(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041031
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】積層吸音材
(51)【国際特許分類】
G10K 11/168 20060101AFI20240318BHJP
B32B 7/02 20190101ALI20240318BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20240318BHJP
B60R 13/08 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G10K11/168
B32B7/02
B32B5/18
B60R13/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085377
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022144940
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】能勢 謙太
(72)【発明者】
【氏名】関 知也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 昴
【テーマコード(参考)】
3D023
4F100
5D061
【Fターム(参考)】
3D023BA03
3D023BB21
3D023BD03
3D023BD21
3D023BE06
4F100AK01A
4F100AP03A
4F100AT00A
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4F100DG15A
4F100DJ00B
4F100DJ01A
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4F100JA13A
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5D061AA03
5D061AA06
5D061AA12
5D061AA22
5D061AA23
5D061AA25
5D061AA26
5D061DD11
(57)【要約】
【課題】本発明厚みが小さく軽量であるにもかかわらず、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域において優れた吸音性を有する積層吸音材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの層(A)と、少なくとも1つの層(B)と、を含む積層吸音材であり、層(A)の見かけ密度は0.15~1.5g/cm3であり、層(A)のJIS K6400に準拠した通気度(A1、単位:cm3/cm2/sec)は0~10cm3/cm2/secであり、層(A)の合計の厚み(T1、単位:mm)は0.1~1.0mmであり、層(B)の見かけ密度は0.005~0.080g/cm3であり、層(B)のJIS K6400に準拠した通気度は0.1~250cm3/cm2/secであり、層(B)の合計の厚みは10~65mmである積層吸音材である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの層(A)と、
少なくとも1つの層(B)と、を含む積層吸音材であり、
層(A)の見かけ密度は0.15~1.5g/cm3であり、
層(A)のJIS K6400に準拠した通気度(A1、単位:cm3/cm2/sec)は0~10cm3/cm2/secであり、
層(A)の合計の厚み(T1、単位:mm)は0.1~1.0mmであり、
層(B)の見かけ密度は0.005~0.080g/cm3であり、
層(B)のJIS K6400に準拠した通気度は0.1~250cm3/cm2/secであり、
層(B)の合計の厚みは10~65mmである積層吸音材。
【請求項2】
下記式1で示される、前記層(A)の通気度(A1)と前記層(A)の合計の厚み(T1)との関係を満たしている、請求項1に記載の積層吸音材。
式1:(A1)≦11.111×(T1)-1.111
【請求項3】
前記層(A)は、樹脂フィルム、圧縮チップシート、発泡樹脂シート及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、請求項1に記載の積層吸音材。
【請求項4】
前記層(B)は多孔質体からなる、請求項1に記載の積層吸音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、エンジンなどの動力源を有し、人の操作によって移動できる機械であり、様々な振動や騒音を発生させる。車両内に伝達される音としては、動力源が発する音だけではなく、車両が走行する際に発生するロードノイズ、タイヤパターンノイズ、風切音等の、車両の外で発生する音も含まれる。これらの音が車両内に伝達されてしまうと、人に対して不快感を与えてしまうため、エンジン、エンジンルーム内、内装、ボディ、排気管周辺等において、遮音材及び吸音材を用いて防音対策が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、連続気泡を形成する母材樹脂と、母材樹脂に分散され独立気泡を形成する膨張した平均粒径が0.1~3000μmの有機中空粒子とからなる厚み1mmの発泡体のフィルムを厚さ10mmの不織布に接着した試験体の垂直入射吸音率の測定で、2000~4000Hzの周波数域における吸音率が81~92%となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吸音材は、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域の騒音に対する対策が不十分であった。さらに、自動車等において防音材の設置スペースは限られているため、省スペース性に優れた吸音材が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた発明であり、厚みが小さく軽量であるにもかかわらず、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域において優れた吸音性を有する積層吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、少なくとも1つの層(A)と、少なくとも1つの層(B)と、を含む積層吸音材であり、層(A)の見かけ密度は0.15~1.5g/cm3であり、層(A)のJIS K6400に準拠した通気度(A1、単位:cm3/cm2/sec)は0~10cm3/cm2/secであり、層(A)の合計の厚み(T1、単位:mm)は0.1~1.0mmであり、層(B)の見かけ密度は0.005~0.080g/cm3であり、層(B)のJIS K6400に準拠した通気度は0.1~250cm3/cm2/secであり、層(B)の合計の厚みは10~65mmである積層吸音材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、厚みが小さく軽量であるにもかかわらず、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域において優れた吸音性を有する積層吸音材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、少なくとも1つの層(A)と、少なくとも1つの層(B)と、を含む積層吸音材である。層(A)と層(B)は、それぞれ1層としてもよいし、複数層としてもよい。
層(A)の合計の厚み(T1、単位:mm)は0.1~1.0mmであり、好ましくは0.15~0.50mmである。0.1mm未満では低周波領域の吸音率が低下し、1.0mmを超えると吸音材が重くなる。適度な温度、時間及び圧力でプレス成型することで前記の厚みを有する層(A)を得ることができる。
【0010】
層(A)の見かけ密度は0.15~1.5g/cm3であり、好ましくは0.2~1.3g/cm3であり、さらに好ましくは0.9~1.3g/cm3である。0.15g/cm3未満であると低周波領域の吸音率が低下し、1.5g/cm3を超えると吸音材が重くなる。見かけ密度を前述の範囲にするためには、層(A)の素材の選択及び選択した素材を適切な温度、時間及び圧力でプレス成型することで好ましい範囲に調整することができる。
層(A)の見かけ密度は、JIS K7222:2005に準拠して行うことが出来る。
【0011】
層(A)のJIS K6400に準拠した通気度(A1、単位:cm3/cm2/sec)は0~10cm3/cm2/secであり、好ましくは0~7cm3/cm2/secであり、最も好ましくは0~4cm3/cm2/secであり、特に好ましくは0~1cm3/cm2/secである。10cm3/cm2/secを超えると低周波領域の吸音率が低下する。通気度(A1)を前述の範囲にするためには、適切な温度、時間及び圧力でプレス成型することで好ましい範囲に調整することができる。
【0012】
前記層(A)の通気度(A1)と前記層(A)の合計の厚み(T1)との関係は、下記式1を満たしていることが好ましい。このようにすれば、低周波領域の吸音特性が良好となる。
式1:(A1)≦11.111(T1)-1.111
【0013】
層(A)は、樹脂フィルム、圧縮チップシート、発泡樹脂シート及び不織布からなる群より選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
樹脂フィルムは、ウレタン樹脂製フィルム、ウレタンウレア樹脂製フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂製フィルム、及びポリオレフィン樹脂製フィルム等が好ましい。
圧縮チップシートとは、チップ化した樹脂又はパルプをプレス加工することによって圧縮成形して得られるシートを意味し、ウレタン樹脂圧縮チップシート(以下、圧縮チップウレタンシート又は圧縮ウレタンチップシートともいう)及び圧縮チップウレタンウレアシートが好ましい。
発泡樹脂シートとは、シート状の樹脂の発泡体(ウレタンフォーム及びウレタンウレアフォーム等)を意味し、シート状に発泡成形した樹脂及び樹脂の発泡体にプレス加工してシート状に成形した圧縮フォーム等があげられ、圧縮ウレタンフォーム及び圧縮ウレタンウレアフォームが好ましい。
不織布としては、合成繊維不織布が好ましく、短繊維不織布、及び長繊維不織布が使用できる。また、プレス加工を行った圧縮不織布であっても良い。
層(A)は、樹脂フィルム、圧縮チップシート、発泡樹脂シート及び不織布から選ばれる少なくとも1種から構成されていれば良く、を単独材料で構成されていても複数の材料を積層して構成されていてもよい。
【0014】
層(B)の合計の厚みは10~65mmであり、好ましくは10~35mmであり、さらに好ましくは15~30mmである。10mm未満では低周波領域の吸音率が低下し、65mmを超えると吸音材が重くなる。適切な厚さに切断加工することで前記の厚みを有する層(B)を得ることができる。
【0015】
層(B)の見かけ密度は0.005~0.080g/cm3であり、好ましくは0.008~0.060g/cm3であり、更に好ましくは0.010~0.060g/cm3である。層(B)の多孔質体の見かけ密度は、発泡剤の量を調整することで前記の範囲にすることができる。
0.005g/cm3未満であると成形が困難であり、0.080g/cm3を超えると低周波の吸音性が不良である。
層(B)の見かけ密度は、JIS K7222:2005に準拠して行うことが出来る。
【0016】
層(B)のJIS K6400に準拠した通気度は0.1~250cm3/cm2/secであり、好ましくは3~220cm3/cm2/secであり、さらに好ましくは3~150cm3/cm2/secである。250cm3/cm2/secを超えると多孔質体強度が不足する。層(B)の通気度は、発泡剤と連通化剤の量を調整することで前記の範囲にすることができる。
【0017】
層(B)は多孔質体からなることが好ましい。多孔質体とは、複数の微細な孔が形成されたものを意味する。
多孔質体としては、発泡樹脂(ポリウレタンフォーム、メラミンフォーム、及びゴムスポンジ等)、及び発泡樹脂の粉砕物を圧縮成形した成形体(チップウレタン等)、不織布、織布、綿、フェルト及びグラスウール等が挙げられる。これらのうち低周波領域の吸音性の観点より、好ましくは発泡樹脂及び不織布であり、更に好ましくはウレタンフォーム及び不織布である。
層(B)は、多孔質体であれば良く、単独の材料で構成されていても複数の材料を積層して構成されていてもよい。
【0018】
前記多孔質体がポリウレタンフォームである場合、ポリウレタンフォームの製造方法としては、公知の方法を適用することができ、ポリオール成分(Q)に、必要に応じて、触媒(C)、整泡剤(I)、架橋剤、連通化剤及び発泡剤(K)等を配合した混合液を撹拌混合した後に、ポリイソシアネート成分(B)と撹拌混合し、適当な金型内に注入し発泡するモールド成形発泡法や、適当な金型内に注入せず発泡するスラブストック発泡法が採用できる。
【0019】
本発明の積層吸音材は、前記層(A)と前記層(B)とを積層することで得られる。
層(A)と層(B)とを積層させる方法は特に限定されず、例えば、樹脂化する前のウレタンフォームの発泡成形を他方の基材上で行って密着させる方法、ウレタンフォームのフレームラミネートによって密着させる方法、及び加熱溶融による接着等が挙げられる。層(A)と層(B)とを接着剤(スプレー糊等)または両面テープ等を用いて接着、積層させても良く、接着剤および両面テープの厚さは、好ましくは10~100μmであり、更に好ましくは20~50μmである。
【0020】
層(A)、又は層(B)を2つ以上有する場合、前記層(A)と前記層(B)とを積層することで、本発明の積層吸音材は3層以上の材料が積層して構成されたものになる。
【0021】
層(B)を2つ以上有する場合、層(A)は樹脂フィルムであることが好ましく、層(B)としては、第一の層(B)であるウレタンフォーム層(B1)と、第二の層(B)である多孔質層(B2)とを有する積層体があげられる。
ウレタンフォーム層(B1)の見かけ密度は、低周波領域の吸音性と成形性の観点より好ましくは0.05~0.1g/cm3であり、更に好ましくは0.05~0.07g/cm3である。
ウレタンフォーム層(B1)の厚みは、低周波領域の吸音性と軽量性の観点より好ましくは3~15mmであり、更に好ましくは5~12mmである。
ウレタンフォーム層(B1)の通気度は、吸音性の観点より、好ましくは1~50cm3/cm2/secであり、更に好ましくは1~10cm3/cm2/secである。
【0022】
多孔質層(B2)の見かけ密度は、低周波領域の吸音性と成形性の観点より好ましくは0.005~0.060g/cm3であり、更に好ましくは0.008~0.040g/cm3であり、最も好ましくは0.010~0.025g/cm3である。
多孔質層(B2)の厚みは、低周波領域の吸音性と軽量性の観点より好ましくは10~50mmであり、更に好ましくは10~30mmであり、最も好ましくは10~20mmである。
多孔質層(B2)の通気度は、吸音性の観点より、好ましくは1~250cm3/cm2/secであり、さらに好ましくは3~220cm3/cm2/secである。
【0023】
多孔質層(B2)としては、層(B)を構成する多孔質体として例示したものと同じものを用いることができ、好ましいものも同じである。
【0024】
本発明の積層吸音材を構成する層(B)が、ウレタンフォーム層(B1)と多孔質層(B2)との積層体である場合、前記のウレタンフォーム層(B1)が、前記層(A)と前記多孔質層(B2)との間に配置されていることが好ましい。このような状態にすることで、より高い吸音効果を実現する。
【0025】
ウレタンフォーム層(B1)と多孔質層(B2)とを積層させる方法は特に限定されず、例えば、多孔質層(B2)の上でウレタンフォームを作成して積層する方法やウレタンフォームのフレームラミネートによって接着する方法等が挙げられる。また、ウレタンフォーム層(B1)と多孔質層(B2)とが対向する面のいずれか、又は両方に公知の接着剤を塗工し、乾燥することで接着する方法、ウレタンフォーム層(B1)と多孔質層(B2)との間を両面テープで接着する方法を用いることもできる。ウレタンフォーム層(B1)と多孔質層(B2)とを接着剤又は両面テープで接着した場合、接着剤層又は両面テープ層の厚さは、10~100μmが好ましく、20~50μmが更に好ましい。
【0026】
本発明の積層吸音材は、層(A)を音源と相対する向きに配置するのが好ましい。層(A)は、音の伝搬方向に沿って層(B)よりも薄く、かつ通気性の低い素材から形成される。これにより、特に人が不快と感じる周波数帯にて膜振動による吸音効果を発揮し、吸音効果を実現する。
【実施例0027】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
【0028】
[製造例1:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)の製造]
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、ポリエステルジオール(a1)としての数平均分子量(以下、数平均分子量はMnと略記する)が2300ポリエチレンイソフタレート282.9部及びポリエステルジオール(a2)としてのMnが1,000のポリブチレンアジペート424.4部、モノオール(c)としてのベンジルアルコール9.34部並びに低分子ジオール(b)としての1,4-ブタンジオール5.88部を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、50℃まで冷却した。続いて、有機溶媒としてのメチルエチルケトン150.0部及び有機ジイソシアネート(e)としてのヘキサメチレンジイソシアネート132.0部を投入し、90℃で6時間反応させた。次いで、70℃に冷却した後、安定剤としてのイルガノックス1010[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製]1.4部を加え、均一に混合してウレタンプレポリマー(Up-1)の溶液を得た。続いて、反応容器に、分散安定剤としてのサンスパールPS-8[三洋化成工業(株)製]5.9部を水152部に溶解した水溶液157.9部と有機溶媒としてのメチルエチルケトン37.1部を加えて20℃で均一に撹拌後、ウルトラディスパーサー[ヤマト科学(株)製]を用いて周速23m/s(回転数:10,000rpm)の攪拌下にジアミン(d)としてのヘキサメチレンジアミン1.7部を加え1分間混合した。続いて、75℃に温調したプレポリマー(Up-1)の溶液103.3部を投入し、周速23m/sで2分間混合した後、混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換し、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を得た。
得られた熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)は粉粒状であり、その体積平均粒子径は205μm、Mnは25000であった。
【0029】
得られた熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、3MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.2mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を得た。
【0030】
<体積平均粒子径の測定方法>
本発明において体積平均粒子径は以下の方法により測定した。
レーザー回折式粒子径分布測定装置[日機装(株)製「MicrotracMT3000II」]を用いて測定を行い、得られた相対累積粒子径分布曲線において累積量が50%のときの粒子径(d50)を体積平均粒子径とした。
【0031】
<Mnの測定方法>
本発明においてMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
・装置:「HLC-8320」[東ソー(株)製]
・カラム:「TSKgel Guardcolumn α」、「TSKgel α-M」[東ソー(株)製]
・測定温度:40℃
・試料溶液:0.125重量%のN,N-ジメチルホルムアミド溶液
・溶液注入量:100μL
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)12点(分子量589、1,050、2,630、5,970、9,100、19,500、37,900、96,400、190,000、427,000、1,090,000、2,110,000)[東ソー(株)製]
尚、Mnの測定には、試料をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液として用いた。
【0032】
[製造例2:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-2)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を190℃、60秒、5MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.1mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-2)を得た。
【0033】
[製造例3:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-3)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、0.5MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.38mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-3)を得た。
【0034】
[製造例4:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-4)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、0.3MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.5mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-4)を得た。
【0035】
[製造例5:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-5)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、0.1MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.75mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-5)を得た。
【0036】
[製造例6:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-6)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、5MPaの条件で、スペーサーを介してプレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが1.0mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-6)を得た。
【0037】
[製造例7:圧縮チップウレタン(X-2)の製造]
チップウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製)を160℃、60秒、3MPaの条件で、スペーサーを介してプレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルム
の厚みが1.0mmである圧縮チップウレタン(X-2)を得た。
【0038】
[製造例8:圧縮不織布(X-3-1)の製造]
不織布(シンサレート:3M社製)を98℃、60秒、15MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.25mmである圧縮不織布(X-3-1)を得た。
【0039】
[製造例9:圧縮不織布(X-3-2)の製造]
不織布(シンサレート:3M社製)を55℃、60秒、3MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが1.0mmである圧縮不織布(X-3-2)を得た。
【0040】
[製造例10:ウレタンフォーム(F-1)の製造]
ポリオール(Q-1)、整泡剤(I-1)、触媒(C-1)、触媒(C-2)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌し、混合液を50cm×50cm×50cmの段ボールで作った型の中に入れ発泡させた後に、70℃の乾燥機で5分間し熟成させることで、ウレタンフォーム(F-1)を得た。
【0041】
[製造例11:ウレタンフォーム(F-2)の製造]
ポリオール(Q-2)、ポリオール(Q-3)、連通化剤(S-1)、架橋剤(R-1)、整泡剤(I-2)、触媒(C-1)、触媒(C-3)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌し、混合液を50cm×50cm×50cmの段ボールで作った型の中に入れ、発泡させた後に、70℃の乾燥機で5分間し熟成させることで、ウレタンフォーム(F-2)を得た。
【0042】
[製造例12:ウレタンフォーム(F-5)の製造]
ポリオール(Q-4)、ポリオール(Q-5)、ポリオール(Q-6)、ポリオール(Q-7)、ポリオール(Q-8)、整泡剤(I-3)、触媒(C-1)、触媒(C-2)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌し、混合液を50cm×50cm×50cmの段ボールで作った型の中に入れ、発泡させることで、ウレタンフォーム(F-5)を得た。
【0043】
[製造例13:圧縮ウレタンフォーム(X-4)の製造]
製造例12で製造したウレタンフォーム(F-5)を、160℃、60秒、0.5MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが0.8mmである圧縮ウレタンフォーム(X-4)を得た。
【0044】
<実施例1>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-1)を得た。層(A)および層(B)の物性値と、下記の方法で測定した積層吸音材目付量[1平方メートルの積層吸音材における層(B)の重量(kg)]と、下記の方法で測定した積層吸音材の吸音性能(垂直入射吸音率)を表2に記載した。
【0045】
<実施例2>
ウレタンフォーム(F-1)をウレタンフォーム(F-2)に変更した以外は実施例1と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-2)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-2)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表2に記載した。
【0046】
<実施例3>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-2)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-2)からなる本発明の積層吸音材(Z-3)を得た。
【0047】
<実施例4>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-3)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-3)からなる本発明の積層吸音材(Z-4)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表2に記載した。
【0048】
<実施例5>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-4)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-4)からなる本発明の積層吸音材(Z-5)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表2に記載した。
【0049】
<実施例6>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-5)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-5)からなる本発明の積層吸音材(Z-6)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表2に記載した。
【0050】
<実施例7>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-6)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-6)からなる本発明の積層吸音材(Z-7)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表2に記載した。
【0051】
<実施例8>
熱可塑性ウレタンフィルム(大倉工業製、シルクロン)に、スプレーのり(3M社製、
スプレーのり55)を吹き付けたものを、ウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせることで層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンフィルムからなる本発明の積層吸音材(Z-8)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0052】
<実施例9>
ウレタンフォーム(F-1)を不織布(シンサレート、3M社製)へ変更した以外は実施例1と同じ操作で行い、層(B)である不織布と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-9)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0053】
<実施例10>
ポリオール(Q-2)、ポリオール(Q-3)、連通化剤(S-1)、架橋剤(R-1)、整泡剤(I-2)、触媒(C-1)、触媒(C-3)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌した。得られた混合液を、製造例10で作成したウレタンフォーム(F-1)を底面に両面テープで固定し、蓋の内側に製造例1で作成した熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を両面テープで固定した、40cm×40cm×2cmの型の中に入れ、蓋を閉じて発泡させることで、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)及びウレタンフォーム(F-3)と、層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-10)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0054】
<実施例11>
ポリオール(Q-2)、ポリオール(Q-3)、連通化剤(S-1)、架橋剤(R-1)、整泡剤(I-2)、触媒(C-1)、触媒(C-3)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌した。得られた混合液を、製造例1で作成した熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を底面に両面テープで固定した、40cm×40cm×2cmの型の中に入れ、蓋を閉じて発泡させることで、層(B)であるウレタンフォーム(F-3)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-11)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0055】
<実施例12>
ウレタンフォーム(F-1)をメラミンフォーム(BASF製、Basotect)へ変更した以外は実施例1と同じ操作で行い、層(B)であるメラミンフォームと層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-12)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0056】
<実施例13>
ウレタンフォーム(F-1)をウレタンフォーム(F-5)に変更した以外は実施例1と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-5)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-15)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表3に記載した。
【0057】
<実施例14>
ポリ塩化ビニルフィルム(ESCO製、EA911AG-421)に、スプレーのり(3M社製、スプレーのり55)を吹き付けたものを、ウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせることで層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)であるポリ塩化ビニルフィルムからなる本発明の積層吸音材(Z-14)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0058】
<実施例15>
ポリエチレンフィルム(株式会社ミスミ製、非塩ビシートHPEDT0.2-10)に、スプレーのり(3M社製、スプレーのり55)を吹き付けたものを、ウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせることで層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)であるポリエチレンフィルムからなる本発明の積層吸音材(Z-15)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0059】
<実施例16>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を前記圧縮チップウレタン(X-2)へ変更した以外は実施例1の操作と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である圧縮チップウレタン(X-2)からなる本発明の積層吸音材(Z-16)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0060】
<実施例17>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を前記圧縮不織布(X-3-1)へ変更した以外は実施例1の操作と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である圧縮不織布(X-3-1)からなる本発明の積層吸音材(Z-17)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0061】
<実施例18>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を前記圧縮不織布(X-3-2)へ変更した以外は実施例1の操作と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である圧縮不織布(X-3-2)からなる本発明の積層吸音材(Z-18)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0062】
<実施例19>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を前記圧縮ウレタンフォーム(X-4)へ変更した以外は実施例1の操作と同じ操作を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である圧縮ウレタンフォーム(X-4)の積層吸音材(Z-19)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表4に記載した。
【0063】
<比較例1>
ポリオール(Q-2)、ポリオール(Q-3)、連通化剤(S-1)、架橋剤(R-1)、整泡剤(I-2)、触媒(C-1)、触媒(C-3)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌した。得られた混合液を、製造例1で作成した熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)を底面に両面テープで固定した、40cm×40cm×2cmの型の中に入れ、蓋を閉じて発泡させることで、層(B)であるウレタンフォーム(F-4)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(比Z-1)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0064】
[比較製造例1:熱可塑性ウレタンウレアフィルム(比X-1)の製造]
前記熱可塑性ウレタンウレア樹脂(U-1)を180℃、60秒、5MPaの条件でスペーサーを介してプレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが1.5mmである熱可塑性ウレタンウレアフィルム(比X-1)を得た。
【0065】
<比較例2>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(比X-1)をウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(比X-1)からなる本発明の積層吸音材(比Z-2)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0066】
<比較例3>
厚さ0.03mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと略記する、ニッパ株式会社製、PET25×2-CBD-A3)に、スプレーのり(3M社製、スプレーのり55)を吹き付けたものを、ウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせることで層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)であるPETフィルムからなる本発明の積層吸音材(比Z-3)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0067】
[比較製造例2:ウレタンフォーム(F-4)の製造]
ポリオール(Q-2)、ポリオール(Q-3)、連通化剤(S-1)、架橋剤(R-1)、整泡剤(I-2)、触媒(C-1)、触媒(C-3)、触媒(C-4)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌した。攪拌した混合液を40cm×40cm×2cmの型の中に入れ、蓋を閉じて発泡させることで、厚みが20mmのウレタンフォーム(F-4)を得た。
【0068】
<比較例4>
ウレタンフォーム(F-4)を比較例4とした。
ウレタンフォーム(F-4)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0069】
<比較例5>
ウレタンフォーム(F-1)を比較例5とした。
ウレタンフォーム(F-5)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0070】
<比較例6>
不織布(シンサレート:3M社製)を比較例6とした。
不織布(シンサレート:3M社製)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0071】
<比較例7>
制振材(カームフレックスRZ-13350 :イノアックリビング社製)を比較例7とした。制振材の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0072】
[比較製造例3:圧縮不織布(比X-3)の製造]
不織布(シンサレート:3M社製)を55℃、60秒、0.8MPaの条件で、プレス成型し、フィルム状の成形体であり、フィルムの厚みが1.5mmである圧縮不織布(比X-3)を得た。
【0073】
<比較例8>
圧縮不織布(比X-3)に、スプレーのり(3M社製、スプレーのり55)を吹き付けたものを、ウレタンフォーム(F-1)に重ね合わせることで層(B)であるウレタンフォーム(F-1)と層(A)である圧縮不織布(比X-3)からなる本発明の積層吸音材(比Z-8)を得た。
【0074】
[比較製造例4:ウレタンフォーム(F-6)の製造]
ポリオール(Q-9)、整泡剤(I-4)、触媒(C-4)、触媒(C-5)、触媒(C-6)、難燃剤(N-1)及び発泡剤(K-1)を表1に記載した量で1Lカップに入れ、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。得られた混合液に、ポリイソシアネート(B-3)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌し、混合液を40cm×100cm×5cmの型の中に入れ、発泡させることで、ウレタンフォーム(F-6)を得た。
【0075】
<比較例9>
熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)をウレタンフォーム(F-6)に重ね合わせ、160℃、10分間の条件で加熱処理を行い、層(B)であるウレタンフォーム(F-6)と層(A)である熱可塑性ウレタンウレアフィルム(X-1-1)からなる本発明の積層吸音材(比Z-9)を得た。
層(A)および層(B)の物性値と、実施例1と同様に測定した積層吸音材目付量と、実施例1と同様に測定した積層吸音材の吸音性能とを表5に記載した。
【0076】
製造例10~12で得られたウレタンフォーム(F-1)、(F-2)および(F-5)、並びに実施例10で得られたウレタンフォーム(F-3)および比較例1で得られたウレタンフォーム(F-4)の組成を表1に記載した。
また、実施例1~19で得られた積層吸音材、および比較例1~9で得られた比較用の
積層吸音材について、それぞれの層を構成する材質と層の物性(見かけ密度、厚み及び通気度)、および積層吸音材の垂直入射吸音率を測定した結果を表2~5に記載した。
【0077】
【0078】
表1に記載した各成分は以下の通りである。
ポリオール(Q-1):グリセリンのPO/EO付加物、水酸基価50.6
ポリオール(Q-2):グリセリンのPO/EO付加物、水酸基価28.0
ポリオール(Q-3):グリセリンとソルビトールのPO・EO付加物、水酸基価32.5
ポリオール(Q-4):グリセリンのPO付加物、水酸基価22.4
ポリオール(Q-5):グリセリンのPO/EO付加物、水酸基価112
ポリオール(Q-6):プロピレングリコールPO付加物、水酸基価280
ポリオール(Q-7):グリセリンのPO付加物と無水フタル酸とPOのコポリマー/グリセリンのPO付加物=80/20、水酸基価56
ポリオール(Q-8):プロピレングリコールPO付加物、水酸基価28
ポリオール(Q-9):ペンタエリスリトールPO付加物、水酸基価400
ポリイソシアネ-ト(B-1):コロネートTー80[東ソー(株)製]
ポリイソシアネート(B-2):コロネートTー1021[東ソー(株)製、TDI-80(2,4-及び2,6-TDI、2,4-体の比率が80%)/粗製MDI=80/20混合物(重量比)、イソシアネート基含有率=44.6重量%]
ポリイソシアネート(B-3):ミリオネートMRー200[東ソー(株)製]
連通化剤(S-1):グリセリンのPO/EO付加物、水酸基価25
架橋剤(R-1):トリエタノールアミン
整泡剤(I-1):Niax Silicone L-580[モメンティブ製]
整泡剤(I-2):テゴスタブ B8738LF2[エボニック社製]
整泡剤(I-3):Niax Silicone L-598[モメンティブ製]
整泡剤(I-4):SH-193[ダウ・東レ(株)製]
触媒(C-1):DABCO-33LV[エアプロダクツジャパン(株)社製、トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液]
触媒(C-2):ネオスタンUー28[日東化成(株)製]
触媒(C-3):TOYOCAT RX-4[東ソー(株)製]
触媒(C-4):TOYOCAT ETS[東ソー(株)製、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル]
触媒(C-5):Polycat 8[サンアプロ(株)製]
触媒(C-6):U-CAT SA-1[サンアプロ(株)製]
難燃剤(N-1)TMCPP[大八化学工業(株)製]
発泡剤(K-1):水
【0079】
本発明における水酸基価は、JIS K0070(1995年版)に規定の方法で測定される。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
実施例1~19と比較例1~9の物性値、積層吸音材目付量及び吸音性能は以下のように測定した。
【0085】
<層(A)の見かけ密度>
JIS K7222:2005に準拠して見かけ密度を測定した。
【0086】
<層(A)の厚み>
JIS K7130:1999に準拠して厚みを測定した。
【0087】
<通気度>
JIS K6400に準拠して測定した(単位はcm3/cm2/sec)。
【0088】
<層(B)の見かけ密度>
JIS K7222:2005に準拠して見かけ密度を測定した。
【0089】
<層(B)の厚み>
JIS K7248:2005に準拠して厚みを測定した。
【0090】
<積層吸音材目付量>
積層吸音材における層(B)の重量(目付量)については、JIS K7112:1999の水中置換法に準拠して測定した層(B)の密度に層(B)の厚みを乗じて計算した。
層(B)が不織布である場合には、JIS L-1913:2010の6.2の「単位面積当たりの質量」に基づき、不織布の目付を求めた。
層(B)がウレタンフォームである場合には、JIS K7222:2005に準拠して多孔質体の見かけ密度を測定し、厚みを乗じて計算した。
層(B)が2種類の層で構成された実施例10における積層吸音材目付量については、各層の目付量の和を積層吸音材における積層吸音材目付量とした(単位はkg/m2)。
【0091】
<積層吸音材の垂直入射吸音率>
垂直入射吸音率はJIS A 1405-2に準拠する方法で測定した。吸音率が1であれば、すべての音を吸音しており、0であればすべての音を反射していることを示す。「周波数500~1000Hzにおける吸音率」は「吸音率の500~1000Hzにおける平均値」を意味する。
【0092】
表2~5より、本発明の積層吸音材は、厚みが小さく軽量であるにもかかわらず、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域において優れた吸音性を有することが分かる。
本発明の積層吸音材は、厚みが小さく軽量であるにもかかわらず、人が不快に感じる500~1000Hzの周波数領域において優れた吸音性を有するため、自動車のロードノイズ、エンジンルーム、ドアトリム等などの吸音材として好適に用いられる。