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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040938
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】健康状態推定システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240318BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240318BHJP
【FI】
A01K29/00 B
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145608
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】520336470
【氏名又は名称】株式会社ミグラトリア
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】寄崎 理真
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】測定対象物の体重測定等センサを用いたセンサデータのみならず、センサでは把握できないユーザ等からの情報も用いて測定対象物の健康状態を推定するとともに、推定された測定対象物の健康状態を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザによる一次予防の実行や円滑な二次予防への移行に資する。
【解決手段】ユーザが用いるユーザ情報端末1と、医療関係機関が用いる医用情報端末2と、測定対象物の状態に関する情報を格納し、ユーザ情報端末1または医用情報端末2からのアクセスを受け付けるサーバ3と、を備え、サーバ3は、測定対象物の状態を測定する測定装置4において取得されるセンサデータや測定対象物に対するユーザまたは医療関係機関からの非センサデータを取得する情報取得部31と、センサデータ及び非センサデータを用いて測定対象物に関する特徴量を算出し測定対象物の健康状態を推定する演算部34と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を飼育するユーザが用いるユーザ情報端末と、
前記測定対象物の診断、治療を行う医療関係機関が用いる医用情報端末と、
前記測定対象物の状態に関する情報を格納し、前記ユーザ情報端末または前記医用情報端末からのアクセスを受け付けるサーバと、を備え、
前記サーバは、
前記ユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置において取得される測定対象物に関する測定可能なセンサデータや前記測定対象物に対する前記ユーザまたは前記医療関係機関からの非センサデータを取得する情報取得部と、
前記情報取得部において取得された前記センサデータ及び前記非センサデータを用いて前記測定対象物に関する特徴量を算出し前記測定対象物の健康状態を推定する演算部と、
を備えることを特徴とする健康状態推定システム。
【請求項2】
前記演算部は、算出した前記特徴量を予め生成された数理モデルに入力することで前記測定対象物の健康状態を推定することを特徴とする請求項1に記載の健康状態推定システム。
【請求項3】
前記演算部は、推定した前記測定対象物の健康状態について未病の可能性を数値化して算出することを特徴とする請求項2に記載の健康状態推定システム。
【請求項4】
前記ユーザが前記ユーザ情報端末を用いて前記サーバにアクセスするに当たり、前記ユーザが自己のアカウント内で、提携する前記医療関係機関を指定することによって、指定された前記医療関係機関は、前記サーバに格納されている前記ユーザが保有する前記センサデータ、或いは、前記非センサデータにアクセスが可能とされることを特徴とする請求項1に記載の健康状態推定システム。
【請求項5】
前記サーバには、さらに、前記演算部によって推定された前記測定対象物の健康状態を示す情報について、少なくとも前記ユーザ情報端末に対して報知する出力部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の健康状態推定システム。
【請求項6】
前記出力部は、前記ユーザによって指定された前記医療関係機関が存在する場合には、前記ユーザ情報端末に対して報知される前記健康状態を示す情報を指定された前記医療関係機関の医用情報端末に対しても報知することを特徴とする請求項5に記載の健康状態推定システム。
【請求項7】
前記出力部は、前記健康状態を示す情報を前記ユーザ、前記医療関係機関のいずれか一方、或いは、その両方に報知するに当たって、前記ユーザ、或いは、前記医療関係機関が指定した表示態様に合わせて報知内容の前記表示態様を加工することを特徴とする請求項5に記載の健康状態推定システム。
【請求項8】
前記測定装置は、前記測定対象物が飼育されるケージに設けられ、前記測定装置によって取得される前記センサデータは、少なくとも前記測定対象物の体重値及び前記測定対象物が置かれている環境状態を測定するための環境測定センサによって測定される値であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の健康状態推定システム。
【請求項9】
前記環境測定センサは、気温、湿度、気圧の少なくともいずれか1つの前記環境状態を測定するセンサであることを特徴とする請求項8に記載の健康状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、健康状態推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化社会を背景に室内でのみ飼育できるペットのニーズが高まっている。室内飼育ペットの対象は、主なものとして猫やウサギ、モルモット、或いは、鳥を挙げることができる。特に小鳥は飼育が容易であり、多くの人が小鳥をペットとして選んでいる。しかし小鳥は小さく繊細なため、病気の発見が遅れると致命的となる。
そのために、如何に病気を予防、或いは、早期発見できるように飼育するか、という、いわゆる予防医学の観点が必要となる。この予防医学に基づいた飼育が行われることによって、鳥の救命率を向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0003】
予防医学は、3つの段階で実施されることが想定されている。一次予防は、栄養管理や適度な運動を行うことで病気にならないようにする。二次予防は、日常における状態変化を把握し、定期的に健康診断を行うことで、病気の早期発見、早期治療を促す。そして三次予防は、投薬治療やリハビリテーションといった、既に罹病した場合において病気の進行を止める、或いは、軽減するものである。
これをペットである、例えば、鳥に当てはめると、一次予防は飼育環境の管理、体重測定に基づいた食事量の管理、鳥に合わせた規則正しい生活を行わせることで病気になりにくい体にすることである。二次予防は、日頃の体重管理や排泄物の様態変化を把握することや動物病院での健康診断を行うことで病気の早期発見をすることである。すなわち、日頃の体重管理や排泄物の様態変化を把握することで病気の徴候を発見することである。さらに三次予防としては、動物病院での治療が該当する。
【0004】
予防医学の観点において、動物病院が関与する処置は、獣医師等、いわばプロが関与する部分であり、概ね適切な処置が行われる。一方、特に一次予防や二次予防は、飼い主が主体的に行うものであり、対応が困難である場合もある。例えば、一次予防において食事の管理は、飼い主が与えるエサの量を調整する。但し、適切なエサの量は飼育する鳥によって異なり、また、日々の鳥の体調によっても異なってくるものである。そのため、日々適切な量のエサを与えることは大変である。
【0005】
また、日常的な変化は、例えば体重を測定することによってその変化等を把握することができるが、全ての飼い主にとって簡易に体重測定ができるわけではない。すなわち、そもそも対象の鳥を掴むことができないと体重測定ができず、或いは、鳥が空腹状態である時に体重を測定することが好ましいが、中々鳥の空腹状態を把握することは困難である。
また、体重測定を行うことができても、鳥にはストレスが掛かってしまう可能性がある。一方飼い主にとっては測定結果を常に記録しておき、必要に応じて獣医師等に提示する必要があり、これを適切に行うことは負担となることも考えられる。
ここで例えばペットの中でも、例えば、猫に関してその活動状態を把握することが可能な見守り方法として、例えば、以下の特許文献1に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2021/014588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている動物の行動情報を取得するサービスを提供するサーバでは、猫の行動データをユーザ端末に送信するが、そもそも動物の行動は飼育環境やユーザ(飼い主)の習慣により偏向する可能性があり、行動データが示す情報が必ずしも一次予防に寄与するとは限らない。
【0008】
また、当該行動データの取得には、猫にセンサを装着することによって行われるが、猫や犬等、ある程度大きな動物の場合はともかく、小さな動物、特に小鳥に対しては動物の大きさに比してセンサが大きすぎることになり、行動の抑制を招きかねない。行動の抑制は正確な行動データの取得の観点からは適切ではなく、またセンサが装着されることによって健康が害される可能性もある。
さらに行動データが示す情報は、直接動物の身体を測定して得られる情報に比べてあくまでも間接的な指標にとどまるものと考えられ、病気であるかどうかを検討する場合に必要な情報の精度としては十分ではない可能性がある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、測定対象物の体重測定等センサを用いたセンサデータのみならず、センサでは把握できないユーザ等からの情報も用いて測定対象物の健康状態を推定するとともに、推定された測定対象物の健康状態を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザによる一次予防の実行や円滑な二次予防への移行に資することができる健康状態推定システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施の形態における健康状態推定システムは、測定対象物を飼育するユーザが用いるユーザ情報端末と、測定対象物の診断、治療を行う医療関係機関が用いる医用情報端末と、測定対象物の状態に関する情報を格納し、ユーザ情報端末または医用情報端末からのアクセスを受け付けるサーバと、を備え、サーバは、ユーザが測定対象物を飼育する際に用いる測定対象物の状態を測定する測定装置において取得される測定対象物に関する測定可能なセンサデータや測定対象物に対するユーザまたは医療関係機関からの非センサデータを取得する情報取得部と、情報取得部において取得されたセンサデータ及び非センサデータを用いて測定対象物に関する特徴量を算出し測定対象物の健康状態を推定する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明はこのような構成を採用したことから、測定対象物の体重測定等センサを用いたセンサデータのみならず、センサでは把握できないユーザ等からの情報も用いて測定対象物の健康状態を推定するとともに、推定された測定対象物の健康状態を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザによる一次予防の実行や円滑な二次予防への移行に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における健康状態推定システムの全体構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態における測定装置をケージに取り付けた状態を示す全体図である。
図3】本発明の実施の形態における測定装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態におけるサーバの内部構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末、或いは、医用情報端末において表示される画面の一例を示す画面例である。
図6】本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末、或いは、医用情報端末において表示される画面の一例を示す画面例である。
図7】本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末、或いは、医用情報端末において表示される画面の一例を示す画面例である。
図8】本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末、或いは、医用情報端末において表示される画面の一例を示す画面例である。
図9】本発明の実施の形態における健康状態を推定する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[健康状態推定システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSの全体構成を示す構成図である。健康状態推定システムSは、例えば、インターネット等の情報通信ネットワークNに健康状態推定システムSを構成する各機器が接続されることによって構成される。
このように、図1における情報通信ネットワークNに接続される健康状態推定システムSは、2つのユーザ情報端末1A,1B(以下、ユーザ情報端末1A,1Bについてまとめて表す場合には、適宜「ユーザ情報端末1」と表す。)と、医用情報端末2と、サーバ3と、2つの測定装置4A,4B(以下、測定装置4A,4Bについてまとめて表す場合には、適宜「測定装置4」と表す。)とを備えている。
ユーザ情報端末1は、測定対象物である動物(ペット)を飼育する者(以下、このような者を適宜「ユーザ」と表す)が利用する情報端末であり、測定対象物についての情報を入力し、或いは、当該測定対象物に関する健康状態に関する情報を取得し表示させるために用いられる。
【0014】
図1においては、各ユーザ情報端末1A,1Bは、それぞれ形態を違えて示されている。これは、測定対象物を飼育する者によって利用するユーザ情報端末1が異なるからである。測定対象物を多数飼育する、例えば、動物園やペットショップの場合には、一例として事務所等に設置されているパーソナルコンピュータやタブレット等がユーザ情報端末1Aとして利用される。一方、例えば、ペットの飼い主が個人の場合には、例えば、スマートフォン等の携帯情報端末であるユーザ情報端末1Bが利用されることを念頭に置いている。
【0015】
このように、ユーザが利用するユーザ情報端末1の形態については、様々な形態を採用しうる。また、図1においては示していないが、ユーザが保持する形態ではなく、例えば身につける状態(ウェアラブル)で用いられる機器をユーザ情報端末1として採用することも可能である。このようにユーザ情報端末1については、様々な形態を採用することができるが、いずれも同じ機能、構成を備えている。この点については、後述する。
【0016】
次に医用情報端末2は、例えば、獣医師や動物病院(以下、これらをまとめて「医療関係機関」と表す。)が利用する情報端末である。医用情報端末2は、ユーザからの許可があることを前提に、例えば、測定対象物についての情報を入力し、或いは、当該測定対象物に関する健康状態に関する情報を取得し表示させるために用いられる。
図1に示す健康状態推定システムSには1つの医用情報端末2しか示されていないが、もちろん複数の医用情報端末2が接続されていても良い。また、医用情報端末2の形態についてもユーザ情報端末1の場合同様、様々な形態を採用することができる。
【0017】
なおユーザ情報端末1や医用情報端末2は、上述したように、スマートフォン等の携帯情報端末、或いは、パーソナルコンピュータ等の機器である。従って、少なくてもユーザや医療関係機関が情報を入力することができる入力部、推定された健康状態等、様々な情報を閲覧することができる表示部、及び、情報通信ネットワークNを介して情報をやり取りすることができる通信制御部が備えられていれば、その他の構成については任意である。従って、これらの機器に関する詳細な内部構成については、ここではその説明を省略する。
【0018】
サーバ3は、測定対象物に関する様々な情報を格納するとともに、格納された情報を基に測定対象物の健康状態を推定する。図1に示す健康状態推定システムSには1つのサーバ3しか示されていないが、複数のサーバ3が接続されて、例えば、ユーザや医療関係機関ごとに利用するサーバ3を割り当てるようにしても良い。
測定装置4は、測定対象物に関する様々な情報を測定し、取得する装置である。当該測定装置4は、例えば、ケージ等に設置されて用いられるとともに、恒温動物、変温動物等、その測定対象物を限定せずに利用することができる。このように本発明の実施の形態における測定装置4では、様々な動物を測定対象物とすることができるが、以下においては、測定対象物として鳥を例に挙げて説明する。
【0019】
なお、図1においては、情報通信ネットワークNには、ユーザ情報端末1、医用情報端末2、サーバ3、及び、測定装置4が接続された状態が示されているが、これらの各機器以外の機器が接続されていても構わない。
また、図1に示す健康状態推定システムSでは、医用情報端末2、サーバ3、及び、測定装置4Aは、それぞれ情報通信ネットワークNとの間を実線でつないで示されている。これは、医用情報端末2、サーバ3、及び、測定装置4Aがそれぞれ有線で情報通信ネットワークNに接続されていることを示している。一方、ユーザ情報端末1、及び、測定装置4Bについては、情報通信ネットワークNにそれぞれ無線で接続されている。但し情報通信ネットワークNに接続される各機器の接続は、有線であっても無線であっても良い。
【0020】
[測定装置の構成]
そこでまず、測定装置4の詳細について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態における測定装置4をケージCに取り付けた状態を示す全体図である。図2では、ケージCを正面に見た場合にケージCの左側面に測定装置4が設置された状態を示している。
このように本発明の実施の形態における測定装置4は、測定対象物であるケージC内の鳥の体重を測定するための装置であり、鳥が止まり木に止まった際にその鳥の体重を測定するものである。そのため、鳥が止まりやすいように止まり木をケージC内に配置する必要がある。そこで、図2に示す測定装置4は止まり木を備え、ケージCの格子にフックFとラッチLとを用いて当該止まり木がケージC内に配置されるように取り付けられる。
【0021】
ここでは、測定装置4の上面に取り付けられたフックFをケージCの上部格子に引っかけるとともに、測定装置4の底面に取り付けられたフックFをケージCの側面格子にラッチLを構成するネジを用いて固定している。但し、上述したような本発明の実施の形態における測定装置4の測定方法が維持できるのであれば、測定装置4をどのようにケージCに設置しても良い。また、測定装置4を、例えば、ケージCの底面と同じ面や、ケージCの上面に載置するような場合には、測定装置4をケージCにフックF等を用いて固定せずとも良い。
【0022】
図2に示す測定装置4は、外箱41の内部に測定対象物である鳥の体重等を測定するための各種機器が収められている。図3は、本発明の実施の形態における測定装置4の内部構成を示すブロック図である。
図3に示されているように、測定装置4は、外箱41と、重量センサ42と、制御装置43と、を備えている。また、出力機構44、環境測定センサ45及び記憶装置46も備えられている。さらに、重量センサ42には図2に示すような計量棒5の一端が接続されており、その他端には止まり木コネクタ6を介して止まり木7が連結されている。
【0023】
本発明の実施の形態における測定装置4の外箱41は、重量センサ42と、制御装置43と、出力機構44と、環境測定センサ45及び記憶装置46をその内部に収容する。計量棒5については、重量センサ42と接する一端が外箱41の内部に配置され、止まり木7と接続される他端は、その外箱41から外部に突き出している。
計量棒5の一端には、重量センサ42が連結されている。計量棒5の他端に鳥が止まると、当該重量センサ42によって鳥の体重が測定される。重量センサ42は、止まり木7(計量棒5)に止まった鳥の体重を測定するためのセンサであり、測定対象物である鳥の体重を適切に測定することができるのであればどのような種類のセンサを用いても良い。
【0024】
制御装置43は、重量センサ42が計測した測定結果を基に鳥の体重の算出、後述する各センサとの信号のやり取りやエラー処理等、測定装置4が動作する上で必要な各種制御を統括的に行う。
出力機構44は、測定装置4が測定した測定対象物である鳥の体重である測定値や後述する環境測定センサ45が測定した値を測定装置4の外部に出力する機構である。つまり、測定された値の情報が出力機構44からサーバ3へ送信される。出力機構44は、無線アダプタ或いは有線アダプタのいずれか一方、または双方を備えている。
【0025】
環境測定センサ45は、測定対象物が置かれている環境状態、すなわち、鳥の飼育環境を測定するためのセンサである。測定対象物によっては置かれている環境(例えば、鳥の場合にはケージCが置かれている環境)によって大きな影響を受けるため、健康状態を推定するに当たってはこれらの情報も参照される。
測定される環境状態としては、例えば、気温、湿度、気圧の少なくともいずれか1つの環境状態を挙げることができる。環境測定センサ45としては、気温を測定するセンサ等のセンサが別個独立のセンサとして構成されていても、或いは、本発明の実施の形態における測定装置4のように環境測定センサ45としてまとめられた1つのセンサとして構成されていても良い。また、気温等以外の他の環境条件を測定することができることとしても良い。
【0026】
この他、環境測定センサ45としては、例えばマイク、カメラ等、測定対象物である鳥の状態を測定するために用いられる機器も挙げられる。例えば、カメラで鳥の排泄物を撮影して排泄物の状態を示す情報を取得することができる。
なお、重量センサ42において測定された鳥の体重値や環境測定センサ45によって測定された環境条件に関する値等、各センサによって取得される情報については、以下、適宜まとめて「センサデータ」と表す。
【0027】
記憶装置46は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、重量センサ42で測定された測定結果や制御装置43で実行されるプログラムやデータ、算出された測定値等が記憶される。各種データの記憶様式は、ファイル形式であってもテーブル形式にまとめられていても良い。
なお、本発明の実施の形態においては、測定装置4内に記憶装置46が設けられている場合を前提にしている。但し、測定装置4が出力機構44を介して無線、有線を問わず接続される、サーバ3や図示しないハードディスクドライブ(HDD(Hard Disc Drive)或いはSSD(Solid State Drive))等の外部記憶媒体を記憶装置46として利用することとしても良い。
またここでは、各種プログラム、データや測定結果、測定値等は全て1つの記憶装置46内に記憶されていることを前提としている。但し、記憶装置46を複数設けて、各種プログラム、データや測定値等をそれぞれ別に記憶させることも可能である。
【0028】
計量棒5は、測定対象物である鳥の体重を測定する際に、鳥を乗せる棒である。すなわち、ケージC内にて飼育されている鳥はケージC内を自由に移動することができる。但し当該鳥の体重を測定するために鳥を捕まえることは、上述した通り鳥のストレスにもなりかねない。また、ユーザが鳥を捕まえることが難しい場合もある。そこで、本発明の実施の形態における測定装置4ではケージC内の鳥を止める(乗せる)ための計量棒5を設け、鳥が計量棒5に止まった時を含め、定期的にその体重を測定することとしている。
【0029】
なお、定期的に体重の情報を収集することとしているのは、鳥が計量棒5(止まり木7)に「止まる度に測定する」こととすると、例えば、体調が悪く止まり木7に乗って動かないままでいるような場合にはデータの収集ができないからである。このように本発明の実施の形態における測定装置4では、止まり木7に乗って降りない状態でも定期的に測定を続け、止まり木7の上での鳥の動きを「ばらつき」として定量化する。なお、ここでいう「ばらつき」とは鳥が止まり木7の上で羽ばたいたり、ジャンプしたりする際に生じる測定変位であり、重量センサ42自体が持つ測定のばらつきの、例えば10倍以上の大きさがある。
【0030】
そしてより鳥が止まりやすいように、計量棒5の他端には、鳥が止まる止まり木7が連結される。このように計量棒5に直接鳥を止まらせることとしていないのは、鳥種によって適切な種類や形状の止まり木が異なるためである。
そこで、例えば、鳥が止まり慣れている止まり木7がケージC内に設けられていれば、鳥もよりストレスなく止まり木7に止まることができ、体重測定も容易に行うことができる。
【0031】
一方で止まり木7に鳥が止まっても測定装置4と接続されていなければ体重測定はできない。そこで計量棒5と止まり木7とをそれぞれ止まり木コネクタ6に連結することで計量棒5と止まり木7とを連結する。このようにすることで止まり木7に止まった鳥の体重を計量棒5(測定装置4)で測定することができる。
このように止まり木コネクタ6の一端は計量棒5と連結され、その他端は止まり木7と連結されている。本発明の実施の形態における止まり木コネクタ6の両端には、計量棒5及び止まり木7と連結するためのネジが形成されている。
つまり止まり木コネクタ6の両端に形成されているネジにそれぞれ計量棒5と止まり木7とをねじ込むことによって、重量センサ42においてケージC内の鳥の体重を測定することができる。
【0032】
止まり木コネクタ6には、計量棒5と連結するためのネジに連続して細径部61が設けられている。つまり細径部61は、ネジが切られている一端の径よりも細くなるように形成されている。
このように止まり木コネクタ6において径の細い領域を設けておくことによって、例えば、止まり木7に過負荷が掛かった場合、当該細径部61が最も早く破損することになる。そのため、計量棒5、或いは、計量棒5が連結される重量センサ42といった機器が破損することを回避することができる。
また止まり木コネクタ6には、その他端側において止まり木7との連結のために形成されているネジと細径部61との間に、止まり木受け62が設けられている。上述したように止まり木7を止まり木コネクタ6の他端側に形成されているネジにねじ込むことによって、両者は固定される。
【0033】
但し、ネジについては公差が存在することから、例えば、止まり木7が長くなると止まり木コネクタ6と止まり木7とを連結する部分においてぐらつく可能性がある。止まり木7がぐらついてしまうと、鳥の種類によってはそもそも体重が軽い場合もあり、このような場合、微少な体重変化を測定する場合に無視できない影響が生ずる可能性がある。
そこで、止まり木7を止まり木コネクタ6と連結する際に、止まり木7の端部を止まり木受け62に押しつけるように止まり木コネクタ6にねじ込んで固定する。止まり木7が止まり木受け62に押しつけられることによって、止まり木コネクタ6と止まり木7との連結部分におけるぐらつきを押さえることができる。
【0034】
止まり木コネクタ6をこのような形状に形成することによって、より正確な鳥の体重値を測定することができる。なお、図2に示す止まり木コネクタ6の止まり木受け62は止まり木7の直径よりも大きく形成されているが、止まり木7を押しつけることができるのであれば、その大きさは任意に設定することができる。
後述する健康状態の推定に当たって必要となる特徴量を重量センサ42から求めるに当たっては、生データからノイズ等の測定由来のアーティファクトを取り除くことで評価数値の精度を高めることができる。アーティファクトを低減する1つの手段として、ハードウェア側では上述した構造を有する止まり木コネクタ6を採用することで対応している。
またここでは、止まり木コネクタ6がその一端、及び、他端側のいずれも計量棒5、或いは、止まり木7に挿入する、オス-オス型の形状を採用していることを前提に説明した。但し、例えば、一端側、他端側のいずれか一方、或いは、その両方をメスとする形状を採用することも可能である。
【0035】
[サーバの構成]
次にサーバ3の内部構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態におけるサーバ3の内部構成を示すブロック図である。サーバ3は、情報取得部31と、記憶部32と、通信制御部33と、演算部34と、出力部35と、制御部36と、を備え、これらの各部はバスBを介して互いに情報のやり取りを行うことができるようにされている。
情報取得部31は、出力機構44からサーバ3に向けて送信された測定装置4の重量センサ42等において測定された鳥の体重値等のセンサデータを取得する。センサデータの取得に当たっては、例えば、測定装置4の記憶装置46に格納されたセンサデータを随時受信しても良く、或いは、予め定められた時間に定期的に受信するようにされていても良い。
【0036】
また情報取得部31は、ユーザや医療関係機関が測定対象物である鳥に関する、例えば、飼育される動物の種類、名前や性別といった、各種センサでは取得することのできない情報(以下、このような情報を「非センサデータ」と表す)についても取得する。また、医療関係機関による、例えば、鳥を触った際の感触から判断された筋肉の付き方等、いわゆるボディコンディションスコアと言われる情報等も非センサデータとして情報取得部31において取得されるようにしても良い。
従って当該非センサデータについては、例えば、ユーザが利用するユーザ情報端末1や医療関係機関が利用する医用情報端末2からサーバ3に送信される。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2において表示される画面の一例を示す画面例であり、特に非センサデータの入力画面の画面例を示している。
図5で示す非センサデータの入力については、例えば、サーバ3を含む健康状態推定システムSの利用を開始する際に、1度入力すれば足りる。また、ユーザが飼育する動物が増えるごとに都度入力すれば良い。なお、健康状態の推定は1羽、1頭等、個々の動物ごとに行うものであることから、非センサデータの入力も個々の動物ごとに行われる。
【0038】
まず「名称設定」は測定対象物のセンサデータを取得する測定装置4の名称である。この名称設定の項目を設けたのは、ユーザによっては複数羽飼育していることもあり、この場合、個々の鳥ごとにケージC及び測定装置4が異なる。そこで、測定装置4ごとにその名称を分けることによって測定装置4と飼育されている鳥との紐付けが可能となる。
そしてユーザが複数羽飼育している場合には、「名称設定」の上部に示されている測定装置4の名称の欄に設けられているプルダウンメニューを押し下げて、それぞれの鳥ごとに設定されている名称を選択することで、それぞれの鳥ごとの情報にアクセスすることができる。
【0039】
次に「かかりつけ病院ID」の欄である。この欄は、ユーザにかかりつけの医療関係機関がある場合に、当該医療関係機関に対して飼育している鳥の健康状態の推定結果を見ることを許可する場合に使用される。ユーザがユーザ情報端末1を用いてサーバ3にアクセスするに当たり、ユーザが自己のアカウント内で、提携する医療関係機関を指定することによって、指定された医療関係機関は、サーバ3に格納されているユーザが保有するセンサデータ、或いは、非センサデータにアクセスが可能とされる。
すなわち、この欄においてかかりつけの医療関係機関が指定されると、指定された医療関係機関は測定装置4が測定対象とする鳥の健康状態についてアクセスすることができるようになる。
【0040】
「かかりつけ病院ID」において医療関係機関が指定されることによって、ユーザとの間で情報を共有することができる。つまり鳥の健康状態を把握するに当たっては体重の情報が重要であるが、上述したように、ユーザが的確に、例えば、体重の情報を把握することは困難である場合も多く、事前に医療関係機関においても重量センサ42によって測定された鳥の体重の情報を把握することができれば、より適切な医療の提供を行うことができる。
すなわち、ユーザが医療関係機関を受診した際に、医療関係機関における体重測定やユーザとの間における体重に関するヒアリングを省略することができ、ユーザと医療関係機関との間での治療方針等に関するコミュニケーションにより多くの時間を割くことができる。
【0041】
そして、例えば医療関係機関では、鳥の体重変化の度合いを見て薬の処方量を判断することができる。また、診断、薬の処方がなされた後に体重の変化を確認して、鳥への処置の効果をフォローアップすることも可能である。さらに、医療関係機関を受診しない鳥についての体重の情報を逐次確認することで、例えば体重値が急激に変化している鳥を飼育するユーザに対して受診を促すことで、より円滑に二次予防、三次予防につなげることができる。
【0042】
また逆に、医療関係機関がユーザに指定されることによって、診断の際等に取得した鳥の状態や手触りといった上述した非センサデータを医用情報端末2からサーバ3に対して送信することができ、サーバ3(演算部34)では、受信した医用情報端末2からの情報を健康状態の推定に利用することができる。
そのためこの欄において医療関係機関の指定がされていない場合には、健康状態の推定結果はあくまでもユーザにのみ通知され、たとえかかりつけの医療関係機関であっても当該推定結果を取得することはできない。また、医用情報端末2から非センサデータをサーバ3へ送信することもできない。
【0043】
「目標体重設定」の項目は、ユーザが医療関係機関との間で相談して設定する項目である。当該目標体重設定がなされることによって、健康状態を推定する上で重要なセンサデータである目標体重値と測定された体重値との差分を把握することができる。
次に「小鳥の設定」として、「名前」、「鳥種」、「性別」、及び、「生まれた年」をそれぞれ設定することができる。これらの各項目は健康状態の推定がされる鳥の属性情報であり非センサデータに該当する。
そして右下に表示されている「登録する」のボタンをクリックすることで、測定装置4が測定する鳥に関する非センサデータが登録される。なお、非センサデータについては、図5に示す項目だけではなく上述したようなボディコンディションスコアやユーザや医療関係機関が鳥を観察して得られる情報等もあり、これらの非センサデータについては、別の画面から入力することができる。
【0044】
記憶部32は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、測定装置4から送信されたセンサデータや制御部36で実行される、例えば鳥の健康状態を推定するためのプログラム等が記憶される。各種データの記憶様式は、ファイル形式であってもテーブル形式にまとめられていても良い。また、上述したように、記憶部32は測定装置4の記憶装置46の代替として機能しても良い。
通信制御部33は、LANカードやモデム等の手段であり、サーバ3をインターネットやLAN等の情報通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部33を介して情報通信ネットワークNと送受信したデータは入力信号または出力信号として、バスBを介して制御部36に送受信される。なお、通信制御部33及び情報通信ネットワークNを介して他の機器とやり取りされる情報に関する規格は、いずれの規格であっても良い。
【0045】
通信制御部33は、サーバ3を情報通信ネットワークNに接続し、当該情報通信ネットワークNに接続されている装置との間で測定対象物の健康状態を推定するに必要な情報をやり取りする。具体的には、測定装置4からのセンサデータやユーザ情報端末1等からの非センサデータを取得し、健康状態について推定した結果をユーザ情報端末1等に送信する。従って、通信制御部33が情報取得部31と後述する出力部35を制御する。
演算部34は、情報取得部31を介して取得されたセンサデータ及び非センサデータを用いて対象となる鳥の健康状態を推定する。本発明の実施の形態においては、記憶部32に予め記憶されている数理モデルにセンサデータ及び非センサデータを入力して健康状態の推定を実行する。
【0046】
ここで数理モデルについては、事前に生成されてサーバ3の記憶部32に格納されている。当該数理モデルは、過去に取得されたセンサデータ及び非センサデータを基に特徴量を算出し、当該特徴量を教師データに当てはめて機械学習を行うことによって生成される。
ここでは事前に生成された数理モデルを使用することを前提にしていることから、サーバ3の機能としての数理モデルの学習機能については図4に示すサーバ3の内部構成においては図示していない。また、サーバ3以外の機器において生成された数理モデルを記憶部32に格納し、演算部34が当該数理モデルを使用することもできる。
【0047】
また、数理モデルの生成方法については、既知の方法を採用することができる。例えば、予め健康・非健康とラベリングした学習データを分類問題で一般的に使用される決定木のアルゴリズムで学習させることで生成できる。なお、学習アルゴリズムの生成方法は、上述の方法以外にラベリングを異常度合いの数値として表現することによって回帰的方法を使用することや、過去のセンサデータと傾向の違いを検出する目的でクラスタリングする方法もあり得る。
演算部34による鳥の健康状態の推定は、例えば、上述したように、サーバ3が取得したセンサデータ及び非センサデータから特徴量を算出し、当該特徴量を記憶部32に格納されている数理モデルに入力することによって導きだされる。
【0048】
ここで「特徴量」とは、演算部34によって算出される、鳥の健康状態を推定するに当たって必要とされる情報であり、数理モデルに入力されることによって健康状態の推定が可能となる。特徴量としては、センサデータ及び非センサデータそれぞれから導き出される。例えば、センサデータの1つである鳥の体重値についてみると、目標体重値と測定された体重値との差分が特徴量である。
目標体重値は、鳥の飼い主であるユーザと当該鳥の健康状態を判断する医療関係機関との間で設定される、鳥が健康に生活することができる値である。一方測定された体重値は重量センサ42において測定された値である。鳥の健康状態を推定するに当たっては、目標体重値と現在の体重値(測定された体重値)とがどれだけ乖離しているかという情報が重要であることから、両者の差分を特徴量として把握する。
【0049】
その他、重量センサ42から得られる特徴量としては、例えば、鳥が止まり木7に止まった際に測定された体重値のぶれ(センサデータの標準偏差)や、鳥が止まり木7のどの位置に止まっているかの情報を基に取得できる移動速度やジャンプの回数も挙げることができる。さらに、センサデータとしては、環境測定センサ45によって取得されるデータもある。例えば、最高気温と最低気温の差分が大きければ鳥に与える影響が大きくなる。従って、温度に関する情報等の鳥が飼育されている環境状態を示すセンサデータも特徴量として必要である。
【0050】
一方非センサデータとしては、例えば、鳥の種類、雌雄、年齢等についてのデータを挙げることができる。当該非センサデータについては、上述したようにユーザや医療関係機関からユーザ情報端末1等を介して送信され記憶部32に格納されるものである。
なお、演算部34ではこれら各種特徴量を数理モデルに入力して健康状態の推定を行うが、数理モデルの形態によっては、特徴量そのものが利用されないこともあり得る。すなわち、数理モデルとしてニューラルネットワークを使用する場合には、特徴量にある係数を乗じて、いわゆる重み付けを行うので、特徴量そのものを使用している訳ではない。従って入力値は特徴量であるが、使われ方は特徴量そのものではない。
【0051】
また、何のデータを特徴量とするか、例えば、センサデータのように数値として特徴量を示すことができる場合に、特徴量として適宜、例えば平均値や中央値を用いる、或いは、何らかの係数を用いて得られた値を用いる等、演算部34においてどのような演算を行うかについては、適宜設定することができる。さらに使用する数理モデルについても、機械学習やニューラルネットワーク等、様々なモデルを使用することができる。
そして演算部34では算出された特徴量を基にした数理モデルからの出力結果を基に健康状態の推定を行う。具体的には、例えば、健康ではない状態を示す未病の健康状態を数値化して算出しユーザや医療関係機関に対してユーザ情報端末1や医用情報端末2を介して提示する。
【0052】
或いは、病気であるか否かの確率を数値として示すことも可能である。また、病気であるか否かの基準となる閾値を事前に設けておき、当該閾値を超えたらユーザや医療関係機関に報知することも可能である。
さらに、健康状態の推定の結果(以下、当該結果のことを「健康評価結果」と表す)については、例えば、ユーザから指定された表示態様をもって提示することができる。図6は、本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2において表示される画面の一例を示す画面例であり、健康評価結果の表示態様としては、基本的な表示態様の1つである。
【0053】
図6に示す画面例のうち最上部には、測定装置4の名称が示されている。当該表示は、健康状態を推定する対象となる鳥の体重値等を測定した測定装置4を示していることから、測定装置4を示すことで健康状態を推定する対象となる鳥を示している。
またプルダウンメニューも示されている。この表示は、例えば、ユーザが複数の鳥を飼育している場合に、健康評価結果を確認したい鳥を選択する場合に用いられる。この場合には、プルダウンメニューに表示される測定装置4を選択の上、当該欄の右下に示されている「評価実行」のボタンをクリックすることによって選択された鳥に関する健康評価結果が表示される。
【0054】
また、上述したように、「かかりつけ病院ID」の欄においてユーザがかかりつけの医療関係機関を指定している場合には、医療関係機関がここに表示される測定装置4を適宜選択して「評価実行」のボタンをクリックすることによって、健康状態を確認したい鳥についての健康評価結果を表示させることができる。
すなわち、医療関係機関からすればユーザ(患者となり得る鳥を飼育している者)は複数存在する。そのため、プルダウンメニューで自らの医療関係機関を指定しているユーザ(測定装置4)のリストを表示させ、当該プルダウンメニューから対象となる鳥(測定装置4)を選択することで、当該鳥に関する様々な情報へアクセスすることが可能となる。
【0055】
なおこのように測定装置4を表示させて健康評価結果の対象を表示するのではなく、例えば鳥の名前等、健康状態の推定対象をより直接的に表示させることとしても良い。
当該測定装置4の表示の下には、評価を行いたい年月を選択する欄が設けられている。この欄は、サーバ3から送信されてきた健康評価結果が導き出された年月を示す欄である。但し、ユーザや医療関係機関は、適宜この欄に健康評価結果を表示させたい年月を入力し、「評価実行」のボタンをクリックすることによって閲覧したい年月の健康評価結果を表示させることができる。
そして「評価年月」及び「評価実行」の欄の下にグラフが表示されている。図6に示す健康評価結果では、測定された体重値の分布が示されている。すなわち、縦軸に体重値が、横軸に日にちが示されており、それぞれの日に測定された体重値がドットで示されている。
【0056】
上述したように、測定装置4は鳥が止まり木7に止まるか否かに拘わらず、例えば2分ごと等、定期的に体重測定を行うため、1回の測定ごとに1つのドットで示される。図6のグラフを見ると大きくばらついた値も示されているものの、多くはある値付近に密集するように示されている。
なお当該グラフの態様については、図6に示すようなに測定ごとの値を示すグラフではなく、例えば、その日の平均値や中央値等、測定装置4によって測定された値を加工して示すようにしても良い。また、グラフの種類としても、例えば、折れ線グラフや棒グラフ等であっても良く、或いは、体重値以外の項目の変化を表示するグラフであっても良い。
【0057】
グラフの下には、表が示されており、日付とともに、各日における「体重乖離度」、「活動度」、「判定」、「実際の様子」、及び、「コメント」の各欄が設けられている。「体重乖離度」は、設定された目標体重値と重量センサ42で測定された体重値との乖離度合いを示している。また当該乖離度からは、例えば、やせ気味や太り気味、或いは、発情状態の度合い等を推測することができる。
なお「体重乖離度」については、図6に示す表では割合(パーセンテージ)で示されているが、示し方はこのような表現に限定されず、例えば、「○」や「×」といった記号等を用いて表示しても良い。
【0058】
「活動度」は、体重測定結果のばらつきから鳥の動きの活発さを示すものである。プラスの値はより活発に活動したことを示し、マイナスの値はあまり活動しなかったことを示している。「判定」は、健康状態の推定結果として示されるものであり、健康診断の必要性を示している。図6に示す画面例では「△」や「〇」で示されており、「〇」は健康であり健康診断を受診する必要はないことを示す。一方、「△」や「×」は健康診断が必要であることを示す。
なお、「不足」という表示が示されている場合、「判定」を行うに必要なセンサデータや非センサデータが足りず、健康評価結果を出すに至っていないことを示している。また、ここでは「〇」や「△」といった表示をして健康診断の必要性を示しているが、例えば、その必要性を数字で示すことも可能であり、どのように表示させるかについては任意に設定することができる。
【0059】
「実際の様子」については、演算部34による健康状態の推定が行われた結果として表示される。但しあくまでも推定結果であることから、「コメント」の欄も含め、これらの2つの欄については編集が可能とされている。従ってユーザ、或いは、医療関係機関が実際に鳥を観察した結果を入力することができる。編集する場合には、ユーザ、或いは、医療関係機関が入力後に、表の右下に示されている「表を修正」のボタンをクリックして修正を確定させる。修正された内容はサーバ3へと送信される。
【0060】
図6に示す画面例で説明した健康評価結果の表示は、別の表示態様で表示させることも可能である。図7は、本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2において表示される画面の一例を示す画面例であり、表形式による表示態様を示している。
図7に示す健康評価結果では、各日における「体重値」や「活動度」等の各項目が数値で表され、表形式で示されている。但し、当該表においては、「体重値」については測定装置4による実際の測定値である。そして当該「体重値」の表示は、例えば、その日1日に測定された体重値の平均値、中央値、或いは、最低体重値等、予め選択された表示態様に基づいて値が表示されている。
【0061】
「活動度」は上述した通りであり、「画像」の欄には、環境測定センサ45の1つであるカメラによって取得された、例えば、排泄物の画像データを基に、その排泄物がどのくらい健康であるかの度合いが示される。この健康度合いについては、例えば、数値で示され、この数値が大きいほど健康ではない(異常の度合いが高い)との判定になる。また、個々の数値をクリックすると、対応する排泄物の画像データを参照することができることとされていても良い。
より具体的な画像診断の一例は、例えば以下の通りである。まず、ケージCに取り付けたカメラ(環境測定センサ45)で画像を取得され、取得された画像データはサーバ3に送信され、サーバ3の記憶部32に記憶される。そしてユーザ等によって評価実行の指示が出されると、演算部34では、記憶部32に記憶された画像データから該当する画像データを抽出し、排泄物部分を抜き出す。
【0062】
そして、併せて記憶部32から数理モデルを取得し、演算部34は各画素の強度分布を当該数値モデルに入力し、非健康に分類される確率を出力する。なおここで使用する数理モデルは、例えばニューラルネットワークを用いて、健康な排泄物と非健康な排泄物の画像を予め機械学習させて作成する。
また、「健康度」については「0」が健康であり健康診断の必要はないことを示している。一方、例えば「1」と示されていた場合には、健康診断の必要があることを示している。「異常あり」については、「健康度」と関連して表示される項目であり、異常がない場合には「チェックなし」、何らかの異常が認められる、或いは、その可能性がある場合にはチェックが付く。
なお、当該「異常あり」の欄及び「コメント」の欄については、編集が可能とされており、ユーザや医療関係機関が気づいたことを記入することができる。記入後は、上述したようにサーバ3に記入内容が送信され、サーバ3では健康評価結果の更新を行う。
【0063】
図8は、本発明の実施の形態におけるユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2において表示される画面の一例を示す画面例であり、ユーザや医療関係機関がログインして最初に表示されるページ、いわゆるトップページを示している。
当該トップページでは、飼育する鳥の直近の情報を示すセンサデータについての表示が示されている。このようにトップページで鳥の直近の状態を表示させるのは、ユーザや医療関係機関にとって最も関心のある事項だからである。またユーザや医療関係機関は、この画面を入口として、さらに様々な情報へと接する。
【0064】
例えば、画面の最上部には、「過去のデータ」と「健康評価」の2つのボタンが配置されている。これら2つのボタンは、それぞれ「過去のデータ」、或いは、「健康評価結果」へのリンクであり、ボタンをクリックすることによって該当ページへのアクセスが可能となる。従って、ユーザや医療関係機関はより少ないクリックの回数で必要とする情報へアクセスすることができる。
その下の「デバイスの選択」については、上述したように、ユーザの場合には、例えば複数羽の鳥を飼育している場合に測定装置4を選択する場合に用いられる。一方医療関係機関の場合には、ユーザや測定装置4を選択する場合に用いられる。
【0065】
「最低体重値」の欄には、測定装置4で測定された体重値のうち、1日の最低体重値が表示される。これは鳥の場合「そのう」という器官に食物が残っている場合があり、より正確に健康状態を推定する場合には、当該そのうに食物がない状態での体重値を用いることが適していると考えられるからである。
そしてその下にはグラフが表示されており、縦軸が体重値、横軸は日にちである。重量センサ42によって測定された鳥の体重値については、それぞれドットで示されている。そして当該グラフには、横軸と平行となるように目標体重値が点線で示されている。また、複数日に跨がる測定値をつないだフィッティングカーブも示されている。
【0066】
当該フィッティングカーブが示されることによって、日々の体重の変化を把握することができる。そしてこのようなフィッティングカーブ及び目標体重値が実際に測定された体重値とともに表示されることによって、ユーザや医療関係機関は体重管理をより行いやすくなる。
ユーザや医療関係機関は、図6図7に示すような健康評価結果以外にも適宜このようなセンサデータの表示も参照することで、飼育している鳥の状態をより的確に把握することができる。
【0067】
出力部35は、演算部34によって得られた健康状態に関する健康評価結果をユーザが利用するユーザ情報端末1や医療関係機関が利用する医用情報端末2に対して出力する。また出力部35では、ユーザ情報端末1等に対して、当該健康評価結果を、例えば、上述した図5ないし図8に示すような表やグラフといった、ユーザ等によって選択された表示形式に加工して送信する。
出力部35がユーザ情報端末1等に対して健康評価結果を出力するタイミングは、定期的であっても、或いは、ユーザや医療関係機関からの取得依頼が届いた場合等、任意に設定される。
制御部36は、サーバ3の各部を統合的に制御する。例えば制御部36は、情報取得部33を介したユーザからの指示に基づき、演算部34においてユーザが飼育する鳥の健康状態の推定処理を制御し、健康評価結果を出力部35からユーザ情報端末1へと送信させる。
【0068】
図4に示す制御部36については、その内部に設けられる構成については示していないが、その構成の一部を説明すると以下の通りである。すなわち制御部36は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えている。
CPUは、例えば、情報取得部31からの入力信号に基づいてROMからサーバ3を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部32に格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。
さらにCPUは、RAMや記憶部32等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAMにロードするとともに、RAMから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、例えば、演算部34における鳥の健康状態の推定処理を実行するために必要なデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0069】
なお、本発明の実施の形態における制御部36では、数理モデルの生成等において機械学習の処理を実行する必要があることから、さらにGPU(Graphics Processing Unit)を備えていても良い。
なお、ここではサーバ3内に例えば、演算部34を備えていることを前提に説明を行ってきた。すなわち、演算部34が記憶部32や所定のメモリ等に記憶される数理モデルを用いて、例えば、健康状態推定プログラムといったプログラムをプロセッサに実行させることを前提にしている。
【0070】
ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0071】
プロセッサは、例えば記憶部32に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記憶部は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、図4に示す記憶部32の構成を採用しても構わない。上述したように、記憶部の構成には、例えば、半導体や磁気ディスクといった一般的なRAM(Random Access Memory)やHDD、SSD等の記憶装置が適用される。
また、上述したサーバ3が備えている演算部34の機能を、制御部36を制御回路として構成し、補正機能として、制御部36が実行することとしても良い。さらに、演算部34の機能を、制御部36を制御回路として構成し、個別に演算回路として構成することも可能である。また、測定装置4が備える記憶装置46を記憶回路として構成しても良い。
【0072】
[動作]
次に、サーバ3による鳥の健康状態を推定する処理の流れについて説明する。ここで図9は、本発明の実施の形態における健康状態を推定する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図5に示す処理の流れは、あくまでもサーバ3におけるある区切られた1つの処理の流れを示すものである。従って、測定装置4が鳥の体重等のセンサデータを測定する限り、電源が落とされるまで図9に示す処理の流れは繰り返し実行される。
まず測定装置4の電源が投入される(ST1)。このことをトリガとして制御装置43は、重量センサ42、環境測定センサ45の各センサの初期化を実行する(ST2)。すなわち、制御装置43が風袋処理を実行して、各センサの値がゼロを示すように補正処理を行う。
【0073】
制御装置43における補正処理が完了すると、各センサは測定処理を開始する。例えば、重量センサ42は計量棒5(止まり木7)に掛かる重量を毎秒測定する(ST3)。
さらに環境測定センサ45は、気温等の測定結果(環境条件)を取得する(ST4)。取得されたこれらのセンサデータについては、出力機構44を介してサーバ3に送信され(ST5)、サーバ3では情報取得部31にて測定装置4から送信されたセンサデータを取得する(ST6)。
またユーザがユーザ情報端末1から送信した、或いは、医療関係機関が医用情報端末2から送信した非センサデータについても取得する(ST7)。受信した非センサデータは記憶部32に記憶される。
【0074】
なお、ここでは説明の都合上、サーバ3はセンサデータの受信を行った後、非センサデータの取得をするように説明を行っているが、センサデータと非センサデータの取得については、いずれが先であっても、或いは、並行して取得するものであっても良い。
このようにサーバ3では、測定装置4から送信されたセンサデータやユーザや医療関係機関からの非センサデータを取得して記憶部32に記憶する。つまり、ユーザや医療関係機関からのサーバ3へのアクセスの有無を判定し(ST8)、アクセスがない限り(ST8のNO)、センサデータ及び非センサデータの取得、記憶を繰り返す。
【0075】
一方、ユーザや医療関係機関が、例えば健康評価結果を取得するためにサーバ3にアクセスしてきたことを通信制御部33で受信すると(ST8のYES)、制御部36では演算部34にユーザや医療関係機関からの指示に基づく演算を実行させる。
演算部34では、測定装置4から送信されたセンサデータ、及び、ユーザや医療関係機関から送信された非センサデータを用いて健康状態の推定処理を開始する。まず、センサデータ、及び、非センサデータの取得を用いて特徴量を算出する(ST9)。
次に算出された特徴量を、記憶部32にアクセスして格納されている数理モデルに入力し(ST10)、健康状態を推定する(ST11)。推定された健康状態については、健康評価結果として出力部35からユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2に送信される(ST12)。ユーザ情報端末1、或いは、医用情報端末2では、サーバ3から送信された健康状態の推定結果について表示させる(ST13)。
【0076】
以上説明した少なくとも1つの実施の形態によれば、測定対象物の体重測定等センサを用いたセンサデータのみならず、センサでは把握できないユーザ等からの情報も用いて測定対象物の健康状態を推定するとともに、推定された測定対象物の健康状態を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザによる一次予防の実行や円滑な二次予防への移行に資することができる健康状態推定システムを提供することができる。
すなわち、センサデータ及び非センサデータを用いて健康評価結果が導き出されることから、ユーザ、或いは、医療関係機関は現在の鳥の健康状態を的確に把握することができる。そのため、ユーザからすれば、例えば体重や飼育環境といった、鳥が病気にならないために必要な管理を見直すこと、或いは、健康状態になんらかの問題があり、医療関係機関に掛かって健康診断等を受診する必要があるのかの判断基準を得ることができる。
【0077】
また、医療関係機関からみれば、健康評価結果を取得するとともに、センサデータや非センサデータについても参照することによって、ユーザが医療関係機関を訪れた際にユーザが把握している情報と合わせて種々の情報を得ることができることになるため、より適切な医療を提供することができる。また薬の処方については、特に体重の変化を参照して行われることから、センサデータである体重の情報、体重値の変化に関する情報にアクセスできることは非常に有益である。
【0078】
なお、ここまでは健康評価結果としてユーザ、或いは、医療関係機関に通知される内容を図5ないし図8に示すような画面例に示す情報を例に挙げて説明したが、例えば、ユーザや医療関係機関に対してはメールでの通知のみを行い、その後の対応をユーザや医療関係機関に委ねることも可能である。
もちろんこの場合であっても演算部34によって健康評価結果は算出されて記憶部32に格納されていることから、ユーザや医療関係機関は適宜サーバ3にアクセスして必要な情報にアクセすることができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
例えば、測定装置4としては、上述したような構成を採用し、測定対象物の体重を測定し、サーバ3に送信していた。但し、体重の情報を健康状態推定システムSで利用することができる状態にすることができるのであれば、例えば、ユーザがキッチンスケール等を用いて測定した体重の情報をユーザ情報端末1を用いて手入力で入力し、サーバ3に送信するような方法を採用することも可能である。
また、サーバ3に集められたセンサデータや非センサデータを用いての健康評価結果の算出する処理については、上述したように、基本的にはユーザや医療関係機関かサーバ3にアクセスしてきたことをトリガとして実行される。但し、健康評価結果によって異常があると認められた場合、或いは、取得したデータに何らかの異常が認められる場合には、上述したサーバ3における健康評価結果を算出する処理を常時、或いは、一定期間ごとに実行するようにしても良い。
【0081】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)測定対象物を飼育するユーザが用いるユーザ情報端末と、前記測定対象物の診断、治療を行う医療関係機関が用いる医用情報端末と、前記測定対象物の状態に関する情報を格納し、前記ユーザ情報端末または前記医用情報端末からのアクセスを受け付けるサーバと、を備え、前記サーバは、前記ユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置において取得される測定対象物に関する測定可能なセンサデータや前記測定対象物に対する前記ユーザまたは前記医療関係機関からの非センサデータを取得する情報取得部と、前記情報取得部において取得された前記センサデータ及び前記非センサデータを用いて前記測定対象物に関する特徴量を算出し前記測定対象物の健康状態を推定する演算部と、を備えることを特徴とする健康状態推定システム。
(2)前記演算部は、算出した前記特徴量を予め生成された数理モデルに入力することで前記測定対象物の健康状態を推定することを特徴とする上記(1)に記載の健康状態推定システム。
(3)前記演算部は、推定した前記測定対象物の健康状態について未病の可能性を数値化して算出することを特徴とする上記(2)に記載の健康状態推定システム。
(4)前記ユーザが前記ユーザ情報端末を用いて前記サーバにアクセスするに当たり、前記ユーザが自己のアカウント内で、提携する前記医療関係機関を指定することによって、指定された前記医療関係機関は、前記サーバに格納されている前記ユーザが保有する前記センサデータ、或いは、前記非センサデータにアクセスが可能とされることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(5)前記サーバには、さらに、前記演算部によって推定された前記測定対象物の健康状態を示す情報について、少なくとも前記ユーザ情報端末に対して報知する出力部を備えていることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(6)前記出力部は、前記ユーザによって指定された前記医療関係機関が存在する場合には、前記ユーザ情報端末に対して報知される前記健康状態を示す情報を指定された前記医療関係機関の医用情報端末に対しても報知することを特徴とする上記(5)に記載の健康状態推定システム。
(7)前記出力部は、前記健康状態を示す情報を前記ユーザ、前記医療関係機関のいずれか一方、或いは、その両方に報知するに当たって、前記ユーザ、或いは、前記医療関係機関が指定した表示態様に合わせて報知内容の前記表示態様を加工することを特徴とする上記(5)または(6)に記載の健康状態推定システム。
(8)前記測定装置は、前記測定対象物が飼育されるケージに設けられ、前記測定装置によって取得される前記センサデータは、少なくとも前記測定対象物の体重値及び前記測定対象物が置かれている環境状態を測定するための環境測定センサによって測定される値であることを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(9)前記環境測定センサは、気温、湿度、気圧の少なくともいずれか1つの前記環境状態を測定するセンサであることを特徴とする上記(8)に記載の健康状態推定システム。
【符号の説明】
【0082】
1 ユーザ情報端末
2 医用情報端末
3 サーバ
31 情報取得部
32 記憶部
33 通信制御部
34 演算部
35 出力部
36 制御部
4 測定装置
41 外箱
42 重量測定センサ
43 制御装置
44 出力機構
45 環境測定センサ
46 記憶装置
5 計量棒
6 止まり木コネクタ
61 細径部
62 止まり木受け
7 止まり木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9