(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041010
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】電池容量制御装置および蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240318BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 303C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145704
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】500091520
【氏名又は名称】株式会社アイケイエス
(74)【代理人】
【識別番号】100139583
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 真二
(72)【発明者】
【氏名】今井 尊史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆雄
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA11
5G503GB06
5G503HA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電池間の電圧を均等化させるアクティブ方式のバランス補正回路を提供する。
【解決手段】蓄電システム1において、電池容量制御装置5は、第1電池ユニットB1及び第1電池ユニットに直列接続し、第1電池ユニットから直流電力が供給される第2電池ユニットB2と、第1電池ユニットの入力に接続する第1正極端子と、第1電池ユニットの出力及び第2電池ユニットの入力に接続する第1負極端子を有する第1入出力部と、第2電池ユニットの入力に接続する第2正極端子と、第2電池ユニットの出力に接続する第2負極端子を有する第2入出力部との間で、第1入出力部から第2入出力部への第1電力変換又は第2入出力部から第1入出力部への第2電力変換を行う双方向スイッチング部と、を備える双方向電力変換部100と、第1電池ユニットから第2電池ユニット又はその逆方向に電力を供給するように双方向電力変換部を制御する制御部10と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の電池ユニットの容量を制御する電池容量制御装置であって、
前記複数の電池ユニットには、第1電池ユニットと、前記第1電池ユニットに直列接続するとともに、前記第1電池ユニットから直流電力が供給される第2電池ユニットがあり、
前記第1電池ユニットの入力に接続する第1正極端子と、前記第1電池ユニットの出力および前記第2電池ユニットの入力に接続する第1負極端子とを有する第1入出力部と、前記第2電池ユニットの入力に接続する第2正極端子と、前記第2電池ユニットの出力に接続する第2負極端子とを有する第2入出力部との間で、前記第1入出力部から前記第2入出力部への第1電力変換、または、前記第2入出力部から前記第1入出力部への第2電力変換を行う双方向スイッチング部と、を備える双方向電力変換部と、
前記第1電池ユニットから前記第2電池ユニットに、または、前記第2電池ユニットから前記第1電池ユニットに電力を供給するように前記双方向電力変換部を制御する制御部と、
を備える電池容量制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、電池容量が多い前記電池ユニットから、電池容量が少ない前記電池ユニットに対して充電するように、前記双方向電力変換部を制御する、請求項1に記載の電池容量制御装置。
【請求項3】
前記第1電池ユニットの入力電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第2電池ユニットの入力電圧を検出する第2電圧センサと、
前記第1電池ユニットおよび前記第2電池ユニットを流れる電流を検出する電流センサと、を備え、
前記制御部は、第1電圧センサから得られる電圧値と、前記電流センサから得られる電流値に基づく電圧と電流曲線から、前記第1電池ユニットの電池容量を求め、且つ、第2電圧センサから得られる電圧値と、前記電流センサから得られる電流値に基づく電圧と電流曲線から、前記第2電池ユニットの電池容量を求める、請求項2に記載の電池容量制御装置。
【請求項4】
前記双方向電力変換部は、前記第1入出力部と接続するとともに、第1のコンデンサを含む第1平滑部と、前記第2入出力部と接続するとともに、第2のコンデンサを含む第2平滑部と、を備え、
前記双方向スイッチング部は、インダクタ及び絶縁用トランスを含み、前記第1平滑部または第2平滑部により平滑化された電圧をスイッチングして所定の出力電圧に電力変換するスイッチング部と、を備える、請求項1~3の何れかに記載の電池容量制御装置。
【請求項5】
前記第1および第2電池ユニットは、電池セルである、請求項1~4の何れかに記載の電池容量制御装置。
【請求項6】
前記第1および第2電池ユニットは、直列接続される2つ以上の電池セルを含む、請求項1~4の何れかに記載の電池容量制御装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかの電池容量制御装置と、直列に接続された複数の電池ユニットとを備える蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池容量制御装置および蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー(以下:再エネ)の普及に伴い再エネを有効活用するため余剰電力を貯蓄する蓄電池が必須である。今後の更なる再エネの普及により蓄電池の必要容量が従来以上に増加する。
【0003】
複数の二次電池が直列に接続された電池モジュールを充電する場合に、二次電池の電圧にばらつきがあると、一部の電池が過充電状態になることがある。そこで、電池の電圧を測定して電圧を均等化させるバランス補正装置および電圧測定装置が知られている。近年、電力のロスを抑制しつつ、蓄電セル間の電圧を均等化させるアクティブ方式のバランス補正回路が提案されている(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示のバランス補正回路は、充電装置から供給される電力で電池容量のバランスをとっている。そのため、外部からの電力供給がないと動作しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する実施形態は、以下の項目により示される。
【0007】
[項目1]
直列に接続された複数の電池ユニットの容量を制御する電池容量制御装置であって、
前記複数の電池ユニットには、第1電池ユニットと、前記第1電池ユニットに直列接続するとともに、前記第1電池ユニットから直流電力が供給される第2電池ユニットがあり、
前記第1電池ユニットの入力に接続する第1正極端子と、前記第1電池ユニットの出力および前記第2電池ユニットの入力に接続する第1負極端子とを有する第1入出力部と、前記第2電池ユニットの入力に接続する第2正極端子と、前記第2電池ユニットの出力に接続する第2負極端子とを有する第2入出力部との間で、前記第1入出力部から前記第2入出力部への第1電力変換、または、前記第2入出力部から前記第1入出力部への第2電力変換を行う双方向スイッチング部と、を備える双方向電力変換部と、
前記第1電池ユニットから前記第2電池ユニットに、または、前記第2電池ユニットから前記第1電池ユニットに電力を供給するように前記双方向電力変換部を制御する制御部と、
を備える電池容量制御装置。
[項目2]
前記制御部は、電池容量が多い前記電池ユニットから、電池容量が少ない前記電池ユニットに対して充電するように、前記双方向電力変換部を制御する、項目1に記載の電池容量制御装置。
[項目3]
前記第1電池ユニットの入力電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第2電池ユニットの入力電圧を検出する第2電圧センサと、
前記第1電池ユニットおよび前記第2電池ユニットを流れる電流を検出する電流センサと、を備え、
前記制御部は、第1電圧センサから得られる電圧値と、前記電流センサから得られる電流値に基づく電圧と電流曲線から、前記第1電池ユニットの電池容量を求め、且つ、第2電圧センサから得られる電圧値と、前記電流センサから得られる電流値に基づく電圧と電流曲線から、前記第2電池ユニットの電池容量を求める、項目2に記載の電池容量制御装置。
[項目4]
前記双方向電力変換部は、前記第1入出力部と接続するとともに、第1のコンデンサを含む第1平滑部と、前記第2入出力部と接続するとともに、第2のコンデンサを含む第2平滑部と、を備え、
前記双方向スイッチング部は、インダクタ及び絶縁用トランスを含み、前記第1平滑部または第2平滑部により平滑化された電圧をスイッチングして所定の出力電圧に電力変換するスイッチング部と、を備える、項目1~3の何れかに記載の電池容量制御装置。
[項目5]
前記第1および第2電池ユニットは、電池セルである、項目1~4の何れかに記載の電池容量制御装置。
[項目6]
前記第1および第2電池ユニットは、直列接続される2つ以上の電池セルを含む、項目1~4の何れかに記載の電池容量制御装置。
[項目7]
項目1~6の何れかの電池容量制御装置と、直列に接続された複数の電池ユニットとを備える蓄電システム。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態に係る電力制御装置は、外部からの電力供給が無い状態でも、直列接続される電池ユニット内で電池容量のバランスをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電池システムおよび電池容量制御装置の一例を示す図である。
【
図3】双方向電力変換部の構成例を示す回路図である。
【
図4A】
図2の双方向電力変換部を昇圧スイッチングさせるときの各半導体スイッチQ1~Q8の制御信号を示すタイミングチャートである。
【
図4B】
図2の双方向電力変換部を降圧スイッチングさせるときの各半導体スイッチQ1~Q8の制御信号を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る電池容量制御装置を、説明する。
【0011】
1.蓄電システム
図1に示される電池容量制御装置1は、直列接続した電池ユニットB1、B2、双方向電力変換部100、および制御部(「BMS:Battery Management System」に相当する)10を備える。蓄電システム1のうち、制御部10と双方向電力変換部100とを含む装置を、電力容量制御装置5という。蓄電システム1は、図示しない、蓄電池電力変換器(蓄電池パワーコンディショナともいう)と接続する。
【0012】
2.電池ユニット
図2は、電池ユニットの構成例を示す図である。
図2(A)は、電池ユニットが電池セルである事例を示す。
【0013】
図2(B)は、電池ユニットが直列に接続された電池セルの事例を示す。EV/PHEV等の電動車輌の普及も著しく蓄電池容量増加に対し電動車輌の蓄電池を共用することはコスト/流通面で好適である。一方、国内に普及する電動車輌は充電規格(CHAdeMO規格)の制約により上限電圧が450Vと定められているため400V級が一般的である。
【0014】
再エネの普及に対し400V級蓄電池のみで対応した場合には電流容量が増加の一途をたどることは容易に想定可能である。現状の大容量のインバータの直流側(太陽光パネル等)は750Vと高電圧である。電流容量の増加は使用する部品の大電流対応や敷設するケーブルの大口径化等を招き設置コストの増加となる。
【0015】
電流容量の増加を抑制するためには400V級蓄電池を多数直列接続することで充放電電圧の上昇に伴い電流は抑制可能である。但し、一般的に蓄電池は多数のセルを直列接続しておりセルの過充電/過放電を防止するために各セルのバランスを制御する必要がある。しかし、直列接続された電池ユニット間の容量/電圧バランス制御については対応が必要である。複数の蓄電池セルを直列接続した際には蓄電池間でも容量/電圧のバランス制御を行う必要がある。
【0016】
図2(C)は、電池ユニットが直列に接続された電池セルの事例を示す。
図2(C)に示す電池ユニットB1とB2は、電池容量が異なる。後述する制御部は、電池ユニットB1、B2の電力容量のうち、少ない容量の電池に充電するように動作するため、電池ユニットB1、B2は同じ容量である必要はない。
【0017】
3.制御部
制御部10は、直列接続した電池ユニットB1、B2の各々の電圧を監視する。電圧を監視するための、電圧センサS1、S2は、それぞれ、電池ユニットB1の入力側、電池ユニットB2の出力側に設けられ、電圧値を制御部10に送る。電流センサS3は、第1電池ユニットまたは前記第2電池ユニットを流れる電流を検出する電流センサである。制御部10は、電圧センサから得られる電圧値と、電流センサから得られる電流値に基づく電圧と電流曲線から、電池ユニットの電池容量を求めることができる。
【0018】
制御部10の制御は、例えば、電池ユニットB1の容量が10kWhであり、電池ユニットB2の容量が20kWhであった時、二つの蓄電池を満充電し直列に接続し放電した時には蓄電池1の容量がゼロになった場合、電池ユニットB2は20kWh-10kWh=10kWhの容量が存在する。そこで電池ユニットB2の容量の半分の5kWhを、双方向電力変換部を制御することで、電池ユニットB1へ充電することにより電池ユニットB1は5kWhの容量になりさらに放電可能となる。この結果として全体の容量は30kWh使用することが可能である。
【0019】
このように、制御部10と電力量の多い電池ユニットの電力量(Wh)を、電力量の少ない電池ユニットに、双方向電力変換部100を制御して送ることで、電池ユニット全体の電力量を利用することを可能にする。
【0020】
また、複数の直列接続の電池ユニットは、いずれかの電池の容量が無くなると、直列接続電池ユニットとしての使用電圧範囲から下に外れるため、使用できなくなる。本実施形態に係る電池容量制御装置は、容量の大きい電池ユニットから、容量の小さい電池ユニットに、充電することができるので、直列接続電池ユニットの可用性を上げることができる。
【0021】
電池容量の計算
電池容量の計算は、蓄電池の電圧と電流曲線を利用して、電圧にて推算可能である。本実施形態の対象は、電池ユニットであるため、蓄電セル単品の容量ではなく、電池ユニットを一つの電池とみたてて、電池の電力量を計算する。
【0022】
電池ユニットの状態に関する情報としては、電池ユニットの電圧値、電池ユニットを流れる電流値、電池ユニットの電池容量、電池ユニットの温度、電池ユニットの劣化状態、電池ユニットのSOC(State Of Charge)などを例示することができる。電池ユニットの電池容量としては、満充電状態における電池容量、電池ユニットの定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)などを例示することができる。電池ユニットの温度は、蓄電セルの内部又は表面の温度であってもよく、蓄電セルの周囲の空間又は蓄電セルの周囲に配された部材の温度であってもよい。蓄電セルの温度を測定するセンサは、蓄電セル毎に配されてもよく、1つのセンサにより測定された温度を、電池ユニットの温度として取り扱ってもよい。
【0023】
電池ユニットの劣化状態は、例えば、SOH(State Of Health)により表される。電池ユニットのSOH[%]は、劣化時の満充電容量[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。電池ユニットのSOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、制御部10は、電池ユニットの直流抵抗値に基づいて、電池ユニットのSOHを決定する。制御部10は、電池ユニットの開放電圧値に基づいて、電池ユニットのSOHを決定してもよい。電池ユニットのSOC[%]は、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。電池ユニットのSOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、制御部10は、電池ユニットの電圧の測定結果に基づいて、電池ユニットのSOCを決定する。制御部10は、電池ユニットの電圧のIV特性データに基づいて、電池ユニットのSOCを決定してもよい。制御部10は、電池ユニットの電流値の積算値に基づいて、電池ユニットのSOCを決定してもよい。
【0024】
4.双方向電力変換部
図3は、
図1の双方向電力変換部100の構成例を示す回路図である。
図3において、双方向電力変換部100は、第1平滑部C1と、双方向スイッチング部120と、第2平滑部C2と、制御部10と、を備える。以下の説明において、直流電流は、第1平滑部C1、スイッチング部120、第2平滑部C2に流れる説明を行う。第1平滑部C1および第2平滑部C2は、例えば、電解コンデンサで構成される。
【0025】
第1入出力部は、電池ユニットB1の入力に接続する正極端子と、電池ユニットB1の出力および電池ユニットB2の入力に接続する負極端子とを有するとともに、第2平滑部C2を有する。
第2入出力部は、電池ユニットB2の入力に接続する正極端子と、電池ユニットB2の出力に接続する負極端子とを有するとともに、第1平滑部C1を有する。
電池ユニットB1またはB2から出力される直流電流は、第1平滑部C1を介して双方向スイッチング部120に入力される。双方向スイッチング部120は制御部10により制御され、入力される直流電圧を交流電圧に変換した後、変化後の交流電圧を直流電圧に変換し、第1平滑部C2を介して、電池ユニットB1またはB2に出力する。なお、電池ユニットB1またはB2との直流電流の流れは、後述する。
【0026】
制御部10は、半導体スイッチQ1~Q8のための制御信号を発生して出力することにより、双方向電力変換部100の運転時に、双方向電力変換部100を、双方向コンバータとして動作させる。
【0027】
双方向スイッチング部120は、スイッチング部121,122と、絶縁用トランス113と、インダクタLs1、Ls2、巻線L1、L2とを備えて構成される。ここで、スイッチング部121は、例えば、ブリッジ形状で接続された4個のMOSFETである半導体スイッチQ1~Q4と、各半導体スイッチQ1~Q4に並列にそれぞれ接続された逆阻止用ダイオードD1~D4とを備える。半導体スイッチQ1~Q4は制御部10からの各制御信号によりオンオフ制御され、入力される直流電圧を交流電圧に変換してインダクタLs1を介して絶縁用トランス113の1次巻線L1に出力する。
【0028】
また、スイッチング部122は、ブリッジ形状で接続された4個のMOSTFETである半導体スイッチQ5~Q8と、各半導体スイッチQ5~Q8に並列にそれぞれ接続された逆阻止用ダイオードD5~D8とを備える。半導体スイッチQ5~Q8は制御部10からの各制御信号によりオンオフ制御され、入力される直流電圧を交流電圧に変換して第2平滑部C2を介して、電池ユニットB1またはB2に出力する。
【0029】
図4Aは、双方向電力変換部100を昇圧スイッチングさせるときの各半導体スイッチQ1~Q8の制御信号を示すタイミングチャートである。
図3Aに示すように、昇圧スイッチングにおいて、半導体スイッチQ1,Q4の各制御信号と、半導体スイッチQ2,Q3の各制御信号とは互いに反転するように制御され、半導体スイッチQ1,Q4の各制御信号の立ち上がりエッジから所定の位相差(以下、「昇圧スイッチングの位相差」という)t1だけ遅延された時刻で半導体スイッチQ5の制御信号が立ち下がる一方、半導体スイッチQ7の制御信号が立ち上がる。
【0030】
図4Bは、双方向電力変換部100を降圧スイッチングさせるときの各半導体スイッチQ1~Q8の制御信号を示すタイミングチャートである。
図3Bに示すように、降圧スイッチングにおいて、半導体スイッチQ1の制御信号と、半導体スイッチQ2(3)の制御信号とは互いに反転するように制御され、半導体スイッチQ3(2)の制御信号と、半導体スイッチQ4の制御信号とは互いに反転するように制御され、ここで、半導体スイッチQ1の制御信号の立ち上りエッジ(もしくは、半導体スイッチQ2(3)の制御信号の立ち下りエッジ)から所定の位相差(以下、「降圧スイッチングの位相差」という)t2だけ遅延された時刻で半導体スイッチQ3(2)の制御信号が立ち下る(もしくは、半導体スイッチQ4の制御信号が立ち上る)。
【0031】
蓄電ユニットからの直流電流が、第2平滑部C2から、スイッチング部120、第1平滑部C1に流れる場合も、同様である。電流の向きが異なるだけであり、動作原理は同じである。
【0032】
5.充電メカニズム
5.1 電池ユニットB1から電池ユニットB2を充電するメカニズム
電力容量制御装置5は、2種類の動作モード(電流経路R1/電流経路R2)で交互に電流を供給し電池ユニットB1から電池ユニットB2への充電を行う。
【0033】
電流経路1(R1)での充電
図5A、電流経路1の例を示す図である。電池ユニットB1のプラスラインから出力された電流は半導体スイッチQ5とQ8を経由してトランスに流れる。トランスに流れた電流は半導体スイッチQ3とQ2を経由して電池ユニットB2に充電される。
【0034】
電流経路2(R2)での充電
図5B、電流経路2の例を示す図である。蓄電池ユニットB1のプラスラインから出力された電流は半導体スイッチQ7とQ6を経由してトランスに流れる。トランスに流れた電流は半導体スイッチQ1とQ4を経由して電池ユニットB2に充電される。
【0035】
電流経路1と電流経路2での充電を交互に行うことで、電池ユニットB1から、電池ユニットB2に充電を行う。
【0036】
5.2 蓄電池2から蓄電池1を充電するメカニズム
電力容量制御装置5は、蓄電池1から蓄電池2への充電と同様に2種類の動作モード(電流経路3/電流経路4)で交互に電流を供給し蓄電池1から蓄電池2への充電を行る。
【0037】
電流経路3(R3)での充電
図5C、電流経路3の例を示す図である。
電池ユニットB1のプラスラインから出力された電流は半導体スイッチQ3とQ2を経由してトランスに流れる。トランスに流れた電流は半導体スイッチQ5とQ8を経由して蓄電池2に充電される。
【0038】
電流経路4(R4)での充電
図5D、電流経路4の例を示す図である。
電池ユニットB1のプラスラインから出力された電流は半導体スイッチQ1とQ4を経由してトランスに流れる。トランスに流れた電流は半導体スイッチQ7とQ6を経由して蓄電池2に充電される。
【0039】
このように、電流経路3と電流経路4での充電を交互に行うことで、電池ユニットB2から、電池ユニットB1に充電を行う。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 蓄電システム
5 電力容量制御装置
10 制御部
100 双方向電力変換部
120 スイッチング部
B1、B2 電池ユニット
Q1~Q8 半導体スイッチ