(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041045
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】セキュリティーロック
(51)【国際特許分類】
E05B 73/00 20060101AFI20240318BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E05B73/00 A
E05B65/00 N
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124325
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】111134537
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】503412263
【氏名又は名称】競泰股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 建宏
(72)【発明者】
【氏名】王 家鴻
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロックをかける際にはノートパソコンのスロットの奥底に突き当てることなく、スロットをダメージから保護することができる、セキュリティーロックを提供する。
【解決手段】セキュリティー用のスロットを備えた電子機器に取り付けられるためのセキュリティーロックであって、ロック部材20と、ロック部材20に対して軸方向に移動可能な係止爪30とを含み、ロック部材20は、電子機器のスロットに軸方向に挿入可能であり、ロック部材20上にガイド構造部21が形成され、係止爪30は、ロック部材20のガイド構造部21に案内されて軸方向に移動すると、径方向外方にスロットに係止され、ロック部材20がスロットに挿入された状態において、係止爪30が当該ロック部材20に対して相対移動してスロットに係止される過程の中で、当該ロック部材20は静止状態を保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティー用のスロットを備えた電子機器に取り付けられるための、セキュリティーロックであって、ロック部材と、該ロック部材に対して軸方向に移動可能な少なくとも一つの係止爪とを含み、
前記ロック部材は、電子機器のスロットに軸方向に挿入可能であり、該ロック部材上に少なくとも一つのガイド構造部が形成され、
前記少なくとも一つの係止爪は、前記ロック部材のガイド構造部に案内されて軸方向に移動すると、径方向外方に前記スロットに係止され、
前記ロック部材が前記スロットに挿入された状態において、前記少なくとも一つの係止爪が当該ロック部材に対して相対移動して前記スロットに係止される過程の中で、当該ロック部材は静止状態を保持することを特徴とするセキュリティーロック。
【請求項2】
前記ロック部材の少なくとも一つのガイド構造部は、少なくとも一つのガイド当接部を有し、前記少なくとも一つの係止爪は、該ロック部材に対して相対移動する時に、該少なくとも一つのガイド当接部に当接するように案内されて、径方向外方へ移動することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティーロック。
【請求項3】
前記少なくとも一つの係止爪は、前記ロック部材に対して相対移動する時に、前記少なくとも一つのガイド当接部に径方向に当接するように案内されて、径方向外方へ移動することを特徴とする請求項2に記載のセキュリティーロック。
【請求項4】
前記少なくとも一つの係止爪は、前記ロック部材に対して相対移動して前記スロットに係止される過程中に、該ロック部材に対して円弧を描いて移動していることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティーロック。
【請求項5】
前記セキュリティーロックは、前記少なくとも一つの係止爪の内側端部に接続され、前記ロック部材に対して軸方向に移動可能な保持ホルダをさらに含み、該少なくとも一つの係止爪が、該ロック部材に対して前記スロットから離間する方向に移動すると、当該少なくとも一つの係止爪の内側端部が、該保持ホルダに案内されて径方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティーロック。
【請求項6】
前記保持ホルダは、前記ロック部材に対して軸方向に移動する時に、前記少なくとも一つの係止爪を軸方向に移動させると共に、当該少なくとも一つの係止爪の内側端部を径方向に移動させるように案内することを特徴とする請求項5に記載のセキュリティーロック。
【請求項7】
前記少なくとも一つの係止爪は、前記ロック部材に対して相対移動する過程中に、該ロック部材に対して円弧を描いて移動しており、また、該少なくとも一つの係止爪が、該ロック部材に対して前記スロットから離間する方向に移動する時に、当該少なくとも一つの係止爪の内側端部が、前記保持ホルダに案内されて径方向内方に移動することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティーロック。
【請求項8】
前記ロック部材の少なくとも一つのガイド構造部上には、少なくとも一つのガイド当接部を有し、前記少なくとも一つの係止爪は、該ロック部材に対して相対移動する時に、該少なくとも一つのガイド当接部に当接するように案内されて径方向に移動し、
前記少なくとも一つの係止爪上には、径方向外方へ突出形成される支点部を有し、該少なくとも一つの係止爪が、前記少なくとも一つのガイド当接部に沿って円弧を描いて移動する時に、該支点部は、該少なくとも一つのガイド当接部に当接することで、該少なくとも一つの係止爪の円弧移動の支点として機能することを特徴とする請求項4または請求項7に記載のセキュリティーロック。
【請求項9】
前記少なくとも一つの係止爪の内側端部に、径方向内方に突出形成される案内部を有し、該案内部は、前記保持ホルダ内に収容されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のセキュリティーロック。
【請求項10】
前記保持ホルダは、少なくとも一つの収容凹部を備え、該少なくとも一つの収容凹部は、互いに連通する径方向移動可能空間と出入り口とを有し、該出入り口の開口幅が、該径方向移動可能空間の延在方向の全長よりも短く、前記少なくとも一つの係止爪の案内部は、該出入り口から挿入されて該径方向移動可能空間内に移動可能に保持されることを特徴とする請求項9に記載のセキュリティーロック。
【請求項11】
前記少なくとも一つの係止爪の内側端部に、前記保持ホルダに向かって突出形成される案内部を有し、該案内部は、該保持ホルダ内に収容されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のセキュリティーロック。
【請求項12】
前記保持ホルダは、径方向に延在する少なくとも一つの収容凹部を備え、前記少なくとも一つの係止爪の案内部は、該少なくとも一つの収容凹部内に収容されていることを特徴とする請求項11に記載のセキュリティーロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対する盗難防止目的のセキュリティーロックに関し、特に、ノートパソコン用のセキュリティーロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近頃の電子機器、特に携帯に便利な電子機器、例えば、ノートパソコンには、盗難防止用のセキュリティースロット(以下、スロットと称する)が設けられ、それに合わせた特定なセキュリティーロックを利用することで、ノートパソコンを特定の位置に固定し、盗難防止を図る。
【0003】
また、既存のノートパソコン用のセキュリティーロックのうち、押圧操作式のセキュリティーロックがある。このようなセキュリティーロックは、ケーシング、可動錠芯、二つのロック爪、押しバネ及び係合部材を備え、該可動錠芯は、一端が該ケーシングから突出するように、該ケーシングの内部に前後方向に往復移動可能に設置され、該可動錠芯の頂面と底面にそれぞれ、斜めに形成されるガイド溝部を有し、二つのロック爪はそれぞれ、一端が該ケーシングから突出するように該ケーシングの内部に横方向に移動可能に設置されると共に、該可動錠芯の頂面と底面の案内溝部に収容され、該押しバネは、該ケーシング内に配置され、該可動錠芯を外方へ押し出す付勢力を常に与え、このような仕組みにおいて、可動錠芯をケーシング内に向かうように押圧すると、当該可動錠芯は、押しバネを圧縮しながらケーシングの内部に移動し、一定距離を移動した後、係合部材が当該可動錠芯に係止し、当該可動錠芯が移動できなくなる。
【0004】
さらに、実際にロックをかける際には、まず、セキュリティーロックのケーシングを持って、可動錠芯をノートパソコンのスロットの奥底に突き当てるように挿入し、次に、可動錠芯をスロットの内方へさらに押し込み(可動錠芯をケーシング内に押圧することに相当する)、そうすると、二つのロック爪が、可動錠芯のガイド溝部に沿って外方に突出し、ノートパソコンのスロットの内壁面に係止し、同時に、係合部材と可動錠芯とは係合固定状態となるので、当該セキュリティーロックは、ロック状態になる。
【0005】
ロック解錠しようとする時には、まず、係合部材と可動錠芯との係合固定状態を解除し、その結果、押しバネが可動錠芯を外方に押し出し、二つのロック爪が可動錠芯のガイド溝部に沿って内方に移動し、その結果、スロットの内壁面との係合固定関係が解除され、セキュリティーロックをノートパソコンのスロットから取り外すことができる。
【0006】
しかしながら、既存のセキュリティーロックには、次の二つの欠点を有する。
【0007】
欠点その1、ロックをかける度に、可動錠芯をノートパソコンのスロットの奥底に突き当てるように挿入し、さらに(押しバネを圧縮するため)力強く押し込む必要があるので、長時間の反復使用によって、突き当てられているスロットの奥底にダメージを与えたり、最悪の場合はスロットが割れたりする可能性がある。
【0008】
スロットは、ノートパソコンのケースと一体に形成されているため、スロットが破損した場合、ケース全体を交換しなければならず、修理費用がかかるだけでなく、環境に負担を与える。また、一般的に、盗難防止用のセキュリティースロットが搭載されたノートパソコンは高単価商品であり、そのため、ロックをかけるためにスロットを損傷させたりすることは望ましくないし、高額な修理費用が発生する。
【0009】
欠点その2、既存のセキュリティーロックの可動錠芯及びロック爪の両方が、移動可能な部材であるので、一体に組み立てると、不安定な構造体になる。さらに、この構造体は、他の部品(ノートパソコンのスロット)との係合を目的としているが、強固な係合固定効果が得にくい。そのため、既存のセキュリティーロックのロック爪は、引き抜き方向(X軸)に対する引張り力や、セキュリティーロック自体に対する垂直方向(Y軸またはZ軸)の押圧力に対して、十分な強度を持っていないため、優れた盗難防止効果を奏することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、ロックをかける際には、ノートパソコンのスロットの奥底に突き当てることなく、スロットをダメージから保護することができる、セキュリティーロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、セキュリティー用のスロットを備えた電子機器に取り付けられるためのセキュリティーロックを提案したものであり、当該セキュリティーロックは、セキュリティー用のスロットを備えた電子機器に取り付けられるための、セキュリティーロックであって、ロック部材と、該ロック部材に対して軸方向に移動可能な少なくとも一つの係止爪とを含み、
前記ロック部材は、電子機器のスロットに軸方向に挿入可能であり、該ロック部材上に少なくとも一つのガイド構造部が形成され、
前記少なくとも一つの係止爪は、前記ロック部材のガイド構造部に案内されて軸方向に移動すると、径方向外方に前記スロットに係止され、
前記ロック部材が前記スロットに挿入された状態において、前記少なくとも一つの係止爪が当該ロック部材に対して相対移動して前記スロットに係止される過程の中で、当該ロック部材は静止状態を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセキュリティーロックを使用する時に、まず、電子機器のセキュリティー用のスロットにロック部材を挿入し、次いで、係止爪を当該ロック部材に対してスロットに向かうように移動させ、係止爪は移動する過程中に、ロック部材のガイド構造部に案内されて、径方向外方にスロットに係止される。係止爪がロック部材に対して相対移動してスロットに係止される過程の中で、当該ロック部材は静止状態を保持しており、つまり、ロック部材が、セキュリティーロックのケーシング及びスロットに対して移動したり、角度変位したりすることなく、係止爪のみが動いている。
【0014】
本発明に係るセキュリティーロックによれば、施錠の過程で、ノートパソコンのスロットに突き当てることがないので、長時間の反復使用でも、スロットにダメージを与えることはない。さらに、ロック部材は、施錠の過程中に、移動や角度変位せず、静止状態を保持することにより、係止爪を安定して保持する構造体として、係止爪とスロットとの係合固定関係を確実に確保することができ、全体的な構造における引き抜き方向の引張り力及び上下垂直方向の押圧力に対する強度を向上させ、優れた盗難防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の第1実施形態における一部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における一部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の作動状態を示す平面視断面模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の作動状態を示す平面視断面模式図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の作動状態を示す側面視断面模式図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の作動状態を示す側面視断面模式図である。
【
図8】本発明の第2実施形態における一部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における一部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の作動状態を示す平面視断面模式図である。
【
図11】本発明の第2実施形態の作動状態を示す平面視断面模式図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係るセキュリティーロックに対する引張り力及び押圧力の強度試験を行う状態を示す模式図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係るロック部材の変形例を示す模式図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係るロック部材の他の変形例を示す模式図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係るロック部材の他の変形例を示す模式図である。
【
図21】本発明の第2実施形態に係るロック部材の他の変形例を示す模式図である。
【
図22】本発明の第2実施形態に係る係止爪の変形例を示す模式図である。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る係止爪の変形例を示す模式図である。
【
図24】本発明の第2実施形態に係る係止爪の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0017】
図1、
図2及び
図4は、本発明に係る、セキュリティー用のスロット91を備えた電子機器90に取り付けられるための、セキュリティーロックを示したものであり、それらの図面によると、当該セキュリティーロックは、ロック部材20及び少なくとも一つの係止爪30を含む。尚、本発明の好適な実施形態では、前記係止爪30の数は、二つであることが好ましいが、これに限定されたものではなく、一つだけ備えても構わない。さらに、本発明に係るセキュリティーロックは、ケーシング10、保持ホルダ40、錠前50及び解錠操作部材60を含んでいる。
【0018】
前記ケーシング10は、前記スロット91と対応する開口11を有し、該開口11の形成位置は、該ケーシング10の一端部に位置することが好ましい。
【0019】
前記ロック部材20は、前記電子機器90のスロット91に軸方向に挿入可能であり、該ロック部材20上には、少なくとも一つのガイド構造部21が形成されており、本発明の好適な実施形態では、該少なくとも一つのガイド構造部21の数は、前記二つの係止爪30と対応するように、二つが設けられていることが好ましい。
【0020】
図3~
図5に示すように、前記係止爪30は、前記ロック部材20に対して軸方向に移動可能であり、また、該係止爪30が該ロック部材20に対して軸方向(前記スロット91に向かう方向)に移動すると、該ロック部材20のガイド構造部21に案内され、径方向外方に移動して、該スロット91に係合される。一方、前記ロック部材20が前記スロット91内に挿入されている状態において、前記係止爪30が当該ロック部材20に対して相対移動して前記スロット91に係止される過程で、当該ロック部材20は、常に静止状態を維持し、つまり、当該ロック部材20は、前記ケーシング10及びスロット91に対して移動したり、角度変位したりすることがない。
【0021】
図2、
図4及び
図5に示すように、前記ロック部材20は、前記ケーシング10の開口11に設置されており、尚、該ロック部材20は、該ケーシング10に対して移動または回動しないように該ケーシング10上に固定されることが好ましいが、これに限定されたものではなく、該ケーシング10上に設置されたロック部材20は、前記係止爪30が該ロック部材20に対して相対移動して前記スロット91に係止される過程で、該ケーシング10に対して移動したり、角度変位したりすることがなければよい。
【0022】
本発明の好適な実施形態では、前記ケーシング10の開口11の内径が、該ケーシング10の外径とほぼ同一であり、また、該ケーシング10に設置されている前記ロック部材20は、該開口11を略閉塞しているが、これに限定されたものではなく、該ケーシング10開口11の断面積が、該ロック部材20の前記スロット91に挿し込まれる部分よりも僅かに大きくなっていてもよく、または、該開口11の断面積が、該スロット91と対応していてもよく、後者の場合、該ロック部材20の断面積は、該スロット91と対応していることになる。
【0023】
図3~
図5に示すように、本発明の好適な実施形態では、前記ロック部材20の各ガイド構造部21は、少なくとも一つのガイド当接部211を備え、前記係止爪30が該ロック部材20に対して相対移動する時に、当該係止爪30は、該ガイド当接部211に当接するように案内されて、径方向外方に移動する。尚、該係止爪30は、該ガイド当接部211に径方向から当接することが好ましく、これにより、該係止爪30はスムーズに径方向外方に移動することができる。また、本発明の好適な実施形態では、前記各ガイド構造部21は、前記係止爪30の径方向両側に配置される二つのガイド当接部211を備えることが好ましいが、これに限定されたものではない。さらに、前記ガイド当接部211が前記係止爪30と当接する部分は、平坦な面であってもよく(
図13、
図16及び
図19を参照)、突出した凸リブ2111であってもよく(
図14、
図17及び
図20を参照)、または窪むように形成された凹リブ2112であってもよい(
図15、
図18及び
図21を参照)。またさらに、前記ガイド構造部21(及びガイド当接部211)は、前記ロック部材20の外表面上に形成されていてもよく(
図13~
図18を参照)、該ガイド構造部21が二つの場合には、当該二つのガイド構造部21はそれぞれ、該ロック部材20の相対する両側の外表面(頂面、底面)に形成されてもよく、または該ロック部材20の相対する両サイドの側壁面に形成されてもよく(
図19~
図21を参照)、後者の場合、該各ガイド構造部21は通路のように形成される。尚、本考案に係るロック部材20のガイド構造部21と係止爪30との案内移動方法は、上記内容に限定されたものではない。
【0024】
図3~
図5に示すように、前記係止爪30は、前記ロック部材20に対して前記スロット91に接近する方向に移動する際に、径方向外方に移動しており、この時、当該係止爪30の外側端部が、該ロック部材20の径方向外側壁22から突出するように突き出され、その結果、当該係止爪30は該スロット91に係止されることになる。一方、該係止爪30は、該ロック部材20に対して該スロット91から離間する方向に移動する際に、径方向内方に移動しており、この時、当該係止爪30の外側端部が、該ロック部材20の径方向外側壁22内に引き込まれるように後退し、その結果、当該係止爪30とスロット91との係合固定関係が解除される。尚、前記係止爪30の外側端部が、完全に該ロック部材20の径方向外側壁22内に引き込まれるように後退する必要はなく、該ロック部材20が該スロット91から抜き出されることができれば、該係止爪30の外側端部が、該ロック部材20の径方向外側壁22から多少突出していても構わない。
【0025】
前記係止爪30が前記ロック部材20に対して前記スロット91に接近または離間する方向に移動する際に、該係止爪30の移動経路は、直線的に(斜め方向に)移動してもよくまたは円弧を描いて移動してもよい。
【0026】
図3~
図5(及び
図13~
図15)に示すように、本考案の第1好適な実施形態では、前記係止爪30が円弧を描いて移動していることで、前記ガイド構造部21は、円弧状の案内経路として形成されている。また、本発明の好適な実施形態における係止爪30上には、径方向外方へ突出形成される支点部31を有し、該支点部31の設置により、該係止爪30が、前記ガイド構造部21に沿って円弧を描いて移動する際、該支点部31は前記ガイド当接部211(の壁面)に当接することで、該係止爪30の円弧移動の支点として機能する。前記係止爪30をスムーズに円弧状に移動させるのを助ける構造は、上記内容に限定されたものではなく、支点部は前記ガイド当接部211の壁面から突出形成されていてもよい。
【0027】
図10~
図11(及び
図16~
図21)に示すように、本考案の第2の好適な実施形態では、前記係止爪30が直線的に移動しているので、前記ガイド構造部21は直線状の案内経路として形成されている。
【0028】
図3~
図5に示すように、前記保持ホルダ40は、前記係止爪30の内側端部と接続されると共に、前記ロック部材20に対して軸方向に移動可能である。前記係止爪30が前記ロック部材20に対して前記スロット91に接近または離間する方向に移動する際に、前記保持ホルダ40は、該係止爪30の内側端部を径方向に移動させることができ、これにより、該係止爪30の(直線的或いは曲線的な)径方向移動を助けることができる。
【0029】
前記保持ホルダ40は、前記係止爪30の径方向移動のみを補助してもよいし、又は該係止爪30を一緒に変位させてもよい。つまり、該保持ホルダ40は、前記ロック部材20に対して軸方向に移動する時に、該係止爪30の内側端部を径方向に移動させながら、該係止爪30を(押したり引いたりするなど様々な方法で)一緒に軸方向に移動させることができる。
【0030】
本考案の第1好適な実施形態における係止爪30は円弧を描いて移動するように設計されており、当該係止爪30が前記ロック部材20に対して前記スロット91から離間する方向に移動する時に、前記保持ホルダ40は、該係止爪30の内側端部を径方向に移動させることができ、これにより、該係止爪30の外側端部がロック部材20の内部に移動するのを助けることができる。
【0031】
本考案の第1好適な実施形態における係止爪30の内側端部には、径方向内方に突出形成されている案内部32を有し、該案内部32は、前記保持ホルダ40内に収容保持されており、該保持ホルダ40の移動に伴って該係止爪30を移動させる役割を果たす。
【0032】
前記保持ホルダ40は、少なくとも一つの収容凹部41を備える。本考案の第1好適な実施形態における保持ホルダ40は、前記二つの係止爪30に対応するように、前記少なくとも一つの収容凹部41を二つ備え、また、当該二つの収容凹部41は、該保持ホルダ40の相対する両側の外表面(頂面、底面)にそれぞれ形成されることが好ましい。前記収容凹部41について詳しく説明すると、該各収容凹部41は、互いに連通する径方向移動可能空間411及び出入り口412を有し、該出入り口412の開口幅は、該径方向移動可能空間411の延在方向の全長よりも小さく、対応する前記係止爪30の案内部32は、該出入り口412から挿入されて、前記径方向移動可能空間411内に径方向移動可能に収容保持される。
【0033】
図8~
図11に示された本発明の第2好適な実施形態に係るセキュリティーロックは、第1好適な実施形態と似ているが、保持ホルダ40の収容凹部41の形状、及び係止爪30の案内部32が保持ホルダ40内に収容保持されている方向において異なる。第2好適な実施形態では、前記二つの係止爪30は同じく、前記保持ホルダ40の相対する両側(上下両側)にそれぞれ配置されているが、該各係止爪30の案内部32はそれぞれ、当該係止爪30の内側端部に、保持ホルダ40に向かって突出形成される。尚、ここでの案内部32は、円柱形状の柱状体(
図9を参照)であってもよく、又は板状の係止爪30の折り曲げられた端部(
図22~
図24を参照)であってもよい。一方、第2好適な実施形態における保持ホルダ40の二つの収容凹部41はそれぞれ、径方向に延在するように形成され、該保持ホルダ40に左右対称に配置されることが好ましいが、これに限定されたものではなく、該二つの収容凹部41は、該保持ホルダ40の相対する頂面及び底面にそれぞれ形成されてもよい。
【0034】
また、
図22~
図24に示された係止爪30の外側端部における前記スロット91に当接する部分は、平坦状の側壁(
図22を参照)であってもよいし、突出形成された突起33(
図23を参照)であってもよいし、又は凹むように形成された窪み部34(
図24を参照)であってもよい。
【0035】
図1、
図3、
図6及び
図7に示すように、前記錠前50は、シリンダー錠であってもよく、ダイヤル錠であってもよく、また、該錠前50は、軸方向移動可能な芯金51を備え、該芯金51が常に前記スロット91やロック部材20に向かって移動する傾向があることが好ましい(芯金付勢部材71を設け、芯金51に対して軸方向に付勢力を与えることが好ましい)。該芯金51の一端は、前記係止爪30に(直接または間接的に)接続され、該係止爪30を前記ロック部材20に対して軸方向に移動させることができる。尚、該芯金51の一端は、前記保持ホルダ40に接続され、該保持ホルダ40を移動させると同時に、該係止爪30を移動させることが好ましい。
【0036】
前記解錠操作部材60は、前記芯金51と接続されると共に、該解錠操作部材60を操作することにより、該芯金51を前記ロック部材20から離間する方向に移動させることができる。具体的に述べると、前記解錠操作部材60は、前記ケーシング10から突出するように設置され、押圧操作により前記芯金51に向かって移動可能であり、また、少なくとも一つの傾斜面61を有し、このような構成により、該解錠操作部材60が押圧操作されると、該少なくとも一つの傾斜面61を介して、前記芯金51を前記ロック部材20から離間する方向に移動させる。一方、前記解錠操作部材60が常に前記芯金51から離間する方向に向かって移動する傾向があることが好ましい(解錠操作付勢部材72を設け、解錠操作部材60に対して軸方向に付勢力を与えることが好ましい)。尚、前記解錠操作部材60の構成は上記の内容に限定されたものではなく、本発明に係る解錠操作部材60は、押圧操作により前記芯金51を移動させることができれば、どのような構成であってもよい。一方、前記錠前50が施錠状態の場合、前記芯金51は、前記ケーシング10に対して軸方向に移動できないため、前記解錠操作部材60は、(押圧)操作不能な状態となる。
【0037】
図4及び
図5に示すように、本発明に係るセキュリティーロックを使用する際に、まず、錠前50を解錠状態に切り替え、次に、解錠操作部材60を押圧操作して、芯金51を移動させると、保持ホルダ40は、二つの係止爪30をスロット91から離間する方向に向かってロック部材20の内部に移動させる。その後、当該ロック部材20及び係止爪30の外側端部を施錠対象のスロット91に挿入し、解錠操作部材60の押圧操作を開放すると、芯金51は、芯金付勢部材71の付勢力によってスロット91に向かって移動し、保持ホルダ40を介して、係止爪30をロック部材20のガイド構造部21に沿って斜め方向に直線的に(第2好適な実施形態での場合)又は曲線的に(第1好適な実施形態での場合)押し出し、その結果、当該係止爪30の外側端部がロック部材20から突出してスロット91に係止される。最後に、錠前50を施錠状態に切り替え、解錠操作部材60を押圧操作不能な状態にすることで、係止爪30とスロット91との係合固定関係を維持し、本発明に係るセキュリティーロックの施錠が完了する。
【0038】
上述した施錠操作の過程中、本発明に係るロック部材20は、ケーシング10又はスロット91に対して移動や角度変位することなく、常に静止状態を保持し、係止爪30だけが移動しており、それにより、スロット91の奥底に突き当てるような作用力を加えることなく、スロット91をダメージから保護することができる。
【0039】
また、本発明に係るロック部材20は、施錠操作の過程中に、移動したり、角度変位したりしないため、係止爪30を安定して保持する構造体として、係止爪30とスロット91との係合固定関係を確実に確保することができる。それに加え、組み立てられているロック部材20と係止爪30との構造において、引き抜き方向の引張り力及び上下垂直方向の押圧力に対する強度を向上させることもできる。
【0040】
本発明に係る係止爪30は、第1好適な実施形態では、円弧を描いて移動しており、第2好適な実施形態での直線移動と比べて、より長く突き出すことができる。また、係止爪30は、円弧状の案内経路を呈するガイド構造部21に案内されることで、その安定性、及び引張り力、押圧力に対する強度を一層向上させることができる。
図12における、本発明の第1好適な実施形態(円弧状の移動経路持ち)に係るセキュリティーロックの引張り力及び押圧力に対する強度試験結果は以下の通りである。
【0041】
引き抜き方向D1に沿った引張り力に対する強度試験:固定された状態の電子機器90のスロット91に、二つの係止爪30を係止し、ワイヤロープを介して、速度10mm/minの引張り力で、本発明のセキュリティーロックを当該電子機器90から分離するように引っ張って強度試験を行い、この条件下での引張り力強度は50kgf以上であった。
【0042】
第1径方向D2に沿った押圧力に対する強度試験:丸棒を介して、速度10mm/minの第1径方向D2に沿った押圧力を加えて強度試験を行い、この条件下での押圧力強度は50kgf以上であった。
【0043】
第2径方向D3に沿った押圧力に対する強度試験:丸棒を介して、速度10mm/minの第2径方向D3に沿った押圧力を加えて強度試験を行い、この条件下での押圧力強度は50kgf以上であった。
【0044】
以上の試験結果によると、本発明のセキュリティーロックは、優れた引張り力強度及び押圧力強度を持ち、盗難防止効果が高いことが分かった。
【符号の説明】
【0045】
10 ケーシング
11 開口
20 ロック部材
21 ガイド構造部
211 ガイド当接部
2111 凸リブ
2112 凹リブ
22 外側壁面
30 係止爪
31 支点部
32 案内部
33 突起
34 窪み部
40 保持ホルダ
41 収容凹部
411 径方向移動可能空間
412 出入り口
50 錠前
51 芯金
60 解錠操作部材
61 傾斜面
71 芯金付勢部材
72 解錠操作付勢部材
90 電子機器
91 スロット