(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041009
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 28/14 20060101AFI20240318BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240318BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B60K28/14
G08B21/00 U
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145702
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】594121408
【氏名又は名称】オクト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】安達 良平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 達郎
(72)【発明者】
【氏名】榊原 奎互
【テーマコード(参考)】
3D037
5C086
【Fターム(参考)】
3D037FA31
3D037FB05
3D037FB09
5C086AA21
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA30
5C086CB21
5C086DA08
5C086FA02
(57)【要約】
【課題】運転者が乗員を残したまま自動車から出ることを防ぐための自動車を提供する。
【解決手段】 自動車は、複数の領域に分割して設けられた当該領域に乗員がいないことを確認したときに入力する複数の確認スイッチと、複数の確認スイッチにより各領域に乗員がいないことが入力されたことに基づいて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する判断部と、を含む。判断部は、エンジンを制御するエンジン制御部にエンジンを切るかどうかの指示を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域に分割して設けられた当該領域に乗員がいないことを確認したときに入力する複数の確認入力部と、
前記複数の確認入力部により各領域に乗員がいないことが入力されたことに基づいて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する判断部と、を含み、
前記判断部は、エンジンを制御するエンジン制御部にエンジンを切るかどうかの指示を行う自動車。
【請求項2】
所定領域に乗員がいないことを確認したときに入力する確認入力部と、
前記確認入力部により乗員がいないことが入力されたことに基づいて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する判断部と、を含み、
前記判断部は、エンジンを制御するエンジン制御部にエンジンを切るかどうかの指示を行う自動車。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の確認入力部のすべてにおいて、乗員がいないことの入力がなされていない状態で、エンジンを切ろうとした場合に、警報がなされる警報手段を含む自動車。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記判断部は、前記複数の確認入力部が押されたタイミングを含めて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する自動車。
【請求項5】
請求項1または2に記載の自動車と、
前記自動車に設けられた所定情報が記憶された記憶部と、
前記記憶部の情報を読み取るための通信可能な携帯端末とを含み、
前記携帯端末は、前記記憶部の情報を読み取り、前記携帯端末が当該情報を第三者の端末に送信する自動車安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者以外に乗員を乗せることを目的とする自動車および自動車を含むシステムに関し、特に、乗員確認システムを有する自動車およびシステムする。
【背景技術】
【0002】
乗車者の所持する識別タグから無線送信された識別信号に基づいて乗車確認を行うシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、運転者が乗員を残したまま自動車から出ることを防ぐための自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車は、
複数の領域に分割して設けられた当該領域に乗員がいないことを確認したときに入力する複数の確認入力部と、
前記複数の確認入力部により各領域に乗員がいないことが入力されたことに基づいて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する判断部と、を含み、
前記判断部は、エンジンを制御するエンジン制御部にエンジンを切るかどうかの指示を行う。
【0006】
本発明の自動車は、
所定領域に乗員がいないことを確認したときに入力する確認入力部と、
前記確認入力部により乗員がいないことが入力されたことに基づいて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断する判断部と、を含み、
前記判断部は、エンジンを制御するエンジン制御部にエンジンを切るかどうかの指示を行う。
【0007】
本発明において、
前記複数の確認入力部のすべてにおいて、乗員がいないことの入力がなされていない状態で、エンジンを切ろうとした場合に、警報がなされる警報手段を含むことができる。
【0008】
本発明において、
前記判断部は、前記複数の確認入力部が押されたタイミングを含めて、エンジンを切ることを許容するかどうか判断することができる。
【0009】
本発明の自動車安全システムは、
本発明の自動車と、
前記自動車に設けられた所定情報が記憶された記憶部と、
前記記憶部の情報を読み取るための通信可能な携帯端末とを含み、
前記携帯端末は、前記記憶部の情報を読み取り、前記携帯端末が当該情報を第三者の端末に送信するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る自動車のシステムを模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る自動車のシステムのタイムチャートである。
【
図3】実施の形態に係る自動車のシステムを実現するための回路図である。
【
図6】実施の形態に係る自動車のエンジンを切る際のフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
1.園児降車確認の考え方
本システムは、園児の降車確認を業務とする運転者の、確実な業務遂行のサポートを目的としている。運転者が確認作業を確実に実行できる様、”園児確認済ボタン“を車内に設け、園児のいない事を確認した証としてこのスイッチを押下する。鉄道の指差し確認に近い効果を有する。
【0013】
この作業でミスをした場合、警報サイレンにて運転者及び近くの従業員へ知らせる事ができる。さらに運転者の上司への即時報告および作業エビデンス取得の意味で、携帯端末(スマートフォン)とICカードを用いたメール送信システムも併用することができる。警報サイレンとメールによる報告の2要素確認を用いる事で業務遂行サポートの信頼性が高まると考えられる。警報サイレンを鳴らす前に所定時間(たとえば40秒間)だけ予告ブザーを鳴動させ、運転手だけに警告する機能を有していてもよい。
【0014】
園児確認済ボタンは座席の下方に設置し確認者が腰をかがめないと押せない様にすることができる。園児は座席の下に入り込む可能性が否定できないためである。
【0015】
確認ボタンを園児がいたずらで押してしまった時のためのリカバリー方法として、エンジン停止イベントから遡って所定時間より前(たとえば10分以上前)の確認ボタンの押下(確認入力)は無視することができる。
【0016】
警報サイレンを鳴動させるロジックにおいて、確認ボタンが押された時間を判断項目とすることで、的確な判断を実現することができる。
【0017】
2.園児降車確認手順
園児降車確認手順の一例を説明する。幼稚園に戻り車を停車させ、園児を下車させた後、エンジンを切らない状態で、運転者は車内後方に向かって順次園児確認をする。その時、車内に配置した”園児確認済ボタン“を都度押す。システムは全てのボタンが押されたかを確認する。一つでもボタンが押されていない状況でエンジンをオフにした時には警報サイレンが鳴る。園児を確認せずに連続してボタンを押す操作を防ぐため、ボタン入力時間の間隔を制御することができる。バスの大きさにもよるが、たとえば、ボタン入力時間の間隔が10秒以下では禁止または認めないものとする。
【0018】
最後に最後部に設置した”確認作業終了エビデンス取得ICカード“を携帯端末(業務用スマートフォン)で読み取る。携帯端末はICカードを読み取るとICカード内のIdm(固有のID番号)を照合し、予め登録したものと一致すれば、管理者(たとえば園長、副園長)等の複数の関係者に”園児降車確認終了“のエビデンスメールを送る。受信側のスマートフォンないしはパソコン(PC)に、定時着信メールの不着信をチェックしてワーニングを出すアプリを搭載し、受信者のチェックミスを防止する。
【0019】
自動車の電源は大きく2種類ありこれを使い警報サイレンを鳴動させることができる。
(1)メイン電源においては、エンジンの始動、停止とは無関係に利用出来る。警報サイレンの電源として利用することができる。
(2)アクセサリー電源(ACC)においては、エンジン停止時は利用出来ない。エンジン停止信号として利用することができる。
【0020】
本システムを具現化するための回路図を図に示す。
図3に2個のリレーを利用した参考回路図を示す。
【0021】
3.携帯端末(スマートフォン)とICカードを用いたメール送信システム
ICカードを利用した、確認作業終了エビデンス取得(たとえば2要素確認)を行ってもよい。
【0022】
本システムは運転手の園児降車確認作業をサポートするためのシステムのため、確認に関しても警報サイレンと共にメールによる運転手上司の確認も行うようにし、2要素確認を用いて信頼性を高めることができる。
<仕組み>
ICカードには固有のIdm(ID番号)が書き込まれていることができる。予めこのIdmをスマホアプリに登録しておき、送迎バスの後部に簡単に外れない様ICカードを取り付けることができる。ICカードに限定されず、所定の識別情報、たとえば、二次元バーコード(たとえばQRコード(登録商標))に固有番号を入れて使用してもよい。
<送信側携帯端末のアプリケーション機能>
NFCリーダを用いてIdmを読み取る。
【0023】
読み取ったIdmが登録済のIdmと同一かを照合する。
【0024】
一致した場合、予め登録した上司等複数の人間にエビデンスをメール配信する。
<アクション>
メールを受信する人間は、メールの定時確認を行い、エビデンスが届かない場合は運転手に連絡し、送迎バス内を再度確認するよう指示をする。
<受信側携帯端末のアプリケーション機能>
メール受信者が定時確認を怠った場合、画面及び音によりワーニングを出す。PC利用時も同様とすることができる。さらに、運転者からのメールが定時間内に非着信の場合、受信側携帯端末において、画面及び音などによりワーニングをだしてもよい。
【0025】
4.情報処理装置
情報処理装置は、
図4に示すように、入力部、処理部、出力部を含む。入力部は、エンジンを作動または切るための入力をするエンジンスイッチ部を含む。入力部は、運転者において乗員がいないことを確認した後に確認した旨を入力するための確認済スイッチ部を含む。
【0026】
処理部は、エンジン停止が可能かどうかを判断する判断部を含む。処理部は、運転者の確認が所定の基準にしたがったものかどうかを判断するための確認態様判断部を含む。
【0027】
出力部は、エンジンスイッチ部において停止入力がなされたときに、所定の基準、たとえば確認態様判断部において所定時間をかけて行われたことが確認されていない場合や、確認自体が行われていない場合に、警報などで運転者に報知する報知部を含む。出力部は、たとえば、確認済スイッチ部で入力された場合に、当該領域が確認されたことを示すことを表示する表示部を含む。
【0028】
情報処理装置は、エンジン制御部にエンジン停止をしてもいいかどうかを指示し、停止指示がなされた場合は、エンジン制御部は、エンジンを停止する。
【0029】
運転者は、携帯端末を所有し、携帯端末は、インタネットを通じて管理者端末と通信可能に接続されていることができる。携帯端末でICカードの情報を読み取り、所定の情報処理をした後に、管理者端末にその処理情報を送信することができる。
【0030】
エンジンを切るまでの一連の処理フローの例を説明する。
【0031】
運転者は、車内の搭乗者を確認し、確認済スイッチ部により確認したことを入力する。
【0032】
確認態様判断部により所定の基準にしたがって確認されたかどうか判断し、所定の基準にしたがって確認がなされた場合には、エンジンスイッチ部によりエンジンを切るための操作または入力があった場合にエンジンが切れる。所定の基準にしたがって確認がなされていなかった場合には、エンジンスイッチ部によりエンジンを切るための操作または入力があった場合であってもエンジンは切れずに警報がなされる。
【0033】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。