(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041029
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ドラム缶用パレット、締結部材、搬送システム、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 19/44 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B65D19/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071866
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2023506357の分割
【原出願日】2022-09-23
(31)【優先権主張番号】P 2022144950
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510237310
【氏名又は名称】オ-パーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111707
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】小村 政人
(72)【発明者】
【氏名】岩本 祐紀
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA12
3E063AA14
3E063BA05
3E063BA10
3E063CA01
3E063CA04
3E063CA06
3E063CA13
3E063DA05
3E063EE13
(57)【要約】
【課題】ドラム缶の搬送に好ましいドラム缶用パレット、締結部材、パレットシステム、搬送方法等を提供する。
【解決手段】ドラム缶の形状に沿ったドラム缶用パレットを提供し、ドラム缶が載置されたドラム缶用パレットを好ましい状態で搬送する方法を提供する。ドラム缶用パレットは、少なくとも3つの脚部と、ベースボードと、支持パッドと、を備える。複数のドラム缶を拘束する締結部材を更に含むことができる。リサイクル及びリユースに極めて有効なパレットシステムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドラム缶をそれぞれ縦向きに載置可能なドラム缶用パレットであって、
当該パレットが置かれる面から所定の間隔を空ける少なくとも3つの脚部と、
前記脚部を所定の位置に配置するベースボードと、
ベースボード上に備えられる各ドラム缶の重量の少なくとも一部を支持する支持パッドと、
を備え、
前記支持パッドは、各ドラム缶の外周縁部以外の底面に当接可能であり、
前記支持パッドは、各々が支持するドラム缶について、
並んだ2つのドラム缶が互いにその位置関係を拘束可能に近接し、
他の1つのドラム缶が、前記並んだ2つのドラム缶により構成される凹部に拘束可能に近接して入ることができるように、
前記ベースボード上に備えられることを特徴とするドラム缶用パレット。
【請求項2】
前記ベースボードは、前記少なくとも3つの脚部を連結するものであることを特徴とする請求項1に記載のドラム缶用パレット。
【請求項3】
前記ベースボードは、リサイクル可能な材料から構成され、
前記脚部は、前記ベースボードから分離されてリユース可能であることを特徴とする請求項1に記載のドラム缶用パレット。
【請求項4】
前記脚部の少なくとも1つは、前記支持パッドを上に備えるベースボードの部分に配置される請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレット。
【請求項5】
前記脚部は、組合脚部材を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレット。
【請求項6】
前記ベースボードは、上面視で互いに略外接する実質的に同径の3つの円の集合体形状を呈し、
前記3つの円の集合体形状において、各円の中心を結んだ三角形の重心と1つの円の中心を通る線上であって、前記中心より外側の位置に、前記脚部は配置されることを特徴とする請求項3に記載のドラム缶用パレット。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットと、
載置される複数のドラム缶を拘束することができる締結部材と、
を備えるドラム缶用パレットシステム。
【請求項8】
更に、ドラム缶を1つ又は2つ載置可能なドラム缶用パレットを含む請求項7に記載のドラム缶用パレットシステム。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットに載置された複数のドラム缶を載置された状態のまま収納することができるコンテナ。
【請求項10】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いて、複数のドラム缶を前記ドラム缶用パレットに載置された状態のままコンテナに収納することを特徴とするドラム缶の搬送方法。
【請求項11】
前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別のドラム缶が近接して入る状態で、前記コンテナに収納することを特徴とする請求項10に記載のドラム缶の搬送方法。
【請求項12】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
ハブ部と、
前記ハブ部から放射状に延びるアームと、
ドラム缶の外周縁部に係合可能なフック部と、を備える締結部材。
【請求項13】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いて、
前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別の載置されたドラム缶が近接して入る状態で搬送する搬送方法。
【請求項14】
前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶は、車両に搭載されることを特徴とする請求項13に記載される搬送方法。
【請求項15】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いたパレットにおいて、
ベースボードは、リサイクル可能な材料から構成され、
脚部は、ベースボードから分離されてリユース可能であり、
前記ベースボードをリサイクルし、
前記脚部をリユースするリユース及びリサイクル方法。
【請求項16】
請求項1から3のいずれかに記載のドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
固定蓋及び/又は止部材と、
ロッドと、
係止部と、を備える締結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラム缶のためのパレット、締結部材、搬送システム、及びそれらを使用する方法に関する。本開示は、リユースやリサイクル等に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム缶は、一般に、金属を主材料とした18L以上400L以下の円筒形容器のことをいう。ドラム缶は、通常200L缶、中小型缶、ペール缶の3種類に大別される。汎用される200L缶においては、外径が585mmで高さが890mmとされている(例えば、JIS Z 1601参照)。このようなドラム缶は、一般にプラスチックパレットや木製パレット等に載せられて搬送される(例えば、特許文献1)。
【0003】
近年、SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)の観点から、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3つのR(アール)が叫ばれている。鉄製のドラム缶は、リユースがされ得る。しかしながら、ドラム缶が載置されるプラスチックパレットや木製パレット等は、継続的な取引関係にある事業者間においてはパレットの返送・回収をシステム化することができるため、繰り返し使用する目的で作られたパレット(繰り返し使用パレット)が使用されることもあるが、継続的な取引関係にない事業者間や遠距離配送等においては同様のシステムが構築されにくく、返送・回収に係る費用の問題から、ワンウェイパレットが使用されることが多い。ワンウェイパレットは、規格や品質の問題により再利用ができない場合が多く、そのほとんどが貨物の搬入後に梱包を解いた場所(物流施設や当該貨物の配送先の事業所等)から廃棄物として排出される。このため、パレットの処理が問題となる。
【0004】
これまで、プラスチックパレットや木製パレット等のようなパレットは、フォークが挿入できる隙間が設けられた背低の矩形のものが用いられてきた。このようなパレットは、容易にまた安価に組立・製造ができ好ましい。しかしながら、ドラム缶のような円柱形とは、見た目においてもマッチングがよいとは言えない。一方、矩形のパレットに載置されたドラム缶は、矩形にマッチするように、並んで載置される(例えば、特許文献2)。この状態で、矩形(或いは直方体)の内容積を備えるトラック、トレーラー、コンテナ等に積み込まれて搬送される。この際、矩形のパレットは、矩形の内容積にマッチングし易く、充填効率においても優れるようにも考えられるが、ドラム缶が十分に積み込めるとは必ずしもいえない。そして、矩形のプラスチックパレットや木製パレット等においては、縦又は横というフォークの挿入方向に関する制限が生じ得る。
【0005】
また、ドラム缶は、一般に、チャイムと呼ばれる縁部が地板又は天板よりも突出しており、ドラム缶が置かれる面に対して接触面積が小さい。そのため、硬い設置面に対して滑りやすい。横移動が容易というメリットがある反面、プラスチックパレットや木製パレットに載置した状態で運搬される場合は、別部材によるドラム缶が置かれる面への固定が必要となる(例えば、特許文献1又は3)。
【0006】
ところで、海上輸送等に用いられる海上コンテナは、機能や形状によって国際的な標準規格(ISO規格)で定められている。最も流通しているのは20フィートまたは40フィートのもので、例えば、内寸法で、長さ5,867mm×幅2,352mm×高さ2,385mmであり得る。従って、ドラム缶を幅方向に並べる場合、4つを並べることは実務上かなり困難であり、実際には3個ならべることしかできていない。
【0007】
また、リユース可能なパレット装置や、リユース可能なパレットの再利用システム等が提案されてきた(例えば、特許文献4又は5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-265055号公報
【特許文献2】特開2001-130571
【特許文献3】特開2010-132330号公報
【特許文献4】特開2004-75185号公報
【特許文献5】特開2006-248745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ドラム缶用パレットにおいては、部材の全てを一律にリユースやリサイクルすることが好ましいとは限らない。強度が必要な部材やリサイクルに向いている部材が混在すると考えられる。また、ドラム缶の充填効率を上げることも好ましい。そして、世界的に規格化され、使用されているコンテナに、より適合するドラム缶用パレットやドラム缶用パレットの搭載方法も検討することが好ましい。ドラム缶が置かれる面に対するドラム缶の横滑りを防止することが好ましい場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述のような課題に鑑みて、本願の実施例においては、リユースが向いている部位と、廃棄が向いている部位とを区別し、リユース部位は耐久性を高くし、廃棄部位は環境負荷の低い材料から構成するようにすると共に、リユース及びリサイクルしやすいように形状や構造を変更することができる。また、リユースが向いている部位については、耐久性を向上させるような材料的な構造的な工夫を施すことができる。一方、廃棄が向いている部位については、より廃棄し易い材料的な構造的な工夫を施すことができる。更に、これらを用いて物流を行う環境負荷を低減するための搬送システムや搬送方法を提供することができる。
【0011】
具体的には、次のようなものを提供する。
複数のドラム缶をそれぞれ縦向きに載置可能なドラム缶用パレットであって、当該パレットが置かれる面から所定の間隔を空ける少なくとも3つの脚部と、前記脚部を所定の位置に配置するベースボードと、ベースボード上に備えられる各ドラム缶の重量の少なくとも一部を支持する支持パッドと、を備え、
前記支持パッドは、各ドラム缶の外周縁部以外の底面に当接可能であり、各々が支持するドラム缶について、並んだ2つのドラム缶が互いにその位置関係を拘束可能に近接し、他の1つのドラム缶が、前記並んだ2つのドラム缶により構成される凹部に拘束可能に近接して入ることができるように、前記ベースボード上に備えられ、
前記少なくとも3つの脚部は、それぞれが、前記並んだ2つのドラム缶及び前記他の1つのドラム缶の主な重量を支持することができることを特徴とするドラム缶用パレット。
(1)複数のドラム缶をそれぞれ縦向きに載置可能なドラム缶用パレットであって、
当該パレットが置かれる面から所定の間隔を空ける少なくとも3つの脚部と、
前記脚部を所定の位置に配置するベースボードと、
ベースボード上に備えられる各ドラム缶の重量の少なくとも一部を支持する支持パッドと、
を備え、
前記支持パッドは、各ドラム缶の外周縁部以外の底面に当接可能であり、
前記支持パッドは、各々が支持するドラム缶について、
並んだ2つのドラム缶が互いにその位置関係を拘束可能に近接し、
他の1つのドラム缶が、前記並んだ2つのドラム缶により構成される凹部に拘束可能に近接して入ることができるように、
前記ベースボード上に備えられ、
前記少なくとも3つの脚部は、それぞれが、前記並んだ2つのドラム缶及び前記他の1つのドラム缶の主な重量を支持することができ、
前記ベースボード及び前記支持パッドは、リサイクル可能な材料から構成され、
前記脚部は、前記ベースボードから分離されてリユース可能であることを特徴とするドラム缶用パレット。
ドラム缶は、通常、その直円柱概形において、円形の底面/又は上面をドラム缶が置かれるに向けて/接触させて置く縦向きの置き方、又は、直円柱概形の側面である曲面をドラム缶が置かれるに向けて/接触させて置く横向きの置き方があってもよい。所定の間隔とは、フォークリフト等の挿入部材(例えばフォーク等)が挿入可能な間隔であってもよい。所定の位置は、後述するような位置を含んでよい。
ここで、リサイクル可能な材料は、例えば、段ボール等の紙を含んでもよい。紙とは、「植物その他の繊維を膠着させて製造したもの。なお、広義には、素材として合成高分子を用いて製造した合成紙のほか、繊維状無機材料を配合した紙も含む。」と規定される。例えば、「繊維を水中に分散し、薄く平らにこし分けて、脱水・乾燥してできたもの」を含んでもよい。ここで、リサイクルとは、不要になったものや副次的に得られたものを、資源として再生利用することを意味してよい。例えば、紙ごみを含んだ原料から再生紙を作ることを含んでもよい。また、広義には、廃棄が比較的容易なものを含んでもよい。紙製であってもよい。リユースは繰り返し使う再使用を意味してよい。脚部は再使用可能なものが好ましい。リユースできるものが好ましい。例えば、耐久性のある材料からなることが好ましい。例えば、ポリプロピレン製のような樹脂からなるものであってもよい。樹脂は、天然樹脂又は合成樹脂のいずれであってもよい。また、木製、金属製、無機化合物製であってもよい。更に、これらのいずれかを含む複合材であってもよい。
上述するドラム缶用パレットに載置されるドラム缶の荷重は、主に、脚部が担保する。従って、ベースボードが片持ち梁的に荷重を支える必要は必ずしもなくてよい。複数の脚部が提供する荷重受けシステムにおいて、ドラム缶が転倒することのないように、全ドラム缶からなる重量からなる荷重を安定して受けることができるように、前記複数の脚部は配置され、全体として構成される。例えば、支持パッドの下に配置される少なくとも1つの脚部は、その上のドラム缶の重心の下或いは真下に配置されてもよい。例えば、ドラム缶の数と同数の脚部を備え、それぞれの脚部が、それぞれのドラム缶の重心の下或いは眞下に配置されてもよい。加えて、全ドラム缶の合成重心の下に更にもう1つの脚部を備えることもできる。また、ベースボードは、片持ち梁的に荷重を受ける必要はないが、ある程度の引張(ボードの面内)又は圧縮(ボードの面内)に耐えることができることが好ましい。振動等により、ドラム缶が揺れる場合、重心の位置がずれる恐れもある。また、ドラム缶は主に液状又は流動状のものを収納するので、重量のいわゆる偏り(底面などにおいて)は少ないものと予想される。しかしながら、振動等による揺動もあり得る。これらの動的な変動も含め、脚部の好ましい数や好ましい配置等の最適化が望まれる。
脚部が、少なくとも3つ必要であるのは、載置物を安定的に保持するためである。数が多い方が、安定度は増加すると一般的に考えられる。しかしながら、フォークの挿入空間及び挿入通路を確保する必要があるので、多すぎない方が好ましい。フォーク間の間隔は、適宜選択されてもよい。また、矩形のパレットにあるような一方向のみフォークが挿入されなければならない訳ではない。複数の及び広範囲の角度で、フォークの挿入が可能であってもよい。
(2)ベースボードは、少なくとも3つの脚部を連結する板形状のものであることを特徴とする上述する何れかのドラム缶用パレット。
(3)ベースボードは、上面視で互いに略外接する実質的に同径の3つの円の集合体形状を呈する上述する何れかのドラム缶用パレット。
ベースボード及び支持パッドは、リサイクル可能な材料から構成され、脚部は、前記ベースボードから分離されてリユース可能であってもよい。
(4)脚部の少なくとも1つは、前記支持パッドを上に備えるベースボードの部分に配置される上述する何れかのドラム缶用パレット。
(5)前記脚部は、組合脚部材を含むことを特徴とする上述する何れかのドラム缶用パレット。
(6)3つの円の集合体形状において、各円の中心を結んだ三角形の重心と1つの円の中心を通る線上であって、前記中心より外側の位置に、前記脚部は配置されることを特徴とする上述する何れかのドラム缶用パレット。
この三角形とは、2次元の仮想的なものであってよく、単に描かれ得る形状を意味することができる。その重心は、この2次元の三角形において一般に言われる重心の位置に相当する場所を意味することができる。1つの円は、上述の3つの円のうちの少なくとも1つの円を意味してもよい。
(7)上述する何れかのドラム缶用パレットと、
載置される複数のドラム缶について相互に拘束することができる締結部材と、
を備えるドラム缶用パレットシステム。
上述する締結部材は、固定蓋及び/又は止部材を含んでもよい。また、締結部材は、固定蓋及び/又は止部材並びにロッドを含む螺刻棒を含んでもよい。更に、締付ナットや、係止部を備えてもよい。締結部材は、搭載されるドラム缶の上面の少なくとも一部に直接又は間接的に当接し、ドラム缶を押さえることができるものであってもよい。
(8)更に、ドラム缶を1つ又は2つ載置可能なドラム缶用パレットを含む上述のいずれかに記載のドラム缶用パレットシステム。
(9)上述する何れかのドラム缶用パレットに載置された複数のドラム缶を収納したコンテナ。
(10)上述する何れかのドラム缶用パレットを用いて、複数のドラム缶をコンテナに収納することを特徴とするドラム缶の搬送方法。
(11)ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別のドラム缶が近接して入る状態で、前記コンテナに収納することを特徴とする上述のいずれかのドラム缶の搬送方法。
(12)上述する何れかのドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
ハブ部と、
前記ハブ部から三方向に放射状に延びるアームと、
ドラム缶の外周縁部に係合可能なフック部と、を備える締結部材。
(13)上述する何れかのドラム缶用パレットを用いて、
前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別のドラム缶が近接して入る状態で搬送する搬送方法。
(14)ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶は、車両に搭載されることを特徴とする上述する何れかの搬送方法。
(15)上述のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いたパレットにおいて、ベースボード及び支持パッドは、リサイクル可能な材料から構成され、脚部は、ベースボードから分離されてリユース可能であり、前記ベースボード及び前記支持パッドをリサイクルし、前記脚部をリユースするリユース及びリサイクル方法。
(16)上述する何れかのドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
固定蓋及び/又は止部材と、
ロッドと、
締付ナットと、
係止部と、を備える締結部材。
【0012】
また、以下のようにも記載することができる。
(1)複数のドラム缶をそれぞれ縦向きに載置可能なドラム缶用パレットであって、
当該パレットが置かれる面から所定の間隔を空ける少なくとも3つの脚部と、
前記脚部を所定の位置に配置するベースボードと、
ベースボード上に備えられる各ドラム缶の重量の少なくとも一部を支持する支持パッドと、
を備え、
前記支持パッドは、各ドラム缶の外周縁部以外の底面に当接可能であり、
前記支持パッドは、各々が支持するドラム缶について、
並んだ2つのドラム缶が互いにその位置関係を拘束可能に近接し、
他の1つのドラム缶が、前記並んだ2つのドラム缶により構成される凹部に拘束可能に近接して入ることができるように、
前記ベースボード上に備えられ、
前記少なくとも3つの脚部は、それぞれが、前記並んだ2つのドラム缶及び前記他の1つのドラム缶の主な重量を支持することができることを特徴とするドラム缶用パレット。
(2)前記ベースボードは、前記少なくとも3つの脚部を連結する板形状のものであることを特徴とする上記(1)に記載のドラム缶用パレット。
(3)前記ベースボードは、上面視で互いに略外接する実質的に同径の3つの円の集合体形状を呈し、
前記ベースボード及び前記支持パッドは、リサイクル可能な材料から構成され、
前記脚部は、前記ベースボードから分離されてリユース可能であることを特徴とする上記(1)に記載のドラム缶用パレット。
(4)前記脚部の少なくとも1つは、前記支持パッドを上に備えるベースボードの部分に配置される上記(1)から(3)のいずれかに記載のドラム缶用パレット。
(5)前記脚部は、組合脚部材を含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載のドラム缶用パレット。
(6)前記3つの円の集合体形状において、各円の中心を結んだ三角形の重心と1つの円の中心を通る線上であって、前記中心より外側の位置に、前記脚部は配置されることを特徴とする上記(3)に記載のドラム缶用パレット。
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットと、
載置される複数のドラム缶について相互に拘束することができる締結部材と、
を備えるドラム缶用パレットシステム。
(8)更に、ドラム缶を1つ又は2つ載置可能なドラム缶用パレットを含む上記(7)に記載のドラム缶用パレットシステム。
(9)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットに載置された複数のドラム缶を収納したコンテナ。
(10)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いて、複数のドラム缶をコンテナに収納することを特徴とするドラム缶の搬送方法。
(11)前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別のドラム缶が近接して入る状態で、前記コンテナに収納することを特徴とする上記(10)に記載のドラム缶の搬送方法。
(12)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
ハブ部と、
前記ハブ部から三方向に放射状に延びるアームと、
ドラム缶の外周縁部に係合可能なフック部と、を備える締結部材。
(13)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いて、
前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶において、隣り合う2つのドラム缶により構成される凹部に別のドラム缶が近接して入る状態で搬送する搬送方法。
(14)前記ドラム缶用パレットに載置されたドラム缶は、車両に搭載されることを特徴とする上記(13)に記載される搬送方法。
(15)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットを用いたパレットにおいて、
ベースボード及び支持パッドは、リサイクル可能な材料から構成され、
脚部は、ベースボードから分離されてリユース可能であり、
前記ベースボード及び前記支持パッドをリサイクルし、
前記脚部をリユースするリユース及びリサイクル方法。
(16)上記(1)から(6)のいずれかに記載のドラム缶用パレットに使用される締結部材であって、
固定蓋及び/又は止部材と、
ロッドと、
締付ナットと、
係止部と、を備える締結部材。
【0013】
ここで、段ボールとは、一般には、板紙を多層構造で強靭にし、包装・梱包資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品のことをいう。また、段ボールは平らな紙(ライナー)と波状の紙(メディアム)が接着剤で貼合されて1つの構造体となっているものの呼称である。ライナーやメディアムの数によって、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボールと分類される。狭義では段ボールとはこの段ボールシートを指し、本来の段ボールもこれのことだった。様々な段ボール製品の素材であり、ライナーにフルーテッド(波型)に加工した中芯を貼り付け、さらに裏側にライナーで補強したシート状(板状)のもの。(以上、「ウィキペディア」から)また、段ボールシートは、2枚以上を重ねて使用することもできる。必要な強度を得るために、適切な厚みを確保してもよい。
【0014】
ベースボート等の部材は、上面及び下面を主な面としてもよい。脚部材等により空けられる空間は、挿入部材、例えばフォークリフトのフォークが挿入可能に空けられてもよい。例えば、上述する空間は、(脚部材の底面若しくは)床から約100mm以上であってもよい。120mm以上であってもよい。150mm以上であってもよい。低すぎると挿入部材が挿入できず、高すぎると、パレット単独若しくは積載物搭載済みパレットの高さが高くなりすぎる恐れがある。内部高さに制限があるコンテナに配置するのに妥当でない恐れがある。脚部材は、空間保持機能を有するスペーサ部及び平板部からの荷重を受ける支持面を備えてよい。スペーサ部は、積層されるタイル等の荷重を支えて、該空間を保持することができる。また、支持面は、平板部の下面の少なくとも一部に接触して、上記荷重を受けることができる。脚部材は、スペーサ部及び支持面等を含んで一体で成形されてもよい。また、支持面と下面の接触面で、接着剤等で接着されてもよい。接着の力は、脚部材の自重を保持可能な力であってもよい。例えば、市販の接着剤(例えば、無機系接着剤、有機系接着剤、水分散系接着剤、溶液系接着剤、無溶剤系接着剤、固体系接着剤等のような種々の接着剤を含んでよい)を用いることができる。接着力は、パレットをフォーク等で平板部の底面から持ち上げたときに、自重を維持できる程度のものであってもよい。平板部が段ボール等のリサイクル可能な材料からなる場合は、使用後に容易に剥がされ得る程度の接着力が好ましい。例えば、ホットメルトのような高温にすると融解し、接着力がほぼなくなるものであってもよい。接着以外に機械的な接合であってもよい。例えば、クランプによってもよく、また、面ファスナーのような着脱可能なものであってもよい。成形のための材料は、例えば、プラスチック等の合成樹脂、繊維強化合成樹脂等であってもよい。リサイクル又はリユース可能な材料からなることが好ましい。脚部材は、平板部から剥がし、再利用可能とすることもできる。脚部材は、平板部の周囲に、バランスよく、配置されてもよい。平面を支えるため、少なくとも4つの脚部材を配置することが好ましい。例えば、矩形の平板部の四隅近傍にそれぞれ配置することができる。また、タイルを2つ並べて平置きするパレットの場合は、長手方向の概ね中央にそれぞれ1つずつ脚部材を備えてもよい。こられの脚部材は、同形であることが好ましい。例えば、2種類の形状に分類されてもよい。形状の種類が少なければ、製造が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本願の発明によれば、上述のようなドラム缶のためのパレット、締結部材、搬送システム、及びそれらを使用する方法等を提供できるので、廃棄ロスが少なく、かつ、環境負荷を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願の実施例において、ドラム缶用パレットの斜視図である。
【
図2】
図1のドラム缶用パレットの底面斜視図である。
【
図3】
図1のドラム缶用パレットにおいて、脚部材を取り付けた部分の部分断面図である。
【
図4】
図1のドラム缶用パレットにおいて、脚部材を取り付けた部分の部分断面図である。
【
図5A】
図1のドラム缶用パレットにおいて、パレットの脚部を構成する脚部材の断面図である。
【
図5B】本発明の実施例に関し、脚部材における荷重の力の分解の模式図である。
【
図6】
図1のドラム缶用パレットにおいて、パレットの脚部を構成する蓋部材の斜視図である。
【
図7】
図1のドラム缶用パレットにおいて、パレットの脚部を構成する蓋部材の斜視図である。
【
図8】本願の実施例において、別のドラム缶用パレットの斜視図である。
【
図9】本願の実施例において、ドラム缶用パレットの脚部材の取り付け位置を示唆する底面図である。
【
図10】本願の実施例において、別のドラム缶用パレットの斜視図である。
【
図11】本願の実施例において、別のドラム缶用パレットの斜視図である。
【
図12】本願の実施例のドラム缶用パレットにおいて、脚部材を取り付ける様子を示唆する斜視図である。
【
図14】ドラム缶の側面図である(上面の端部の凸部を示す部分断面図を含む)。
【
図15A】本願の実施例において、ドラム缶用パレットにドラム缶を搭載したものにハンドフォークを適用する様子を示す斜視図である。
【
図15B】本願の実施例において、ドラム缶用パレットにハンドリフトを適用する場合、パレットの底面図を利用したフォークの挿入状態を模した概略図である。
【
図15C】本願の実施例において、ドラム缶用パレットに搭載し、これらのドラム缶を固定蓋で止める様子を示す展開斜視図である。
【
図15D】本願の実施例において、ドラム缶用パレットに搭載し、これらのドラム缶を固定蓋で止める様子を示す一部破断透過部を含む側面図である。
【
図15E】本願の実施例において、ドラム缶の固定蓋を示す斜視図である。
【
図15F】本願の実施例において、ドラム缶の固定蓋を締め付けるための止部材示す斜視図である。
【
図15G】本願の実施例において、ドラム缶用パレットの別の実施例を示す斜視図である。
【
図15H】本願の実施例において、ドラム缶用パレットの別の実施例を示す底面図である。
【
図16A】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結するジョイントの部分斜視図である。
【
図16B】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの部分斜視図である。
【
図16C】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの断面分解図(一部側面図)である。
【
図16D】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの一部上面図である。
【
図16E】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの一部斜視図である。
【
図16F】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの一部斜視図である。
【
図16G】本願の実施例において、ドラム缶の上端部を利用して締結する別のジョイントの一部斜視図である。
【
図17】一般に使用されるコンテナを図解する斜視図である。
【
図18】コンテナ内に収納されたドラム缶を搭載したドラム缶用パレットの集団を示すコンテナ天井を透明にした上面図である。
【
図19】ドラム缶を模した円により最密充填状態を示す上面図である。
【
図20】ドラム缶を模した円により通常の積載状態を示す上面図である。
【
図21】本願の実施例のドラム缶用パレットを構成し得るベースボードの材料となる平板部の部分断面斜視図である。
【
図22】本願の実施例のドラム缶用パレットを構成し得るベースボードの材料となる平板部の部分断面斜視図である。
【
図23】ドラム缶の集積現場からドラム缶の使用現場まで、リサイクルパレットを管理するシステムを図解する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて表されており、実際の寸法とは異なる場合がある。
【実施例0018】
図1は、本願の発明の1つの実施例であるパレットを示す斜視図であり、
図2は、同パレットの底面から見た斜視図である。このようなドラム缶用パレット10は、上面視三つ葉模様を呈するベースボード12と、その3つの葉の位置にそれぞれ円盤状の支持パッド14と、ベースボード12の底面側には4箇所のほぼ回転対象な位置に4つの脚部19と、を備える。ベースボード12や支持パッド14は、例えば、段ボールなどのようなリサイクル可能な材料からなってもよい。ベースボード12及び各支持パッド14の中心あたりに脚部取付開口16が備えられている。脚部19は、脚部支持プレート18を介して、ベースボード12からの荷重を受けることができる。その取付仕様、方法等は、後述する。脚部19は、リユース可能な部材からなってもよい。また、リサイクル可能な材料から構成されてもよい。典型的には、樹脂、エンジニアリングプラスチック等を用いてもよい。脚部19及び/又は脚部支持プレート18は、ベースボード12等から取り外し可能である。着脱可能に構成されてもよい。支持パッド14は、載置されるドラム缶の底面に接触し、ドラム缶の荷重を受けてもよい。
【0019】
図3及び
図4は、脚部19の構成部品である脚部材20の底開口部34に、別の脚部材20の頭頂部が挿入され、脚部材20及び20が重なり合って脚部を構成する、装着された組合せ脚部材20’の側断面図を示す。挿入脚部材20と、被挿入脚部材20は、同形であってもよく、異なる形状であってもよい。例えば、挿入脚部材20の高さが比較的低くてもよい。挿入脚部材20の薄肉円筒部30の部分雌ねじ部32は、被挿入脚部材20の対応する部分雌ねじ部32にねじ込まれる共通の蓋部材40のねじ部44がねじ込まれる(
図6及び7参照)。このようにして、脚部材20及び20からなる組合せ脚部材20’は一体となるが、上述するような荷重は、被挿入脚部材20の内側面24から、これに接し接触する挿入脚部材20の外側面22を介して伝達され、挿入脚部材20の側壁に支持、伝達される。そして、その荷重は挿入脚部材20の底面から設置面(パレットが置かれる面)に伝達され、載置物を含めドラム缶用パレット10の重量を設置面が支持する。また、各脚部材20は、薄肉の中空直円錐台形状の概形を有しており、円錐台頭頂部に円環状の載置面26及びその内環部に設けられる実質的に垂直に立つ薄肉円筒部30を備え、頭頂端部は円環状を呈する(
図5A)。そして、上述する荷重は、被挿入脚部材20の載置面26を構成する円環部の下側の面から、挿入脚部材20の薄肉円筒部30の頭頂端部にも伝達されてもよい。
図3及び
図4から分かるように、これらは実質的に接触している。組合せ脚部材20’において、挿入脚部材20の高さは、被挿入脚部材20のリング部材36の底面が、挿入脚部材20のリング部材36の上面に当接しない程度であってもよい。載置物が載置されたドラム缶用パレット10の重量により、変形し、当接してもよい。また、空隙27があってもよい。
【0020】
また、脚部支持プレート18の開口及びベースボード12の開口に脚部材20の薄肉円筒部30が挿入され、この順で載置面26に載置されて、蓋部材40が、薄肉円筒部30の部分雌ねじ部32が螺合された状態を断面図で示す。脚部支持プレート18及びベースボード12は、蓋部材40の頭部42と載置面26とによって挟持される。このとき、接着剤や締結部材のような他の要素は必要としない。薄肉円筒部30の外周面と開口及び開口の側面との摩擦力及び挟持力は、脚部材20(及び蓋部材40)を保持するのに十分であるからである。但し、補助的に粘着物を使用することもできる。脚部材20は、底開口部の底面が設置面(パレット10が設置される面)に接触し、脚部材20及びベースボード12等の上に載置される載置物(ドラム缶等)の荷重を支持する。また、蓋部材40は、頭部42及びねじ部44から主に構成される。ねじ部44は、脚部材20の上開口部に円錐軸を中心に同方向に延びる薄肉円筒部の部分雌ねじ部に、ねじ込まれる。頭部42の上表面には、2つの円環状の凸部が略同心円状に離れて備えられる。パレット10のベースボード12上に載置される載置物の荷重は、ベースボード12、脚部支持プレート18を介して、載置面26に伝達される。そして、この荷重は、脚部材20の外側面22及び内側面24により規定される側面壁に支持、伝達されて、底面から設置面に伝達され、載置物を含めパレット10の重量を設置面が支持する。また、被挿入脚部材20の載置面26を構成する円環部の下側の面から、挿入脚部材20の薄肉円筒部30の頭頂端部にも伝達されてもよい。脚部材20の底開口部の外周にリング部材36が備えられ、底面を共に構成する。
【0021】
脚部材20の底開口部に、別の脚部材20の頭頂部が挿入され、脚部材20及び20が重なり合って組合脚部30’を構成する、装着された組合せ脚部材の側断面図を示す。挿入脚部材20は、実質的に同形といえる。挿入脚部材20の薄肉円筒部30の部分雌ねじ部32は、被挿入脚部材20の対応する部分雌ねじ部32にねじ込まれる共通の蓋部材40のねじ部44がねじ込まれる。このようにして、脚部材20及び20からなる組合せ脚部材は一体となるが、上述するような荷重は、被挿入脚部材20の内側面24から、これに接し接触する挿入脚部材20の外側面22を介して伝達され、挿入脚部材20の側壁に支持、伝達される。また、被挿入脚部材20の載置面26を構成する円環部の下側の面から、挿入脚部材20の薄肉円筒部30の頭頂端部にも伝達されてもよい。そして、その荷重は挿入脚部材20の底面から設置面に伝達され、載置物を含めパレット10の重量を設置面が支持する。このとき、挿入脚部材20の高さは、被挿入脚部材20のリング部材36の底面が、挿入脚部材20のリング部材36の上面に当接しない程度であってもよい。載置物が載置されたパレット10の重量により、変形し、当接してもよい。また、空隙があってもよい。但し、この空隙は、20mm以下が好ましい。15mm以下が好ましい。10mm以下であってもよい。
【0022】
図5Aは、本願の発明の1つの実施例に関し、ドラム缶用パレットを構成可能な脚部19の構成部品である脚部材20の構成をより詳細に断面図で示す。尚、この脚部材20は、上述のようにもう1つの脚部材20と組合せ脚部材20’を構成してもよく、単独で脚部19を構成してもよい。脚部材20は、薄肉の中空直円錐台形状を基調とするもので、底部に底開口部34と、円錐台頭頂部に円環状の載置面26及びその内環部に設けられる実質的に垂直に立つ薄肉円筒部30並びにその開口部である上開口部31と、傾斜する外側面22と、傾斜する内側面24と、前記上開口部に円環状の載置面26と、前記載置面の内環部に薄肉円筒部30と、前記底開口部34に円環状のリング部材36と、を備える。底開口部34は内径である径D4を備え、円錐台頭頂部の内径は径D2を備え、外側面22の傾斜角は円錐軸に対してα度であり、内側面24の傾斜角は円錐軸に対してβ度である。円環状の載置面26の内径はD1であり、外径はD3である。従って、載置面26の面積は、π[(D3/2)^2-(D1/2)^2]である。薄肉円筒部30は、円筒形状の内側に複数の突起を備えた部分雌ねじ部32を備える。これらの突起は、雌ねじを構成する螺旋凹部を一部破断させたものである。ここには、適合する雄ねじが螺合され、脚部材20を固定することができる。リング部材36の内径はD5であり、外径はD6である。また、中空の脚部材20の中空部の高さはH1であり、薄肉円筒部30までを含む脚部材20の高さはH2である。上述するような関係を満足するためには、これらの寸法には一定の決まりがあることが好ましい。
【0023】
本脚部材20の基本的な形状は、底部又は大径部の内径D4、外側傾斜角α≧内側傾斜角β、厚みt、内部高さH1で概ね規定できる。ここで、厚みtは、小径部の中央円環部の高さH4と同じであってもよい。また、同一の高さでの内径及び外径の差に、傾斜角の余弦(コサイン)をかけることにより求めることもできる。即ち、底面からの高さをyとして、ある高さH(y)での外径Dout(y)と内径Din(y)の差にcos(α(≧β))をかけてもよい(t=(Dout(y)-Din(y))×cos(α又はβ))。ここで、実質的にα=βは好ましい。α>βであってもよい。α≦1.1×βであってもよい。また、円環状のリング部材36は、中空円錐台の基底部に円環をはめるような別部品(Oリング様のたが等を含んでもよい)にしてもよいが、一体的に成形してもよい。その特徴的な寸法は、外周径D6であり、厚み(又は高さ)H3である。
【0024】
ドラム缶用パレットを構成する脚部材20は、フォークリフト等のツメ(フォーク)が挿入できる空間を保持する機能がある。そのため、ツメが挿入できる程度の高さ(例えば、H1)を有することが好ましい。具体的には、H1≧50mmが好ましい。H1≧70mmが好ましい。H1≧80mmが好ましい。H1≧100mmが好ましい。一方、積載可能重量が低下するので、不必要に高すぎるのも好ましくない。例えば、H1≦700mmが好ましい。H1≦500mmが好ましい。H1≦300mmが好ましい。H1≦200mmであってもよい。例えば、市販のハンドリフトでは、リフトの高さが概ね、60mm~200mmであり、フォークの長さが概ね、1000mm~1200mmであり、フォークの幅が概ね、150mm~200mmであり、ツメの間隔が概ね、190mmから230mmである。例えば、
図1及び
図2に示すようなパレットの場合は、中央の脚部19が、フォークの間(ツメの間)に入ると載置された3つのドラム缶を安定的にリフトアップし易いことがわかる。2つのドラム缶の下に配置される脚部19の間の距離は、典型的にドラム缶の径の長さ+α(隙間等)であるので、フォークの間に中央の脚部19及び1つのドラム缶の下にある脚部19が入ってもよい。このような場合、フォーク間の距離+2つのフォーク幅は、典型的に、400~500mmであると考えられるので、
図15Bに示すように、フォークは、120度の回転対称に差し込むことができる。このように、差し込み方向に大きな自由度がある。また、
図9において論じたように、脚部の位置をずらした場合のフォークの挿入状態を概略として模すことができる。
【0025】
ドラム缶用パレットである組立パレットを構成する脚部材20の太さに相当する外径D5又はD6或いは内径D4は、脚部材20の耐荷重性能に影響する。また、厚みtは、D4、D5、及びH3並びにβ(又はα)によって規定されるかもしれない。例えば、t=(D5-D4+2×H3・tan(β))/2・cos(α又はβ)であるかもしれない。α=β=5度、H3=5mm、D4=100mm、D5=106mmとすれば、t=3.4mmとなるかもしれない。例えば、ポリプロピレンの圧縮強さは、およそ40MPaであるので、この脚部材20は、およそ1トンで押しつぶされるかもしれない。傾斜角α(及びβ)並びに厚みtを一定として、径を2倍にすると、支持する面積は2倍になるので、耐荷重性は向上する。しかしながら、フォークリフト等のツメ(フォーク)の挿入空間を維持するため、大きすぎると荷役用パレットとしての機能が低下するおそれがある。具体的には、D4≧30mmが好ましい。D4≧40mmが好ましい。D4≧50mmが好ましい。D4≧60mmが好ましい。D4≧70mmが好ましい。D4≧80mmが好ましい。D4≧90mmが好ましい。また、機能性を考慮して、D4≦300mmが好ましい。D4≦250mmが好ましい。D4≦230mmが好ましい。D4≦210mmが好ましい。D4≦200mmが好ましい。D4≦190mmが好ましい。
【0026】
また、厚みtは、荷重支持面積に直接影響し、簡易的には、中空円錐台の外形となる円周の長さにこの厚みtをかければ、荷重支持面積に相当するともいえる。厚みtは、薄ければ薄い程、脚部材20の軽量化を図ることができる。しかし、支持荷重を考慮すれば、薄すぎると組立パレットを構成することが難しい。そして、作り易さの観点からは、厚みtは、薄すぎない方が好ましい。一方、厚みtが厚すぎると、脚部材20を重ねて使用することが困難になるおそれもある。また、重量が過大になるおそれもある。必要な耐荷重性等を考慮して、個々に決定されてもよい。例えば、t≧0.5mmが好ましい。t≧0.7mmが好ましい。t≧0.9mmが好ましい。t≧1mmが好ましい。t≧1.2mmが好ましい。t≧1.3mmが好ましい。t≧1.5mmが好ましい。t≧2mmあってもよい。一方、t≦10mmが好ましい。t≦8mmが好ましい。t≦7mmが好ましい。t≦6mmが好ましい。t≦5mmが好ましい。t≦4mmが好ましい。t≦3mmであってもよい。ところで、厚みtを内径D4(又は外径D5又はD6)との相対比で規定することもできる。例えば、内径D4の1%以上、内径D4の1.2%以上、内径D4の1.4%以上、内径D4の1.5%以上、又は内径D4の1.6%以上であってもよい。また、例えば、内径D4の10%以下、内径D4の9%以下、内径D4の8%以下、内径D4の7%以下、又は内径D4の6%以下であってもよい。
【0027】
外側傾斜角α≧内側傾斜角βは、同形の脚部材20を2個以上重ねて使用する場合に重要となる。外側傾斜角αは、内側傾斜角βと実質的に同じか、又は、少し大きい方が好ましい。同形の脚部材20を2個以上重ねる場合、脚部材20の上部(例えば、D3で示される外径)が、底部の開口(例えば、D4で示される内径)に挿入され、挿入される脚部材20(以下、「挿入脚部材」)の外側面22が、挿入脚部材を受け入れる被挿入の脚部材(以下、「被挿入脚部材」)の内側面24に接し、接触して、更なる挿入を阻止する。このとき、外側傾斜角αが内側傾斜角βより特に小さい場合、外側面22の上部は、内側面24に接触するが、外側面22の下部は、内側面24に接触し難いこともあるかもしれない。そのため、支持荷重が挿入脚部材の外側面22の上部及び対応する被挿入脚部材の内側面24にのみかかり、過大な面圧が発生するおそれもある。例えば、外側傾斜角αは、内側傾斜角βの0.9倍以上が好ましい。外側傾斜角αは、内側傾斜角βの0.95倍以上が好ましい。内側傾斜角βの0.97倍以上が好ましい。また、1.2倍以下が好ましい。外側傾斜角αは、内側傾斜角βの1.1倍以下が好ましい。外側傾斜角αは、内側傾斜角βの1.05倍以下が好ましい。例えば、β≧1度が好ましい。β≧1.2度が好ましい。β≧1.4度が好ましい。β≧1.5度が好ましい。β≧1.7度であってもよい。β≧1.9度であってもよい。β≧2度であってもよい。一方、傾斜角が大き過ぎると、外側面22及び内側面24で規定される側面壁に加えられる壁に沿った荷重が過大になるおそれがある。例えば、
図5Bに示されるように、脚部材20の支持荷重Fは、断面において、側面壁に沿う力fwと、水平方向で円錐台の上面視で円の中心に向かう力fhとに分解可能であるかもしれない。fwは、支持荷重Fをcos(β)で割ったものに相当するかもしれない。例えば、βが3度であれば、1/cos(β)は、1.001372346であり、fwは支持荷重Fと殆ど同じであり、tan(β)は、0.052407779であり、fhは支持荷重Fの5%程度である。表1に示すように、βが6度ぐらいまでは、fw及びfhはあまり変わらないが、7度を超えると、特にfhはFの約12%増となる。そして、10度を超えるとFの約12%増となる。fwは、βが45度を超えると増加量が増える。従って、β≦45度が好ましい。β≦35度が好ましい。β≦30度が好ましい。β≦25度であってもよい。β≦20度であってもよい。β≦15度であってもよい。β≦10度であってもよい。
【0028】
また、α=βの場合、厚みをtとすると、挿入脚部材の外側面の周囲が被挿入脚部材の底部の内径D4に挿入可能になる部分は、挿入脚部材の底部開口面から、y(mm)≧t/2/sinα迄となる。例えば、α=β=1.5度で、t=3mmであれば、挿入脚部材は、底部開口面から57.30mmのところまで、その頂部から、被挿入脚部材の中空部内に侵入可能ということになる。中空部の高さに相当するH1が、100mmであるならば、(100-57)/100=43%迄、挿入脚部材及び被挿入脚部材が重なり合うかもしれない。重なり合う部分は、被挿入脚部材の上部からの支持荷重を挿入脚部材へと伝え、該挿入脚部材の底部開口の周囲を規定する円環状面が、設置面に伝達する。重なり合う部分が小さ過ぎる場合は、力の伝達が不調となるおそれがある。一方、重なり合う部分が大き過ぎる場合は、厚みtを薄くする必要があり、及び/又は、傾斜角を大きくする必要がある。従って、支持可能な荷重が小さくなりすぎるおそれがある。一般的には、中空部の高さに相当するH1に対して、40%以上が好ましい。50%以上が好ましい。60%以上であってもよい。70%以上であってもよい。80%以上であってもよい。一方、機械的強度や厚みt及び傾斜角を考慮して、99%以下が好ましい。98%以下が好ましい。97%以下であってもよい。95%以下であってもよい。93%以下であってもよい。91%以下であってもよい。90%以下であってもよい。
【0029】
中空部の高さに相当するH1が、50mm≦H1≦200mmの範囲では、挿入脚部材の底部開口面から20mmのところまで重なり合うのが好ましい。25mmのところまで重なり合うのが好ましい。30mmのところまで重なり合うのが好ましい。一方、円錐台頭頂部の薄肉円筒部24が当接しない方がよいので、H2-H1よりは大きい方が好ましい。
【表1】
【0030】
上述では、2つの脚部材20が重ねられた場合に、側面での荷重の受け渡しについて述べてきた。また、側面だけでなく、載置面26若しくは載置面下面28及び薄肉円筒部30の上面の当接により、荷重は伝達され得る。また、主要な荷重が、この当接によって伝達されてもよい。
【0031】
図6及び7は、蓋部材40を示す斜視図である。蓋部材40は、頭部42及びねじ部44から構成される。頭部42には、2つの開口46があり、回転を容易にする。
【0032】
図8は、ドラム缶用パレット10aの上面図を示す。このパレットでは、支持パッド14aがベースボード12の外縁よりも小さい場合を示している。このとき、載置されるドラム缶は、ベースボード12の外縁よりはみ出してもよく、はみ出さなくてもよい。支持パッド14aは十分な大きさを備え、ドラム缶の主要な荷重を支える。そして、その下に配置される脚部19は、脚部取付開口16の下にあり、ドラム缶の荷重を支持する。
【0033】
図9は、ドラム缶用パレット10の底面図を示す。ここでは、変形例として、脚部19の位置を
図8のものよりも外側に配置してある。このとき全体のバランスを考慮し、三つ葉ように広がる支持パッド14において、120度の回転対象になるように、外側に脚部19をずらすことができる。このようにした場合、ドラム缶を3つ載置すると、ベースボード12に張力が働きやすくなると考えられる。このような配置の移動も可能である。
【0034】
図10は、ドラム缶用パレットの変形例として2個ドラム缶用パレット100を斜視図で示す。このとき、
図1にあった三つ葉様のものから、一葉を取り除いたような例である。この時は、それぞれのドラム缶(2個)は、支持パッド14の中心に配置される脚部19及び
図1にあった三つ葉様の中心の脚部19で、支持される。
図11は、
図1にあった三つ葉様のものから、二葉を取り除いたような例100’である。この時は、1個のドラム缶は、支持パッド14の中心ではない位置に配置され、
図1にあった三つ葉様の中心の脚部19と合わせて3点で支持される。
【0035】
図12は、2つの脚部材20が重なって組合せ脚部材となり、脚部支持プレートの開口及びベースボード12の開口を、被挿入脚部材20の頭頂部の薄肉円筒部が貫通し、その上から蓋部材40が部分雌ねじ部にねじ込まれる様子を図解する分解斜視図である。上方の脚部材20の載置面26に載置されて、ベースボード12に載置される載置物を支持する。蓋部材40の頭部42には、2つの開口46が設けられており、部分雌ねじ部にねじ込まれることや、部分雌ねじ部から取り出されるために回すことを支援する係止部として機能する。また、頭部42の外周面には、凸凹形状が構成され、摩擦部材として機能する。
図12は、蓋部材40及び脚部材20を係合する向きに並べて示す斜視図である。脚部材20には、凹凸形状が設けられており、滑り止めの働きを有する。
【0036】
図13及び14は、ドラム缶の上面図及び側面図を示す。ドラム缶200は、212リットル以上の典型的なドラム缶で例えば、JIS Z 1601に規定される。例えば、ドラム缶の内径は、約566±2mmであり、外径ODは、約585mmであり、高さLは、約890±5mmである。チャイム(h4)は、約22±3mmである。
【0037】
図15Aは、ドラム缶200を載置したドラム缶用パレット10を、移動可能なハンドフォーク260と共に示す斜視図である。3つのドラム缶は、いわゆる最密充填型(2つのドラム缶で構成される凹部に3つ目のドラム缶が入り込む様式)の構成となっている。この3つのドラム缶を各ドラム缶200の上部の縁部分に引っ掛けて、3つ目のドラム缶を結合させるジョイント(締結部材)220を備える。この締結部材は、3つ目のドラム缶が離れないように支持(拘束とも言える)するので、所定の引張強度を備えることが好ましい。例えば、脚部19と同じ材料で構成されてもよい。
【0038】
図16Aは、ジョイント(締結部材)220の1つの実施例を斜視図で示す。中心に上面視三角形のハブ部222を備え、120度の回転対象に放射状にアーム224が延び、その先端にはそれぞれフック部226を備え、ドラム缶の上部縁部と締結する調節部材(例えば、ボルト)228を備える。これらは、所定の引張強度が要求されるので、金属製等で構成されてよい。また、脚部19と同じ材料で構成されてもよい(調節部材は、金属でも良い)。
【0039】
図16Bから16Eは、別のジョイント(締結部材)240を図解する。ドラム缶の上部縁部(チャイム)206に引っ掛けるようにマウントするマウント部242(フック部に相当)、内径側の開口244、外径側にボルトのヘッドを配置し、前記開口244を貫通するボルト246(アームに相当)、ハブ部を構成するブラケット248、及びボルト246の相手となるナット部249を備える。ブラケット248は、中心部248b及び120度回転対象な縦部248aを備える。縦部248aには、ボルト246が貫通(貫挿)する横孔248cが備えられる。
図16F及び16Gは、ブラケットの別の実施例を示す。円筒形のブラケット252、254は、汎用性が高く、開口252c、254cは、横長でボルトなどの締結部品を汎用的に貫通させる。開口254dは、上からかぶせることが可能にアーム(例えば、ボルト246)のための通路として開いている。いずれのブラケットも締結部材240を構成することができる。
【0040】
図15Cは、本願の実施例において、ドラム缶用パレットに搭載し、これらのドラム缶を固定蓋で止める様子を示す展開斜視図である。ドラム缶用パレット10にドラム缶が搭載されるところまでは、
図15Aと同じであるので説明を省略する。3つの搭載されたドラム缶200の上方から、固定蓋11を固定パッド14’を下に向けてかぶせるように近接させる。この固定蓋11は、
図15Eに示すように、
図1のドラム缶用パレットに類似する。異なるところは、ベースボード12の上に固定パッド14’が載せられて固定されていることと、脚部19が備えられていないことである。また、中央には、貫通孔17が設けられているが、これは、ドラム缶を固定するための螺刻棒50を相通させるために設けられている。螺刻棒50は、少なくとも一部に螺刻がなされており、蝶ナット様の締付ナットにより、ワッシャー54を介して固定蓋11を締め付けることができる。螺刻棒50の下方の先端には、係止部56が設けられている。この係止部は、蓋部材40のいずれかの開口46に入った後に、抜けないように開口46の内側の側縁部で固定されてもよい。係止部56は先端展開部を備えてもよく、先端固定横棒を備えてもよい。
図15Dは、固定蓋11による固定後のドラム缶搭載のドラム缶用パレットシステムを示す側面図である。中央の組立脚部材20’の一部を破断させ中を透視できるようにしてある。このように固定すると、ドラム缶は横揺れに対して、強固に耐えることができる。
【0041】
尚、ワッシャー54が十分に大きい場合は、この固定蓋11が無くても、ドラム缶を固定できることは分かる。また、このワッシャー54は、必ずしも円環状である必要はなく、
図15Fに示すように切り欠き部(開口)55を設けている止部材54aであってもよい。また、円状である必要はなく、馬蹄型であってもよい。
【0042】
図15Gは、本願の実施例において、ドラム缶用パレットの別の実施例を示す斜視図である。これまで、ベースボード12に取り付けられる支持パッド14は、ドラム缶の上面の凹部の内径に入るような円形(円板形)を示してきたが、荷重が支えられる限りにおいて、円形である必要はない。例えば、本図において示すドラム缶用パレット10bのように小円盤である支持パッド14bをそれぞれ3つずつ備えてもよい。3つ備えるのは、ドラム缶の荷重を安定的に支持するためである。即ち、3点で平面が確定できるので、小型パッド(円板である必要はなく、矩形でも良い)を用いる場合は、3つ又はそれ以上が好ましい。また、これまで支持パッドは、リサイクル材を用いてきたが、これに限る必要はない。木製であってもよい。金属製であってもよい。樹脂製であってもよい。その他の材料や複合材であってもよい。
【0043】
図15Hは、本願の実施例において、ドラム缶用パレットの別の実施例を示す底面図である。これまで、ベースボード12は、リサイクル材から構成されるように記載されたが、これに限る必要はない。木製であってもよい。金属製であってもよい。樹脂製であってもよい。その他の材料や複合材であってもよい。また、上面視で3つの円(ドラム缶の上面視の形状が相当する)からなる三つ葉様のものが示されてきたが、これに限られる必要はない。例えば、本図において示すドラム缶用パレット10cのようにハブアンドスポーク形状を呈するものであってもよい。本図において、ベースボードに相当するところは、ベース部60(ハブに相当)及びベース部60から放射状に3方向に延びるスポーク部62(スポークに相当)及びこれらのスポーク部62に直交する横板64(これもスポークに相当)から構成される。ベース部60、スポーク部62及び横板64は、板形状であってもよい。2点鎖線で描かれる3つの仮想線101は、ドラム缶の下面の内径の円形状に相当する。これらに沿うように、スポーク部62及び横板64の上面に支持パッド14bが備えられる。これらの支持パッド14bは、
図15Gのものと同様である。
【0044】
これらのベース部60、スポーク部62及び横板64は、上面視で小面積であるので、紙のようなリサイクル材では強度が不十分であるかもしれない。例えば、木製、金属製、樹脂製であってもよい。これらの木製、金属製、又は樹脂製の各部材は、細板形状を主な形状とするため、再利用が比較的容易であると考えられる。また、当然にリサイクル処理を行ってリサイクル材とすることもできる。また、ワンスルーのように使用後廃棄してもよい。
【0045】
図17は、船舶等による輸送に一般に使用されるコンテナ300を示す。
図17は、そのコンテナに、
図15Aに示すような搭載済みパレットのクラスターを配置したところを
図18に上面図で図解する。このように配置すると、ドラム缶の充填効率が飛躍的に向上する。通常は、
図20に示すように、ドラム缶は、いわゆる最密ではない充填で搭載される。仮に、3×3の配置用パレットに載置されたとして、
図18のように一辺がドラム缶の半径rの6倍の長さが必要になる。一方、いわゆる最密充填の場合は、
図19に示すように、15%もの充填効率の向上が得られる。加えて、最密充填構造を備えるので、ドラム缶同士で噛み合い、ズレることが少ない。一方、
図20のような構成では、ドラム缶同士の拘束は殆ど期待できない。更に、
図18に示すように、本願のドラム缶用パレットに搭載したまま、コンテナ300に積み込む際に、1個積み、2個積み等のパレットの変更をすることなく、コンテナ300にそのまま搭載が可能である。加えて、典型的なコンテナの内寸法が、2300×5800であるところ、
図20のような積み方では、3×9=27個しか収納できないが、本願のドラム缶用パレットを用いれば、36個も収納ができるのである。典型的なコンテナの典型的な寸法による隙間によるものではあるが、30%以上もの搭載効率アップが望まれる。更に、例えば、ドラム缶の高さが典型的に約900mmであり、パレット高さが典型的に約150mmであるとすると、コンテナの内寸法高さは、2300であるので、2段済みも可能である。このようにぎっしりと積み込まれた場合は、コンテナ搬送中の揺れに対しても、コンテナの内壁が直接ドラム缶を支持可能である。従って、ラッシングベルトのような別途の締結具が不要となるかもしれない。
【0046】
図21及び
図22は、ベースボード12を構成し得る板材を例示する。
図22は、細かいフルート122及び大きいフルート124からなるWフルートを備える段ボール(紙製であってもよく、樹脂製であってもよい)を例示する。この段ボールは、開口部を備えることができる。また、
図21は、表面部材を破壊し、縦向きに備えるハニカム構造120が見えるように描写して、ハニカムボードを例示する。このようなハニカム構造は、紙製であってもよく、また、樹脂製であってもよい。樹脂は、合成樹脂を含んでもよい。また、同様に、開口部を備えることができる。これらの部材は、いずれも脚部から分離されると、容易にリサイクルすることができる。しかしながら、被搭載物に直接触れることが多く、リユースには向かない場合が多い。
【0047】
図23は、ドラム缶の集積現場Aからドラム缶の使用現場Bまで、ドラム缶パレットをリサイクルパレットとして管理するシステムを図解する。ドラム缶の集積現場Aでは、使用する予定のものを充填した或いは空のドラム缶を集積する。同時に、リサイクルされたベースボードや保持パッドを準備し、リユースされる脚部支持プレート、脚部材、蓋部材、更に必要に応じて締結部材を準備する。これらにより、ドラム缶用のパレットを組み立てる。そしてその上に、集積したドラム缶を搭載し、締結部材で固定する。このようなリサイクル材の準備、及びリユース材の準備には、集積現場に配置される通信端末(例えば、スマートフォン、携帯電話等)が活用される。即ち、管理システムから送信される信号がクラウド経由でこの通信端末に届けられる。通信端末は、これに応じて、最寄りの生産現場や集積現場から、集積現場Aへリサイクル材を搬送するように指令する。また、リユース材も同様に最寄りの集積現場から、集積現場Aへリユース材を搬送するように指令する。そして、その指令に応じて集められた資材から、ドラム缶用パレットを組み立てて、ドラム缶を載置し、必要に応じて、締結部材で固定する。リサイクルベースボードやリサイクル保持パッドは、製造現場近郊で得られる一般的なリサイクル段ボールから切り抜いて用いてもよい。また、リユース脚部は、少なくとも1度用いられたドラム缶用パレットから分解したものであってもよい。このリユース脚部は、分解により、梱包・運搬が容易になるように空間効率向上が図られる形状・構造をしている。このようなパレットに積載されたドラム缶は、パレットごと出荷され、トラック等で運搬される。このとき、出荷されたドラム缶搭載パレットに関する情報を通信端末に保存してもよく、及び/又は管理システムに送信してもよい。
【0048】
ドラム缶搭載パレットは、必要に応じて海上輸送を利用するため港Houtに運ばれ、典型的なコンテナ内に収納される。この収納方法等は、本明細書に開示のものを例示できる。コンテナの寸法は、典型的なものであってもよい。このため、従来からのドラム缶の搬送量に比べ、より大量を搬送できる。コンテナに収納されたドラム缶搭載パレットは、コンテナ船により海上輸送される。海上輸送では、気象条件により大きな揺れも予想されるが、コンテナへの充填方法が最密充填であるため、コンテナの内壁により、転倒防止が可能となる。このとき、ドラム缶搭載パレットの環境を自動測定して、通信端末に保存、及び/又は管理システムに送信してもよい。そして、ドラム缶搭載パレットは、目的地の港Hinに入港する。入港日時は、通信端末に保存してもよく及び/又は管理システムに送信してもよい。その港では、ドラム缶搭載パレットはそのまま荷下ろしされ、トラック等で運搬される。このとき、ドラム缶使用現場付近まで運搬されたドラム缶搭載パレットは、パレットに搭載されたまま使用現場にフォークリフト等で配送されてもよい。ドラム缶を3個ずつの小ロットであるので、自由度が大きい。現場では、ドラム缶用パレットに載せたまま、或いは、そこから降ろして使用してもよい。締結部材は、ドラム缶の上部縁部に取り付けられているのに過ぎないので、ドラム缶の蓋を開けることには特に支障はないと考えられる。不要となったドラム缶用パレットは、リユース脚部及びリサイクルボード等に分解される。リサイクルベースボードや保持パッドは、段ボール等の一般的なリサイクル工程に利用されてもよい。また、リユース脚部材、脚部支持プレート、蓋部材等は、例えば、使用現場で保管されてもよく、適宜梱包されて保管場所や使用予定場所に送られてもよい。このリユース脚部材等を利用して、上述する集積現場Aで、リサイクルパレットとしてドラム缶用パレットが組み立てられてもよい。このようにすると、不要な梱包材を少なくすることができ、費用の削減ができるだけでなく、環境にも好ましい。
【0049】
また、組み立てられたリサイクルパレットには、通信端末が付けられており、通信端末(例えば、スマートフォン、携帯電話等)には、搭載されるタイルの属性(製造日、製造場所、製造者を含む)、仕様、目的地等が記録される。この通信端末から、クラウドやその他の通信手段(有線又は無線の電磁的な通信手段(電波、電信、信号)等)により、これらの情報が管理システムのコンピュータに送られる。このコンピュータは、タイルの敷設現場等との通信も行われ、ニーズとのマッチングが行われる。例えば、見込みで準備したドラム缶入りの資材は、出荷から配送までの間に、必要な現場を適宜把握し、目的地等を変更可能である。そして、使用現場Bでは、何時頃必要なドラム缶入り資材が到着するかが容易に把握できるので、使用日程を調整可能である。このような調整のためのシステムは、ソフトウェアを含んでもよく、管理システムのコンピュータ等の電算システムにインストールされてもよい。また、そのためのアプリを通信端末にインストールしてもよい。