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特開2024-41060圧力センサ付き大動脈内バルーンポンプアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041060
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】圧力センサ付き大動脈内バルーンポンプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/139 20210101AFI20240318BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61M60/139
A61B17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023147296
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】17/944,130
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516064091
【氏名又は名称】ニューパルスシーブイ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウーリー ジョシュア ライアン
(72)【発明者】
【氏名】パテル―ラマン ソナ マヌハイ
(72)【発明者】
【氏名】ギリドハラン グルプラサッド アナパトゥアー
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077DD09
4C077FF04
4C077HH03
4C077HH13
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077JJ16
4C160DD03
4C160DD54
4C160DD66
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重拍切痕ならびにバルーン膨張および/またはバルーン収縮の検出の遅延を防止する。
【解決手段】大動脈内バルーンポンプ(IABP)アセンブリが、患者に補助を提供するために患者の下行大動脈内に位置決めされるように構成されている。IABPアセンブリは、遠位端および近位端を有する拡張可能部材と、遠位端および近位端を有するドライブラインとを含み、ドライブラインの遠位端は、拡張可能部材の近位端に連結可能であるように構成されている。IABPアセンブリはまた、ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、ドライブライン内に配置されている第1のドライブライン圧力センサ装置も含む。第1のドライブライン圧力センサ装置は、周囲圧力の変化を感知でき、かつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされるようにかつ前記患者に循環補助を提供するように構成されている、拡張可能部材と、
遠位端および近位端を有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結可能であるように構成されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と
を含む、大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、第1のドライブラインセンサキャビティおよび第1のドライブラインセンサ窓をさらに含み、
前記第1のドライブライン感知要素が、前記第1のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第1の凹部を含み、前記第1の凹部が、前記第1のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、かつ
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記第1の凹部に沿って配置されており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティを閉じる、
請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記ドライブラインがドライブライン壁を含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が前記ドライブライン壁内に配置されている、
請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンを含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が前記作動流体ルーメン内に配置されている、
請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記ドライブラインがドライブライン壁を含み、
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンを含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が、前記ドライブライン壁内に部分的にかつ前記作動流体ルーメン内に部分的に、配置されている、
請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のドライブライン感知要素がダイヤフラムである、請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のドライブラインセンサ装置が前記第1のドライブラインセンサキャビティ内に配置されている第1の柔軟な物質を含み、前記第1の柔軟な物質が、前記第1のドライブライン感知要素に圧力を伝達するように作用する、請求項2記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の柔軟な物質が、ゲル、流体、ガス、エラストマーのうちの1つまたは複数である、請求項7記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のドライブラインセンサ窓が、動作中に前記第1のドライブラインセンサキャビティから前記第1の柔軟な物質が漏れるのを防ぐように構成されている、請求項7記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記ドライブライン壁の前記第1の凹部を塞ぐようなサイズおよび形状である、請求項2記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、
前記第1のドライブライン感知要素と通信する第1のドライブライン圧力信号線をさらに含み、
前記ドライブライン内に配置されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のドライブライン圧力信号線が、光ファイバ線および流体充填ラインの一方である、請求項11記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のドライブライン圧力信号線の遠位端が前記第1のドライブライン感知要素に連結されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号線の近位端が、前記拡張可能部材を膨張させるように構成されている駆動ユニットを制御するように構成されている処理モジュールに、連結されるように構成されている、
請求項11記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項14】
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている作動流体ルーメンを含む、請求項11記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項15】
前記ドライブラインが、前記作動流体ルーメンを画定するドライブライン壁を含む、請求項14記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項16】
前記作動流体が周囲空気である、請求項14記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項17】
前記第1のドライブライン圧力信号線が、
前記ドライブライン壁内に配置されている、
前記作動流体ルーメン内に配置されている、および
前記ドライブライン壁内に部分的に配置されており、かつ前記作動流体ルーメン内に部分的に配置されている、
のうちの1つである、請求項14記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項18】
前記ドライブラインが、ガイドワイヤーレールとして構成されているワイヤールーメンを含み、かつ前記ドライブラインが、ガイドワイヤーが前記ワイヤールーメンに通され得るようなサイズである、請求項17記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項19】
前記ワイヤールーメンが、
前記ドライブライン壁内に配置されている、
前記作動流体ルーメン内に配置されている、および
前記ドライブライン壁内に部分的に配置されており、かつ前記作動流体ルーメン内に部分的に配置されている、
のうちの1つである、請求項18記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項20】
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第2のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第2のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第2のドライブライン感知要素
を含む、第2のドライブライン圧力センサ装置
を含む、請求項11記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項21】
前記第2のドライブライン圧力センサ装置が、第2のドライブラインセンサキャビティ、第2のドライブラインセンサ窓、および第2のドライブライン圧力信号線を含み、
前記第2のドライブライン感知要素が、前記第2のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第2の凹部を含み、前記第2の凹部が、前記第2のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、
前記第2のドライブラインセンサ窓が、前記第2の凹部に沿って配置されており、かつ前記第2のドライブラインセンサキャビティを閉じ、かつ
前記第2のドライブライン圧力信号線が、前記第2のドライブライン感知要素と通信し、前記ドライブライン内に配置されており、かつ前記第2のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
請求項20記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項22】
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置
をさらに含む、請求項1記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項23】
前記拡張可能部材圧力センサ装置が、前記拡張可能部材感知要素と通信する拡張可能部材圧力信号線をさらに含み、
前記拡張可能部材圧力信号線が、前記拡張可能部材圧力信号を伝送するように構成されており、
前記拡張可能部材圧力信号線の第1の部分が、前記拡張可能部材内に配置されており、かつ
前記拡張可能部材が前記ドライブラインに連結されているとき、拡張可能部材圧力信号線の第2の部分が前記ドライブライン内に配置されている、
請求項22記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項24】
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされるようにかつ前記患者に循環補助を提供するように構成されている、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結可能である、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置と
を含む、大動脈内バルーンポンプアセンブリであって、
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、第1のドライブライン感知要素と、第1のドライブラインセンサキャビティと、第1のドライブラインセンサ窓と、第1のドライブライン圧力信号線とを含み、
前記第1のドライブライン感知要素が、周囲圧力の変化を感知でき、前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第1の凹部を含み、前記第1の凹部が、前記第1のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記第1の凹部に沿って配置されており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティを閉じ、
前記第1のドライブライン圧力感知要素が、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号線が、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されており、前記第1のドライブライン感知要素と通信し、かつ前記第1のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項25】
前記ドライブラインが、ガイドワイヤーレールとして構成されているワイヤールーメンを含み、かつ前記ドライブラインが、ガイドワイヤーが前記ワイヤールーメンに通され得るようなサイズであり、
前記ワイヤールーメンが、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されている、
請求項24記載の大動脈内バルーンポンプアセンブリ。
【請求項26】
大動脈内バルーンポンプアセンブリを制御する方法であって、大動脈内バルーンポンプアセンブリが、
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされかつ前記患者に循環補助を提供するための、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第2のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第2のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第2のドライブライン感知要素
を含む、第2のドライブライン圧力センサ装置と
を含み、前記方法が、
前記第1のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程;
前記第1のドライブライン圧力装置と関連付けられた故障イベントを検出する工程;および
前記故障イベントが検出された後に前記第2のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程
を含む、方法。
【請求項27】
大動脈内バルーンポンプアセンブリを制御する方法であって、大動脈内バルーンポンプアセンブリが、
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされ、かつ前記患者に循環補助を提供するための、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置と
を含み、前記方法が、
前記第1のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程;
前記第1のドライブライン圧力センサ装置と関連付けられた故障イベントを検出する工程;および
前記故障イベントが検出された後に前記拡張可能部材圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、機械的循環補助装置、特に、血液ポンプアセンブリならびに関連の装置、システムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
背景
心不全(HF)の有病率は世界中で増加しており、医療提供者にかかる高価な負担である。医療の進歩にもかかわらず、HFの予後は、特に進行期では依然として不良である。心臓移植は、ドナー臓器の供給によって依然として制限されている。左心室補助装置(LVAD)の使用は、中でも特に、大きな手術介入の必要および心肺バイパス(CPB)の使用のために、年間約5,000例の植込みで停滞している。さらに、これらの装置の高コストは、大きな潜在市場での採用を妨げており、いくつかの国は長期的なLVADの使用に資金供給しないことを決定している。
【0003】
世界的には、急性心不全の最も一般的な補助装置は大動脈内バルーンポンプ(IABP)であり、IABPは数時間から数日の限られた期間にわたって臨床的に使用される。IABP(本明細書では「血液ポンプ」、「バルーン」、または「拡張可能部材」とも呼ぶ)は、2つの端部を有するドライブラインを含むIABPアセンブリの一部である。一端はIABPに連結可能であり、他端は外部駆動ユニットに間接的に連結可能である場合が多い。駆動ユニットは作動流体(例えば、周囲空気やヘリウム)の供給源であり、作動流体は膨張のためにドライブラインを介してIABPに運ばれる。駆動ユニットはまた、やはりドライブラインを介した、IABPからの作動流体を収縮させる役割も担う。毎年、世界中で15万人を超える患者がIABP療法を受ける。IABPは現在のLVADよりもはるかに単純であり、カウンターパルセイション療法の治療有効性は十分に確立されている。カウンターパルセイションは、心臓の直接的なカニューレ挿入を必要とせず、植込みおよび抜去がより容易になる。カウンターパルセイション療法はまた、LVAD療法と比較して安価である。
【0004】
カウンターパルセイション療法は、大動脈弁閉鎖(重拍切痕)直後にバルーンを急速に膨張させ、収縮期の開始直前にバルーンを急速に収縮させることによって達成される。重拍切痕は、IABPの先端に配置された圧力センサを使用して検出され得、収縮期の開始は、心電図(ECG)を使用して検出され得る。しかしながら、膨張および収縮は、両方とも圧力センサまたはECGデータのいずれかによってトリガされてもよい。先端に圧力センサが配置されたIABPの一例が、Teleflex製のArrow Ultra 8 Fiber-Optic IAB Catheterである。バルーンの急速な膨張は、拡張期大動脈圧を20~70%増加させ、末端臓器および冠動脈灌流を改善する。バルーンの急速な収縮は、自己心室の駆出圧を低下させ、後負荷および左室の外的仕事を減少させる。カウンターパルセイション療法は、収縮期大動脈圧が40~70mmHgであり、自己心拍数が80~110bpmであり、カウンターパルセイション量(すなわち、バルーン体積)が自己左室の一回拍出量に等しいときに患者において最も効果的であることが示されている。
【0005】
IABPは、移植を待っているHF患者および冠動脈バイパス術を受けている患者に使用されてきた。バルーンは、一般に、大腿動脈を通って延在するドライブラインと共に下行大動脈に植え込まれる。この植込みを、本明細書では「大腿植込み」と呼ぶことがあり、大腿植込みをもたらす過程を、本明細書では「大腿法」と呼ぶこともある。大腿法は、植込みを行う臨床医が対処すべき著しい動脈の蛇行または動脈の湾曲がないため、単純なものである。しかしながら、大腿法によって植え込まれたIABPは、患者が治療期間中に脚を固定されて仰臥位のままであることを必要とし、その理由は、(1)向きの変化が治療の有効性を低下させることが示されており、(2)歩行により脚の動きが原因でバルーンまたはバルーンドライブラインがキンクし、周期性の疲労および最終的にはバルーンアセンブリの故障につながる可能性があり、(3)歩行により大腿動脈の動脈アクセスでの出血のリスクが増加するからである。その結果、患者は歩行することができなくなるか、または心筋補助のための長期療法としてIABPから利益を得ることができなくなる。歩行の欠如は、より不良な転帰につながり、患者の回復および入院を長引かせることが実証されている。動脈アクセスに加えて、生体適合性、および耐久性の問題も、IABPの適用を短期間(典型的には2~4日間)に制限する。IABP補助は長期間使用されてきたが、血管の合併症、感染症、および出血の頻度は高い。
【0006】
より最近では、IABPは、腋窩または鎖骨下動脈を通って延在するドライブラインと共に下行大動脈に植え込まれている。この植込みを、本明細書では「腋窩植込み」と呼ぶことがあり、腋窩植込みをもたらす過程を、本明細書では「腋窩法」と呼ぶこともある。IABPが腋窩法を使用して植え込まれる場合、大腿植込みに関連する特定の可動性の問題が軽減され、患者の歩行が容易になる。腋窩植込みは、典型的には、胸部に入り、腋窩/鎖骨下動脈まで切開することによって外科的に行われている。しかしながら、従来のIABPは圧力センサをIABPの先端(または遠位端)に位置決めするので、腋窩法が利用される場合、圧力センサは腹部大動脈の大動脈弓からさらに離れて位置決めされる。これは、重拍切痕ならびにバルーン膨張および/またはバルーン収縮の検出の遅延(例えば、IABPがECGデータを使用せずに操作される場合)、およびそれ以外で治療の有効性の低下をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
より具体的には、本発明は以下を提供する:
[1]
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされるようにかつ前記患者に循環補助を提供するように構成されている、拡張可能部材と、
遠位端および近位端を有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結可能であるように構成されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と
を含む、大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[2]
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、第1のドライブラインセンサキャビティおよび第1のドライブラインセンサ窓をさらに含み、
前記第1のドライブライン感知要素が、前記第1のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第1の凹部を含み、前記第1の凹部が、前記第1のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、かつ
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記第1の凹部に沿って配置されており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティを閉じる、
[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[3]
前記ドライブラインがドライブライン壁を含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が前記ドライブライン壁内に配置されている、
[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[4]
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンを含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が前記作動流体ルーメン内に配置されている、
[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[5]
前記ドライブラインがドライブライン壁を含み、
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンを含み、かつ
前記第1のドライブライン圧力感知要素が、前記ドライブライン壁内に部分的にかつ前記作動流体ルーメン内に部分的に、配置されている、
[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[6]
前記第1のドライブライン感知要素がダイヤフラムである、[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[7]
前記第1のドライブラインセンサ装置が前記第1のドライブラインセンサキャビティ内に配置されている第1の柔軟な物質を含み、前記第1の柔軟な物質が、前記第1のドライブライン感知要素に圧力を伝達するように作用する、[2]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[8]
前記第1の柔軟な物質が、ゲル、流体、ガス、エラストマーのうちの1つまたは複数である、[7]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[9]
前記第1のドライブラインセンサ窓が、動作中に前記第1のドライブラインセンサキャビティから前記第1の柔軟な物質が漏れるのを防ぐように構成されている、[7]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[10]
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記ドライブライン壁の前記第1の凹部を塞ぐようなサイズおよび形状である、[2]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[11]
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、
前記第1のドライブライン感知要素と通信する第1のドライブライン圧力信号線をさらに含み、
前記ドライブライン内に配置されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[12]
前記第1のドライブライン圧力信号線が、光ファイバ線および流体充填ラインの一方である、[11]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[13]
前記第1のドライブライン圧力信号線の遠位端が前記第1のドライブライン感知要素に連結されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号線の近位端が、前記拡張可能部材を膨張させるように構成されている駆動ユニットを制御するように構成されている処理モジュールに、連結されるように構成されている、
[11]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[14]
前記ドライブラインが、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている作動流体ルーメンを含む、[11]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[15]
前記ドライブラインが、前記作動流体ルーメンを画定するドライブライン壁を含む、[14]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[16]
前記作動流体が周囲空気である、[14]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[17]
前記第1のドライブライン圧力信号線が、
前記ドライブライン壁内に配置されている、
前記作動流体ルーメン内に配置されている、および
前記ドライブライン壁内に部分的に配置されており、かつ前記作動流体ルーメン内に部分的に配置されている、
のうちの1つである、[14]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[18]
前記ドライブラインが、ガイドワイヤーレールとして構成されているワイヤールーメンを含み、かつ前記ドライブラインが、ガイドワイヤーが前記ワイヤールーメンに通され得るようなサイズである、[17]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[19]
前記ワイヤールーメンが、
前記ドライブライン壁内に配置されている、
前記作動流体ルーメン内に配置されている、および
前記ドライブライン壁内に部分的に配置されており、かつ前記作動流体ルーメン内に部分的に配置されている、
のうちの1つである、[18]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[20]
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第2のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第2のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第2のドライブライン感知要素
を含む、第2のドライブライン圧力センサ装置
を含む、[11]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[21]
前記第2のドライブライン圧力センサ装置が、第2のドライブラインセンサキャビティ、第2のドライブラインセンサ窓、および第2のドライブライン圧力信号線を含み、
前記第2のドライブライン感知要素が、前記第2のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第2の凹部を含み、前記第2の凹部が、前記第2のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、
前記第2のドライブラインセンサ窓が、前記第2の凹部に沿って配置されており、かつ前記第2のドライブラインセンサキャビティを閉じ、かつ
前記第2のドライブライン圧力信号線が、前記第2のドライブライン感知要素と通信し、前記ドライブライン内に配置されており、かつ前記第2のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
[20]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[22]
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置
をさらに含む、[1]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[23]
前記拡張可能部材圧力センサ装置が、前記拡張可能部材感知要素と通信する拡張可能部材圧力信号線をさらに含み、
前記拡張可能部材圧力信号線が、前記拡張可能部材圧力信号を伝送するように構成されており、
前記拡張可能部材圧力信号線の第1の部分が、前記拡張可能部材内に配置されており、かつ
前記拡張可能部材が前記ドライブラインに連結されているとき、拡張可能部材圧力信号線の第2の部分が前記ドライブライン内に配置されている、
[22]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[24]
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされるようにかつ前記患者に循環補助を提供するように構成されている、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結可能である、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置と
を含む、大動脈内バルーンポンプアセンブリであって、
前記第1のドライブライン圧力センサ装置が、第1のドライブライン感知要素と、第1のドライブラインセンサキャビティと、第1のドライブラインセンサ窓と、第1のドライブライン圧力信号線とを含み、
前記第1のドライブライン感知要素が、周囲圧力の変化を感知でき、前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティの壁の少なくとも一部分を画定し、
前記ドライブライン壁が、前記ドライブラインの外部に対して内側に延在している第1の凹部を含み、前記第1の凹部が、前記第1のドライブラインセンサキャビティを少なくとも部分的に収容する形状を有し、
前記第1のドライブラインセンサ窓が、前記第1の凹部に沿って配置されており、かつ前記第1のドライブラインセンサキャビティを閉じ、
前記第1のドライブライン圧力感知要素が、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されており、かつ
前記第1のドライブライン圧力信号線が、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されており、前記第1のドライブライン感知要素と通信し、かつ前記第1のドライブライン圧力信号を伝送するように構成されている、
大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[25]
前記ドライブラインが、ガイドワイヤーレールとして構成されているワイヤールーメンを含み、かつ前記ドライブラインが、ガイドワイヤーが前記ワイヤールーメンに通され得るようなサイズであり、
前記ワイヤールーメンが、前記ドライブライン壁内および前記作動流体ルーメン内の一方に配置されている、
[24]の大動脈内バルーンポンプアセンブリ;
[26]
大動脈内バルーンポンプアセンブリを制御する方法であって、大動脈内バルーンポンプアセンブリが、
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされ、かつ前記患者に循環補助を提供するための、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第2のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第2のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第2のドライブライン感知要素
を含む、第2のドライブライン圧力センサ装置と
を含み、前記方法が、
前記第1のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程;
前記第1のドライブライン圧力装置と関連付けられた故障イベントを検出する工程;および
前記故障イベントが検出された後に前記第2のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程
を含む、方法;ならびに
[27]
大動脈内バルーンポンプアセンブリを制御する方法であって、大動脈内バルーンポンプアセンブリが、
遠位端および近位端を有する拡張可能部材であって、患者の下行大動脈内に位置決めされ、かつ前記患者に循環補助を提供するための、拡張可能部材と、
ドライブライン壁と、遠位端と、近位端とを有するドライブラインであって、前記ドライブラインの前記遠位端が前記拡張可能部材の前記近位端に連結されている、ドライブラインと、
前記ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンであって、前記拡張可能部材の膨張および収縮の少なくとも一方のために作動流体を輸送するように構成されている、作動流体ルーメンと、
前記ドライブライン内に配置され、かつ前記ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成されている、第1のドライブライン圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記ドライブラインの前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、第1のドライブライン感知要素
を含む、第1のドライブライン圧力センサ装置と、
前記拡張可能部材の外部の環境の圧力を伝達する拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている、拡張可能部材圧力センサ装置であって、
周囲圧力の変化を感知でき、かつ前記拡張可能部材内に配置され、かつ前記拡張可能部材の前記遠位端または前記遠位端の近位に位置決めされている、拡張可能部材圧力感知要素
を含む、拡張可能部材圧力センサ装置と
を含み、前記方法が、
前記第1のドライブライン圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程;
前記第1のドライブライン圧力センサ装置と関連付けられた故障イベントを検出する工程;および
前記故障イベントが検出された後に前記拡張可能部材圧力信号に基づいて前記拡張可能部材を膨張させる工程
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本技術の多くの局面は、以下の図面を参照すればよりよく理解され得る。図面の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。
【0009】
図1A図1Aは、IABPの上端または遠位端に配置されている圧力感知要素を有するIABPを有する大動脈弓血管系を示し、IABPは、2つの異なる技法、すなわち大腿法(図1A)と腋窩法(図1B)とを使用して下行大動脈に配置されている。
図1B図1Bは、IABPの上端または遠位端に配置されている圧力感知要素を有するIABPを有する大動脈弓血管系を示し、IABPは、2つの異なる技法、すなわち大腿法(図1A)と腋窩法(図1B)とを使用して下行大動脈に配置されている。
図2A図2Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置されているワイヤールーメンと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの遠位端またはドライブラインの遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の一態様によるIABPアセンブリを示す。
図2B図2Bは、図2AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図2C図2Cは、図2AのセグメントZ-Zに沿った図2Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図2D図2Dは、ドライブライン圧力センサ装置を強調した図2Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図3図3は、腋窩法を使用して下行大動脈に配置されている図2A図2DのIABPアセンブリを有する大動脈弓血管系の図を示す。
図4A図4Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置されているワイヤールーメンと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を各々有する、2つのドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第2の態様によるIABPアセンブリを示す。
図4B図4Bは、図4AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図4C図4Cは、図4AのセグメントZ-Zに沿った図2Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図4D図4Dは、第2のドライブライン圧力センサ装置を強調した図4Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図5A図5Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置され、ドライブライン壁内にさらに配置されているワイヤールーメンと、ドライブライン壁内に配置されかつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第3の態様によるIABPアセンブリを示す。
図5B図5Bは、図5AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図5C図5Cは、図4AのセグメントZ-Zに沿った図5Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図5D図5Dは、ドライブライン圧力センサ装置を強調した図5Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図6A図6Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置され、ドライブライン壁内にさらに配置されているワイヤールーメンと、ドライブライン壁内に配置されかつドライブラインの遠位端またはドライブラインの遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を各々有する、2つのドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第4の態様によるIABPアセンブリを示す。
図6B図6Bは、図6AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図6C図6Cは、図6AのセグメントZ-Zに沿った図6Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図7A図7Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有する、ワイヤールーメンなしのドライブラインと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第5の態様によるIABPアセンブリを示す長手方向を示す。
図7B図7Bは、図7AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図7C図7Cは、図7AのセグメントZ-Zに沿った図7Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図8A図8Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有する、ワイヤールーメンなしのドライブラインと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を各々有する、2つのドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第6の態様によるIABPアセンブリを示す。
図8B図8Bは、図8AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図8C図8Cは、図8AのセグメントZ-Zに沿った図8Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図9A図9Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有する、ワイヤールーメンなしのドライブラインと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの遠位端または遠位端の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を各々有する、ドライブライン壁内に配置されている2つのドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第7の態様によるIABPアセンブリを示す。
図9B図9Bは、図9AのIABPアセンブリのドライブラインセグメントの長手方向断面図を示す。
図9C図9Cは、図9AのセグメントZ-Zに沿った図9Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図9D図9Dは、ドライブライン圧力センサ装置を強調した図9Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図10A図10Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置されているワイヤールーメンと、作動流体ルーメンに配置されかつドライブラインの近位端に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置と、拡張可能部材の遠位端または拡張可能部材の遠位端の近位に配置されている拡張可能部材感知要素を有する拡張可能部材センサ装置とを有する、本開示の第8の態様によるIABPアセンブリを示す。
図10B図10Bは、そのドライブラインセグメントを強調した図10AのIABPアセンブリの長手方向断面の拡大図を示す。
図10C図10Cは、図10Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図10D図10Dは、そのドライブライン圧力センサ装置を強調した図10Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図11A図11Aは、拡張可能部材と、ドライブライン壁によって画定された作動流体ルーメンを有するドライブラインと、拡張可能部材およびドライブライン内に貫通して配置されているワイヤールーメンと、両方のドライブライン圧力センサ装置がドライブラインの近位端に位置する、ドライブライン壁内に配置されている2つのドライブライン圧力センサ装置とを有する、本開示の第9の態様によるIABPアセンブリの長手方向断面図を示す。
図11B図11Bは、そのドライブラインセグメントを強調した図11AのIABPアセンブリの長手方向断面の拡大図を示す。
図11C図11Cは、図11Bのドライブラインセグメントの横断面図を示す。
図11D図11Dは、そのドライブライン圧力センサ装置を強調した図11Bのドライブラインセグメントの長手方向断面の拡大図を示す。
図12図12は、本開示の第10の態様によるIABPアセンブリの使用方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本技術のいくつかの態様の具体的な詳細を、図1図12を参照して本明細書で説明する。本技術の範囲内には本明細書に記載されるものに加えて他の用途および他の態様がある。本技術の範囲内には本明細書に開示されるものに加えて他の態様があることに留意されたい。さらに、本技術の態様は、本明細書に図示または記載されるものの他の構成、構成要素、および/または手順を有し得ること、ならびにこれらおよびその他の態様は、本技術から逸脱することなく、本明細書に図示または記載される構成、構成要素、および/または手順のいくつかがなくてもよいことを、当業者は理解するであろう。本明細書全体を通して、「1つの態様(one embodiment)」、「一態様(an embodiment)」、「1つまたは複数の態様(one or more embodiments)」、「第nの態様(nth embodiment)」、「いくつかの態様(some embodiments)」、または同様の効果の語句への言及は、その態様に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本開示の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。よって、そのような用語の使用は、必ずしも同じ態様を指しているとは限らない。例えば、本明細書に記載される特徴は、1つまたは複数の態様において任意の適切なやり方で組み合わされてもよいことが明示的に企図されている。
【0011】
関連技術
ノースカロライナ州ローリーの出願人/譲受人のNuPulseCV,Inc.は、米国特許出願第16/876,110号明細書に一般的に記載されているように、長期的なカウンターパルセイション装置として機能する経皮送達血管内心室補助システム(PiVAS)を開発しており、この出願の内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。PiVASは、低侵襲の外科的手法を使用した改善された腋窩法を介して下行大動脈に植え込まれる拡張可能部材を含む。植え込まれたとき、PiVASのドライブラインは、腋窩動脈または鎖骨下動脈を通って延在する。PiVASは、胸部に入ることなく低侵襲的に植え込まれ得、心肺バイパス(CPB)も血液製剤も必要としない部分的循環補助を提供することによってHF患者に代替療法を提供する。
【0012】
NuPulseCVはまた、以下も開発している。(1)発明者としてJoshua Ryan Woolley、Robert Christopher Hall、Duane Sidney Pinto、およびGuruprasad Anapathur Giridharanを認め、代理人整理番号8019.US00/236533-30037を有する、「Intra-Aortic Balloon Pump Assembly」という名称の、本開示と同日に出願された米国特許出願に一般的に記載されている、より大きな補助、改善された補強、新しいマーカ、および他の改善点のために構成されたバルーンを有する大動脈内バルーンポンプアセンブリ(「改善されたバルーンポンプアセンブリ技術」)、ならびに(2)発明者としてRobert Christopher Hall、Joshua Ryan Woolley、Guruprasad Anapathur Giridharan、およびDuane Sidney Pintoを認め、代理人整理番号8020US00/236533-30035を有する、「Blood Pump Support Apparatus and Method for a Blood Pump Assembly」という名称の、本開示と同日に出願された米国特許出願に一般的に記載されている、血液ポンプアセンブリのための血液ポンプ支持構造(「血液ポンプ支持構造技術」)、両出願の内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。改善されたバルーンポンプアセンブリ技術は、中でも特に、現在のIABPおよびそれらのドライブラインの設計と関連付けられる特定の問題を解決し、血液ポンプ支持構造技術は、中でも特に、動作中に(例えば、下行大動脈に配置されている場合に)、血液ポンプがそれ自体の上に丸まることもしくは折り畳まれること、またはそうでなくてもクレバスを発生させることと関連付けられる特定の問題を解決する。
【0013】
1つの態様では、PiVASは、長期の生体適合性および安全性のために設計された空気圧駆動の拡張可能部材を含む。拡張可能部材の近位端は、ドライブラインの遠位端に連結され得る。1つの態様では、拡張可能部材の近位端は、ドライブラインの遠位端に嵌合するようなサイズおよび形状の係合領域を含み得る。係合領域とドライブラインとの間に気密接続/空気圧シールを提供する圧縮リングや他の適切な要素などの取付け機構が、拡張可能部材をドライブラインに連結するために使用されてもよい。ドライブラインの近位端は、駆動ユニット(例えば、外部ドライバ)に連結されてもよい。
【0014】
PiVASで採用されるIABPは、生体適合性の非血栓形成性エラストマー材料(例えば、Biospan(登録商標)-S)または他の適切な材料から構成されてもよく、米国特許第8,066,628号明細書に記載されている特徴を有してもよく、この特許の開示は全体として参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様では、最大装置変位量は、心臓の一回拍出量に厳密に一致し得、有効なカウンターパルセイション療法を提供するために変更され得るパラメータである。拡張可能部材は、約20ml~約60mlの変位量を有し得る。いくつかの態様では、変位量は約50mlである。IABPは、約15cm~約30cmの長さを有し得る。
【0015】
血液ポンプは、大腿動脈を介して植え込まれ、胸部に入る必要なく腋窩/鎖骨下動脈を介して抜去され得る。挿入に関して、大腿動脈と腋窩/鎖骨下動脈の両方でイントロデューサシースを使用することが望ましい場合がある。細長い送達拡張器が、(例えば、ガイドワイヤーレールを設置し、次いでガイドワイヤー上で細長い送達拡張器を前進させ、その後にガイドワイヤーを取り外すことによって)2つのイントロデューサシース間の血管系内に配置され得る。血液ポンプは、関連付けられたイントロデューサシースにおいて大腿動脈に導入され得る。特に、細長い送達拡張器の遠位端は、ドライブラインの近位端に取り外し可能に連結され得、細長い送達拡張器の近位端は、血液ポンプを定位置に移動させるために引っ張られ得る。細長い送達拡張器は、腋窩/鎖骨下動脈から外に出され、ドライブラインの近位端から切り離され得、ドライブラインの近位端も外に出され得る。血液ポンプは、血液ポンプを大腿動脈でイントロデューサシースに導入する際、挿入前に折り畳まれ得るか、または丸められ得る。挿入前の血液ポンプの寸法を小さくするために送達シース(例えば、漏斗や折り畳み式チューブ)が利用されてもよい。血液ポンプは、非閉塞性であり、収縮したときに折り目またはクレバスなしに下行大動脈内に少なくとも実質的に平坦に置かれ得る。これにより、装置を長期間にわたってオフにすることが可能になる。患者は、有害な結果を伴わずに装置を60分間以上にわたって日常的に停止させ得る。血液ポンプは、2.5年以上の使用にわたって耐久性を有することが実証されている。
【0016】
ドライブラインは、血液ポンプと駆動ユニットとの間で作動流体(例えば、空気、ガスなど)を往復させる細い(例えば、外径4.2mm)ドライブラインであってもよい。ドライブラインは、内側ドライブラインおよび外側ドライブラインを含んでもよい。内側ドライブラインは、拡張可能部材との間で作動流体を送達するために貫通して延在しているルーメンを有する細長い支持構造体であってもよい。内側ドライブラインは、患者の血管系内(例えば、大動脈と腋窩/鎖骨下動脈との間)に少なくとも部分的に位置決めされてもよい。植込み後、内側ドライブラインは、拡張可能部材に連結され、患者の血管系(例えば、下行大動脈)内に位置決めされた遠位端部分と、外側ドライブラインの遠位端に連結され、例えば、腋窩/鎖骨下動脈、または他の適切な血管の動脈切開時に患者の血管系の外部に位置決めされる近位端部分とを有し得る。内側ドライブラインの近位端部分は、任意の適切な技法(例えば、圧縮リング、縫合(suturing)、接着、縫合(stitching)など)を使用して外側ドライブラインの遠位端に連結されてもよい。
【0017】
内側ドライブラインが血管系に存在する動脈切開部で止血を提供するために、動脈インターフェース装置またはストッパ装置(「AID」)が使用されてもよい。AIDは、低侵襲の外科的手法を使用した長期植込みを可能にし得る。AIDは、装置を所望の向きまたは位置に固定するために使用される1つまたは複数の固定要素と、1つまたは複数のポートとを含んでもよい。例えば、1つのポートは、患者の血管系にワイヤー軸を提供してもよい。AIDは、米国特許第7,892,162号明細書に記載されているのと同様の特徴を有してもよく、この特許の開示は全体として参照により本明細書に組み入れられる。AIDは、ルーメンを画定するAID内のシャフトを通して内側ドライブライン(例えば、血管系から外に出される部分)上に展開するか、または前進させ得る。内側ドライブラインは、シャフトに挿入され、シャフトを通って延在し得る。外側ドライブラインは、AIDに近接した位置で内側ドライブラインに連結され得る。
【0018】
外側ドライブラインもまた、貫通して延在しているルーメンを有する細長い支持構造体であってもよい。外側ドライブラインは、少なくとも部分的に皮下に、ただし患者の血管系の外部に位置決めされ得る。植込み後、外側ドライブラインの近位端部分は、(後述する)皮膚インターフェース装置に連結されてもよい。ドライブライン(例えば、内側ドライブラインおよび外側ドライブライン)のルーメンは、拡張可能部材との間で作動流体を輸送するために、拡張可能部材のルーメンに連結され得る。比較的大きい腋窩/鎖骨下動脈と比較して比較的小さいドライブラインの直径は、肢虚血のリスクを軽減する。
【0019】
駆動ユニットは、ドライブラインを介して拡張可能部材に出入りする作動流体(例えば、ガス、または周囲空気やヘリウムなどの他の流体)の流れを発生させることによってバルーンポンプを作動させる小型の携帯型装置であり得る。例えば、駆動ユニットは、陽圧を発生させて作動流体を加速して拡張可能部材内に入れ、それによって拡張可能部材を膨張させてもよく、陰圧を誘発して作動流体を拡張可能部材から引き出し、それによって拡張可能部材を収縮させてもよい。駆動ユニットは、ベローズ、送風機、圧縮機、加速器、または他の同様の機構を利用して、拡張可能部材に出入りする作動流体の流れを導いてもよい。駆動ユニットは、バルーンの過膨張を防止するための機構を有してもよい。
【0020】
皮膚インターフェース装置(「SID」)は、駆動ユニットが拡張可能部材の動作を駆動することを可能にする経皮的装置であり得る。SIDは、ドライブライン(例えば、外側ドライブライン)のための安定したかつ/または安全な出口部位を提供し得る。ドライブラインが内側ドライブラインおよび外側ドライブラインを含む一態様では、外側ドライブラインの近位端はSIDの内側向き部分に連結されてもよく、駆動ユニットはSIDの外側向き部分に連結されてもよい。よって、SIDは、拡張可能部材に送達するために、駆動ユニットから受け取ったガスを外側ドライブラインに導き得る。SIDは、米国特許第10,137,230号明細書に記載されたインターフェース装置と同様であってもよく、この特許の開示は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0021】
IABPは、少なくとも部分的には、圧力センサデータ(例えば、図1Bに全体的に図示するように、IABP118の遠位先端に位置する圧力センサ要素119からの)および/または表面ECGセンサを介した患者のECGによってトリガされ得る。関連付けられたECGセンサは、ECGリードを介してSIDに連結されてもよく、それは、センサから受信した測定値を、有線または無線接続を介して駆動ユニットに中継する。他の態様では、ECGセンサは、駆動ユニットに無線で接続されてもよく、感知した測定値を、SIDを使用せずに駆動ユニットに直接送信してもよい。ECGセンサは、植込み型、外付け型、または植込み型と外付け型の両方であってもよい。例えば、ECGセンサは、例えば左室が収縮または弛緩しているときを判定するための、心臓もしくは他の適切な組織にかつ/または心臓もしくは他の適切な組織の近位に位置決めされた、植込み型双極電極であってもよい。カウンターパルセイション療法は、大動脈弁閉鎖(重拍切痕)直後に大動脈内でバルーンを急速に膨張させ、駆動ユニットを使用して収縮期の開始直前にバルーンを急速に収縮させることによって達成される。重拍切痕は圧力センサによって感知され得、収縮期の開始は、ECG信号を使用して予測または感知され得る。
【0022】
バルーンの急速な膨張は、拡張期大動脈圧を増加させ、末端臓器灌流および冠動脈灌流を改善し得る。バルーンの急速な収縮は、自己心室の駆出圧を低下させ、後負荷および左室の外的仕事を減少させる。PiVASのこの態様は、変位量がより大きいため、40mlのIABP装置よりも効果的な患者におけるカウンターパルセイション療法を提供する。PiVASは、耐久性が高く、血栓形成性および/または閉塞性であるリスクが低減または排除されており、胸部に入る必要がなく、総合的に低コストで、低侵襲的な装置植込み/抜去手技である。PiVASはまた、重篤有害事象(AE)負荷が低く、病状が軽い心不全集団に対する非義務的な補助を可能にする(装置は必要に応じて「オンまたはオフ」にし得る)。
【0023】
IABPの態様
図1Aおよび図1Bは、IABP118の先端または遠位端に配置されている圧力感知要素119を有するIABP118を有する大動脈弓血管系104を示し、IABP118は、2つの異なる技法、すなわち大腿法(図1Aに図示する)と腋窩法(従来方式かPiVASか)(図1Bに図示する)とを使用して下行大動脈110に配置されている。図1A図1Bの両図において、IABP118はドライブライン120に連結された長手方向断面として図示されており、圧力信号線123は、圧力感知要素119からの圧力信号を伝送することができる任意の媒体である。1つの態様では、圧力信号線123は、IABP118およびドライブライン120の全体にわたって配置されている。1つまたは複数の放射線不透過性マーカ125が、任意で、IABP118の一部として含まれ、IABP118の遠位端の近くに配置されてもよい。同様に、ワイヤールーメンが、IABP118およびドライブライン120の一部として任意で含まれてもよく、IABP118およびドライブライン120の全体にわたって延在してもよい。
【0024】
図示の大動脈弓血管系104は、心臓106、大動脈弓108、腋窩/鎖骨下動脈112、下行大動脈110、腎動脈114の2つの分枝、および総腸骨動脈116の2つの分枝を含む。圧力感知要素119は、圧力信号線123をさらに含む圧力センサ装置と関連付けられたダイヤフラムであってもよい。圧力センサ装置は、固体、流体充填、ガス充填、または光ファイバ圧力センサであってもよい。固体圧力センサ装置は、圧力で屈曲する信号トランスデューサおよびMEMsセンサを含んでもよい。流体充填圧力センサ装置は、流体媒体の長さに沿った圧力を身体の外部に位置する圧力トランスデューサに変換し得る。光ファイバ圧力センサは、例えば、ファブリペロー干渉計(FBI)またはファイバブラッググレーティング(FBG)を使用し得る。
【0025】
圧力信号線123によって伝送される圧力信号は、光波、流体、電気アナログもしくはデジタル信号、または圧力情報を伝達することができる任意の他の媒体であり得る。例えば、圧力信号線123は、圧力感知要素119および/または関連付けられたセンサキャビティ(図示せず)とフォトダイオードまたは他の光センサ(図示せず)との間の光搬送器として機能することができる光ファイバ信号線であってもよい。図示されていない光源(例えば、発光ダイオード)によって圧力信号線119に導入された光が、圧力感知要素119および/またはセンサキャビティに向けられてもよく、光ファイバ線119に沿って反射され、そこでフォトダイオードまたは他の光センサによって検出される。干渉計または他の処理モジュールを使用して、距離(例えば、センサキャビティ長)が決定されてもよい。圧力感知要素119における圧力の変化により感知要素119が撓むか、または変形して、センサキャビティ長の長さを変化させ、これが、光を光ファイバ線119に再導入し、反射を検出し、干渉計または他の処理モジュールを使用することによって、決定され得る。非限定的な例では、圧力変動(ΔP)は、式ΔP=ΔL/Sを使用して導出されてもよく、式中、(ΔL)はキャビティ長の差分であり、Sは工場較正から導出されたゲージ率である。これらの原理のうちのいくつかが、米国特許第3,349,623号明細書、米国特許第5,202,939号明細書、米国特許第5,392,117号明細書、および米国特許第7,229,403号明細書、ならびに欧州特許第1764124(B1)号明細書に一般的に記載されており、各特許の内容は参照により本明細書に明示的に組み入れられる。この態様では、反射光は圧力信号であり得る。あるいは、圧力信号線119は、流体充填キャビティと連通し、感圧流体を流体からトランスデューサに連通させることができるチューブ(例えば、ポリエチレン(PE)チューブ)であってもよい。この態様では、圧力情報は感圧流体であり得る。あるいは、圧力信号線119はワイヤーリードまたは無線経路であってもよく、電気アナログまたはデジタル信号が圧力信号であってもよい。圧力信号線118が無線経路である場合、信号は、図示のようにIABP118およびドライブライン120を通って進む必要はなく、むしろ「一直線に」無線でトランスデューサまたは処理モジュールに進み得る。
【0026】
腋窩植込みは、駆動ユニットに連結されたシース122、中央ルーメン124、および作動流体接続部126の使用を含んでもよい。本明細書の背景技術の項で述べたように、図1Aに図示するようなIABP118の大腿植込み中に、圧力感知要素119は、心臓106の大動脈弁に近接した領域121に位置決めされる。これは、IABP118の膨張のランドマークである大動脈弁閉鎖(すなわち、重拍切痕)によって引き起こされる圧力波を感知するのに必要な時間を最小限にする。しかし、IABP118の腋窩植込み中に、圧力感知要素119は、図1Bに全体的に図示するように、大動脈弁からより遠く離れて位置する領域127に位置決めされる。これは、大動脈弁の閉鎖の感知の遅延につながり、その結果、IABP118膨張の遅延をもたらす。これはまた、収縮の遅延につながる可能性もある。したがって、装置効率を低下させる可能性がある。
【0027】
図2Aは、拡張可能部材202Aと、ドライブライン壁214によって画定された作動流体ルーメン215を有するドライブライン204Aと、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204A内に貫通して配置されているワイヤールーメン228と、作動流体ルーメン215に配置されかつドライブライン204Aの遠位端210または遠位端210の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置216Aとを有する、本開示の一態様によるIABPアセンブリ200を示している。図2Bは、図2AのIABPアセンブリ200のドライブラインセグメント204Aの長手方向断面図を示している。図2Cは、図2AのセグメントZ-Zに沿った図2Bのドライブラインセグメント204Aの横断面図を示している。図2Dは、ドライブライン圧力センサ装置216Aを強調した、領域217Aでとった図2Bのドライブラインセグメント204Aの長手方向断面の拡大図を示している。
【0028】
図2A図2Dを参照すると、拡張可能部材202Aは、遠位端206および近位端208を有し、ドライブライン204Aは、ドライブライン壁214と、2つの端部、すなわち遠位端210および近位端212とを有し得る。拡張可能部材202Aの近位端208は、PiVASに関して上述したように、ドライブライン204Aの遠位端210に連結することができる。第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、ドライブライン204Aの遠位端210または遠位端210の近位に位置決めされている第1のドライブライン圧力感知要素218Aを含んでもよい。ドライブライン204Aは、ドライブライン壁214によって画定された作動流体ルーメン215を有してもよく、作動流体ルーメン215は、拡張可能部材202Aの膨張および収縮の少なくとも一方のためにヘリウムや周囲空気などの作動流体を輸送するように構成されていてもよい。
【0029】
ワイヤールーメン228は、任意で、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204A内に貫通して配置されていてもよい。ワイヤールーメン228は、一般に、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204Aの中心に位置決めされ得る。ワイヤールーメン228の他の位置も本明細書では明示的に企図されている。例えば、ワイヤールーメン228は、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204Aのどちらかまたは両方の中心から外れて位置決めされてもよい。ワイヤールーメン228は、ガードワイヤーレールとして構成され得、かつワイヤールーメン228は、ガイドワイヤーが前記ワイヤールーメンに通され得るようなサイズとされ得る。これにより、オーバーザワイヤー法を使用した植込みが容易になり、単一の血管アクセスポイントを通したより容易な植込みが可能になり得る。
【0030】
第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、OPsens製のタイプの光ファイバ圧力センサ(例えば、微小光学機械システムに基づく)であってもよい。あるいは、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、固体または流体もしくはガス充填圧力センサ装置、または任意の他の適切な圧力センサであってもよい。第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、ドライブライン204Aの遠位端210の外部および近位の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成され得る。第1のドライブライン圧力信号は、光波、流体、電気アナログもしくはデジタル信号、または圧力情報を伝達することができる任意の他の媒体であり得る。
【0031】
第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、第1のドライブラインセンサキャビティ220A、第1のドライブラインセンサ窓222A、および第1のドライブライン感知要素218Aを含み得る。第1のドライブライン感知要素218Aは、周囲圧力の変化を感知できてもよく、周囲圧力によって撓むことができるダイヤフラムまたは薄膜として構成され得る。1つの態様では、第1のドライブライン感知要素218Aは、微細機械加工されたシリコンダイヤフラムであり得る。
【0032】
ドライブライン壁214は、ドライブライン204Aの外部に対して内側に延在しており、ドライブライン204Aの遠位端210の近位に位置する第1の凹部213Aをさらに含んでもよい。第1の凹部213Aは、ドライブライン壁214内の間隙または離断部であってもよい。第1の凹部213Aは、第1のドライブラインセンサキャビティ220Aを少なくとも部分的に収容する形状を有してもよい。第1のドライブラインセンサ窓222Aは、第1の凹部213Aを塞ぐような形状およびサイズであってもよく、第1のドライブラインセンサキャビティ220Aを閉じるために第1の凹部213Aに沿って配置され得る。第1のドライブライン感知要素218Aは、第1のドライブラインセンサキャビティ220Aの壁の一部分を画定し得る。図示のように、第1のドライブライン感知要素218Aは、作動流体ルーメン215内に位置決めされ得る。任意で、第1のドライブライン感知要素218Aは、ドライブライン壁214内に、または作動流体ルーメン215内とドライブライン壁214内の両方に部分的に、位置決めされてもよい。
【0033】
第1のドライブラインセンサ装置216Aは、第1のドライブラインセンサキャビティ220A内に配置されている柔軟な物質(図示せず)をさらに含んでもよい。柔軟な物質224は、第1のドライブライン感知要素218Aに圧力を伝達するように作用し得る。柔軟な物質は、ゲル、流体、ガス、および/またはエラストマーであってもよい(例えば、柔軟な物質は、不活性ガスや、シリコーンゲルであってもよい)。あるいは、第1のドライブラインセンサキャビティ220Aは真空を構成してもよい。第1のドライブラインセンサ窓222Aは、IABPアセンブリ200が動作しているときに、柔軟な物質が第1のドライブラインセンサキャビティ220Aから漏れるのを防ぐか、または真空を維持するように構成され得る。
【0034】
第1のドライブライン圧力センサ装置216Aは、第1のドライブライン感知要素218Aと通信する第1のドライブライン圧力信号線226Aを含んでもよい。第1のドライブライン圧力信号線226Aは、ドライブライン204A内に(すなわち、ドライブライン壁214内、作動流体ルーメン215内、またはドライブライン壁214内と作動流体ルーメン215内の両方に部分的に)配置され得る。第1のドライブライン圧力信号線226Aは、ドライブライン204Aの遠位端210の外部および近位の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)第1のドライブライン圧力信号を伝送するように構成され得る。第1のドライブライン圧力信号線226Aは、光ファイバ線、または第1のドライブライン圧力センサデータを伝送することができる任意の他の適切な信号線であってもよい。別の態様では、ドライブライン圧力信号線226Aは、チューブ(例えば、ポリエチレン(PE)チューブ)または(MEMSベースの無線感知要素と通信する)無線接続であってもよい。
【0035】
図3は、腋窩法を使用して下行大動脈110に配置されている図2A図2DのIABPアセンブリ200を有する大動脈弓血管系104の図を示している。第1のドライブライン感知要素218Aは、領域121内の圧力を感知し、その圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)第1のドライブライン圧力信号を生成するように構成される。領域121は、ドライブライン204Aの遠位端210の外部および近位にあり、心臓106の大動脈弁の近位にある。
【0036】
図4Aは、拡張可能部材202Aと、ドライブライン壁214によって画定された作動流体ルーメン215を有するドライブライン204Bと、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204B内に貫通して配置されているワイヤールーメン228と、(それぞれ)作動流体ルーメン215に配置されかつドライブライン204Aの遠位端210または遠位端210の近位に位置するドライブライン圧力感知要素218A、218Bを各々有する、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216Bとを有する、本開示の第2の態様によるIABPアセンブリ400を示している。図4Bは、図4AのIABPアセンブリ400のドライブラインセグメント204Bの長手方向断面図を示している。図4Cは、図4AのセグメントZ-Zに沿った図4Bのドライブラインセグメント204Bの横断面図を示している。図4Dは、領域217Bでとった、第2のドライブライン圧力センサ装置216Bを強調した図4Bのドライブラインセグメント204Bの長手方向断面の拡大図を示している。
【0037】
第2のドライブライン圧力装置216Bは、光ファイバ圧力センサ(例えば、微小光学機械システムに基づく)、固体または流体もしくはガス充填圧力センサ装置、または任意の他の適切な圧力センサであってもよい。第2のドライブライン圧力装置216Bは、ドライブライン204Aの遠位端210の外部および近位の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)第2のドライブライン圧力信号を生成するように構成され得る。第2のドライブライン圧力信号は、光波、流体、電気アナログもしくはデジタル信号、または圧力情報を伝達することができる任意の他の媒体であり得る。
【0038】
図4A図4Dは、図2A図2Dのすべての特徴を含むが、第2の凹部213Bおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216Bを追加している。第2のドライブライン圧力センサ装置216Bは、第2のドライブラインセンサキャビティ220B、第2のドライブラインセンサ窓222B、および第2のドライブライン感知要素218Bを含んでもよい。第2のドライブライン感知要素218Bは、周囲圧力の変化を感知できてもよく、周囲圧力によって撓むことができるダイヤフラムまたは薄膜として構成され得る。1つの態様では、第2のドライブライン感知要素218Bは、微細機械加工されたシリコンダイヤフラムであり得る。
【0039】
ドライブライン壁214は、ドライブライン204Bの外部に対して内側に延在しており、ドライブライン204Bの遠位端210の近位に位置する第2の凹部213Bをさらに含んでもよい。第2の凹部213Aは、ドライブライン壁214内の間隙または離断部であってもよい。第2の凹部213Bは、第2のドライブラインセンサキャビティ220Bを少なくとも部分的に収容する形状を有してもよい。第2のドライブラインセンサ窓222Bは、第2の凹部213Bを塞ぐような形状およびサイズであってもよく、第2のドライブラインセンサキャビティ220Bを閉じるために第2の凹部213Bに沿って配置され得る。第2のドライブライン感知要素218Bは、第2のドライブラインセンサキャビティ220Bの壁の一部分を画定し得る。図示のように、第2のドライブライン感知要素218Bは、作動流体ルーメン215内に位置決めされ得る。任意で、第2のドライブライン感知要素218Bは、ドライブライン壁214内に、または作動流体ルーメン215内とドライブライン壁214内の両方に部分的に、位置決めされてもよい。
【0040】
第2のドライブラインセンサ装置216Bは、第2のドライブラインセンサキャビティ220B内に配置されている柔軟な物質(図示せず)をさらに含んでもよい。柔軟な物質224は、第2のドライブライン感知要素218Bに圧力を伝達するように作用し得る。柔軟な物質は、ゲル、流体、ガス、および/またはエラストマーであってもよい(例えば、柔軟な物質は、不活性ガスや、シリコーンゲルであってもよい)。あるいは、第2のドライブラインセンサキャビティ220Bは真空を構成してもよい。第2のドライブラインセンサ窓222Bは、IABPアセンブリ200が動作しているときに、柔軟な物質が第2のドライブラインセンサキャビティ220Bから漏れるのを防ぐか、または真空を維持するように構成され得る。
【0041】
第2のドライブライン圧力センサ装置216Bは、第2のドライブライン感知要素218Bと通信する第2のドライブライン圧力信号線226Bを含んでもよい。第2のドライブライン圧力信号線226Bは、ドライブライン204B内に(すなわち、ドライブライン壁214内、作動流体ルーメン215内、またはドライブライン壁214内と作動流体ルーメン215内の両方に部分的に)配置され得る。第2のドライブライン圧力信号線226Bは、ドライブライン204Bの遠位端210の外部および近位の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)第2のドライブライン圧力信号を伝送するように構成され得る。第2のドライブライン圧力信号線226Bは、光ファイバ線、または第2のドライブライン圧力センサデータを伝送することができる任意の他の適切な信号線であってもよい。別の態様では、ドライブライン圧力信号線226Aは、チューブ(例えば、ポリエチレン(PE)チューブ)または(MEMSベースの無線感知要素と通信する)無線接続であってもよい。第2のドライブライン圧力信号は、アナログ信号、デジタル信号、情報、データ、波(例えば、圧力波、光波などである)などであってもよい。
【0042】
図4B図4Dに図示するように、ワイヤールーメン228は、一般に、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204Bの中心に位置決めされ得る。ワイヤールーメン228の他の位置も本明細書では明示的に企図されている。例えば、ワイヤールーメン228は、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204Bのどちらかまたは両方の中心から外れて位置決めされてもよい。同様に、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aと第2のドライブライン圧力センサ装置216Bとは、ドライブライン204Bの対向する側の、ワイヤールーメン228と同じ平面内に配置されてもよい。1つの態様では、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aと第2のドライブライン圧力センサ装置216Bとは、ドライブライン壁214の対向する端部の近位に配置され得る。第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216Bと、関連付けられた第1のドライブライン圧力信号線226Aおよび第2のドライブライン圧力信号線226Bとの他の構成も明示的に企図されており、本開示の範囲内である。
【0043】
図5Aは、拡張可能部材202Bと、ドライブライン壁214によって画定された作動流体ルーメン228を有するドライブライン204Cと、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204C内に貫通して配置され、ドライブライン壁214内にさらに配置されているワイヤールーメン228と、ドライブライン壁214内に配置されかつドライブライン204Cの遠位端210または遠位端210の近位に位置するドライブライン圧力感知要素を有する、ドライブライン圧力センサ装置216Aとを有する、本開示の第3の態様によるIABPアセンブリ500を示している。図5Bは、図5AのIABPアセンブリ500のドライブラインセグメント204Cの長手方向断面図を示している。図5Cは、図4AのセグメントZ-Zに沿った図5Bのドライブラインセグメント204Cの横断面図を示している。図5Dは、ドライブライン圧力センサ装置216Aを強調した図5Bのドライブラインセグメント204Cの長手方向断面の拡大図を示している。
【0044】
図5A図5Dは、IABPアセンブリ500が、ワイヤールーメン228および第1のドライブライン圧力装置216A(第1のドライブライン圧力信号線226Aを含む)をドライブライン壁214内に位置決めしていることを除いて、図2A図2Dのすべての特徴を含む。1つの態様では、第1のドライブライン圧力装置216A(第1のドライブライン圧力信号線を含む)およびワイヤールーメン228は、同じ平面内に配置されている。他の構成も明示的に企図されており、本開示の範囲内である。1つの態様では、ドライブライン壁214は均一な厚さである。1つの態様では、ドライブライン壁214は、ワイヤールーメン228と、第1のドライブライン圧力装置216Aおよび第1のドライブライン圧力信号線226Aのどちらかまたは両方を収容するように変化する厚さを有する。図示のように、凹部213Aは、第1のドライブラインセンサ装置216Aを収容する形状を有する。
【0045】
図6Aは、拡張可能部材202Bと、ドライブライン壁214によって画定された作動流体ルーメン215を有するドライブライン204Dと、拡張可能部材202Aおよびドライブライン204D内に貫通して配置され、ドライブライン壁214内にさらに配置されているワイヤールーメン228と、(それぞれ)ドライブライン壁214内に配置されかつドライブライン204Dの遠位端210または遠位端210の近位に位置するドライブライン圧力感知要素218A、218Bを各々有する、2つのドライブライン圧力センサ装置216A、216Bとを有する、本開示の第4の態様によるIABPアセンブリ600を示している。図6Bは、図6AのIABPアセンブリ600のドライブラインセグメント204Dの長手方向断面図を示している。図6Cは、図6AのセグメントZ-Zに沿った図6Bのドライブラインセグメント204Dの横断面図を示している。図6A図6Cは、第2のドライブライン圧力装置216Bがドライブライン壁214内にさらに配置されていることを除いて、図5A図5Cと同一である。1つの態様では、第2のドライブライン圧力装置216Bは、ワイヤールーメン228および第1のドライブライン圧力装置216Aと同じ平面内に位置決めされる。他の構成も明示的に企図されており、本開示の範囲内である。
【0046】
図7A図7C図2A図2Cと同一であり、図8A図8C図4A図4Cと同一であるが、図7A図7Cおよび図8A図8Cの態様では、ワイヤールーメン228が省かれている。態様を区別するために、図7A図7Cの態様は、IABPアセンブリ700、拡張可能部材202C、およびドライブライン204Eを含む。また図8A図8Cの態様は、IABPアセンブリ800、拡張可能部材202C、およびドライブライン204Fを含む。ドライブライン壁214は、均一な厚さを有し得る。他の態様では、ドライブライン壁214は様々な厚さを有する。
【0047】
図9A図9Dの態様では、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216Bがドライブライン壁214内に配置されており、ワイヤールーメン228が省かれていることを除いて、図9A図9Dは、図4A図4Dと同一である。図示のように、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216B(ならびに対応する第1のドライブライン圧力信号線226Aおよび第2のドライブライン圧力信号線226B)は、ドライブライン壁214の対向する端部に配置されている。態様を区別するために、図9A図9Dの態様は、IABPアセンブリ900、拡張可能部材202C、およびドライブライン204Gを含む。
【0048】
図10A図10Dは、IABPアセンブリ1000に拡張可能部材圧力センサ装置が追加されていることを除いて、図2A図2Dと同一である。拡張可能部材圧力センサ装置1002は、拡張可能部材200Dの外部の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る)拡張可能部材圧力信号を生成するように構成されている。拡張可能部材圧力信号は、光波、流体、電気アナログもしくはデジタル信号、または圧力情報を伝達することができる任意の他の媒体であり得る。拡張可能部材圧力センサ装置1002は、周囲圧力の変化を感知でき、拡張可能部材内に配置され、拡張可能部材202Dの遠位端206または遠位端206の近位に位置決めされている拡張可能部材圧力感知要素119を含み得る。拡張可能部材圧力センサ装置1002は、拡張可能部材圧力信号を伝送するように構成され得る、拡張可能部材感知要素119と通信する拡張可能部材圧力信号線123をさらに含んでもよい。拡張可能部材感知要素の第1の部分123Aは、拡張可能部材202D内に配置され得、拡張可能部材感知要素の第2の部分123Bは、ドライブライン204H内に配置され得る。第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび拡張可能部材圧力センサ装置1002の他の構成も明示的に企図されており、本開示の範囲内である。例えば、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aと拡張可能部材圧力信号線213Bのどちらかまたは両方が、ドライブライン壁214内に配置されてもよい。別の態様では、前述の態様のいずれかによる第2のドライブライン圧力センサ装置216Bが含まれ得る。
【0049】
図11A図11Dは、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216B(ならびに対応する第1のドライブライン圧力信号線226Aおよび第2のドライブライン圧力信号線226B)のそれぞれがドライブライン壁214内に配置されていることを除いて、図4A図4Dと同一である。態様を区別するために、図11A図11Dは、IABPアセンブリ1100、拡張可能部材202A、およびドライブライン204Hを含む。1つの態様では、第1のドライブライン圧力センサ装置216Aと第2のドライブライン圧力センサ装置216Bとは、ドライブライン壁214の対向する端部の近位に配置され得る。第1のドライブライン圧力センサ装置216Aおよび第2のドライブライン圧力センサ装置216Bの他の構成も明示的に企図されており、本開示の範囲内である。
【0050】
図12は、本開示の第10の態様によるIABPアセンブリの使用方法を示している。方法はブロック1202から開始してもよく、そこで本明細書に記載される態様のいずれかによる大動脈内バルーンポンプアセンブリが提供または取得される。方法はブロック1204に進み、そこでIABPと関連付けられた拡張可能部材(例えば、図2Aの拡張可能部材202A)が、(例えば、第1のドライブライン圧力装置216Aと関連付けられ、ドライブラインの外部の環境の圧力を伝達する(例えば、指示するか、または表し得る))第1のドライブライン圧力信号に基づいて膨張される。次いで、方法はブロック1206に進み、そこで故障イベントが、第1のドライブライン圧力装置(例えば、装置216A)と関連付けられて検出される。故障装置は、圧力信号を受信できないこと、圧力信号が予期または予測されない情報を伝達しているという判定、または何らかの他の故障イベントを含み得る。1つの態様では、判定は、IABPアセンブリ(図示せず)と関連付けられたコンピュータまたはプロセッサによって行われ得る。コンピュータまたはプロセッサは、駆動ユニット上に物理的に位置していてもよい。次いで、方法はブロック1208または1210に進み、そこで故障イベントの検出後、拡張可能部材は、(例えば、第2のドライブライン圧力装置216Bと関連付けられた)第2のドライブライン圧力信号または(例えば、拡張可能部材圧力装置1002と関連付けられた)拡張可能部材圧力信号に基づいて膨張される。次いで、方法はブロック1212で終了する。
【0051】
別の態様では、拡張可能部材基部の膨張は、第1のドライブライン圧力信号と第2のドライブライン圧力信号の両方に基づく。両方のドライブライン圧力信号が一致している(および予期または予測されない情報を伝達していない)場合、故障イベントは判定されない。しかしながら、ドライブライン圧力信号が一致していない場合、故障イベントが作成され得る。例えば、故障イベントの作成は、警報の実装を含んでもよい。次いで、方法は、ドライブライン圧力信号の一方を追跡して他方を除外することに進み得る。例えば、所定の基準に基づいて一方を他方に対して選択するためにアルゴリズム(例えば、投票アルゴリズム)が実装されてもよい。または、方法は、バルーン膨張を目的として一方のドライブライン圧力信号を選択して他方を除外する手動入力に応答してもよい。
【0052】
結論
本技術の態様の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本技術を上記に開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。本技術の特定の態様、およびその例が、例示目的で上述されているが、当業者は認めるように、様々な同等の修正例が本技術の範囲内で可能である。本明細書に記載される様々な態様はまた、さらなる態様を提供するように組み合わされてもよい。例えば、上記の態様は相互排他的ではなく、任意のそのような態様において図示される特徴は、他の態様の特徴と組み合わされてもよい。ワイヤールーメン228の場所/位置は変更されてもよく、ドライブライン圧力センサ装置の数および相対的な場所/位置は変更されてもよい。同様に、1つまたは複数の拡張可能部材圧力センサ装置が任意の態様に追加されてもよい。ドライブライン感知要素および関連付けられたドライブライン圧力信号線は、異なって(例えば、ドライブライン壁内、作動流体ルーメン内、またはその両方に)位置決めされてもよいことを、当業者はさらに認めるであろう。
【0053】
以上から、本技術の特定の態様が例示目的で本明細書に記載されているが、周知の構造および機能は、本技術の態様の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために詳細に図示または説明されていないことが理解されよう。例えば、図2B図2D図4B図4D図5B図5D図6B図7B図8B図9B図9D図10B図10D図11B図11Dにおいて、要素218Aと要素222Bおよび要素218Bと要素222Bは、全く同一のものであってもよい。すなわち、ドライブライン感知要素は、ドライブラインセンサ窓としても機能し得る。
【0054】
文脈上許容される場合、単数または複数の用語は、それぞれ、複数または単数の用語も含み得る。本明細書で使用される場合、「Aおよび/またはB」の場合の「および/または」という語句は、Aのみ、Bのみ、ならびにAおよびBを指す。さらに、「を含む」という用語は、全体を通して、任意のより多数の同じ特徴および/または追加のタイプの他の特徴が排除されないように、少なくとも列挙された(1つまたは複数の)特徴を含むことを意味するために使用される。さらに、本明細書で特定される任意の範囲は、明示的に述べられているか否かにかかわらず、範囲を定義する数を含むことを意図している。同じことは近似範囲にも適用される。また、特定の態様が例示目的で本明細書に記載されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることも理解されよう。さらに、本技術のいくつかの態様と関連付けられる利点がそれらの態様の文脈で説明されているが、他の態様もそのような利点を呈する場合があり、すべての態様が本技術の範囲内に入るためにそのような利点を必ずしも呈する必要はない。したがって、本開示および関連技術は、本明細書に明示的に図示または記載されていない他の態様を包含し得る。
【0055】
以上から、本発明の特定の態様が例示目的で本明細書に記載されているが、本技術の範囲から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0056】
ドライブライン204A~204I内に1つまたは複数のドライブライン圧力センサ装置(216A~216B)を配置することによって、ドライブライン204A~204Iの遠位端210の外部および近位の環境302の圧力が、動作中に確認され得る。これにより、IABPアセンブリの鎖骨下植込みと関連付けられる問題が解決される。特に、これは、腋窩植込みを使用して植え込まれたIABPにおける膨張タイミングと関連付けられる時間遅延を最小限にし、膨張タイミングの精度を高める。
【符号の説明】
【0057】
104 大動脈弓血管系
106 心臓
108 大動脈弓
110 下行大動脈
112 腋窩/鎖骨下動脈
114 腎動脈
116 総腸骨動脈
118 IABP
119 圧力感知要素
120 ドライブライン
121 領域
122 シース
123 圧力信号線
123A 拡張可能部材感知要素の第1の部分
123B 拡張可能部材感知要素の第2の部分
124 中央ルーメン
125 放射線不透過性マーカ
126 作動流体接続部
127 領域
200 IABPアセンブリ
202A 拡張可能部材
202B 拡張可能部材
202C 拡張可能部材
202D 拡張可能部材
204A ドライブライン
204B ドライブライン
204C ドライブライン
204D ドライブライン
204E ドライブライン
204F ドライブライン
204G ドライブライン
204H ドライブライン
204I ドライブライン
206 遠位端
208 近位端
210 遠位端
212 近位端
213A 凹部
213B 凹部
214 ドライブライン壁
215 作動流体ルーメン
216A 第1のドライブライン圧力センサ装置
216B 第2のドライブライン圧力センサ装置
217A 領域
217B 領域
218A 第1のドライブライン感知要素
218B 第2のドライブライン感知要素
220A 第1のドライブラインセンサキャビティ
220B 第2のドライブラインセンサキャビティ
222A 第1のドライブラインセンサ窓
222B 第2のドライブラインセンサ窓
226A 第1のドライブライン圧力信号線
226B 第2のドライブライン圧力信号線
228 ワイヤールーメン
302 環境
400 IABPアセンブリ
500 IABPアセンブリ
600 IABPアセンブリ
700 IABPアセンブリ
800 IABPアセンブリ
900 IABPアセンブリ
1002 拡張可能部材圧力センサ装置
1000 IABPアセンブリ
1100 IABPアセンブリ
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
【外国語明細書】