(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000041
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/27 20180101AFI20231225BHJP
F21S 43/37 20180101ALI20231225BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20231225BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20231225BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20231225BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20231225BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20231225BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20231225BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/37
F21S43/19
F21S45/47
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W105:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098558
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 貴昭
(57)【要約】
【課題】共通部品と共締めされる別部品の有無に因らずに、各部品を共通に取り付けることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1の灯具モジュール4A側の共通部品7をハウジング2に取り付ける第1の取付構造5と、第2の灯具モジュール4B側の共通部品7をハウジング2に取り付ける第2の取付構造6とを有し、共通部品7は、第1の孔部9と、第1の孔部9よりも径の大きい第2の孔部10とを有し、第1の取付構造5は、ハウジング2側に、第1の孔部9に係合される第1の位置決めピン11と、第2の孔部10に係合されるボス12と、ボス12の先端に第1のネジが螺合される第1のネジ穴14とを有し、第2の取付構造6は、ハウジング2側に、第2の孔部10に係合される第2の位置決めピン15と、第1の孔部9を通して第2のネジが螺合される第2のネジ穴17とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体の内側に、複数の灯具モジュールが配置された車両用灯具であって、
前記複数の灯具モジュールのうち、少なくとも第1の灯具モジュールと第2の灯具モジュールとの間で互いに共通する共通部品と、
前記第1の灯具モジュール側の共通部品を前記ハウジングに取り付ける第1の取付構造と、
前記第2の灯具モジュール側の共通部品を前記ハウジングに取り付ける第2の取付構造とを有し、
前記共通部品は、第1の孔部と、前記第1の孔部よりも径の大きい第2の孔部とを有し、
前記第1の取付構造は、前記ハウジング側に、前記第1の孔部に係合される第1の位置決めピンと、前記第2の孔部に係合されるボスと、前記ボスの先端に第1のネジが螺合される第1のネジ穴とを有し、
前記第2の取付構造は、前記ハウジング側に、前記第2の孔部に係合される第2の位置決めピンと、前記第1の孔部を通して第2のネジが螺合される第2のネジ穴とを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体の内側に、少なくとも第1の灯具モジュールと第2の灯具モジュールとの複数の灯具モジュールが配置された車両用灯具であって、
前記第1の灯具モジュールは個別の第1のハウジングを有し、前記第2の灯具モジュールは個別の第2のハウジングを有し、
前記複数の灯具モジュールのうち、少なくとも前記第1の灯具モジュールと前記第2の灯具モジュールとの間で互いに共通する共通部品と、
前記第1の灯具モジュール側の共通部品を前記第1のハウジングに取り付ける第1の取付構造と、
前記第2の灯具モジュール側の共通部品を前記第2のハウジングに取り付ける第2の取付構造とを有し、
前記共通部品は、第1の孔部と、前記第1の孔部よりも径の大きい第2の孔部とを有し、
前記第1の取付構造は、前記第1のハウジング側に、前記第1の孔部に係合される第1の位置決めピンと、前記第2の孔部に係合されるボスと、前記ボスの先端に第1のネジが螺合される第1のネジ穴とを有し、
前記第2の取付構造は、前記第2のハウジング側に、前記第2の孔部に係合される第2の位置決めピンと、前記第1の孔部を通して第2のネジが螺合される第2のネジ穴とを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の灯具モジュールは、前記ボスの先端と前記第1のネジの座面との間に挟み込まれた状態で固定される少なくとも1つ以上の別部品を備え、
前記別部品は、前記第1の位置決めピンが係合される位置決め孔と、前記第1のネジを通す固定孔と有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記共通部品がヒートシンクであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される車両用灯具は、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズ(カバーレンズ)とにより構成される灯体の内側に、光源やインナーレンズ、リフレクタ、エクステンションなどの部品を配置し、これらの部品をブラケット等を介して取り付けた構造を有している(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した車両用灯具の中には、灯体の内側に複数の灯具モジュールが配置されたものがある。また、複数の灯具モジュールでは、互いに共通した部品を用いることによって、低コスト化を図ることが行われている。
【0005】
複数の灯具モジュールの間で共通部品を用いる場合、この共通部品の取付構造も共通化する必要がある。しかしながら、灯具モジュールでは、共通部品と、それ以外の部品とを共締めにより固定する場合、取り付ける部品の違いによって取付構造を共通化することが困難となる。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、灯体の内側に配置される複数の灯具モジュールの間で部品の共通化を図りつつ、共通部品と共締めされる別部品の有無に因らずに、各部品を共通に取り付けることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体の内側に、複数の灯具モジュールが配置された車両用灯具であって、
前記複数の灯具モジュールのうち、少なくとも第1の灯具モジュールと第2の灯具モジュールとの間で互いに共通する共通部品と、
前記第1の灯具モジュール側の共通部品を前記ハウジングに取り付ける第1の取付構造と、
前記第2の灯具モジュール側の共通部品を前記ハウジングに取り付ける第2の取付構造とを有し、
前記共通部品は、第1の孔部と、前記第1の孔部よりも径の大きい第2の孔部とを有し、
前記第1の取付構造は、前記ハウジング側に、前記第1の孔部に係合される第1の位置決めピンと、前記第2の孔部に係合されるボスと、前記ボスの先端に第1のネジが螺合される第1のネジ穴とを有し、
前記第2の取付構造は、前記ハウジング側に、前記第2の孔部に係合される第2の位置決めピンと、前記第1の孔部を通して第2のネジが螺合される第2のネジ穴とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体の内側に、少なくとも第1の灯具モジュールと第2の灯具モジュールとの複数の灯具モジュールが配置された車両用灯具であって、
前記第1の灯具モジュールは個別の第1のハウジングを有し、前記第2の灯具モジュールは個別の第2のハウジングを有し、
前記複数の灯具モジュールのうち、少なくとも前記第1の灯具モジュールと前記第2の灯具モジュールとの間で互いに共通する共通部品と、
前記第1の灯具モジュール側の共通部品を前記第1のハウジングに取り付ける第1の取付構造と、
前記第2の灯具モジュール側の共通部品を前記第2のハウジングに取り付ける第2の取付構造とを有し、
前記共通部品は、第1の孔部と、前記第1の孔部よりも径の大きい第2の孔部とを有し、
前記第1の取付構造は、前記第1のハウジング側に、前記第1の孔部に係合される第1の位置決めピンと、前記第2の孔部に係合されるボスと、前記ボスの先端に第1のネジが螺合される第1のネジ穴とを有し、
前記第2の取付構造は、前記第2のハウジング側に、前記第2の孔部に係合される第2の位置決めピンと、前記第1の孔部を通して第2のネジが螺合される第2のネジ穴とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔3〕 前記第1の灯具モジュールは、前記ボスの先端と前記第1のネジの座面との間に挟み込まれた状態で固定される少なくとも1つ以上の別部品を備え、
前記別部品は、前記第1の位置決めピンが係合される位置決め孔と、前記第1のネジを通す固定孔と有することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記共通部品がヒートシンクであることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、灯体の内側に配置される複数の灯具モジュールの間で部品の共通化を図りつつ、共通部品と共締めされる別部品の有無に因らずに、各部品を共通に取り付けることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の要部を示す正面図である。
【
図2】
図1中に示す線分A-Aによる第1の取付構造の断面図である。
【
図3】
図1中に示す線分B-Bによる第2の取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0011】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図3に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の要部を示す正面図である。
図2は、
図1中に示す線分A-Aによる第1の取付構造の断面図である。
図3は、
図1中に示す線分B-Bによる第2の取付構造の断面図である。
【0012】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0013】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では左前端側のコーナー部)に搭載されるヘッドランプユニットに本発明を適用したものである。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1に示すように、前面が開口したハウジング2と、ハウジング2の開口を覆うアウターレンズ(図示を省略する。)とにより構成される灯体3の内側に、複数(本実施形態では2つ)の灯具モジュール4A,4Bが配置された構造を有している。
【0015】
灯具モジュール4A,4Bは、例えば、昼間点灯ランプ(DRL:Daytime Running Lamps)や車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)など、各種の機能ランプを構成している。また、機能ランプは、その機種毎に光源やヒートシンク、インナーレンズ、リフレクタ、ブラケットなどの部品を備えている。
【0016】
本実施形態では、
図2に示すように、2つの灯具モジュール4A,4Bのうち、第1の灯具モジュール4Aを構成するヒートシンクHSK、ブラケットBRKT及びインナーレンズINR_LNSの各部品が第1の取付構造5を介してハウジング2に取り付けられている。一方、
図3に示すように、第2の灯具モジュール4Bを構成するヒートシンクHSKが第2の取付構造6を介してハウジング2に取り付けられている。
【0017】
したがって、第1の灯具モジュール4Aと第2の灯具モジュール4Bとの間では、
図2及び
図3に示すように、ヒートシンクHSKが互いの共通部品7として用いられている。一方、第1の灯具モジュール4Aでは、ブラケットBRKT及びインナーレンズINR_LNSが別部品8としてヒートシンクHSKと共締めにより固定されている。
【0018】
共通部品7は、第1の孔部9と、第1の孔部9よりも径の大きい第2の孔部10とを有している。第1の孔部9と第2の孔部10とは、互いに隣り合った状態で並んで配置されている。
【0019】
第1の取付構造5は、前記ハウジング2側に、第1の孔部9に係合される第1の位置決めピン11と、第2の孔部10に係合されるボス12と、ボス12の先端に第1のネジ13が螺合される第1のネジ穴14とを有している。
【0020】
第2の取付構造6は、ハウジング2側に、第2の孔部10に係合される第2の位置決めピン15と、第1の孔部9を通して第2のネジ16が螺合される第2のネジ穴17とを有している。
【0021】
別部品8は、第1の位置決めピン11が係合される位置決め孔18と、第1のネジ13を通す固定孔19とを有している。
【0022】
第1の取付構造5では、
図2に示すように、ヒートシンクHSK、ブラケットBRKT及びインナーレンズINR_LNSが、この順で重ね合わされた固定部分において、共通部品7の第1の孔部9及び別部品8の位置決め孔18に、ハウジング2側の第1の位置決めピン11を貫通させながら、これら第1の孔部9及び位置決め孔18に第1の位置決めピン11を係合させることによって、共通部品7及び別部品8がハウジング2に対して位置決めされた状態となっている。
【0023】
第1の取付構造5では、この状態で、共通部品7の第2の孔部10にハウジング2側のボス12を貫通させながら、この第2の孔部10にボス12を係合させると共に、別部品8の各固定孔19を通して第1のネジ13を第1のネジ穴14に螺合することによって、ボス12の先端と第1のネジ13の座面との間に共通部品7及び別部品8が挟み込まれた状態で固定されている。
【0024】
これにより、第1の灯具モジュール4Aを構成するヒートシンクHSK、ブラケットBRKT及びインナーレンズINR_LNSの各部品(共通部品7及び別部品8)が第1の取付構造5を介してハウジング2に取り付けられている。
【0025】
一方、第2の取付構造6では、
図3に示すように、共通部品7の第2の孔部10に、ハウジング2側の第2の位置決めピン15を貫通させながら、この第2の孔部10に第2の位置決めピン15を係合させることによって、共通部品7がハウジング2に対して位置決めされた状態となっている。
【0026】
第2の取付構造6では、この状態で、共通部品7の第1の孔部9を通して第2のネジ16を第2のネジ穴17に螺合することによって、ハウジング2と第2のネジ16の座面との間に共通部品7が挟み込まれた状態で固定されている。
【0027】
これにより、第2の灯具モジュール4Bを構成するヒートシンクHSK(共通部品7)が第2の取付構造6を介してハウジング2に取り付けられている。
【0028】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、上述した灯体3の内側に配置される複数の灯具モジュール4A,4Bの間で部品の共通化を図りつつ、共通部品7と共締めされる別部品8の有無に因らずに、各部品を共通に取り付けることが可能である。
【0029】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した複数の灯具モジュール4A,4Bの間で共通部品7を用いることによって、低コスト化を図ることが可能である。特に、共通部品7となるヒートシンクHSKは、灯具モジュール4A,4B毎に取付構造の異なるものを用意した場合にコストが嵩むため、低コスト化を図る上で非常に効果的である。
【0030】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の灯具モジュール4Aを構成する各部品(共通部品7及び別部品8)を共締めにより固定することで、各部品の光学的な位置決め精度を高めることが可能である。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した車両用灯具1をフロント側のヘッドランプユニットに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側の車両用灯具に限らず、例えばリアコンビネーションランプなどのリア側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0032】
また、本発明は、上述した複数の灯具モジュールの共通部品7が同一ハウジング2に取り付けられる構造を説明していたが、同一のハウジング2に取り付けられる各々の灯具モジュールが個別のハウジングを有し、且つ、第1の取付構造と第2の取付構造との一方を1つの灯具モジュールの個別のハウジングに形成し、他方を他の灯具モジュールの個別のハウジングに形成することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…車両用灯具 2…ハウジング 3…灯体 4A…第1の灯具モジュール 4B…第2の灯具モジュール 5…第1の取付構造 6…第2の取付構造 7…共通部品 8…別部品 9…第1の孔部 10…第2の孔部 11…第1の位置決めピン 12…ボス 13…第1のネジ 14…第1のネジ穴 15…第2の位置決めピン 16…第2のネジ 17…第2のネジ穴 18…位置決め孔 19…固定孔 HSK…シートシンク(共通部品) BRKT…ブラケット(別部品) INR_LNS…インナーレンズ(別部品)