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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040977
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】パレット管理システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240318BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145655
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】柏原 賢
(72)【発明者】
【氏名】菊地 隆之
(72)【発明者】
【氏名】兼森 伸兒
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC11
2G051AC15
2G051AC19
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA16
2G051ED08
3F079AD00
3F079CA06
3F079CA11
3F079CA23
3F079CA32
3F079CA42
3F079CB30
3F079CC05
(57)【要約】
【課題】システムをより容易に製造することができるパレット管理システムの製造方法を提供する。
【解決手段】使用済みのパレットを管理するパレット管理システムを製造する、パレット管理システムの製造方法であって、パレット管理システムに含める複数のモジュールを、複数の既存モジュールの中から選択し、選択された複数のモジュールを組み合わせることにより、パレット管理システムを製造し、パレット管理システムには、複数のモジュールとして、パレットを搬送する搬送工程を実施するための1乃至複数の搬送モジュールと、パレットを検査する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールと、パレットを洗浄する洗浄工程を実施するための1乃至複数の洗浄モジュールと、が備えられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載せることが可能な使用済みのパレットを管理するパレット管理システムを製造する、パレット管理システムの製造方法であって、
前記パレット管理システムに含める複数のモジュールを、複数の既存モジュールの中から選択し、
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造し、
前記パレット管理システムには、前記複数のモジュールとして、
前記パレットを搬送する搬送工程を実施するための1乃至複数の搬送モジュールと、
前記パレットを検査する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールと、
前記パレットを洗浄する洗浄工程を実施するための1乃至複数の洗浄モジュールと、
が備えられている、パレット管理システムの製造方法。
【請求項2】
前記1乃至複数の搬送モジュールは、
搬送される前記パレットを積層する積層モジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項3】
前記1乃至複数の搬送モジュールは、
積層された複数枚の前記パレットを1枚ずつ分離して搬送する段ばらしモジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項4】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面に形成された、前記側面の延在方向に対して交差する方向に沿って延びる横穴を撮像する第1の撮像部材を備えた横穴検査モジュールを含み、
前記横穴検査モジュールは、前記第1の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記横穴に挿入されている物体の有無を検査する、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項5】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面を撮像する第2の撮像部材を備えた側面検査モジュールを含み、
前記側面検査モジュールは、前記第2の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記パレットの前記側面を検査する、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項6】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面を撮像する第3の撮像部材を備えた天地判別モジュールを含み、
前記天地判別モジュールは、前記第3の撮像部材によって撮像された画像データに含まれているマークの向きに基づいて、前記パレットの天面及び地面の相対位置を判別する、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項7】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの天面及び地面の少なくとも一方を撮像する第4の撮像部材を備えた天地面検査モジュールを含み、
前記天地面検査モジュールは、前記第4の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記パレットの前記天面及び前記地面の少なくとも一方を検査する、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項8】
前記1乃至複数の検査モジュールは、内部検査モジュールを含み、
前記内部検査モジュールは、
前記パレットの側面に形成された、前記側面の延在方向に対して交差する方向に沿って延びる横穴の内部を撮像する第5の撮像部材と、
前記第5の撮像部材が取り付けられており、前記第5の撮像部材を前記横穴内に挿入させる可動アームと、
を備え、前記第5の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記横穴の内部を検査する、請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項9】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットを撮像する第6の撮像部材を備えた色落ち判定モジュールを含み、
前記色落ち判定モジュールは、前記第6の撮像部材によって撮像された画像データに含まれている前記パレットの色情報に基づいて、前記パレットの色落ちの有無を判定する、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項10】
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットに設けられた識別部材から、前記パレットの識別情報を読み取る識別子読取りモジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項11】
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットに洗浄水を供給する洗浄水供給部を備えた水洗モジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項12】
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットを支持して回転させる回転機構を備えた遠心脱水モジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項13】
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、温風乾燥モジュールを含み、
前記温風乾燥モジュールは、
前記パレットにエアーを供給する第1のブロアーと、
前記第1のブロアーから供給されるエアーを加温するヒータと、を備える、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項14】
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットにエアーを供給する第2のブロアーを備えたブロアモジュールを含む、
請求項1に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項15】
前記パレット管理システムには、
前記複数のモジュールとして、さらに、
前記パレットをメンテナンスするメンテナンス工程を実施するための1乃至複数のメンテナンスモジュールが備えられている、
請求項1記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項16】
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットを支持して上下方向を反転させる反転モジュールを含む、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項17】
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットに生じたバリを除去するバリ取りモジュールを含む、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項18】
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットに付着した付着物を除去する付着物除去モジュールを含む、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項19】
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、シート除去モジュールを含み、
前記シート除去モジュールは、
積層された前記パレット間にシートが挿入されているか否かを検知するシート検知部と、
前記シート検知部によって検知された前記シートを除去するシート除去部と、を備える、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項20】
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程では解決できない不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの上流側に配置する、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項21】
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程により解決可能な不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの下流側に配置する、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項22】
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程では解決できない不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの上流側に配置し、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程により解決可能な不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの下流側に配置する、
請求項15に記載のパレット管理システムの製造方法。
【請求項23】
前記複数のモジュールに電気的に接続されて、前記複数のモジュールの動作を制御する制御部を更に備える、
請求項1乃至22のいずれか1項に記載のパレット管理システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット管理システムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を運搬するときに用いられる板状のパレットに対して、不良部位の有無を検査するシステムが知られている。このような検査システムとして、特許文献1には、人手によらず、パレットの各部位に生じた種々の不良を検査し、不良部位が生じているパレットを分別するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3597283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレットの運用形態として、レンタル会社がパレットを保有し、パレット使用会社がレンタル会社からパレットを借りて使用する。また、使用済みのパレットは、パレット使用会社からパレット管理会社へ搬送される。
【0005】
パレット管理会社は、使用済みのパレットの状態を確認し、必要に応じて洗浄及びメンテナンスを行う。そして、パレット管理会社は、処理後のパレットを保有者であるレンタル会社へ搬送する。
【0006】
パレット管理会社は、搬送工程、検査工程、洗浄工程及びメンテナンス工程の各工程を、パレット管理システムを用いて実施しているが、各工程の内容、実施順序等は、パレット管理会社ごとに異なっている。このため、パレット管理システムを提供する製作メーカは、パレット管理会社の要求に合わせて、パレット管理システムを1つ1つ作り込まなければならない。
【0007】
また、パレット管理会社においてパレットの管理内容が変更される場合、大がかりな改修工事を行う必要がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、パレット管理システムを容易に製造することができる、パレット管理システムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るパレット管理システムの製造方法は、荷物を載せることが可能な使用済みのパレットを管理するパレット管理システムを製造する、パレット管理システムの製造方法であって、
前記パレット管理システムに含める複数のモジュールを、複数の既存モジュールの中から選択し、
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造し、
前記パレット管理システムには、前記複数のモジュールとして、
前記パレットを搬送する搬送工程を実施するための1乃至複数の搬送モジュールと、
前記パレットを検査する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールと、
前記パレットを洗浄する洗浄工程を実施するための1乃至複数の洗浄モジュールと、
が備えられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、システムをより容易に製造することができるパレット管理システムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るパレット管理システムの一例を示す概略ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る検査モジュールの具体例を列挙したブロック図である。
図3図2に示す横穴検査モジュールによって検出される物体の一例を示す図である。
図4図2に示す側面形状検査モジュールによって検出される破損部分の一例を示す図である。
図5図2に示す天地判別モジュールによって検出されるマークの一例を示す図である。
図6図2に示す天地面形状検査モジュールによって検出される物体の一例を示す図である。
図7図2に示す内部検査モジュールの構成例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る搬送モジュールの具体例を列挙したブロック図である。
図9】本発明の実施形態に係る洗浄モジュールの具体例を列挙したブロック図である。
図10】本発明の実施形態に係るメンテナンスモジュールの具体例を列挙したブロック図である。
図11】パレット管理システムの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図12】パレット管理会社から提供される第1の要求仕様を例示する図である。
図13図12に示す第1の要求仕様に基づいて製造されたパレット管理システム100を例示する図である。
図14図13に示すモジュール構成における制御部の動作例を示すフローチャートである。
図15】パレット管理会社から提供される第2の要求仕様を例示する図である。
図16図15に示す第2の要求仕様に基づいて製造されたパレット管理システム100を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るパレット管理システム100の一例を示す概略ブロック図である。
【0014】
パレット管理システム100は、荷物を載せることが可能な使用済みのパレットに対し、検査、洗浄、及び、メンテナンス等の管理を行うシステムである。
【0015】
図1において、パレット管理システム100は、制御部110と、複数の検査モジュール120と、複数の搬送モジュール130と、複数の洗浄モジュール140と、複数のメンテナンスモジュール150とを備える。
【0016】
検査モジュール120は、パレットを検査する検査工程を実施するためのモジュールである。搬送モジュール130は、パレットを搬送する搬送工程を実施するためのモジュールである。洗浄モジュール140は、パレットを洗浄する洗浄工程を実施するためのモジュールである。メンテナンスモジュール150は、パレットをメンテナンスするメンテナンス工程を実施するためのモジュールである。なお、パレット管理システム100において、メンテナンスモジュール150は人手による作業等に代えることで省略することも可能である。
【0017】
モジュールとは、検査工程、搬送工程、洗浄工程、及び、メンテナンス工程の各工程に含まれる細目工程を実施する一部品である。例えば、検査工程内に、パレットの側面を検査する工程が細目工程として含まれている場合、パレット管理システム100には、側面検査用の検査モジュール120がモジュールとして備えられる。また、洗浄工程内に、パレットを水洗いする工程が細目工程として含まれている場合、パレット管理システム100には、水洗用の洗浄モジュール140がモジュールとして備えられる。
【0018】
各モジュールには、ソフトウェアを実行するための記憶装置及び演算処理装置が備えられ、ハードウェアとソフトウェアとが協働することによりモジュール毎の制御が実現される。
【0019】
制御部110は、検査モジュール120、搬送モジュール130、洗浄モジュール140、及び、メンテナンスモジュール150と電気的に接続されており、これらの各モジュールの動作を制御する。
【0020】
制御部110は、統合PC(Personal Computer)111及び制御盤112を備えている。
【0021】
統合PC111は、PLC(Programmable Logic Controller)として機能し、各モジュールを制御する。制御盤112は、各モジュールを制御するための各種電気機器が格納されている装置である。
【0022】
本実施形態においては、各モジュールを予め製造しておく。そして、パレット管理システム100を構築する際、要求仕様に応じて必要なモジュールを選択し、これらを組み入れて相互に連結させて、管理用のラインを製造する。これにより、要求仕様に基づいて、パレット管理システム100を製造することができる。
【0023】
以下、検査モジュール120、搬送モジュール130、洗浄モジュール140、及び、メンテナンスモジュール150の具体例について説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る検査モジュール120の具体例を列挙したブロック図である。
【0025】
図2において、横穴検査モジュール121、側面形状検査モジュール122、天地判別モジュール123、天地面形状検査モジュール124、内部検査モジュール125、色落ち判定モジュール126、識別子読取りモジュール127、側面汚れ検査モジュール128、及び、天地面汚れ検査モジュール129が、検査モジュール120として製造されている。
【0026】
検査モジュール120は、更に、汚れ検査用のモジュールと形状検査用のモジュールとに分類される。汚れ検査用のモジュールは、パレットの表面に付着している汚れを検出する。形状検査用のモジュールは、パレットの割れ、欠け、劣化、異物の挟み込み等、破損状態を検出する。
【0027】
図2において、側面汚れ検査モジュール128及び天地面汚れ検査モジュール129は、汚れ検査用のモジュールとして分類される。また、これら以外の横穴検査モジュール121、側面形状検査モジュール122、天地判別モジュール123、天地面形状検査モジュール124、内部検査モジュール125、色落ち判定モジュール126、識別子読取りモジュール127は、形状検査用のモジュールとして分類される。
【0028】
引き続き、各モジュールについて説明する。横穴検査モジュール121は、第1の撮像部材121Aを備えており、パレットの側面に形成されている横穴を撮影する。そして、横穴検査モジュール121は、第1の撮像部材121Aによって撮像された画像データに基づいて、横穴に入っている物体の有無を検査する。
【0029】
図3は、図2に示す横穴検査モジュール121によって検出される物体の一例を示す図である。パレット200には、側面の延在方向に対して交差する方向に沿って、横穴が形成されている。横穴は、例えば、フォークリフトの爪部を挿入するために用いられる。
【0030】
図3では、積層された3枚のパレット200の側面が示されており、各パレット200に形成された各横穴が示されている。図3に示すように、横穴には、瓶、缶等の物体が入っていることがある。横穴検査モジュール121は、このような物体を検出対象として検出する。横穴検査モジュール121は、このような物体を検出した場合、検出した画像データ内の座標情報を取得する。
【0031】
第1の撮像部材121Aは、パレット200の側面を撮像可能な位置に設けられる。第1の撮像部材121Aとしては、エリアカメラでもよく、ラインカメラでもよい。検出装置として、第1の撮像部材121Aに代えて光電センサが採用されてもよい。
【0032】
また、後述の各撮像部材も含め、第1の撮像部材121Aには、明るさを保つための照明器具が設けられていてもよい。
【0033】
パレット200には、2方差しタイプと、4方差しタイプがある。検査対象のパレット200が2方差しタイプの場合、横穴が貫通している1方向から撮像すればよいため、1つの撮像部材があればよい。一方、4方差しタイプの場合、横穴の貫通方向が2方向あるため、同時に撮像するには、第1の撮像部材121Aが2つ必要になる。
【0034】
また、横穴検査モジュール121には、物体の有無を判定するためのロジックとして、事前に定められたルールに基づき判定するルールベースが採用される。
【0035】
側面形状検査モジュール122は、パレット200の側面を撮像する第2の撮像部材122Aを備えている。側面形状検査モジュール122は、第2の撮像部材122Aによって撮像された画像データに基づいて、パレット200の側面を検査する。
【0036】
図4は、図2に示す側面形状検査モジュール122によって検出される破損部分の一例を示す図である。側面形状検査モジュール122は、パレット200の側面に生じている割れ、欠け、変形等の破損を検出対象として検出する。また、側面形状検査モジュール122は、異物の挟まり等も検出対象として検出する。
【0037】
側面形状検査モジュール122は、異物の挟まり、破損部分等を検出した場合、検出した画像データ内の座標情報を取得する。
【0038】
第2の撮像部材122Aは、パレット200の側面を撮像可能な位置に設けられる。第2の撮像部材122Aとしては、エリアカメラでもよく、ラインカメラでもよい。また、パレット200の本体が黒色、黒褐色等である場合、異物が背景色と同化して撮像され、検出漏れが生じる可能性がある。このため、検出装置として、第2の撮像部材122Aに代えてレーザ形状センサが採用されてもよい。また、第2の撮像部材122Aとレーザ形状センサとを併用してもよい。
【0039】
さらに、側面形状検査モジュール122には、側面検査を行うためのロジックとして、画像分類DNN(Deep Neural Network)、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0040】
天地判別モジュール123は、パレット200の側面を撮像する第3の撮像部材123Aを備えている。天地判別モジュール123は、第3の撮像部材123Aによって撮像された画像データに含まれているマークの向きに基づいて、パレット200の天面及び地面の相対位置を判別する。
【0041】
図5は、図2に示す天地判別モジュール123によって検出されるマークの一例を示す図である。パレット200の側面には、当該パレット200の製造元、所有会社、管理会社等を示したロゴマークが付されている。天地判別モジュール123は、このロゴマークを検出対象として検知し、ロゴマークがある場合は、ロゴマークの上下の向きを判定する。
【0042】
天地判別モジュール123は、ロゴマークが逆さまである場合、パレット200が上下に逆転していると判定する。天地判別モジュール123は、ロゴマークが正規の向きである場合、パレット200が上下に逆転していないと判定する。また、天地判別モジュール123は、「上向き(正規向き)」、「下向き(逆向き)」、「その他」の判定結果を取得する。なお、「その他」には、マーク無し、判別不能等の分類クラスが含まれる。
【0043】
第3の撮像部材123Aは、パレット200の側面を撮像可能な位置に設けられる。第3の撮像部材123Aとしては、エリアカメラが採用される。
【0044】
天地判別モジュール123には、ロゴマークを検出し、ロゴマークの向きを判定するロジックとして、画像分類DNN、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0045】
天地面形状検査モジュール124は、パレット200の天面及び地面の少なくとも一方を撮像する第4の撮像部材124Aを備えている。天地面形状検査モジュール124は、第4の撮像部材124Aによって撮像された画像データに基づいて、パレット200の天面及び地面の少なくとも一方を検査する。
【0046】
図6は、図2に示す天地面形状検査モジュール124によって検出される物体の一例を示す図である。天地面形状検査モジュール124は、図6に示すように、水抜き用の溝に挟まっているガラス片等の異物を検出対象として検出する。これ以外にも、パレット200の天面または地面に生じている割れ、欠け、及び、変形等の破損を検出対象として検出する。
【0047】
天地面形状検査モジュール124は、異物の挟まり、破損部分等を検出した場合、検出した画像データ内の座標情報を取得する。
【0048】
第4の撮像部材124Aとしては、エリアカメラでもよく、ラインカメラでもよい。また、第4の撮像部材124Aは、少なくともパレット200の天面また地面を撮像可能な位置に設けられる。天面及び地面の両方を同時に検査する場合、第4の撮像部材124Aが2つ必要になる。
【0049】
パレット200の本体が黒色、黒褐色等である場合、異物が背景色と同化して撮像され、検出漏れが生じる可能性がある。このため、検出装置として、第4の撮像部材124Aに代えてレーザ形状センサが採用されてもよい。また、第4の撮像部材124Aとレーザ形状センサとを併用してもよい。
【0050】
また、天地面形状検査モジュール124には、天面または地面の検査を行うためのロジックとして、画像分類DNN、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0051】
内部検査モジュール125は、パレット200の側面に設けられている横穴の内部を検査する。
【0052】
図7は、図2に示す内部検査モジュール125の構成例を示す図である。
【0053】
図7に示すように、内部検査モジュール125は、第5の撮像部材125Aと、可動アーム125Bとを備えている。第5の撮像部材125Aは、上記の横穴の内部に進入し、撮像する。
【0054】
第5の撮像部材125Aとしては、エリアカメラが採用される。また、第5の撮像部材125Aには、レンズ312及び照明器311が設けられている。レンズ312は、広角撮影を可能にするための広角レンズ、魚眼レンズ等である。照明器311は、横穴の内壁を照らす白色リング照明器である。
【0055】
可動アーム125Bの先端部には、第5の撮像部材125Aが取り付けられている。可動アーム125Bは、第5の撮像部材125Aを横穴内に挿入する。可動アーム125Bの全長は、パレット200の寸法に応じて、予め決められている。
【0056】
内部検査モジュール125は、第5の撮像部材125A及び可動アーム125Bを用いることにより、横穴の内部の柱等に生じている割れ、欠け、変形等の破損、付着している汚れ等を検出対象として検出する。内部検査モジュール125は、破損部、汚れ等を検出した場合、その位置を特定する座標情報を、検出結果として取得する。ここでは、画像データ内の座標情報及び第5の撮像部材125Aの進入位置が、検出結果として取得される。また、内部検査モジュール125には、横穴の内部の柱等に生じている割れ、欠け、変形等の破損、付着している汚れ等を検出するためのロジックとして、画像分類DNN、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0057】
色落ち判定モジュール126は、パレット200を撮像する第6の撮像部材126Aを備えている。
【0058】
第6の撮像部材126Aによって撮像された画像データ内には、パレット200の色情報が含まれている。色落ち判定モジュール126は、この色情報に基づいて、パレット200の色落ちの有無を判定する。
【0059】
色落ち判定モジュール126は、取得した色情報と、基準となるパレット200本来の色情報とを比較することにより、パレット200の色落ちの有無を判定する。色落ち判定モジュール126は、取得したパレット200の色情報及び色落ちの判定結果を対応付けて記録する。
【0060】
第6の撮像部材126Aとして、エリアセンサが採用される。また、エリアセンサに代えて、色識別センサが採用されてもよい。また、第6の撮像部材126Aは、パレット200の天面、地面、及び、4側面のいずれか1つまたは複数面を撮像する位置に設けられる。
【0061】
なお、色落ち判定モジュール126には、色落ちの判定ロジックとして、ルールベースが採用される。
【0062】
識別子読取りモジュール127は、パレット200の特定位置に設けられた識別部材から、パレット200の識別情報を読み取る。識別子読取りモジュール127には、読取り部材127Aが備えられている。ここで、識別部材がRFID(Radio Frequency Identifier)タグである場合、読取り部材127AとしてRFIDリーダーが備えられる。また、識別部材が二次元バーコードである場合、読取り部材127Aとして二次元バーコードの読み取り装置が備えられる。
【0063】
識別子読取りモジュール127は、読み取った識別情報を記録する。また、識別子読取りモジュール127は、識別部材が無い場合、または判別不能である場合、「その他」の検出結果を記録する。
【0064】
側面汚れ検査モジュール128は、パレット200の側面を撮像する第7の撮像部材128Aを備えている。側面汚れ検査モジュール128は、第7の撮像部材128Aによって撮像された画像データに基づいて、パレット200の側面を検査する。第7の撮像部材128Aとしては、エリアカメラでもよく、ラインカメラでもよい。
【0065】
上記の側面形状検査モジュール122は、パレット200の側面に生じている割れ、欠け、変形等の破損を検出するが、側面汚れ検査モジュール128は、主に、パレット200に付着している汚れ、シール類の付着を検出する。また、側面汚れ検査モジュール128には、パレット200に付着している汚れ、シール類の付着を検出するためのロジックとして、画像分分類DNN、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0066】
側面汚れ検査モジュール128の上記以外の構成については、側面形状検査モジュール122と同じである。
【0067】
天地面汚れ検査モジュール129は、パレット200の天面及び地面の少なくとも一方を撮像する第8の撮像部材129Aを備えている。天地面汚れ検査モジュール129は、第8の撮像部材129Aによって撮像された画像データに基づいて、パレット200の天面及び地面の少なくとも一方を検査する。第8の撮像部材129Aとしては、エリアカメラでもよく、ラインカメラでもよい。
【0068】
上記の天地面形状検査モジュール124は、パレット200の天面または地面に生じている異物の挟まり、破損を検出している。これに対し、天地面汚れ検査モジュール129は、パレット200の天面または地面に付着している汚れ、シール類の付着を検出する。また、天地面汚れ検査モジュール129には、パレット200の天面または地面に付着している汚れ、シール類の付着を検出するためのロジックとして、画像分類DNN、物体検知DNN、セグメンテーションDNNのいずれかが採用されている。
【0069】
天地面汚れ検査モジュール129の上記以外の構成については、天地面形状検査モジュール124と同じである。
【0070】
図8は、本発明の実施形態に係る搬送モジュール130の具体例を列挙したブロック図である。
【0071】
図8において、段ばらしモジュール131、積層モジュール132、左搬送モジュール133、右搬送モジュール134、通常搬送モジュール135、正回転モジュール136、逆回転モジュール137、及び、経路分岐モジュール138が、搬送モジュール130として製造されている。
【0072】
段ばらしモジュール131は、積層された複数枚のパレット200を、1枚ずつ分離して搬送する。パレット200の分離方法として、例えば、可動アームを用いて最上段のパレット200を把持し、ラインの搬送路に降ろす方法であってもよい。または、最下段のパレット200以外をリフト装置によって持ち上げ、最下段のパレット200を搬送路に移動させて乗せる方法であってもよい。
【0073】
積層モジュール132は、搬送されるパレット200を積み上げて積層する。パレット200の積層方法として、例えば、可動アームを用いてパレット200を把持し、最上段に積み上げていく方法であってもよい。また、積層されているパレット200の全体をリフト装置によって持ち上げ、搬送されてくるパレット200を最下段に載置して、持ち上げているパレット200をその上に乗せる方法であってもよい。
【0074】
左搬送モジュール133は、パレット200が左方向に搬送されるように、搬送方向を切り替える。右搬送モジュール134は、パレット200が右方向に搬送されるように、搬送方向を切り替える。また、通常搬送モジュール135は、順方向にパレット200を搬送する。
【0075】
正回転モジュール136は、回転機構を用いてパレット200を90度時計まわりに回転させる。逆回転モジュール137は、回転機構を用いてパレット200を90度反時計まわりに回転させる。なお、パレット200の回転角度は、任意に指定可能としてもよい。
【0076】
経路分岐モジュール138は、二股に分岐した経路を有し、条件に従いパレット200の搬送先を切り替える。経路分岐モジュール138は、例えば、検査の結果に応じてパレット200の搬送先を切り替え、再利用可能なパレット200と再利用不可のパレット200とに分けてもよい。
【0077】
上記以外にも、逆方向に搬送する逆搬送モジュール、2つの経路を合流させる合流モジュール等があってもよい。
【0078】
図9は、本発明の実施形態に係る洗浄モジュール140の具体例を列挙したブロック図である。
【0079】
図9において、水洗モジュール141、遠心脱水モジュール142、温風乾燥モジュール143、及び、ブロアモジュール144が、洗浄モジュール140として製造されている。
【0080】
水洗モジュール141は、パレット200に付着した異物を洗い流すモジュールであり、パレット200に洗浄水を供給する洗浄水供給部141Aを備える。水洗モジュール141は、パレット200に対し、温水による洗浄、ブラッシング等を行ってもよい。
【0081】
遠心脱水モジュール142は、パレット200に付着している洗浄水を遠心力により取り去るモジュールである。遠心脱水モジュール142は、パレット200を支持して回転させる回転機構142Aを備える。
【0082】
温風乾燥モジュール143は、温風を吹き付けることにより、パレット200に付着している洗浄水を乾燥させるモジュールであり、第1のブロアー143Aとヒータ143Bとを備える。第1のブロアー143Aは、パレット200にエアーを供給する。ヒータ143Bは、第1のブロアー143Aから供給されるエアーを加温する。
【0083】
ブロアモジュール144は、パレット200にエアーを吹き付けることにより、パレット200に付着した葉、塵等の異物を取り去るモジュールである。ブロアモジュール144は、パレット200にエアーを供給する第2のブロアー144Aを備える。
【0084】
図10は、本発明の実施形態に係るメンテナンスモジュール150の具体例を列挙したブロック図である。
【0085】
図10において、反転モジュール151、バリ取りモジュール152、付着物除去モジュール153、及び、シート除去モジュール154が、メンテナンスモジュール150として製造されている。
【0086】
反転モジュール151は、パレット200を支持してパレット200の上下方向を反転させる。
【0087】
バリ取りモジュール152は、例えば研磨機を用いることにより、パレット200に生じたバリを除去する。研磨機をパレット200に当接させ、研磨機を移動させる機構として、可動アームが用いられてもよい。
【0088】
付着物除去モジュール153は、パレット200に付着した付着物を除去する。付着物を除去する方法として、研磨機を用いて削り取る方法、吸着素材に付着物を吸着させて取り除く方法等がある。なお、研磨機または吸着素材をパレット200に当接させ、移動させる機構として、可動アームが用いられてもよい。
【0089】
シート除去モジュール154は、積層されたパレット200間に挿入されているシートを取り除く。パレット200の管理方法の1つとして、パレット200間にシートを挿入することにより、パレット200を区分けする方法がある。このような管理方法を採用している企業からは、シートが挿入されたままの状態で、パレット200が搬入されてくることがある。シート除去モジュール154は、このシートを取り除く。
【0090】
シート除去モジュール154は、シート検知部154Aと、シート除去部154Bとを備える。シート検知部154Aは、例えばエリアカメラを用いて、積層されたパレット200間にシートが挿入されているか否かを検知する。シート除去部154Bは、シート検知部154Aによって検知されたシートを除去する。シート除去部154Bは、例えば、検知されたシートよりも上部に位置するパレット200をリフト装置によって持ち上げて、可動アームを用いてシートを除去する。
【0091】
図11は、パレット管理システム100の製造方法の一例を示すフローチャートである。以下の例においては、パレット管理システム100を納品する製造メーカが、パレット管理会社から依頼を受けてパレット管理システム100を製造する場合について説明する。
【0092】
まず、ステップS101において、要求仕様に基づいて、パレット管理システム100に含める複数のモジュールが選択される。ここでは、事前に既存モジュールの中から、要求仕様を満たすための複数のモジュールが選択される。
【0093】
図12は、パレット管理会社から提供される第1の要求仕様を例示する図である。ここでは、パレット管理会社から、最初にパレット200に対して形状検査を行い、続いて洗浄、汚れ検査、メンテナンスの順に各工程を行う要求仕様が提示されたとする。また、図12に示す各細目工程が提示され、加えて、検査結果を記録して蓄積する旨の付帯要件も提示されたとする。
【0094】
本実施例において、洗浄工程、又は、洗浄工程及びメンテナンス工程では解決できない重度の不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、洗浄工程を実施する1乃至複数の洗浄モジュールの上流側に配置することとしている。一方、洗浄工程、又は、洗浄工程及びメンテナンス工程により解決可能な軽微な不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、洗浄工程を実施する1乃至複数の洗浄モジュールの下流側に配置している。ここで、洗浄、又は、洗浄及びメンテナンスでは解決できない重度の不良とは、例えば、割れ、欠け、変形、色落ち等である。また、洗浄、又は、洗浄及びメンテナンスにより解決可能な軽微な不良とは、砂、埃、シール付着、バリ等、現状の洗浄工程及びメンテナンス工程により排除可能なものである。また、洗浄工程の上流側の検査によって、洗浄、又は、洗浄及びメンテナンスでは解決できない重度の不良が検出されたパレット200については、その後の洗浄工程を実施することなく廃棄してもよい。これにより、製造されたパレット管理システム100では、洗浄、又は、洗浄及びメンテナンスでは解決できない重度の不良が検出されたパレット200について、その後の洗浄工程を実施することを要することなく、効率的にパレット管理を行うことができる。
【0095】
ステップS101においては、図12に示す第1の要求仕様に記されている各工程、各細目工程、及び、付帯要件に従い、複数のモジュールが選択される。ここでは、形状検査工程を実施する検査モジュール120として、破損状態を検査する形状検査用のモジュールの中から選択される。ここでは、横穴検査モジュール121、内部検査モジュール125、側面形状検査モジュール122、色落ち判定モジュール126、天地面形状検査モジュール124、及び、天地判別モジュール123が選択される。なお、天地判別モジュール123は、天地面形状検査モジュール124がパレット200のいずれの面を検査しているのかを取り間違えないようにするために用いられる。
【0096】
また、洗浄工程を実施する洗浄モジュール140として、ブロアモジュール144、水洗モジュール141、及び、温風乾燥モジュール143が選択される。
【0097】
また、汚れ検査工程を実施する検査モジュール120として、汚れを検査する汚れ検査用のモジュールの中から選択される。ここでは、側面汚れ検査モジュール128及び天地面汚れ検査モジュール129が選択される。
【0098】
また、メンテナンスを実施するメンテナンスモジュール150として、付着物除去モジュール153及びバリ取りモジュール152が選択される。
【0099】
また、第1の要求仕様書に結果の蓄積の付帯要件があることから、識別子読取りモジュール127が選択される。これにより、パレット200に対する識別部材に対する読み取りが行われる。また、各工程の前段階に動作させるモジュールとして、段ばらしモジュール131が選択される。これにより、パレット200に対する段ばらしが行われる。また、最後段に動作させるモジュールとして、積層モジュール132が選択される。
【0100】
次に、ステップS102において、第1の要求仕様に基づいて、モジュールの配置順が決定される。
【0101】
ここでは、まず各パレット200に対する検査結果の蓄積のために、各パレット200を識別するための識別子読取りモジュール127を配置することが決定される。次いで、形状検査工程における配置順として、上流側から、横穴検査モジュール121、側面形状検査モジュール122、色落ち判定モジュール126、天地判別モジュール123、天地面形状検査モジュール124、内部検査モジュール125の順序が決定される。また、洗浄工程における配置順として、上流側から、ブロアモジュール144、水洗モジュール141、温風乾燥モジュール143の順序が決定される。また、汚れ検査工程における配置順として、上流側から、側面汚れ検査モジュール128、天地面汚れ検査モジュール129の順序が決定される。また、メンテナンス工程における配置順として、上流側から、付着物除去モジュール153、バリ取りモジュール152の順序が決定される。
【0102】
なお、内部検査モジュール125は、第5の撮像部材125Aをパレット200の横穴内に挿入して検査を行う。このため、横穴の内部に瓶、缶等の比較的大きい異物があると、第5の撮像部材125Aと衝突してしまい、装置を破損させるおそれがある。従って、ここでは、内部検査モジュール125よりも上流側に、横穴検査モジュール121を配置して、ルールベースでの異物検査を行うこととしている。
【0103】
ステップS103において、パレット管理システム100のラインが設計される。ステップS103においては、パレット管理システム100を設置するエリアのサイズ、形状等に基づいて、ラインの設計が行われる。
【0104】
そして、ステップS104において、パレット管理システム100の構築が行われる。
【0105】
図13は、図12に示す第1の要求仕様に基づいて製造されるパレット管理システム100を例示する図である。
【0106】
ここでは、ステップS101によって選択されたモジュールが、ステップS102によって決定された配置順に従い配置される。また、各モジュールの間には、ステップS103によって設計されたラインに従うように、各種の搬送モジュール130が配置される。
【0107】
そして、隣接しているモジュール同士が相互に連結され、組み合わされる。
【0108】
ステップS105において、制御部110が設置され、各モジュールと電気的に接続される。そして、パレット管理システム100の動作確認が行われる。
【0109】
ステップS105によって動作確認の結果が良好である場合、パレット管理システム100の製造工程が終了する。
【0110】
図14は、図13に示すモジュール構成における制御部110の動作例を示すフローチャートである。なお、図13は、パレット200ごとに繰り返し行われる。
【0111】
制御部110は、ステップS201において、段ばらしモジュール131を制御して、積層されているパレット200を1枚ずつ分離させる。そして、制御部110は、ステップS202において、識別子読取りモジュール127を制御して、パレット200の識別情報を取得する。
【0112】
次いで、制御部110は、ステップS203において、各モジュールに対する制御を行う。そして、制御部110は、ステップS204において、検査結果及び制御結果の少なくともいずれかを、制御対象のモジュールから取得する。このステップS203及びステップS204は、図12に示す横穴検査モジュール121からバリ取りモジュール152までの各モジュールに対して行われる。
【0113】
例えば、横穴検査モジュール121の場合、制御部110は、ステップS203において、横穴検査モジュール121に対し動作開始信号を出力する。そして、制御部110は、物体の有無、及び、物体が検出された場合はその座標情報を、検査結果として取得する。
【0114】
また、検査モジュール120以外のモジュール、例えば水洗モジュール141の場合、制御部110は、ステップS203において、水洗モジュール141に対し動作開始信号を出力する。そして、制御部110は、正常終了したか、もしくは洗浄水切れ等によるエラーが生じているかを、制御結果として取得する。
【0115】
各工程を実施した後、制御部110は、ステップS205において、積層モジュール132を制御して、処理済みのパレット200を積層させる。
【0116】
制御部110は、ステップS206において、検査結果を収集し、収集したデータを識別情報と対応付ける。この識別情報は、識別子読取りモジュール127によって取得されたものである。そして、制御部110は、ステップS207において、識別情報と対応付けられた検査結果を、ログデータとして蓄積する。制御部110は、ステップS207の後、図14に示す処理を終了する。
【0117】
なお、制御部110は、検査結果に基づいて、パレット200ごとに再出荷の適否判定を行い、適否判定の結果も識別情報に対応付けて蓄積してもよい。
【0118】
図15は、パレット管理会社から提供される第2の要求仕様を例示する図である。図15の例は、図12に示す第1の要求仕様とは異なり、形状検査と汚れ検査とを一緒に実施する仕様となっている。また、付帯要件として、パレット200の間に挟まっているシートを除去する要件が提示されている。
【0119】
図15に示す第2の要求仕様に対しても、図11に示す製造方法を適用することにより、第2の要求仕様に応じたパレット管理システム100を製造することができる。
【0120】
図16は、図15に示す第2の要求仕様に基づいて製造されたパレット管理システム100を例示する図である。
【0121】
図16の例では、第2の要求仕様書にシート除去の付帯要件があることから、各工程の前段階として、シート除去モジュール154が配置される。これにより、パレット200間のシートが除去される。その後、積層されたパレット200が1枚ずつ分離され、分離されたパレット200ごとに各工程が実施される。
【0122】
形状及び汚れ検査工程を実施するモジュールとして、側面形状検査モジュール122、側面汚れ検査モジュール128、天地判別モジュール123、天地面形状検査モジュール124、及び、天地面汚れ検査モジュール129が配置される。なお、天地判別モジュール123は、後段の天地面形状検査モジュール124及び天地面汚れ検査モジュール129が、パレット200のいずれの面を検査しているのかを取り間違えないようにするために配置される。
【0123】
また、洗浄工程を実施するモジュールとして、水洗モジュール141、及び、遠心脱水モジュール142が配置される。
【0124】
また、メンテナンス工程を実施するモジュールとして、付着物除去モジュール153、反転モジュール151、及び、付着物除去モジュール153が配置される。
【0125】
前段の付着物除去モジュール153が天面または地面のいずれか一方面のみの付着物を除去した後、反転モジュール151がパレット200の面を反転する。そして、後段の付着物除去モジュール153は、他方面に付着している付着物を除去する。この構成により、付着物除去モジュール153が一方面のみの付着物の除去にしか対応していなくても、パレット200の両面の付着物を除去することができる。
【0126】
また、最後段には、積層モジュール132が配置される。
【0127】
図11から図16において説明したとおり、使用するモジュールを、複数の既存モジュールの中から選択し、組み合わせることにより、要求仕様に応じたパレット管理システム100を構築することができる。
【0128】
以上、本実施形態により、システムをより容易に製造することができるパレット管理システム100の製造方法を提供することができる。
【0129】
なお、製造されるパレット管理システム100は、少なくともいずれか1つの工程を実施するものであればよい。
【0130】
また、検査工程、搬送工程、洗浄工程、及び、メンテナンス工程の各工程に含められるモジュールは、それぞれ1つずつであってもよい。
【0131】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0132】
(付記1)
荷物を載せることが可能な使用済みのパレットを管理するパレット管理システムを製造する、パレット管理システムの製造方法であって、
前記パレット管理システムに含める複数のモジュールを、複数の既存モジュールの中から選択し、
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造し、
前記パレット管理システムには、前記複数のモジュールとして、
前記パレットを搬送する搬送工程を実施するための1乃至複数の搬送モジュールと、
前記パレットを検査する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールと、
前記パレットを洗浄する洗浄工程を実施するための1乃至複数の洗浄モジュールと、
が備えられている、パレット管理システムの製造方法。
(付記2)
前記1乃至複数の搬送モジュールは、
搬送される前記パレットを積層する積層モジュールを含む、
付記1に記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記3)
前記1乃至複数の搬送モジュールは、
積層された複数枚の前記パレットを1枚ずつ分離して搬送する段ばらしモジュールを含む、
付記1及び付記2のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記4)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面に形成された、前記側面の延在方向に対して交差する方向に沿って延びる横穴を撮像する第1の撮像部材を備えた横穴検査モジュールを含み、
前記横穴検査モジュールは、前記第1の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記横穴に挿入されている物体の有無を検査する、
付記1乃至付記3のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記5)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面を撮像する第2の撮像部材を備えた側面検査モジュールを含み、
前記側面検査モジュールは、前記第2の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記パレットの前記側面を検査する、
付記1乃至付記4のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記6)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの側面を撮像する第3の撮像部材を備えた天地判別モジュールを含み、
前記天地判別モジュールは、前記第3の撮像部材によって撮像された画像データに含まれているマークの向きに基づいて、前記パレットの天面及び地面の相対位置を判別する、
付記1乃至付記5のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記7)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットの天面及び地面の少なくとも一方を撮像する第4の撮像部材を備えた天地面検査モジュールを含み、
前記天地面検査モジュールは、前記第4の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記パレットの前記天面及び前記地面の少なくとも一方を検査する、
付記1乃至付記6のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記8)
前記1乃至複数の検査モジュールは、内部検査モジュールを含み、
前記内部検査モジュールは、
前記パレットの側面に形成された、前記側面の延在方向に対して交差する方向に沿って延びる横穴の内部を撮像する第5の撮像部材と、
前記第5の撮像部材が取り付けられており、前記第5の撮像部材を前記横穴内に挿入させる可動アームと、
を備え、前記第5の撮像部材によって撮像された画像データに基づいて、前記横穴の内部を検査する、
付記1乃至付記7のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記9)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットを撮像する第6の撮像部材を備えた色落ち判定モジュールを含み、
前記色落ち判定モジュールは、前記第6の撮像部材によって撮像された画像データに含まれている前記パレットの色情報に基づいて、前記パレットの色落ちの有無を判定する、
付記1乃至付記8のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記10)
前記1乃至複数の検査モジュールは、
前記パレットに設けられた識別部材から、前記パレットの識別情報を読み取る識別子読取りモジュールを含む、
付記1乃至付記9のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記11)
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットに洗浄水を供給する洗浄水供給部を備えた水洗モジュールを含む、
付記1乃至付記10のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記12)
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットを支持して回転させる回転機構を備えた遠心脱水モジュールを含む、
付記1乃至付記11のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記13)
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、温風乾燥モジュールを含み、
前記温風乾燥モジュールは、
前記パレットにエアーを供給する第1のブロアーと、
前記第1のブロアーから供給されるエアーを加温するヒータと、を備える、
付記1乃至付記12のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記14)
前記1乃至複数の洗浄モジュールは、
前記パレットにエアーを供給する第2のブロアーを備えたブロアモジュールを含む、
付記1乃至付記13のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記15)
前記パレット管理システムには、
前記複数のモジュールとして、さらに、
前記パレットをメンテナンスするメンテナンス工程を実施するための1乃至複数のメンテナンスモジュールが備えられている、
付記1乃至付記14のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記16)
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットを支持して上下方向を反転させる反転モジュールを含む、
付記1乃至付記15のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記17)
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットに生じたバリを除去するバリ取りモジュールを含む、
付記1乃至付記16のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記18)
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、
前記パレットに付着した付着物を除去する付着物除去モジュールを含む、
付記1乃至付記17のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記19)
前記1乃至複数のメンテナンスモジュールは、シート除去モジュールを含み、
前記シート除去モジュールは、
積層された前記パレット間にシートが挿入されているか否かを検知するシート検知部と、
前記シート検知部によって検知された前記シートを除去するシート除去部と、を備える、
付記1乃至付記18のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記20)
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程では解決できない不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの上流側に配置する、
付記1乃至付記19のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記21)
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程により解決可能な不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの下流側に配置する、
付記1乃至付記20のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記22)
選択された前記複数のモジュールを組み合わせることにより、前記パレット管理システムを製造するにあたって、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程では解決できない不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの上流側に配置し、
前記洗浄工程、又は、前記洗浄工程及び前記メンテナンス工程により解決可能な不良に対する検査工程を実施するための1乃至複数の検査モジュールを、前記1乃至複数の洗浄モジュールの下流側に配置する、
付記1乃至付記19のうちいずれか1つに記載のパレット管理システムの製造方法。
(付記23)
前記複数のモジュールに電気的に接続されて、前記複数のモジュールの動作を制御する制御部を更に備える、
付記1乃至22のいずれか1項に記載のパレット管理システムの製造方法。
【符号の説明】
【0133】
100 パレット管理システム、110 制御部、120 検査モジュール、121 横穴検査モジュール、121A 第1の撮像部材、122 側面形状検査モジュール、122A 第2の撮像部材、123 天地判別モジュール、123A 第3の撮像部材、124 天地面形状検査モジュール(天地面検査モジュール)、124A 第4の撮像部材、125 内部検査モジュール、125A 第5の撮像部材、125B 可動アーム、126 色落ち判定モジュール、126A 第6の撮像部材、127 識別子読取りモジュール、127A 読取り部材、128 側面汚れ検査モジュール、128A 第7の撮像部材、129 天地面汚れ検査モジュール(天地面検査モジュール)、129A 第8の撮像部材、130 搬送モジュール、131 段ばらしモジュール、132 積層モジュール、140 洗浄モジュール、141 水洗モジュール、141A 洗浄水供給部、142 遠心脱水モジュール、142A 回転機構、143 温風乾燥モジュール、143A 第1のブロアー、143B ヒータ、144 ブロアモジュール、144A 第2のブロアー、150 メンテナンスモジュール、151 反転モジュール、152 バリ取りモジュール、153 付着物除去モジュール、154 シート除去モジュール、154A シート検知部、154B シート除去部、200 パレット。
図1
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