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特開2024-41024バッテリーのRSOCを校正するための電子機器および方法
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  • 特開-バッテリーのRSOCを校正するための電子機器および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041024
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】バッテリーのRSOCを校正するための電子機器および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/387 20190101AFI20240318BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240318BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240318BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20240318BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240318BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240318BHJP
【FI】
G01R31/387
H02J7/00 M
H01M10/48 P
G01R31/3828
G01R31/382
G01R31/385
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043682
(22)【出願日】2023-03-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】111133298
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】顔 維廷
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA02
2G216BA64
2G216BA66
2G216CA08
2G216CA09
2G216CA11
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA05
5G503CA11
5G503EA05
5H030AA01
5H030AS11
5H030FF42
(57)【要約】
【課題】 バッテリーの相対的充電状態(RSOC)を校正するための電子機器および方法を提供する。
【解決手段】 本開示技術に係る電子機器は、残容量および満充電容量を出力するように構成されたバッテリー装置、感知抵抗器を含み、前記感知抵抗器を用いて前記バッテリー装置のバッテリー電流を測定し、前記バッテリー電流を積分することにより実容量を得るように構成された容量測定ユニット、および前記満充電容量を保存し、前記バッテリー装置が特定の状態にある場合、残容量と実容量との容量差を計算し、容量差と残容量の比率に従って、満充電容量を校正するマイクロプロセッサを含む、というものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
残容量および満充電容量を出力するように構成されたバッテリー装置、
感知抵抗器を含み、前記感知抵抗器を用いて前記バッテリー装置のバッテリー電流を測定し、前記バッテリー電流を積分することにより実容量を得るように構成された容量測定ユニット、および
前記満充電容量を保存し、前記バッテリー装置が特定の状態にある場合、前記残容量と前記実容量との容量差を計算し、前記容量差と前記残容量との比率に従って、前記満充電容量を校正するマイクロプロセッサを含む、電子機器。
【請求項2】
前記特定の状態は、
前記バッテリー装置が満充電状態にあること、
前記バッテリー装置が完全放電状態にあること、および
前記電子機器がオフ状態にある時間が所定の時間より長いことを含む、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記容量測定ユニットは、アナログデジタル変換器をさらに含み、
前記アナログデジタル変換器は、
第1の入力端子、第2の入力端子、第1の出力端子、および第2の出力端子を含み、
前記アナログデジタル変換器は、
前記第1の入力端子および前記第2の入力端子を介して前記感知抵抗器の両端子の電圧を検出し、前記電圧に従って、前記第1の出力端子または前記第2の出力端子を介して電圧信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記容量測定ユニットは、
第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む第1のNANDゲート、
第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む第2のNANDゲート、および
第1の端子および第2の端子を含むクロック装置をさらに含み、
前記クロック装置は、前記第1の端子を介してクロック信号を前記第1のNANDゲートの前記第2の入力端子に出力し、前記第2の端子を介して前記クロック信号を前記第2のNANDゲートの前記第1の入力端子に出力するように構成され、
前記第1のNANDゲートは、前記第1のNANDゲートの前記第1の入力端子を介して前記アナログデジタル変換器から前記電圧信号を受信し、前記第2のNANDゲートは、前記第2のNANDゲートの前記第2の入力端子を介して前記アナログデジタル変換器から前記電圧信号を受信するように構成される、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記バッテリー装置は、相対的充電状態(RSOC)をさらに出力し、
前記マイクロプロセッサは、実際のRSOCをさらに計算し、前記実際のRSOCは、前記実容量を前記満充電容量で割ることによって得られた商に等しい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記容量差と前記残容量の比率が所定値よりも大きい場合、前記マイクロプロセッサは、前記マイクロプロセッサによって計算された前記実際のRSOCが前記バッテリー装置の前記RSOCと等しくなるように、前記バッテリー装置の保存された前記満充電容量を校正するように構成される、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記所定値は3%である、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
バッテリー装置、容量測定ユニット、およびマイクロプロセッサを有する電子機器に適するバッテリーの相対的充電状態(RSOC)を校正する方法であって、
前記バッテリー装置が特定の状態にあることを検出するステップ、
前記バッテリー装置の残容量と満充電容量を読み取り、前記満充電容量を保存するステップ、
前記バッテリー装置のバッテリー電流を測定し、前記バッテリー電流を積分することにより実容量を得るステップ、
前記残容量と前記実容量との容量差を計算するステップ、および
前記容量差と前記残容量との比率に従って、前記満充電容量を校正するステップを含む、バッテリーのRSOCを校正するための方法。
【請求項9】
前記バッテリー装置の相対的充電状態(RSOC)を受信するステップ、
実際のRSOCを計算するステップであって、前記実際のRSOCは、前記実容量を前記満充電容量で割ることによって得られた商に等しいステップ、および
前記容量差と前記残容量との比率が所定値よりも大きい場合、前記マイクロプロセッサは、前記マイクロプロセッサによって計算された前記実際のRSOCが前記バッテリー装置の前記RSOCと等しくなるように、前記バッテリー装置の保存された前記満充電容量を校正するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記特定の状態は、
前記バッテリー装置が満充電状態にあること、
前記バッテリー装置が完全放電状態にあること、および
前記電子機器がオフ状態にある時間が所定の時間より長いことを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月2日に出願された台湾特許出願番号第111133298号についての優先権を主張するものであり、その全ては引用によって本願に含まれる。
【0002】
本発明は、電子機器に関するものであり、特に、バッテリーの相対的充電状態(RSOC)を校正するための電子機器および方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在、二次電池を搭載した全ての電子製品におけるバッテリー容量を計算する基本的な方法は、電流の積分であるため、全てのバッテリーパック(バッテリーセルを含む)自体に、その容量を計算するためのガスゲージがあり、ガスゲージが既存のバッテリー容量を表示した後、通信インターフェースを介してバッテリー容量の情報をシステム側に伝送して提示している。しかしながら、このバッテリー容量の推定値を確認するための他の検証メカニズムはないようである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリーの相対的充電状態(RSOC)を校正するための電子機器および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は、電子機器を提供する。電子機器は、バッテリー装置、容量測定ユニット、およびマイクロプロセッサを含む。バッテリー装置は、その残容量および満充電容量を出力する。容量測定ユニットは、感知抵抗器を含み、感知抵抗器を用いてバッテリー装置のバッテリー電流を測定し、バッテリー電流を積分することにより実容量を得る。マイクロプロセッサは満充電容量を保存する。バッテリー装置が特定の状態にある場合、マイクロプロセッサは残容量と実容量との容量差を計算する。マイクロプロセッサは、容量差と残容量との比率に従って、満充電容量を校正する。
【0006】
上述の電子機器によれば、特定の状態は、バッテリー装置が満充電状態にあること、バッテリー装置が完全放電状態にあること、および、電子機器がオフ状態にある時間が所定の時間より長いことを含む。
【0007】
上述の電子機器によれば、容量測定ユニットは、アナログデジタル変換器をさらに含む。アナログデジタル変換器は、第1の入力端子、第2の入力端子、第1の出力端子、および第2の出力端子を含む。アナログデジタル変換器は、第1の入力端子および第2の入力端子を介して感知抵抗器の両端子の電圧を検出し、当該電圧に従って、第1の出力端子または第2の出力端子を介して電圧信号を出力する。
【0008】
上述の電子機器によれば、容量測定ユニットは、第1のNANDゲート、第2のNANDゲート、およびクロック装置をさらに含む。第1のNANDゲートは、第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む。第2のNANDゲートは、第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む。クロック装置は、第1の端子および第2の端子を含む。クロック装置は、第1の端子を介してクロック信号を第1のNANDゲートの第2の入力端子に出力し、第2の端子を介してクロック信号を第2のNANDゲートの第1の入力端子に出力する。第1のNANDゲートは、当該第1のNANDゲートの第1の入力端子を介してアナログデジタル変換器から電圧信号を受信する。第2のNANDゲートは、当該第2のNANDゲートの第2の入力端子を介してアナログデジタル変換器から電圧信号を受信する。
【0009】
上述の電子機器によれば、バッテリー装置は、当該バッテリー装置の相対的充電状態(RSOC)をさらに出力する。マイクロプロセッサは実際のRSOCをさらに計算する。実際のRSOCは、実容量を満充電容量で割ることによって得られた商に等しい。
【0010】
上述の電子機器によれば、容量差と残容量との比率が所定値よりも大きい場合、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサによって計算された実際のRSOCがバッテリー装置のRSOCと等しくなるように、バッテリー装置の保存された満充電容量を校正する。
【0011】
上述の電子機器によれば、所定値は3%である。
【0012】
本発明の一実施形態は、バッテリーの相対的充電状態(RSOC)を校正する方法も提供する。当該方法は、バッテリー装置、容量測定ユニット、およびマイクロプロセッサを有する電子機器に適している。当該方法は、以下で詳述する段階を含む。バッテリー装置の特定の状態が検出される。バッテリー装置の残容量と満充電容量が読み取られ、満充電容量が保存される。バッテリー装置のバッテリー電流が測定され、バッテリー電流が積分されることにより実容量を得る。残容量と実容量との容量差が計算される。容量差と残容量との比率に従って、満充電容量が校正される。
【0013】
上述の電子機器によれば、当該方法は、以下で詳述する段階をさらに含む。バッテリー装置の相対的充電状態(RSOC)が受信される。実際のRSOCが計算される。実際のRSOCは、実容量を満充電容量で割ることによって得られた商に等しい。容量差と残容量との比率が所定値よりも大きい場合、マイクロプロセッサによって計算された実際のRSOCがバッテリー装置のRSOCと等しくなるようにバッテリー装置の保存された満充電容量が校正される。
【0014】
上述の方法によれば、特定の状態は、バッテリー装置が満充電状態にあること、バッテリー装置が完全放電状態にあること、および、電子機器がオフ状態にある時間が所定の時間より長いことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、例示的な実施形態の以下の説明および添付の図面からよりよく理解されるであろう。これらの画面は、当業界の標準的な慣行に従って縮尺通りに描かれるとは限らないことを理解されたい。実際には、わかりやすく説明するために、部品のサイズを任意に拡大または縮小することができる。これは、開示内容を完全に理解するために、多くの特別な詳細、関連性、および方法が開示されていることを意味している。
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る電子機器100の概略図である。
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る、図1の電子機器100の容量測定ユニット104の詳細な概略図である。
図3図3は、本発明のいくつかの実施形態に係る、バッテリー容量を校正するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特定の用語は、明細書および特許請求の範囲における特定の要素を示すために用いられている。当該技術分野の通常の知識を有する者は、ハードウェアメーカーが同じ部品に対して異なる用語を用いる可能性があることを理解されたい。本発明の明細書および特許請求の範囲では、名称の違いを、要素を区別する方法として用いず、要素の機能の違いを区別の基準として用いる。本明細書全体および特許請求の範囲に記載されている「含む(comprise)」および「含む(include)」は、開放型の用語であるため、「~を含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである。「一般的(Generally)」とは、許容される誤差範囲内で、技術分野の通常の知識を有する者が、所定の誤差範囲内で技術的問題を解決し、基本的に技術的効果を達成することができることを意味する。さらに、本明細書における「結合された(coupled)」という用語は、任意の直接的および間接的な電気接続手段を含む。従って、第1の装置が第2の装置に結合されていると記載されている場合、それは、第1の装置が第2の装置に直接的に電気的に接続され得るか、または他の装置若しくは接続手段を介して第2の装置に間接的に電気的に接続され得ることを意味する。以下の説明は、本発明を実施するための好ましい方法である。その目的は、本発明の趣旨を説明することであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0017】
以下の説明は、本発明に期待される最良の実施形態である。これらの説明は、本発明の一般的な原理を説明するために用いられており、本発明を限定するために用いられるべきではない。本発明の保護範囲は、本発明の特許請求の範囲を参照することに基づいて決定されるべきである。
【0018】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る電子機器100の概略図である。図1に示されるように、当該電子機器は、バッテリー装置102、容量測定ユニット104、およびマイクロプロセッサ106を含む。いくつかの実施形態では、電子機器100は、電気自動車、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなど、内部にバッテリー装置を含む任意の電子機器であり得るが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、バッテリー装置102は、セルフテストバッテリー電圧、セルフテストバッテリー電流、残容量(RC)、満充電容量、および相対的充電状態(RSOC)を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリー装置102は、バッテリー装置102のセルフテストバッテリー電圧、セルフテストバッテリー電流、残容量、完全充電容量、および相対的充電状態を検出するためのガスゲージ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、バッテリー装置102のガスゲージは、残容量を満充電容量で割ることによってRSOCを得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、バッテリー装置102は、通信インターフェース108を介して、セルフテストバッテリー電圧、セルフテストバッテリー電流、残容量、満充電容量、およびRSOCを容量測定ユニット104に伝送する。バッテリー装置102は、電力線112を介してバッテリー電圧およびバッテリー電流を、容量測定ユニット104にさらに出力する。いくつかの実施形態では、容量測定ユニット104は、感知抵抗器120を含む。容量測定ユニット104は、感知抵抗器120を用いてバッテリー装置102のバッテリー電流を測定し、バッテリー電流を積分することにより実容量を得る。いくつかの実施形態では、容量測定ユニット104は、実容量を最終的に得るために用いられるバッテリー電流の積分の中間値を格納するレジスタ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、容量測定ユニット104は、後続の処理のために、通信インターフェース110を介して、計算された実容量をマイクロプロセッサ106に伝送し、バッテリー装置102からの残容量、満充電容量、およびRSOCをマイクロプロセッサ106に伝送する。
【0020】
その後、マイクロプロセッサ106は、バッテリー装置102からの満充電容量を受信し、保存する。いくつかの実施形態では、電子機器100はメモリ(図示せず)を含む。マイクロプロセッサ106は、メモリに電気的に接続され、バッテリー装置102からの満充電容量をメモリに保存する。バッテリー装置102が特定の状態にある場合、マイクロプロセッサ106は、バッテリー装置102からの残容量と容量測定ユニット104からの実容量との容量差を計算し、容量差と残容量との比率に従って、満充電容量を校正する。具体的には、マイクロプロセッサ106は、実際のRSOCを計算する。実際のRSOCは、容量測定ユニット104からの実容量をバッテリー装置102からの満充電容量で割ることによって得られた商に等しい。容量差とバッテリー装置102からの残容量との比率が所定値よりも大きい場合、マイクロプロセッサ106は、マイクロプロセッサ106によって計算された実際のRSOCがバッテリー装置102のRSOCと等しくなるように、バッテリー装置102の保存された満充電容量に校正(または調整)を行う。いくつかの実施形態では、所定値は3%であるが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
例えば、バッテリー装置102からの残容量に対する容量差の比率が3%よりも大きい場合、マイクロプロセッサ106によって計算された実際のRSOCは、当該バッテリー装置からのRSOCよりも小さく、マイクロプロセッサ106は、実際のRSOCが高くなることによってバッテリー装置102のRSOCと等しくなるように、メモリに保存された満充電容量を減少させる。バッテリー装置102からの残容量に対する容量差の比率が3%以下の場合、マイクロプロセッサ106は、メモリに保存された満充電容量を更新しない。いくつかの実施形態では、特定の状態は、以下の条件を含む。バッテリー装置102が満充電状態であること、バッテリー装置102が完全放電状態であること、および電子機器100がオフ状態である時間が所定の時間より長いこと。いくつかの実施形態では、当該所定の時間は10分であるが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る、図1の電子機器100の容量測定ユニット104の詳細な概略図である。図2に示されるように、容量測定ユニット104は、感知抵抗器120、アナログデジタル変換器(ADC)200、NANDゲート202、NANDゲート204、およびクロック装置(RTC)206を含む。いくつかの実施形態では、ADC200は、第1の入力端子、第2の入力端子、第1の出力端子(V>0)、および第2の出力端子(V<0)を含む。ADC200は、第1の入力端子および第2の入力端子を介して感知抵抗器120の両端子の電圧(V)を検出し、電圧(V)に従って、第1の出力端子(V>0)を介して電圧信号230を出力するか、または第2の出力端子(V<0)を介して電圧信号232を出力する。
【0023】
いくつかの実施形態では、バッテリー装置102が充電されている場合、電流は、端子(+)から電力線112に沿ってバッテリー装置102の正極に流れ、次いで、バッテリー装置102の負極から流出し、中間の方向210に沿って感知抵抗器120を通って流れ、最終的に端子(-)に流れる。対照的に、バッテリー装置102が放電している場合、電流は、バッテリー装置102の正極から電力線112に沿って端子(+)に流れる。電流は、負荷を通過した後、端子(-)から方向212に沿って感知抵抗器120に流れ、最終的に電力線112に沿ってバッテリー装置102の負極に流れる。換言すれば、バッテリー装置102が充電されている場合、ADC200の感知抵抗器120によって測定された電流は、正の値であり得る(例えば、感知抵抗器120の両端子の電圧(V)が正の値である)。対照的に、バッテリー装置102が放電している場合、感知抵抗器120を介してADC200によって測定された電流は、負の値であり得る(例えば、感知抵抗器120の両端子の電圧(V)は負の値である)。
【0024】
NANDゲート202は、第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む。NANDゲート204は、第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を含む。クロック装置206は、第1の端子および第2の端子を含む。いくつかの実施形態では、クロック装置206は、クロック装置206の第1の端子を介してクロック信号220をNANDゲート202の第2の入力端子に出力する。クロック装置206は、クロック装置206の第2の端子を介してクロック信号220をNANDゲート204の第1の入力端子に出力する。NANDゲート202は、NANDゲート202の第1の入力を介してADC200から電圧信号230を受信する。NANDゲート204は、NANDゲート204の第2の入力を介してADC200から電圧信号232を受信する。例えば、バッテリー装置102が充電されている場合、ADC200は、感知抵抗器120の両端子の電圧Vが正の値であることを検出する。ADC200は、ハイの論理レベルを有する電圧信号230をADC200の第1の出力端子(V>0)からNANDゲート202に出力する。NANDゲート202は、クロック装置206からのハイの論理レベルを有するクロック信号220と、ADC200からのハイの論理レベルを有する電圧信号230とを同時に受信する。NANDゲート202は、クロック信号220と電圧信号230にAND演算を行うことにより、ハイの論理レベルを有する演算結果240を出力する。いくつかの実施形態では、各時点での演算結果240は、充電抵抗器(図示せず)に保存され、また、充電抵抗器に蓄積されることにより、電流を積分する技術的効果を達成することができる。
【0025】
同様に、バッテリー装置102が放電している場合、ADC200は、感知抵抗器120の両端子の電圧Vが負の値であることを検出する。ADC200は、ハイの論理レベルを有する電圧信号232をADC200の第2の出力端子(V<0)からNANDゲート204に出力する。NANDゲート204は、クロック装置206からのハイの論理レベルを有するクロック信号220と、ADC200からのハイの論理レベルを有する電圧信号232とを同時に受信する。NANDゲート204は、クロック信号220と電圧信号232にAND演算を行うことにより、ハイの論理レベルを有する演算結果242を出力する。いくつかの実施形態では、各時点での演算結果242は、充電抵抗器(図示せず)に保存され、また、充電抵抗器に蓄積されることにより、電流を積分する技術的効果を達成することができる。いくつかの実施形態では、クロック装置206は、例えばリアルタイムクロックであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0026】
表1は、バッテリー装置102が充電されている場合に、容量測定ユニット104およびマイクロプロセッサ106によって実行された計算のデータの概略表である。
表1
【0027】
表1では、累積時間の生データは、図2の容量測定ユニット104のクロック装置206からのものである。セルフテストバッテリー電圧、セルフテストバッテリー電流、RSOC、残容量および満充電容量の生データは全て、バッテリー装置102のガスゲージからのものである。実容量の生データは、図2の容量測定ユニット104からのものである。表1に列挙されたデータは、5秒ごとに取り込まれているが、これは単なる例であり、本発明を限定するものではない。累積時間が4730秒のときのデータを例にとると、マイクロプロセッサ106は、バッテリー装置102から残容量3357mAhおよび満充電容量3690mAhを受信する。容量測定ユニット104は、感知抵抗器120を用いてバッテリー電流(表1には図示せず)を測定し、ADC200、NANDゲート202、NANDゲート204を介してバッテリー電流を積分することにより、表1の実容量を3327mAhとして得る。具体的には、本発明の容量測定ユニット104は、以下の式1により表1の実容量を得る。
実容量=(バッテリー電流×時間)/3600+前回の実容量 …式1
【0028】
換言すれば、累積時間が4730秒のときの実容量を得るために、容量測定ユニット104は、測定したバッテリー電流に5秒のインターバル時間を乗じることにより第1の中間結果を得て、第1の中間結果を3600で割ることにより第2の中間結果を得ることによって単位を秒から時間に変換し、累積時間が4725秒のときの実容量3325mAhを第2の中間結果に加えることにより最終的に累積時間が4730秒のときの実容量3327mAhを得る。その後、マイクロプロセッサ106は、残容量3357mAhから実容量3327mAhを差し引くことにより容量差30mAhを得る。次いで、マイクロプロセッサ106は、残容量に対する容量差の比率を計算する。バッテリー装置102が特定状態にあり、残容量に対する容量差の比率が所定値(例えば3%)よりも高い場合、マイクロプロセッサ106は、マイクロプロセッサ106によって計算された実際のRSOC(表1には記載されていない)が表1のバッテリー装置102のRSOCと等しくなるように、当該バッテリー装置の予め保存された満充電容量(例えば、3690mAh)を更新する。表1から分かるように、バッテリー装置102が充電されている場合、セルフテストバッテリー電流は正の値である。
【0029】
表2は、バッテリー装置102が放電している場合に容量測定ユニット104およびマイクロプロセッサ106によって行なわれた計算のデータの概略表である。

表2
【0030】
表2では、累積時間の生データは、図2の容量測定ユニット104のクロック装置206からのものである。表2は、容量測定ユニット104によって計算された初期の実容量が3650mAhであると仮定したものである。セルフテストバッテリー電圧、セルフテストバッテリー電流、RSOC、残容量および満充電容量の生データは全て、バッテリー装置102のガスゲージからのものである。実容量の生データは、図2の容量測定ユニット104からのものである。表2に列挙されたデータは、5秒ごとに取り込まれているが、これは単なる例であり、本発明を限定するものではない。累積時間が2090秒のときのデータを例にとると、マイクロプロセッサ106は、バッテリー装置102から残容量3357mAhおよび満充電容量3657mAhを受信する。容量測定ユニット104は、感知抵抗器120を用いてバッテリー電流(表2には図示せず)を測定し、ADC200、NANDゲート202、NANDゲート204を介してバッテリー電流を積分し、初期の実容量から積分結果を差し引くことにより、表2の実容量を3243mAhとして得る。
【0031】
累積時間が2090秒のときの実容量を得るために、容量測定ユニット104は、測定したバッテリー電流に5秒のインターバル時間を乗じることにより第1の中間結果を得て、第1の中間結果を3600で割ることにより第2の中間結果を得ることによって単位を秒から時間に変換し、実容量3650mAhを第2の中間結果に加えることにより最終的に累積時間が2090秒のときの実容量3243mAhを得る。その後、マイクロプロセッサ106は、残容量3255mAhから実容量3243mAhを差し引くことにより容量差12mAhを得る。次いで、マイクロプロセッサ106は、残容量に対する容量差の比率を計算する。バッテリー装置102が特定状態にあり、残容量に対する容量差の比率が所定値(例えば3%)よりも高い場合、マイクロプロセッサ106は、マイクロプロセッサ106によって計算された実際のRSOC(表2には記載されていない)が表2のバッテリー装置102のRSOCと等しくなるように、当該バッテリー装置の予め保存された満充電容量(例えば、3690mAh)を更新する。表2から分かるように、バッテリー装置102が充電されている場合、セルフテストバッテリー電流は負の値である。
【0032】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、バッテリー容量を校正するための方法のフローチャートである。図3に示されるように、本発明のバッテリー容量を校正するための方法は、バッテリー装置の特定の状態を検出するステップ(S300)を含む。当該方法は、バッテリー装置の残容量および満充電容量を読み取るステップを含む。当該方法は、満充電容量を保存するステップを含む(S302)。当該方法は、バッテリー装置のバッテリー電流を測定し、バッテリー電流を積分することにより実容量を得るステップを含む(S304)。当該方法は、残容量と実容量との容量差を計算するステップを含む(S306)。当該方法は、容量差と残容量との比率に従って、満充電容量を校正するステップを含む(S308)。いくつかの実施形態では、図1のマイクロプロセッサ106は、ステップS300、S302、S306およびS308を行う。図1の容量測定ユニット104は、ステップS304を行う。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明のバッテリー容量を校正するための方法は、バッテリー装置の相対的充電状態(RSOC)を受信するステップをさらに含む。当該方法は、実際のRSOCを計算するステップをさらに含み、実際のRSOCは、実容量を満充電容量で割ることによって得られた商に等しい。この方法は、容量差と残容量との比率が所定値よりも大きい場合に、マイクロプロセッサによって計算された実際のRSOCがバッテリー装置のRSOCと等しくなるようにバッテリー装置の保存された満充電容量を校正するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、所定値は3%であるが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、容量差と残容量との比率が所定の値以下である場合、本発明のバッテリー容量を校正する方法では、保存された満充電容量を更新しない。
【0034】
本発明の電子機器100およびバッテリー容量を校正する方法は、バッテリー装置102の満充電容量(FCC)が温度、経年変化および負荷などの要因によって影響を受けるという問題を解決することができる。バッテリー装置自体のガスゲージは、満充電容量(FCC)を計算することができ、システム側(例えば、マイクロプロセッサ106)は、本発明のバッテリー容量を校正するための方法を用いることにより、誤差(error)の傾向現象(tendency phenomenon)を補償または低減できる。補償が+3%より大きい場合または-3%未満の場合、バッテリー装置102がバッテリーの経年劣化、大きな温度変化、損傷、部品の破損、または漏電に遭っている可能性があることを意味する。マイクロプロセッサ106は、前述の問題に関連する通知信号を受信することによって、後続の処理を行い得る。
【0035】
本発明によって提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置および方法は、他の方法を用いて実施されることができることを理解されたい。上述の装置の実施形態は例示に過ぎず、例えば、ユニットの区別は論理上の機能の区別に過ぎず、実際の実装では他の区別があってもよい。例えば、複数のユニット若しくは要素が別のシステムに組み合わされたり若しくは統合されたり、または一部の機能が省略されたり若しくは実装されないことができる。さらに、表示または議論された相互結合、直接結合または通信接続は、いくつかのインターフェース、デバイスまたはユニットを介した間接結合または通信接続であってもよく、電気的、機械的、または他の形態であってもよい。
【0036】
さらに、本発明の様々な実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよく、または各ユニットが物理的に単独で存在してもよく、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上述の統合ユニットは、ハードウェアの形態またはソフトウェアの形態の機能ユニットのどちらでも実現することができる。
【0037】
以上、本発明を好ましい実施形態で開示したが、それは本発明の範囲を限定することを意図するものではない。関連技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、変更および修正を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0038】
100 電子機器
102 バッテリー装置
104 容量測定ユニット
106 マイクロプロセッサ
108 通信インターフェース
110 通信インターフェース
112 電力線
120 感知抵抗器
200 アナログデジタル変換器(ADC)
202 NANDゲート
204 NANDゲート
206 クロック装置(RTC)
210 方向
212 方向
220 クロック信号
230 電圧信号
232 電圧信号
240 演算結果
242 演算結果
V>0 第1の出力端
V<0 第2の出力端
+ 端子
- 端子
図1
図2
図3