IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ホームテクノ株式会社の特許一覧 ▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040982
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20240318BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240318BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
A47J37/06 321
A47J37/06 371
A47J27/00 109L
F24C7/04 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145662
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 博明
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【テーマコード(参考)】
3L087
4B040
4B055
【Fターム(参考)】
3L087AA20
3L087BA07
3L087BB06
3L087BB07
3L087BC14
3L087CA03
3L087CA13
3L087CC01
3L087CC03
3L087DA22
4B040AA02
4B040AA08
4B040AC03
4B040AE13
4B040CA05
4B040CA16
4B040EB14
4B040GD22
4B040GD23
4B055AA13
4B055BA24
4B055CA02
4B055CB27
4B055CC03
4B055CD04
4B055DA02
4B055GB08
4B055GD03
(57)【要約】
【課題】加熱パターンを選択可能であり、加熱パターンの設定温度と調理容器の実際の温度を表示可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の加熱調理器は、被加熱物を加熱調理するための調理プレート(平プレート、深鍋)と、調理プレート(平プレート、深鍋)を加熱する赤外線シーズヒータと、調理プレート(平プレート、深鍋)の加熱パターンを選択する操作部52Aと、加熱パターンの設定温度と調理プレート(平プレート、深鍋)の温度を表示可能な表示部52と、を備えることにより、選択した加熱パターンの設定温度と調理プレート(平プレート、深鍋)の実際の温度を表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱調理するための調理容器と、
前記調理容器を加熱する加熱手段と、
前記調理容器の加熱パターンを選択する操作手段と、
前記加熱パターンの設定温度と前記調理容器の温度を表示可能な表示部と、を備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記設定温度が複数の温度範囲から選択可能であり、
前記複数の温度範囲は、それぞれ最高温度が異なることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記最高温度が120℃以上200℃以下である前記温度範囲を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記設定温度に対応した加熱時間を前記表示部に表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記加熱手段を制御して、前記調理容器が部分的に異なる温度となるように加熱可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱手段が第1の加熱手段と第2の加熱手段を有し、
前記第1の加熱手段により前記調理容器の一部が70℃以上150℃未満となるように加熱され、
前記第2の加熱手段により前記調理容器の一部が160℃以上となるように加熱されることを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱手段による加熱時間の経過情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記表示部の表示内容と同様の内容を表示可能な他の機器と通信可能な通信部を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器の設定温度と実際の温度を表示可能な表示部を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱手段により調理プレートを加熱して加熱調理を行う調理器として、特許文献1に記載の多機能型調理用プレートが知られている。特許文献1の多機能型調理用プレートは、電熱ヒータ(6)で調理プレート(7A、7B)を加熱し、お好み焼、焼きそば、焼肉、たこ焼き等を作るものである。
【0003】
この多機能型調理用プレートは、液晶パネルよりなる設定温度等表示部(32)を備えており、この設定温度等表示部(32)には、設定温度(200℃)が表示されるようになっている(特許文献1の図7及び図16参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-052548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、平形プレートである調理プレート(7A)を使用する場合には、具体的な調理の用途が分からず、加熱温度、加熱パターンを設定して置くことができないものであった。そのため、焼き加減等はユーザが全て独自に決定する必要があった。
【0006】
また、特許文献1には、設定温度等表示部(32)に調理プレート(7A、7B)の実際の温度(現在の温度)を表示することについて記載も示唆もされておらず、ユーザは調理プレート(7A、7B)の実際の温度を知ることができないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、加熱パターンを選択可能であり、加熱パターンの設定温度と調理容器の実際の温度を表示可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器は、被加熱物を加熱調理するための調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱パターンを選択する操作手段と、前記加熱パターンの設定温度と前記調理容器の温度を表示可能な表示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器によれば、加熱パターンを選択することができ、加熱パターンの設定温度と調理容器の実際の温度を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の加熱調理器の(a)平面図と(b)縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態の赤外線シーズヒータ及びその周辺の縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態の加熱調理器の電気的構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態の加熱調理器において焼き網を使用した状態の(a)平面図と(b)縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態の加熱調理器において平プレートを使用した状態の(a)平面図と(b)縦断面図である。
図6】本発明の一実施形態の加熱調理器において深鍋を使用した状態の縦断面図である。
図7】本発明の一実施形態の加熱調理器の他の実施形態の縦断面図である。
図8】本発明の一実施形態の非選択状態の操作パネルを示す図である。
図9】本発明の一実施形態の軽く焼く/レア風を選択した状態の操作パネルを示す図である。
図10】本発明の一実施形態のやや軽く/ミディアムレア風を選択した状態の操作パネルを示す図である。
図11】本発明の一実施形態の普通/ミディアム風を選択した状態の操作パネルを示す図である。
図12】本発明の一実施形態のよく焼く/ウェルダン風を選択した状態の操作パネルを示す図である。
図13図8図12に示す操作パネルとは異なる操作パネルの非選択状態を示す図である。
図14図13において、やや軽く/180を選択した状態の他の操作パネルを示す図である。
図15図13及び図14に示す操作パネルを一部変形した操作パネルの非選択状態を示す図である。
図16図15において、普通/220を選択した状態を示す図である。
図17図8図14に示す操作パネルとは異なる操作パネルの非選択状態を示す図である。
図18図17において、LとRとBakeを選択した状態を示す図である。
図19図17及び図18に示す操作パネルを一部変形した操作パネルの非選択状態を示す図である。
図20図19において、Heat-inとBake outsideとBakeを選択した状態を示す図である。
図21図19及び図20に示す操作パネルを一部変形した操作パネルの非選択状態を示す図である。
図22図21において、Pork ChickenとBakeを選択した状態を示す図である。
図23】調理鍋を使用した類似の加熱調理器の縦断面図である。
図24】調理鍋内の温度変化を示す図である。
図25】炙り焼き網を使用した類似の加熱調理器の縦断面図である。
図26】本発明の一実施形態の加熱調理器と他の機器の通信状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0012】
図1図22及び図26は、本発明の一実施形態を示している。加熱調理器1は、本体2と、本体2に着脱可能な調理容器である調理プレート3と、を備えている。また、本体2には給電用の電源プラグを有する電源コード(図示せず)が着脱可能となっている。
【0013】
本体2は、外枠4と、外枠4の内部に収容された内枠5と、内枠5の内部に収容された水受容器6と、水受容器6に載置された反射板7と、反射板7の上方に配設された加熱手段である赤外線シーズヒータ8と、を備えている。
【0014】
外枠4は、側壁部11と底部12を有し、上側が開口している。底部12には、加熱調理器1を安定して載置する脚部13が複数設けられている。
【0015】
内枠5は、側壁部14と底部15を有し、上側が開口している。側壁部14の上端部分に調理プレート3が載置されるようになっている。第一プレートである調理プレート3は、図1(a)に示すように、平面視において隅丸矩形状を有している。また、調理プレート3は琺瑯鋼板により形成されているが、赤外線シーズヒータ8による輻射熱に耐え、傷つき難いものであれば、他の材質や表面処理により形成してもよい。被加熱物を載置する調理プレート3の上面16と下面17は平坦に形成されている。調理プレート3には、調理プレート3を貫通する孔であるプレート貫通孔18が複数形成されている。具体的には、図1(a)に示すように、縦方向(調理プレート3の長手方向)に6列、横方向(調理プレート3の短手方向)に4列、合計24個のプレート貫通孔18が形成されている。縦方向に並ぶプレート貫通孔18は等間隔であり、横方向に並ぶプレート貫通孔18も等間隔である。プレート貫通孔18は、調理プレート3の短手方向に長い長円形状を有している。
【0016】
水受容器6は、側壁部19と底部20を有し、上側が開口している。水受容器6は、アルミニウム材の表面にアルマイト処理を施したものや、ステンレス等の腐食し難い金属材料により形成されている。水受容器6は、肉汁J(図4(b)参照)等の余分な脂や水分が発生する焼き肉等の調理を行う際に水W(図4(b)参照)を入れておき、肉汁J等を回収するための容器であり、側壁部19の上端部分に反射板7が載置されるようになっている。水受容器6は、内枠5に着脱可能に取り付けられており、取り外して給水や排水、洗浄を行うことができる。なお、肉汁J等の発生しない調理を行う際は、水受容器6に水Wを入れる必要はない。水受容器6は、肉汁J等を回収するだけでなく、赤外線シーズヒータ8の熱が外枠4の底部12や内枠5の底部15に伝わり難くするように遮断する役割を有する。
【0017】
第二プレートである反射板7は、アルミメッキ鋼板により形成されているが、赤外線シーズヒータ8による輻射熱に耐え、赤外線反射性に優れたものであれば、例えば、ニッケルメッキ鋼板等の他の材質や表面処理により形成してもよい。平板状に形成された反射板7には、反射板7を貫通する孔である反射板貫通孔21が複数形成されている。反射板貫通孔21は上記のプレート貫通孔18と同一形状で、かつ、同数形成されているため、縦方向(反射板7の長手方向)に6列、横方向(反射板7の短手方向)に4列、合計24個の反射板貫通孔21が形成されている。縦方向に並ぶ反射板貫通孔21は等間隔であり、横方向に並ぶ反射板貫通孔21も等間隔である。反射板貫通孔21は、反射板7の短手方向に長い長円形状を有している。
【0018】
赤外線シーズヒータ8は、外管8Aが高ニッケル耐熱鋼により形成されており、高温での優れた強度、耐食性及び耐酸化性を有している。赤外線シーズヒータ8は、600℃程度で波長が3μm以上の赤外線R(図2参照)を多く放射する構成となっている。なお、石英管にコイル状のタングステン線の発熱体を封入したハロゲンヒータや、特殊加工した高純度カーボン薄板の発熱体(フィラメント)を不活性ガスと共に石英管に封入したカーボンヒータ等を使用してもよいが、液状脂やその他の汚れが付着することで石英管ガラスからの赤外線Rの放射性能が悪化する場合や、ガラスが破損し易いことを考慮すると、外管8Aが鋼材のシーズヒータが好ましい。
【0019】
赤外線シーズヒータ8は、後述する温度センサ22、23の検知温度に応じて赤外線R放射量を調節可能となっている。すなわち、温度センサ22、23の検知温度に応じて赤外線シーズヒータ8に印加する電圧を調節するか、PWM(Pulse Width Modulation)制御(オンとオフの繰り返しの周波数を固定し、オン回数を多くすれば平均電力量が大きくなり、オン回数を少なくすれば平均電力量が小さくなる制御)することにより、赤外線シーズヒータ8の赤外線R放出量を調節することができる。
【0020】
赤外線シーズヒータ8は、調理プレート3の下方であって反射板7の上方の位置に配設されているが、プレート貫通孔18の真下や反射板貫通孔21の真上に位置しないように配設されている。そのため、図2に示すように、赤外線シーズヒータ8から放射される赤外線Rは、上方に位置する調理プレート3を輻射加熱する。そのため、調理プレート3に載置された被加熱物に調理プレート3の熱が伝達され被加熱物が加熱される。また、輻射加熱された調理プレート3からも赤外線Rが放射されるため、この赤外線Rによって被加熱物が輻射加熱される。さらに、赤外線シーズヒータ8から放射される赤外線Rは、プレート貫通孔18から上方に移動して調理プレート3に載置された被加熱物を輻射加熱する。また、赤外線シーズヒータ8から放射された赤外線Rは、下方に位置する反射板7に反射してプレート貫通孔18から上方に移動して調理プレート3に載置された被加熱物を輻射加熱する。また、赤外線シーズヒータ8により周囲の空気が加熱され、加熱された空気Nは上昇しプレート貫通孔18から上方に移動する。そのため、赤外線シーズヒータ8周囲に空気の対流が生じる。
【0021】
本実施形態では、プレート貫通孔18と反射板貫通孔21が同一形状で同数形成されているが、肉汁J等を水受容器6に滴下可能であれば、プレート貫通孔18と反射板貫通孔21の強度や被加熱物の加熱効率等を考慮し、プレート貫通孔18と反射板貫通孔21の形状や数を任意のものとすることができる。調理プレート3に形成するプレート貫通孔18を全て同形状とする必要もなく、反射板7に形成する反射板貫通孔21を全て同形状とする必要もない。なお、肉汁J等が赤外線シーズヒータ8の外管8Aに付着しないように、プレート貫通孔18が赤外線シーズヒータ8の真上に位置しないことが好ましい。プレート貫通孔18が本発明における第一の孔であり、反射板貫通孔21が本発明における第二の孔である。
【0022】
外枠4の内側であって内枠5の外側には、調理プレート3の温度を検知する温度検知手段である複数の温度センサ22、23が設けられている。温度センサ22、23はサーミスタを内蔵し、外装をステンレス、アルミニウム、黄銅等の熱伝導性のよい金属により形成している。温度センサ22、23が検知した調理プレート3の温度に基づいて赤外線シーズヒータ8のオン/オフや出力を制御可能となっている。温度センサ22、23を複数設けているのは、調理プレート3に部分的な温度ムラが生じた場合であっても、調理プレート3の温度を精度よく監視するためである。また、温度センサ22、23は、調理プレート3が所定の温度(例えば250℃)以上となった場合には、赤外線シーズヒータ8の駆動を停止し、安全性を確保するようになっている。本実施形態では、調理プレート3の短辺部24、25の近傍の下面17に当接する位置に2箇所配設されているが、調理プレート3の温度を精度よく監視できれば、1箇所や3箇所以上に設けてもよく、調理プレート3に当接させる位置は他の位置であってもよい。
【0023】
外枠4の内側であって内枠5の外側には、調理プレート3が内枠5に載置されているか否かを検知する載置スイッチ26が設けられている。調理プレート3が内枠5に載置されていない場合等、載置スイッチ26が調理プレート3を検知しない場合には、赤外線シーズヒータ8を駆動できないようになっている。
【0024】
図3は加熱調理器1の電気的な構成を示している。加熱調理器1は本体2に組み込まれた制御部9を備えている。制御部9は、マイクロコンピュータや各部の駆動素子などを含んで構成されている。制御部9の入力ポートには、温度センサ22、23と、載置スイッチ26と、後述する操作部62Aがそれぞれ電気的に接続されている。また、制御部9の出力ポートには、赤外線シーズヒータ8と、後述する表示部62がそれぞれ電気的に接続されている。制御部9には、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリ等の記憶手段27が組み込まれている。制御部9は、記憶手段27に予め記憶された調理プログラムや、有線又は無線通信により記憶手段27に追加・変更された調理プログラムを読み出して実行することで各種調理を行う。また、制御部9は、時間を計測する計時手段10を備えている。
【0025】
図4に示すように、加熱調理器1は、付属品として調理プレート3に載置する焼き網31を備えていてもよい。焼き網31は隅丸矩形状の枠部32と、枠部32の短手方向に延設された複数の網部33から形成されている。焼き網31は、ステンレス鋼や、炭素鋼にニッケルメッキや黒色酸化処理を施したもの、炭素鋼の表面を窒化処理したもの等、耐熱性、耐食性、耐汚染性に優れた素材により形成されている。枠部32の直径は4.0~6.0mmであり、網部33の直径は1.0~2.0mmである。
【0026】
図4は焼肉の調理を行っている状態を示している。炙り焼きされた食肉からは液状脂が溶出するが、焼き網31の隙間とプレート貫通孔18と反射板貫通孔21を通過して水受容器6に流入する。水受容器6に流入した液状脂は水受容器6に入れた水Wにより冷却され発煙し難くなる。焼き網31は、その他にもステーキ、ジンギスカン、焼き魚、焼きおにぎり、食パン、餅、スルメ、ピザ、油揚げ等、調理プレート3や赤外線シーズヒータ8からの輻射熱により炙り焼き調理を行う場合に使用することができる。なお、焼き網31は、調理プレート3に安定して載置することができ、被加熱物を安定して載置することができるものであれば、例えば円形等、他の形状のものであってもよい。
【0027】
図5に示すように、加熱調理器1は、付属品としてプレート貫通孔18が形成されていない平プレート36を備えていてもよい。調理容器としての平プレート36は、図5(a)に示すように、平面視において隅丸矩形状を有している。平プレート36は、アルミダイキャストや、アルミニウムを板厚2.0~4.0mmにプレス加工することにより形成されている。また、上面37はフッ素コーティングが施されている。平プレート36は、調理プレート3を取り外し、内枠5に載置して使用する。このとき、温度センサ22、23と載置スイッチ26が平プレート36の下面38に当接する。なお、平プレート36は、内枠5に安定して載置することができ、温度センサ22、23及び載置スイッチ26に当接するものであれば、例えば平面視で円形等、他の形状であってもよい。図5は、ホットケーキを焼いている状態を示しているが、平プレート36は、その他にも薄焼き卵、ハムエッグ、フレンチトースト、お好み焼き、焼き餃子、焼きそば、たこ焼き、明石焼き等の調理に使用することができる。
【0028】
図6に示すように、加熱調理器1は、付属品として深鍋41と鍋蓋42を備えていてもよい。調理容器である深鍋41は、琺瑯鋼板や、アルミニウム材の表面をアルマイト処理したものや、ステンレス材により形成されている。深鍋41の内面43はフッ素コーティングが施され、汚れの付着を防止している。深鍋41を使用する際は、調理プレート3や平プレート36を使用せず、深鍋41を直接内枠5に載置する。このとき深鍋41の下面44には、温度センサ22、23と載置スイッチ26が当接する。深鍋41と鍋蓋42は平面視に置いて隅丸矩形状を有しているが、内枠5に安定して載置することができ、温度センサ22、23及び載置スイッチ26に当接するものであれば、例えば平面視で円形等、他の形状であってもよい。
【0029】
図6は、深鍋41を使用しておでんを加熱調理している状態を示しているが、温度センサ22、23により深鍋41の温度を検知することで、沸騰を検知した場合に赤外線シーズヒータ8の出力を調節し、弱い出力で煮込みを行ったり、保温したりすることが可能である。おでんの他、例えば、寄せ鍋、水炊き、キムチ鍋、もつ鍋等の鍋モノ料理や、煮豚、豚の角煮、カレー、もつ煮等の煮込み料理に使用することができる。なお、温度センサ22、23がドライアップ(水が無くなることによる急激な温度上昇)を検知した場合に、赤外線シーズヒータ8の駆動を停止することで、空炊きを防止し、食材の焦げや炭化、発煙を防止することができる。
【0030】
図1図4図6には記載されていないが、加熱調理器1は図7示すように、本体2に操作パネル51が設けられている。図8図12に示すように、操作パネル51は、LCD(Liquid Crystal Display)とLED(Light Emitting Diode)からなる表示部52と、表示部52を覆うように配設された操作部52Aを有する。操作部52Aは、透明なタッチセンサ―である。なお、表示部52はLCDでなく、TFT(Thin Film Transistor)、有機EL(Electro Luminescence)であってもよい。
【0031】
図8示すように、表示部52は、大きな隅丸矩形状のメイン表示部53と、小さな隅丸矩形状の5つの実行スイッチ表示部54、55、56、57、58から構成されている。実行スイッチ表示部54、55、56、57、58は、操作パネル51の右側に縦に並んで配置され、その左側にメイン表示部53が配置されている。
【0032】
メイン表示部53は、焼き方(加熱パターン)を表示する小さな隅丸矩形状の4つの焼き方選択スイッチ表示部59、60、61、62を有している。焼き方選択スイッチ表示部59は「軽く焼く」と「レア風」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部60は「やや軽く」と「ミディアムレア風」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部61は「普通」と「ミディアム風」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部62は「よく焼く」と「ウェルダン風」の文字が上下2段で表示されている。左側から右側方向に、焼き方選択スイッチ表示部59、焼き方選択スイッチ表示部60、焼き方選択スイッチ表示部61、焼き方選択スイッチ表示部62の順に配置されている。
【0033】
焼き方選択スイッチ表示部59、60、61の上側には、減煙効果のある焼き方(加熱パターン)であるか否かを表示する減煙表示部63が配置されている。減煙表示部63は、黒塗の直角三角形に「減煙」の文字が重なったような表示となっている。直角三角形は、短辺64が左側、斜辺65が上側、長辺66が下側となるように表示されており、焼き方選択スイッチ表示部61が表示する焼き方(加熱パターン)よりも、焼き方選択スイッチ表示部60が表示する焼き方(加熱パターン)の方が減煙効果が高く、焼き方選択スイッチ表示部60が表示する焼き方(加熱パターン)よりも、焼き方選択スイッチ表示部59が表示する焼き方(加熱パターン)の方が減煙効果が高いことを直感的に認知できるように表示している。なお、焼き方選択スイッチ表示部62の上側に減煙表示部63が配置されていないのは、焼き方選択スイッチ表示部62が表示する焼き方(加熱パターン)は、減煙効果がほとんど無いことを表している。
【0034】
焼き方選択スイッチ表示部59の下側には、「温度」の文字が表示された温度表示部67、「時間」の文字が表示された時間表示部68、「温度」の文字が表示された温度表示部69、「時間」の文字が表示された時間表示部70が上側から下側方向に並んで配置されている。
【0035】
温度表示部67と時間表示部68の右側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部71が配置されている。また、温度表示部69と時間表示部70の右側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部72が配置されている。
【0036】
数字表示部71の右側には、上向き三角と下向き三角からなる切替表示部73が配置されている。また、数字表示部72の右側には、上向き三角と下向き三角からなる切替表示部84が配置されている。
【0037】
実行スイッチ表示部54「温度」の文字が表示され、実行スイッチ表示部55には「時間」の文字が表示され、実行スイッチ表示部56には「保温」の文字が表示され、実行スイッチ表示部57には「調理」の文字が表示され、実行スイッチ表示部58には「切」の文字が表示されている。また、実行スイッチ表示部56、57には、ランプ表示部75、76が配置されている。
【0038】
操作部52Aは、実行スイッチ表示部54、55、56、57、58の表面に配設された実行スイッチ54A、55A、56A、57A、58Aと、焼き方選択スイッチ表示部59、60、61、62の表面に配設された焼き方選択スイッチ59A、60A、61A、62Aと、切替表示部73、74の表面に配設された切替スイッチ73A、74Aを有している。
【0039】
実行スイッチ56A、57Aがタッチ操作されると、当該タッチ操作された実行スイッチ56A、57Aに対応する実行スイッチ表示部56、57が選択されたことを示すランプ表示部75、76が点灯する。その状態で実行スイッチ58Aをタッチ操作すると、実行スイッチ表示部56、57の選択が解除され点灯していたランプ表示部75、76が消灯する。
【0040】
焼き方選択スイッチ表示部59、60、61、62は、図8に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。一方、図9で示すように、選択された焼き方選択スイッチ表示部59は、枠が黒色で文字が白色で枠内背景が黒色で表示され、選択されなかった焼き方選択スイッチ表示部60、61、62は、グレーアウト表示となる。
【0041】
図示しないが、温度表示部67と温度表示部69は、実行スイッチ54Aがタッチ操作され、選択状態では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。また、時間表示部68と時間表示部70は、実行スイッチ55Aがタッチ操作され、選択状態では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。
【0042】
図9図12に示すように、数字表示部71、72は、温度又は時間を表示状態のときに黒色で表示され、温度又は時間を非表示状態のときにグレーアウト表示となる。
【0043】
図9図12に示すように、切替表示部73、74は、タッチ操作可能状態では黒色で表示され、タッチ操作不可能状態ではグレーアウト表示となる。以上のように、本実施形態では、表示部52の枠や文字を黒色で表示しているが、他の色により表示してもよい。
【0044】
ここで、操作パネル51を操作して焼肉調理をする方法について説明する。図9は、焼き方選択スイッチ59Aをタッチ操作し、「軽く焼く/レア風」を選択した状態で、実行スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理を開始した状態を示している。図8に示すように、調理方法が選択されていない初期画面(切状態)において、焼き方選択スイッチ59Aをタッチ操作すると、図9に示すように、焼き方選択スイッチ表示部59の「軽く焼く/レア風」の文字が選択表示状態となり、その他の焼き方選択スイッチ表示部60、61、62がグレーアウト表示となる。「軽く焼く/レア風」を選択した場合には、設定温度が初期値として150℃に設定され、設定時間(加熱時間)が初期値として70秒に設定されている。そのため、焼き方選択スイッチ59Aをタッチ操作すると、数字表示部71に設定温度150℃を示す「150」の文字が表示される。設定温度を変更したい場合には、実行スイッチ54Aをタッチ操作する。温度表示部67が選択状態となり、切替スイッチ73Aをタッチ操作することで、設定温度を120℃~180℃の範囲で変更することができる。切替スイッチ73Aの上向き三角をタッチ操作すると設定温度を上げることができ、下向き三角をタッチ操作すると設定温度を下げることができる。また、実行スイッチ55Aをタッチ操作すると、時間表示部68が選択状態となり、数字表示部71に設定温度(150℃)に対応した設定時間70秒を示す「70」の文字が表示される。設定温度を変更した場合には、変更後の設定温度に対応する設定時間が表示される。設定温度が決定し、実行スイッチ57Aをタッチ操作すると、ランプ表示部76が点灯し、赤外線シーズヒータ8が駆動する。そして、数字表示部72に調理プレート3の実際の温度135℃を示す「135」の文字が表示される。その後、調理プレート3の温度が設定温度に到達したことを温度センサ22、23が検知すると、設定温度を維持するように赤外線シーズヒータ8の出力が調節される。温度の低い肉を調理プレート3に載せると調理プレート3の温度が急激に低下する場合があり、調理プレート3の温度が低い状態(例えば、120℃を下回った状態)で肉を焼くと、焼き時間が長くなってしまい、結果的に肉汁Jが多量に流れ出て油煙の発生原因となってしまう。そのため、数字表示部72に表示された調理プレート3の現在の温度を確認することにより、ユーザは肉を載せるタイミング、肉を裏返すタイミング、焼き加減を調節することができる。「軽く焼く/レア風」を選択した場合には、減煙表示部63は点灯する。
【0045】
図10は、焼き方選択スイッチ60Aをタッチ操作して「やや軽く/ミディアムレア風」を選択し、実行スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理を開始した状態を示している。「やや軽く/ミディアムレア風」を選択した場合には、設定温度が初期値として180℃に設定されている。そのため、焼き方選択スイッチ60Aをタッチ操作すると、数字表示部71に設定温度180℃を示す「180」の文字が表示される。また、数字表示部72に調理プレート3の実際の温度(図10では「175」℃)が表示される。図示しないが、このとき、実行スイッチ55Aをタッチ操作すると、時間表示部68が選択状態となり、数字表示部71に設定時間60秒を示す「60」の文字が表示されるため、設定温度に対応した設定時間(加熱時間)を確認することができる。設定時間を確認後、実行スイッチ54Aをタッチ操作すると、設定温度の表示に戻る。ここで、切替スイッチ73Aをタッチ操作することで、設定温度を160℃~200℃の範囲で変更することができる。なお、調理プレート3が200℃を超える温度の場合、肉が急激に加熱され、肉汁Jが溶出し易くなるため、設定温度の上限を200℃としている。「やや軽く/ミディアムレア風」を選択した場合には、減煙表示部63は点灯する。
【0046】
図11は、調理選択スイッチ61Aをタッチ操作して「普通/ミディアム風」を選択し、実行スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理を開始した状態を示している。「普通/ミディアム風」を選択した場合には、設定温度が初期値として220℃に設定されている。そのため、焼き方選択スイッチ61Aをタッチ操作すると、数字表示部71に設定温度220℃を示す「220」の文字が表示される。また、数字表示部72に調理プレート3の実際の温度(図11では「195」℃)が表示される。図示しないが、このとき、実行スイッチ55Aをタッチ操作すると、時間表示部68が選択状態となり、数字表示部71に設定時間30秒を示す「30」の文字が表示されるため、設定温度に対応した加熱時間を確認することができる。加熱時間を確認後、実行スイッチ54Aをタッチ操作すると、設定温度の表示に戻る。ここで、切替スイッチ73Aをタッチ操作することで、設定温度を200℃~240℃の範囲で変更することができる。調理プレート3の温度が200℃を超えた状態で肉を焼くと、肉汁Jが溶出し、油煙が発生し易い。そのため、「普通/ミディアム風」を選択した場合には、減煙表示部63が消灯する。なお、「普通/ミディアム風」を選択した場合であって、調理プレート3の温度が200℃以下、すなわち、温度表示部69の表示が「200」以下である場合には、減煙表示部63を点灯させ、調理プレート3の温度が200℃を超えた場合、すなわち、温度表示部69の表示が「200」を超えた場合には、減煙表示部63を消灯させるようにしてもよい。
【0047】
図12は、焼き方選択スイッチ62Aをタッチ操作して「よく焼く/ウェルダン風」を選択し、実行スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理を開始した状態を示している。「よく焼く/ウェルダン風」を選択した場合には、設定温度が初期値として250℃に設定されている。そのため、焼き方選択スイッチ62Aをタッチ操作すると、数字表示部71に設定温度250℃を示す「250」の文字が表示される。また、数字表示部72に調理プレート3の実際の温度(図12では「235」℃)が表示される。図示しないが、このとき、実行スイッチ55Aをタッチ操作すると、時間表示部68が選択状態となり、数字表示部71に設定時間16秒を示す「16」の文字が表示されるため、設定温度に対応した加熱時間を確認することができる。加熱時間を確認後、実行スイッチ54Aをタッチ操作すると、設定温度の表示に戻る。ここで、切替スイッチ73Aをタッチ操作することで、設定温度を220℃~250℃の範囲で変更することができる。本実施形態では、調理プレート3の表面処理であるフッ素塗装等の耐熱性を考慮して設定温度の上限を250℃としているが、調理プレート3(表面処理を含む。)がより高温での耐熱性能を有すれば、250℃よりも高い温度を設定可能としてもよい。上記「普通/ミディアム風」を選択した場合と同様に、「よく焼く/ウェルダン風」を選択した場合には減煙表示部63を消灯してもよく、また、調理プレート3の温度が200℃以下である場合には減煙表示部63を点灯させ、調理プレート3の温度が200℃を超えた場合には、減煙表示部63を消灯させるようにしてもよい。
【0048】
図示しないが、実施スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理中に、実施スイッチ55Aをタッチ操作することにより、時間表示部68又は時間表示部70が選択状態となり、数字表示部71又は数字表示部72に、実施スイッチ57Aをタッチ操作して加熱調理を開始してからの経過時間を表示可能としてもよい。このように、経過時間を表示する場合には、数字表示部71、72は報知手段として機能する。
【0049】
図13は、他の実施形態の操作パネル81を示している。操作パネル81は、LCD(Liquid Crystal Display)とLED(Light Emitting Diode)からなる表示部82と表示部82を覆うように配設された操作部82Aを有する。操作部82Aは、透明なタッチセンサ―である。なお、表示部82はLCDでなく、TFT(Thin Film Transistor)、有機EL(Electro Luminescence)であってもよい。
【0050】
表示部82は、隅丸矩形状の4つの焼き方選択スイッチ表示部83、84、85、86を有する。焼き方選択スイッチ表示部83が左上、焼き方選択スイッチ表示部84が右上、焼き方選択スイッチ表示部85が焼き方選択スイッチ表示部83の下側、焼き方選択スイッチ表示部86が焼き方選択スイッチ表示部84の下側に配置されている。
【0051】
焼き方選択スイッチ表示部83は、「軽く焼く」と「150」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部84は「やや軽く」と「180」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部85は「普通」と「220」の文字が上下2段で表示され、焼き方選択スイッチ表示部86は「よく焼く」と「250」の文字が上下2段で表示されている。「150」、「180」、「220」、「250」の文字は、それぞれ設定温度が150℃、180℃、220℃、250℃であることを示している。
【0052】
焼き方選択スイッチ表示部85の下側には、「温度」の文字が表示された温度表示部87が配置されている。温度表示部87の右側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部88が配置されている。数字表示部88は、調理プレート3等の実際の温度(現在の温度)を3桁まで表示可能となっている。温度表示部87と数字表示部88の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部89が配置されている。数字表示部89は、加熱調理の経過時間(分と秒)を表示する。そのため、数字表示部89は報知手段として機能する。
【0053】
数字表示部89の下側には、左側から右側に向かって、隅丸矩形状の実行スイッチ表示部90、実行スイッチ表示部91、実行スイッチ表示部92が配置されている。実行スイッチ表示部90には、「Bake」の文字が表示され、実行スイッチ表示部91には、「Stop」の文字が表示され、実行スイッチ表示部92には、「Clear」の文字が表示されている。
【0054】
操作部82Aは、焼き方選択スイッチ表示部83、84、85、86の表面に配設された焼き方選択スイッチ83A、84A、85A、86Aと、実行スイッチ表示部90、91、92の表面に配設された実行スイッチ90A、91A、92Aを有している。
【0055】
焼き方選択スイッチ表示部83、84、85、86は、図13に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。一方、図14に示すように、選択された焼き方選択スイッチ表示部84は、枠と枠内背景が黒色で文字が白色で表示される。また、実行スイッチ表示部90、91、92も同様に、図13に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示され、図14に示すように、選択された実行スイッチ表示部90は、枠と枠内背景が黒色で文字が白色で表示される。
【0056】
ここで、操作パネル81を操作して焼肉調理をする方法について説明する。図13に示すように、調理方法が選択されていない初期画面において、焼き方選択スイッチ83A、84A、85A、86Aの何れかをタッチ操作して所望の焼き方を選択する。例えば、図14に示すように、焼き方選択スイッチ84Aをタッチ操作すると、焼き方選択スイッチ表示部84の「やや軽く/180」の文字が選択表示状態となる。その後、図示しない調理開始ボタンをタッチ操作すると、赤外線シーズヒータ8が駆動し、調理プレート3の加熱が開始される。加熱が開始されると、数字表示部88に調理プレート3の実際の温度(図14では「175」℃)が表示される。また、図示しない報知部であるLEDランプ(赤色)が点灯し、加熱中であることを報知する。
【0057】
加熱が開始された後、実行スイッチ90Aをタッチ操作すると、実行スイッチ表示部90の「Bake」の文字が選択表示状態となり、制御部9に備えられた計時手段10(図3参照)により経過時間の計側が開始され、数字表示部89に経過時間(図14では「33」秒)が表示される。実行スイッチ表示部90は、例えば、食肉を調理プレート3に載せたときにタッチ操作することで、食肉の焼き時間を確認することができる。また、実行スイッチ91Aをタッチ操作すると、実行スイッチ表示部91の「Stop」の文字が選択表示状態となり、実行スイッチ表示部90をタッチ操作してから実行スイッチ91Aのタッチ操作までの経過時間が数字表示部89に表示される。実行スイッチ92Aをタッチ操作すると、実行スイッチ表示部92の「Clear」の文字が選択表示状態となり、数字表示部89が初期状態となる。すなわち、数字表示部89と実行スイッチ90A、91A、92Aは、ストップウォッチのような機能を発揮する。そのため、ユーザは食肉の焼き時間を正確に確認することができる。
【0058】
このように、焼き方を選択することと、加熱調理の経過時間を計測することの目的は、主に食肉の焼き過ぎを防止し、食味の低下を防ぐことである。すなわち、裏返すまでの焼き時間や全体の焼き時間は、食肉を適切に焼くための重要な要素である。好みに応じた焼き温度や、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉といった食肉の種類や、カルビ、ロース、モツといった食肉の部位に応じて適切な焼き時間が異なる。そのため、数字表示部89に表示された加熱の経過時間を確認しながら焼肉を行うことで、適切な焼き加減とすることができる。また、食中毒を懸念して食肉を焼き過ぎる場合もある。通常、食中毒菌は、60℃以上で5~10分、また、100℃以上では数秒で死滅することが知られている。数字表示部88に表示される温度と、数字表示部89に表示される経過時間を確認することで、食中毒菌が死滅する温度と時間を参考にして、食肉の焼き過ぎを防止することもできる。
【0059】
図15及び図16に示すように、操作パネル81の表示部82には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示するラップ時間表示部93と、左向き三角と右向き三角からなる切替表示部94を配置してもよい。ラップ時間表示部93は、2桁まで表示可能であり、1秒単位でカウントダウン表示を行う。切替表示部94は、タッチ操作可能状態では黒色で表示される。
【0060】
操作パネル81の操作部82Aは、切替表示部94の表面に配置された切替スイッチ94Aを有している。切替スイッチ94Aの左向き三角をタッチ操作するとラップ時間表示部93に表示される数字をより小さな数字に変更することができ、切替スイッチ94Aの右向き三角をタッチ操作するとラップ時間表示部93に表示される数字をより大きな数字に変更することができる。
【0061】
図16では、ラップ時間表示部93に10秒を示す「10」の文字が表示されている。この状態から、図示しない調理開始ボタンをタッチ操作すると、ラップ時間表示部93においてカウントダウン表示が開始する。そして、10秒経過すると、ラップ時間表示部93に再度「10」の文字が表示され、カウントダウン表示が繰り返し継続する。すなわち、10→9→8→7→6→5→4→3→2→1→0→10→9→8→7→6→5→4→3→2→1→0・・・のように表示される。「5」秒を設定した場合には、5→4→3→2→1→0→5→4→3→2→1→0・・・のようにカウントダウン表示がされる。
【0062】
本実施形態では、ラップ時間の表示方法(報知方法)として数字によるカウントダウン表示を採用しているが、この方法に限定されず、例えば、ブザー、チャイム、音声等の音による報知や、砂時計やメトロノームを表示した視覚的な報知や、LEDランプの点滅速度を変更する等の光による報知等、ユーザに対して食肉を裏返すタイミングや焼き上がりのタイミングをガイドするものであればよい。
【0063】
図7及び図17図22は、制御部9による赤外線シーズヒータ8の制御方法の一実施形態を示している。本実施形態においては、赤外線シーズヒータ8は複数の赤外線シーズヒータH1、H2、H3、H4、H5を有しており、制御部9は、各赤外線シーズヒータH1、H2、H3、H4、H5を個別に0W~28Wの出力で制御する。そして、例えば、赤外線シーズヒータH1、H2、H3を第1の加熱手段として低温となるように制御し、赤外線シーズヒータH4、H5を第2の加熱手段として高温となるように制御することで、調理プレート3を温度が異なるLゾーンとRゾーンに分けることができ、低温のLゾーンで低温調理を行い、高温のRゾーンで高温調理を行うことができる。
【0064】
赤外線シーズヒータH1、H2、H3、H4、H5の出力制御は、上記のものに限らず、Lゾーンが高温、Rゾーンが低温であってもよい。また、本実施形態では、赤外線シーズヒータH1、H2、H3、H4、H5の数が5個であるが、6個以上設けたり、調理プレート3を温度が異なる3つ以上のゾーンに分けたりしてもよい。すなわち、各ゾーンを区切る境界線S(図7参照)の位置は所望の位置とすることができ、境界線Sを複数とすることもできる。
【0065】
図17及び図18は、本実施形態の操作パネル101を示している。操作パネル101は、LCD(Liquid Crystal Display)とLED(Light Emitting Diode)からなる表示部102と表示部102を覆うように配設された操作部102Aを有する。操作部102Aは、透明なタッチセンサ―である。なお、表示部102はLCDでなく、TFT(Thin Film Transistor)、有機EL(Electro Luminescence)であってもよい。
【0066】
表示部102は、隅丸矩形状の2つのゾーン選択スイッチ表示部103、104を有する。ゾーン選択スイッチ表示部103が操作パネル101の左上の位置、ゾーン選択スイッチ表示部104が操作パネル101の右上の位置に配置されている。ゾーン選択スイッチ表示部103は「L」の文字が表示され、ゾーン選択スイッチ表示部104は「R」の文字が表示されている。
【0067】
ゾーン選択スイッチ表示部103の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部105が配置されている。また、ゾーン選択スイッチ表示部104の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部106が配置されている。数字表示部105、106には、設定温度が3桁まで表示可能となっている。
【0068】
数字表示部105の下側には、左向き三角と右向き三角からなる切替表示部107が配置されている。また、数字表示部106の下側には、左向き三角と右向き三角からなる切替表示部108が配置されている。切替表示部107、108は、タッチ操作可能状態では黒色で表示される。
【0069】
切替表示部107の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部109が配置されている。また、切替表示部108の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部110が配置されている。数字表示部109、110は、調理プレート3の実際の温度(現在の温度)を3桁まで表示可能となっている。
【0070】
数字表示部109の下側には、アラビア数字をDSEG7フォントで表示する数字表示部111が配置されている。数字表示部111は、加熱調理の経過時間(分と秒)やラップ時間を表示可能である。そのため、数字表示部111は報知手段として機能する。
【0071】
数字表示部111の右側には、左向き三角と右向き三角からなる切替表示部112が配置されている。切替表示部112は、タッチ操作可能状態では黒色で表示される。
【0072】
数字表示部111と切替表示部112の下側には、左側から右側に向かって、隅丸矩形状の実行スイッチ表示部113、実行スイッチ表示部114、実行スイッチ表示部115が配置されている。実行スイッチ表示部113には、「Bake」の文字が表示され、実行スイッチ表示部114には、「Stop」の文字が表示され、実行スイッチ表示部115には、「Clear」の文字が表示されている。
【0073】
操作部102Aは、ゾーン選択スイッチ表示部103、104の表面に配設されたゾーン選択スイッチ103A、104Aと、切替表示部107、108、112の表面に配設された切替スイッチ107A、108A、112Aと、実行スイッチ表示部113、114、115の表面に配設された実行スイッチ113A、114A、115Aを有している。
【0074】
ゾーン選択スイッチ表示部103、104と実行スイッチ表示部103、104、105は、図17に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。一方、図18に示すように、選択されたゾーン選択スイッチ表示部103、104と実行スイッチ表示部113、114、115は、枠と枠内背景が黒色で文字が白色で表示される。
【0075】
図18は、ゾーン選択スイッチ103A、104Aをタッチ操作した状態を示している。このとき、数字表示部105に調理プレート3のLゾーンの設定温度120℃を示す「120」の文字が表示され、数字表示部106に調理プレート3のRゾーンの設定温度220℃を示す「220」の文字が表示されている。また、数字表示部109にLゾーンの実際の温度115℃を示す「115」の文字が表示され、数字表示部110にRゾーンの実際の温度210℃を示す「210」の文字が表示されている。また、実行スイッチ113Aがタッチ操作されて選択されており、数字表示部111に、実行スイッチ113Aがタッチ操作されてから33秒経過したことを示す数字「33」の文字が表示されている。
【0076】
Lゾーンの設定温度は、切替スイッチ107Aをタッチ操作することで変更可能であり、Rゾーンの設定温度は、切替スイッチ108Aをタッチ操作することで変更可能である。また、実行スイッチ114Aをタッチ操作して数字表示部111の表示を停止し、実行スイッチ115Aをタッチ操作して数字表示部111を初期状態とし、切替スイッチ112Aをタッチ操作することで数字表示部111にラップ時間を表示させることができる。図16で示すラップ表示部93と同様に、10秒を設定し、図示しない調理開始ボタンをタッチ操作すると、10→9→8→7→6→5→4→3→2→1→0と1秒ごとにカウントダウン表示される。カウントダウン表示は繰り返し継続され、10→9→8→7→6→5→4→3→2→1→0→10→9→8→7→6→5→4→3→2→1→0・・・のように表示される。「5」秒を設定した場合には、5→4→3→2→1→0→5→4→3→2→1→0・・・のようにカウントダウン表示がされる。
【0077】
図19及び図20は、図17及び図18に示す操作パネル101を一部変更した操作パネル121を示している。操作パネル121の表示部122は、操作パネル101の表示部102のゾーン選択スイッチ表示部103、104を加熱工程スイッチ表示部123、124に替えたものである。なお、加熱工程スイッチ表示部123と数字表示部105の間に「L」の文字が表示され、加熱工程スイッチ表示部124と数字表示部106の間に「R」の文字が表示されている。また、操作パネル121の操作部122Aは、操作パネル101の操作部102Aのゾーン選択スイッチ103A、104Aを加熱工程スイッチ123A、124Aに替えたものである。
【0078】
加熱工程スイッチ表示部123には、「Heat-in」の文字が表示されており、加熱工程スイッチ表示部124には、「Bake outside」の文字が表示されている。加熱工程スイッチ表示部123、124は、図19に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。一方、図20に示すように、選択された加熱工程スイッチ表示部123、124は、枠と枠内背景が黒色で文字が白色で表示される。
【0079】
加熱工程スイッチ123Aをタッチ操作して選択すると、調理プレート3のLゾーンが70℃以上150℃未満の低温加熱ゾーンの設定となり、例えば、豚肉や鶏肉の表面が焦げないように低温で中に熱を入れる焼肉を行うことができる。熱が入る時間は、食肉の厚さや大きさによるが、一般的な焼肉の場合、80℃で120秒、100℃で90秒、120℃で60秒、140℃で30秒等である。また、食肉の中が75℃で60秒間相当以上の熱が入る焼き時間(裏表を焼く時間)を目安にすることで、食中毒菌や寄生虫、ウイルスの繁殖を防止することができる。
【0080】
加熱工程スイッチ124Aをタッチ操作して選択すると、調理プレート3のRゾーンが160℃以上の高温加熱ゾーンの設定となり、表面を強加熱し、155℃以上から促進されるメイラード反応による芳潤な焼き上がりとすることができる。Lゾーンで低温加熱を行った後、Rゾーンで高温加熱を行うため、Rゾーンで加熱する時点で食肉の内部は熱が入っており、例えば、160℃では20秒、180℃では15秒、200℃では10秒、220℃では5秒、250℃では2秒等、温度が高ければ短い焼き時間(裏表を焼く時間)で好みに応じた香ばしさを付加することができる。
【0081】
なお、牛肉、羊肉、馬肉は中がレアとなるように焼き調理を行う場合がある。そのような場合には、Lゾーンでの熱入れは不要あり、Rゾーンでのみ所望の温度と時間で焼き調理を行ってもよい。牛肉、羊肉、馬肉であっても、中に熱が入ったミディアム風、ウェルダン風に焼きたい場合には、豚肉や鶏肉と同様にLゾーンで熱入れ後、Rゾーンで表面を焼き上げればよい。
【0082】
図21及び図22は、図19及び図20に示す操作パネル121を一部変更した操作パネル126を示している。操作パネル126の表示部122は、操作パネル121の表示部122の2つの加熱工程スイッチ表示部123、124を1つの加熱工程スイッチ表示部128に替えたものである。また、操作パネル126の操作部127Aは、操作パネル121の操作部122Aの2つの加熱工程スイッチ123A、124Aを1つの加熱工程スイッチ128Aに替えたものである。
【0083】
加熱工程スイッチ表示部128には、「Pork Chicken」の文字が表示されている。加熱工程スイッチ表示部128は、図21に示すように、選択可能状態(非選択状態)では、枠と文字が黒色で枠内背景が白色で表示される。一方、図22に示すように、選択された加熱工程スイッチ表示部123、124は、枠と枠内背景が黒色で文字が白色で表示される。
【0084】
加熱工程スイッチ表示部128は、加熱工程スイッチ表示部123、124を1つに纏めたものであり、加熱工程スイッチ128Aは、加熱工程スイッチ123A、124Aを1つに纏めたものである。すなわち、加熱工程スイッチ128Aをタッチ操作して選択状態とすると、加熱工程スイッチ123A、124Aをタッチ操作して選択状態とした場合と同様に、調理プレート3のLゾーンが70℃以上150℃未満の低温加熱ゾーンの設定となり、調理プレート3のRゾーンが160℃以上の高温加熱ゾーンの設定となる。また、数字表示部105、106にそれぞれ120℃を示す「120」の文字と、220℃を示す「220」の文字が表示がされ、切替表示部107、108がタッチ操作可能状態となり、数字表示部109、110に調理プレート3の実際の温度115℃を示す「115」の文字と、210℃を示す「210」の文字が表示される。さらに、実行スイッチ113Aをタッチ操作することで、実行スイッチ113Aがタッチ操作されてからの経過時間33秒を示す「33」の文字が表示される。そのため、上述のように、先にLゾーンで豚肉や鶏肉の表面が焦げないように低温で中に熱を入れ、その後Rゾーンで表面を焼き上げるといった焼き調理を行うことができます。
【0085】
以上のように、加熱調理器1は、被加熱物を加熱調理するための調理プレート3(平プレート36)と、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)を加熱する赤外線シーズヒータ8(H1、H2、H3、H4、H5)と、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の加熱パターンを選択する操作部52A、82A、102A、122A、127Aと、加熱パターンの設定温度と調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の温度を表示可能な表示部52、82、102、122、127と、を備える。そのため、ユーザは所望の加熱パターン(設定温度と加熱時間)を選択して被加熱物の加熱調理を行うことができる。また、ユーザは調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の温度を視認できるため、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)が加熱調理を行うのに適切な温度となったか否かを確認することができる。そのため、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の温度が低い状態(例えば、120℃を下回った状態)で肉を焼いてしまい、焼き時間が長くなり、結果的に肉汁Jが多量に流れ出て油煙の発生原因となってしまうことを防止できる。
【0086】
また、加熱調理器1は、設定温度が複数の温度範囲から選択可能であり、複数の温度範囲は、それぞれ最高温度が異なることにより、所望の加熱パターンを温度範囲から選択することができる。そのため、被加熱物を所望の焼き加減とすることができる。
【0087】
また、加熱調理器1は、最高温度が120℃以上200℃以下である前記温度範囲を有する。そのため、食肉を焼肉調理する場合に、最高温度を120℃以上200℃以下とすることで肉汁Jの発生を抑制、油煙の発生を抑制することができる。
【0088】
また、加熱調理器1は、設定温度に対応した加熱時間を表示部52に表示可能であることにより、ユーザは加熱調理を行う前に設定温度に対応した適切な加熱時間を知ることができ、適切な温度と時間で加熱調理を行うことができる。
【0089】
また、加熱調理器1は、赤外線シーズヒータ8(H1、H2、H3、H4、H5)を制御して、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)が部分的に異なる温度となるように加熱可能である。そのため、調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の一の部分で低温加熱調理を行い、他の部分で高温加熱調理を行うことができる。そのため、低温加熱調理を行った後に高温加熱調理を行うことができる。また、低温加熱調理と高温加熱調理を同時に行うこともできる。
【0090】
また、加熱調理器1は、赤外線シーズヒータ8が第1の加熱手段H1、H2、H3と第2の加熱手段H4、H5を有し、第1の加熱手段H1、H2、H3により調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の一部が70℃以上150℃未満となるように加熱され、第2の加熱手段H4、H5により調理プレート3(平プレート36、深鍋41)の一部が160℃以上となるように加熱されることにより、焼肉調理を行う場合に、70℃以上150℃未満の低温で食肉の内部に熱を入れた後、160℃以上の高温で焼くことにより、メイラード反応を促進し、ジューシーで芳潤に焼くことができる。
【0091】
また、加熱調理器1は、赤外線シーズヒータ8(H1、H2、H3、H4、H5)による加熱時間の経過情報を報知する数字表示部71、72、89、111を備える。そのため、数字表示部71、72、89、111に表示される加熱調理の経過時間やラップ時間を視認しながら加熱調理を行うことができる。そして、経過時間やラップ時間に基づいて焼き時間を調節することで、生焼けや焼き過ぎを防止することができる。
【0092】
また、加熱調理器1は、表示部52、82、102、122、127の表示内容と同様の内容を表示可能な他の機器156と通信可能な通信部157を有することにより、他の機器156により加熱パターンを選択し、当該加熱パターンの情報を加熱調理器1の通信部157が受信し、当該加熱パターンの情報に基づいて加熱調理器1による加熱調理を行うことができる。
【0093】
以下、本発明の実施形態ではないが、類似する加熱調理器131について説明する。図23に示すように、加熱調理器131は、調理庫132の天井部133付近に設けられた上ヒータ134と、調理庫132の底部135付近に設けられた下ヒータ136と、上ヒータ134と下ヒータ136の間に配置される焼き網137と、を備えている。上ヒータ134と下ヒータ136には、シーズヒータ、石英管式ヒータ、カーボン式ヒータ、ハロゲン式ヒータ等を用いることができるが、温度コントロールや速熱性に優れたヒータが好ましい。
【0094】
焼き網137には、被調理物である食材(図23では牛肉)を収容する調理鍋138が載置される。調理鍋138は蓋139を備えており、食材や調理方法に応じて蓋139を使用することができる。また、蓋139を使用することで、焼いた牛肉を保温することができ、蓋139をした状態で調理鍋138を食卓テーブルに移すこともできる。調理鍋138の底面部140には、複数の突起部141が形成されており、調理鍋138を焼き網137に載置した際に突起部141が焼き網137の網目142に挿入されることで、調理鍋138が水平方向に大きく移動しないように保持されるようになっている。
【0095】
調理庫132内部の天井部133付近には、調理庫132内の温度を検知する温度検知手段である庫内温度センサ143が設けられている。また、調理庫132の下方には、焼き網137に載置した調理鍋138の底面部140の温度を検知する温度検知手段である容器温度センサ144が設けられている。底面部140には、上側方向に突出した遮熱壁部145が形成されている。容器温度センサ144は、付勢手段146により上側方向に付勢されており、先端部147が底面部140に形成された貫通孔148と焼き網137の網目142に挿入され、先端部147が調理鍋138の底面部140に当接するようになっている。遮熱壁部145は、下ヒータ136から放出された赤外線Rを調理鍋138方向に反射させ、容器温度センサ144における下ヒータ136の熱の影響を抑制するためのものである。なお、容器温度センサ144は、下ヒータ136の熱の影響を受け難くするため、先端部147以外の部分が断熱体149により被覆されている。
【0096】
調理庫132の天井部133には、下側方向に突出した遮熱壁部150が形成されている。遮熱壁部150は、上ヒータ134から放出された赤外線Rを調理鍋138方向に反射させ、蓋139の把持部151や庫内温度センサ143に与える上ヒータ134の熱の影響を抑制するためのものである。
【0097】
図24は、牛肉をミディアムに焼く場合の調理鍋138内の温度変化を示している。熱入工程は、60℃~65℃のコラーゲンが軟化し、かつ肉汁Jが出ない温度に設定し、焼き時間を25分に設定している。温度が66℃以上になるとアクチンが変性し、肉汁Jが出る。また、硬いコラーゲンは56℃以上で軟化するが、低温では軟化させるために長時間を要し、高温では軟化するまでの時間が短くなるため、66℃以上とならないように精度よく温度制御をする。なお、牛肉内にゆっくりと熱が入るように熱入工程の時間を25分に設定しているが、この時間は所望の時間に設定することができる。
【0098】
熱入工程終了後は焼成工程に移行し、最大加熱量(例えば1200W)で加熱し、155℃以上として急速にメイラード反応を促進する。図24では、焼成工程は200℃で30秒程度である。200℃で30秒を経過したら上ヒータ134と下ヒータ136の駆動を停止するが、余熱も考慮して焼成工程の温度と時間を設定することが好ましい。焼成工程終了で加熱調理が完了となるが、このとき、ブザー等で調理完了を報知してもよい。
【0099】
レア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの焼き方に応じて、例えば表1や表2に示すような、熱入工程の温度と時間、焼成工程の温度と時間を設定することができる。これらの温度と時間は、ユーザの好みや加熱調理器131の特性等に応じて適宜変更可能である。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
図25に示すように、加熱調理器131は、調理鍋138を使用せず、食材(牛肉)を炙り焼き網151に載置して加熱調理を行うこともできる。炙り焼き網151は、焼き網137に載置する。食肉を炙り焼き網151に載置して加熱調理を行う場合、肉汁Jが滴下するため、下ヒータ136は、外管が耐食性に優れたシーズヒータが好ましい。また、肉汁Jを受ける受け皿(図示せず)を備えてもよい。
【0103】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、操作パネル51、81、101、121、126は、全て加熱調理器1に設けられているものであるが、加熱調理器1がスマートフォン、タブレット、パソコン、テレビ等の他の機器156(図26参照)と通信する通信部157(図3参照)を備えることで、これら他の機器に表示部52、82、102、122、127や操作部52A、82A、102A、122A、127Aを設け、各種設定を行った後に、設定情報を加熱調理器1の通信部157が受信し、その設定情報に基づいて加熱調理を実行してもよい。加熱調理器1と他の機器156は、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等で直接通信を行ってもよく、インターネットによりサーバー158を経由した通信を行ってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 加熱調理器
3 調理プレート(調理容器)
8 赤外線シーズヒータ(加熱手段)
36 平プレート(調理容器)
41 深鍋(調理容器)
52 表示部
52A 操作部
71 数字表示部(報知手段)
72 数字表示部(報知手段)
89 数字表示部(報知手段)
111 数字表示部(報知手段)
156 他の機器
157 通信部
H1 (加熱手段、第1の加熱手段)
H2 (加熱手段、第1の加熱手段)
H3 (加熱手段、第1の加熱手段)
H4 (加熱手段、第2の加熱手段)
H5 (加熱手段、第2の加熱手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26