(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040952
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】レンズユニット、撮像装置、及び移動体
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20240318BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B15/00 V
G02B7/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145627
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 敬雄
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA04
2H044AJ03
2H044AJ04
2H044AJ06
(57)【要約】
【課題】レンズの回転による変位量を低減する。
【解決手段】レンズユニットはレンズと鏡筒15とシート部材16と保持部材とを有する。鏡筒15はレンズの光軸周りの外形より大きい開口を有する。鏡筒15は開口にレンズを収容する。シート部材16は鏡筒15においてレンズより開口側に位置する。シート部材16は第1の掛合部21を有する。第1の掛合部21は鏡筒15の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する。保持部材は鏡筒15の開口に取付けられることによりシート部材16を介してレンズを光軸方向に保持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズの光軸周りの外形より大きい開口を有し、該開口に前記レンズを収容する鏡筒と、
円環状であり、前記鏡筒において前記レンズより前記開口側に位置し、前記鏡筒の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部を有するシート部材と、
前記鏡筒の前記開口に取付けられることにより、前記シート部材を介して前記レンズを光軸方向に保持する保持部材と、を備える
レンズユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記第1の掛合部は、前記シート部材の平面内に位置する
レンズユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記鏡筒は、前記第1の掛合部に掛合する少なくとも一つの第2の掛合部を有する
レンズユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズユニットにおいて、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒の軸方向に沿った前記シート部材が設けられる位置において、前記鏡筒の軸の周方向における任意の位置に形成される孔を画定する壁面であり、
前記第1の掛合部は、前記壁面に、前記シート部材における円環の中心軸の周方向から当接する突出片である
レンズユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズユニットにおいて、
前記鏡筒は、複数の第2の掛合部を有し、
前記シート部材は、複数の第1の掛合部を有し、
前記複数の第1の掛合部は、前記鏡筒の周方向における該複数の第2の掛合部の間の部分を挟むように当接する
レンズユニット。
【請求項6】
請求項3に記載のレンズユニットにおいて、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒を開口側の端面に位置する窪の内周壁面であり、
前記鏡筒の軸方向から見た前記内周壁面の中心から該内周壁面までの距離が、該鏡筒の軸を中心とする周方向において変化し、
前記第1の掛合部は、前記内周壁面の少なくとも一部に当接する
レンズユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズユニットにおいて、
前記第2の掛合部である前記内周壁面は、前記鏡筒の軸方向から見て、略多角形状であり、
前記第1の掛合部は、前記鏡筒の軸方向から見た前記第2の掛合部の略多角形の各辺に当接する突出片である
レンズユニット。
【請求項8】
請求項3に記載のレンズユニットにおいて、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒の軸方向に沿って前記開口側に突出する棒状体であり、
前記第1の掛合部は、前記第2の掛合部の側面に、前記シート部材における円環の中心軸の周方向から当接する
レンズユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のレンズユニットにおいて、
前記第1の掛合部は、かぎ爪状の突出片、前記シート部材を円環の中心軸に沿った方向に貫通する貫通孔、及び前記シート部材の外縁から円環の中心軸に凹む凹部の少なくともいずれかを含む
レンズユニット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記少なくとも1つの第1の掛合部は、複数の第1の掛合部を含む
レンズユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のレンズユニットにおいて、
前記複数の第1の掛合部は、前記中心軸の周囲に均等な角度間隔で位置する
レンズユニット。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記シート部材において、前記第1の掛合部が前記鏡筒と当接する位置からの法線方向に隙間が位置する
レンズユニット。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記シート部材は、前記中心軸の周方向における異なる複数の位置において前記鏡筒にそれぞれ当接することにより、前記中心軸に対する径方向の変位を抑制する複数の当接部を有する
レンズユニット。
【請求項14】
請求項13に記載のレンズユニットにおいて、
前記シート部材において、前記当接部が前記鏡筒と当接する位置からの法線方向に隙間が位置する
レンズユニット。
【請求項15】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記鏡筒は、前記第1の掛合部に掛合する少なくとも一つの第2の掛合部を有し、
前記第1の掛合部は、前記シート部材から、前記シート部材の円環の中心軸に沿って延びる突出片であり、
前記第2の掛合部は、前記第1の掛合部である突出片に前記鏡筒の軸に対する周方向から当接する
レンズユニット。
【請求項16】
請求項15に記載のレンズユニットにおいて、
前記シート部材は、複数の前記第1の掛合部を有し、
前記複数の第1の掛合部の少なくとも一部は、前記シート部材を、前記シート部材の平面内で、前記シート部材の円環の中心軸に向かう方向又は離れる方向に付勢する板バネを含む
レンズユニット。
【請求項17】
請求項1から9、15、16のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記シート部材及び前記保持部材の少なくとも一方には、前記中心軸方向から見て前記シート部材及び前記保持部材の重なる領域に、前記シート部材及び前記保持部材間の摩擦を低減する摩擦低減部が位置する
レンズユニット。
【請求項18】
請求項1から9、15、16のいずれか1項に記載のレンズユニットと、
前記レンズの光軸方向における前記開口とは反対側に位置する撮像素子と、を備える
撮像装置。
【請求項19】
請求項18に記載の撮像装置を備える
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット、撮像装置、及び移動体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置等では、鏡筒にレンズを収容したレンズユニットが用いられている。レンズユニットでは、鏡筒内に収容したレンズを固定するために、鏡筒と螺合するリテーナを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リテーナを用いたレンズの固定に際してレンズがリテーナとともに回転することにより、光軸にずれが生じる可能性がある。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、鏡筒に螺合するリテーナのような保持部材による固定時のレンズの回転による変位量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点によるレンズユニットは、
レンズと、
前記レンズの光軸周りの外形より大きい開口を有し、該開口に前記レンズを収容する鏡筒と、
円環状であり、前記鏡筒において前記レンズより前記開口側に位置し、前記鏡筒の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部を有するシート部材と、
前記鏡筒の前記開口に取付けられることにより、前記シート部材を介して前記レンズを光軸方向に保持する保持部材と、を備える。
【0007】
また、第2の観点による撮像装置は、
レンズと、前記レンズの光軸周りの外形より大きい開口を有し、該開口に前記レンズを収容する鏡筒と、円環状であり、前記鏡筒において前記レンズより前記開口側に位置し、前記鏡筒の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部を有するシート部材と、前記鏡筒の前記開口に取付けられることにより、前記シート部材を介して前記レンズを光軸方向に保持する保持部材と、を有するレンズユニットと、
前記レンズの光軸方向における前記開口とは反対側に位置する撮像素子と、を備える
【0008】
また、第3の観点による移動体は、
レンズと、前記レンズの光軸周りの外形より大きい開口を有し、該開口に前記レンズを収容する鏡筒と、円環状であり、前記鏡筒において前記レンズより前記開口側に位置し、前記鏡筒の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部を有するシート部材と、前記鏡筒の前記開口に取付けられることにより、前記シート部材を介して前記レンズを光軸方向に保持する保持部材と、を含むレンズユニットと、前記レンズの光軸方向における前記開口とは反対側に位置する撮像素子と、を有する撮像装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、レンズの回転による変位量が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係るレンズユニットを有する撮像装置を備えた移動体の側面図である。
【
図2】
図1のレンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【
図4】保持部材を外した状態で
図2のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図5】保持部材を外した状態で
図2の変形例のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図6】保持部材を外した状態で
図2の別の変形例のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図7】保持部材を外した状態で
図2の更に別の変形例のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図8】保持部材を外した状態で第2の実施形態に係るレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図9】保持部材を外した状態で第3の実施形態に係るレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図10】保持部材を外した状態で
図9の変形例のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図11】保持部材を外した状態で
図9の別の変形例のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【
図12】第4の実施形態のレンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【
図13】保持部材を外した状態で
図12のレンズユニットを開口側から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0012】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係るレンズユニット10を含む撮像装置11は、例えば、移動体12に設けられる。
【0013】
移動体12は、例えば車両、船舶、航空機などを含んでよい。車両は、例えば、自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、滑走路を走行する固定翼機などを含んでよい。自動車は、例えば、乗用車、トラック、バス、二輪車、トロリーバスなどを含んでよい。産業車両は、例えば、農業、建設向けの産業車両などを含んでよい。産業車両は、例えば、フォークリフト、ゴルフカートなどを含んでよい。農業向けの産業車両は、例えば、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、芝刈り機などを含んでよい。建設向けの産業車両は、例えば、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、ロードローラなどを含んでよい。車両は、人力で走行するものを含んでよい。車両の分類は、上述した例に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよい。複数の分類に同じ車両が含まれてよい。船舶は、例えば、マリンジェット、ボート、タンカーを含んでよい。航空機は、例えば、固定翼機、回転翼機などを含んでよい。
【0014】
撮像装置11は、撮像素子13及びレンズユニット10を含んで構成される。
【0015】
撮像素子13は、後述するレンズユニット10におけるレンズの光軸方向における開口とは反対側に位置する。撮像素子13は、レンズユニット10が結像させる被写体光束を撮像して画像を生成してよい。
【0016】
図2に示すように、レンズユニット10は、レンズ14、鏡筒15、シート部材16、及び保持部材17を含んで構成される。
【0017】
レンズ14は、レンズユニット10において光学系を構成してよい。光学系は、被写体光束を結像させてよい。レンズ14は、光学系において最も物体側に位置してよい。光学系は、レンズ14及び他の光学素子を含んで構成されてよい。他の光学素子は、例えば、レンズ及びミラー等である。
【0018】
鏡筒15は、例えば、樹脂、金属等により形成されてよい。
図3に示すように、鏡筒15は、全体的に筒状であってよい。鏡筒15は、レンズ14の光軸ox周りの外形より大きい開口opを有する。鏡筒15は、開口opにレンズ14を収容する。
図2に示すように、鏡筒15は、レンズ14よりも鏡筒15の軸に沿った開口opの内部に、光学系を構成する他の光学素子を収容してよい。鏡筒15の開口op側の、内周面に雌螺子、又は外周面に雄螺子が形成されていてよい。本願明細書において、開口op側とは、鏡筒15の軸方向において物体側を向く一方向を意味する。
【0019】
鏡筒15の開口op側の先端には、鏡筒15の中心軸に垂直な仮想平面に接する少なくとも3か所の接触点を有してよい。
図3に示すように、少なくとも3か所の接触点は、当該仮想平面に重なる座面ssを構成してよい。
図2に示すように、座面ssよりも、レンズ14は開口opから突出する部分を有するように鏡筒15内に位置してよい。
【0020】
鏡筒15は、後述する、第1の掛合部に掛合する少なくとも1つの第2の掛合部を有してよい。
図4から7に示すように、第2の掛合部18は、鏡筒15の軸方向に沿ったシート部材16が設けられる位置において、鏡筒15の中心軸の周方向における任意の位置に形成される孔hを画定する壁面であってよい。より具体的には、第2の掛合部18は、鏡筒15の座面ssから更に突出する短筒19に形成される孔hを画定する壁面である。鏡筒15の中心軸は、レンズ14の光軸oxと平行であってよく、更には重なっていてよい。
【0021】
当該孔hは、短筒19の内周面側から外周面側への陥凹であってよく、内周面側から外周面側へ貫通する貫通孔であってよい。又、当該孔hは、短筒19の軸方向に開いた切欠きであってよい。
【0022】
鏡筒15は、より具体的には、複数の第2の掛合部18を有してよい。複数の第2の掛合部18は、後述する、第1の掛合部21に対応する位置に設けられてよい。
【0023】
シート部材16は、例えば、樹脂、金属等により形成されてよい。シート部材16は、平板の円環状であってよい。
図2に示すように、シート部材16は、鏡筒15においてレンズ14より開口op側に位置する。
図4から7に示すように、シート部材16は、本体20、少なくとも1つの第1の掛合部21、及び複数の当接部22を有してよい。
【0024】
本体20は、平板の円環状であってよい。円環を画定する内側の開口は、光学系の絞りとして機能してよい。又、後述するように、本体20の主面には、接触低減部が設けられていてよい。
【0025】
第1の掛合部21は、鏡筒15の一部に掛合することにより円環の中心軸に対するシート部材16の周方向の回転を抑制する。より具体的には、第1の掛合部21は、鏡筒15の第2の掛合部18に掛合してよい。
【0026】
第1の掛合部21は、シート部材16の平面内、言換えると本体20の平板の平面内に位置してよい。第1の掛合部21は、上述の第2の掛合部18である壁面に、シート部材16における円環の中心軸に対する周方向から当接する突出片であってよい。より具体的には、第1の掛合部21である突出片は、本体20における円環の中心軸より外側に向けて突出してよい。シート部材16の円環の中心軸は、鏡筒15の中心軸と平行であってよく、重なっていてよい。
【0027】
図4から6に示すように、第1の掛合部21は、シート部材16の円環の中心軸に対する周方向の両側において、第2の掛合部18である壁面に当接してよい。又、それぞれの第1の掛合部21は、当該周方向の一方の側において当該壁面に面接触し、当該周方向の逆側において当該壁面に点接触してよい。又は、
図7に示すように、シート部材16に設けられる複数の第1の掛合部21が、鏡筒15の周方向における複数の第2の掛合部18の間の短筒19の部分を挟むように当接してよい。
【0028】
図4から6に示すように、シート部材16は、複数の第1の掛合部21を有してよい。複数の第1の掛合部21は、シート部材16の円環の中心軸の周囲に均等な角度間隔で位置してよい。
図4、5、7に示すように、シート部材16には、第1の掛合部21が鏡筒15と当接する位置からの法線方向に隙間23が位置してよい。
図7に示すように、第1の掛合部21が周方向の一方向のみにおいて第2の掛合部18と当接する構成においては、短筒19の一部を挟持する2つの第1の掛合部21の一方の近傍に隙間23が形成されていてよい。
【0029】
図4から7に示すように、複数の当接部22は、シート部材16の円環の中心軸の周方向における異なる複数の位置に位置してよい。複数の当接部22は、当該周方向におけるそれぞれの位置において鏡筒15に当接することにより、中心軸に対する径方向のシート部材16の変位を抑制してよい。
【0030】
より具体的には、複数の当接部22は、鏡筒15の短筒19の内周面に当接してよい。例えば、
図4、6、7に示すように、中心軸を実質的に挟む1方向の両側それぞれに当接部22が設けられてよい。更には、
図4、6に示すように、中心軸を実質的に挟む2方向それぞれの両側に当接部22が設けられてよい。シート部材16における、当接部22が鏡筒15と当接する位置からの法線方向に、隙間24が位置してよい。
【0031】
又は、より具体的には、第1の掛合部21が当接部22として機能してよい。例えば、
図5に示すように、シート部材16の円環の中心軸の周方向における異なる3か所の第1の掛合部21は、当接部22として機能する。シート部材16の任意の径方向に印加される力に対して、3か所の中の少なくとも1つの第1の掛合部21が第2の掛合部18と掛合することにより変位が抑制される。又、例えば、
図7に示すように、短筒19の一部を挟持する4つの第1の掛合部21は、挟持する方向におけるシート部材16の変位を抑制し得る。
【0032】
保持部材17は、例えば、樹脂、金属等により形成されてよい。
図2に示すように、保持部材17は、全体的に円筒状であってよく、鏡筒15の開口opに取付け可能である。保持部材17は、任意の方法で開口opに取付け可能であってよく、例えば、螺合することにより取付け可能であってよい。保持部材17の内周面には雌螺子、又は外周面には雄螺子が形成されていてよい。保持部材17の雌螺子は、鏡筒15の雄螺子に螺合可能であってよい。保持部材17の雄螺子は、鏡筒15の雌螺子に螺合可能であってよい。
【0033】
保持部材17は、鏡筒15の開口opに取付けることにより、シート部材16を介してレンズ14を光軸ox方向に保持する。より具体的には、保持部材17が有する、円筒の軸方向に垂直な平面状の円環部25で光軸oxに平行な方向からシート部材16を押圧することにより、シート部材16とともにレンズ14を保持してよい。
【0034】
保持部材17及びシート部材16の少なくとも一方には、保持部材17の円筒の中心軸方向から見て保持部材17及びシート部材16の重なる領域に、摩擦低減部が位置してよい。摩擦低減部は、保持部材17及びシート部材16間の摩擦を低減させる。摩擦低減部は、例えば、保持部材17及びシート部材16間の接触面積を低減させてよい。接触面積を低減させる摩擦低減部は、例えば、保持部材17及びシート部材16の平面の一部を陥凹させた窪、又は当該平面の一部を隆起させた畝である。当該窪及び畝は、円環状であってよい。
【0035】
以上のような構成の第1の実施形態のレンズユニット10は、円環状であり鏡筒15においてレンズ14より開口op側に位置し、鏡筒15の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部21を有するシート部材16と、鏡筒15に螺合することによりシート部材16を介してレンズ14を光軸ox方向に保持する保持部材17と、を備える。このような構成を有するレンズユニット10は、保持部材17を螺合する際に接触するシート部材16の螺合に伴う回転が抑制されるので、シート部材16を介在して保持部材17に保持されるレンズ14の回転も抑制される。したがって、レンズユニット10は、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を低減し得る。
【0036】
又、レンズユニット10では、鏡筒15は複数の第2の掛合部18を有し、シート部材16は複数の第1の掛合部21を有し、複数の第1の掛合部21は鏡筒15の周方向における第2の掛合部18の間の部分を挟むように当接する。このような構成により、レンズユニット10は、第1の掛合部21が周方向の変位量を低減することに付加して、複数の第1の掛合部21が挟持する挟持方向におけるシート部材16の変位量を低減し得る。
【0037】
又、レンズユニット10では、少なくとも1つの第1の掛合部21は、複数の第1の掛合部21を含む。このような構成により、レンズユニット10は、単一の第1の掛合部21による回転の抑制に比べて、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0038】
又、レンズユニット10では、複数の第1の掛合部21は中心軸の周囲に均等な角度間隔で設けられている。このような構成により、レンズユニット10は、周方向において隣合う2つの第1の掛合部21が極端に広い角度間隔となることが防がれる。したがって、レンズユニット10は、シート部材16の局所的な回転による変位量を低減し得る。結果として、レンズユニット10は、レンズ14に局所的に回転する力の伝達が抑制されるので、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0039】
又、レンズユニット10では、シート部材16に、第1の掛合部21が鏡筒15と当接する位置からの法線方向に隙間23が形成されている。鏡筒15及びシート部材16の温度変化に基づく膨張又は縮小により互いに作用して、第1の掛合部21全体が変形し得る。このような事象に対して、レンズユニット10は、第1の掛合部21全体の変形を隙間23で吸収させ得る。したがって、レンズユニット10は、第1の掛合部21全体の変形に伴う、レンズ14の変位を抑制し得る。
【0040】
又、レンズユニット10では、シート部材16は、中心軸の周方向における異なる複数の位置において鏡筒15にそれぞれ当接することにより、中心軸に対する径方向の変位を抑制する複数の当接部22を有する。このような構成により、レンズユニット10は、例えば、シート部材16を光学系の絞りとして機能させる構成において、光軸oxからの絞りのずれ量を低減させ得る。
【0041】
又、レンズユニット10では、シート部材16に、当接部22が鏡筒15と当接する位置からの法線方向に隙間24が形成されている。このような構成により、レンズユニット10は、シート部材16全体の変形を隙間24で吸収させ得る。したがって、レンズユニット10は、シート部材16全体の変形に伴う、レンズ14の変位を抑制し得る。
【0042】
又、レンズユニット10では、シート部材16及び保持部材17の少なくとも一方には、中心軸方向から見てシート部材16及び保持部材17の重なる領域に、シート部材16及び保持部材17間の摩擦を低減する摩擦低減部が設けられている。このような構成により、レンズユニット10は、保持部材17を用いた固定に際して、保持部材17との間でシート部材16に作用する摩擦力を低減し得る。したがって、レンズユニット10は、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0043】
次に、本開示の第2の実施形態に係るレンズユニットについて説明する。第2の実施形態では、第1の掛合部及び第2の掛合部の構成が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0044】
図2に示すように、第2の実施形態において、レンズユニット100は、第1の実施形態と同じく、レンズ14、鏡筒150、シート部材160,及び保持部材17を含んで構成される。第2の実施形態におけるレンズ14及び保持部材17の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0045】
鏡筒150における、第2の掛合部を除く構成は、第1の実施形態に類似している。鏡筒150は、第1の実施形態に類似して、第1の掛合部に掛合する少なくとも1つの第2の掛合部を有してよい。
図8に示すように、第2の掛合部180は、鏡筒150の開口op側の端面に位置する窪cvの内周壁面であってよい。窪cvの下底面は、座面ssであってよい。
【0046】
鏡筒150の軸方向から見た、内周壁面の形状は、内周壁面の中心から内周壁面までの距離が、鏡筒150の軸を中心とする周方向において変化してよい。言換えると、鏡筒150の軸方向から見た、内周壁面の形状は、真円以外の形状であればよく、楕円形、扇形、Dカット形状、略多角形状等であってよい。鏡筒150の軸方向から見た、内周壁面の形状は、例えば、略正方形である。
【0047】
シート部材160は、平板の略円環状であってよい。本願明細書において、円環状とは、内部に円形の孔が形成することを意味し、外形は必ずしも円形であることに限定されない。第2の実施形態において、シート部材160の鏡筒150における位置は、第1の実施形態と同じである。シート部材160は、第1の実施形態に類似して、本体200、少なくとも1つの第1の掛合部210、及び複数の当接部220を有してよい。
【0048】
本体200は、平板状であってよい。本体200の内部には円形の孔が形成されていてよい。当該円形の孔は、光学系の絞りとして機能してよい。本体200の外形は、任意の形状であってよい。例えば、本体200の外形は、第2の掛合部180である窪cvの内周壁面を中心軸の方向から見た形状に類似し且つより小さい形状であってよい。又、本体200の主面には、接触低減部が設けられていてよい。
【0049】
第2の実施形態において、第1の掛合部210は、第1の実施形態に類似して、鏡筒15の一部に掛合することにより円環の中心軸に対するシート部材16の周方向の回転を抑制する。具体的には、第1の掛合部210は、第2の掛合部180である内周壁面の少なくとも一部に当接することによって掛合してよい。より具体的には、第1の掛合部210は、第2の掛合部180である多角形状の内周壁面の各辺に当接してよい。各第1の掛合部210は、開口op側から見て、多角形状の内周壁面の各辺の中央より左側において当該内周壁面に当接してよい。
【0050】
第1の掛合部210は、例えば、平板の平面内で本体200から突出する突出片である。第2の実施形態において、シート部材160は、複数の第1の掛合部210を有してよい。より具体的には、シート部材160は、4つの第1の掛合部210を有してよい。又、複数の第1の掛合部210は、シート部材160の円環の中心軸の周囲に均等な角度範囲で設けられていてよい。
【0051】
第2の実施形態において、複数の当接部220は、第1の実施形態に類似して、シート部材160の円環の中心軸の周方向における異なる複数の位置に位置してよい。複数の当接部220は、第1の実施形態に類似して、当該周方向におけるそれぞれの位置において鏡筒150に当接することにより、中心軸に対する径方向のシート部材160の変位を抑制してよい。
【0052】
より具体的には、第2の実施形態において、複数の当接部220は、第2の掛合部180として機能する内周壁面に当接してよい。より具体的には、複数の当接部220は、第2の掛合部180である多角形状の内周壁面の各辺に当接してよい。各当接部220は、開口op側から見て、多角形状の内周壁面の各辺の中央より右側において当該内周壁面に当接してよい。シート部材160における、当接部220が鏡筒150と当接する位置からの法線方向に、隙間240が形成されていてよい。
【0053】
以上のような構成の第2の実施形態のレンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、円環状であり鏡筒150においてレンズ14より開口op側に位置し、鏡筒150の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部210を有するシート部材160と、鏡筒150に螺合することによりシート部材160を介してレンズ14を光軸ox方向に保持する保持部材17と、を備える。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を低減し得る。
【0054】
又、レンズユニット100でも、第1の実施形態に類似して、少なくとも1つの第1の掛合部210は、複数の第1の掛合部210を含む。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0055】
又、レンズユニット100でも、第1の実施形態に類似して、複数の第1の掛合部210は中心軸の周囲に均等な角度間隔で設けられている。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0056】
又、レンズユニット100でも、第1の実施形態に類似して、シート部材16は中心軸の周方向における異なる複数の位置において鏡筒150にそれぞれ当接することにより、中心軸に対する径方向の変位を抑制する複数の当接部220を有する。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、例えば、シート部材160を光学系の絞りとして機能させる構成において、光軸oxからの絞りのずれ量を低減させ得る。
【0057】
又、レンズユニット100でも、第1の実施形態に類似して、シート部材160に、当接部220が鏡筒150と当接する位置からの法線方向に隙間240が形成されている。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、シート部材160全体の変形に伴う、レンズ14の変位を抑制し得る。
【0058】
又、レンズユニット100でも、第1の実施形態に類似して、シート部材160及び保持部材17の少なくとも一方には、中心軸方向から見てシート部材160及び保持部材17の重なる領域に、シート部材160及び保持部材17間の摩擦を低減する摩擦低減部が設けられている。したがって、レンズユニット100も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0059】
次に、本開示の第3の実施形態に係るレンズユニットについて説明する。第3の実施形態では、第1の掛合部及び第2の掛合部の構成が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0060】
図2に示すように、第3の実施形態において、レンズユニット101は、第1の実施形態と同じく、レンズ14、鏡筒151、シート部材161,及び保持部材17を含んで構成される。第3の実施形態におけるレンズ14及び保持部材17の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0061】
鏡筒151における、第2の掛合部を除く構成は、第1の実施形態に類似している。鏡筒151は、第1の実施形態に類似して、第1の掛合部に掛合する少なくとも1つの第2の掛合部を有してよい。
図9から11に示すように、第2の掛合部181は、鏡筒151の開口op側の端面から鏡筒151の軸方向に沿って突出する棒状体であってよい。鏡筒151は、より具体的には、複数の第2の掛合部181を有してよい。複数の第2の掛合部181は、後述する、第1の掛合部211に対応する位置に設けられてよい。
図10、11に示すように、鏡筒151は、第2の掛合部181とは別に、座面ssから更に突出する短筒191が形成されていてよい。
【0062】
図9から11に示すように、シート部材161は、平板の円環状であってよい。第3の実施形態において、シート部材161の鏡筒151における位置は、第1の実施形態と同じである。シート部材161は、本体201及び少なくとも1つの第1の掛合部211を有してよい。更に、
図10、11に示すように、シート部材161は、複数の当接部221を有してよい。
【0063】
本体201は、全体的に平板の円環状であってよい。円環を画定する内側の開口は、光学系の絞りとして機能してよい。又、本体201の主面には、接触低減部が設けられていてよい。
【0064】
第3の実施形態において、第1の掛合部211は、第1の実施形態に類似して、鏡筒151の一部に掛合することにより円環の中心軸に対するシート部材161の周方向の回転を抑制する。具体的には、第1の掛合部211は、第2の掛合部181である棒状体の側面、より具体的には外周面に、円環の中心軸の周方向から当接することによって掛合してよい。
【0065】
より具体的には、
図9に示すように、第1の掛合部211は、本体201から平板の面内で円環の中心軸から外側に向けて突出する、かぎ爪状の突出片であってよい。当該かぎ爪状の突出片は、少なくとも周方向の両側から第2の掛合部181に当接してよい。
【0066】
又は、より具体的には、
図10に示すように、第1の掛合部211は、シート部材161を、円環の中心軸に沿った方向に貫通する貫通孔であってよい。当該貫通孔は、周方向の少なくとも一方において第2の掛合部181に当接してよい。互いに掛合する第1の掛合部211及び第2の掛合部181の複数の組合せの中で、一部の組合せでは第1の掛合部211は周方向における一方向において第2の掛合部181に当接し、他の一部の組合せでは当該周方向における他方向において第2の掛合部181に当接してよい。
【0067】
又は、より具体的には、
図11に示すように、第1の掛合部211は、シート部材161の外縁から円環の中心軸に凹む凹部であってよい。当該凹部は、周方向の両側において第2の掛合部181に当接してよい。
【0068】
図9から11に示すように、シート部材161は、複数の第1の掛合部211を有してよい。又、複数の第1の掛合部211は、シート部材161の円環の中心軸の周囲に均等な角度範囲で設けられていてよい。
【0069】
第3の実施形態において、
図10、11に示すように、複数の当接部221は、第1の実施形態に類似して、シート部材161の円環の中心軸の周方向における異なる複数の位置に位置してよい。複数の当接部221は、第1の実施形態に類似して、当該周方向におけるそれぞれの位置において鏡筒151に当接することにより、中心軸に対する径方向のシート部材161の変位を抑制してよい。より具体的には、第3の実施形態において、複数の当接部221は、短筒191の内周壁面に当接してよい。シート部材161における、当接部221が鏡筒151と当接する位置からの法線方向に、隙間241が形成されていてよい。なお、
図10に示すように、第1の掛合部211である貫通孔が、隙間241として機能してよい。
【0070】
又は、第1の掛合部211及び本体201の少なくとも一方が当接部221として機能してよい。例えば、
図9に示すように、第1の掛合部211及び第2の掛合部181の複数の組合せの中で、少なくとも一部の組合せにおいて、鏡筒151の径方向において第2の掛合部181の外側では第1の掛合部211に当接し、内側では本体201に当接してよい。
【0071】
以上のような構成の第3の実施形態のレンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、円環状であり鏡筒151においてレンズ14より開口op側に位置し、鏡筒151の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部211を有するシート部材161と、鏡筒151に螺合することによりシート部材161を介してレンズ14を光軸ox方向に保持する保持部材17と、を備える。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を低減し得る。
【0072】
又、レンズユニット101でも、第1の実施形態に類似して、少なくとも1つの第1の掛合部211は、複数の第1の掛合部211を含む。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0073】
又、レンズユニット101でも、第1の実施形態に類似して、複数の第1の掛合部211は中心軸の周囲に均等な角度間隔で設けられている。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0074】
又、レンズユニット101でも、第1の実施形態に類似して、中心軸の周方向における異なる複数の位置において鏡筒151にそれぞれ当接することにより、中心軸に対する径方向の変位を抑制する複数の当接部220を有する。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、例えば、シート部材161を光学系の絞りとして機能させる構成において、光軸oxからの絞りのずれ量を低減させ得る。
【0075】
又、レンズユニット101でも、第1の実施形態に類似して、シート部材161に、当接部221が鏡筒151と当接する位置からの法線方向に隙間241が形成されうる。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、シート部材161全体の変形に伴う、レンズ14の変位を抑制し得る。
【0076】
又、レンズユニット101でも、第1の実施形態に類似して、シート部材161及び保持部材17の少なくとも一方には、中心軸方向から見てシート部材161及び保持部材17の重なる領域に、シート部材161及び保持部材17間の摩擦を低減する摩擦低減部が設けられている。したがって、レンズユニット101も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0077】
次に、本開示の第4の実施形態に係るレンズユニットについて説明する。第4の実施形態では、第1の掛合部及び第2の掛合部の構成が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0078】
図12に示すように、第4の実施形態において、レンズユニット102は、第1の実施形態と同じく、レンズ14、鏡筒152、シート部材162,及び保持部材17を含んで構成される。第4の実施形態におけるレンズ14及び保持部材17の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0079】
鏡筒152における、第2の掛合部を除く構成は、第1の実施形態に類似している。鏡筒152は、第1の実施形態に類似して、第1の掛合部に掛合する少なくとも1つの第2の掛合部を有してよい。
図13、14に示すように、第2の掛合部182は、後述する第1の掛合部212である突出片に鏡筒152の軸に対する周方向から当接してよい。
【0080】
より具体的には、第2の掛合部182は、鏡筒152の開口op側の外周面に形成される切欠きを画定する内壁面であってよい。当該切欠きの幅、言換えると周方向における長さは、第1の掛合部212の突出片の幅以下であってよい。好ましくは、切欠きの幅は、当該突出片の幅と略等しくてよい。このような構成により、第2の掛合部182は、第1の掛合部212である突出片に、鏡筒152の軸に対する周方向の両側から当接する。
【0081】
第4の実施形態において、鏡筒152は、第1の実施形態に類似して、複数の第2の掛合部182を有してよい。複数の第2の掛合部182は、第1の実施形態に類似して、後述する、第1の掛合部212に対応する位置に設けられてよい。
【0082】
図13に示すように、シート部材162は、平板の円環状であってよい。第2の実施形態において、シート部材162の鏡筒152における位置は、第1の実施形態と同じである。シート部材162は、本体202及び少なくとも1つの第1の掛合部211を有してよい。
【0083】
本体202は、全体的に平板の円環状であってよい。円環を画定する内側の開口は、光学系の絞りとして機能してよい。又、本体202の主面には、接触低減部が設けられていてよい。
【0084】
第4の実施形態において、第1の掛合部212は、第1の実施形態に類似して、鏡筒152の一部に掛合することにより円環の中心軸に対するシート部材162の周方向の回転を抑制する。具体的には、第1の掛合部212は、第2の掛合部182である切欠きの内壁面、より具体的には周方向に交差する壁面に、円環の中心軸の周方向から当接することによって掛合してよい。
【0085】
より具体的には、
図14に示すように、第1の掛合部212は、シート部材162より具体的には本体202から、円環の中心軸に沿って延びる突出片であってよい。当該突出片は、矩形の平板状であってよい。当該突出片は、少なくとも周方向の両側から第2の掛合部182に当接してよい。
【0086】
図13に示すように、シート部材162は、複数の第1の掛合部212を有してよい。又、複数の第1の掛合部212は、シート部材162の円環の中心軸の周囲に均等な角度範囲で設けられていてよい。
図14に示すように、複数の第1の掛合部212の少なくとも一部は、シート部材162を、シート部材162の平面内でシート部材162の円環の中心軸に向かう方向又は離れる方向に付勢する板バネを含んでよい。
【0087】
以上のような構成の第4の実施形態のレンズユニット102も、第1の実施形態に類似して、円環状であり鏡筒152においてレンズ14より開口op側に位置し、鏡筒152の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部212を有するシート部材162と、鏡筒152に螺合することによりシート部材162を介してレンズ14を光軸ox方向に保持する保持部材17と、を備える。したがって、レンズユニット102も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を低減し得る。
【0088】
又、レンズユニット102でも、第1の実施形態に類似して、少なくとも1つの第1の掛合部212は、複数の第1の掛合部212を含む。したがって、レンズユニット102も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0089】
又、レンズユニット102でも、第1の実施形態に類似して、複数の第1の掛合部212は中心軸の周囲に均等な角度間隔で設けられている。したがって、レンズユニット102も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0090】
又、レンズユニット102でも、第1の実施形態に類似して、シート部材162及び保持部材17の少なくとも一方には、中心軸方向から見てシート部材162及び保持部材17の重なる領域に、シート部材162及び保持部材17間の摩擦を低減する摩擦低減部が設けられている。したがって、レンズユニット102も、第1の実施形態に類似して、保持部材17を用いた固定に際してレンズ14の回転による変位量を更に低減し得る。
【0091】
又、レンズユニット102では、第1の掛合部212はシート部材162からシート部材162の円環の中心軸に沿って延びる突出片であり、第2の掛合部182は第1の掛合部212である突出片に鏡筒152の軸に対する周方向から当接し、シート部材162は複数の第1の掛合部212を有し、複数の第1の掛合部212の少なくとも一部はシート部材162をシート部材162の平面内でシート部材162の円環の中心軸に向かう方向又は離れる方向に付勢する板バネを含む。このような構成により、レンズユニット102は、シート部材162の径方向における変位量を低減し得るので、例えば、シート部材161を光学系の絞りとして機能させる構成において、光軸oxからの絞りのずれ量を低減させ得る。又、このような構成により、レンズユニット102は、鏡筒152及びシート部材162の温度変化に基づく膨張又は縮小による互いの作用に基づくシート部材16全体の変形に伴うずれを、板バネにより吸収させ得る。したがって、レンズユニット102は、シート部材162全体の変形に伴う、レンズ14の変位を抑制し得る。
【0092】
一実施形態において、(1)レンズユニットは、
レンズと、
前記レンズの光軸周りの外形より大きい開口を有し、該開口に前記レンズを収容する鏡筒と、
円環状であり、前記鏡筒において前記レンズより前記開口側に位置し、前記鏡筒の一部に掛合することにより円環の中心軸に対する周方向の回転を抑制する少なくとも1つの第1の掛合部を有するシート部材と、
前記鏡筒の開口に取付けられることにより、前記シート部材を介して前記レンズを光軸方向に保持する保持部材と、を備える。
【0093】
(2)上記(1)のレンズユニットでは、
前記第1の掛合部は、前記シート部材の平面内に位置する。
【0094】
(3)上記(1)又は(2)のレンズユニットでは、
前記鏡筒は、前記第1の掛合部に掛合する少なくとも一つの第2の掛合部を有する。
【0095】
(4)上記(3)のレンズユニットでは、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒の軸方向に沿った前記シート部材が設けられる位置において、前記鏡筒の軸の周方向における任意の位置に形成される孔を画定する壁面であり、
前記第1の掛合部は、前記壁面に、前記シート部材における円環の中心軸の周方向から当接する突出片である。
【0096】
(5)上記(4)のレンズユニットでは、
前記鏡筒は、複数の第2の掛合部を有し、
前記シート部材は、複数の第1の掛合部を有し、
前記複数の第1の掛合部は、前記鏡筒の周方向における該複数の第2の掛合部の間の部分を挟むように当接する。
【0097】
(6)上記(3)のレンズユニットでは、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒を開口側の端面に位置する窪の内周壁面であり、
前記鏡筒の軸方向から見た前記内周壁面の中心から該内周壁面までの距離が、該鏡筒の軸を中心とする周方向において変化し、
前記第1の掛合部は、前記内周壁面の少なくとも一部に当接する。
【0098】
(7)上記(6)のレンズユニットでは、
前記第2の掛合部である前記内周壁面は、前記鏡筒の軸方向から見て、略多角形状であり、
前記第1の掛合部は、前記鏡筒の軸方向から見た前記第2の掛合部の略多角形の各辺に当接する突出片である。
【0099】
(8)上記(3)のレンズユニットでは、
前記第2の掛合部は、前記鏡筒の軸方向に沿って前記開口側に突出する棒状体であり、
前記第1の掛合部は、前記第2の掛合部の側面に、前記シート部材における円環の中心軸の周方向から当接する。
【0100】
(9)上記(8)のレンズユニットは、
前記第1の掛合部は、かぎ爪状の突出片、前記シート部材を円環の中心軸に沿った方向に貫通する貫通孔、及び前記シート部材の外縁から円環の中心軸に凹む凹部の少なくともいずれかを含む。
【0101】
(10)上記(1)乃至(9)のレンズユニットは、
前記少なくとも1つの第1の掛合部は、複数の第1の掛合部を含む。
【0102】
(11)上記(10)のレンズユニットは、
前記複数の第1の掛合部は、前記中心軸の周囲に均等な角度間隔で位置する。
【0103】
(12)上記(1)乃至(11)のレンズユニットは、
前記シート部材において、前記第1の掛合部が前記鏡筒と当接する位置からの法線方向に隙間が位置する。
【0104】
(13)上記(1)乃至(12)のレンズユニットは、
前記シート部材は、前記中心軸の周方向における異なる複数の位置において前記鏡筒にそれぞれ当接することにより、前記中心軸に対する径方向の変位を抑制する複数の当接部を有する。
【0105】
(14)上記(13)のレンズユニットは、
前記シート部材において、前記当接部が前記鏡筒と当接する位置からの法線方向に隙間が位置する。
【0106】
(15)上記(1)のレンズユニットは、
前記第1の掛合部は、前記シート部材から、前記シート部材の円環の中心軸に沿って延びる突出片であり、
前記第2の掛合部は、前記第1の掛合部である突出片に前記鏡筒の軸に対する周方向から当接する。
【0107】
(16)上記(15)のレンズユニットは、
前記シート部材は、複数の前記第1の掛合部を有し、
前記複数の第1の掛合部の少なくとも一部は、前記シート部材を、前記シート部材の平面内で、前記シート部材の円環の中心軸に向かう方向又は離れる方向に付勢する板バネを含む。
【0108】
(17)上記(1)乃至(16)のレンズユニットは、
前記シート部材及び前記保持部材の少なくとも一方には、前記中心軸方向から見て前記シート部材及び前記保持部材の重なる領域に、前記シート部材及び前記保持部材間の摩擦を低減する摩擦低減部が位置する。
【0109】
一実施形態において、(18)撮像装置は、
上記(1)乃至(17)のレンズユニットと、
前記レンズの光軸方向における前記開口とは反対側に位置する撮像素子と、を備える。
【0110】
一実施形態において、(19)移動体は、
上記(18)の撮像装置を備える。
【0111】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0112】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0113】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0114】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0115】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の掛合部は、第2の掛合部と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0116】
10、100、101、102 レンズユニット
11 撮像装置
12 移動体
13 撮像素子
14 レンズ
15、150、151、152 鏡筒
16、160、161、162 シート部材
17 保持部材
18、180、181、182 第2の掛合部
19、191 短筒
20、200、201、202 本体
21、210、211、212 第1の掛合部
22、220、221 当接部
23 隙間
24、241 隙間
25 円環部
cv 窪
h 孔
op 開口
ox 光軸
ss 座面