(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040896
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】フライホイール
(51)【国際特許分類】
F16F 15/31 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
F16F15/31 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145544
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】富山 直樹
(57)【要約】
【課題】迅速にジャイロ効果を低減させる。
【解決手段】フライホイール100は、入力回転体2、中間回転体3、イナーシャ部材4、及び連結部材5を備える。中間回転体3は、入力回転体2に対して径方向外側に配置される。中間回転体3は、入力回転体2と相対回転可能に配置される。イナーシャ部材4は、中間回転体2に対して径方向外側に配置される。イナーシャ部材4は、径方向に移動可能に配置される。連結部材5は、第1取付部51、第2取付部52、及び第3取付部53を有する。第1取付部51は、入力回転体2に旋回可能に取り付けられる。第2取付部52はイナーシャ部材4に旋回可能に取り付けられる。第3取付部53は、中間回転体3に径方向に移動可能に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクが入力されるように構成される入力回転体と、
前記入力回転体に対して径方向外側に配置され、前記入力回転体と相対回転可能に配置される中間回転体と、
前記中間回転体に対して径方向外側に配置され、径方向に移動可能に配置されるイナーシャ部材と、
前記入力回転体に旋回可能に取り付けられる第1取付部、前記イナーシャ部材に旋回可能に取り付けられる第2取付部、及び前記中間回転体に径方向に移動可能に取り付けられる第3取付部、を有する連結部材と、
を備える、フライホイール。
【請求項2】
前記イナーシャ部材は、環状である、
請求項1に記載のフライホイール。
【請求項3】
前記イナーシャ部材は、
複数のイナーシャ部品を有し、
拡張状態と、前記拡張状態よりも径が小さい収縮状態とに変形するように構成される、
請求項2に記載のフライホイール。
【請求項4】
前記各イナーシャ部品は、
周方向に延び、
周方向の両端部において周方向に延びる取付孔を有し、
前記取付孔が隣のイナーシャパーツの前記取付孔と軸方向視において重複するように配置され、
前記イナーシャ部材は、隣り合うイナーシャ部品を結合する結合部材を有し、
前記結合部材は、前記隣り合うイナーシャパーツの各取付孔内に周方向移動可能に配置される、
請求項3に記載のフライホイール。
【請求項5】
前記入力回転体と前記中間回転体との相対回転の範囲を規制する規制機構をさらに備える、
請求項1に記載のフライホイール。
【請求項6】
前記中間回転体を前記入力回転体に対して回転方向に付勢する付勢部材をさらに備える、
請求項1に記載のフライホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車などの転倒を抑制したり、船舶の揺れを抑制したりするために、フライホイールを搭載することが知られている。例えば、特許文献1では、ホイール内にフライホイールが取り付けられた自転車が開示されている。フライホイールは電気モータによって回転させられる。このフライホイールの回転によって生じるジャイロ効果によって、自転車の低速走行時の姿勢を安定させ、自転車の転倒を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0090440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自転車の速度が上昇し、自転車の姿勢が安定すると、フライホイールのジャイロ効果は不要になるため、電気モータを停止してフライホイールの回転を停止させてジャイロ効果を低減させる。ここで、ジャイロ効果は、フライホイールの回転速度の低下に伴い徐々に低減するが、迅速にジャイロ効果を低減させることが好ましい。
【0005】
本発明の課題は、迅速にジャイロ効果を低減させることができるフライホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係るフライホイールは、入力回転体と、中間回転体と、イナーシャ部材と、連結部材とを備える。入力回転体は、トルクが入力されるように構成される。中間回転体は、入力回転体に対して径方向外側に配置される。中間回転体は、入力回転体と相対回転可能に配置される。イナーシャ部材は、中間回転体に対して径方向外側に配置される。イナーシャ部材は、径方向に移動可能に配置される。連結部材は、第1取付部、第2取付部、及び第3取付部を有する。第1取付部は、入力回転体に旋回可能に取り付けられる。第2取付部はイナーシャ部材に旋回可能に取り付けられる。第3取付部は、中間回転体に径方向に移動可能に取り付けられる。
【0007】
このように構成されたフライホイールは、回転していない状態では、第3取付部は、第1取付部に対して回転方向に配置されている。そして、入力回転体にトルクが入力されると、入力回転体が中間回転体に対して回転方向に相対回転する。すると、第1取付部が周方向において第3取付部に近付くため、第3取付部は径方向において第1取付部から離れるように移動する。すなわち、第3取付部は径方向外側に移動する。この結果、第2取付部も径方向外側に移動するため、イナーシャ部材も径方向外側に移動する。そして、フライホイールのジャイロ効果が不要になると、入力回転体へのトルクの入力が停止される。すると、中間回転体が入力回転体よりも回転速度が速くなるため、中間回転体は、入力回転体に対して回転方向に相対回転する。これにより、第3取付部は周方向において第1取付部から離れるため、第3取付部は径方向において第1取付部に近付くように移動する。すなわち、第3取付部は径方向内側に移動する。そして、第2取付部も径方向内側に移動するため、イナーシャ部材も径方向内側に移動する。この結果、イナーシャ部材によるジャイロ効果を低減することができる。このように、フライホイールの回転速度の低下に加えて、イナーシャ部材の径を小さくすることができるため、迅速にジャイロ効果を低減することができる。
【0008】
第2態様に係るフライホイールは、第1態様に係るフライホイールにおいて、次のように構成される。イナーシャ部材は、環状である。
【0009】
第3態様に係るフライホイールは、第1又は第2態様に係るフライホイールにおいて、次のように構成される。イナーシャ部材は、複数のイナーシャ部品を有する。イナーシャ部材は、拡張状態と拡張状態よりも径が小さい収縮状態とに変形するように構成される。
【0010】
第4態様に係るフライホイールは、第3態様に係るフライホイールにおいて、次のように構成される。各イナーシャ部品は、周方向に延びる。各イナーシャ部品は、周方向の両端部において周方向に延びる取付孔を有する。各イナーシャ部品は、取付孔が隣のイナーシャパーツの取付孔と軸方向視において重複するように配置される。イナーシャ部材は、隣り合うイナーシャ部品を結合する結合部材を有する。結合部材は、隣り合うイナーシャパーツの各取付孔内に周方向移動可能に配置される。
【0011】
第5態様に係るフライホイールは、第1から第4態様のいずれかに係るフライホイールにおいて、規制機構をさらに備える。規制機構は、入力回転体と中間回転体との相対回転の範囲を規制する。
【0012】
第6態様に係るフライホイールは、第1から第5態様のいずれかに係るフライホイールにおいて、付勢部材をさらに備える。付勢部材は、中間回転体を入力回転体に対して回転方向に付勢する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、迅速にジャイロ効果を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】停止状態におけるフライホイールの規制機構の詳細を示す拡大図。
【
図3】動作状態におけるフライホイールの規制機構の詳細を示す拡大図。
【
図6】変形例に係るフライホイールの付勢部材を示す拡大図。
【
図7】変形例に係るフライホイールの付勢部材を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係るフライホイールについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、フライホイールの回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。
【0016】
<フライホイール>
図1は、停止状態におけるフライホイール100の正面図である。
図1に示すように、フライホイール100は、入力回転体2、中間回転体3、イナーシャ部材4、及び複数の連結ロッド5(連結部材の一例)を有している。フライホイール100は、回転するように構成されている。なお、フライホイール100は、
図1の反時計回りに回転する。すなわち、
図1の反時計回りが回転方向である。また、
図1の時計回りが逆回転方向である。このフライホイール100は、例えば自転車、又は船舶等に設置される。
【0017】
<入力回転体>
入力回転体2は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。入力回転体2は、円柱状又は円筒状である。入力回転体2は、電気モータ(図示省略)などによってトルクが入力されることにより回転する。なお、入力回転体2は、例えば、電気モータのロータであってもよい。
【0018】
<出力回転体>
中間回転体3は、環状である。中間回転体3は、入力回転体2に対して径方向外側に配置されている。すなわち、中間回転体3の開口部内に、入力回転体2が配置されている。中間回転体3は、複数のスリット31を有している。各スリット31は、周方向に間隔をあけて配置されている。スリット31は、径方向に延びている。
【0019】
中間回転体3は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。中間回転体3は、入力回転体2に対して所定の範囲で相対回転可能に配置されている。
【0020】
<規制機構>
中間回転体3は、入力回転体2と相対回転できる範囲が規制されている。すなわち、フライホイール100は、規制機構6を有している。
図2は、規制機構6を示す拡大図である。なお、図解を容易にするため、規制機構6と関係のない部材の記載を省略している。
【0021】
図2に示すように、入力回転体2は、その外周面において周方向に延びる複数の切欠き部21を有している。切欠き部21は、入力回転体2の外周面から径方向内側に凹んでいる。また、入力回転体2は、切欠き部21の周方向の端部において、第1当接面22と第2当接面23とを有している。すなわち、切欠き部21は、第1当接面22と第2当接面23との間に形成されている。第1当接面22は、回転方向を向いている。第2当接面23は、逆回転方向を向いている。
【0022】
中間回転体3は、複数の突出部32を有している。各突出部32は、周方向において間隔をあけて配置されている。突出部32は、中間回転体3の内周面から径方向内側に突出している。突出部32は、第1当接面22及び第2当接面23と当接するように構成されている。
【0023】
規制機構6は、この第1当接面22、第2当接面23、及び突出部32によって構成されている。規制機構6は、入力回転体2と中間回転体3との相対回転の範囲を規制するように構成されている。詳細には、規制機構6は、後述する第2取付部52が拡径位置と縮径位置との間で移動するように、入力回転体2と中間回転体3との相対回転の範囲を規制している。
【0024】
中間回転体3が入力回転体2に対して回転方向に回転すると、突出部32が第2当接面23と当接し、それ以上の相対回転を規制する。また、
図3に示すように、入力回転体2が中間回転体3に対して回転方向に回転すると、第1当接面22が突出部32と当接し、それ以上の相対回転を規制する。
【0025】
<イナーシャ部材>
図1に示すように、イナーシャ部材4は、環状である。イナーシャ部材4は、中間回転体3に対して、径方向外側に配置されている。すなわち、イナーシャ部材4の開口部内に中間回転体3が配置されている。イナーシャ部材4は、径方向に移動可能に配置されている。イナーシャ部材4は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。イナーシャ部材4は、入力回転体2と相対回転可能に配置されている。
【0026】
イナーシャ部材4は、複数のイナーシャ部品41と複数の結合ピン42(結合部材の一例)を有している。なお、本実施形態では、イナーシャ部材4は、4つのイナーシャ部品41を有している。各イナーシャ部品41は、円弧状である。各イナーシャ部品41は、周方向に配列されている。また、各イナーシャ部品41両端部は、隣り合うイナーシャ部品41の端部と軸方向視において重複している。
【0027】
イナーシャ部品41は、周方向に延びている。イナーシャ部品41は、周方向の両端部において、取付孔43を有している。取付孔43は、周方向に延びている。イナーシャ部品41の取付孔43は、隣のイナーシャ部品41の取付孔43と軸方向視において重複している。
【0028】
結合ピン42は、隣り合うイナーシャ部品41を結合している。詳細には、結合ピン42は、軸方向視において重複する2つの取付孔43内に挿入されている。結合ピン42は、この取付孔43内において、周方向に移動可能に配置されている。結合ピン42は、軸方向に延びている。結合ピン42の両端部は、取付孔43から外れないように取付孔43の幅よりも大きくなっている。
【0029】
イナーシャ部材4は、収縮状態と、拡張状態とに変形するように構成されている。なお、
図1は、収縮状態にあるイナーシャ部材4を示している。一方、
図4は、拡張状態にあるイナーシャ部材4を示している。収縮状態のイナーシャ部材4は、拡張状態のイナーシャ部材4よりも径が小さい。
【0030】
<連結ロッド>
図1に示すように、連結ロッド5は、入力回転体2、中間回転体3、及びイナーシャ部材4に取り付けられている。詳細には、連結ロッド5は、第1取付部51、第2取付部52、及び第3取付部53を有している。第1取付部51及び第2取付部52は、連結ロッド5の両端部に配置されている。第3取付部53は、第1取付部51と第2取付部52との間に配置されている。
【0031】
第1取付部51は、入力回転体2に旋回可能に取り付けられている。このため、連結ロッド5は、第1取付部51を中心に回転可能である。例えば、第1取付部51は、貫通孔又は凹部を有しており、入力回転体2から延びるピンなどの凸部がその貫通孔又は凹部に回転可能に挿入されている。もしくは、第1取付部51はピンなどの凸部を有しており、その凸部が入力回転体2に形成された凹部又は貫通孔に回転可能に挿入されている。第1取付部51は、回転軸Oから外れた位置に配置されている。
【0032】
第2取付部52は、イナーシャ部材4に旋回可能に取り付けられている。このため、連結ロッド5は、第2取付部52を中心に回転可能である。例えば、第2取付部52は、貫通孔又は凹部を有しており、イナーシャ部材4から延びるピンなどの凸部がその貫通孔又は凹部に回転可能に挿入されている。もしくは、第2取付部52はピンなどの凸部を有しており、その凸部がイナーシャ部材4に形成された凹部又は貫通孔に回転可能に挿入されている。
【0033】
第2取付部52は、第1取付部51を基準にして、収縮位置と拡径位置との間で移動する。
図1では、第2取付部52は縮径位置にある。第2取付部52が縮径位置にあるとき、第2取付部52は、第1取付部51に対して回転方向に位置している。なお、第2取付部52が縮径位置にあるとき、イナーシャ部材4は収縮状態にある。
【0034】
図4は、動作中のフライホイールを示す正面図である。
図4では、第2取付部52は拡径位置にある。第2取付部52が拡径位置にあるとき、第2取付部52が縮径位置にあるときに比べて、第2取付部52は、第1取付部51との周方向の距離が小さくなる。すなわち、拡径位置における第2取付部52と第1取付部51との周方向における距離は、縮径位置における第2取付部52と第1取付部51との周方向の距離よりも小さい。好ましくは、第2取付部52は、径方向視において、第1取付部51と重複するように配置されている。このように、第2取付部52が拡径位置にあるとき、第2取付部52が縮径位置にあるときと比べて、第2取付部52は、第1取付部51との周方向の距離が小さくなるため、第1取付部51との径方向における距離が大きくなる。すなわち、第2取付部52は、径方向外側に移動する。この結果、第2取付部52が取り付けられるイナーシャ部材4も径方向外側に移動し、イナーシャ部材4は拡張状態となる。
【0035】
図1に示すように、第3取付部53は、中間回転体3に径方向に移動可能に取り付けられている。すなわち、第3取付部53は、中間回転体3に対して径方向に移動可能である一方で、中間回転体3と一体的に回転する。具体的には、第3取付部53は、軸方向に延びるピンなどの凸部を有している。この凸部が、中間回転体3のスリット31内に配置されている。第3取付部53の凸部は、スリット31内を径方向に移動することができる。
【0036】
<動作>
電気モータなどから入力回転体2にトルクが入力されると、入力回転体2は回転方向に回転する。ここで、入力回転体2は、中間回転体3に対して回転方向に相対回転する。この結果、連結ロッド5の第1取付部51が周方向において第3取付部53と近づくため、第3取付部53は、径方向において第1取付部51から離れる方向に移動する。すなわち、第3取付部53はスリット31内を径方向外側に移動する。これに伴い、第2取付部52は周方向において第1取付部51に近づくように移動するとともに、径方向において第1取付部51から離れるように移動する。すなわち、第2取付部52は、縮径位置から拡径位置へと移動する。
【0037】
この結果、
図4に示すように、各イナーシャ部品41は、径方向外側に移動するとともに、互いに周方向に離れるように移動する。すなわち、イナーシャ部材4は、径方向外側に移動し拡張状態に変形する。このとき、第1取付部51、第3取付部53、及び第2取付部52は、径方向に沿って並んでいる。すなわち、連結ロッド5は、径方向に延びている。そして、入力回転体2の第1当接面22が中間回転体3の突出部32と当接すると、入力回転体2は中間回転体3及びイナーシャ部材4と一体的に回転する。
【0038】
次に、フライホイール100によるジャイロ効果が不要になると、電気モータからのトルクの出力を停止する。これにより、入力回転体2の回転速度が低下し、中間回転体3の方が入力回転体2よりも回転速度が速くなり、中間回転体3が、入力回転体2に対して回転方向に相対回転する。すると、第3取付部53は、周方向において第1取付部51から離れるため、径方向において第1取付部51に近付くように移動する。すなわち、第3取付部53は、スリット31内を径方向内側に移動する。これに伴い、第2取付部52は、周方向において第1取付部51から離れるように移動するとともに、径方向において第1取付部51と近づくように移動する。すなわち、第2取付部52は、拡径位置から縮径位置へと移動する。
【0039】
この結果、
図1に示すように、各イナーシャ部品41は、径方向内側に移動するとともに、周方向において互いに近づくように移動する。すなわち、イナーシャ部材4は、径方向内側に移動し、収縮状態に変形する。このとき、連結ロッド5は、径方向に延びる状態から、第1取付部51を中心に回転方向に傾斜した状態となる。そして、中間回転体3の突出部32が第2当接面23に当接すると、中間回転体3は入力回転体2と一体的に回転する。
【0040】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0041】
(a)上記実施形態では、イナーシャ部材4は、環状に形成されていたが、環状でなくてもよい。例えば、イナーシャ部材4は、1つのイナーシャ部品41のみを有していてもよい。
【0042】
(b)フライホイール100は、付勢部材をさらに備えていてもよい。付勢部材は、中間回転体3を入力回転体2に対して回転方向に付勢するように構成されている。例えば、
図5に示すように、フライホイール100は、付勢部材としてトーションばね7aを有していてもよい。トーションばね7aは、第1アーム部71が入力回転体2に取り付けられており、第2アーム部72が連結ロッド5の第3取付部53に取り付けられており、バネ部73が連結ロッド5の第1取付部51に取り付けられている。トーションばね7aは、第1取付部51を中心に、連結ロッド5を回転方向に付勢している。すなわち、中間回転体3が入力回転体2に対して回転方向に付勢されている。これにより、イナーシャ部材4が収縮状態から拡張状態に変形するとき、急激に変形することを抑制することができる。また、フライホイール100の非動作時において、イナーシャ部材4の収縮状態を維持することができる。
【0043】
図6に示すように、フライホイール100は、付勢部材として、コイルスプリング7bを有していてもよい。コイルスプリング7bは、入力回転体2の切欠き部21内に配置されている。また、コイルスプリング7bは、第1当接面22と突出部32との間に配置されている。これにより、コイルスプリング7bは、中間回転体3を入力回転体2に対して回転方向に付勢している。
【0044】
また、
図7に示すように、コイルスプリング7bは、スリット31内に配置されていてもよい。この場合、コイルスプリング7bは、連結ロッド5の第3取付部53を径方向内側に付勢している。これにより、連結ロッド5の第3取付部53は、中間回転体3を回転方向に押圧する。この結果、コイルスプリング7bは、中間回転体3を入力回転体2に対して回転方向に付勢していることとなる。
【符号の説明】
【0045】
2 :入力回転体
3 :中間回転体
4 :イナーシャ部材
41 :イナーシャ部品
42 :結合ピン
43 :取付孔
5 :連結ロッド
51 :第1取付部
52 :第2取付部
53 :第3取付部
6 :規制機構
7a :トーションばね
7b :コイルスプリング
100 :フライホイール