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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040981
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨てオムツ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20240318BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240318BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20240318BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20240318BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/49 311
A61F13/49 312
A61F13/496
A61F13/551 100
A61F13/514 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145661
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏 成顕
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA12
3B200BB11
3B200BB17
3B200CA03
3B200CA05
3B200CA06
3B200DA21
3B200DA27
3B200DA28
3B200DE02
3B200DE07
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】後処理テープの摘み部を容易につかむことができるパンツ型使い捨てオムツを提供すること。
【解決手段】幅方向Wに伸縮可能な外装体20の非肌側に設けられた後処理テープ30を有するパンツ型使い捨てオムツ1において、後処理テープ30は、固定領域33aが外装体20に固定され、且つ、ウエスト開口部4に向かって展開可能に折り畳まれた帯状のテープ本体31と、テープ本体31の係止領域33cに設けられた摘み部32と、を有し、摘み部32は、折返部αよりもウエスト開口部4に向かって突出している。そして、外装体20には、折返部αとウエスト開口部4との間に、後処理テープ30側に位置する第1領域42aと、ウエスト開口部4側に位置する第2領域42bとが、長手方向Lに沿って順に並んで設定され、第2領域42bの幅方向Wに沿った伸縮応力が、第1領域42aの幅方向Wに沿った伸縮応力よりも高くなるように設定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側から背側に対応する長手方向に延びると共に体液を吸収する吸収部材と、
前記吸収部材の前記長手方向の両端部を装着時に衣服に近い非肌側から覆うと共に、前記長手方向に直交する幅方向に沿って伸縮可能な外装体と、を備え、
前記着用者の胴を取り囲み且つ上端にウエスト開口部が形成されたウエスト部と、前記着用者の股下を覆い且つ一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨てオムツであって、
前記外装体の前記非肌側には、後処理テープが設けられ、
前記後処理テープは、一端部が前記外装体に固定され、且つ、前記ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた帯状のテープ本体と、前記テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有し、
前記摘み部は、折り畳まれた状態の前記テープ本体の前記ウエスト開口部側の折返部よりも、前記ウエスト開口部に向かって突出し、
前記外装体は、前記折返部と前記ウエスト開口部との間に、前記後処理テープ側に位置する第1領域と、前記ウエスト開口部側に位置する第2領域とが、前記長手方向に沿って順に並んで設定され、
前記第2領域の前記幅方向に沿った伸縮応力が、前記第1領域の前記幅方向に沿った伸縮応力よりも高くなるように設定された
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。
【請求項2】
請求項1に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記第2領域には、前記外装体を前記幅方向に沿って伸縮させる伸縮部材が設けられ、前記第1領域には、前記伸縮部材が設けられていない
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記第1領域の、少なくとも前記後処理テープの前記長手方向への延長線上の領域には、前記長手方向に沿って伸縮する第2伸縮部材が設けられ、前記第2伸縮部材は、前記第2領域には設けられていない
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記第2領域には、前記第1領域側に位置する中間領域と、前記ウエスト開口部側に位置すると共に前記中間領域よりも前記幅方向に沿った伸縮応力が低い先端領域とが、前記長手方向に沿って順に並んで設定されている
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記第2領域の前記幅方向に沿った伸縮応力は、前記第1領域から前記ウエスト開口部に向かうにつれて、連続的に低減する
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨てオムツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体液を吸収する吸収部材の非肌側に取り付けられた外装体を備え、外装体の幅方向の両側部が接合されてウエスト開口部が形成されたウエスト部と、一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨てオムツが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
また、パンツ型使い捨てオムツは、外装体の非肌側に、使用後のオムツを丸めた状態で保持するために用いられる後処理テープが設けられている。後処理テープは、ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた状態で、一端部が外装体に固定されたテープ本体と、テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有している。そして、着用者や介助者は、パンツ型使い捨てオムツを廃棄する際、摘み部をつかんで後処理テープを引っ張り、折り畳まれた状態のテープ本体を展開することで、テープ本体の外装体に固定されていない部分を伸長させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-86469号公報
【特許文献2】実用新案登録第3229304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後処理テープのテープ本体や摘み部は、プラスチック製のシート材によって構成されている。そして、テープ本体が折り畳まれた状態において、摘み部の面は、外装体やテープ本体の面と平行に延び、しかも厚さ方向に近接している。そのため、摘み部と外装体との間に隙間が生じにくい。これにより、着用者等の爪や指先が摘み部の内側(肌側)に入りにくく、摘み部を容易につかめないことがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、後処理テープの摘み部を容易につかむことができるパンツ型使い捨てオムツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、着用者の腹側から背側に対応する長手方向に延びると共に体液を吸収する吸収部材と、前記吸収部材の前記長手方向の両端部を装着時に衣服に近い非肌側から覆うと共に、前記長手方向に直交する幅方向に沿って伸縮可能な外装体と、を備え、前記着用者の胴を取り囲み且つ上端にウエスト開口部が形成されたウエスト部と、前記着用者の股下を覆い且つ一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨てオムツであって、前記外装体の前記非肌側には、後処理テープが設けられ、前記後処理テープは、一端部が前記外装体に固定され、且つ、前記ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた帯状のテープ本体と、前記テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有し、前記摘み部は、折り畳まれた状態の前記テープ本体の前記ウエスト開口部側の折返部よりも、前記ウエスト開口部に向かって突出し、前記外装体は、前記折返部と前記ウエスト開口部との間に、前記後処理テープ側に位置する第1領域と、前記ウエスト開口部側に位置する第2領域とが、前記長手方向に沿って順に並んで設定され、前記第2領域の前記幅方向に沿った伸縮応力が、前記第1領域の前記幅方向に沿った伸縮応力よりも高くなるように設定された構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明のパンツ型使い捨てオムツは、後処理テープの摘み部を容易につかむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のパンツ型使い捨てオムツを非肌側から見たときの展開図である。
図2】実施例1のパンツ型使い捨てオムツの外観図である。
図3図1におけるA部の拡大図である。
図4図3におけるB-B断面図である。
図5】実施例1のパンツ型使い捨てオムツの外装体における幅方向に沿った伸縮応力の大きさを示す説明図である。
図6】実施例1のパンツ型使い捨てオムツにおいて、シャーリング伸縮材が収縮したときの要部断面図である。
図7】実施例2のパンツ型使い捨てオムツを非肌側から見たときの要部拡大図である。
図8】実施例2のパンツ型使い捨てオムツにおいて、シャーリング伸縮材及び縦方向伸縮材が収縮したときの要部断面図である。
図9】第1変形例のパンツ型使い捨てオムツの外装体における幅方向に沿った伸縮応力の大きさを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるパンツ型使い捨てオムツを実施するための形態は、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて以下の通り説明される。なお、以下の説明では、着用者の腹側から背側に対応する方向が「長手方向L」とされ、長手方向Lに直交する方向が「幅方向W」とされる。また、長手方向L及び幅方向Wの双方に直交する方向が「厚さ方向H」とされる。さらに、厚さ方向Hにおいて、装着時に着用者の身体に近い方が「肌側」とされ、装着時に衣服に近い方が「非肌側」とされる。
【0011】
(実施例1)
実施例1のパンツ型使い捨てオムツ(以下、「紙パンツ1」という)は、図1に示されたように、吸収部材10と、外装体20と、後処理テープ30と、を備えている。
【0012】
吸収部材10は、図1に示されたように、厚さ方向Hから見た平面視において、長手方向Lに延びる長方形状を呈している。吸収部材10は、紙パンツ1の着用時に着用者の肌に接し、尿等の体液を吸収する。すなわち、吸収部材10は、例えば吸収性ポリマー粒子やパルプ繊維を含む吸収体と、吸収体を挟み込むトップシート及びバックシートと、等を有している。
【0013】
なお、トップシートは、吸収体の肌側に配置されるシート材であり、体液を透過可能である。また、バックシートは、吸収体の非肌側に配置されるシート材であり、体液の透過を遮断する。
【0014】
外装体20は、吸収部材10の少なくとも長手方向Lの両端部を非肌側から覆い、吸収部材10が接合されるシート材である。実施例1の外装体20は、着用者の腹側から背側まで一体に延びている。また、外装体20は、長手方向Lの両端部において、それぞれ吸収部材10よりも幅方向Wの外方に延在し、長手方向Lの中間部が括れている。そして、外装体20は、長手方向Lの一端部(腹側)における幅方向Wの両側部21a、21bと、長手方向Lの他端部(背側)における幅方向Wの両側部22a、22bとが溶着等でそれぞれ接合される。
【0015】
これにより、紙パンツ1は、図2に示されたように、着用者の胴を取り囲むウエスト部2と、着用者の股下を覆う股下部3とを有するパンツ型となる。そして、ウエスト部2の上端に、着用者の胴を通すためのウエスト開口部4が形成され、股下部3の幅方向Wの両側に、着用者の足を通すための一対の足周り開口部5が形成される。
【0016】
そして、外装体20は、図4に示されたように、内側シート材23a及び外側シート材23bと、これらの間に設けられたシャーリング伸縮材24(伸縮部材)と、を有している。
【0017】
内側シート材23a及び外側シート材23bは、それぞれ液体を透過させない特性である液不透過性を有している。なお、内側シート材23a及び外側シート材23bは、個別のシート材によって構成されてもよいし、共通の一枚のシート材によって構成されてもよい。内側シート材23a及び外側シート材23bが一枚のシート材によって構成される場合は、例えば一枚のシート材を折り返し、内側シート材23a及び外側シート材23bとされる。
【0018】
シャーリング伸縮材24は、幅方向Wに沿って伸縮可能な伸縮部材であり、外装体20を幅方向Wに沿って伸縮させる。すなわち、シャーリング伸縮材24は、所定の伸張状態で内側シート材23a及び外側シート材23bに固定され、収縮して自然長に戻ることで、内側シート材23a及び外側シート材23bを一体的に収縮させる。これにより、外装体20は、シャーリング伸縮材24によって幅方向Wに沿った伸縮応力が付与される。なお、「伸縮応力」とは、部材を同じ距離伸ばしたときの強度であり、伸縮応力が高いとは、部材を同じ距離まで伸ばすために必要な応力が大きいことをいう。そして、外装体20の伸縮応力の大きさは、シャーリング伸縮材24の伸縮応力の大きさに依存して決まる。
【0019】
さらに、実施例1では、シャーリング伸縮材24は、外装体20のうち、少なくともウエスト部2を形成する領域に設けられている(図1参照)。そして、外装体20が伸縮することで、ウエスト部2が着用者の胴周りにフィットする。なお、シャーリング伸縮材24は、例えば長手方向Lに並列され、幅方向Wに沿って伸縮する複数の糸ゴム等の細長状の弾性材によって構成される。しかしながら、シャーリング伸縮材24は、糸ゴム等の細長状の弾性材の他、帯状、網状、フィルム状等の弾性材を用いることができる。
【0020】
また、実施例1の紙パンツ1は、足周り開口部5に沿って外装体20を伸縮させる足周り伸縮材25が設けられている。足周り伸縮材25は、ここでは、複数の糸ゴムによって構成されている。
【0021】
後処理テープ30は、使用後の紙パンツ1を廃棄する際、長手方向Lに丸められた紙パンツ1に対して巻き付けられ、紙パンツ1を丸めた状態に保持するために使用されるテープ部材である。後処理テープ30は、外装体20の長手方向Lの他端部(背側)の非肌側に設けられ、幅方向Wの中央部に配置されている。
【0022】
そして、後処理テープ30は、図3及び図4に示されたように、テープ本体31と、摘み部32と、を有している。
【0023】
テープ本体31は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、PET等の合成樹脂製のシート材によって構成された帯状のテープ部材である。また、テープ本体31には、長手方向の特定の位置に、第1折返し位置31a及び第2折返し位置31bが設定されている。そして、テープ本体31の長手方向の一端31cから第1折返し位置31aまでの間が固定領域33aとなる。また、第1折返し位置31aと第2折返し位置31bの間が中央領域33bとなる。さらに、第2折返し位置31bからテープ本体31の長手方向の他端31dまでの間が係止領域33cとなる。
【0024】
そして、テープ本体31は、紙パンツ1の長手方向Lと、テープ本体31自身の長手方向とが一致した状態(図1参照)で、図4に示されたように、長手方向の一端31cが腹側に向けられ、固定領域33aの肌側面が第1接着剤34aを介して外装体20に固定されている。なお、第1接着剤34aは、外装体20に対して固定領域33aを剥離不可能に接着する程度の接着力を有している。
【0025】
さらに、テープ本体31は、第1折返し位置31aにおいて非肌側に向かって折り返されて、中央領域33bが固定領域33aの非肌側面に重ねられる。続いて、テープ本体31は、第2折返し位置31bにおいて肌側に向かって折り返されて、係止領域33cが中央領域33bの非肌側面に重ねられ、三つ折りにされている。また、中央領域33bは、第1弱接着剤35aを介して固定領域33aに剥離及び再貼着可能に接着されている。さらに、係止領域33cは、第2弱接着剤35bを介して中央領域33bに剥離及び再貼着可能に接着されている。
【0026】
すなわち、テープ本体31は、ウエスト開口部4に向かって長手方向Lに沿って展開可能に折り畳まれる。さらに、テープ本体31は、折り畳まれた状態で、一端部(固定領域33a)が外装体20に固定される。また、係止領域33cは、テープ本体31が引っ張られて展開した後、外装体20に接着可能である。
【0027】
さらに、テープ本体31は、三つ折り状態で外装体20に固定されているため、第1折返し位置31aが、折り畳まれた状態のテープ本体31のウエスト開口部4側の折返部αとなる。つまり、折返部αは、折り畳まれた状態のテープ本体31における、ウエスト開口部4側の端部である。
【0028】
摘み部32は、テープ本体31よりも視認性の良いテープ部材(実施例1では着色が施されている)であり、テープ本体31の他端部(係止領域33cの先端部)に設けられている。なお、実施例1の摘み部32は、係止領域33cの肌側面に第2接着剤34bを介して固定されており、図4に示されたように、摘み部32の一部は係止領域33cと中央領域33bの間に挟まれている。なお、第2接着剤34bは、係止領域33cに対して摘み部32を剥離不可能に接着する程度の接着力を有している。
【0029】
また、摘み部32の材質は、テープ本体31と同一でも良いし、異なる素材によって形成されてもよい。さらに、摘み部32は、図3及び図4に示されたように、平面視で、折返部αよりもウエスト開口部4に向かって突出している。なお、摘み部32の肌側面には接着剤が塗布されておらず、外装体20及び中央領域33bに対して接着されていない。
【0030】
さらに、実施例1の紙パンツ1では、外装体20に後処理テープ30が設けられたことで、ウエスト部2は、折返部αである第1折返し位置31aを境界として、股下部3側の下部領域41と、ウエスト開口部4側の上部領域42に区分けされる。
【0031】
ここで、下部領域41には、シャーリング伸縮材24が長手方向Lに一定の間隔で配置されている。そのため、下部領域41における幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさは、長手方向Lの位置に拘らずほぼ一定に設定されている(図5参照)。なお、下部領域41における幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさは任意に設定することができ、局所的に異なる大きさに設定されてもよい。
【0032】
一方、折返部α(第1折返し位置31a)からウエスト開口部4までの間の上部領域42には、長手方向Lに沿って順に並ぶ第1領域42aと、第2領域42bとが設定されている。なお、実施例1では、第1領域42a及び第2領域42bは、外装体20の長手方向Lの他端部(背側)に設定され、外装体20の長手方向Lの一端部(腹側)には設定されていない。つまり、実施例1の外装体20の長手方向Lの一端部(腹側)では、シャーリング伸縮材24が一様に設けられ、幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさは全面にわたってほぼ均等に設定されている(図1参照)。しかしながら、第1領域42a及び第2領域42bは、ウエスト部2の全周にわたって設定されてもよい。また、第1領域42a及び第2領域42bは、外装体20の長手方向Lの他端部(背側)の幅方向Wの中央部(後処理テープ30が配置された周囲)のみに設定されてもよい。
【0033】
また、第1領域42aと第2領域42bとの境界は明確に区分けされるものではなく、後述のように幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさが異なることで区分けされる。
【0034】
そして、第1領域42aは、平面視で、第2領域42bよりも後処理テープ30側に位置する領域である。また、第1領域42aには、シャーリング伸縮材24が設けられておらず、幅方向Wにほとんど伸縮しない。そのため、第1領域42aは、図5に示されたように、第1領域42aは幅方向Wに沿った伸縮応力がほとんどない。
【0035】
第2領域42bは、平面視で、第1領域42aよりもウエスト開口部4側に位置する領域である。また、第2領域42bには、シャーリング伸縮材24が設けられ、第2領域42bは、幅方向Wに沿って伸縮可能である。つまり、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力は、第1領域42aにおける幅方向Wに沿った伸縮応力よりも高い。
【0036】
さらに、第2領域42bには、長手方向Lに沿って順に並ぶ中間領域43aと、先端領域43bとが設定されている。
【0037】
中間領域43aは、平面視で先端領域43bよりも後処理テープ30側(第1領域42a側)に位置する領域である。また、先端領域43bは、平面視で中間領域43aよりもウエスト開口部4側に位置する領域である。さらに、図5に示されたように、先端領域43bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力は、中間領域43aにおける幅方向Wに沿った伸縮応力よりも低くなるように設定されている。
【0038】
なお、実施例1では、先端領域43bにおいて、長手方向Lに並列されたシャーリング伸縮材24の間隔が、中間領域43aに配置されたシャーリング伸縮材24の長手方向Lの間隔よりも狭くなっている。つまり、先端領域43bの方が、中間領域43aよりもシャーリング伸縮材24の単位面積当たりの配置数が少なく設定されることで、伸縮応力が低くなっている。しかしながら、幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさは、シャーリング伸縮材24の単位面積当たりの配置数だけなく、各シャーリング伸縮材24の太さ、伸張率等を異ならせることで決められてもよい。
【0039】
実施例1の紙パンツ1の作用は以下の通りに説明される。
【0040】
実施例1の紙パンツ1は、使用後に外装体20を外側にして丸められ、引っ張られてテープ本体31が展開して伸長した後処理テープ30が巻き付けられる。後処理テープ30は、テープ本体31の係止領域33cに塗布された第2弱接着剤35bが外装体20に貼り付き、紙パンツ1を丸められた状態に維持する。
【0041】
ここで、実施例1の紙パンツ1では、後処理テープ30の摘み部32が、折り畳まれた状態のテープ本体31のウエスト開口部4側の折返部αよりも、ウエスト開口部4に向かって突出している。そのため、図4に示されたように、少なくとも摘み部32の先端部は、平面視でテープ本体31に重ならない。
【0042】
さらに、実施例1の紙パンツ1では、外装体20において、折返部αとウエスト開口部4との間には、平面視で、後処理テープ30側に位置する第1領域42aと、ウエスト開口部4側に位置する第2領域42bとが、長手方向Lに沿って順に設定されている。そして、図5に示されたように、第2領域42bの幅方向Wに沿った伸縮応力が、第1領域42aの幅方向Wに沿った伸縮応力よりも高い。
【0043】
これにより、シャーリング伸縮材24が自然長状態になったとき、外装体20は、第2領域42bが第1領域42aよりも大きく収縮し、第2領域42bでは、幅方向Wの長さが第1領域42aよりも短くなる。このため、第2領域42bは、紙パンツ1の内側(肌側)に入り込む。一方、外装体20の下部領域41では、後処理テープ30のテープ本体31が固定された部分の剛性が、その周囲よりも高くなり、テープ本体31が固定された部分は外装体20の変形が規制される。さらに、第1領域42aは、伸縮応力がないため、自在に変形が可能である。
【0044】
このため、シャーリング伸縮材24が収縮することで第2領域42bが紙パンツ1の内側(肌側)に入り込んだ際、図6に示されたように、第1領域42aは、折返部αを起点にして紙パンツ1の内側(肌側)に向かって折れ曲がる。この結果、紙パンツ1は、外装体20と摘み部32との間に、厚さ方向Hの隙間Sを生じさせることができる。これにより、使用者は隙間Sに指先を挿入して後処理テープ30の摘み部32をつかむことが可能となり、紙パンツ1を廃棄する際、後処理テープ30の摘み部32を容易につかむことができる。
【0045】
なお、第1領域42aは、より変形(折れ曲がり)しやすくするために剛性が低い方が好ましい。そのため、第1領域42aは、内側シート材23a及び外側シート材23bの繊維を解す加工等が施されてもよい。
【0046】
また、実施例1の紙パンツ1では、第2領域42bに外装体20を幅方向Wに沿って伸縮させるシャーリング伸縮材24が設けられ、第1領域42aにはシャーリング伸縮材24が設けられていない。
【0047】
これにより、第1領域42aにおける幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさと、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさとの差(以下「伸縮応力差ΔF」という、図5参照)を大きくすることができる。ここで、外装体20は、伸縮応力差ΔFが大きいほど、第1領域42aが大きく変形する。そのため、実施例1の紙パンツ1は、伸縮応力差ΔFを大きくして第1領域42aの変形量を大きくすることで、隙間Sを広くすることができる。この結果、実施例1の紙パンツ1は、摘み部32をさらにつかみやすくできる。
【0048】
また、実施例1の紙パンツ1では、第2領域42bに、平面視で、第1領域42a側に位置する中間領域43aと、ウエスト開口部4側に位置する先端領域43bとが、長手方向Lに沿って順に並んで設定されている。そして、図5に示されたように、中間領域43aよりも先端領域43bの方が幅方向Wに沿った伸縮応力が低くなるように設定されている。
【0049】
このため、実施例1の紙パンツ1は、先端領域43bにおけるウエスト部2の締め付けを、中間領域43aよりも緩和させることができる。これにより、実施例1の紙パンツ1は、中間領域43aにおける幅方向Wに沿った伸縮応力を高くして伸縮応力差ΔFを確保しつつ、ウエスト開口部4が狭くなることを抑制して、着用性の悪化を抑えることができる。
【0050】
すなわち、例えば、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力が、長手方向Lの全域にわたって一定である場合、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力を全体的に高めた場合では、伸縮応力差ΔFを大きくすることができる。しかしながら、同時に先端領域43bにおけるウエスト部2の締め付けも強くなり、ウエスト開口部4が狭くなる懸念がある。そのため、着用性の悪化が生じることが考えられる。一方、先端領域43bにおけるウエスト部2の締め付けを緩和するために、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力を全体的に低減すると、伸縮応力差ΔFを十分に確保することができない。そのため、第1領域42aが変形しにくく、隙間Sが生じにくくなると考えられる。
【0051】
実施例1の紙パンツ1は、第2領域42bに、第1領域42a側に位置する中間領域43aと、ウエスト開口部4側に位置し、且つ中間領域43aよりも幅方向Wに沿った伸縮応力が低い先端領域43bとが設定されたことで、使用者の指先を挿入可能な隙間Sを広げることと、紙パンツ1の着用しやすさとの両立を図ることができる。
【0052】
(実施例2)
実施例2におけるパンツ型使い捨てオムツ(以下、「紙パンツ1A」という)は、実施例1の紙パンツ1と同様に、吸収部材10と、外装体20と、後処理テープ30と、を備えている。
【0053】
そして、実施例2の紙パンツ1Aは、図7に要部を拡大して示されたように、実施例1の紙パンツ1の構成に加え、さらに長手方向Lに沿って伸縮する縦方向伸縮材50(第2伸縮部材)が第1領域42aに設けられている。
【0054】
ここで、縦方向伸縮材50は、長手方向Lに沿って配置された糸ゴムであり、所定の伸張状態で内側シート材23a及び外側シート材23bに固定されている。そして、縦方向伸縮材50が収縮して自然長に戻ることで、第1領域42aのうち、縦方向伸縮材50が設けられた領域(以下、「配置領域51」という)が長手方向Lに沿って収縮する。
【0055】
また、配置領域51は、第1領域42aのうち、長手方向Lに沿って展開可能な後処理テープ30の長手方向Lへの延長線上の領域、つまり、後処理テープ30と幅方向Wの位置が一致する領域に設定されている。なお、縦方向伸縮材50は、第1領域42aのうち、少なくとも後処理テープ30の長手方向Lへの延長線上の領域(配置領域51)に配置されていればよく、例えば第1領域42aの全域に配置されてもよい。
【0056】
また、下部領域41において、後処理テープ30のテープ本体31が固定された部分は、その周囲よりも剛性が高く、外装体20の変形が規制される。そのため、縦方向伸縮材50は、平面視で、折返部αよりも股下部3側の下部領域41に重なるように配置されてもよい。
【0057】
そして、実施例2の紙パンツ1Aは、縦方向伸縮材50によって第1領域42aが収縮するため、図8に示されたように、第1領域42aと第2領域42bとの境界位置Kを、後処理テープ30に向かって引き付けることができる。これにより、実施例2の紙パンツ1Aは、縦方向伸縮材50を配置しない場合よりも、第2領域42bを紙パンツ1の内側(肌側)に大きく入り込ませることができ、隙間Sを広げることができる。
【0058】
以上、本発明のパンツ型使い捨てオムツを実施例1及び実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0059】
実施例1の紙パンツ1では、第2領域42bに幅方向Wに沿った伸縮応力が異なる中間領域43aと先端領域43bとが設定された例が示された。しかしながら、中間領域43aと先端領域43bとは区分けされる必要はない。すなわち、図9に示されたように、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力は、第1領域42a側からウエスト開口部4に向かうにつれて、連続的に低減するように設定されてもよい。
【0060】
この場合、第2領域42bでは、幅方向Wに沿った伸縮応力がウエスト開口部4に向かって次第に低減していくため、ウエスト部2における締付力の局所的な変化が生じない。このため、第2領域42bの幅方向Wに沿った伸縮応力を連続的に低減した紙パンツは、着用時の違和感を軽減することができる。
【0061】
なお、第2領域42bにおける幅方向Wに沿った伸縮応力をウエスト開口部4に向かって連続的に低減するには、例えば第2領域42bに配置されるシャーリング伸縮材24の長手方向Lの配置間隔が、ウエスト開口部4に向かって次第に広げられる。
【0062】
また、実施例1の紙パンツ1では、伸縮応力差ΔFを大きくするため、第1領域42aにシャーリング伸縮材24が配置されていない。しかしながら、第2領域42bの幅方向Wに沿った伸縮応力が、第1領域42aの幅方向Wに沿った伸縮応力よりも高くなるように設定されていれば、第1領域42aにもシャーリング伸縮材24が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 紙パンツ(パンツ型使い捨てオムツ)
2 ウエスト部
3 股下部
4 ウエスト開口部
5 足周り開口部
10 吸収部材
20 外装体
24 シャーリング伸縮材(第1伸縮部材)
30 後処理テープ
31 テープ本体
32 摘み部
42a 第1領域
42b 第2領域
α 折返部
L 長手方向
W 幅方向
H 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9