(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040969
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240318BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145647
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大城 究人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】水野 智史
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 健太
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA15
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】リフタレバーの意図しない操作を防止することができる車両用シートを得る。
【解決手段】車両用シート12は、乗員が着座するためのシートクッションと、シートクッションの側部に設けられ、シート幅方向を軸周りとする回転操作が可能なリフタレバー60と、リフタレバー60からの回転操作力に基づいて、シートクッションを昇降させるリフタ機構と、リフタレバー60の回転操作を規制するロック機構70と、を有し、ロック機構70は、リフタレバー60に設けられた操作部72と、操作部72への操作により、リフタレバー60の回転操作を不能にするロック位置からリフタレバー60の回転操作を可能にする解除位置へと変位されるロック部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するためのシートクッションと、
前記シートクッションの側部に設けられ、シート幅方向を軸周りとする回転操作が可能なリフタレバーと、
前記リフタレバーからの回転操作力に基づいて、前記シートクッションを昇降させるリフタ機構と、
前記リフタレバーの回転操作を規制するロック機構と、を有し、
前記ロック機構は、
前記リフタレバーに設けられた操作部と、
前記操作部への操作により、前記リフタレバーの回転操作を不能にするロック位置から前記リフタレバーの回転操作を可能にする解除位置へと変位されるロック部と、
を有する車両用シート。
【請求項2】
前記ロック部は、前記ロック位置において、前記リフタレバーからシート幅方向内側に突出し、前記シートクッションの側部に設けられたロック孔に挿入されることにより、前記リフタレバーの回転を規制する、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記ロック機構は、
前記リフタレバーの下面に設けられた前記操作部と、
前記操作部に軸支された前記ロック部と、
前記ロック部の回転軸を挟んで一方側に設けられ、前記操作部をシート下方側に付勢する弾性部と、
前記ロック部の回転軸を挟んで他方側に設けられ、前記ロック部に当接する当接部と、を有し、
前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によって前記操作部に対する回転が規制されることにより前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記当接部を介して回転力が付与されて、前記解除位置へと変位する、請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記リフタレバーの前端に設けられた前記操作部と、
前記操作部のシート後方側において、前記操作部との間に変換部を介在させて設けられたロック部と、
前記操作部及び前記ロック部との間に前記変換部を介在させて設けられ、前記操作部をシート前方側へ付勢すると同時に前記ロック部をシート幅方向内側へ付勢する弾性部と、を有し、
前記ロック部は、前記弾性部の付勢力により前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記解除位置へと変位する、請求項2に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記ロック機構は、
前記リフタレバーの前端に設けられた前記操作部と、
前記操作部のシート後方側において、前記操作部との間に撓み部を介在させて一体に設けられたロック部と、
前記操作部と前記撓み部の間に配置され、前記操作部をシート前方側へ付勢する弾性部と、
前記当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記ロック部に当接する当接部と、を有し、
前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によって前記当接部に当接しないことにより前記ロック位置へと配置され、前記当接部に当接することにより、前記撓み部をシート幅方向外側に撓ませて前記解除位置へと変位する、請求項2に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記ロック機構は、
前記リフタレバーの上面に設けられた前記操作部と、
前記前記リフタレバーに対して前記操作部をシート前後方向にスライド可能に支持する支持部と、
前記支持部からシート幅方向内側に突出して設けられたロック部と、
前記支持部のシート後方側に設けられ、前記支持部を介して前記操作部をシート前方側に付勢する弾性部と、を有し、
前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によりシート前方側へ移動することで前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのスライド操作が行われることにより、シート後方側へ移動することで前記解除位置へと変位する、請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関し、特にシートクッションを昇降させるためのリフタ機構を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された車両用シートでは、リフタレバーの回動ストロークの大きさに応じて、クラッチ部のロックを解除することにより、車両の振動などに起因してリフタレバーに操作力が作用しない状態で座席シートが微小に下がってしまうことを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートクッションの側部にリフタレバーを設けた車両用シートでは、乗降時に、乗員がシートクッションに横向きで着座した姿勢になることで、臀部や大腿部がリフタレバーに干渉し、意図しない操作が行われることがある。従って、リフタレバーの意図しない操作を防止するためには、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、リフタレバーの意図しない操作を防止することができる車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両用シートは、乗員が着座するためのシートクッションと、前記シートクッションの側部に設けられ、シート幅方向を軸周りとする回転操作が可能なリフタレバーと、前記リフタレバーからの回転操作力に基づいて、前記シートクッションを昇降させるリフタ機構と、前記リフタレバーの回転操作を規制するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記リフタレバーに設けられた操作部と、前記操作部への操作により、前記リフタレバーの回転操作を不能にするロック位置から前記リフタレバーの回転操作を可能にする解除位置へと変位されるロック部と、を有する。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用シートでは、シートクッションの側部に設けたリフタレバーに対してシート幅方向を軸周りとする回転操作が行われることにより、シートクッションを昇降させることができる。ここで、リフタレバーの回転操作は、ロック機構のロック部がロック位置に配置された状態では不能とされ、ロック部がロック位置から解除位置へと変位された場合に可能となる。また、ロック部を解除位置へと変位させるには、リフタレバーに設けられた操作部への操作が必要とされる。従って、乗員が意図して操作部の操作を行わない限り、ロック機構によってリフタレバーの回転が規制される。このため、リフタレバーの意図しない操作を防止することができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の構成において、前記ロック部は、前記ロック位置において、前記リフタレバーからシート幅方向内側に突出し、前記シートクッションの側部に設けられたロック孔に挿入されることにより、前記リフタレバーの回転を規制する。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの回転を規制するロック部が、リフタレバーからシート幅方向内側に突出し、シートクッションの側部に設けられたロック孔に挿入される。従って、リフタレバー側にロック部が設けられているため、車種毎にシートフレームが異なる場合においても、設計が容易である。
【0010】
請求項3に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の構成において、前記ロック機構は、前記リフタレバーの下面に設けられた前記操作部と、前記操作部に軸支された前記ロック部と、前記ロック部の回転軸を挟んで一方側に設けられ、前記操作部をシート下方側に付勢する弾性部と、前記ロック部の回転軸を挟んで他方側に設けられ、前記ロック部に当接する当接部と、を有し、前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によって前記操作部に対する回転が規制されることにより前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記当接部を介して回転力が付与されて、前記解除位置へと変位する。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの下面に設けられた操作部を弾性部の付勢力に抗ってシート上方側へプッシュすることにより、ロック部を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバーの回転操作時にレバーを把持する動作からロック部の解除操作をスムーズに行うことができるため、操作性に優れる。
【0012】
請求項4に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の構成において、前記ロック機構は、前記リフタレバーの前端に設けられた前記操作部と、前記操作部のシート後方側において、前記操作部との間に変換部を介在させて設けられたロック部と、前記操作部及び前記ロック部との間に前記変換部を介在させて設けられ、前記操作部をシート前方側へ付勢すると同時に前記ロック部をシート幅方向内側へ付勢する弾性部と、を有し、前記ロック部は、前記弾性部の付勢力により前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記解除位置へと変位する。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの前端に設けられた操作部を、弾性部の付勢力に抗ってシート後方側へプッシュすることにより、ロック部を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバーの回転操作時にレバーを把持する動作とは異なる方向に操作力を付与することでロック部の解除操作が行われる。これにより、乗員に、リフタレバーの回転操作とは別にロック部の解除操作を明確に認識させることができる。
【0014】
請求項5に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の構成において、前記ロック機構は、前記リフタレバーの前端に設けられた前記操作部と、前記操作部のシート後方側において、前記操作部との間に撓み部を介在させて一体に設けられたロック部と、前記操作部と前記撓み部の間に配置され、前記操作部をシート前方側へ付勢する弾性部と、前記当該付勢力に抗って前記操作部へのプッシュ操作が行われることにより、前記ロック部に当接する当接部と、を有し、前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によって前記当接部に当接しないことにより前記ロック位置へと配置され、前記当接部に当接することにより、前記撓み部をシート幅方向外側に撓ませて前記解除位置へと変位する。
【0015】
請求項5に記載の本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの前端に設けられた操作部を、弾性部の付勢力に抗ってシート後方側へプッシュすることにより、ロック部を解除位置へと変位させる。これにより、乗員に、リフタレバーの回転操作とは別にロック部の解除操作を明確に認識させることができる。また、操作部とロック部が一体に設けられているため、部材点数が削減され、組立を容易にすることができる。
【0016】
請求項6に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の構成において、前記ロック機構は、前記リフタレバーの上面に設けられた前記操作部と、前記前記リフタレバーに対して前記操作部をシート前後方向にスライド可能に支持する支持部と、前記支持部からシート幅方向内側に突出して設けられたロック部と、前記支持部のシート後方側に設けられ、前記支持部を介して前記操作部をシート前方側に付勢する弾性部と、を有し、前記ロック部は、前記弾性部の付勢力によりシート前方側へ移動することで前記ロック位置へと配置され、当該付勢力に抗って前記操作部へのスライド操作が行われることにより、シート後方側へ移動することで前記解除位置へと変位する。
【0017】
請求項6に記載の本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの上面に設けられた操作部を、弾性部の付勢力に抗ってシート後方側へスライドさせることにより、ロック部を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバーの回転操作に伴ってレバーを把持した状態からロック部の解除操作を行うことができるため、操作性に優れる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートでは、リフタレバーの意図しない操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る車両用シートの部分的な構成を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両用シートのリフタ機構を概略的に示す側面図である。
【
図3】第1実施形態に係るリフタレバーの部分的な構成をシート幅方向内側から見た分解図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿った縦断面にて、第1実施形態に係るリフタレバーの動作を示しており、(A)には、ロック部がロック位置に配置された状態が示されており、(B)には、ロック部が解除位置に配置された状態が示されている。
【
図5】第2実施形態に係るリフタレバーをシート幅方向外側から見た斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係るリフタレバーの部分的な構成をシート幅方向内側から見た分解図である。
【
図7】第2実施形態に係るリフタレバーの動作を示しており、(A)には、ロック部がロック位置に配置された状態が示されており、(B)には、ロック部が解除位置に配置された状態が示されている。
【
図8】第3実施形態に係るリフタレバーの部分的な構成をシート幅方向内側から見た分解図である。
【
図9】第3実施形態に係るリフタレバーの動作を示しており、(A)には、ロック部がロック位置に配置された状態が示されており、(B)には、ロック部が解除位置に配置された状態が示されている。
【
図10】第4実施形態に係るリフタレバーをシート幅方向外側から見た斜視図である。
【
図11】第4実施形態に係るリフタレバーの部分的な構成をシート幅方向内側から見た分解図である。
【
図12】第4実施形態に係るリフタレバーの動作を示しており、(A)には、ロック部がロック位置に配置された状態が示されており、(B)には、ロック部が解除位置に配置された状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図4を参照し、第1実施形態に係る車両用シート12について説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両用シートの上方向、矢印FRを車両用シートの前方向、矢印LHを車両用シートの左方向とする。そして、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両用シートの上下方向の上下、車両用シートの前後方向の前後、車両用シートの左右方向(シート幅方向)の左右を示すものとする。
【0021】
図1に示されるように、車両用シート12は、乗員(図示省略)の臀部及び大腿部を支持するシートクッション14と、乗員の背部を支持するシートバック18と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト(図示省略)と、を含んで構成されている。また、シートクッション14の内部には、左右一対のシートクッションフレーム16(
図2参照)が配置されている。
【0022】
シートクッションの側部かつ後部には、シートクッション14に対してシートバック18を傾動させるリクライニング機構(図示省略)を操作するためのリクライニングレバー32が設けられている。リクライニングレバー32の前方側には、シートクッション14を昇降させるリフタ機構40(
図2参照)を操作するためのリフタレバー60が設けられている。
【0023】
図2には、車両用シート12のフレームが部分的に示されている。この図に示されるように、車両用シート12は、車室のフロア(床面)20に固定された左右一対のシート支持装置22に取り付けられている。シート支持装置22は、フロア20に固定された前後一対の支持具24と、前後方向に延在するとともに各支持具24に固定されたロアレール26と、ロアレール26にスライド可能に支持されたアッパレール28と、を有している。
【0024】
そして、シート支持装置22は、車両用シート12の前後方向の位置を調整するために、ロアレール26に対するアッパレール28のスライドロック機構を解除するスライドレバー(符号省略)を有している。また、シート支持装置22は、アッパレール28に固定された支持フレーム30を有しており、支持フレーム30には、後述するリフタ機構40を介してシートクッションフレーム16が接続されている。
【0025】
リフタ機構40は、シートクッション14(シートクッションフレーム16)の高さを調整可能とする機構であり、車室のフロア20に取り付けられたシート支持装置22に対してシートクッションフレーム16を上下方向に移動(昇降)可能となるように構成されている。リフタ機構40は、同一の構成が車両用シート12の両側部に左右一対で設けられており、ここでは、主に一方(
図2に示される右側)のリフタ機構40を例として説明する。
【0026】
リフタ機構40は、シートクッションフレーム16の前部に設けられた平板状の前方リンク部材42と、シートクッションフレーム16の後部に設けられた平板状の後方リンク部材50と、シートクッションフレーム16の一方(右側)の側部に回転可能に軸支されたピニオンギア48と、を有している。
【0027】
前方リンク部材42は、左右で同一形状に形成されている。そして、前方リンク部材42の一端部(上端部)は、回動軸44によりシートクッションフレーム16の前部に回動可能に支持されており、前方リンク部材42の他端部(下端部)は、回動軸46により支持フレーム30の前部に回動可能に支持されている。
【0028】
後方リンク部材50は、略扇型形状の本体部52を有しており、シートクッションフレームの一方(右側)に配置された後方リンク部50では、本体部52の前端部に設けられたギア歯58がピニオンギア48と噛合する。
【0029】
また、本体部52の後端部は、回動軸54を介してシートクッションフレーム16の後部に軸支されている。これにより、本体部52が、シートクッションフレーム16の後部に回動可能に支持されている。
【0030】
また、本体部52の略中央部には、円弧状の長孔部52Aが形成されており、その長孔部52Aには、シートクッションフレーム16に突設された円柱状のガイドピン16Aが挿入されている。このガイドピン16Aにより、本体部52の回動軸54を中心とした回動範囲が制限されるようになっている。
【0031】
後方リンク部材50の本体部52における下部には、ギア歯58よりも前方下側へ延在するアーム部56が一体に形成されている。そして、そのアーム部56の先端部(下端部)が、支持フレーム30に回動可能に支持されている。
【0032】
以上のような構成のリフタ機構40は、乗員がリフタレバー60を操作することにより、リフタレバー60の回転操作力が図示しないブレーキ装置(逆回転防止装置)を介してピニオンギア48に伝達される。これにより、ピニオンギア48が図示の時計回り方向と反時計回り方向とに切り替えられて回転するように構成されている。
【0033】
ブレーキ装置は、リフタレバー60に連結されており、リフタレバー60の一方向の回転操作をピニオンギア48に伝達する公知のラチェット機構を含んでいる。リフタレバー60は、ピニオンギア48と一体になった回転軸(図示省略)に連結され、シート幅方向を軸周りとする回転操作力を回転軸に伝達する
【0034】
例えば、リフタレバー60に対して、レバー位置を下げる方向に回転操作を行う(ラチェット機構で繰り返し操作を行う)と、ピニオンギア48が図示の時計回り方向に回転する。ピニオンギア48が時計回り方向に回転すると、そのピニオンギア48にギア歯58が噛合していることにより、本体部52が回動軸54を中心に上方向へ回動し、シートクッションフレーム16を下降させるようになっている。そして、リフタレバー60に対してレバー位置を上げる方向に回転操作を行うと、ピニオンギア48が図示の反時計回り方向に回転する。ピニオンギア48が反時計回り方向に回転すると、そのピニオンギア48にギア歯58が噛合していることにより、本体部52が回動軸54を中心に下方向へ回動し、シートクッションフレーム16を上昇させるようになっている。
【0035】
つまり、リフタレバー60は、ピニオンギア48に対してシート幅方向を軸周りとする回転操作力を伝達する。リフタ機構40では、リフタレバー60からの回転操作力を受けたピニオンギア48の回転により、シートクッション14を昇降させている。
【0036】
(リフタレバー)
図1に示されるように、リフタレバー60は、シートクッション14の側部においてシート前後方向に延びている。リフタレバー60の後端部は、モータの出力軸に連結された基部62で構成されており、シートクッション14の側部に回動可能に支持されている。リフタレバー60の前端側は、回転操作時に乗員によって把持されるグリップ部64を構成しており、グリップ部64の下面には、操作部72が設けられている。
【0037】
リフタレバー60は、乗員によって回転操作が行われない状態では、後述するロック機構70によって、
図1に示す基準位置に保持された状態となり、回転操作が規制されている。
【0038】
乗員がリフタレバー60を回転操作する際は、グリップ部64の操作部72を操作して、リフタレバー60のロックを解除する必要がある。従って、乗員が意図的に操作部72を操作することにより、リフタレバー60の回転操作が許可される構成となっている。
【0039】
操作部72は、一例として、シート上方側へのプッシュ操作が可能な押しボタン式の操作機構で構成されている。乗員は、回転操作のためにリフタレバー60を把持する動作に連動させてリフタレバー60の操作部72に対して、プッシュ操作を行うことができる。
【0040】
(ロック機構)
以下、リフタレバー60の回転を規制するロック機構70について、詳細を説明する。
図3には、リフタレバー60の構成の一部をシート幅方向内側から見た分解図が示されている。この図に示されるように、ロック機構70は、樹脂材料からなる操作部72とロック部80を含んで構成されている。
【0041】
操作部72は、矩形ブロック状をなす本体部74と、本体部74の上部から前後に突設された一対の係止突起76A,76Bと、本体部74の上面に設けられた弾性部78と、を有している。
【0042】
一対の係止突起76A,76Bは、本体部74の上部の前後の側面からシート前方と後方へ突設して設けられている。弾性部78は、前後方向から見て略ひし形をなす環状に形成されており、本体部74の上面の前端側と後端側にそれぞれ設けられている。弾性部78は、シート下方側への荷重を付与することにより、弾性変形可能となっている。
【0043】
リフタレバー60のグリップ部64は、下面を構成する下壁部64Aと、上面を構成する上壁部64Bを有する。下壁部64Aには、矩形状の貫通孔65が形成されている。貫通孔65の上方側には、上壁部64Bからシート下方側に突設する当接部66が配置されている。また、グリップ部64には、貫通孔65と当接部66の周囲を囲うように操作部ハウジング68が形成されている。操作部ハウジング68は、シート幅方向内側に向かって開放された収容空間を形成している。
【0044】
操作部72は、下壁部64Aの貫通孔65にシート下方側から挿入されることにより、上方部分が操作部ハウジング68に収容される。この際、前後に設けた一対の係止突起76A,76Bが弾性変形しつつ貫通孔65を乗り越えた後、貫通孔65の周縁に係止される。これにより、操作部72がリフタレバー60に保持される。この状態では、弾性部78が上壁部64Bに押されて若干変形するため、本体部74には、弾性部78の弾性復元力が作用する。即ち、操作部72は、弾性部78によってグリップ部64の下壁部64Aと上壁部64Bとの間でシート下方側に付勢される。
【0045】
また、操作部72には、後述するロック部80を軸支する構成として、本体部74の上面に形成された凹溝状の軸保持溝74Aと、軸保持溝74Aに連続して設けられたガイド溝74Bが形成されている。
【0046】
ロック部80は、回転軸としての軸部82と、軸部82からシート幅方向内側に延びるピン突起部84を有している。軸部82は、シート前後方向を軸方向とする円柱状をなし、操作部72の軸保持溝74A内で回動可能に軸支されている。ピン突起部84は、軸保持溝74Aに挿通されてリフタレバー60からシート幅方向内側に突出する。かかる構成により、操作部72がリフタレバー60に保持された状態では、弾性部78がロック部80の軸部82を挟んでシート幅方向外側(右側)に設けられている。一方、軸部82を挟んでシート幅方向内側(左側)に、当接部66が設けられている。
【0047】
次に、
図4(A)及び
図4(B)を参照して、ロック機構70の動作について説明する。
【0048】
図4(A)に示されるように、ロック機構70を構成するロック部80は、乗員によってリフタレバー60が操作されない状態(即ち、操作部72に対して操作が行われない状態)では、「ロック位置」に配置される。このロック位置では、ロック部80がリフタレバー60からシート幅方向内側へ略水平に伸びた姿勢で係止され、ロック部80の上面には、当接部66が当接している。
【0049】
ロック部80の先端側は、シートクッション14の側部に設けられたロック孔34に挿入される。これにより、ロック部がロック位置に配置された状態では、リフタレバー60の回転操作が不能になる。
【0050】
なお、本実施形態の一例では、ロック孔34は、シートクッションフレーム16の表面を覆う表面材36(
図1参照)と表面材36の内側面に配置された補強パネル38(
図1及び
図4参照)とに貫通形成されている。なお、
図4(A)及び
図4(B)では、表面材36の図示を省略している。
【0051】
図4(B)に示されるように、ロック機構70を構成するロック部80は、操作部72にプッシュ操作が行われた場合に、解除位置へと変位する。具体的には、弾性部78の付勢力に抗って、操作部72をシート上方側へプッシュすると、弾性部78がリフタレバー60の上壁部64Bに押圧されて変形する。これにより、ロック部80の軸部82に対してシート幅方向内側に配置された当接部66が、ロック部80の先端側をシート下方側に押圧するため、ロック部80には、軸部82を中心とする回転力が付与される。その後、ロック部80は、当接部66に形成された傾斜面66Aと、操作部72のガイド溝74Bに案内されて、シート幅方向内側から外側に向かって下方側に傾斜する。その結果、ロック部80の全体がロック孔34の外部に配置されて、リフタレバー60に対する回転操作が可能になる。
【0052】
(作用並びに効果)
以上説明したように、第1実施形態に係る車両用シート12では、シートクッション14の側部に設けたリフタレバー60に対してシート幅方向を軸周りとする回転操作が行われることにより、リフタレバー60の回転操作力がリフタ機構40のモータ(駆動源)に伝達される。ここで、リフタレバー60の回転操作は、ロック機構70のロック部80がロック位置に配置された状態では不能とされ、ロック部80がロック位置から解除位置へと変位された場合に可能となる。また、ロック部80を解除位置へと変位させるには、リフタレバー60に設けられた操作部72の操作が必要とされる。従って、乗員が意図して操作部72の操作を行わない限り、ロック機構70によってリフタレバーの回転が規制される。このため、リフタレバー60の意図しない操作を防止することができる。
【0053】
また、ロック機構70では、リフタレバー60の回転を規制するロック部80が、リフタレバー60からシート幅方向内側に突出し、シートクッション14の側部に設けられたロック孔34に挿入される。従って、リフタレバー60側にロック部80が設けられているため、車種毎にシートフレームが異なる場合においても、設計が容易である。
【0054】
さらに、本実施形態では、リフタレバー60の下面に設けられた操作部72を弾性部78の付勢力に抗ってシート上方側へプッシュすることにより、ロック部80を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバー60の回転操作時にレバーを把持する動作からロック部80の解除操作をスムーズに行うことができるため、操作性に優れる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、
図5~
図7を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。この第2実施形態は、本発明に係るリフタレバー及びロック機構の他の実施形態を例示するものである。
【0056】
図5には、第2実施形態に係るリフタレバー90をシート幅方向外側からみた斜視図が示されている。リフタレバー90には、グリップ部92の前端にロック機構100を構成する操作部102が設けられている。
【0057】
操作部102は、シート後方側へのプッシュ操作が可能な押しボタン式の操作機構で構成されている。乗員は、リフタレバー90の回転操作のためにリフタレバー90を把持する動作とは異なる方向への操作力を操作部102に付与することで、操作部102に対してプッシュ操作を行うことができる。
【0058】
図6に示されるように、ロック機構100は、操作部102と、ロック部104と、変換部106と、弾性部108とを含んでいる。
【0059】
操作部102は、シート前後方向を軸方向とする円柱状に形成されている。操作部102のシート後方側の端面には、平面視で見た場合に、シート前方から後方に向かってシート幅方向内側に傾斜された傾斜面102Aが形成されている。
【0060】
ロック部104は、シート幅方向を軸方向とする円柱状に形成されている。また、ロック部104のシート幅方向外側の端部には、変換部106が一体に設けられている。
【0061】
変換部106は、シート前方側に面して設けられた傾斜面106Aを有しており、傾斜面106Aは、平面視で見た場合に、シート前方から後方に向かってシート幅方向内側に傾斜され、操作部102の傾斜面102Aに当接している。従って、操作部102とロック部104の間には、変換部106が介在している。
【0062】
変換部106のシート幅方向外側には、コイルバネからなる弾性部108が設けられている。この弾性部108は、シート幅方向に弾性変形可能に配置されている。
【0063】
リフタレバー90のグリップ部92は、前端を構成する前壁部92Aと、前壁部92Aの後方側に設けられた後壁部92BBを有する。前壁部92Aには、円形状の貫通孔94が形成されている。また、グリップ部92には、前壁部92Aと後壁部92BBとの間の空間にシート幅方向内側に向かって開放された操作部ハウジング96が形成されている。この操作部ハウジング96の開口は、板状をなす蓋部98によって塞がれている。さらに、蓋部98の後方部分には、ロック部104が挿入可能な挿入孔99が貫通形成されている。
【0064】
ロック機構100の操作部102は、前壁部92Aの貫通孔94にシート後方側から挿入されることにより、後方部分が操作部ハウジング96に収容される。操作部ハウジング96には、操作部102の後方側にロック部104が収容され、さらに、ロック部104のシート幅方向外側には、変換部106を介して弾性部108が収容される。換言すると、弾性部108は、操作部102及びロック部104との間に変換部106を介在させて設けられている。
【0065】
次に、
図7(A)及び
図7(B)を参照して、ロック機構100の動作について説明する。なお、
図7(A)及び
図7(B)では、図面を分かり易くするために蓋部98の図示を省略している。
【0066】
図7(A)には、ロック部104がロック位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、ロック部104は、乗員によってリフタレバー90が操作されない状態(即ち、操作部102に対して操作が行われない状態)では、変換部106を介して弾性部108の付勢力が作用し、シート幅方向内側に付勢されている。この状態では、ロック部104の先端が蓋部98の挿入孔99を通ってシート幅方向内側に突出し、シートクッション14の側部に設けられたロック孔34に挿入される。
【0067】
図7(B)には、ロック部104が解除位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、操作部102は、弾性部108の付勢力に抗って、シート後方側へプッシュされると、後端部に設けられた傾斜面102Aが変換部106の傾斜面106Aを摺動し、ロック部104をシート幅方向外側の解除位置へ変位させる。これにより、ロック部104の全体がロック孔34の外部に配置されて、リフタレバー90に対する回転操作が可能になる。
【0068】
(作用並びに効果)
以上説明したように、上記の第2実施形態では、リフタレバー90の前端に設けられた操作部102を、弾性部108の付勢力に抗ってシート後方側へプッシュすることにより、ロック部104を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバー90の回転操作時にレバーを把持する動作とは異なる方向に操作力を付与することでロック部104の解除操作が行われる。これにより、乗員に、リフタレバー90の回転操作とは別にロック部104の解除操作を明確に認識させることができる。
【0069】
〔第3実施形態〕
本発明の第3の実施形態について、
図8~
図9を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。この第3実施形態は、本発明に係るリフタレバー及びロック機構の他の実施形態を例示するものである。
【0070】
図8に示されるように、第3実施形態に係るリフタレバー110は、外観の意匠において、前記第2実施形態に係るリフタレバー90と同一の構成を有している。即ち、グリップ部112の前端にロック機構120を構成する操作部122が設けられている。
【0071】
操作部122は、シート後方側へのプッシュ操作が可能な押しボタン式の操作機構で構成されている。ロック機構120は、操作部122と、ロック部124と、撓み部126と、弾性部128と、当接部としての蓋部130と、を有している。操作部122、ロック部124及び撓み部126は、樹脂材料により一体に形成されている。
【0072】
操作部122は、シート前後方向を軸方向とする円柱状に形成されている。操作部122の軸方向中間部には、径方向に張り出した鍔部122Aが設けられている。鍔部122Aの後方側には、コイルバネからなる弾性部128が装着されている。従って、弾性部128は、シート前後方向に弾性変形可能に配置されている。
【0073】
ロック部124は、操作部122の後方側において、撓み部126を介して設けられている。ロック部124は、シート幅方向内側に突出した爪部を構成している。
【0074】
撓み部126は、シート幅方向を板厚方向とする板状をなしており、操作部122及びロック部124に対して薄肉に形成されるため、シート幅方向に荷重が付与されることで撓み変形する。
【0075】
リフタレバー110のグリップ部112は、前端を構成する前壁部112Aと、前壁部112Aの後方側に設けられた後壁部112Bを有する。前壁部112Aには、円形状の貫通孔114が形成されている。後壁部112Bには、操作部122が挿通される切り欠き部116が形成されている。また、グリップ部112には、前壁部112Aと後壁部112Bとの間の空間にシート幅方向内側に向かって開放された操作部ハウジング118が形成されている。この操作部ハウジング118の開口は、板状をなす蓋部130によって塞がれている。さらに、蓋部130の後方部分には、ロック部124が挿入可能な矩形状の挿入孔132が貫通形成されている。
【0076】
ロック機構120の操作部122は、前壁部112Aの貫通孔114及び後壁部112Bの切り欠き部116にシート後方側から挿入されることにより、操作部122の後方部分と弾性部128が、操作部ハウジング118に収容される。操作部122に設けられた鍔部122Aは、前壁部112Aの貫通孔114の周縁に当接し、操作部122のシート前方側への変位を規制している。また、グリップ部112の内部には、後壁部112Bの後方側にロック部124が収容される。
【0077】
次に、
図9(A)及び
図9(B)を参照して、ロック機構120の動作について説明する。
【0078】
図9(A)には、ロック部124がロック位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、操作部122は、乗員によってリフタレバー110が操作されない状態(即ち、操作部122に対して操作が行われない状態)では、弾性部128の付勢力が作用して、シート前方側に付勢されている。この状態では、ロック部124の先端が蓋部130の挿入孔132を通ってシート幅方向内側に突出し、シートクッション14の側部に設けられたロック孔34に挿入される。
【0079】
図9(B)には、ロック部124が解除位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、操作部122は、弾性部128の付勢力に抗って、シート後方側へプッシュされると、操作部122と一体に設けられたロック部124をシート後方側かつシート幅方向外側の解除位置へと変位させる。この際、ロック部124は、挿入孔132の周縁部からシート幅方向外側に押され、撓み部126をシート幅方向外側に撓み変形させる。これにより、挿入孔132を乗り越えて蓋部130当接することにより、シート幅方向外側へ変位される。これにより、ロック部104の全体がロック孔34の外部に配置されて、リフタレバー90に対する回転操作が可能になる。
【0080】
(作用・効果)
以上説明したように、上記の第3実施形態では、前記第2実施形態と同様に、リフタレバー110の前端に設けられた操作部122を、弾性部128の付勢力に抗ってシート後方側へプッシュすることにより、ロック部124を解除位置へと変位させる。これにより、乗員に、リフタレバー110の回転操作とは別にロック部124の解除操作を明確に認識させることができる。また、操作部122とロック部124が一体に設けられているため、部材点数が削減され、組立を容易にすることができる。
【0081】
〔第4実施形態〕
本発明の第4の実施形態について、
図10~
図12を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。この第4実施形態は、本発明に係るリフタレバー及びロック機構の他の実施形態を例示するものである。
【0082】
図10には、第4実施形態に係るリフタレバー140をシート幅方向外側からみた斜視図が示されている。リフタレバー140には、グリップ部142の上面にロック機構150を構成する操作部152が設けられている。
【0083】
図11に示されるように、操作部152は、シート後方側へのスライド操作が可能なスライド式の操作機構で構成されている。ロック機構150は、操作部152と、支持部154と、ロック部156と、弾性部158と、を有している。
【0084】
操作部152は、シート上下方向を板厚方向とする矩形板状のスライド部152Aと、スライド部152Aからシート下方側に延びる角柱形状の柱部152Bとを有している。
【0085】
支持部154は、シート幅方向内側に向かって開放された矩形箱状に形成されている。支持部154の上面には、操作部152の柱部152Bが挿入可能な開口部160が形成されている。また、開口部160の下方側には、柱部152Bの下端部を下方側から受け止めて支持する前後一対の支持壁部162A,162Bが設けられている。
【0086】
また、支持部154の後方側の側面には、シート前方側に窪んだ凹部164が設けられており、凹部164には、コイルバネからなる弾性部158がシート後方側から収容される。
【0087】
また、支持部154の下方側の側面には、シート幅方向内側の端部から突出する爪状のロック部156が一体に形成されている。
【0088】
係る支持部154は、グリップ部142の内部空間において、シート前後方向及びシート幅方向のスライド移動が許容されるように収容されている。具体的に、リフタレバー140のグリップ部142には、前端を構成する前壁部142A、前壁部142Aの後方側に設けられた後壁部142B、上面を構成する上壁部142C及び下面を構成する下壁部142Dによって、シート幅方向内側に開放された収容空間を形成している。支持部154は、グリップ部142の収容空間内において、前壁部142Aと後壁部142Bとの間をスライド可能となっている。
【0089】
また、グリップ部142の上壁部142Cには、支持部154の開口部160に対応して設けられた矩形状の貫通孔166が形成されている。
【0090】
ロック機構150の操作部152は、グリップ部142の貫通孔166及び支持部154の開口部160に柱部152Bが挿通される。これにより、支持部154の移動に連動して、操作部152のスライド部152Aがシート前後方向にスライド可能に構成されている。
【0091】
次に、
図12(A)及び
図12(B)を参照して、ロック機構150の動作について説明する。
【0092】
図12(A)には、ロック部156がロック位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、操作部152は、乗員によってリフタレバー140が操作されない状態(即ち、操作部122に対して操作が行われない状態)では、支持部154の凹部164と後壁部142Bとの間に収容された弾性部158の付勢力が作用して、シート前方側に付勢されている。この状態では、ロック部156の先端がリフタレバー140からシート幅方向内側に突出し、シートクッション14の側部に設けられたロック孔34に挿入される。
【0093】
図12(B)には、ロック部156が解除位置に配置された状態が示されている。この図に示されるように、操作部152は、弾性部158の付勢力に抗って、スライド部152Aに対してシート後方側へのスライド操作が行われることによりロック部156を、シート後方側へ移動させる。この際、ロック部156は、ロック孔34の周縁部から押され、シート幅方向外側の解除位置へとスライド移動する。これにより、ロック部156の全体がロック孔34の外部に配置されて、リフタレバー140に対する回転操作が可能になる。
【0094】
(作用・効果)
以上説明したように、上記の第4実施形態では、リフタレバー140の上面に設けられたスライド部152Aを、弾性部158の付勢力に抗ってシート後方側へスライドさせることにより、ロック部156を解除位置へと変位させる。従って、乗員がリフタレバー140を把持しながら、例えば、親指を操作指として操作部152のスライド操作を行うことができる。これにより、乗員がリフタレバー140の回転操作に伴ってレバーを把持した状態からロック部156の解除操作を行うことができるため、操作性に優れる。
[補足説明]
【0095】
上記各実施形態では、ロック孔34が、表面材36と補強パネル38(芯材)に貫通形成される構成にしたが、本発明はこれに限らない。例えば、表面材36は充分な強度を備える場合は、補強パネル38を省略し、ロック孔34を表面材36のみに貫通形成される構成にしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、リフタレバー60の回転操作力が、ラチェット機構を含むブレーキ装置を介してリフタ機構(ピニオンギア48)に伝達される構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、リフタレバーの回転操作力で電動モータを駆動させ、電動モータ回転駆動力により、シートクッション14を昇降させる構成としてもよい。かかる場合には、電動モータの出力軸とピニオンギア48とを一体に構成することにより、電動モータの正逆回転によりシートクッション14を昇降させることができる。
【0097】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0098】
10 車両用シート
14 シートクッション
34 ロック孔
40 リフタ機構
60 リフタレバー
66 当接部
70 ロック機構
71 操作部
78 弾性部
80 ロック部
82 軸部(回転軸)
90 リフタレバー
100 ロック機構
102 操作部
104 ロック部
106 変換部
108 弾性部
110 リフタレバー
120 ロック機構
122 操作部
124 ロック部
126 撓み部
128 弾性部
130 蓋部(当接部)
140 リフタレバー
150 ロック機構
152 操作部
154 支持部
156 ロック部
158 弾性部