(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041008
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240318BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240318BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240318BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240318BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240318BHJP
【FI】
G02B27/01
G03B21/14 A
G03B21/00 E
B60R11/02 C
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145701
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 隆延
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭一郎
【テーマコード(参考)】
2H199
2K203
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA18
2H199DA19
2H199DA22
2H199DA23
2H199DA30
2H199DA41
2H199DA48
2K203FA02
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203GA23
2K203GA40
2K203HA03
2K203HA04
2K203HA35
2K203HA36
2K203HA43
2K203HB22
2K203MA12
2K203MA31
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC02
3D344AA03
3D344AA08
3D344AA16
3D344AA19
3D344AA21
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】照射光の利用効率を高めるとともに画像表示部の温度上昇を抑制することが可能な画像投影装置を提供する。
【解決手段】照射光を照射する光源(10)と、照射光を第1方向に沿った偏光方向に変換してバックライト光として出射する偏光変換素子(30)と、バックライト光の偏光方向を維持したまま拡散して透過する偏光維持拡散部(50)と、偏光維持拡散部(50)を透過したバックライト光が背面から入射し、表示面から画像光を出射する画像表示部(60)を備える画像投影装置(100)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を照射する光源と、
前記照射光を第1方向に沿った偏光方向に変換してバックライト光として出射する偏光変換素子と、
前記バックライト光の偏光方向を維持したまま拡散して透過する偏光維持拡散部と、
前記偏光維持拡散部を透過した前記バックライト光が背面から入射し、表示面から画像光を出射する画像表示部を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記画像表示部の長手方向の長さがLであり、
前記画像表示部の前記背面からL/10の範囲内に前記偏光維持拡散部が配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記偏光変換素子は、二分の一波長板と、反射鏡と、反射型偏光部を備え、
光を透過する材料で構成された略板状の薄肉基材に、前記二分の一波長板、前記反射鏡および前記反射型偏光部が保持されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像投影装置であって、
前記薄肉基材として、第1薄肉基材と第2薄肉基材を備え、
前記第1薄肉基材の表面または裏面に前記二分の一波長板および前記反射型偏光部が保持され、
前記第2薄肉基材の表面に前記反射鏡が保持されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像投影装置であって、
前記第2薄肉基材は、湾曲されて前記反射鏡が凹面反射鏡であることを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像投影装置であって、
前記反射型偏光部は、前記第1方向の偏光を反射し、前記第1方向に直交する第2方向の偏光を透過することを特徴とする画像投影装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像投影装置であって、
前記反射型偏光部は、前記第1方向の偏光を透過し、前記第1方向に直交する第2方向の偏光を反射することを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラス(ウィンドシールド)より下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者等の搭乗者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があり好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、搭乗者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)のような画像投影装置が提案されている。(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
特許文献1,2の画像投影装置は、画像照射部が画像を含んだ照射光を照射し、自由曲面ミラー等で照射光を反射させて、ウィンドシールド等の表示部を介して空間中に画像が結像するように搭乗者の視点の位置に到達させる。これにより、搭乗者は視点に入射した照射光によって、奥行き方向における結像位置に画像が表示されているように認識することができる。
【0005】
このような従来の画像投影装置では、液晶表示装置等の画像表示部を用いて投影画像を表示し、画像表示部の背面側から照射光を照射して画像光を投影している。そこで、光源と画像表示部の間に配光レンズと光拡散シートを配置し、画像表示部に対して光源から光を均一に照射することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-119248号公報
【特許文献2】特開2019-119262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、光を均一に照射するために光拡散シートを用いると、光拡散シートで拡散された照射光は無偏光で画像表示部に到達する。液晶表示装置等の画像表示部では、特定方向の偏光のみを透過するため、無偏光の照射光が入射した場合には、特定方向以外の偏光は画像の投影に利用されず光の利用効率が低下する。また、透過しない照射光は画像表示部で吸収されるため、画像表示部の温度が上昇して製品寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、HUD装置はウィンドシールドを介して画像光を投影し、車両外の背景に虚像を重ね合わせて表示するため、表示画面を直接視認するモニター装置よりも光源から照射される光量が非常に強く、温度上昇による影響が大きくなる。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、照射光の利用効率を高めるとともに画像表示部の温度上昇を抑制することが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、照射光を照射する光源と、前記照射光を第1方向に沿った偏光方向に変換してバックライト光として出射する偏光変換素子と、前記バックライト光の偏光方向を維持したまま拡散して透過する偏光維持拡散部と、前記偏光維持拡散部を透過した前記バックライト光が背面から入射し、表示面から画像光を出射する画像表示部を備えることを特徴とする。
【0010】
このような本発明の画像投影装置では、偏光変換素子で照射光を第1方向に沿った偏光のバックライト光に変換して、偏光維持拡散部で偏光を維持したまま拡散するので、画像表示部で吸収される光量を低減し、照射光の利用効率を高めるとともに画像表示部の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記画像表示部の長手方向の長さがLであり、前記画像表示部の前記背面からL/10の範囲内に前記偏光維持拡散部が配置されている。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記偏光変換素子は、二分の一波長板と、反射鏡と、反射型偏光部を備え、光を透過する材料で構成された略板状の薄肉基材に、前記二分の一波長板、前記反射鏡および前記反射型偏光部が保持されている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記薄肉基材として、第1薄肉基材と第2薄肉基材を備え、前記第1薄肉基材の表面または裏面に前記二分の一波長板および前記反射型偏光部が保持され、前記第2薄肉基材の表面に前記反射鏡が保持されている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記第2薄肉基材は、湾曲されて前記反射鏡が凹面反射鏡である。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記反射型偏光部は、前記第1方向の偏光を反射し、前記第1方向に直交する第2方向の偏光を透過する。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記反射型偏光部は、前記第1方向の偏光を透過し、前記第1方向に直交する第2方向の偏光を反射する。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、照射光の利用効率を高めるとともに画像表示部の温度上昇を抑制することが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る画像投影装置100の概要を説明する模式図であり、
図1(a)は長手方向に沿った模式断面図であり、
図1(b)は幅方向に沿った模式断面図である。
【
図2】第2実施形態に係る画像投影装置100の概要を説明する模式図であり、幅方向に沿った模式断面図である。
【
図3】第3実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図3(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図3(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
【
図4】第4実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図4(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図4(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
【
図5】第5実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図5(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図5(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
【
図6】第6実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図6(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図6(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
【
図7】第7実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図7(a)は反射型偏光部36を透過した光を二分の一波長板34に入射させる例を示し、
図7(b)は反射鏡37で反射した光を二分の一波長板34に入射させる例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。以下の説明では、本発明に係る画像投影装置100を、車両等に搭載されるHUDに適用した形態を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る画像投影装置100の概要を説明する模式図であり、
図1(a)は長手方向に沿った模式断面図であり、
図1(b)は幅方向に沿った模式断面図である。
図1に示すように画像投影装置100は、光源10と、第1レンズ20と、偏光変換素子30と、第2レンズ40と、偏光維持拡散部50と、画像表示部60を有している。
【0020】
光源10は、第1レンズ20、偏光変換素子30、第2レンズ40および偏光維持拡散部50を介して照射光を画像表示部60に照射する部材である。光源10は、一例としてはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の半導体発光素子であり、予め定められた方向(
図1(a)の横方向)に配列されている。光源10の発光色は特に限定されないが、本実施形態では一例として白色としている。なお、本実施形態では光源10の配列数を1列としているが、2列以上であってもよい。また光源10はLEDに限らず半導体レーザや有機EL(Electro Luminescence)素子等であってもよい。
【0021】
第1レンズ20は、複数の光源10の光出射方向に配置され、光源10から照射された照射光を集光し、例えば平行光、あるいは平行光に近い光(以下、両者を併せて「略平行光」という)として出射する機能を有する光学部材である。また、
図1に示すように第1レンズ20は、複数の光源10の配列方向(X軸方向)に沿って延伸されている。本実施形態では第1レンズ20の一例として、中央に光を屈折する屈折部が設けられ、屈折部の両側に光を反射する反射部が設けられたTIR(Total Internal Reflection)レンズを用いている(図示省略)。
図1では第1レンズ20として光源10の配列方向に延伸された形状を示しているが、光源10毎に複数のコリメートレンズを設けるとしてもよい。また、光源10からの光を略平行光にすることができればレンズに限定されず、リフレクタとレンズの組み合わせやリフレクタ単体で略平行光とする構成を採用してもよい。
【0022】
偏光変換素子30は、第1レンズ20の光出射側に配置され、無偏光の照射光を特定方向(第1方向)に沿った偏光方向に変換してバックライト光として出射する光学部材である。偏光変換素子30の具体的な構成は限定されないが、
図1(b)ではプリズム31と、反射型偏光部32と、反射鏡33と、二分の一波長板34を備える例を示している。
【0023】
プリズム31は、ガラス等の光を透過する材料で構成された部材である。
図1(b)に示した例では、光源10に対向する面が光入射面とされ、光入射面と対向する面が光出射面とされている。プリズム31の光入射面と光出射面の間には、反射型偏光部32と反射鏡33それぞれ光入射面と光出射面に対して45度傾斜して設けられている。また、プリズム31の光出射面の一部には二分の一波長板34が設けられている。
【0024】
反射型偏光部32は、所定方向の偏光を透過し、所定方向に直交する偏光を反射する光学部材である。
図1(b)に示した例では、プリズム31の半分に光源10からの照射光が入射するため、照射光が入射した半分に反射型偏光部32は配置されている。反射型偏光部32が透過する偏光方向は限定されず、最終的に画像表示部60に対して照射されるバックライト光に要求される偏光方向に適合させる必要がある。一例としては
図1(b)における横方向の偏光(例えばp偏光)を透過し、紙面に垂直な方向の偏光(例えばs偏光)を反射するとしてもよい。
【0025】
反射鏡33は、入射した光を反射する光学部材である。
図1(b)に示した例では、プリズム31のうち照射光が入射しない半分に設けられている。また、反射鏡33は反射型偏光部32と同様にプリズム31の光入射面および光出射面に対して45度傾斜して配置されており、反射鏡33と反射型偏光部32が略平行となっている。
【0026】
二分の一波長板34は、プリズム31の光出射面の半分に配置され、スロー軸とファスト軸における屈折率が異なる複屈折材料で構成された光学部材である。また、二分の一波長板34は、入射した光が出射するまでに光の波長の半分だけスロー軸とファスト軸で位相差が生じるように設計されている。また、二分の一波長板34のスロー軸とファスト軸は、反射型偏光部32を透過してきた照射光の偏光方向に対して45度異なる向きに配置されている。したがって、二分の一波長板34を透過した照射光は、偏光が面内において90度回転される。これにより、反射型偏光部32および二分の一波長板34を透過した光と、反射型偏光部32および二分の一波長板34で反射された光は、偏光方向が同じ所定方向であるバックライト光として照射される。
図1(b)では二分の一波長板34をプリズム31が設けられた側に配置した例を示したが、反射鏡33が設けられた側に配置して、反射鏡33で反射された光が二分の一波長板34に入射するとしてもよい。また、二分の一波長板34は、光の波長に対し正確に50%の位相差である必要はなく、50%に近い位相差を生じさせるものであれば、面内における偏光方向の回転という機能を発揮することができる。
【0027】
第2レンズ40は、偏光変換素子30を介して照射されたバックライト光が、照明領域の全体を均一に照明するように光束を制御する。従って第2レンズ40の形状、パワーの正負はこの目的に沿うように選択されるが、本実施形態では第2レンズ40の一例として凹レンズを用いている。第1レンズ20のみによって照明領域の全体を均一に照明するように構成すれば、第2レンズ40は省略しても差し支えない。第1レンズ20および第2レンズ40は、例えばアクリル樹脂等の樹脂、ガラス等によって形成されている。第1レンズ20および第2レンズ40は、両者相まって光源10から出射した光を画像表示部60の照明領域に導く機能を有する。本実施形態では照明領域を、一例として偏光維持拡散部50の裏面(光源10側の面)としている。しかしながら、どこを照明領域とするかは光源装置の仕様等を勘案して決定すればよく、例えば画像表示部60の裏面等であってもよい。
【0028】
偏光維持拡散部50は、画像表示部60の背面側に配置され、偏光変換素子30で変換されたバックライト光の偏光方向を維持したまま拡散して透過する光学部材である。偏光維持拡散部50は、第1レンズ20および第2レンズ40で偏向した指向性の高い光を拡散させて画像表示部60に出射し、画像表示部60がより均一に照明されるように機能する。偏光維持拡散部50としては、第1方向に偏光した光のみを偏光維持して拡散するものであってもよく、全ての方向の偏光を維持して拡散するものであってもよい。偏光維持拡散部50の具体的な構成は限定されないが、一例としてリンテック株式会社製の商品名:HH120シートを用いることができる。
【0029】
画像表示部60は、偏光維持拡散部50を透過したバックライト光が背面から入射し、画像情報によって変調した光を出射面から出射する空間光変調部として機能する。画像表示部60の具体的な構成は限定されないが、一例としては、背面から入射した光を透過して表面から出射する透過型液晶表示装置を用いることができる。透過型液晶表示装置では、裏面側に入射した所定方向の偏光のみが透過されるため、偏光変換素子30および偏光維持拡散部50における偏光方向を当該所定方向と一致させる。
【0030】
上述した画像投影装置100では、光源10から照射された照射光は偏光方向が限定されていない無偏光である。光源10から照射された照射光は、第1レンズ20に入射してコリメートされ、偏光変換素子30の入射面に入射する。偏光変換素子30に入射した照射光は、一部が反射型偏光部32を透過するとともに、他の一部が反射鏡33方向に反射される。ここで、反射型偏光部32で反射される照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部32を透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交する第2方向に偏光している。
【0031】
反射型偏光部32を透過した照射光は、二分の一波長板34に入射して偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射鏡33に到達した照射光は反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。第2レンズ40に到達したバックライト光は、配光分布が調整されて偏光維持拡散部50に到達する。
【0032】
偏光維持拡散部50では、第1方向に偏光したバックライト光は、偏光方向が維持されたまま、第1方向に偏光した光として拡散および透過される。これにより、画像表示部60の背面には第1方向に偏光したバックライト光が均一に照射される。ここで偏光方向が維持されたままとは、偏光維持拡散部50を透過する前後において、入射時の偏光状態をエネルギーベースで50%より多く維持することを意味し、90%以上を維持していることがより好ましい。
【0033】
図1(a)(b)に示したように、画像表示部60の背面に偏光維持拡散部50を貼り合わせた場合には、拡散されたバックライト光をほぼ全て画像表示部60に入射できる。また、画像表示部60と偏光維持拡散部50の間に間隙を設けるとしてもよい。この場合には、偏光維持拡散部50または画像表示部60でバックライト光の一部が吸収されて温度が上昇しても、間隙によって両者間で熱が伝わることを防止して熱による悪影響を抑制できる。ここで
図1(a)に示したように、画像表示部60の長手方向(図中左右方向)の長さをアクティブエリア長Lとすると、画像表示部60の背面からL/10以下の範囲内に偏光維持拡散部50が配置されていることが好ましい。画像表示部60と偏光維持拡散部50の距離がL/10よりも大きい場合には、拡散されたバックライト光のうち画像表示部60の範囲外に到達する割合が高くなり、光の利用効率が低下してしまう。
【0034】
また、第2レンズ40と偏光維持拡散部50の距離は、アクティブエリア長LのL/16以上の範囲とすることが好ましく、より好ましくはL/8以上の範囲である。ここで、搭乗者の視点まで到達する光が透過する範囲を有効領域とすると、第2レンズ40と偏光維持拡散部50の距離とは、両者の有効領域間で最も長い距離である。第2レンズ40と偏光維持拡散部50の距離がL/16よりも小さい場合には、虚像の輝度ムラや配光分布の調整が困難になる。
【0035】
画像投影装置100は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)においては例えば車両のダッシュボードの中に格納されており、画像投影装置100からの映像がウィンドシールド等を介して投影されることで虚像が結像される。画像投影装置100から照射される光は、必要に応じて平面ミラーや自由曲面ミラー等で反射され、ウィンドシールドを介して運転者の目に導くことで視認される。
【0036】
上述したように、本実施形態の画像投影装置100では、光源10からの照射光は偏光変換素子30で第1方向に偏光したバックライト光に変換され、偏光維持拡散部50では第1方向の偏光を維持してバックライト光を拡散している。画像表示部60に到達するバックライト光の偏光方向は、画像表示部60での画像表示に用いられる偏光方向と一致しているため、画像表示部60で吸収されてしまう第2方向の偏光成分は少なく、光の利用効率を向上させるとともに、画像表示部60の温度上昇を抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図2を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像投影装置100の概要を説明する模式図であり、幅方向に沿った模式断面図である。本実施形態では、光源10および第1レンズ20の配置と、偏光変換素子30での偏光制御が第1実施形態と異なっている。
図2に示すように画像投影装置100は、光源10と、第1レンズ20と、偏光変換素子30と、第2レンズ40と、偏光維持拡散部50と、画像表示部60を有している。
図2に示したように、本実施形態の画像投影装置100では、偏光変換素子30の光入射面と光出射面がほぼ直交している。したがって、光源10および第1レンズ20から照射される照射光の進行方向は、偏光変換素子30から照射されるバックライト光の進行方向に対して直交している。
【0038】
図2に示した例では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、偏光変換素子30の入射面に入射する。偏光変換素子30に入射した照射光は、一部が反射型偏光部32を透過するとともに、他の一部が二分の一波長板34方向に反射される。ここで、反射型偏光部32で反射される照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。また、反射型偏光部32を透過する照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。
【0039】
反射型偏光部32を透過した照射光は、反射鏡33に到達して反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部32で反射された照射光は、二分の一波長板34に入射して偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0040】
本実施形態の画像投影装置100でも、光源10からの照射光は偏光変換素子30で第1方向に偏光したバックライト光に変換され、偏光維持拡散部50では第1方向の偏光を維持してバックライト光を拡散している。画像表示部60に到達するバックライト光の偏光方向は、画像表示部60での画像表示に用いられる偏光方向と一致しているため、画像表示部60で吸収されてしまう第2方向の偏光成分は少なく、光の利用効率を向上させるとともに、画像表示部60の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図3を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態では、偏光変換素子30としてプリズム31を用いた例を示したが、本実施形態では薄肉基材35a,35b,35cを用いる点が異なっている。
図3は、本実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図3(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図3(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
図3に示したように、本実施形態の偏光変換素子30は、二分の一波長板34と、薄肉基材35a,35b,35cと、反射型偏光部36と、反射鏡37を有している。
【0042】
二分の一波長板34は、プリズム31の光出射面の半分に配置され、スロー軸とファスト軸における屈折率が異なる複屈折材料で構成された光学部材であり、透過した照射光の、偏光が面内において90度回転される。二分の一波長板34の具体的な構成は限定されないが、薄肉基材35a,35b,35c等の表面に貼り付けることができる板状またはシート状のものを用いることが好ましい。一例としては、デクセリアルズ株式会社のアクロマティック1/2波長板等を用いることができる。
【0043】
薄肉基材35a,35b,35cは、光を透過する材料で構成された略板状の部材である。薄肉基材35a,35b,35cを構成する材料は限定されず、ガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることができるが、透過する光に位相差が生じないリタデーションフリーの材料を用いることが好ましい。また、薄肉基材35a,35b,35cの厚さは限定されず、例えば0.5mm~3.0mm程度の厚さのものを用いることができる。
【0044】
反射型偏光部36は、所定方向の偏光を透過し、所定方向に直交する偏光を反射する光学部材である。反射型偏光部36の具体的な構成は限定されないが、薄肉基材35a,35b,35c等の表面に貼り付けることができる板状またはシート状のものを用いることが好ましい。一例としては、旭化成株式会社製の反射型偏光フィルムWGFや、スリーエムジャパン株式会社製の反射型偏光板フィルム等を用いることができる。
【0045】
図3(a)(b)に示した例では、薄肉基材35a,35bは、バックライト光の照射方向に対してほぼ45度傾いて配置されており、薄肉基材35cは、バックライト光の照射方向に対して垂直に配置されている。また薄肉基材35aの光入射面側には、反射型偏光部36が貼り付けられて保持されている。また、薄肉基材35bの薄肉基材35aと対向する面には、反射鏡37が貼り付けられて保持されている。また、薄肉基材35cの光出射面には、二分の一波長板34が貼り付けられて保持されている。ここでは、二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37としてシート状のものを用い、薄肉基材35a,35b,35cに貼り付けた例を示したが、蒸着等によって薄肉基材35a,35b,35cの表面に直接形成するとしてもよい。また、二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37を貼り付ける面は
図3(a)(b)に示した側に限定されず、薄肉基材35a,35b,35cの反対側の面に設けるとしてもよい。
【0046】
図3(a)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aの入射面に設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が透過するとともに、他の一部が反射鏡37方向に反射される。ここで、反射型偏光部36で反射される照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。
【0047】
反射型偏光部36で反射された照射光は、反射鏡37に到達して再度反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36を透過した照射光は、二分の一波長板34に入射して偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0048】
図3(b)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aの入射面に設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が反射鏡37方向に透過するとともに、他の一部が二分の一波長板34方向に反射される。ここで、反射型偏光部36で反射される照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。また、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。
【0049】
反射型偏光部36を透過した照射光は、反射鏡37に到達して反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36で反射された照射光は、二分の一波長板34に入射して偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0050】
本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35a,35b,35cを用いて二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37を保持しており、プリズム31のような厚肉の導光部材を用いていない。これにより、偏光変換素子30およびこれを用いた画像投影装置100の軽量化を図ることができる。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図4を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図4(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図4(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
図4に示したように、本実施形態の偏光変換素子30は、二分の一波長板34と、薄肉基材35a,35bと、反射型偏光部36と、反射鏡37を有している。
【0052】
図4(a)(b)に示したように、本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35a,35bはバックライト光の出射方向に対して傾斜して配置されている。また、薄肉基材35aの薄肉基材35bと対向する面には、異なる領域に反射型偏光部36と二分の一波長板34が貼り付けられている。薄肉基材35bの薄肉基材35aと対向する面には、反射鏡37が貼り付けられている。二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37を貼り付ける面は
図4(a)(b)に示した側に限定されず、薄肉基材35a,35bの反対側の面に設けるとしてもよい。
【0053】
図4(a)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aの入射面に設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が透過するとともに、他の一部が反射鏡37方向に反射される。ここで、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部36で反射された照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。
【0054】
反射型偏光部36を透過した照射光は、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36で反射されたた照射光は、反射鏡37に到達して再度反射されて、二分の一波長板34に入射する。二分の一波長板34では照射光の偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0055】
図4(b)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aに設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が反射鏡37方向に透過するとともに、他の一部が反射される。ここで、反射型偏光部36で反射される照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。
【0056】
反射型偏光部36を透過した照射光は、反射鏡37に到達して反射されて、二分の一波長板34に入射する。二分の一波長板34では照射光の偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36で反射された照射光は、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0057】
本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35a,35bを用いて二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37を保持しており、さらに軽量化を図ることができる。また、薄肉基材35a,35bの面積や、傾斜角度、間隔等を自由に設計できるため、設計自由度を向上させることができる。また、薄肉基材35a,35bにおける二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37の貼り付け位置を変更することにより、偏光変換素子30の光学特性を容易に調整することができる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について
図5を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図5(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図5(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
図5に示したように、本実施形態の偏光変換素子30は、二分の一波長板34と、薄肉基材35a,35bと、反射型偏光部36と、反射鏡37を有している。
【0059】
図5(a)(b)に示したように、本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35a,35bはバックライト光の出射方向に対して傾斜して配置されている。また、薄肉基材35aの入射面には、反射型偏光部36が貼り付けられており、反射型偏光部36と反対側の面には二分の一波長板34が貼り付けられている。薄肉基材35bの薄肉基材35aと対向する面には、反射鏡37が貼り付けられている。
【0060】
図5(a)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aの入射面に設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が透過するとともに、他の一部が反射鏡37方向に反射される。ここで、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。また、反射型偏光部36で反射された照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。
【0061】
反射型偏光部36を透過した照射光は、二分の一波長板34に入射する。二分の一波長板34では照射光の偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36で反射されたた照射光は、反射鏡37に到達して再度反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0062】
図5(b)に示した偏光変換素子30では、光源10から照射された照射光は無偏光であり、第1レンズ20に入射してコリメートされ、薄肉基材35aの入射面に設けられた反射型偏光部36に入射する。反射型偏光部36に入射した照射光は、一部が反射鏡37方向に透過するとともに、他の一部が反射される。ここで、反射型偏光部36で反射される照射光の偏光は、画像表示部60が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部36を透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交した第2方向に偏光している。
【0063】
反射型偏光部36を透過した照射光は、二分の一波長板34に入射する。二分の一波長板34では照射光の偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光した光に変換されて反射鏡37に到達する。反射鏡37に到達した照射光は反射されて、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。また、反射型偏光部36で反射された照射光は、第1方向に偏光したバックライト光として第2レンズ40に照射される。
【0064】
本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35aの両面を用いて二分の一波長板34と反射型偏光部36を保持しており、薄肉基材35aの面積を小さくし、さらに軽量化を図ることができる。また、薄肉基材35a,35bの面積や、傾斜角度、間隔等を自由に設計できるため、設計自由度を向上させることができる。
【0065】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について
図6を用いて説明する。第1実施形態および第4実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図6(a)は光源10を光照射方向に沿って配置した例を示し、
図6(b)は光源10を光照射方向に対して横方向に配置した例を示している。
図6に示したように、本実施形態の偏光変換素子30は、二分の一波長板34と、薄肉基材35a,35bと、反射型偏光部36と、反射鏡37を有している。
【0066】
図6(a)(b)に示したように、本実施形態の偏光変換素子30では、薄肉基材35a,35bはバックライト光の出射方向に対して傾斜して配置されている。また、薄肉基材35aの薄肉基材35bと対向する面には、反射型偏光部36が貼り付けられている。また、薄肉基材35aのうち、反射型偏光部36が設けられた領域とは異なる領域の反対側の面には、二分の一波長板34が貼り付けられている。薄肉基材35bの薄肉基材35aと対向する面には、反射鏡37が貼り付けられている。二分の一波長板34、反射型偏光部36および反射鏡37を貼り付ける面は
図4(a)(b)に示した側に限定されず、薄肉基材35a,35bの反対側の面に設けるとしてもよい。本実施形態の偏光変換素子30による無偏光の照射光から第1方向に偏光したバックライト光への変換は、第4実施形態において
図4(a)(b)で説明したものと同様である。
【0067】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について
図7を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。本実施形態は、反射面が湾曲した反射鏡37を用いている点が第5実施形態および第6実施形態と異なっている。
図7は、本実施形態に係る画像投影装置100に用いられる偏光変換素子30の構成例を示す図であり、
図7(a)は反射型偏光部36を透過した光を二分の一波長板34に入射させる例を示し、
図7(b)は反射鏡37で反射した光を二分の一波長板34に入射させる例を示している。
図7に示したように、本実施形態の偏光変換素子30は、二分の一波長板34と、薄肉基材35a,35bと、反射型偏光部36と、反射鏡37を有している。
【0068】
図7(a)(b)に示したように、薄肉基材35bおよび反射鏡37は湾曲した凹形状を有しており、反射鏡37が凹面反射鏡として機能する。
図7(a)に示した偏光変換素子30による無偏光の照射光から第1方向に偏光したバックライト光への変換は、第5実施形態において
図5(a)で説明したものと同様である。また、
図7(b)に示した偏光変換素子30による無偏光の照射光から第1方向に偏光したバックライト光への変換は、第6実施形態において
図6(a)で説明したものと同様である。
【0069】
偏光変換素子30では、反射鏡37での反射を経て照射されるバックライト光と、反射鏡37を経ないで照射されるバックライト光では、光路に差が生じている。光源10および第1レンズ20から照射される照射光が完全に平行光ではなく、ある程度の拡がり角を持っている場合には、この光路差によって反射鏡37を経たバックライト光の密度が低下する可能性がある。しかし、
図7(a)(b)に示したように、反射鏡37として凹面反射鏡を用いると、反射鏡37により拡がり角を補正することができ、反射鏡37を経ないバックライト光との密度差を低減してバックライト光全体の均一性を向上させることができる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100…画像投影装置
10…光源
20…第1レンズ
30…偏光変換素子
40…第2レンズ
50…偏光維持拡散部
60…画像表示部
31…プリズム
32,36…反射型偏光部
33,37…反射鏡
34…二分の一波長板
35a,35b,35c…薄肉基材