(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004093
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ベルト
(51)【国際特許分類】
B65G 15/30 20060101AFI20240109BHJP
B65G 15/34 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65G15/30 A
B65G15/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103565
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】川本 啓司
(72)【発明者】
【氏名】深草 孝郎
【テーマコード(参考)】
3F024
【Fターム(参考)】
3F024AA19
3F024BA05
3F024CA02
3F024CA04
3F024CB04
(57)【要約】
【課題】接合部においても他の部分と同様の通気性および表面状態を有するメッシュ構造のベルトを提供すること。
【解決手段】耐熱性繊維を含むロービングの織布と、ロービングの表面の少なくとも一部を被覆するフッ素樹脂とを含み、且つ、ロービングの経糸と緯糸とが網目状に交差しているメッシュ基材からなるベルト基材を具備するベルトが提供される。ベルト基材は、経糸に沿う方向に第1端部と第2端部とを有する帯形状を有している。ベルト基材が環状構造を成すように、第1端部と第2端部とが互いに絡み合って接合されている。第1端部と第2端部との接合部は、経糸の第1端部に位置する第1経糸端部が第2端部に編込まれ、且つ、経糸の第2端部に位置する第2経糸端部が第1端部に編込まれていることにより構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性繊維を含むロービングの織布と前記ロービングの少なくとも一部を被覆するフッ素樹脂とを含み、且つ、前記ロービングの経糸と緯糸とが網目状に交差しているメッシュ基材からなるベルト基材を具備するベルトであって、
前記ベルト基材は前記経糸に沿う方向に第1端部と第2端部とを有する帯形状を有しており、
前記ベルト基材が環状構造を成すように前記第1端部と前記第2端部とが互いに絡み合って接合されており、
前記第1端部と前記第2端部との接合部は、前記経糸の前記第1端部に位置する第1経糸端部が前記第2端部に編込まれ、且つ、前記経糸の前記第2端部に位置する第2経糸端部が前記第1端部に編込まれていることにより構成されている、ベルト。
【請求項2】
前記メッシュ基材は、1mm2以上の大きさの網目を有する、請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記ロービングは、0.5mm以上2mm以下の範囲内の径を有する丸紐形状を有する、請求項1又は2に記載のベルト。
【請求項4】
前記ロービングは、0.5mm以上2mm以下の範囲内の厚みを有する平紐形状を有する、請求項1又は2に記載のベルト。
【請求項5】
前記織布は、からみ織りのものである、請求項1又は2に記載のベルト。
【請求項6】
前記織布は、模紗織りのものである、請求項1又は2に記載のベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ベルト、特に製品等の製造に使用されるベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシールなど、各種製品を製造する際に用いられるベルトは、例えば、ベルト基材の長さ方向の端部同士が接合された、無端状あるいは環状をしている。ベルト基材の接合方法として、オーバーラップ接合が知られている。
【0003】
また、ベルト基材としてメッシュ基材を用いた搬送用ベルトが知られている。メッシュ構造のベルトは通気性が良いため、製造工程に冷却や乾燥が含まれる場合に有利である。加熱の際は、ベルト上空からだけでなくベルト基材の裏側からも効率良く加熱することが可能になる。洗浄工程を含む場合には、水切りに使用できるという利点もある。さらには、メッシュベルトは蒸気乾燥を含む製造にも好適に使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-8361号公報
【特許文献2】国際公開第WO2011/004848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーバーラップ接合を用いて製造されたベルトの一例を
図11及び
図12に示す。
図11及び
図12は、環状もしくは無端状のベルト90が、ロール2に取り付けられた状態を示す。
図11は斜視図で、
図12は、ベルト基材の進行方向に沿った断面図である。
図12の破線で囲まれた領域中の断面図は、ベルト90の接合部の拡大断面図である。ベルト90は、ベルト基材の長さ方向の両端部91,92が重ね合わされて接合されたものである。ここでいう長さ方向は、ベルト90の進行方向99に沿う方向をいう。
【0006】
端部91と端部92とは、典型的には熱融着により接合される。端部91と端部92との間に、例えば、溶融樹脂を挟み込み加熱および冷却することで接合層93を形成して、ベルト基材を融着させる。溶融樹脂には、例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)やテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)から成るメルト系フッ素樹脂製フィルムが用いられる。
【0007】
オーバーラップ接合は、メッシュベルトには適さない。上述のとおりオーバーラップ接合では、基材と基材の間に樹脂フィルム等を挟み込む為、メッシュベルトに適用した場合に接合部のみ通気性が無くなる。従って、接合部ではメッシュ基材を用いることの利点が損なわれることになる。また、接合部とその他の本体部分との間で、状態が異なる。加えて、メッシュタイプの基材は平織のものと比べて融着面積が狭いうえ凹凸がある為、熱融着が難しい。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、接合部においても他の部分と同様の通気性および表面状態を有するメッシュ構造のベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、耐熱性繊維を含むロービング(roving)の織布と、ロービングの表面の少なくとも一部を被覆するフッ素樹脂とを含み、且つ、ロービングの経糸(タテ糸)と緯糸(ヨコ糸)とが網目状に交差しているメッシュ基材からなるベルト基材を具備するベルトが提供される。ベルト基材は、経糸に沿う方向に第1端部と第2端部とを有する帯形状を有している。ベルト基材が環状構造を成すように、第1端部と第2端部とが互いに絡み合って接合されている。第1端部と第2端部との接合部は、経糸の第1端部に位置する第1経糸端部が第2端部に編込まれ、且つ、経糸の第2端部に位置する第2経糸端部が第1端部に編込まれていることにより構成されている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のベルトは、接合部においても他の部分と同様の通気性および表面状態を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るベルトの一例を概略的に示す斜視図。
【
図2】実施形態に係るベルトのベルト基材の一例を概略的にを示す斜視図。
【
図3】実施形態に係るベルトの一例の基材端部接合の一段階を概略的に示す平面図。
【
図4】
図3に示す段階より後の段階を概略的に示す平面図。
【
図5】
図4に示す段階より後の段階を概略的に示す平面図。
【
図6】実施形態に係るベルトの一例の接合部を概略的に示す平面図。
【
図7】実施形態に係るベルトの他の例の基材端部接合の一段階を概略的に示す平面図。
【
図8】
図7に示す段階より後の段階を概略的に示す平面図。
【
図9】
図8に示す段階より後の段階を概略的に示す平面図。
【
図10】実施形態に係るベルトの他の例の接合部を概略的に示す平面図。
【
図11】オーバーラップ接合を用いて製造されたベルトの一例を概略的に示す斜視図。
【
図12】
図11に示すベルトのベルト基材の進行方向に沿う概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0013】
図1は、実施形態に係るベルト1がロール2に装着された状態を示している。
図2は、ベルト1のベルト基材100の一例を概略的に示す斜視図である。
図2では、からみ織りによって織られたメッシュ基材を例示する。ベルト基材はメッシュ基材であればよく、からみ織りのものに限られない。また、図示するメッシュ基材の例ではロービング(並びに経糸101および緯糸102)は円形断面の丸紐形状を有しているが、ロービングの形状は丸紐形状に限られない。例えば、ロービングは平麺のような平紐形状を有し得る。
【0014】
ベルト1は、ベルト基材100を環状もしくは無端状に接合したものである。ベルト基材100は、例えば、耐熱性繊維を含んだロービング103の織布と、ロービング103を被覆するフッ素樹脂104とを含む。ロービング103は、例えば、複数の耐熱性繊維(耐熱性材料より形成されたストランド)を丸紐形状又は平紐形状に束ねたものであり得る。フッ素樹脂104は、織布が含むロービング103の表面を全て被覆していても、または一部を被覆していても良い。例えば、織布内でロービング103同士が交差する接触面には、フッ素樹脂104の被膜が有っても無くても良い。
【0015】
織布には、例えば、ロービング103を用いてからみ織り又は模紗織りによって織られたメッシュクロスを用いる。ロービング103には、経糸101及び緯糸102が含まれる。つまり、ベルト基材100は、ロービング103の経糸101と緯糸102とが網目状に交差して成るメッシュ基材である。ベルト基材100は、例えば、ロービング103が織られて得られた織布にフッ素樹脂を塗布したメッシュ基材であり得る。
【0016】
経糸101は、ベルト1のタテ方向に沿う。ここでいうタテ方向は、ベルト1の進行方向3、例えば、コンベアベルト等の搬送物を搬送する用途における搬送方向、つまりベルト1の機械方向(Machine Direction;MD)を指す。緯糸102は経糸101と交差しており、ベルト1のヨコ方向(Transverse Direction;TD)に沿う。
【0017】
ベルト1が含むベルト基材100は、経糸101に沿う方向に第1端部と第2端部とを有する帯形状を有するが、
図1では第1端部と第2端部とが接合されているためこれら端部は明示されていない。この接合は、第1端部と第2端部とが互いに絡み合って成っている。具体的には、第1端部と第2端部との接合部は、経糸101のうち第1端部に位置する第1経糸端部が第2端部に編込まれ、且つ、経糸101のうち第2端部に位置する第2経糸端部が第1端部に編込まれていることにより構成されている。
図1に、第1端部および第2端部にそれぞれ編込まれた第1経糸端部および第2経糸端部のウィービング(編込み)101aを図示する。第1端部および第2端部は、ベルト1の帯形状の長辺方向への両端部であり得る。
【0018】
ベルト基材100はメッシュ状に織られた基材であり、平織の織布と異なり目が開いている。そのため、ロービング103の部分(糸部分)がベルト基材100の平面に対する凸部になる。ロービング103の部分以外は、開口している。このような編み目構造に起因して、メッシュ基材にはオーバーラップ接合の適用が難しい。オーバーラップ接合では、ベルト両端部のそれぞれにて糸部分のみで融着することにより接合させる。そのため、メッシュ基材の場合は平織の織布よりも接着面積が小さい。接着面積が小さいことに起因して、熱融着が難しい。特に、現場にてオーバーラップ接合を実施することが難しい。
【0019】
加えて、オーバーラップ接合をメッシュベルトに適用した場合は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)やテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)等の樹脂フィルムなどによって開口部分が塞がれる。接合部分のみ通気性が無くなるので、加熱工程を含む用途では、部分的に加熱不足などが生じる。これに対し実施形態に係るベルトでは、経糸の第1端部側および第2端部側のそれぞれに在る部分同士を絡めることで接合部を形成している。当該接合部では、その他のベルト本体部分と同様の通気性および表面状態が得られる。
【0020】
メッシュ基材は、例えば、1mm2(例えば、1 mm × 1 mm)以上の大きさ(面積)の網目を有し得る。このように大きな開口を有するメッシュ基材は、良好な通気性を示すことができる。また、メッシュ基材の網目の大きさは、例えば、100mm2(例えば、10 mm × 10 mm)以下であり得る。具体的な例として、25mm2(5 mm × 5 mm)の大きさの網目を有するメッシュ基材が挙げられる。
【0021】
ベルト基材に含まれる材料について説明する。耐熱性繊維の例として、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、及びガラス繊維とアラミド繊維とを混合したものなどが挙げられる。ガラス繊維は、不燃性であり、かつ電気絶縁性を有する。一方、アラミド繊維は、強度に優れ、かつ耐薬品性を有する。
【0022】
耐熱性繊維を含んだロービングの形状および寸法は、特に制限されるものではない。例えば、耐熱性繊維のロービングは、0.5mm以上2mm以下の範囲内の径を有する丸紐形状を有し得る。或いは、ロービングは、0.5mm以上2mm以下の範囲内の厚みを有する平紐形状を有し得る。
【0023】
フッ素樹脂の例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)などが挙げられる。フッ素樹脂の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0024】
ベルト基材は、フッ素樹脂に混合または分散されている充填材を含有していても良い。充填材の例として、炭素材料、無機物(酸化チタン、窒化ホウ素、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)、各種顔料を挙げることができる。使用する充填材の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。充填材の形態は、特に限定されず、粒状、繊維状、針状などにすることができる。
【0025】
ベルト基材の長辺に沿って補強部材を設けることが望ましい。メッシュタイプの織布では、平織の織布と比べてフッ素樹脂によるロービング同士を固める強度(拘束力)が弱く、ロービングの解れが発生し得る。ベルトの縁に補強部材を設けることにより、ベルト基材を構成するロービングの解れを防止できる。そうすることにより、例えば、ベルトの強度を高めてハンドリングを良好にしたり搬送物による荷重への耐性を向上させたりすることができる。また、補強部材はベルトと搬送機構との接触部分を保護し得る。補強部材としては、例えば、平織の織布を用いることができる。また、ベルト基材の本体部分と同様のメッシュ基材をベルト長辺の縁に重ねて、補強部材としてもよい。さらには、重ねたメッシュ基材の間に平織の織布を挟んで、補強部材としてもよい。
【0026】
実施形態に係るベルトを得るためのベルト基材の両端部の接合方法の概要は、次のとおりである。先ず、ベルト基材の両端にて緯糸を抜き取り、経糸だけを残す。一方の端部の経糸を他方の端部に差し込み、差し込んだ後、経糸に絡める。同様に、他方の端部の経糸をもう一方の端部に差し込み、差し込んだ後、経糸に絡める。つまり、それぞれの端部の経糸を、互いに他方の端部へ編み込む。ここでは、このように経糸を編込んだ(絡めた)接合部分をウィービングと呼称する。また、当該接合方法を、ウィービング法と呼称する。
【0027】
以下、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0028】
図3から
図6において、ベルト基材の第1端部と第2端部とを接合させる方法の一例を概略的に示す。
図3から
図6では、からみ織りで織られたベルト基材100を用いた例を示す。
【0029】
図3に示すように、ベルト基材100の長辺方向の第1端部10及び第2端部20の両端にて、緯糸を抜き取り、経糸だけを残す。具体的には、第1端部10側にて第1端部緯糸12を抜き取り、経糸の第1端部10側の第1経糸端部11の先端部分だけを残した部分を得る。この先端部分を、第2端部20に差し込んで編込む第1編込み経糸11a(2本1組)とする。同様に第2端部20側にて第2端部緯糸22を抜き取り、経糸の第2端部20側の第2経糸端部21の先端部分だけを残した部分を得る。この先端部分を、第1端部10に差し込んで編込む第2編込み経糸21a(2本1組)とする。緯糸を抜く方法としては、例えば、経糸と経糸の間をハサミで所定の長さまで切断した後、短くなった緯糸を経糸から引き抜く。
【0030】
図示する例では、第1端部10側の第1編込み経糸11aと第2端部20側の第2編込み経糸21aとが重ならないよう、第1端部緯糸12を抜き取った後の第1経糸端部11の一部を結んで切り落とし、第2端部緯糸22を抜き取った後の第2経糸端部21の一部を結んで切り落としている。ここで、ベルト基材100の幅方向(TD方向)に並ぶ経糸の単一の列にて第1端部10側と第2端部20側との両方で経糸を切断することはなく、ベルト基材100の幅方向に第1端部10側と第2端部20側とで交互に経糸の端部を切断している。また、得られる接合部とその他のベルト本体部分との状態の違いの軽減のために、ベルトのタテ方向(MD方向)への第1端部10側に残った結び目11bの配置を交互にずらし、タテ方向への第2端部20側に残った結び目21bの配置を交互にずらしている。さらに、第1端部10側の結び目11bと第2端部20側の結び目21bとが隣接しないよう、結び目の手前に一部の緯糸が残る位置で経糸の切断を行っている。
【0031】
次いで、
図4に示すように、第1編込み経糸11aを第2端部側に差し込み、第2編込み経糸21aを第1端部側に差し込む。続いて、
図5に示すように第1端部側からの第1編込み経糸11aを第2端部側の第2経糸端部21に編込み(絡め)、第2端部側からの第2編込み経糸21aを第1端部側の第1経糸端部11に編込む(絡める)。なお、
図5では理解の促進のため、ベルト基材100の幅方向(TD方向)の片側から反対側にかけて編込みが進む様子の概略を二段階に分けて(7列-7列)表している。
図5の左側では経糸の切断箇所の結び目の手前の緯糸に先ず編込み経糸を絡める様子を表しており、右側ではさらに結び目より先の相手側の経糸に編込み経糸を絡める様子を表している。そして
図6に示すように第1編込み経糸11aの先端を第2端部側にて結んで固定し、第2編込み経糸21aの先端を第1端部側に結んで固定する。
【0032】
第2端部への第1編込み経糸11aの編込み及び第1端部への第2編込み経糸21aの編込みを完了して接合部120が形成され、環状構造を成すように両端部が接合部120にて接合されたベルト1が得られる。
【0033】
図7から
図10において、ベルト基材の第1端部と第2端部とを接合させる方法の他の例を概略的に示す。
図7から
図10では、模紗織りで織られたベルト基材100を用いた例を示す。
図3から
図6で説明したからみ織りの場合と重複するため、詳細な説明は省略する。なお、
図7から
図10では、理解の促進のために第1端部10側と第2端部20側とを色分けしているが、第1経糸端部11の各々と第2経糸端部21の各々とは、同一の経糸の両端であり得る。
【0034】
以上のウィービング法により、メッシュタイプのベルトにて接合部の通気性および表面状態をベルト本体部分と同様にすることができる。また、ウィービング法には、例えば、大型設備や側面からベルトを取り付ける事が困難な設備に適用するベルトについて、現場の設備にベルト基材を通した後に編込み(絡め)作業による接合を容易に実施することができるという利点がある。
【0035】
実施形態に係るベルトは、例えば、ヒートシール機用ベルト、食品製造ライン、冷凍食品製造ライン、プラスチックフィルム及び床材などの製造ライン等に使用されるコンベアベルトとして、製品の製造に使用され得る。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0037】
1…ベルト、2…ロール、3…進行方向、10…第1端部、11…第1経糸端部、11a…第1編込み経糸、11b…結び目、12…第1端部緯糸、20…第2端部、21…第2経糸端部、21a…第2編込み経糸、21b…結び目、22…第2端部緯糸、90…ベルト、91,92…端部、93…接合層、99…進行方向、100…ベルト基材、101…経糸、101a…ウィービング、102…緯糸、103…ロービング、104…フッ素樹脂、120…接合部。