィルタ21よりも屈折率の低い材料を採用できる。例えば屈折率1.0~1.2の低屈折率樹脂が挙げられる。これにより、カラーフィルタ21をコアとし隔壁部22をクラッドとして導波路を構成でき、裏面S5からカラーフィルタ21内に入った光を、カラーフィルタ21内に閉じ込めた状態で伝搬してカラーフィルタ21内から平坦化膜14側に出射できる。また、カラーフィルタ21内の光が隣のカラーフィルタ21内へ侵入することを抑制でき、光学混色を抑制できる。
【0021】
マイクロレンズアレイ17は、カラーフィルタ層16の裏面S5側(光入射面側)に配置された平板状の底部23と、底部23の光入射面(以下、「裏面S6」とも呼ぶ)側に配置された複数のマイクロレンズ24とを有している。マイクロレンズ24は、画素8それぞれに対応するように二次元アレイ状に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ24が配置されている。これにより、マイクロレンズ24それぞれは、被写体からの像光(入射光)を集光し、集光した入射光を、カラーフィルタ21を介して、対応する光電変換部19内に入射させる。図2では、マイクロレンズ24として、底部23が平坦である平凸レンズを用いた場合を例示している。底部23及びマイクロレンズ24は、同じ材料で一体的に形成されている。底部23及びマイクロレンズ24の材料としては、例えば、屈折率1.4程度の酸化シリコン(SiO2)を採用できる。
【0022】
また、画素領域2(図1参照)のうちの有効画素領域の端部側(高像高側)では、マイクロレンズ24のそれぞれは、瞳補正がされた位置に配置されている。即ち、有効画素領域の中央部から端部側に向かうに従って、半導体基板12の厚さ方向から見た場合(平面視した場合)におけるマイクロレンズ24の中心部が、マイクロレンズ24に対応する光電変換部19の中心よりも、有効画素領域の中心部側にずらされている。瞳補正された位置に配置することにより、有効画素領域の端部側において、集光した光を、対応するカラーフィルタ21及び光電変換部19により適切に入射でき、量子効率QEを向上できる。
【0023】
また、底部23内には、Rフィルタ21Rの直上の領域であって、マイクロレンズ24で集光された光の光路上それぞれに高屈折率構造体25が配置されている。即ち、図4に示すように、1つのRフィルタ21Rに対して1つの高屈折率構造体25が配置されている。高屈折率構造体25それぞれは、マイクロレンズ24で集光された光を半導体基板12側(図2では下側)に大きく屈折させ、集光された光を、マイクロレンズ24に対応する光電変換部19内に進ませる。図4は、カラーフィルタ層16と高屈折率構造体25との平面構成を示す図である。半導体基板12の厚さ方向から見た場合(平面視した場合)における高屈折率構造体25の中心部は、高屈折率構造体25に対応するマイクロレンズ24の中心と同じ位置とした。また、平面視した場合における、高屈折率構造体25の平面形状は、円形とする。円形の直径は、例えば、マイクロレンズ24で集光された光、つまり、逆円錐型に1点に向かって進む光が、高屈折率構造体25の光入射面(以下、「裏面S7」とも呼ぶ)内に収容できる大きさとする。また、半導体基板12の光入射面(裏面S3)と直交する断面における、高屈折率構造体25の断面形状は、一定幅の矩形状とする。また、図2及び図4では、高屈折率構造体25を、単層構造の構造体とした場合を例示している。高屈折率構造体25の材料としては、例えば、高屈折率構造体25の裏面S7(光入射面)に接する部材よりも屈折率の高い材料を採用できる。例えば、屈折率2.1程度の酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、窒化シリコン(SiN)を採用できる。
【0024】
ここで、Rフィルタ21Rは、入射光のうちの予め定めた所定波長(例えば600nm)以上の波長域(640~770nm)にピーク波長を持つ光を透過する第1のカラーフィルタである、と言える。また、Gフィルタ21G及びBフィルタ21Bのそれぞれは、入射光のうちの所定波長(600nm)未満の波長域(490~550nm、430~490nm)にピーク波長を持つ光を透過する第2のカラーフィルタである、と言える。したがって、高屈折率構造体25は、第1のカラーフィルタ及び第2のカラーフィルタのうちの、第1のカラーフィルタの光入射面側にのみ配置されている、と言うことができる。
配線層18は、半導体基板12の表面S2側に配置されている。配線層18は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜を介して複数層に積層された配線(不図示)とを有している。そして、配線層18は、複数層の配線を介して、各画素8の画素トランジスタを駆動する。
【0025】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、半導体基板12の裏面S3側から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ24及びカラーフィルタ21を透過し、透過した光が光電変換部19で光電変換されて信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、配線層18の配線で形成された図1の垂直信号線10から画素信号として出力される。
ここで、有効画素領域の端部側(高像高側)では、光Lの入射角度(CRA)が大きくなる。そのため、例えば、図5に示すように、高屈折率構造体25が省略された場合、光Lの入射角度が大きくなることで、カラーフィルタ21内を進む光Lがカラーフィルタ21の外周部へ到達して隔壁部22で反射されると、反射された光Lがカラーフィルタ21内を反対側(図5では右側)に進む可能性があった。そのため、反射した光Lが、反射先の方向(図5では右方向)に位置する画素8aの光電変換部19(以下、「隣の光電変換部19a」とも呼ぶ)内に漏れて光学混色を生じる可能性があった。また、漏れた光Lによって量子効率QEが低下する可能性があった。このような、光学混色及び量子効率QEの低下は、特に、微細画素で増大する可能性があった。さらに、図5では、瞳補正によって、カラーフィルタ21が、隣の光電変換部19aと平面視で一部が重なっている。そのため、隣の光電変換部19a内への反射した光Lの漏れ量が増大する可能性があった。
【0026】
これに対し、第1の実施形態に係る固体撮像装置1によれば、マイクロレンズ24で集光された光Lの光路上に高屈折率構造体25を配置した。それゆえ、マイクロレンズ24で集光された光Lを高屈折率構造体25で半導体基板12側(図2では下側)に大きく屈折させることができ、カラーフィルタ21への光Lの入射位置を光Lの進行方向と反対側(図2では右側)にずらすことができる。そのため、光Lの入射位置とカラーフィルタ21の外周部との間の距離を増大させることができ、カラーフィルタ21内を進む光Lがカラーフィルタ21の外周部へ到達することを抑制でき、隔壁部22で光が反射されることを抑制でき、光Lがカラーフィルタ21内を反対側(図2では右側)に進むことを抑制できる。その結果、反射した光Lが隣の光電変換部19a内に漏れることを抑制でき、漏れた光Lによる光学混色の発生を抑制できる。即ち、カラーフィルタ21間の隔壁部22で反射された光Lによる光学混色を抑制できる。また量子効率QEの低下を抑制できる。そのため、画素8が微細画素の場合にも、光学混色及び量子効率QEの低下を抑制できる。
さらに、光Lがカラーフィルタ21内を反対側に進むことを抑制できるため、瞳補正によってカラーフィルタ21が隣の光電変換部19aと平面視で一部が重なっていることに起因する、隣の光電変換部19a内への反射した光Lの漏れ量の増大を抑制できる。
【0027】
一般に、マイクロレンズ24で集光された光は、波長域毎に、異なったスポット径を有する。例えば、長波長域の光(例えば、赤色光)は、短波長域の光(例えば、緑色光、青色光)よりもスポット径が大きくなる。それゆえ、Rフィルタ21R内を進む赤色光は、Gフィルタ21G内を進む緑色光やRフィルタ21R内を進む青色光よりも、光が幅広になり、隔壁部22に接触しやく、隣の光電変換部19a内に漏れやすい。したがって、赤色画素を含む行の緑色画素Grの感度が青色画素を含む行の緑色画素Gbの感度よりも高くなり、Gr-Gb感度差が増大し、画質が低下する可能性があった。特に、画素8を微細画素とした場合には、画素サイズに対して赤色光のスポット径を十分に小さくすることができない。それゆえ、Rフィルタ21R内を進む赤色光が隔壁部22に接触する可能性が高くなり、Gr-Gb感度差がより増大し、画質がより低下する可能性があった。
これに対し、第1の実施形態に係る固体撮像装置1によれば、高屈折率構造体25を、底部23のうちのRフィルタ21Rの直上の領域に配置した。それゆえ、Rフィルタ21Rからの光の漏れを抑制でき、Gr-Gb感度差を低減でき、画質の低下を抑制できる。また、画素8を微細画素とした場合にも、Rフィルタ21R内を進む赤色光が隔壁部22に接触することを抑制でき、Gr-Gb感度差を低減でき、画質の低下を抑制できる。
【0028】
[1-3 変形例]
(1)なお、第1の実施形態では、半導体基板12の厚さ方向から見た場合(平面視した場合)における、高屈折率構造体25の平面形状を円形とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば図6及び図7に示すように、四角形、菱形としてもよい。
(2)また、第1の実施形態では、2×2のRフィルタ21Rに対応する2×2の光電変換部19において、1つの光電変換部19に対して1つの高屈折率構造体25を配置する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図8図9及び図10に示すように、4つの光電変換部19に対して共有の高屈折率構造体25を1つ配置する構成としてもよい。図8では、高屈折率構造体25の平面形状が円形である場合を例示し、以下同様に、図9では四角形である場合を例示し図10では菱形である場合を例示している。
(3)また、第1の実施形態では、高屈折率構造体25をRフィルタ21Rの裏面S5側にのみ配置する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図11図12図13図14図15及び図16に示すように、高屈折率構造体25を、カラーフィルタ層16に配置されているすべてのカラーフィルタ21(Rフィルタ21R、Gフィルタ21G、Bフィルタ21B)それぞれの裏面S5側に配置する構成としてもよい。また例えば、図17に示すように、すべてのカラーフィルタ21に共有の高屈折率構造体25を配置する構成としてもよい。図17では、1つの高屈折率構造体25でカラーフィルタ層16の裏面S5全体を覆うように高屈折率構造体25を配置した場合を例示している。
【0029】
(4)また、第1の実施形態では、半導体基板12の裏面S3と直交する断面における、高屈折率構造体25の断面形状を、矩形状とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図18に示すように、高屈折率構造体25の断面形状を、高屈折率構造体25の裏面S7(光入射面)側に向かうほど幅が狭くなっているテーパー状としてもよい。また、例えば、図19に示すように、高屈折率構造体25の断面形状を、高屈折率構造体25の裏面S7(光入射面)側に向かうほど幅が広くなっているテーパー状としてもよい。裏面S7側に向かうほど幅が広くなっているテーパー状とした場合、高屈折率構造体25をコアとし、高屈折率構造体25の周囲の底部23をクラッドとした導波路を構成でき、この導波路によって、光電変換部19の中心部に光を集めることができる。
【0030】
(5)また、第1の実施形態では、高屈折率構造体25を、カラーフィルタ21の裏面S5の直上に形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図20及び図21に示すように、高屈折率構造体25を、カラーフィルタ21の裏面S5(光入射面)から、マイクロレンズ24側に離れた位置に配置した構成としてもよい。図20では、高屈折率構造体25を底部23の内部に配置し、高屈折率構造体25の裏面S7側、並びに高屈折率構造体25とRフィルタ21Rとの間のそれぞれに底部23の材料(例えば、酸化シリコン(SiO2))からなる層が位置している場合を例示している。これにより、Rフィルタ21Rの直上の領域に、底部23の材料の層、高屈折率構造体25及び底部23の材料の層が積層された反射防止膜を構成でき、反射防止膜とRフィルタ21Rとの界面で光が反射されることを防止でき、界面に全波長域の光を透過させることができる。
【0031】
図21では、カラーフィルタ21の裏面S5(光入射面)を被覆するストッパー膜26を備えるとともに、高屈折率構造体25を、ストッパー膜26の裏面S8(光入射面)の直上に配置した構成としてもよい。これにより、ストッパー膜26を、高屈折率構造体25の形成工程でエッチングストッパーとして機能させることができる。ストッパー膜26の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)を採用できる。また、例えば、図22に示すように、高屈折率構造体25を、カラーフィルタ21の内部に配置した構成としてもよい。図22では、高屈折率構造体25の裏面S7側にカラーフィルタ21の材料(例えばカラーレジスト)からなる層が位置している場合を例示している。
【0032】
(6)また、第1の実施形態では、高屈折率構造体25を、単層構造の構造体とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図23に示すように、高屈折率構造体25を、屈折率の異なる2以上の層を含む多層構造の構造体としてもよい。これにより、高屈折率構造体25を反射防止膜として機能させることができ、反射防止膜(高屈折率構造体25)とRフィルタ21Rとの界面で光が反射されることを防止でき、界面に全波長域の光を透過させることができる。図23では、高屈折率構造体25を三層構造とし、裏面S7と反対側の面側(図23では下側の面側)から順に、酸化チタン(TiO2)の層、窒化シリコン(SiN)の層、及び酸化チタン(TiO2)の層を積層した場合を例示している。
【0033】
(7)また、第1の実施形態では、図3に示した繰り返し単位を用いてカラーフィルタ21を配列する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図24図25及び図26に示すように、m×m(mは2以上の偶数)のカラーフィルタ21を繰り返し単位とし、m×mのカラーフィルタ21の右上に位置するn×n(nはmの半分値)のカラーフィルタ21をBフィルタ21Bとし、左下に位置するn×nのカラーフィルタ21をRフィルタ21Rとし、左上に位置するn×nのカラーフィルタ21及び右下に位置するn×nのカラーフィルタ21をGフィルタ21Gとした構成としてもよい。図24ではm=2、n=1の場合を例示し、図25ではm=6、n=3の場合を例示し、図26ではm=8、n=4の場合を例示している。また、例えば、図27に示すように、m×m以外の配列を繰り返し単位として用いて、カラーフィルタ21を配列する構成としてもよい。
【0034】
(8)また、第1の実施形態では、カラーフィルタ21として、Rフィルタ21R、Gフィルタ21G及びBフィルタ21Bを有するRGBフィルタを構成した例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図28図29図30図31及び図32に示すように、Cフィルタ21C、Mフィルタ21M、Yフィルタ21Y及びWフィルタ21Wの何れかを有する光学フィルタとしてもよい。図28ではCMYフィルタを構成した場合、図29ではCMYGフィルタを構成した場合、図30及び図31ではRGBCMYフィルタを構成した場合、図32ではRGBWフィルタを構成した場合を例示している。
【0035】
(9)また、第1の実施形態では、1つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ24を配置する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図33に示すように、2以上の光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ24を配置する構成としてもよい。図33では、図2に示した光電変換部19を2つに分割した構成となっており、2つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ24を配置した場合を例示している。これにより、2つの光電変換部19の信号電荷間の差を基に、被写体までの距離を算出できる。しかし、2つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ24を配置した場合、高屈折率構造体25によって、マイクロレンズ24の集光スポットの中心と2つの光電変換部19の中心とがずれると、光電変換部19間において受光感度差(同色間感度差)を生じ、分離比率が悪化する可能性がある。これに対し、第1の実施形態では、高屈折率構造体25を、底部23のうちのRフィルタ21Rの直上の領域のみに配置し、Gフィルタ21GやBフィルタ21Bの直上の領域には配置しないため、Gフィルタ21Gに対応する光電変換部19間や、Bフィルタ21Bに対応する光電変換部19間における同色間感度差を低減できる。それゆえ、緑色や青色において分離比率の悪化を抑制できる。
【0036】
〈2.第2の実施形態:固体撮像装置〉
[2-1 要部の構成]
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。第2の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成は、図1と同様であるから図示を省略する。図34は、第2の実施形態に係る固体撮像装置1の断面構成を示す図である。図35は、図34のC-C線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。図34図35において、図2図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0037】
第2の実施形態では、図34及び図35に示すように、図2に示したカラーフィルタ層16を省略した点が、第1の実施形態と異なっている。図34及び図35では、マイクロレンズアレイ17は、平坦化膜14の裏面S1側に配置されている。また、高屈折率構造体25は、マイクロレンズアレイ17の底部23のうちの、平坦化膜14の直上の領域であって、マイクロレンズ24で集光された光の光路上の領域それぞれに配置されている。
【0038】
ここで、有効画素領域の端部側(高像高側)では、光Lの入射角度(CRA)が大きくなる。そのため、例えば、図36に示すように、高屈折率構造体25が省略された場合、光電変換部19内に光Lがそのまま入射されることで、光電変換部19内を進む光Lが光電変換部19の外周部へ到達し、光Lがトレンチ部20を透過して、光学混色を生じる可能性があった。また、光Lの透過によって量子効率QEが低下する可能性があった。
これに対し、第2の実施形態に係る固体撮像装置1では、図34に示すように、平坦化膜14の裏面S1側に高屈折率構造体25を配置した。それゆえ、マイクロレンズ24で集光された光Lを高屈折率構造体25で半導体基板12側(図34では下側)に大きく屈折させることができ、光電変換部19への光Lの入射位置を光Lの進行方向と反対側(図34では右側)にずらすことができる。そのため、光Lの入射位置と光電変換部19の外周部(図34では左端部)との間の距離を増大でき、光電変換部19内を進む光Lを光電変換部19でより確実に光電変換(吸収)できる。その結果、光Lが光電変換部19の外周部へ到達することを抑制でき、光Lがトレンチ部20を透過することを抑制でき、光学混色の発生を抑制できる。また、透過した光Lによる量子効率QEの低下を抑制できる。
【0039】
[2-2 変形例]
(1)また、第2の実施形態に係る固体撮像装置1には、第1の実施形態の変形例(1)、(2)、(4)~(6)に記載した各種構成を採用することもできる。
(2)また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置1の他、ToF(Time of Flight)センサとも呼ばれる距離を測定する測距センサ等も含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射され返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサの受光画素構造として、上述した画素8の構造を採用することができる。
【0040】
〈3.第3の実施形態:電子機器への応用例〉
本開示に係る技術(本技術)は、各種の電子機器に適用されてもよい。
図37は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置(ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等)の概略的な構成の一例を示す図である。
図37に示すように、撮像装置1000は、レンズ群1001と、固体撮像装置1002(第1の実施形態に係る固体撮像装置1)と、DSP(Digital Signal Processor)回路1003と、フレームメモリ1004と、モニタ1005と、メモリ1006とを備えている。DSP回路1003、フレームメモリ1004、モニタ1005及びメモリ1006は、バスライン1007を介して相互に接続されている。
【0041】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を固体撮像装置1002に導き、固体撮像装置1002の光入射面(画素領域)に結像させる。
固体撮像装置1002は、上述した第1の実施の形態のCMOSイメージセンサからなる。固体撮像装置1002は、レンズ群1001によって光入射面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1003に供給する。
DSP回路1003は、固体撮像装置1002から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行う。そして、DSP回路1003は、画像処理後の画像信号をフレーム単位でフレームメモリ1004に供給し、フレームメモリ1004に一時的に記憶させる。
モニタ1005は、例えば、液晶パネルや、有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなる。モニタ1005は、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、被写体の画像(動画)を表示する。
メモリ1006は、DVD、フラッシュメモリ等からなる。メモリ1006は、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出して記録する。
【0042】
なお、固体撮像装置1を適用できる電子機器としては、撮像装置1000に限られるものではなく、他の電子機器にも適用できる。また、固体撮像装置1002として、第1の実施形態に係る固体撮像装置1を用いる構成としたが、他の構成を採用することもできる。例えば、第2の実施形態に係る固体撮像装置1、及び第1~第2の実施形態の変形例に係る固体撮像装置1等、本技術を適用した他の光検出装置を用いる構成としてもよい。
【0043】
なお、本開示は、以下のような構成であってもよい。
(1)
複数の光電変換部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及び前記カラーフィルタ間に配置され、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体と、を備え、
前記高屈折率構造体は、前記高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる
光検出装置。
(2)
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの光入射面側に配置されている
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記カラーフィルタは、入射光のうちの予め定めた所定波長以上の波長域にピーク波長を持つ光を透過する第1のカラーフィルタと、入射光のうちの前記所定波長未満の波長域にピーク波長を持つ光を透過する第2のカラーフィルタとを含み、
前記高屈折率構造体は、前記第1のカラーフィルタ及び前記第2のカラーフィルタのうちの、前記第1のカラーフィルタの光入射面側にのみ配置されている
前記(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1のカラーフィルタは、赤色光を透過するカラーフィルタである
前記(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの光入射面から、前記マイクロレンズ側に離れた位置に配置されている
前記(2)から(4)の何れかに記載の光検出装置。
(6)
前記カラーフィルタの光入射面を被覆するストッパー膜を備え、
前記高屈折率構造体は、前記ストッパー膜の光入射面側に配置されている
前記(5)に記載の光検出装置。
(7)
前記高屈折率構造体は、前記カラーフィルタの内部に配置されている
前記(1)に記載の光検出装置。
(8)
前記半導体基板の光入射面と直交する断面における、前記高屈折率構造体の断面形状は、光入射面側に向かうほど幅が狭くなっているテーパー状、又は光入射面側に向かうほど幅が広くなっているテーパー状である
前記(1)から(7)の何れかに記載の光検出装置。
(9)
前記高屈折率構造体は、屈折率の異なる2以上の層を含む多層構造の構造体である
前記(1)から(8)の何れかに記載の光検出装置。
(10)
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合における、前記高屈折率構造体の平面形状は、円形、四角形又は菱形である
前記(1)から(9)の何れかに記載の光検出装置。
(11)
前記カラーフィルタのそれぞれは、瞳補正がされた位置に配置されている
前記(1)から(10)の何れかに記載の光検出装置。
(12)
複数の光電変換部が形成された半導体基板、前記半導体基板の光入射面側に配置された複数のカラーフィルタ、及び前記カラーフィルタ間に配置され、前記カラーフィルタよりも屈折率の低い材料からなる隔壁部を有するカラーフィルタ層、前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズ、並びに前記マイクロレンズで集光された光の光路上に配置された高屈折率構造体を備え、前記高屈折率構造体は、前記高屈折率構造体の光入射面に接する部材よりも屈折率の高い材料からなる光検出装置を備える
電子機器。
【符号の説明】
【0044】
1…固体撮像装置、2…画素領域、3…垂直駆動回路、4…カラム信号処理回路、5…水平駆動回路、6…出力回路、7…制御回路、8…画素、9…画素駆動配線、10…垂直信号線、11…水平信号線、12…半導体基板、13…絶縁膜、14…平坦化膜、15…受光層、16…カラーフィルタ層、17…マイクロレンズアレイ、18…配線層、19…光電変換部、19a…光電変換部、20…トレンチ部、21…カラーフィルタ、21B…Bフィルタ、21C…Cフィルタ、21G…Gフィルタ、21M…Mフィルタ、21R…Rフィルタ、21W…Wフィルタ、21Y…Yフィルタ、22…隔壁部、23…底部、24…マイクロレンズ、25…高屈折率構造体、26…ストッパー膜、1000…撮像装置、1001…レンズ群、1002…固体撮像装置、1003…DSP回路1004…フレームメモリ、1005…モニタ、1006…メモリ、1007…バスライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図20
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図22
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図26
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図32
図33
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図37