(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041036
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】多層基板及びアンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240318BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240318BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20240318BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/06
H01Q1/52
H05K3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097403
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2022145551
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川辺 健太朗
【テーマコード(参考)】
5E316
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB06
5E316CC08
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5E316DD12
5E316FF18
5E316HH06
5J021AA02
5J021AA03
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
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5J045AA21
5J045CA01
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5J045EA08
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5J045MA07
5J046AA04
5J046AB03
5J046AB13
5J046UA02
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくすると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制する。
【解決手段】第1配線層は、第1外縁の中で第1直線の最も近くに位置している第1給電点において第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、Z軸方向に見て、第1直線と直交しないように交差している。第2配線層は、第1外縁の中で第2直線の最も近くに位置している第2給電点において第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、Z軸方向に見て、第2直線と直交しないように交差している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっているグランド導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を備えている、
多層基板。
【請求項2】
前記Z軸方向に見て、前記第1直線を前記第1直線に直交する方向に移動させたときに、前記第1直線が通過する領域を第1領域と定義し、
前記第1配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1領域と前記第1領域外の領域とに跨っており、
前記Z軸方向に見て、前記第2直線を前記第2直線に直交する方向に移動させたときに、前記第2直線が通過する領域を第2領域と定義し、
前記第2配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第2領域と前記第2領域外の領域とに跨っている、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第3直線及び第4直線を含む第2外縁を有している第2放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第3直線の最も近くに位置している第3給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第3直線と直交しないように交差している第3配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第4直線の最も近くに位置している第4給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第4直線と直交しないように交差している第4配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第2放射導体層と重なっている、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の正側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記X軸の負側に位置している、
請求項3に記載の多層基板。
【請求項5】
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第5直線及び第6直線を含む第3外縁を有している第3放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第3放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第3外縁の中で前記第5直線の最も近くに位置している第5給電点において前記第3放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第5直線と直交しないように交差している第5配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第3放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第3外縁の中で前記第6直線の最も近くに位置している第6給電点において前記第3放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第6直線と直交しないように交差している第6配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第3放射導体層と重なっている、
請求項3に記載の多層基板。
【請求項6】
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の正側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記X軸の負側に位置しており、
前記第5直線及び前記第6直線は、前記第3外縁の内の前記第5直線及び前記第6直線を除く第3部分より前記X軸の正側に位置している、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項7】
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線、前記第3直線及び前記第5直線は、前記X軸と平行であり、
前記第2直線、前記第4直線及び前記第6直線は、X軸方向に見て、互いに重なり合っており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記X軸の正側の端は、前記第4直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第5直線の前記X軸の正側の端は、前記第6直線の前記Y軸の正側の端に接続されている、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項8】
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線、前記第4直線及び前記第5直線は、前記X軸と平行であり、
前記第2直線、前記第3直線及び前記第6直線は、X軸方向に見て、互いに重なり合っており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記Y軸の負側の端は、前記第4直線の前記X軸の負側の端に接続されており、
前記第5直線の前記X軸の正側の端は、前記第6直線の前記Y軸の正側の端に接続されている、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項9】
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の負側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記Y軸の負側に位置しており、
前記第5直線及び前記第6直線は、前記第3外縁の内の前記第5直線及び前記第6直線を除く第3部分より前記X軸の負側に位置している、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項10】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側に位置し、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっており、かつ、前記Z軸方向に見て、第3直線及び第4直線を含む第2外縁を有している第2放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第3直線に最も近くに位置している第3給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第3直線と直交しないように交差している第3配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第4直線に最も近くに位置している第4給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第4直線と直交しないように交差している第4配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第2放射導体層と重なっており、
前記第1直線は、前記第3直線と平行であり、
前記第2直線は、前記第4直線と平行であり、
X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記X軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記X軸の正側の端は、前記第4直線の前記X軸の正側の端に接続されており、
前記第1配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1直線及び前記第3直線と直交しないように交差しており、
前記第2配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第2直線及び前記第4直線と直交しないように交差している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項11】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置している環状グランド導体層を、
更に備えており、
前記環状グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層の周囲を囲む環形状を有している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項12】
前記第1放射導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1直線、前記第2直線、第7直線及び第8直線を含んでおり、かつ、前記Z軸方向に見て、四角形状を有しており、
前記第1直線に直交する方向において、前記第1直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第1距離と定義し、
前記第2直線に直交する方向において、前記第2直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第2距離と定義し、
前記第7直線に直交する方向において、前記第7直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第3距離と定義し、
前記第8直線に直交する方向において、前記第8直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第4距離と定義し、
前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離及び前記第4距離は、互いに等しい、
請求項11に記載の多層基板。
【請求項13】
前記第1配線層及び前記第2配線層は、整合部を含んでおり、
前記整合部は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項14】
前記第1配線層及び前記第2配線層は、スタブ部を含んでおり、
前記スタブ部は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項15】
前記多層基板は、
リジッド部と、
可撓部と、
を有しており、
前記可撓部の前記Z軸方向の長さは、前記リジッド部の前記Z軸方向の長さより短い、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項16】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置している環状グランド導体層を、
更に備えており、
前記環状グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層の周囲を囲む環形状を有しており、
前記リジッド部において、前記環状グランド導体層と前記グランド導体層との間には、グランド導体が設けられていない、
請求項15に記載の多層基板。
【請求項17】
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1配線層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1配線層と電気的に接続されている第7配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2配線層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2配線層と電気的に接続されている第8配線層と、
を更に備えている、
請求項15に記載の多層基板。
【請求項18】
前記第7配線層及び前記第8配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
請求項17に記載の多層基板。
【請求項19】
第1基板と、
可撓性を有する第2基板と、
を備えており、
前記第1基板は、
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する第1積層体と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を含んでおり、
前記第2基板は、
複数の絶縁体層が前記Z軸方向に積層された構造を有する第2積層体と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第1配線層と電気的に接続される第7配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第2配線層と電気的に接続される第8配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第7配線層及び前記第8配線層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層、前記第7配線層及び前記第8配線層と重なるグランド導体層と、
を含んでおり、
前記第2基板の前記Z軸方向の長さは、前記第1基板の前記Z軸方向の長さより短く、
前記第2基板は、前記第1基板より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1基板と重ならない領域を有する、
アンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射導体層を備える多層基板及びアンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多層基板に関する発明としては、特許文献1に記載のアンテナモジュールが知られている。このアンテナモジュールは、放射導体層、第1給電点及び第2給電点を備えている。第1高周波信号は、第1給電点を介して放射導体層に入力する。放射導体層は、第1高周波信号を放射する。第2高周波信号は、第2給電点を介して放射導体層に入力する。放射導体層は、第2高周波信号を放射する。そして、第1高周波信号の偏波の方向は、第2高周波信号の偏波の方向と異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のアンテナモジュールの分野において、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくしたいと共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできる共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制できる多層基板及びアンテナモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る多層基板は、
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっているグランド導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を備えている。
【0007】
本発明の一形態に係るアンテナモジュールは、
第1基板と、
可撓性を有する第2基板と、
を備えており、
前記第1基板は、
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する第1積層体と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を含んでおり、
前記第2基板は、
複数の絶縁体層が前記Z軸方向に積層された構造を有する第2積層体と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第1配線層と電気的に接続される第7配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第2配線層と電気的に接続される第8配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第7配線層及び前記第8配線層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層、前記第7配線層及び前記第8配線層と重なるグランド導体層と、
を含んでおり、
前記第2基板の前記Z軸方向の長さは、前記第1基板の前記Z軸方向の長さより短く、
前記第2基板は、前記第1基板より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1基板と重ならない領域を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、多層基板10を上から透視した図である。
【
図4】
図4は、多層基板10,110の断面図である。
【
図21】
図21は、アンテナモジュール100の断面図である。
【
図23】
図23は、アンテナモジュール100aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
[多層基板10の構造]
以下に、本発明の一実施形態に係る多層基板10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、多層基板10の分解斜視図である。
図2は、多層基板10を上から透視した図である。
図3は、多層基板10の断面図である。
図3は、
図2のA-Aにおける断面図である。
【0011】
以下では、積層体12の積層方向を上下方向と定義する。上下方向は、Z軸方向と一致する。上方向は、Z軸の正方向である。下方向は、Z軸の負方向である。積層体12を上下方向に見て、積層体12の辺が延びる2方向のそれぞれを左右方向及び前後方向と定義する。左右方向は、上下方向に直交している。前後方向は、上下方向及び左右方向に直交している。左右方向は、X軸方向と一致する。右方向は、X軸の正方向である。左方向は、X軸の負方向である。前後方向は、Y軸方向と一致する。前方向は、Y軸の正方向である。後方向は、Y軸の負方向である。従って、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交している。なお、本明細書における方向の定義は、一例である。従って、多層基板10の実使用時における方向と本明細書における方向とが一致している必要はない。また、各図面において上下方向が反転してもよい。同様に、各図面において左右方向が反転してもよい。各図面において前後方向が反転してもよい。
【0012】
多層基板10は、例えば、スマートフォン等の無線通信端末に用いられる。多層基板10は、
図1に示すように、積層体12、第1放射導体層16、第1配線層20、第2配線層22、外部電極24,26、グランド導体層28、環状グランド導体層30及び層間接続導体v1~v8を備えている。第1放射導体層16、第1配線層20、第2配線層22、外部電極24,26、グランド導体層28、環状グランド導体層30及び層間接続導体v1~v8のそれぞれは、積層体12に設けられている。
【0013】
積層体12は、板形状を有している。
図1に示すように、積層体12は、上下方向に見て、長方形状を有している。積層体12は、絶縁体層14a~14e及び保護層15a,15bが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。保護層15a、絶縁体層14a~14e及び保護層15bは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層14a~14eの材料は、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂である。積層体12は、可撓性を有する。保護層15a,15bについては後述する。
【0014】
第1放射導体層16は、第1高周波信号を放射及び/又は受信する。本実施形態では、第1放射導体層16は、絶縁体層14aの上主面に位置している。第1放射導体層16は、
図1に示すように、上下方向に見て、四角形状を有している。第1放射導体層16は、
図1に示すように、上下方向に見て、前後方向及び左右方向に延びる対角線を有するひし形を有している。
【0015】
具体的には、第1放射導体層16は、
図2に示すように、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1、第2直線E2及び直線E101,E102(第7直線及び第8直線)を含む第1外縁EE1を有している。また、第1部分EP1は、第1外縁EE1の内の第1直線E1及び第2直線E2を除く部分である。すなわち、第1部分EP1は、直線E101,E102である。
【0016】
第1直線E1と直線E102とは互いに平行である。第2直線E2と直線E101とは互いに平行である。第2直線E2は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交している。直線E101は、上下方向(Z軸方向)に見て、直線E102と直交している。第1直線E1の右後端(X軸の正側の端)は、第2直線E2の右前端(X軸の正側の端)に接続されている。第1直線E1の左前端は、直線E101の右前端に接続されている。第2直線E2の左後端は、直線E102の右後端に接続されている。直線E101の左後端は、直線E102の左前端に接続されている。
【0017】
第1直線E1、第2直線E2及び直線E101,E102の長さは、互いに等しい。第1直線E1、第2直線E2及び直線E101,E102の長さは、例えば、第1高周波信号の波長の1/2である。
【0018】
グランド導体層28は、
図1及び
図3に示すように、第1放射導体層16より下(Z軸の負側)に位置している。グランド導体層28は、絶縁体層14eの下主面に設けられている。グランド導体層28は、
図1に示すように、上下方向に見て、長方形状を有している。グランド導体層28の長辺は、左右方向に延びている。グランド導体層28の短辺は、前後方向に延びている。上下方向に見て、グランド導体層28は、第1放射導体層16と重なっている。グランド導体層28は、グランド電位に接続される。
【0019】
環状グランド導体層30は、
図1及び
図3に示すように、グランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。本実施形態では、環状グランド導体層30の上下方向の位置は、第1放射導体層16の上下方向の位置と同じである。従って、環状グランド導体層30は、絶縁体層14aの上主面に位置している。
【0020】
また、環状グランド導体層30は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16の周囲を囲む環形状を有している。環状グランド導体層30の外縁及び内縁は、前後方向に延びる2本の辺及び左右方向に延びる2本の辺を有する長方形状を有している。環状グランド導体層30は、グランド電位に接続される。
【0021】
ここで、
図2に示すように、距離L1~L4を以下に説明するように定義する。距離L1(第1距離)、距離L2(第2距離)、距離L3(第3距離)及び距離L4(第4距離)は、互いに等しい。
距離L1:第1直線E1に直交する方向において、第1直線E1の中央から環状グランド導体層30までの距離
距離L2:第2直線E2に直交する方向において、第2直線E2の中央から環状グランド導体層30までの距離
距離L3:直線E101(第7直線)に直交する方向において、直線E101(第7直線)の中央から環状グランド導体層30までの距離
距離L4:直線E102(第8直線)に直交する方向において、直線E102(第8直線)の中央から環状グランド導体層30までの距離
第1配線層20は、
図1に示すように、第1放射導体層16より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。本実施形態では、第1配線層20は、絶縁体層14dの上主面に位置している。第1配線層20は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。第1配線層20の左端は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっている。第1配線層20の右端は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。これにより、第1配線層20は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交しないように交差している。本実施形態では、第1配線層20と第1直線E1とが形成する角度θ1は、45度である。ただし、角度θ1は、45度に限らず、0度より大きく90度より小さければよい。角度θ1は、例えば、45度±22.5度である。
【0022】
また、
図2に示すように、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1を第1直線E1に直交する方向に移動させたときに、第1直線E1が通過する領域を第1領域A1と定義する。第1配線層20は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1領域A1と第1領域A1外の領域とに跨っている。第1配線層20の左端は、上下方向に見て、第1領域A1に位置している。第1配線層20の右端は、上下方向に見て、第1領域A1外に位置している。
【0023】
第2配線層22は、第1放射導体層16より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。本実施形態では、第2配線層22は、絶縁体層14dの上主面に位置している。また、第2配線層22は、上下方向に見て、第1配線層20より後に位置している。第2配線層22は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。従って、第2配線層22は、第1配線層20と平行である。第2配線層22の左端は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっている。第2配線層22の右端は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。これにより、第2配線層22は、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2と直交しないように交差している。本実施形態では、第2配線層22と第2直線E2とが形成する角度θ2は、45度である。ただし、角度θ2は、45度に限らず、0度より大きく90度より小さければよい。角度θ2は、例えば、45度±22.5度である。
【0024】
また、
図2に示すように、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2を第2直線E2に直交する方向に移動させたときに、第2直線E2が通過する領域を第2領域A2と定義する。第2配線層22は、上下方向(Z軸方向)に見て、第2領域A2と第2領域A2外の領域とに跨っている。第2配線層22の左端は、上下方向に見て、第2領域A2に位置している。第2配線層22の右端は、上下方向に見て、第2領域A2外に位置している。
【0025】
外部電極24,26は、
図1に示すように、絶縁体層14eの下主面に設けられている。外部電極24,26は、グランド導体層28と接していない。従って、外部電極24,26は、グランド導体層28に設けられた開口内に位置している。
【0026】
外部電極24は、上下方向に見て、第1配線層20の右端部と重なっている。外部電極26は、上下方向に見て、第2配線層22の右端部と重なっている。外部電極24には、第1高周波信号が入力又は出力する。外部電極26には、第2高周波信号が入力又は出力する。
【0027】
層間接続導体v1は、第1放射導体層16と第1配線層20とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v1は、絶縁体層14a~14cを上下方向に貫通している。層間接続導体v1の上端は、第1給電点P1において第1放射導体層16に接触している。第1給電点P1は、第1外縁EE1の中で第1直線E1の最も近くに位置している。本実施形態では、第1給電点P1は、第1直線E1の中で第1直線E1の中点の最も近くに位置している。層間接続導体v1の下端は、第1配線層20の左端部に接触している。これにより、第1配線層20は、第1給電点P1において第1放射導体層16と電気的に接続されている。
【0028】
層間接続導体v2は、第1放射導体層16と第2配線層22とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v2は、絶縁体層14a~14cを上下方向に貫通している。層間接続導体v2の上端は、第2給電点P2において第1放射導体層16に接触している。第2給電点P2は、第1外縁EE1の中で第2直線E2の最も近くに位置している。本実施形態では、第2給電点P2は、第2直線E2の中で第2直線E2の中点の最も近くに位置している。層間接続導体v2の下端は、第2配線層22の左端部に接触している。これにより、第2配線層22は、第2給電点P2において第1放射導体層16と電気的に接続されている。
【0029】
層間接続導体v3は、第1配線層20と外部電極24とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v3は、絶縁体層14d,14eを上下方向に貫通している。層間接続導体v3の上端は、第1配線層20の右端部に接触している。層間接続導体v3の下端は、外部電極24に接触している。
【0030】
層間接続導体v4は、第2配線層22と外部電極26とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v4は、絶縁体層14d,14eを上下方向に貫通している。層間接続導体v4の上端は、第2配線層22の右端部に接触している。層間接続導体v4の下端は、外部電極26に接触している。
【0031】
層間接続導体v5~v8は、グランド導体層28と環状グランド導体層30とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v5~v8は、絶縁体層14a~14eを上下方向に貫通している。層間接続導体v5~v8の上端は、環状グランド導体層30に接触している。層間接続導体v5~v8の下端は、グランド導体層28に接触している。
【0032】
以上のような第1放射導体層16、第1配線層20、第2配線層22、外部電極24,26、グランド導体層28及び環状グランド導体層30は、絶縁体層14a~14eの上主面及び下主面に張り付けられた金属箔にパターニングが施されることにより形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。層間接続導体v1~v8は、絶縁体層14a~14eを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストを加熱及び加圧により固化させることにより形成される。
【0033】
保護層15a,15bは、絶縁体層14a~14eの誘電率よりも高い誘電率を有している。保護層15aは、絶縁体層14aの上主面を覆っている。これにより、保護層15aは、第1放射導体層16及び環状グランド導体層30を保護している。保護層15bは、絶縁体層14eの下主面を覆っている。これにより、保護層15bは、グランド導体層28を保護している。ただし、保護層15bには、開口Hが設けられている。これにより、外部電極24,26は、開口Hを介して多層基板10から外部に露出している。
【0034】
以上のような多層基板10では、第1放射導体層16及びグランド導体層28は、第1高周波信号及び第2高周波信号を放射又は受信するパッチアンテナとして機能する。ただし、第1高周波信号の偏向方向は、第2高周波信号の偏向方向と異なる。具体的には、第1給電点P1は、第1直線E1近傍に位置している。第2給電点P2は、第2直線E2近傍に位置している。第1直線E1は、第2直線E2に直交している。そのため、第1高周波信号の偏向方向は、第2高周波信号の偏向方向に直交する。なお、第1高周波信号及び第2高周波信号の受信時の偏向方向も第1高周波信号及び第2高周波信号の送信の偏向方向と同様である。
【0035】
(効果)
多層基板10によれば、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。以下に、比較例に係る多層基板110を例に挙げて説明する。
図4は、多層基板10,110の断面図である。
図4は、
図2のB1-B1、
図2のB2-B2及び
図5のD-Dにおける断面図である。
図5は、多層基板110の上面図である。
図6は、多層基板110の断面図である。
図6は、
図5のC-Cにおける断面図である。
【0036】
図5に示す多層基板110は、第1配線層20が第1直線E1と直交している点において多層基板10と相違する。多層基板110では、第1高周波信号は、第1給電点P1を介して第1放射導体層16に供給される。これにより、第1直線E1において定在波が発生し、第1高周波信号が放射される。この際、電気力線e11が、第1直線E1からグランド導体層28へと発生する。電気力線e11は、第1直線E1に直交する方向、かつ、下方向に延びる。
【0037】
同様に、第2高周波信号は、第2給電点P2を介して第1放射導体層16に供給される。これにより、第2直線E2において定在波が発生し、第2高周波信号が放射される。この際、電気力線e12が、第2直線E2からグランド導体層28へと発生する。電気力線e12は、第2直線E2に直交する方向、かつ、下方向に延びる。
【0038】
ところで、第1配線層20は、第1直線E1と直交している。従って、第1配線層20は、第1直線E1と直交する方向に長く延びている。そのため、電気力線e11は、
図6に示すように、第1配線層20により遮られやすい。このように、電気力線e11が第1配線層20に遮られると、第1高周波信号の放射方向が上下方向から右上方向に傾いてしまう。
【0039】
また、第2配線層22は、第2直線E2と直交していない。従って、第2配線層22は、第2直線E2と直交する方向に長く延びていない。そのため、電気力線e12は、
図4に示すように、第2配線層22により遮られにくい。このように、電気力線e12が第2配線層22により遮られにくいと、第2高周波信号の放射方向が上下方向から傾きにくい。その結果、多層基板110では、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとに差が生じる。
【0040】
そこで、多層基板10では、第1配線層20は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交しないように交差している。更に、第2配線層22は、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2と直交しないように交差している。これにより、電気力線e1は、
図4に示すように、第1配線層20により遮られにくい。更に、電気力線e2は、
図4に示すように、第2配線層22により遮られにくい。その結果、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が第1放射導体層16の主面の法線方向(上下方向)から傾くことを抑制できる。更に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が上下方向から傾くことが抑制されるので、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差が小さくなる。なお、本明細書において高周波信号の放射方向とは、高周波信号の放射パターンの中心軸線である。
【0041】
また、多層基板10では、上記と同じ理由により、第1高周波信号の受信方向及び第2高周波信号の受信方向が上下方向から傾くことが抑制されるので、第1高周波信号の受信パターンと第2高周波信号の受信パターンとの差が小さくなる。
【0042】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射電極の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。より詳細には、電気力線e1は、第1領域A1に発生しやすい。電気力線e2は、第2領域A2に発生しやすい。そこで、多層基板10では、第1配線層20は、上下方向に見て、第1領域A1と第1領域A1外の領域とに跨っている。更に、第2配線層22は、上下方向に見て、第2領域A2と第2領域A2外の領域とに跨っている。これにより、第1配線層20において第1領域A1に位置する部分の長さが短くなる。第2配線層22において第2領域A2に位置する部分の長さが短くなる。これにより、電気力線e1は、第1配線層20により遮られにくい。電気力線e2は、第2配線層22により遮られにくい。その結果、多層基板10によれば、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射電極の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。
【0043】
多層基板10によれば、距離L1、距離L2、距離L3及び距離L4は、互いに等しい。これにより、第1直線E1と環状グランド導体層30との間に発生する容量の大きさと、第2直線E2と環状グランド導体層30との間に発生する容量の大きさと、直線E101と環状グランド導体層30との間に発生する容量の大きさと、直線E102と環状グランド導体層30との間に発生する容量の大きさとが近づく。その結果、第1高周波信号の放射パターンと第2高周波信号の放射パターンとの差を小さくできると共に、第1高周波信号の放射方向及び第2高周波信号の放射方向が放射電極の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。
【0044】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る多層基板10aについて説明する。
図7は、多層基板10aの上面図である。
【0045】
多層基板10aは、第2放射導体層216、第3配線層220及び第4配線層222を更に備えている点において多層基板10と相違する。
【0046】
第2放射導体層216、第3配線層220及び第4配線層222のそれぞれは、第1放射導体層16、第1配線層20及び第2配線層22と同じ構造を有している。具体的には、第2放射導体層216は、積層体12に設けられている。第2放射導体層216は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3、第4直線E4、直線E103及び直線E104を含む第2外縁EE2を有している。第4直線E4は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3と交差している。第4直線E4は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3と直交している。また、グランド導体層28は、上下方向(Z軸方向)に見て、第2放射導体層216と重なっている。
【0047】
第3配線層220は、積層体12に設けられている。第3配線層220は、第2放射導体層216より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第3配線層220は、第2外縁EE2の中で第3直線E3の最も近くに位置している第3給電点P3において第2放射導体層216と電気的に接続されている。第3配線層220は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3と直交しないように交差している。
【0048】
第4配線層222は、積層体12に設けられている。第4配線層222は、第2放射導体層216より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第4配線層222は、第2外縁EE2の中で第4直線E4の最も近くに位置している第4給電点P4において第2放射導体層216と電気的に接続されている。第4配線層222は、上下方向(Z軸方向)に見て、第4直線E4と直交しないように交差している。
【0049】
第2放射導体層216は、第1放射導体層16の右(X軸の正側)に位置している。また、第1直線E1及び第2直線E2は、第1外縁EE1の内の第1直線E1及び第2直線E2を除く第1部分EP1より右(X軸の正側)に位置している。第3直線E3及び第4直線E4は、第2外縁EE2の内の第3直線E3及び第4直線E4を除く第2部分EP2より左(X軸の負側)に位置している。多層基板10aのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10aは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0050】
多層基板10aによれば、第1放射導体層16と第2放射導体層216とが相互に結合することが抑制されるので、第1放射導体層16及び第2放射導体層216の利得の低下が抑制される。より詳細には、第1放射導体層16では、直線E101,E102において電界の強度が高くなる。第2放射導体層216では、直線E103,E104において電界の強度が高くなる。従って、直線E101,E102は、第3配線層220及び第4配線層222と電界結合しやすい。直線E103,E104は、第1配線層20及び第2配線層22と電界結合しやすい。そこで、多層基板10aでは、第1直線E1及び第2直線E2は、第1外縁EE1の内の第1直線E1及び第2直線E2を除く第1部分EP1より右に位置している。第3直線E3及び第4直線E4は、第2外縁EE2の内の第3直線E3及び第4直線E4を除く第2部分EP2より左に位置している。これにより、直線E101,E102は、第3配線層220及び第4配線層222の遠くに位置する。直線E103,E104は、第1配線層20及び第2配線層22の遠くに位置する。よって、第1放射導体層16と第2放射導体層216とが相互に結合することが抑制されるので、第1放射導体層16及び第2放射導体層216の利得の低下が抑制される。
【0051】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る多層基板10bについて説明する。
図8は、多層基板10bの上面図である。
【0052】
多層基板10bは、第3放射導体層316、第5配線層320及び第6配線層322を更に備えている点において多層基板10aと相違する。
【0053】
第3放射導体層316は、積層体12に設けられている。第3放射導体層316は、上下方向(Z軸方向)に見て、第5直線E5、第6直線E6、直線E105及び直線E106を含む第3外縁EE3を有している。第6直線E6は、上下方向(Z軸方向)に見て、第5直線E5と交差している。第6直線E6は、上下方向(Z軸方向)に見て、第5直線E5と直交している。また、グランド導体層28は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3放射導体層316と重なっている。
【0054】
第5配線層320は、積層体12に設けられている。第3配線層220は、第3放射導体層316より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第5配線層320は、第3外縁EE3の中で第5直線E5の最も近くに位置している第5給電点P5において第3放射導体層316と電気的に接続されている。第5配線層320は、上下方向(Z軸方向)に見て、第5直線E5と直交しないように交差している。
【0055】
第6配線層322は、積層体12に設けられている。第6配線層322は、第3放射導体層316より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第6配線層322は、第3外縁EE3の中で第6直線E6の最も近くに位置している第6給電点P6において第3放射導体層316と電気的に接続されている。第6配線層322は、上下方向(Z軸方向)に見て、第6直線E6と直交しないように交差している。
【0056】
第3放射導体層316は、第2放射導体層216の右(X軸の正側)に位置している。また、第5直線E5及び第6直線E6は、第3外縁EE3の内の第5直線E5及び第6直線E6を除く第3部分EP3より右(X軸の正側)に位置している。多層基板10bのその他の構造は、多層基板10aと同じであるので説明を省略する。多層基板10bは、多層基板10aと同じ作用効果を奏することができる。
【0057】
また、多層基板10bによれば、第3配線層220及び第4配線層222と第5配線層320及び第6配線層322とが離れる。その結果、第2放射導体層216と第3放射導体層316とが結合することが抑制される。
【0058】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る多層基板10cについて説明する。
図9は、多層基板10cの上面図である。
【0059】
多層基板10cは、第1放射導体層16、第2放射導体層216及び第3放射導体層316の位置において多層基板10bと相違する。より詳細には、第2放射導体層216は、第1放射導体層16の右(X軸の正側)に位置している。第3放射導体層316は、第2放射導体層216の右(X軸の正側)に位置している。第1直線E1、第3直線E3及び第5直線E5は、左右方向(X軸)と平行である。第2直線E2、第4直線E4及び第6直線E6は、左右方向(X軸方向)に見て、互いに重なり合っている。第1直線E1の右端(X軸の正側の端)は、第2直線E2の前端(Y軸の正側の端)に接続されている。第3直線E3の右端(X軸の正側の端)は、第4直線E4の前端(Y軸の正側の端)に接続されている。第5直線E5の右端(X軸の正側の端)は、第6直線E6の前端(Y軸の正側の端)に接続されている。多層基板10cのその他の構造は、多層基板10bと同じであるので説明を省略する。
【0060】
多層基板10cは、第1放射導体層16と第2放射導体層216との結合度と第2放射導体層216と第3放射導体層316との結合度とを近づけることができる。より詳細には、第1放射導体層16では、直線E101,E102において電界の強度が高くなる。第2放射導体層216では、直線E103,E104において電界の強度が高くなる。第3放射導体層316では、直線E105,E106において電界の強度が高くなる。そこで、第2直線E2と直線E103とが向かい合っている。第4直線E4と直線E105とか向かい合っている。これにより、第1放射導体層16と第2放射導体層216との結合度と第2放射導体層216と第3放射導体層316との結合度とを近づけることができる。その結果、第1放射導体層16、第2放射導体層216及び第3放射導体層316の全体から放射される高周波信号が放射導体層の主面の法線方向から傾くことを抑制できる。
【0061】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る多層基板10dについて説明する。
図10は、多層基板10dの上面図である。
【0062】
多層基板10dは、第1放射導体層16、第2放射導体層216及び第3放射導体層316の位置において多層基板10bと相違する。より詳細には、第2放射導体層216は、第1放射導体層16の右(X軸の正側)に位置している。第3放射導体層316は、第2放射導体層216の右(X軸の正側)に位置している。
【0063】
第1直線E1及び第2直線E2は、第1外縁EE1の内の第1直線E1及び第2直線E2を除く第1部分EP1より左(X軸の負側)に位置している。第3直線E3及び第4直線E4は、第2外縁EE2の内の第3直線E3及び第4直線E4を除く第2部分EP2より後(Y軸の負側)に位置している。第5直線E5及び第6直線E6は、第3外縁EE3の内の第5直線E5及び第6直線E6を除く第3部分EP3より左(X軸の負側)に位置している。多層基板10dのその他の構造は、多層基板10bと同じであるので説明を省略する。
【0064】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る多層基板10eについて説明する。
図11は、多層基板10eの分解斜視図である。
図12は、多層基板10eの上面図である。
【0065】
多層基板10eは、第2放射導体層216、第3配線層220及び第4配線層222を更に備えている点において多層基板10と相違する。第2放射導体層216は、積層体12に設けられている。第2放射導体層216は、第1放射導体層16より下(Z軸の負側)に位置している。第2放射導体層216は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっている。第2放射導体層216は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3及び第4直線E4を含む第2外縁EE2を有している。
【0066】
第3直線E3の右端(X軸の正側の端)は、第4直線E4の右端(X軸の正側の端)に接続されている。第3直線E3は、第1直線E1と平行である。第4直線E4は、第2直線E2と平行である。
【0067】
第3配線層220は、積層体12に設けられている。第3配線層220は、第2放射導体層216より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第3配線層220は、第2外縁EE2の中で第3直線E3の最も近くに位置している第3給電点P3において第2放射導体層216と電気的に接続されている。第3配線層220は、上下方向(Z軸方向)に見て、第3直線E3と直交しないように交差している。
【0068】
第4配線層222は、積層体12に設けられている。第4配線層222は、第2放射導体層216より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。第4配線層222は、第2外縁EE2の中で第4直線E4の最も近くに位置している第4給電点P4において第2放射導体層216と電気的に接続されている。第4配線層222は、上下方向(Z軸方向)に見て、第4直線E4と直交しないように交差している。
【0069】
また、第1配線層20は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1及び第3直線E3と直交しないように交差している。第2配線層22は、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2及び第4直線E4と直交しないように交差している。多層基板10eのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10eは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0070】
多層基板10eによれば、第1放射導体層16と第2放射導体層216とが相互に結合することが抑制されるので、第1放射導体層16及び第2放射導体層216の利得の低下が抑制される。より詳細には、第1放射導体層16では、直線E101,E102において電界の強度が高くなる。第2放射導体層216では、直線E103,E104において電界の強度が高くなる。従って、直線E101,E102は、第3配線層220及び第4配線層222と電界結合しやすい。直線E103,E104は、第1配線層20及び第2配線層22と電界結合しやすい。
【0071】
そこで、多層基板10eでは、第1直線E1は、第3直線E3と平行である。第2直線E2は、第4直線E4と平行である。第1直線E1の右端は、第2直線E2の右端に接続されている。第3直線E3の右端は、第4直線E4の右側の端に接続されている。これにより、第1配線層20及び第2配線層22は、直線E103,104の近くに位置しなくなる。第3配線層220及び第4配線層222は、直線E101,102の近くに位置しなくなる。これにより、第1放射導体層16と第2放射導体層216とが相互に結合することが抑制されるので、第1放射導体層16及び第2放射導体層216の利得の低下が抑制される。
【0072】
また、第1放射導体層16が発生する電界の強度が高くなる直線E101,E102から遠ざかるように、第2放射導体層216の第1配線層20及び第2配線層22が引き出されている。これにより、第1放射導体層16と第2放射導体層216との結合が抑制され、第1放射導体層16及び第2放射導体層216の利得低下を低減できる。
【0073】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る多層基板10fについて説明する。
図13は、多層基板10fの上面図である。
【0074】
多層基板10fは、第2放射導体層216の配置において多層基板10cと相違する。より詳細には、第3直線E3の後端(Y軸の負側の端)は、第4直線E4の左端(X軸の負側の端)に接続されている。多層基板10fのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。
【0075】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る多層基板10gについて説明する。
図14は、多層基板10gの分解斜視図である。
図15は、多層基板10gの断面図である。
【0076】
多層基板10gは、リジッド部A3及び可撓部A4を有している点、及び、第1グランド導体層128及び層間接続導体v9~v12を更に備えている点において多層基板10と相違する。
【0077】
リジッド部A3は、上下方向(Z軸方向)の長さが、
図14及び
図15に示すように、可撓部A4の上下方向(Z軸方向)の長さより長い部分である。本変形例では、リジッド部A3は、上下方向(Z軸方向)に見て、保護層15aと重なる。可撓部A4は、上下方向(Z軸方向)の長さが、リジッド部A3の上下方向(Z軸方向)の長さより短い部分である。本変形例では、可撓部A4は、リジッド部A3の右に位置している。第1配線層20は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。第2配線層22は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。グランド導体層28は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。リジッド部A3において、環状グランド導体層30とグランド導体層28との間には、グランド導体が設けられていない。外部電極24,26及び開口Hは、可撓部A4に設けられている。リジッド部A3のその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。以下に、可撓部A4の構造について、詳細に説明する。
【0078】
可撓部A4において、積層体12は、絶縁体層14c~14e及び保護層15b,15cが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。保護層15c、絶縁体層14c~14e及び保護層15bは、上から下へとこの順に並んでいる。
【0079】
第1グランド導体層128は、絶縁体層14cの上主面に設けられている。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、長方形状を有している。第1グランド導体層128の長辺は、左右方向に延びている。第1グランド導体層128の短辺は、前後方向に延びている。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、第1配線層20及び第2配線層22と重なっている。第1グランド導体層128は、グランド電位に接続される。
【0080】
層間接続導体v9~v12は、第1グランド導体層128とグランド導体層28とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v9~v12は、絶縁体層14c~14eを上下方向に貫通している。層間接続導体v9~v12の上端は、第1グランド導体層128に接触している。層間接続導体v9~v12の下端は、グランド導体層28に接触している。
【0081】
第1グランド導体層128は、絶縁体層14cの上主面に張り付けられた金属箔にパターニングが施されることにより形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。層間接続導体v9~v12は、絶縁体層14c~14eを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストを加熱及び加圧により固化させることにより形成される。
【0082】
保護層15cは、絶縁体層14a~14eの誘電率よりも高い誘電率を有している。可撓部A4において、保護層15cは、絶縁体層14cの上主面を覆っている。これにより、保護層15cは、第1グランド導体層128を保護している。
【0083】
外部電極24,26及び開口Hの構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。また、多層基板10gのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。
【0084】
多層基板10gは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0085】
(a)多層基板10gによれば、多層基板10gの曲げ加工が容易になる。より詳細には、多層基板10gは、リジッド部A3及び可撓部A4を有している。可撓部A4の上下方向(Z軸方向)の長さは、リジッド部A3の上下方向(Z軸方向)の長さより短い。従って、可撓部A4は、リジッド部A3より変形しやすい。すなわち、可撓部A4は、容易に曲げられやすい。これにより、多層基板10gを容易に曲げることができる。その結果、多層基板10gの曲げ加工が容易になる。
【0086】
(b)多層基板10gによれば、リジッド部A3の上下方向(Z軸方向)の長さを短くすることができる。より詳細には、リジッド部A3において、第1配線層20及び第2配線層22のそれぞれは、環状グランド導体層30より下、かつ、グランド導体層28より上に位置している。従って、環状グランド導体層30及びグランド導体層28により、ノイズが第1配線層20及び第2配線層22のそれぞれの内部に侵入することが抑制される。
【0087】
(c)多層基板10gによれば、環状グランド導体層30とグランド導体層28との間にグランド導体を設ける場合と比較して、第1放射導体層16とグランド導体との間に発生する容量を抑制することができる。
【0088】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る多層基板10hについて説明する。
図16は、多層基板10hの分解斜視図である。
図17は、多層基板10hの断面図である。
【0089】
多層基板10hは、リジッド部A3及び可撓部A4を有している点、第7配線層120、第8配線層122、第1グランド導体層128及び層間接続導体v9~v12,v15,v16を更に備えている点、層間接続導体v13を備えている点、及び、層間接続導体v14を備えている点において多層基板10と相違する。
【0090】
リジッド部A3は、上下方向(Z軸方向)の長さが、
図16及び
図17に示すように、可撓部A4の上下方向(Z軸方向)の長さより長い部分である。本変形例では、リジッド部A3は、上下方向(Z軸方向)に見て、保護層15aと重なる。可撓部A4は、上下方向(Z軸方向)の長さが、リジッド部A3の上下方向(Z軸方向)の長さより短い部分である。本変形例では、可撓部A4は、リジッド部A3の右に位置している。まず、リジッド部A3の構造について、詳細に説明する。次に、可撓部A4の構造について、詳細に説明する。
【0091】
リジッド部A3において、積層体12は、絶縁体層14a~14f及び保護層15a,15bが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。保護層15a、絶縁体層14a~14f及び保護層15bは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層14fの材料は、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂である。積層体12は、可撓性を有する。
【0092】
本変形例では、第1配線層20及び第2配線層22は、絶縁体層14bの上主面に位置している。層間接続導体v1,v2は、絶縁体層14aを上下方向に貫通している。グランド導体層28は、絶縁体層14fの下主面に設けられている。保護層15bは、絶縁体層14fの下主面を覆っている。これにより、保護層15bは、グランド導体層28を保護している。
【0093】
第7配線層120は、積層体12に設けられている。第7配線層120は、第1配線層20より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。本変形例では、第7配線層120は、絶縁体層14eの上主面に位置している。また、第7配線層120は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。第7配線層120は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。また、第7配線層120は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。
【0094】
第8配線層122は、積層体12に設けられている。第8配線層122は、第2配線層22より下(Z軸の負側)かつグランド導体層28より上(Z軸の正側)に位置している。本変形例では、第8配線層122は、絶縁体層14eの上主面に位置している。また、第8配線層122は、上下方向に見て、第7配線層120より後に位置している。第8配線層122は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。第8配線層122は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。また、第8配線層122は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。
【0095】
層間接続導体v13は、第1配線層20と第7配線層120とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v13は、絶縁体層14b~14dを上下方向に貫通している。層間接続導体v13の上端は、第1配線層20の右端部に接触している。層間接続導体v13の下端は、第7配線層120の左端部に接触している。これにより、第7配線層120は、第1配線層20と電気的に接続されている。
【0096】
層間接続導体v14は、第2配線層22と第8配線層122とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v14は、絶縁体層14b~14dを上下方向に貫通している。層間接続導体v14の上端は、第2配線層22の右端部に接触している。層間接続導体v14の下端は、第8配線層122の左端部に接触している。これにより、第8配線層122は、第2配線層22と電気的に接続されている。
【0097】
層間接続導体v13,v14は、絶縁体層14b~14dを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストを加熱及び加圧により固化させることにより形成される。
【0098】
グランド導体層28は、リジッド部A3と可撓部A4とに跨っている。外部電極24,26及び開口Hは、可撓部A4に設けられている。リジッド部A3のその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。以下に、可撓部A4の構造について、詳細に説明する。
【0099】
可撓部A4において、積層体12は、絶縁体層14d~14f及び保護層15b,15cが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。保護層15c、絶縁体層14d~14f及び保護層15bは、上から下へとこの順に並んでいる。
【0100】
可撓部A4において、第1グランド導体層128は、絶縁体層14dの上主面に設けられている。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、第7配線層120及び第8配線層122と重なっている。第1グランド導体層128のその他の構造は、多層基板10gと同じであるので説明を省略する。
【0101】
可撓部A4において、層間接続導体v9~v12は、絶縁体層14d~14fを上下方向に貫通している。層間接続導体v9~v12のその他の構造は、多層基板10gと同じであるので説明を省略する。
【0102】
層間接続導体v15は、第7配線層120と外部電極24とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v15は、絶縁体層14e,14fを上下方向に貫通している。層間接続導体v15の上端は、第7配線層120の右端部に接触している。層間接続導体v15の下端は、外部電極24に接触している。
【0103】
層間接続導体v16は、第8配線層122と外部電極26とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v16は、絶縁体層14e,14fを上下方向に貫通している。層間接続導体v16の上端は、第8配線層122の右端部に接触している。層間接続導体v16の下端は、外部電極26に接触している。
【0104】
層間接続導体v15,v16は、絶縁体層14e,14fを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストを加熱及び加圧により固化させることにより形成される。
【0105】
保護層15cは、絶縁体層14a~14eの誘電率よりも高い誘電率を有している。可撓部A4において、保護層15cは、絶縁体層14dの上主面を覆っている。これにより、保護層15cは、第1グランド導体層128を保護している。
【0106】
外部電極24,26は、絶縁体層14fの下主面に設けられている。外部電極24,26のその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。
【0107】
開口Hの構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。また、多層基板10hのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。
【0108】
多層基板10hは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。また、多層基板10hによれば、(a)~(c)の作用効果を奏することができる。
【0109】
(d)多層基板10hによれば、第1配線層20及び第2配線層22のそれぞれの上下方向に直交する方向の長さ(幅)を調整することにより、第1放射導体層16に近い位置で特性インピーダンスを整合させることができる。これにより、損失を低減しつつ、反射波を第1放射導体層16に供給することができるようになる。
【0110】
(第9変形例)
以下に、第9変形例に係る多層基板10iについて説明する。
図18は、多層基板10iの上面図である。
【0111】
多層基板10iは、第1配線層20及び第2配線層22が整合部PMCを含んでいる点において多層基板10と相違する。本変形例では、第1配線層20の整合部PMCの前後方向の長さは、第1配線層20の整合部PMC以外の部分の前後方向の長さよりも長い。また、第2配線層22の整合部PMCの前後方向の長さは、第2配線層22の整合部PMC以外の部分の前後方向の長さよりも長い。整合部PMCは、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっていない。
【0112】
多層基板10iは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。また、多層基板10iによれば、整合部PMCと第1放射導体層16とが結合することが抑制される。より詳細には、整合部PMCを第1放射導体層16に近い位置に設けることにより、損失を低減しつつ、反射波を第1放射導体層16に供給することができるため、整合部PMCを第1配線層20及び第2配線層22に設けることが好ましい。ここで、整合部PMCは、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっていない。従って、整合部PMCを第1放射導体層16の遠くに位置させることができる。その結果、多層基板10iによれば、整合部PMCと第1放射導体層16とが結合することが抑制される。
【0113】
(第10変形例)
以下に、第10変形例に係る多層基板10jについて説明する。
図19は、多層基板10jの上面図である。
【0114】
多層基板10jは、第1配線層20及び第2配線層22がスタブ部STを含んでいる点において多層基板10と相違する。本変形例では、スタブ部STは、グランド電位に接続されないオープンスタブである。スタブ部STは、上下方向に見て、前後方向に延びる線形状を有している。スタブ部STは、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっていない。
【0115】
多層基板10jは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。また、多層基板10jによれば、スタブ部STと第1放射導体層16とが結合することが抑制される。より詳細には、スタブ部STを第1放射導体層16に近い位置に設けることにより、損失を低減しつつ、反射波を第1放射導体層16に供給することができるため、スタブ部STを第1配線層20及び第2配線層22に設けることが好ましい。ここで、スタブ部STは、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっていない。従って、スタブ部STを第1放射導体層16の遠くに位置させることができる。その結果、多層基板10iによれば、スタブ部STと第1放射導体層16とが結合することが抑制される。
【0116】
(第11変形例)
以下に、第11変形例に係る多層基板10kについて説明する。
図20は、多層基板10kの上面図である。
【0117】
多層基板10kは、第7配線層120が、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交している点において多層基板10hと相違する。多層基板10kのその他の構造は、多層基板10hと同じであるので説明を省略する。
【0118】
多層基板10kは、多層基板10hと同じ作用効果を奏することができる。また、多層基板10kによれば、第7配線層120と第1放射導体層16との間の距離は、第1配線層20と第1放射導体層16との間の距離より大きい。そのため、第1配線層20が、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交しないように交差しており、かつ、第2配線層22が、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2と直交しないように交差していれば、第7配線層120は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交してもよい。
【0119】
(e)多層基板10kによれば、配線レイアウトの自由度が向上する。より詳細には、第7配線層120は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1直線E1と直交してもよい。なお、第8配線層122が、上下方向(Z軸方向)に見て、第2直線E2と直交してもよい。
【0120】
(第12変形例)
以下に、第12変形例に係るアンテナモジュール100について説明する。
図21は、アンテナモジュール100の断面図である。
図22は、多層基板210の分解斜視図である。
【0121】
アンテナモジュール100は、例えば、スマートフォン等の無線通信端末に用いられる。アンテナモジュール100は、多層基板10及び多層基板210を備えている。
【0122】
多層基板210は、
図21に示すように、多層基板10より下(Z軸の負側)に位置している。多層基板210は、上下方向(Z軸方向)に見て、多層基板10と重なる領域AR1、及び、上下方向(Z軸方向)に見て、多層基板10と重ならない領域AR2を有している。以下に、多層基板210の構造について、詳細に説明する。
【0123】
多層基板210は、積層体112、第7配線層120、第8配線層122、外部電極124~127、第1グランド導体層128、第2グランド導体層129及び層間接続導体v9~v12,v15~v18を備えている。第7配線層120、第8配線層122、外部電極124~127、第1グランド導体層128、第2グランド導体層129及び層間接続導体v9~v12,v15~v18のそれぞれは、
図22に示すように、積層体112に設けられている。多層基板10は、本発明の「第1基板」に対応する。多層基板210は、本発明の「第2基板」に対応する。積層体12は、本発明の「第1積層体」に対応する。積層体112は、本発明の「第2積層体」に対応する。
【0124】
積層体112は、板形状を有している。積層体112は、上下方向に見て、長方形状を有している。積層体112は、絶縁体層114a~114c及び保護層115a,115bが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。積層体112の上下方向の長さは、積層体12の上下方向の長さより短い。これにより、多層基板210の上下方向(Z軸方向)の長さは、多層基板10の上下方向(Z軸方向)の長さより短い。保護層115a、絶縁体層114a~114c及び保護層115bは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層114a~114cの材料は、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂である。積層体112は、可撓性を有する。多層基板210は、可撓性を有する。保護層115a,115bについては後述する。
【0125】
第1グランド導体層128は、絶縁体層14aの上主面に設けられている。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、長方形状を有している。第1グランド導体層128の長辺は、左右方向に延びている。第1グランド導体層128の短辺は、前後方向に延びている。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、第7配線層120及び第8配線層122と重なっている。第1グランド導体層128は、グランド電位に接続される。
【0126】
外部電極124,126は、絶縁体層114aの上主面に設けられている。外部電極124,126は、第1グランド導体層128と接していない。従って、外部電極124,126は、第1グランド導体層128に設けられた開口内に位置している。また、外部電極124は、上下方向に見て、第7配線層120の左端部と重なっている。また、外部電極126は、上下方向に見て、第8配線層122の左端部と重なっている。
【0127】
第7配線層120は、第1グランド導体層128より下かつ第2グランド導体層129より上に位置している。本変形例では、第7配線層120は、絶縁体層114bの上主面に位置している。第7配線層120は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。
図21に示すように、アンテナモジュール100において、第7配線層120の左端は、上下方向に見て、第1配線層20と重なっている。アンテナモジュール100において、第7配線層120の右端は、第1配線層20と重なっていない。第7配線層120は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。また、第7配線層120と第1放射導体層16との間の距離は、第1配線層20と第1放射導体層16との間の距離より大きい。
【0128】
第8配線層122は、
図22に示すように、第1グランド導体層128より下かつ第2グランド導体層129より上に位置している。本変形例では、第8配線層122は、絶縁体層114bの上主面に位置している。また、第8配線層122は、上下方向に見て、第7配線層120より後に位置している。第8配線層122は、上下方向に見て、左右方向に延びる線形状を有している。
図21に示すように、アンテナモジュール100において、第8配線層122の左端は、上下方向に見て、第2配線層22と重なっている。アンテナモジュール100において、第8配線層122の右端は、第2配線層22と重なっていない。第8配線層122は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。また、第8配線層122と第1放射導体層16との間の距離は、第2配線層22と第1放射導体層16との間の距離より大きい。
【0129】
第2グランド導体層129は、
図22に示すように、絶縁体層114cの下主面に設けられている。従って、第2グランド導体層129は、第7配線層120及び第8配線層122より下(Z軸の負側)に位置している。第2グランド導体層129は、上下方向に見て、長方形状を有している。第2グランド導体層129の長辺は、左右方向に延びている。第2グランド導体層129の短辺は、前後方向に延びている。第2グランド導体層129は、上下方向(Z軸方向)に見て、第7配線層120及び第8配線層122と重なっている。また、
図21に示すように、第2グランド導体層129は、上下方向(Z軸方向)に見て、第1放射導体層16と重なっている。すなわち、第2グランド導体層129は、多層基板10と重なる領域AR1と、多層基板10と重ならない領域AR2と、に跨っている。第2グランド導体層129は、グランド電位に接続される。なお、第2グランド導体層129は、本発明の「グランド導体層」に対応する。
【0130】
外部電極125,127は、絶縁体層114cの下主面に設けられている。外部電極125,127は、第2グランド導体層129と接していない。従って、外部電極125,127は、第2グランド導体層129に設けられた開口内に位置している。また、外部電極125は、上下方向に見て、第7配線層120の右端部と重なっている。また、外部電極127は、上下方向に見て、第8配線層122の右端部と重なっている。
【0131】
層間接続導体v9~v12は、第1グランド導体層128と第2グランド導体層129とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v9~v12は、絶縁体層114a~114cを上下方向に貫通している。層間接続導体v9~v12の上端は、第1グランド導体層128に接触している。層間接続導体v9~v12の下端は、第2グランド導体層129に接触している。
【0132】
層間接続導体v15は、外部電極124と第7配線層120とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v15は、絶縁体層114aを上下方向に貫通している。層間接続導体v15の上端は、外部電極124に接触している。層間接続導体v15の下端は、第7配線層120の左端部に接触している。
【0133】
層間接続導体v16は、外部電極126と第8配線層122とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v16は、絶縁体層114aを上下方向に貫通している。層間接続導体v16の上端は、外部電極126に接触している。層間接続導体v16の下端は、第8配線層122の左端部に接触している。
【0134】
層間接続導体v17は、第7配線層120と外部電極125とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v17は、絶縁体層114b,114cを上下方向に貫通している。層間接続導体v17の上端は、第7配線層120の右端部に接触している。層間接続導体v15の下端は、外部電極125に接触している。
【0135】
層間接続導体v18は、第8配線層122と外部電極127とを電気的に接続している。より詳細には、層間接続導体v18は、絶縁体層114b,114cを上下方向に貫通している。層間接続導体v18の上端は、第8配線層122の右端部に接触している。層間接続導体v18の下端は、外部電極127に接触している。
【0136】
保護層115a,115bは、絶縁体層114a~114cの誘電率よりも高い誘電率を有している。保護層115aは、絶縁体層114aの上主面を覆っている。これにより、保護層115aは、第1グランド導体層128を保護している。ただし、保護層115bには、開口h1が設けられている。これにより、外部電極124,126は、開口h1を介して多層基板210から外部に露出している。また、保護層115bは、絶縁体層114cの下主面を覆っている。これにより、保護層115bは、第2グランド導体層129を保護している。ただし、保護層115bには、開口h2が設けられている。これにより、外部電極125,127は、開口h2を介して多層基板210から外部に露出している。
【0137】
多層基板210は、多層基板10に実装される。具体的には、外部電極124は、半田Sにより外部電極24に固定される。これにより、第7配線層120は、第1配線層20と電気的に接続される。従って、外部電極125には、第1高周波信号が入力又は出力する。また、外部電極126は、半田Sにより外部電極26に固定される。これにより、第8配線層122は、第2配線層22と電気的に接続される。従って、外部電極127には、第2高周波信号が入力又は出力する。
【0138】
アンテナモジュール100は、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。また、アンテナモジュール100によれば、(d)、(e)の作用効果を奏することができる。
【0139】
(f)アンテナモジュール100によれば、アンテナモジュール100の曲げ加工が容易になる。より詳細には、多層基板210は、上下方向(Z軸方向)に見て、多層基板10と重なる領域AR1、及び、上下方向(Z軸方向)に見て、多層基板10と重ならない領域AR2を有している。また、多層基板210の上下方向(Z軸方向)の長さは、多層基板10の上下方向(Z軸方向)の長さより短い。従って、多層基板210の領域AR2は、多層基板10より変形しやすい。すなわち、多層基板210の領域AR2は、容易に曲げられやすい。これにより、アンテナモジュール100を容易に曲げることができる。その結果、アンテナモジュール100の曲げ加工が容易になる。
【0140】
(第13変形例)
以下に、第13変形例に係るアンテナモジュール100aについて説明する。
図23は、アンテナモジュール100aの断面図である。
【0141】
アンテナモジュール100aは、多層基板10l及び多層基板210aを備えている点においてアンテナモジュール100と相違する。多層基板10lは、グランド導体層28及び層間接続導体v5~v8を備えていない点において多層基板10と相違する。
【0142】
多層基板210aは、
図23に示すように、第1グランド導体層128が、上下方向に見て、領域AR2にのみ位置している点において多層基板210と相違する。第1グランド導体層128は、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていない。本変形例では、第1グランド導体層128は、上下方向に見て、領域AR1に位置していない。本変形例では、アンテナモジュール100aのその他の構造は、アンテナモジュール100と同じであるので説明を省略する。以上のようなアンテナモジュール100aでは、第1放射導体層16及び第2グランド導体層129は、第1高周波信号及び第2高周波信号を放射又は受信するパッチアンテナとして機能する。
【0143】
アンテナモジュール100aは、アンテナモジュール100と同じ作用効果を奏することができる。
【0144】
(g)アンテナモジュール100aによれば、領域AR1の上下方向(Z軸方向)の長さを短くすることができる。より詳細には、第1放射導体層16に対向する第1グランド導体層128が存在しない。第1放射導体層16とグランド導体との間に発生する容量は、第1放射導体層16と第2グランド導体層129との間で発生する容量が支配的になる。従って、所望の容量を形成するときに、領域AR1の上下方向(Z軸方向)の長さを短くすることができる。
【0145】
(その他の実施形態)
本発明に係る多層基板は、多層基板10,10a~10kに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、多層基板10,10a~10kの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0146】
本発明に係るアンテナモジュールは、アンテナモジュール100,100aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、アンテナモジュール100,100aの構造を任意に組み合わせてもよい。また、アンテナモジュール100は、多層基板10a~10lを備えていてもよい。
【0147】
なお、環状グランド導体層30は、必須の構成要件ではない。
【0148】
なお、第1配線層20と第2配線層22とは並行でなくてもよい。第3配線層220と第4配線層222とは並行でなくてもよい。第5配線層320と第6配線層322とは並行でなくてもよい。
【0149】
なお、多層基板10aにおいて、第1直線E1及び第2直線E2は、第1外縁EE1の内の第1直線E1及び第2直線E2を除く第1部分EP1より左(X軸の負側)に位置し、かつ、第3直線E3及び第4直線E4は、第2外縁EE2の内の第3直線E3及び第4直線E4を除く第2部分EP2より右(X軸の正側)に位置していてもよい。
【0150】
第2直線E2は、上下方向に見て、第1直線E1と交差していればよく、第1直線E1と直交していなくてもよい。第4直線E4は、上下方向に見て、第3直線E3と交差していればよく、第3直線E3と直交していなくてもよい。第6直線E6は、上下方向に見て、第5直線E5と交差していればよく、第5直線E5と直交していなくてもよい。
【0151】
なお、第1直線E1と第2直線E2とは、上下方向に見て、交差していなくてもよい。
【0152】
なお、第1給電点P1は、第1直線E1の中で第1直線E1の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0153】
なお、第2給電点P2は、第2直線E2の中で第2直線E2の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0154】
なお、第3給電点P3は、第3直線E3の中で第3直線E3の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0155】
なお、第4給電点P4は、第4直線E4の中で第4直線E4の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0156】
なお、第5給電点P5は、第5直線E5の中で第5直線E5の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0157】
なお、第6給電点P6は、第6直線E6の中で第6直線E6の中点以外の点の最も近くに位置していてもよい。
【0158】
なお、リジッド部A3は、上下方向(Z軸方向)に見て、保護層15aと重ならなくてもよい。
【0159】
なお、第1グランド導体層128は、必須の構成要件ではない。
【0160】
なお、第7配線層120及び第8配線層122のそれぞれは、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていてもよい。ただし、第7配線層120及び第8配線層122のそれぞれと第1放射導体層16との間の距離を大きくすることにより、第7配線層120及び第8配線層122のそれぞれと第1放射導体層16とが結合することが抑制されるため、第7配線層120及び第8配線層122のそれぞれは、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていないことが好ましい。
【0161】
なお、整合部PMCは、第7配線層120及び第8配線層122に含まれていてもよい。
【0162】
なお、第1配線層20、第2配線層22、第7配線層120及び第8配線層122とは別に整合部PMCを設ける場合であっても、整合部PMCは、上下方向に見て、第1放射導体層16と重なっていなければよい。この場合、整合部PMCは、例えば、特性インピーダンスを整合させるための整合回路を構成するチップコンデンサ等の電子部品により、形成されもよい。
【0163】
なお、スタブ部STは、第7配線層120及び第8配線層122に含まれていてもよい。また、スタブ部STは、グランド電位に接続されるショートスタブであってもよい。
【0164】
本発明は、以下の構造を備える。
【0165】
(1)
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっているグランド導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を備えている、
多層基板。
【0166】
(2)
前記Z軸方向に見て、前記第1直線を前記第1直線に直交する方向に移動させたときに、前記第1直線が通過する領域を第1領域と定義し、
前記第1配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1領域と前記第1領域外の領域とに跨っており、
前記Z軸方向に見て、前記第2直線を前記第2直線に直交する方向に移動させたときに、前記第2直線が通過する領域を第2領域と定義し、
前記第2配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第2領域と前記第2領域外の領域とに跨っている、
(1)に記載の多層基板。
【0167】
(3)
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第3直線及び第4直線を含む第2外縁を有している第2放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第3直線の最も近くに位置している第3給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第3直線と直交しないように交差している第3配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第4直線の最も近くに位置している第4給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第4直線と直交しないように交差している第4配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第2放射導体層と重なっている、
(1)又は(2)に記載の多層基板。
【0168】
(4)
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の正側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記X軸の負側に位置している、
(3)に記載の多層基板。
【0169】
(5)
前記積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第5直線及び第6直線を含む第3外縁を有している第3放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第3放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第3外縁の中で前記第5直線の最も近くに位置している第5給電点において前記第3放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第5直線と直交しないように交差している第5配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第3放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第3外縁の中で前記第6直線の最も近くに位置している第6給電点において前記第3放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第6直線と直交しないように交差している第6配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第3放射導体層と重なっている、
(3)又は(4)に記載の多層基板。
【0170】
(6)
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の正側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記X軸の負側に位置しており、
前記第5直線及び前記第6直線は、前記第3外縁の内の前記第5直線及び前記第6直線を除く第3部分より前記X軸の正側に位置している、
(5)に記載の多層基板。
【0171】
(7)
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線、前記第3直線及び前記第5直線は、前記X軸と平行であり、
前記第2直線、前記第4直線及び前記第6直線は、X軸方向に見て、互いに重なり合っており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記X軸の正側の端は、前記第4直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第5直線の前記X軸の正側の端は、前記第6直線の前記Y軸の正側の端に接続されている、
(5)に記載の多層基板。
【0172】
(8)
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線、前記第4直線及び前記第5直線は、前記X軸と平行であり、
前記第2直線、前記第3直線及び前記第6直線は、X軸方向に見て、互いに重なり合っており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記Y軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記Y軸の負側の端は、前記第4直線の前記X軸の負側の端に接続されており、
前記第5直線の前記X軸の正側の端は、前記第6直線の前記Y軸の正側の端に接続されている、
(5)に記載の多層基板。
【0173】
(9)
前記第2放射導体層は、前記第1放射導体層のX軸の正側に位置しており、
前記X軸は、前記Z軸に直交しており、
Y軸は、前記X軸及び前記Z軸に直交しており、
前記第3放射導体層は、前記第2放射導体層の前記X軸の正側に位置しており、
前記第1直線及び前記第2直線は、前記第1外縁の内の前記第1直線及び前記第2直線を除く第1部分より前記X軸の負側に位置しており、
前記第3直線及び前記第4直線は、前記第2外縁の内の前記第3直線及び前記第4直線を除く第2部分より前記Y軸の負側に位置しており、
前記第5直線及び前記第6直線は、前記第3外縁の内の前記第5直線及び前記第6直線を除く第3部分より前記X軸の負側に位置している、
(5)に記載の多層基板。
【0174】
(10)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側に位置し、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっており、かつ、前記Z軸方向に見て、第3直線及び第4直線を含む第2外縁を有している第2放射導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第3直線に最も近くに位置している第3給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第3直線と直交しないように交差している第3配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2放射導体層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2外縁の中で前記第4直線に最も近くに位置している第4給電点において前記第2放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第4直線と直交しないように交差している第4配線層と、
を更に備えており、
前記グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第2放射導体層と重なっており、
前記第1直線は、前記第3直線と平行であり、
前記第2直線は、前記第4直線と平行であり、
X軸は、前記Z軸に直交しており、
前記第1直線の前記X軸の正側の端は、前記第2直線の前記X軸の正側の端に接続されており、
前記第3直線の前記X軸の正側の端は、前記第4直線の前記X軸の正側の端に接続されており、
前記第1配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1直線及び前記第3直線と直交しないように交差しており、
前記第2配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第2直線及び前記第4直線と直交しないように交差している、
(1)又は(2)に記載の多層基板。
【0175】
(11)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置している環状グランド導体層を、
更に備えており、
前記環状グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層の周囲を囲む環形状を有している、
(1)ないし(10)のいずれかに記載の多層基板。
【0176】
(12)
前記第1放射導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1直線、前記第2直線、第7直線及び第8直線を含んでおり、かつ、前記Z軸方向に見て、四角形状を有しており、
前記第1直線に直交する方向において、前記第1直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第1距離と定義し、
前記第2直線に直交する方向において、前記第2直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第2距離と定義し、
前記第7直線に直交する方向において、前記第7直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第3距離と定義し、
前記第8直線に直交する方向において、前記第8直線の中央から前記環状グランド導体層までの距離を第4距離と定義し、
前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離及び前記第4距離は、互いに等しい、
(11)に記載の多層基板。
【0177】
(13)
前記第1配線層及び前記第2配線層は、整合部を含んでおり、
前記整合部は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
(1)ないし(12)のいずれかに記載の多層基板。
【0178】
(14)
前記第1配線層及び前記第2配線層は、スタブ部を含んでおり、
前記スタブ部は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
(1)ないし(12)のいずれかに記載の多層基板。
【0179】
(15)
前記多層基板は、
リジッド部と、
可撓部と、
を有しており、
前記可撓部の前記Z軸方向の長さは、前記リジッド部の前記Z軸方向の長さより短い、
(1)ないし(14)のいずれかに記載の多層基板。
【0180】
(16)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置している環状グランド導体層を、
更に備えており、
前記環状グランド導体層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層の周囲を囲む環形状を有しており、
前記リジッド部において、前記環状グランド導体層と前記グランド導体層との間には、グランド導体が設けられていない、
(15)に記載の多層基板。
【0181】
(17)
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1配線層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第1配線層と電気的に接続されている第7配線層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2配線層より前記Z軸の負側かつ前記グランド導体層より前記Z軸の正側に位置しており、かつ、前記第2配線層と電気的に接続されている第8配線層と、
を更に備えている、
(15)又は(16)に記載の多層基板。
【0182】
(18)
前記第7配線層及び前記第8配線層は、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層と重なっていない、
(17)に記載の多層基板。
【0183】
(19)
第1基板と、
可撓性を有する第2基板と、
を備えており、
前記第1基板は、
複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する第1積層体と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記Z軸方向に見て、第1直線及び第2直線を含む第1外縁を有している第1放射導体層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層よりZ軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第1直線の最も近くに位置している第1給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1直線と直交しないように交差している第1配線層と、
前記第1積層体に設けられており、かつ、前記第1放射導体層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記第1外縁の中で前記第2直線の最も近くに位置している第2給電点において前記第1放射導体層と電気的に接続されており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第2直線と直交しないように交差している第2配線層と、
を含んでおり、
前記第2基板は、
複数の絶縁体層が前記Z軸方向に積層された構造を有する第2積層体と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第1配線層と電気的に接続される第7配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第2配線層と電気的に接続される第8配線層と、
前記第2積層体に設けられており、かつ、前記第7配線層及び前記第8配線層より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1放射導体層、前記第7配線層及び前記第8配線層と重なるグランド導体層と、
を含んでおり、
前記第2基板の前記Z軸方向の長さは、前記第1基板の前記Z軸方向の長さより短く、
前記第2基板は、前記第1基板より前記Z軸の負側に位置しており、かつ、前記Z軸方向に見て、前記第1基板と重ならない領域を有する、
アンテナモジュール。
【符号の説明】
【0184】
10,10a~10j,210,210a:多層基板
12,112:積層体
14a~14f,114a~114c:絶縁体層
15a~15c,115a,115b:保護層
16:第1放射導体層
20:第1配線層
22:第2配線層
24,26,124~127:外部電極
28:グランド導体層
30:環状グランド導体層
100,100a:アンテナモジュール
120:第7配線層
122:第8配線層
128:第1グランド導体層
129:第2グランド導体層
216:第2放射導体層
220:第3配線層
222:第4配線層
316:第3放射導体層
320:第5配線層
322:第6配線層
A1:第1領域
A2:第2領域
A3:リジッド部
A4:可撓部
E1:第1直線
E2:第2直線
E3:第3直線
E4:第4直線
E5:第5直線
E6:第6直線
EE1:第1外縁
EE2:第2外縁
EE3:第3外縁
EP1:第1部分
EP2:第2部分
EP3:第3部分
H,h1,h2:開口
P1:第1給電点
P2:第2給電点
P3:第3給電点
P4:第4給電点
P5:第5給電点
P6:第6給電点
S:半田
ST:スタブ部
v1~v18:層間接続導体