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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004102
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/08 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
G03G21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103580
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】国森 修
【テーマコード(参考)】
2H035
【Fターム(参考)】
2H035AA08
2H035AB02
2H035AC03
2H035AC04
(57)【要約】
【課題】省電力化する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像データに基づいて感光ドラム12の表面を露光して静電潜像を形成し該静電潜像を現像してトナー画像を用紙Sに転写する画像形成装置1において、転写後の感光ドラム12の表面に残留した電荷をON状態において除去する一方、転写後の感光ドラム12の表面に残留した電荷をOFF状態よりも除去しない除電部40と、静電潜像によるトナー画像が用紙Sに転写された後の表面が除電部40に達した際に、感光ドラム12の回転に対する今回の静電潜像を形成し転写を行った画像データと次回の静電潜像を形成する前の画像データとに基づき、除電部40のON状態及びOFF状態を制御する制御部32とを設ける。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて像担持体の表面を露光して潜像パターンを形成し該潜像パターンを現像して現像剤画像を媒体に転写する画像形成装置において、
転写後の前記像担持体の表面に残留した電荷を第1の状態において除去する一方、転写後の前記像担持体の表面に残留した電荷を第2の状態において前記第1の状態よりも除去しない除電部と、
前記潜像パターンによる前記現像剤画像が前記媒体に転写された後の前記表面が前記除電部に達した際に、前記像担持体の回転に対する今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データと次回の前記潜像パターンを形成する前の画像データとに基づき、前記除電部の前記第1の状態及び前記第2の状態を制御する制御部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記像担持体における主走査方向の所定の領域内の少なくとも一部分において今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データでは現像剤が付着せず、且つ、前記像担持体における前記領域内の全範囲において次回の前記潜像パターンを形成する前の画像データでは現像剤が付着しない場合、前記除電部における前記領域に対応した箇所を前記第2の状態とする
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記像担持体における前記主走査方向の所定の領域内の全範囲において今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データでは現像剤が付着した場合、前記除電部における前記領域に対応した箇所を前記第2の状態とする
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記像担持体における前記領域内の全範囲において今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データでは現像剤が付着し、且つ、前記像担持体における前記領域内の少なくとも一部分において次回の前記潜像パターンを形成する前の画像データでは現像剤が付着する場合、前記除電部における前記領域に対応した箇所を前記第2の状態とする
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記像担持体における前記領域内の全範囲において今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データでは現像剤が付着し、且つ、前記像担持体における前記領域内の全範囲において次回の前記潜像パターンを形成する前の画像データでは現像剤が付着しない場合、前記除電部における前記領域に対応した箇所を前記第2の状態とする
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記像担持体における前記主走査方向の所定の領域内の少なくとも一部分において今回の前記潜像パターンを形成し転写を行った画像データでは現像剤が付着せず、且つ、前記像担持体における前記領域内の少なくとも一部分において次回の前記潜像パターンを形成する前の画像データでは現像剤が付着する場合、前記除電部における前記領域に対応した箇所を前記第1の状態とする
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記除電部は、
前記主走査方向に関し所定の範囲毎の領域に分割され該領域毎に前記第1の状態又は前記第2の状態となり、
前記制御部は、
前記除電部における前記領域毎に前記第1の状態及び前記第2の状態を制御する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記除電部は、
転写後の前記像担持体の表面に残留した電荷を前記第1の状態において前記像担持体の表面に光を照射することにより除去する一方、転写後の前記像担持体の表面に残留した電荷を前記第2の状態において前記像担持体の表面に光を照射しないことにより除去しない
請求項1に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば転写後の感光ドラムの表面に残留した電荷を除去する場合に利用できる。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、感光ドラムから媒体へトナー画像を転写してから該感光ドラムを再度帯電させるまでの間に、除電部により感光ドラムを除電して感光ドラムの表面に残留する電荷を落とし、感光ドラムの表面の電荷レベルを一様にするものが知られている。このような画像形成装置としては、除電部で除電する直前において感光ドラムに形成した画像データに基づき、除電部のON/OFFを切り替えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-271358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像形成装置においては、より省電力化することが望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、省電力化し得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、画像データに基づいて像担持体の表面を露光して潜像パターンを形成し該潜像パターンを現像して現像剤画像を媒体に転写する画像形成装置において、転写後の像担持体の表面に残留した電荷を第1の状態において除去する一方、転写後の像担持体の表面に残留した電荷を第2の状態において第1の状態よりも除去しない除電部と、潜像パターンによる現像剤画像が媒体に転写された後の表面が除電部に達した際に、像担持体の回転に対する今回の潜像パターンを形成し転写を行った画像データと次回の潜像パターンを形成する前の画像データとに基づき、除電部の第1の状態及び第2の状態を制御する制御部とを設けるようにした。
【0007】
本発明は、今回の潜像パターンを形成し転写を行った画像データにおいて印字データが無く、且つ、次回の潜像パターンを形成する前の画像データにおいて印字データが無い領域に対応した除電部のランプ部をOFF状態とすることにより、該ランプ部を発光させないようにできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、省電力化し得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の内部構成を示す左側面図である。
図2】(A)は除電部及び感光ドラムの構成を示し、(B)は今回画像形成時の感光ドラム表面に形成された黒色の画像パターンを示し、(C)は次回画像形成時の感光ドラム表面に形成された黒色の画像パターンを示す。
図3】除電部の詳細な構成を示す図である。
図4】印字データの有無と除電の要否との関係を示す表である。
図5】ランプ部の動作状態を示す表である。
図6】除電処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0011】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、所謂ダイレクトタンデム方式のカラープリンタであり、略箱型の装置筐体2を有している。以下の画像形成装置1の説明においては、画像形成装置1のうち利用者が装置筐体2の正面に対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。画像形成装置1は、制御部32により全体を統括制御する。この制御部32は、CPU(Central Processing Unit)42(図3)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。また制御部32は、RAMに格納された画像データに基づいて、印刷処理及び除電処理を実行する。
【0012】
装置筐体2内の下側には、給紙部4が設けられている。給紙部4は、給紙カセット5、給紙ローラ6及びレジストローラ7等で構成されており、給紙ローラ6を回動させることより給紙カセット5から用紙Sを搬出し、給紙センサでその走行を検出してレジストローラ7まで搬送する。
【0013】
また装置筐体2内には、用紙Sの表面に印刷対象のカラー画像を印刷するようにして印刷画像を形成するための画像形成部11が設けられている。画像形成部11は、印刷画像のそれぞれ異なる色成分であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)を表す静電潜像をトナーを用いて現像して印刷ジョブに対応するトナー画像を形成する4個の画像形成ユニット3(画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3C)が、前側(上流側)から後側(下流側)へ順に並ぶように配設されている。画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3Cは、静電潜像の現像に異なる色のトナーを用いることを除いて同様に構成されており、装置筐体2内の上端部に、前側から後側へ順に並び着脱可能に装着されている。画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3Cは、印刷画像の形成時、感光ドラム12を回転させながら、LED(Light Emitting Diode)素子が主走査方向に並んだプリントヘッド13により感光ドラム12の表面を露光して印刷画像の所定の色成分を表す静電潜像を形成すると共に、その静電潜像をトナーを用いて現像してトナー画像を形成する。このプリントヘッド13は、装置筐体2の上部に設けられたカバー8が閉じられた際に現像装置14に近接し、帯電された感光ドラム12の表面を画像データに基づいて露光して静電潜像を形成する。
【0014】
また画像形成部11には、画像形成ユニット3Kの下から画像形成ユニット3Cの下までに亘って、画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3Cにより形成されたトナー画像を用紙Sの表面に転写する転写部10が配置されている。転写部10は、画像形成ユニット3Cの後斜め下及び画像形成ユニット3Kの前斜め下に、それぞれドライブローラ15及びテンションローラ16が回転可能に設けられている。また転写部10は、ドライブローラ15からテンションローラ16に亘り、用紙Sをトナー画像の転写用に静電吸着して搬送する無端状の搬送ベルト9が張架されている。搬送ベルト9は、ドライブローラ15の回転駆動によりベルト進行方向Dbに沿って搬送される。
【0015】
画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3Cは、静電潜像の現像に用いるトナーの色が異なるだけで同一に構成されている。このため以下では、画像形成ユニット3K、3Y、3M及び3Cをまとめて画像形成ユニット3として説明する。画像形成ユニット3は、現像装置14とトナーカートリッジ17とを有している。現像装置14は、略J字形状に形成されたケースを有し、供給ローラ18、現像ローラ19、感光ドラム12、帯電ローラ20、クリーニング部21及び除電部40が設けられている。供給ローラ18は、トナーカートリッジ17に収容されたトナーを現像ローラ19側へ供給する。帯電ローラ20は、感光ドラム12の表面を一様に帯電する。現像ローラ19は、トナーを帯電させ、感光ドラム12上に形成された静電潜像上に静電的に付着させて、一定層厚のトナー画像を形成する。クリーニング部21は、転写後に感光ドラム12の表面に残留したトナーを除去する。感光ドラム12は、静電潜像を担持し、また該静電潜像をトナーによって現像して得られるトナー画像を担持する。
【0016】
除電部40は、主走査方向である左右方向に沿って複数のLED素子が整列配置されたイレーズランプにより構成され、感光ドラム12に対向するように配されており、制御部32の制御に基づき各LED素子を点灯又は消灯させる。この除電部40は、LED素子を点灯させて感光ドラム12の表面に除電光を照射することにより、感光ドラム12が画像形成で使用された後に表面に残留した電荷を除去し、感光ドラム12の表面の電位をリセットする。これにより除電部40は、感光ドラム12の表面の電位を帯電前の状態に戻す。
【0017】
ここで、本実施の形態による画像形成装置1は、反転現像方式で動作している。反転現像方式とは、感光ドラム12における露光により電荷が除去された部分にトナーを付着させる現像方式である。反転現像方式の場合、感光ドラム12から用紙Sへのトナー画像の転写後には、感光ドラム12の表面においてプリントヘッド13により露光されずトナーが付着しなかった領域である非トナー付着領域に電荷が残留している。このため除電部40は、感光ドラム12の表面における非トナー付着領域を露光する必要がある。
【0018】
また転写部10において搬送ベルト9の内側には、4個の感光ドラム12に対応する4個の転写ローラ22が、前側から後側へ順に並び回転可能に設けられている。これにより転写部10は、印刷画像の形成時、搬送ベルト9によって搬送される用紙Sを転写ローラ22の表面の上側部分と、対応する4個の感光ドラム12の表面の下側部分との間に順に挟み込みながら、該転写ローラ22への転写バイアス電圧の印加により4個の感光ドラム12の表面上のトナー画像を用紙Sの表面に転写する。
【0019】
かかる構成において、画像形成ユニット3は、トナーカートリッジ17から現像装置14にトナーを供給する。続いて画像形成ユニット3は、感光ドラム12を回転させながら、帯電ローラ20により該感光ドラム12の表面を一様に帯電させ、プリントヘッド13により該感光ドラム12の表面を画像データに基づいて露光して静電潜像を形成する。続いて画像形成ユニット3は、現像バイアス電圧を現像ローラ19に印加することにより、感光ドラム12上に形成された静電潜像上に、供給ローラ18により供給されたトナーを静電的に付着させてトナー画像を形成する。さらに画像形成ユニット3は、搬送ベルト9によって搬送される用紙Sを転写ローラ22と感光ドラム12との間に挟み込み、感光ドラム12の表面上のトナー画像を用紙Sの表面に転写する。このようにして転写部10は、用紙Sの表面に4色分のトナー画像を転写して、該トナー画像を転写した用紙Sを定着ユニット23に引き渡す。
【0020】
画像形成部11には、転写部10の後方に、トナー画像を用紙Sの表面に定着させる定着ユニット23が配置されている。定着ユニット23は、定着ユニット筐体24のほぼ中央部に用紙Sを通すための用紙通路が形成され、定着ローラ25が設けられている。この定着ローラ25は、用紙通路の上側に回転可能に設けられた加熱ローラ26と、用紙通路の下側に回転可能に設けられた加圧ローラ27とにより構成されている。これにより定着ユニット23は、印刷画像の形成時、転写部10から表面にトナー画像が転写された用紙Sを用紙通路内に取り込んで、互いに逆回転している加熱ローラ26及び加圧ローラ27の間に挟み込む。そして定着ユニット23は、その用紙Sを、互いに逆回転している加熱ローラ26及び加圧ローラ27の間で加熱しながら加圧することにより、該用紙Sの表面にトナー画像を定着させる。定着ユニット23は、用紙Sの表面に4色分のトナー画像を定着させて印刷画像を形成し、該印刷画像を形成した用紙Sを、切替板28を介して上方の排出ユニット部30又は下方の両面印刷ユニット29に受け渡す。
【0021】
かかる構成において画像形成装置1は、給紙カセット5に収められた用紙Sを給紙部4により画像形成部11に搬送する。画像形成部11は、搬送ベルト9により用紙Sを搬送しながら、画像形成ユニット3の現像装置14により用紙S上にトナーを転写する。用紙Sは、搬送ベルト9により定着ユニット23に搬送される。定着ユニット23は、用紙Sが通過する際、該用紙S上に載ったトナーを高温により用紙Sに定着させる。用紙Sは、切替板28により搬送方向が切り替えられ、排出ユニット部30へ搬送された後に用紙受渡部31へ排出されるか、又は両面印刷ユニット29へ搬送される。両面印刷ユニット29へ搬送された用紙Sは、画像形成部11へ再度搬送され用紙反対面の画像形成が行われ、定着ユニット23を再度通過した後に用紙受渡部31へ排出される。画像形成装置1は、用紙S上にトナーを転写した後、感光ドラム12の表面に残留する電荷を感光ドラム12を回転させつつ除電部40により除去した後に、感光ドラム12の表面を帯電ローラ20により再度一様に帯電する。
【0022】
[2.除電部の構成]
ところで、感光ドラム12においては、用紙Sが搬送される方向に直交する主走査方向(左右方向)に関し、印刷結果において1ページ分の画像を形成可能な領域である画像形成領域が所定の範囲に亘り設定されている。この画像形成領域は、主走査方向の範囲が、プリントヘッド13の右端のLED素子から左端のLED素子までの範囲と対応している。
【0023】
図2(A)に示すように、除電部40は、全体として主走査方向dmの長さが感光ドラム12上の画像形成領域の主走査方向dmの範囲である最大記録幅の範囲を照射するよう設置されている。また除電部40は、複数(本実施の形態においては例えば3つ)のランプ部LP(ランプ部LP1、LP2及びLP3)に分割されており、各ランプ部LPが感光ドラム12上の主走査方向dmの異なる領域を照射する。具体的に、ランプ部LP1は、感光ドラム12上の主走査方向dmの一端側の3分の1の範囲を照射し、ランプ部LP2は、感光ドラム12上の主走査方向dmの中央部分の3分の1の範囲を照射し、ランプ部LP3は、感光ドラム12上の主走査方向dmの他端側の3分の1の範囲を照射する。以下では、ランプ部LP1、LP2及びLP3をまとめてランプ部LPとも呼ぶ。
【0024】
また、感光ドラム12の表面において、ランプ部LP1、LP2及びLP3と同一の主走査方向dmの領域を、それぞれ分割感光領域AR1、AR2及びAR3とする。以下では、分割感光領域AR1、AR2及びAR3をまとめて分割感光領域ARとも呼ぶ。
【0025】
図3に示すように、除電部40は、ランプ部LP1、LP2及びLP3を有しており、各ランプ部LPは、3つのLED素子が主走査方向dmに沿って直列に接続されている。また除電部40は、ランプ部LP1、LP2及びLP3が全体として主走査方向dmに一列に配置されている。ランプ部LP1、LP2及びLP3は、それぞれ、スイッチSW1、SW2及びSW3に接続されている。以下では、スイッチSW1、SW2及びSW3をまとめてスイッチSWとも呼ぶ。各スイッチSWは、CPU42の対応する各ポートと接続されている。CPU42は、各ポートからイレーズ信号S1、S2及びS3を送信して各スイッチSWのON/OFFを制御することにより、各スイッチSWに対応するランプ部LPの全てのLED素子のON/OFFを切り替え、ランプ部LPをON/OFFさせる。以下では、イレーズ信号S1、S2及びS3をまとめてイレーズ信号Sとも呼ぶ。例えば、イレーズ信号SがHighの場合にスイッチSWはONとなり、イレーズ信号SがLowの場合にスイッチSWはOFFとなる。
【0026】
図2(B)に、感光ドラム12の表面に形成された今回画像形成時(後述する)の黒色の画像パターンの一例を示す。周方向単位領域ARs31~ARs39(以下ではまとめて周方向単位領域ARsとも呼ぶ)は、感光ドラム12の表面を周方向に所定の等間隔で分割した領域である。周方向単位領域ARsは、図2(B)における上下方向(すなわち感光ドラム12の周方向)の幅が感光ドラム12の複数の主走査ラインに跨る範囲の領域である。また図2(C)に、感光ドラム12の表面に形成された次回画像形成時(後述する)の黒色の画像パターンの一例を示す。図2(B)においては、黒色の画像パターンが形成され感光ドラム12の表面にトナーが付着するトナー付着領域ARtと、黒色の画像パターンが形成されず感光ドラム12の表面にトナーが付着しない非トナー付着領域ARnとが形成されている。また図2(C)においても、図2(B)とは画像パターンの配置は異なるものの、トナー付着領域ARtと非トナー付着領域ARnとが形成されている。
【0027】
制御部32は、感光ドラム12が回転し周方向単位領域ARsが除電部40のランプ部LPの照射位置に到達する直前に、該周方向単位領域ARsの各分割感光領域ARにおける今回画像形成時の画像データと次回画像形成時の画像データとを確認して該周方向単位領域ARsの各分割感光領域ARを除電するか否かを判定し、除電すると判定した場合、該周方向単位領域ARsの各分割感光領域ARに除電光を照射することにより除電する。
【0028】
ここで、今回画像形成時の画像データとは、感光ドラム12におけるある周方向単位領域ARs(例えば周方向単位領域ARs31)について、該周方向単位領域ARsが前回除電部40を通過してから現在までの間における該周方向単位領域ARsの画像データである。この画像データにおいて、印字されるデータである印字データがある領域はトナー付着領域ARtなり、印字データがない領域は非トナー付着領域ARnとなる。また、次回画像形成時の印字データとは、感光ドラム12におけるある周方向単位領域ARs(例えば周方向単位領域ARs31)について、該周方向単位領域ARsが次に除電部40を通過してからさらに次に除電部40を通過するまでの間における該周方向単位領域ARsの画像データである。
【0029】
具体的に制御部32は、RAMに格納された画像データを参照し、感光ドラム12において除電部40に到達する直前の1つの周方向単位領域ARs(例えば周方向単位領域ARs31)における各分割感光領域AR(判定対象分割感光領域とも呼ぶ)における今回画像形成時の画像データと次回画像形成時の画像データとを確認する。
【0030】
このとき、判定対象分割感光領域内の全範囲において今回画像形成時に印字データが存在する場合は、該判定対象分割感光領域では全範囲において画像が形成されたこととなる。このような判定対象分割感光領域は、該判定対象分割感光領域内の全範囲においてトナーが付着した全域トナー付着分割感光領域ARtp(図5)となる。
【0031】
また、判定対象分割感光領域内の少なくとも一部分において次回画像形成時に印字データが存在する場合は、該判定対象分割感光領域では少なくとも一部分に画像が形成されることとなる。このような判定対象分割感光領域は、該判定対象分割感光領域内のすなわち少なくとも一部分にトナーが付着する予定のトナー付着予定分割感光領域ARtf(図5)となる。
【0032】
一方、判定対象分割感光領域内の少なくとも一部分において今回画像形成時に印字データが存在しない場合は、該判定対象分割感光領域では少なくとも一部分に画像が形成されなかったこととなる。このような判定対象分割感光領域は、該判定対象分割感光領域内の少なくとも一部分にトナーが付着しなかった非トナー付着分割感光領域ARnp(図5)となる。
【0033】
また、判定対象分割感光領域内の全範囲において次回画像形成時に印字データが存在しない場合は、該判定対象分割感光領域では一部分にも画像が形成されないこととなる。このような判定対象分割感光領域は、一部分にもトナーが付着しない予定の全域トナー非付着予定分割感光領域ARnf(図5)となる。
【0034】
制御部32は、RAMに格納された画像データを参照し、図4の印字データ有無パターン1に示すように、判定対象分割感光領域が全域トナー付着分割感光領域ARtp且つトナー付着予定分割感光領域ARtfである場合、該判定対象分割感光領域は、次回画像形成時には画像が形成される(すなわちトナーが付着する)ものの今回画像形成時において電位が帯電前の状態に戻されているために、電位を帯電前の状態に戻す必要がないため、除電部40により除電を行わないと判定する。
【0035】
また制御部32は、印字データ有無パターン2(図4)に示すように、判定対象分割感光領域が全域トナー付着分割感光領域ARtp且つ全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである場合、該判定対象分割感光領域は、次回画像形成時には画像が形成されない(すなわちトナーが付着しない)ために電位を帯電前の状態に戻す必要がないため、除電部40により除電を行わないと判定する。
【0036】
さらに制御部32は、印字データ有無パターン3(図4)に示すように、判定対象分割感光領域が非トナー付着分割感光領域ARnp且つトナー付着予定分割感光領域ARtfである場合、該判定対象分割感光領域は、次回画像形成時には画像が形成される(すなわちトナーが付着する)と共に今回画像形成時において少なくとも一部分の電位が帯電前の状態に戻されていないために、電位を帯電前の状態に戻す必要があるため、除電を行うと判定する。
【0037】
さらに制御部32は、印字データ有無パターン4(図4)に示すように、判定対象分割感光領域が非トナー付着分割感光領域ARnp且つ全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである場合、該判定対象分割感光領域は、今回画像形成時において少なくとも一部分の電位が帯電前の状態に戻されていないものの次回画像形成時には画像が形成されない(すなわちトナーが付着しない)ために、電位を帯電前の状態に戻さないとしても印字品質は劣化しないため、除電部40により除電を行わないと判定する。
【0038】
図2(B)及び(C)に示した黒色の画像パターンの場合の除電部40のランプ部LPの動作状態を図5に示す。
【0039】
周方向単位領域ARs31においては、全ての分割感光領域ARにおいて今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。このため制御部32は、周方向単位領域ARs31が除電部40のランプ部LPの照射位置を通過する際、全てのランプ部LPをOFFにすることにより、周方向単位領域ARs31の全ての分割感光領域ARに除電光を照射しないようにする。
【0040】
周方向単位領域ARs32及びARs33においては、分割感光領域AR1において今回画像形成時が全域トナー付着分割感光領域ARtpであり次回画像形成時がトナー付着予定分割感光領域ARtfである。また周方向単位領域ARs32及びARs33においては、分割感光領域AR2において今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時がトナー付着予定分割感光領域ARtfである。さらに周方向単位領域ARs32及びARs33においては、分割感光領域AR3において今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。このため制御部32は、周方向単位領域ARs32及びARs33がランプ部LPの照射位置を通過する際、ランプ部LP1及びLP3をOFFにすることにより分割感光領域AR1及びAR3に除電光を照射しないようにすると共に、ランプ部LP2をONにすることにより分割感光領域AR2に除電光を照射する。
【0041】
周方向単位領域ARs34~ARs36においては、周方向単位領域ARs31と同様に全ての分割感光領域ARにおいて今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。このため制御部32は、周方向単位領域ARs34~ARs36がランプ部LPの照射位置を通過する際、全てのランプ部LPをOFFにすることにより、周方向単位領域ARs34~ARs36の全ての分割感光領域ARに除電光を照射しないようにする。
【0042】
周方向単位領域ARs37においては、分割感光領域AR1において今回画像形成時が全域トナー付着分割感光領域ARtpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。また周方向単位領域ARs37においては、分割感光領域AR2において今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。さらに周方向単位領域ARs37においては、分割感光領域AR3において今回画像形成時が非トナー付着分割感光領域ARnpであり次回画像形成時がトナー付着予定分割感光領域ARtfである。このため制御部32は、周方向単位領域ARs37がランプ部LPの照射位置を通過する際、ランプ部LP1及びLP2をOFFにすることにより分割感光領域AR1及びAR2に除電光を照射しないようにすると共に、ランプ部LP3をONにすることにより分割感光領域AR3に除電光を照射する。
【0043】
周方向単位領域ARs38及びARs39においては、分割感光領域AR1において今回画像形成時が全域トナー付着分割感光領域ARtpであり次回画像形成時が全域トナー非付着予定分割感光領域ARnfである。また周方向単位領域ARs38及びARs39においては、分割感光領域AR2及びAR3において今回画像形成時が全域トナー付着分割感光領域ARtpであり次回画像形成時がトナー付着予定分割感光領域ARtfである。このため制御部32は、周方向単位領域ARs38及びARs39がランプ部LPの照射位置を通過する際、全てのランプ部LPをOFFにすることにより、周方向単位領域ARs38及びARs39の全ての分割感光領域ARに除電光を照射しないようにする。
【0044】
[3.除電処理手順]
次に、画像形成装置1による除電処理手順RT1について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。制御部32は、ROMから除電処理プログラムを読み出して実行することにより図6に示す除電処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0045】
ステップSP1において制御部32は、除電部40のランプ部LPの照射位置に到達する直前における周方向単位領域ARsに関し、各分割感光領域ARである判定対象分割感光領域において今回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行ったか(すなわち印字データがあったか)否かを判定する。まず制御部32は、分割感光領域AR1を判定対象分割感光領域とし、該分割感光領域AR1の全範囲において今回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行ったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、分割感光領域AR1の全範囲において今回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行ったため感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1において除電は不要であることを表し、このとき制御部32は、ステップSP2へ移る。ステップSP2において制御部32は、感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対する除電は不要であり除電光を点灯させる必要はないと判断し、ステップSP3へ移る。ステップSP3において制御部32は、感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対応したランプ部LP1をOFFに制御し、ステップSP9へ移る。
【0046】
一方、ステップSP1において否定結果が得られると、このことは、判定対象分割感光領域において今回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行っていないため感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対し除電を行う必要がある可能性があることを表し、このとき制御部32は、ステップSP4へ移る。
【0047】
ステップSP4において制御部32は、判定対象分割感光領域の少なくとも一部分において次回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行うか(すなわち印字データがあるか)否かを判定する。実際上、制御部32は、現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1において次回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行うか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、分割感光領域AR1において次回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行うため感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対し除電は必要であることを表し、このとき制御部32は、ステップSP5へ移る。ステップSP5において制御部32は、感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対する除電は必要であり除電光を点灯させる必要があると判断し、ステップSP6へ移る。ステップSP6において制御部32は、感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対応したランプ部LP1をONに制御し、ステップSP9へ移る。
【0048】
一方、ステップSP4において否定結果が得られると、このことは、分割感光領域AR1において次回画像形成時に画像データに基づき画像形成を行わないため感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対し除電を行う必要がないことを表し、このとき制御部32は、ステップSP7へ移る。ステップSP7において制御部32は、感光ドラム12の現在の判定対象分割感光領域である分割感光領域AR1に対する除電は不要であり除電光を点灯させる必要はないと判断し、ステップSP8へ移る。ステップSP8において制御部32は、感光ドラム12の分割感光領域AR1の除電部40をOFFに制御し、ステップSP9へ移る。
【0049】
ステップSP9において制御部32は、現在の判定対象分割感光領域における全ての分割感光領域ARにおいてランプ部LPのON/OFFの制御を行ったか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、ランプ部LP40のON/OFFの制御を行う分割感光領域ARがまだ存在していることを表し、このとき制御部32は、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。実際上、分割感光領域AR1における判断を完了した場合、制御部32は、ステップSP1へ戻り、判定対象分割感光領域を分割感光領域AR2へ変更し、分割感光領域AR2における判断を行い、分割感光領域AR2における判断を完了した場合、制御部32は、ステップSP1へ戻り、判定対象分割感光領域を分割感光領域AR3へ変更し、分割感光領域AR3における判断を行う。
【0050】
一方、ステップSP9において肯定結果が得られると、このことは、現在の判定対象分割感光領域における全ての分割感光領域ARにおいてランプ部LPのON/OFFの制御を行ったことを表し、このとき制御部32は、ステップSP10へ移り、除電処理手順RT1を終了する。これ以降も制御部32は、次の周方向単位領域ARsが除電部40のランプ部LPの照射位置に到達する直前における該周方向単位領域ARsに対する判断を繰り返し行う。
【0051】
[4.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、今回画像形成時において、感光ドラム12に画像が形成されず印字データが無い状態であり、且つ、感光ドラム12の次回画像形成時においても、同様に感光ドラム12に画像が形成されず印字データが無い状態である分割感光領域ARは、除電部40において該分割感光領域ARと同一の主走査方向dmの範囲に位置するランプ部LPをOFF状態とし、LED素子を点灯させないようにした。
【0052】
このため画像形成装置1は、今回画像形成時において印字データが無い状態であり、且つ、次回画像形成時においても印字データが無い状態である分割感光領域ARに対し、ランプ部LPのLED素子を点灯させる場合と比較して、ランプ部LPをOFFにする機会を増加させることができる。これにより画像形成装置1は、除電部40における除電光の発光時間を低減させることができ、消費電力を低減できる。また画像形成装置1は、感光ドラム12に除電光が照射される時間を短縮させることができるため、感光ドラム12を長寿命化できると共に、除電部40の除電光の発光時間を低減させて除電部40を長寿命化できる。
【0053】
ここで、次回画像形成時において画像が形成されず印字データが無い予定の分割感光領域ARは、今回画像形成時において画像が形成されず印字データが無い状態であり、感光ドラム12の表面が帯電されていたとしても、この分割感光領域ARにおいては次回画像形成時においても感光ドラム12に画像が形成されないため、この分割感光領域ARにおいては印字不良となることはなく、使用上問題にならない。このため画像形成装置1は、そのような分割感光領域ARに対し除電光を照射する必要がなく、除電光を照射しなかったとしても、その分割感光領域ARにおいて印字不良を考慮する必要はない。
【0054】
ここで、従来の画像形成装置における除電部の制御と、本実施の画像形成装置1における除電部40の制御との比較を、図4に示す。印字データ有無パターン1、印字データ有無パターン2及び印字データ有無パターン3の場合、従来の画像形成装置における除電部と、本実施の形態による画像形成装置1との除電部40の制御は同一となっている。一方、印字データ有無パターン4の場合、今回画像形成時に印字データが無く、且つ、次回画像形成時に印字データが無い場合、従来の画像形成装置では除電部で除電を行うのに対し、画像形成装置1では除電部40で除電を行わないため、互いの除電部40の制御は異なっている。
【0055】
また、そのような従来の画像形成装置において、図2(B)及び(C)に示した黒色の画像パターンが感光ドラム12に形成された場合の除電部のランプ部LPの動作状態を図5に示す。図5においてハッチングを付した部分が、従来の画像形成装置においてはランプ部LPをONにしていたのに対し、本実施の形態による画像形成装置1においてはランプ部LPをOFFにする部分である。図5においてハッチングを付したように、本実施の形態による画像形成装置1は、従来の画像形成装置と比較して、ランプ部LPをOFFにする機会が増加している。
【0056】
以上の構成によれば画像形成装置1は、画像データに基づいて像担持体としての感光ドラム12の表面を露光して潜像パターンとしての静電潜像を形成し該静電潜像を現像して現像剤画像としてのトナー画像を媒体としての用紙Sに転写する画像形成装置1において、転写後の感光ドラム12の表面に残留した電荷を第1の状態としてのON状態において除去する一方、転写後の感光ドラム12の表面に残留した電荷を第2の状態としてのOFF状態よりも除去しない除電部40と、静電潜像によるトナー画像が用紙Sに転写された後の表面が除電部40に達した際に、感光ドラム12の回転に対する今回の静電潜像を形成し転写を行った画像データと次回の静電潜像を形成する前の画像データとに基づき、除電部40のON状態及びOFF状態を制御する制御部32とを設けるようにした。
【0057】
これにより画像形成装置1は、今回の静電潜像を形成し転写を行った画像データにおいて印字データが無く、且つ、次回の静電潜像を形成する前の画像データにおいて印字データが無い分割感光領域ARに対応した除電部40のランプ部LPをOFF状態とすることにより、該ランプ部LPを発光させないようにできる。
【0058】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、除電部40のランプ部LPの照射位置に到達する直前の周方向単位領域ARs毎に、各分割感光領域ARを除電するか否かを判定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、各分割感光領域ARを除電するか否かを、全ての各分割感光領域ARをまとめて感光ドラム12の1周毎に判定しても良い。
【0059】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、ランプ部LPをOFFにする際、該ランプ部LPにおける3つのLED素子の全てのLED素子をOFFにする場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、ランプ部LPをOFFにする際、該ランプ部LPにおける3つのLED素子のうち1つ又は2つのLED素子をOFFにすることにより、ランプ部LPをONにする場合よりも発光光量を減少させても良い。その際、画像形成装置1は、LED素子のバイアス電流を下げることにより発光光量を低減させても良い。
【0060】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、複数のLED素子を主走査方向dmに沿って直列に接続することにより除電部40のランプ部LPを構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、複数のLED素子を主走査方向dmと直交する前後方向である副走査方向に沿って並列に接続することにより除電部40のランプ部LPを構成しても良い。
【0061】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、感光ドラム12の画像形成領域を主走査方向dmに関し等間隔に例えば3つの分割感光領域ARに分割し、除電部40の各ランプ部LPの個数及び主走査方向dmの範囲を該分割感光領域ARに対応させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、感光ドラム12の画像形成領域を主走査方向dmに関し等間隔に2つ以下又は4つ以上の任意の個数の分割感光領域ARに分割し、除電部40の各ランプ部LPの個数及び主走査方向dmの範囲を該分割感光領域ARに対応させても良い。また画像形成装置1は、感光ドラム12の画像形成領域を主走査方向dmに関し等間隔に分割しなくても良い。さらに画像形成装置1は、感光ドラム12の画像形成領域を主走査方向dmに関し分割しなくても良く、除電部40のランプ部LPも主走査方向dmに関し画像形成領域の一端側から他端側までに亘って1つのみ設けても良い。
【0062】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、除電部40をイレーズランプにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、除電部40を例えば除電チャージャ等により構成しても良い。
【0063】
さらに上述した実施の形態においては、反転現像方式の画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、感光ドラム12における露光されなかった部分にトナーを付着させる現像方式である正規現像方式の画像形成装置に本発明を適用しても良い。正規現像方式の場合、感光ドラム12から用紙Sへのトナー画像の転写後には、感光ドラム12の表面におけるトナー付着領域ARtに電荷が残留するため、除電部40は、感光ドラム12の表面におけるトナー付着領域ARtを露光する必要がある。
【0064】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1をプリンタにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置を画像形成装置1としても良い。
【0065】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0066】
さらに上述した実施の形態においては、除電部としての除電部40と、制御部としての制御部32とにより、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる除電部と、制御部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、画像形成装置において転写後の感光ドラムの表面に残留する電荷を除去した場合に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1……画像形成装置、2……装置筐体、3……画像形成ユニット、4……給紙部、5……給紙カセット、6……給紙ローラ、7……レジストローラ、8……カバー、9……搬送ベルト、10……転写部、11……画像形成部、12……感光ドラム、13……プリントヘッド、14……現像装置、15……ドライブローラ、16……テンションローラ、17……トナーカートリッジ、18……供給ローラ、19……現像ローラ、20……帯電ローラ、21……クリーニング部、22……転写ローラ、23……定着ユニット、24……定着ユニット筐体、25……定着ローラ、26……加熱ローラ、27……加圧ローラ、28……切替板、29……両面印刷ユニット、30……排出ユニット部、31……用紙受渡部、S……用紙、32……制御部、40……除電部、42……CPU、SW……スイッチ、LP……ランプ部、S……イレーズ信号、AR……分割感光領域、ARs……周方向単位領域、ARt……トナー付着領域、ARn……非トナー付着領域、ARtp……全域トナー付着分割感光領域、ARnp……非トナー付着分割感光領域、ARnf……全域トナー非付着予定分割感光領域。

図1
図2
図3
図4
図5
図6