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特開2024-41063歯列矯正器具、アタッチメント、器具およびアタッチメントを含むシステム、ならびに歯列矯正器具およびアタッチメント製造のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041063
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】歯列矯正器具、アタッチメント、器具およびアタッチメントを含むシステム、ならびに歯列矯正器具およびアタッチメント製造のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/08 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A61C7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023147583
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】29/866,462
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/048,666
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523348955
【氏名又は名称】オルムコ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン・イフェン・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・グランデ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善された歯列矯正器具、アタッチメント、システム、および方法を提供すること。
【解決手段】歯列矯正アライナーが、歯キャビティを画定するシェルを含む。歯キャビティは、患者の歯を受容するように構成され、開口を画定する縁を有する。一体式フック22が、歯キャビティに隣接するシェル12の壁部分から外向きに延在し、縁から咬合方向に離間している。一体式フックは、内部スペースを画定する側壁を有し、窓を含む。内部スペースは歯キャビティへと開いている。窓は、内部スペースがアクセス可能であるように、側壁を通って延在する。窓は、弾性バンドの挿入を妨げるようなサイズとすることができる。歯列矯正治療のためのシステムがアタッチメントを含む。一体式フックは、アタッチメントを受容するように構成されている。歯列矯正アライナーを製造する方法が、フックモールドを含むモールドを準備するステップを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の歯の歯列矯正治療のための歯列矯正アライナーであって、
前記患者の歯の少なくとも1つを受容するように構成された少なくとも1つの歯キャビティと、前記少なくとも1つの歯キャビティが前記患者の歯の前記少なくとも1つを受容する開口を画定する縁と、を画定するシェル
を含み、
前記シェルは壁部分を有し、一体式フックが、前記少なくとも1つの歯キャビティに隣接する前記壁部分の1つから外向きに延在し、前記縁から咬合方向に離間しており、
前記一体式フックは、内部スペースおよび窓を画定する側壁を有し、前記内部スペースは前記少なくとも1つの歯キャビティへと開いており、前記窓は、前記内部スペースが前記窓を通してアクセス可能であるように、前記側壁を通って延在する、
歯列矯正アライナー。
【請求項2】
前記一体式フックの前記側壁は、近心壁、遠位壁、咬合向き壁、および歯肉向き壁を含み、前記窓は少なくとも任意の2つの壁に沿って延在する、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項3】
前記一体式フックの前記側壁は、近心壁、遠位壁、咬合向き壁、および歯肉向き壁を含み、前記窓は任意の3つの壁に沿って延在する、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項4】
前記窓は、前記歯列矯正アライナーが前記患者の歯に配置されているとき、咬合方向、歯肉方向、近心方向、または遠位方向の1つに開いている、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項5】
前記窓はくさび形である、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項6】
前記窓の少なくとも一部が、弾性バンドの挿入を妨げるようなサイズである、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項7】
前記窓は、前記一体式フックの前記側壁の外表面および内表面を横切る貫通壁を含み、前記貫通壁は対向部分を有し、前記対向部分は前記窓の開口で第1の幅を画定するとともに前記貫通壁の前記対向部分の端部の近くで第2の幅を画定し、前記第1の幅は前記第2の幅より大きい、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項8】
前記第1の幅は弾性バンドの直径より大きく、そのため前記開口は前記弾性バンドを受容するように構成されている、請求項7に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項9】
前記第2の幅は前記弾性バンドの前記直径未満であり、そのため前記第2の幅で前記弾性バンドと前記窓との間に締まり嵌めがある、請求項8に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項10】
前記側壁は略ドーム様構成を有する、請求項1に記載の歯列矯正アライナー。
【請求項11】
請求項1に記載の歯列矯正アライナーと、
前記患者の歯に固定されるように構成されたアタッチメントと、
を含み、
前記一体式フックは、前記歯列矯正アライナーが前記患者の歯の前記少なくとも1つに置かれると、前記アタッチメントを受容するように構成され、前記アタッチメントは前記窓を通してアクセス可能である、
歯列矯正治療のためのシステム。
【請求項12】
前記アタッチメントは前記一体式フックの前記内部スペースを満たさない、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アタッチメントは前記一体式フックの前記内部スペースの75%以下を満たす、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記アタッチメントは前記一体式フックの前記内部スペースの35%より多くを満たす、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記アタッチメントは、前記アタッチメントと前記一体式フックの前記側壁との間の前記内部スペースの満たされていない部分が前記窓を通してアクセス可能であるように、前記一体式フックの前記内部スペースを満たさない、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記窓は、前記側壁の外表面および内表面を横切る貫通壁を含み、前記貫通壁は対向部分を有し、前記対向部分は前記窓の開口で第1の幅を画定するとともに前記貫通壁の前記対向部分の端部の近くで第2の幅を画定し、前記第1の幅は前記第2の幅より大きい、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記窓は、前記側壁の外表面および内表面を横切る貫通壁を含み、前記貫通壁は対向部分を有し、前記対向部分は前記窓の開口で第1の幅を画定するとともに前記貫通壁の前記対向部分の端部の近くで第2の幅を画定し、前記第1の幅は前記第2の幅未満である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記歯列矯正アライナーが前記患者の歯に置かれているとき、前記開口から前記貫通壁の前記対向部分の前記端部までの前記窓の深さが、前記開口から前記アタッチメントの表面まで測定される距離より大きい、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、弾性バンドをさらに含み、
前記弾性バンドは、前記アタッチメントに接触するように前記窓へ挿入可能であり、挿入後、前記弾性バンドは前記一体式フックによって前記窓内における定位置に保持される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記弾性バンドが前記アタッチメントと接触しているとき、前記弾性バンドおよび/または前記一体式フックは弾性変形している、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記弾性バンドが前記アタッチメントと接触しているとき、前記一体式フックは前記弾性バンドを把持する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記患者の歯の1つまたは複数の構成における1つまたは複数の突起と、前記1つまたは複数の突起から外向きに延在するフックモールドと、を含むモールドを準備するステップと、
前記フックモールドを含む前記モールドの上でワークピースを変形させて、事前形成フックを含む前記ワークピースの変形領域を作成するステップと、
前記事前形成フックの一部を除去して前記窓を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載の歯列矯正アライナーを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年9月13日に出願された米国出願第29/866,462号に対する優先権を主張するものであり、その開示を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は概して歯列矯正治療の分野に、そしてより具体的には、歯列矯正器具、歯のためのアタッチメント、歯列矯正器具と係合可能なアタッチメント、ならびに歯列矯正器具およびアタッチメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歯科矯正は、上および下のデンタルアーチの歯の間の不正咬合を修正するように歯を操作する実務である。通常、不正咬合の治療は、歯に修正力を加える歯列矯正器具の使用を含む。時間をかけて、これらの修正力により、歯はその歯科矯正学的に正しい位置へ移動することを強いられる。
【0004】
修正力を加える1つの方法は、「デンタルアライナー」、または単に「アライナー」と呼ばれる歯列矯正器具を用いるものである。アライナーは一般に、患者の歯をその最初の方位からその歯科矯正学的に正しい方位まで徐々に再配置する一連の除去可能な器具として供給される。アライナーで治療されている患者は随意にアライナーを挿入および除去することができ、したがって歯列矯正ブラケットでしばしば必要であるようなアーチワイヤ変更のために歯列矯正医を訪れる必要がない。むしろ、現在装着しているアライナーによりそのアライナーについての最終方位またはその近くにまで歯が移動したとき、患者は治療計画に従ってその一連の次のアライナーを使用し始めるのみである。
【0005】
アライナーを製造するため、歯列矯正医はまず患者の歯列のコンピュータモデルを取得する。このモデルは、たとえば、歯列の印象を取ってその印象をコンピュータへスキャンすることによって生成することができる。コンピュータモデルが取得されたら、歯列矯正医は、修正された歯列を提供する歯の目標方位を決定することができる。各モデルが初期方位から目標方位まで歯列の逐次的方位に対応する、複数のコンピュータモデルを次いで生成することができる。初期方位から目標方位までのこの逐次的方位により、提案された治療計画に従って患者の歯を移動させることができる。治療計画は通常、歯の初期方位から目標方位まで多数の段階の移動を含む。歯の移動の程度に応じて、治療計画は、治療計画に従って初期方位から最終方位までの所定の順序で装着される一連の個別のアライナーを含むことができる。
【0006】
アライナーは、「アタッチメント」と呼ばれるデンタルアタッチメントと併せて使用されるように構成することができる。アタッチメントは患者の歯の1つまたは複数に接合させる固形物である。アタッチメントは歯に接着固定され、歯から外向きに突出する。アライナーはこのときアタッチメントおよび歯の両方にフィットするように製造される。特定の歯の移動のため、アタッチメントは、歯に加えられる力を増加させることができるように、またはアライナー単独の使用に対して異なる方向において、アライナーにより多くの効力を与える。多くの他の利益の中でも、臨床医は歯の移動をより良好に制御および予測することが可能である。究極的には、この構成により治療時間を減少させることができる。アライナー治療と併せて使用されると、アタッチメントにより、アタッチメントなしのアライナー治療に対してより積極的な治療計画およびより顕著かつ明白な歯科的不正咬合の修正が可能になり得る。
【0007】
他の歯列矯正器具をアライナーと併せて使用することができる。たとえば、弾性バンドを一端でアライナーに結合し、他端で反対側の顎にある別のアライナーに固定することができる。伸びると、弾性バンドは1つまたは複数の歯に追加の力を加える。弾性バンドの助けがあるアライナーは、アンダーバイトおよびオーバーバイトを修正するのに有用であり得る。弾性バンドのアライナーへの取り付けは通常、アライナーの歯肉縁を変化させて取り付け点を作成することによって達成される。たとえば、歯肉縁を2つの場所で切断することができ、弾性部材を次いで切り口のそれぞれを通して輪にする。これをフック切り抜きと呼ぶことができる。弾性バンドがアライナーと歯/歯肉との間にフィットするように、切り口間のアライナーの中間部分が外向きに曲げられる。この場所に弾性部材を取り付けることにより問題が生じる可能性がある。
【0008】
まず、弾性バンドによってデンタルアライナーに加えられる修正力の増加により、取り付け点の場所で、特に切断場所で応力が加えられる。これらの点での剪断力は、応力が集中する切り口でアライナーを引き裂く傾向がある。引き裂きがなくても、これらの場所での高応力により、材料が変形する、あるいは早く劣化する可能性がある。過度の屈曲、破れ、および/または引き裂きによって劣化があり得る。劣化により、アライナーが効果的に患者を治療することが妨げられることがあり、アライナーを交換することが要求されることもある。いずれにせよ、劣化により治療時間が延びる。
【0009】
第二に、アライナーを切断することにより、歯肉縁またはその近くで欠陥がもたらされ、したがってアライナーの構造的な完全性が減少し、弾性バンドがないときの歯の移動についてアライナーの有効性を下げる可能性がある。ここでも、これにより治療時間が延びることがある。
【0010】
フック切り抜きの使用も問題である。新たな患者は、鏡を見ていても、切り口のそれぞれを見つけるのが困難であると感じる。フック切り抜きは顕著な触覚の特徴を生まないため、患者が感触によってフック切り抜きを見つけることは困難である。また、フック切り抜きを見つけた後でも、患者は縁を伸ばしながら弾性バンドを挿入しなくてはならない。これは普通いくらかの練習を要し、したがって患者にとっては不快な可能性があり、コンプライアンスに関する問題が生じる可能性がある。
【0011】
フック切り抜きに加えて、ボタン切り抜きを介してアライナーと併せて弾性バンドを利用することができる。ボタン切り抜きは本質的にアライナーの側面における穴である。金属またはプラスチックの物体であるボタンが患者の歯に接合される。切り抜きはボタンの上にフィットする。このように、ボタンは、患者または臨床医が弾性バンドを取り付けるためにアクセス可能である。ボタンが歯の表面に接合されるため、普通別の物体との偶然の接触のため、接合不良の確率がある。接合不良には、ボタンが再接合される緊急の予約が要求される。この理由のため、治療が中断することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
全体的に商業的に成功しているが、改善された歯列矯正器具、アタッチメント、システム、および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、これまで歯列矯正治療における使用について知られている歯列矯正アライナーおよびアタッチメントを含む歯列矯正システムにおける短所および欠点を克服する。いくつかの実施形態に関連して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、本発明の精神および範囲内に含まれ得るようなすべての代替例、修正例および均等物を含む。本発明の原則によれば、患者の歯の歯列矯正治療のための歯列矯正アライナーが、少なくとも1つの歯キャビティを画定するシェルを含む。歯キャビティは、患者の歯の少なくとも1つを受容するように構成され、歯キャビティが患者の歯を受容する開口を画定する縁を有する。シェルは壁部分を有する。一体式フックが、歯キャビティに隣接する壁部分の1つから外向きに延在し、縁から咬合方向に離間している。一体式フックは、内部スペースおよび窓を画定する側壁を有する。内部スペースは歯キャビティへと開いている。窓は、内部スペースが窓を通してアクセス可能であるように、側壁を通って延在する。
【0014】
一実施形態において、一体式フックの側壁は、近心壁、遠位壁、咬合向き壁、および歯肉向き壁を含み、窓は少なくとも任意の2つの壁に沿って延在するか、または任意の3つの壁に沿って延在する。
【0015】
一実施形態において、窓は、歯列矯正アライナーが患者の歯に配置されているとき、咬合方向、歯肉方向、近心方向、または遠位方向の1つに開いている。いくつかの変形において、窓はくさび形である。
【0016】
一実施形態において、窓の少なくとも一部が、弾性バンドの挿入を妨げるようなサイズである。
【0017】
一実施形態において、窓は、一体式フックの側壁の外表面および内表面を横切る貫通壁を含む。貫通壁は、窓の開口で第1の幅を画定する対向部分を有するとともに、貫通壁は、貫通壁の対向部分の端部の近くで第2の幅を画定する対向部分を有する。第1の幅は第2の幅より大きい。いくつかの変形において、第1の幅は弾性バンドの直径より大きく、そのため開口は弾性バンドを受容するように構成されている。いくつかの変形において、第2の幅は弾性バンドの直径未満であり、そのため第2の幅で弾性バンドと窓との間に締まり嵌めがある。
【0018】
一実施形態において、側壁は略ドーム様構成を有する。
【0019】
本発明の一態様において、歯列矯正治療のためのシステムがある。一実施形態において、このシステムは、歯列矯正アライナーの一実施形態と、患者の歯に固定されるように構成されたアタッチメントと、を含む。歯列矯正アライナーの一体式フックは、歯列矯正アライナーが患者の歯の少なくとも1つに置かれると、アタッチメントを受容するように構成されている。アタッチメントは窓を通してアクセス可能である。いくつかの変形において、アタッチメントは一体式フックの内部スペースを満たさない。たとえば、一実施形態において、アタッチメントは一体式フックの内部スペースの75%以下を満たす。さらなる例として、一実施形態において、アタッチメントは一体式フックの内部スペースの35%より多くを満たす。
【0020】
一実施形態において、アタッチメントは、アタッチメントと一体式フックの側壁との間の内部スペースの満たされていない部分が窓を通してアクセス可能であるように、一体式フックの内部スペースを満たさない。
【0021】
一実施形態において、窓は、側壁の外表面および内表面を横切る貫通壁を含み、貫通壁は対向部分を有し、対向部分は窓の開口で第1の幅を画定するとともに貫通壁の対向部分の端部の近くで第2の幅を画定する。いくつかの変形において、第1の幅は第2の幅より大きい。他の変形において、第1の幅は第2の幅未満である。
【0022】
一実施形態において、歯列矯正アライナーが患者の歯に置かれているとき、開口から貫通壁の対向部分の端部までの窓の深さが、開口からアタッチメントの表面まで測定される距離より大きい。
【0023】
一実施形態において、このシステムは弾性バンドをさらに含む。弾性バンドは、アタッチメントに接触するように窓へ挿入可能である。挿入後、弾性バンドは一体式フックによって窓内における定位置に保持される。いくつかの変形において、弾性バンドがアタッチメントと接触しているとき、弾性バンドおよび/または一体式フックは弾性変形している。
【0024】
一実施形態において、弾性バンドがアタッチメントと接触しているとき、一体式フックは弾性バンドを把持する。
【0025】
本発明の一態様において、歯列矯正アライナーの1つまたは複数の実施形態を製造する方法がある。この方法は、患者の歯の1つまたは複数の構成における1つまたは複数の突起と、1つまたは複数の突起から外向きに延在するフックモールドと、を含むモールドを準備するステップを含む。この方法は、フックモールドを含むモールドの上でワークピースを変形させて、事前形成フックを含むワークピースの変形領域を作成するステップと、事前形成フックの一部を除去して窓を形成するステップと、をさらに含む。
【0026】
本明細書の一部に組み込まれてこれを構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、以下に与えられる詳細な内容とともに、本発明のさまざまな態様を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】アタッチメントを含む対応する顎に対して定位置にあるアライナーを備えた本発明の一実施形態によるシステムの斜視図である。
図2図1に示す顎の歯列矯正治療のために定位置にある図1のアライナーの斜視図である。
図3図2に示すアライナーおよびアタッチメントを含むシステムの斜視図であり、本発明の一実施形態よる一時的なアンカ装置と係合している弾性バンドを示している。
図4図1に示すアライナーの拡大斜視図である。
図5図4に示すアライナーの拡大図である。
図6図5のアライナーにおいて示す一体式フックの拡大図である。
図7A図5の切断線7-7に沿った一体式フックの一実施形態の断面図である。
図7B】本発明の実施形態による一体式フックの代替実施形態の断面図である。
図7C】本発明の実施形態による一体式フックの代替実施形態の断面図である。
図7D】本発明の実施形態による一体式フックの代替実施形態の断面図である。
図8】本発明の一実施形態による図1のアタッチメントの拡大斜視図である。
図9図8のアタッチメントの左上斜視図である。
図10図8のアタッチメントの右下斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による図3の例示的なシステムの拡大斜視図である。
図12】本発明の一実施形態による図11に示す弾性バンドがないときの図11のアタッチメントおよび一体式フック構成の拡大斜視図である。
図13図12のアタッチメントおよび一体式フックの立面図である。
図14】アタッチメントと係合している弾性バンドを示す図11の切断線14-14に沿ったアタッチメントおよび一体式フックの断面図である。
図14A】一体式フックと係合している弾性バンドを示す図11のアタッチメントおよび一体式フックの側立面図である。
図15】歯モールドおよび形成されたワークピースを示す図1のアライナーを製造する1つの方法の斜視図を示す。
図16】本発明の一実施形態によるフックモールドを示す図15の歯モールドの拡大図である。
図17図16のフックモールドの斜視図である。
図18図16のフックモールドの側立面図である。
図19図16のフックモールドの上に形成されたワークシートの概略側立面図である。
図20図19の変形したワークシートに窓を形成した後の一体式フックの側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態は、1つまたは複数の歯列矯正器具を含む歯列矯正治療システムを対象としている。例示的なシステムは、1つまたは複数のデンタルアライナーおよび/またはデンタルアライナーとともに使用するためのアタッチメントを含む。一実施形態において、デンタルアライナーは、患者の歯の表面に隣接する場所に形成されてアライナーの歯肉縁から咬合方向に離間している一体式フックを含む。したがって、一体式フックの1つの利点は、アライナーの歯肉縁のいかなる変更もないため、アライナーが使用中その構造的な長所を維持するということである。この例示的な一体式フックは弾性バンドを受容することができる。例示的な実施形態は、歯に固定されるように構成されているアタッチメントを含むことができる。アタッチメントおよび一体式フックは、歯列矯正治療中、互いに協働するように構成することができる。この協働により、選択された1つまたは複数の歯に対する追加のまたは異なる力を促進することができる。さらに、アタッチメントは一体式フックにおける窓を通して直接外部からアクセス可能とすることができる。一例として、弾性バンドの一部を窓に挿入してアタッチメントおよび一体式フックの一方または両方と直接接触させることができる。弾性バンドの他端は、たとえば、反対側の顎にあるアライナーに接続することができ、したがって所望の治療に応じて前方または後方へ患者の顎を引くためのアーチ間、または上下の構成を促進する。弾性バンドによって生成される力をアタッチメントのみによってまたはアタッチメントおよびアライナーの組み合わせによって伝えることができるため、この構成は有利である。いくつかの変形において、このシステムは、患者の顎に装着されたアライナーの第1の一体式フックから同じアライナー上の第2の一体式フックへ、またはアライナーが装着されている同じ顎における歯に取り付けられたボタンへと延在する弾性バンドを含むことができる。いくつかの変形において、このシステムは、患者の顎に装着されたアライナーの第1の一体式フックから、反対側の顎に装着された第2のアライナー上の第2の一体式フックへ、または反対側の顎における歯に取り付けられたボタンへと延在する弾性バンドを含むことができる。
【0029】
これらおよび他の目的のため、そして図1図2、および図3を参照すると、本発明の例示的な一実施形態において、デンタルアライナー10が、患者の歯の1つまたは複数のクラウンを包むように構成されている中空のシェル12を含む。シェル12は1つまたは複数の層の弾性材料とすることができ、集合的に縁16を画定する複数のキャビティ14が形成されている。各キャビティ14は、患者の歯18の特定の1つを受容するように成形されている。縁16はシェル12における開口20を画定する。図1に示すように、キャビティ14は開口20を通して患者の歯18のそれぞれのものを受容する。
【0030】
描写された、非限定的な例示的な実施形態において、アライナー10はシェル12において一体式フック22を含む。一体式フック22は、アライナー10の歯キャビティ24を形成する外壁28を有し、歯列矯正治療計画に従って歯列矯正治療を促進する。外壁28は一体式フック22の内部スペース52(図7A)を画定することができる。内部スペース52は、アライナー10が装着される顎の歯に接合されたアタッチメント26を受容するようなサイズにすることができる。引き続き図1を参照すると、一体式フック22は、歯30上に示すアタッチメント26を受容することができる。図2および図3に示すようにアライナー10が患者の歯に配置されているとき、アタッチメント26は一体式フック22内において受容することができる。一実施形態において、アライナー10はアタッチメント26と併せて歯列矯正治療のためのシステム32を形成し、弾性バンド34または他の弾性部材とともに利用することができ、その一例を図3に示す。ここに記載するように、弾性バンド34は、一体式フック22の外壁28上に配置された窓50(図7A)を通過して、一体式フック22の内部スペース52内に着座するアタッチメント26に達することができる。図1に示すように、外壁28は、アタッチメント26の上で弾性バンド34を広げるのに役立つドームのようなまたは丸みを帯びた矩形の形状を有することができる。窓50および外壁28のドーム様形状は、患者が弾性バンド34をアタッチメント26上へ着座させるのを支援する。いくつかの構成において、一体式フック22は、患者に一体式フック22を見るように要求することなく患者が弾性バンド34をアタッチメント26上へ着座させるのに役立つことができる。
【0031】
図2および図3を参照すると、歯列矯正治療中、デンタルアライナー10は患者の歯18の上に選択的に配置可能である。一体式フック22はアタッチメント26を受容する。少なくとも部分的にキャビティ14の1つまたは複数の位置の対応する歯の位置に対するわずかな相違のため、シェル12は歯18の上に密接にフィットすることができる。この位置ずれは、患者のために開発された治療計画に従って意図的にすることができる。これらの位置ずれの結果として、アライナー10は患者の歯18の上に配置されながら弾性変形することができる。この弾性変形はシェル12における測定可能な量の体積歪みまたは局地的歪みとして観察可能であり得る。シェル12が歪みのない条件または歪みの減少した構成に戻ろうと試みると、シェル12の歪みにより歯に対する圧力が生じる。アライナー10との強制的な接触により、患者の治療計画による所定の位置に向かって患者の歯を移動させることができる。この点において、一体式フック22はアタッチメントとずらすことができ、したがってフック22は歯30の意図された移動に応じて強制的にアタッチメント26に係合することができる。
【0032】
図3に示すように、システム32は弾性バンド34をさらに含むことができ、弾性バンド34はこの例示的な実施形態において、一体式フック22および一時的アンカーデバイス(TAD)36と係合して示されている。この例において、TAD36は、弾性バンド34が接続される固定アンカーポイントを提供する。図示しないが、弾性バンド34は、一方または両方の顎を所定の方向に移動させるように設計されている上から下の構成において患者の反対側の顎に取り付けることができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、一組のアライナー(図示せず)が1つまたは複数のデンタルアライナー10を含むことができる。歯列矯正治療中、一組のアライナーのそれぞれは、それぞれが歯のわずかに異なる移動を提供するようにわずかに異なり得る。各アライナー10が、対応するアタッチメント26と協働する一体式フック22の1つまたは複数を含むことができる。1つまたは複数の一体式フック22およびアタッチメント26の場所はアライナー10ごとに変えることができる。換言すれば、一組のアライナーは一組のアタッチメントに対応することができ、アタッチメントの数および場所は一組のアライナーの個別のものにおいて変化する。治療中、アタッチメントを1つの歯から除去し、新たなアタッチメントを他の歯に追加することができる。個別のデンタルアライナーを所定の順序で利用して歯列矯正治療を完了する。したがって、一組のアライナーにおける各アライナー10が1つまたは複数の歯を規定された量だけ移動させることができる。累積的に、これらの個別の量の結果、患者の不正咬合を完全に治療することができる。
【0034】
図4および図5を参照すると、患者の歯に適合するため、シェル12は、患者の歯の露出した表面に適合するように構成されている壁部分を有する。例として、壁部分は、咬合部分40、唇向き部分42、および舌向き部分44によって画定することができる。これらの部分40、42、44はキャビティ24に対して示されている。縁16はシェル12の歯肉部分を画定する。各キャビティ14の部分40、42、および44は、患者の歯のそれぞれの1つの対応する部分に全体的に適合しており、縁16は特定の歯18についての歯肉マージンに対応している。シェル12は、最後尾の臼歯を受容するキャビティを取り囲む遠位部分46も含むことができる。
【0035】
図4および図5に示すように、一体式フック22はシェル12の唇向き部分42に形成することができる。明確さのため、一体式フック22は、描写された、非限定的な例示的な実施形態の文脈内で説明し、これは、一体式フック22の咬合向き表面へと開く窓50を有する鉛直に配向された一体式フック22を有する。しかしながら、本開示の一体式フック22は描写された構成に制限される必要はなく、他の方法で構成することができる。たとえば、一体式フック22は、一体式フック22が延在する側壁に直交する軸を中心に回転させることができる。加えて、または代わりに、窓50はその同じ軸を中心に一体式フック22に対して回転させることができる。さらに、窓50は、描写されるように集束するくさび形を有する必要がなく、まっすぐな形状または広がるくさび形を有することができる(たとえば、図7A図7D参照)。
【0036】
この例示的な一体式フック22はシェル12の唇向き部分42に対して唇方向に(外向きに)延在する。これによりアタッチメント26がないときシェル12と対応する歯の表面との間にキャビティまたは空きスペースが生じる。このキャビティまたは空きスペースは本明細書で「内部スペース52」と呼び、図7A図7Dに示し、以下で説明する。ここに記載するように、一体式フック22は、シェル12の厚さを通して延在する窓50を含む。一例として、図3に示すように、窓50は弾性バンド34を受容することができる。窓50は、ハーブストスタイルの器具においてしばしば利用される伸縮アームまたは固定長アームのような他の歯列矯正デバイスを受容することができることが理解されるであろう。いくつかの変形において、システム32は複数の一体式フック22を含むことができ、これらのフック22のそれぞれは、部分42、44、および46の任意の単一のものまたは組み合わせで形成することができ、本発明の実施形態は、図示するような唇向き部分42上の単一の一体式フック22に限定されない。たとえば、一体式フック22はシェル12の舌向き部分44に形成され、したがって舌方向に、舌向き部分44から離れて外向きに延在することができる。
【0037】
図5図6図7A図7B図7C、および図7Dに示すように、一体式フック22は、シェル12と一体であり、シェル12の唇向き部分42に対してドーム様構成を画定する外壁28を有する。外壁28は内部スペース52を画定する(図7A図7Dのそれぞれにおいて符号を付している)。この例示的な実施形態において、内部スペース52は対応する歯18に対して唇方向に配置され(たとえば、図3参照)、外壁28に配置された窓50を通して内部スペース52にアクセスすることができる。このように、シェル12のキャビティ24は歯30を受容し、一体式フック22の内部スペース52はアタッチメント26を受容する。アタッチメント26がなければ、内部スペース52は歯30に隣接する空のスペース(すなわち、空のドーム)であろう。通常、一体式フック22はシェル12の唇向き部分42から突出する。歯列矯正治療を推進するのに十分な任意の構成を有するが、この例示的な実施形態は、唇向き壁54、近心壁56、遠位壁58、咬合向き壁60、および歯肉向き壁62によって画定されている。これらの壁54、56、58、60、および62は、シェル12と一体であり、内部スペース52を画定する。唇、近心、遠位、咬合、および歯肉という用語が図面の説明において使用されるが、これらは一方向を他から区別するために参照されるのみであり、限定的ではない。たとえば、アライナーの舌側にある一体式フックは同様の説明を有するが、唇向き壁よりむしろ舌向き壁を含むことができる。さらに、唇向き壁、近心壁、遠位壁、咬合向き壁、および歯肉向き壁のいずれにおける「壁」という用語も、平坦な表面、すなわち、特定の方向に向いてまたは面している平面に限定されない。たとえば、任意の単一のものまたはすべての壁をカーブさせる(すなわち、平坦な領域を有さない)こと、および/または多面的とする(すなわち、多くの平面を有する)ことができる。また、一体式フック22は全体的にシェル12の部分42に対して直角に位置を合わせて配向されて示されているが、一体式フック22を他の配向に回転させて、壁または壁の部分を特定された方向に配向させることができる。具体的な一例として、窓が近心咬合方向または遠位咬合方向に開くように、一体式フックを示されたものから45°回転させることができる。これらの配向であれば、壁またはその一部が、唇(または舌)、近心、遠位、咬合、および歯肉方向に面するであろう。
【0038】
図示する例示的な実施形態において、窓50は、一体式フック22の外表面70および内表面78に交差または接続する、厚さを通る表面または壁64によって画定されている。図7Aに示す例において、壁64の対向する貫通壁部分64a、64bは、貫通壁64の対向する舌側部分64aと唇側部分64bとの間の最大距離が咬合向き壁60にある口形構成をたどる。口形構成は唇向き部分42に対して凹状である。この最大距離は咬合向き壁60で窓50についての開口68の幅を画定する。一体式フック22の周囲で、貫通壁64は近心壁56から遠位壁58まで咬合向き壁60にわたって延在する。本質的に、貫通壁64は一体式フック22の4つの側の3つにある。貫通壁64は近心壁56および遠位壁58のそれぞれの周りを歯肉向き壁62に向かって最も歯肉側の端部66まで延在する。対向する舌側貫通壁部分64aおよび唇側貫通壁部分64b間の距離は、それぞれ、各壁56、58に沿って貫通壁64の端部66のそれぞれに向かって次第に減少する。この例において、近心壁56および遠位壁58の一方または両方に端部66がある。端部66は、窓50が近心壁56に沿ってそして遠位壁58に沿って延在する最も遠い距離を表す。各端部66で、舌側壁部分64aおよび唇側壁部分64bは接触または合流する。各壁56、58上の端部66は対称的に配置されているように見えるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。部分64a、64b間の距離が次第に狭くなっていることにより、くさび形が生じる。図示のように、貫通壁64の対向部分64a、64bは非平坦であってもよく、この例において、弓形を有する。
【0039】
貫通壁64は窓50の寸法を画定する。たとえば、窓50の深さD1は、対向部分64a、64bが合流する場所にある壁64の端部66によって決定される。深さD1は開口68での平面から端部66での平面までの垂直な距離である。図7Aにおいて、これらの平面はこれらの場所のそれぞれでページに対して垂直である。窓50の深さD1は、以下で説明する、アタッチメント26の寸法に依存し得る。図7Aにおける窓50の深さD1は、一体式フック22の全体的な唇側と舌側との間の突出P1の唇向き部分42でのベースポイントの辺りで一体式フック22の全体的な咬合側と歯肉側との間の高さH1のおよそ半分である。
【0040】
この例示的な構成において、開口68は咬合向き壁60で最も広くすることができ、したがって窓50は咬合方向に開いている。さらに、対向部分64a、64b間の距離により、開口68での咬合向き壁60での幅W1が決まる。対向部分64a、64b間の距離は、端部66またはその近く(たとえば、2mmから3.5mm以内)で幅W2に減少する。いくつかの構成において、幅W1は幅W2より大きくすることができる。このように、窓50は歯肉方向において狭くなる。すなわち、窓50は開口68から離れる方向において狭くすることができる。描写された実施形態において、幅W1の幅W2に対する比率は約2:1である。いくつかの構成において、W1:W2の比率は0.5:1、1:1、4:1、または任意の前述の値間の値を有する比率とすることができる。幅W1および幅W2の寸法は、図14および図14Aを参照して説明するように、弾性バンド34の寸法に依存し得る。図示しないが、窓50は任意の2つまたは3つの壁54、56、58、60、および62にわたって延在することができ、したがって弾性バンド34を受容するために、近心、遠位、または歯肉方向の任意の単一の方向に開くことができる。
【0041】
代替または追加の非限定的な実施形態が、図7B図7C、および図7Dにおいて描写され、同様の参照番号が図面全体を通して同様の特徴を指す。図7Bに示す例において、壁64の対向する貫通壁部分64a、64bは口形構成をたどり、貫通壁64の対向する舌側部分64aおよび唇側部分64b間の最大距離が咬合向き壁60にある。口形構成は唇向き部分42に対して凸状であり、したがって図7Aに示すものの略反対配向である。図7Cに示す例において、対向する貫通壁部分64a、64bは、対向する舌側部分64aおよび唇側部分64bが略平行であり、端部66が平行な対向部分64aおよび64bに垂直である、矩形構成をたどる。対向する舌側部分64aと唇側部分64bとの間の幅は開口68から端部66まで一定であり、W1がW2に等しい。図7Dに示す例において、対向する貫通壁部分64a、64bは、対向する舌側部分64aおよび唇側部分64bが平行でなく、端部66が対向部分64aおよび64bに垂直でない、不規則な多角形構成をたどる。対向する舌側部分64aと唇側部分64bとの間の幅は開口68から端部66まで増加し、W1がW2未満である。
【0042】
図8図9、および図10に示す例示的な一実施形態を参照すると、アタッチメント26はアタッチメント26の舌側72で患者の歯30の唇向き表面上に取り付けるまたは形成することができる。図示しないが、歯30への取り付けは、歯の表面に対してアタッチメント26を形成する間に達成することができる。この点において、そして図に示さないが、アタッチメント26は、患者が臨床医の診察室にいる間に、図1および図8における歯30のような、患者の歯に形成および配置することができる。この二重の目的のためにテンプレートアライナー(TA)を利用することができる。TAはアライナー10と同様であるが、普通、より柔軟であり、アタッチメント26が歯30に接合されるべき場所でキャビティを含む。キャビティはアタッチメント26のネガティブレプリカであり、すなわち、キャビティは患者の歯での所望の方位におけるアタッチメント26の大きさおよび形状である。臨床医はキャビティを組成物で満たし、次いでTAを患者の歯に置くことができる。このように、アタッチメント26は正しい場所で患者の歯30に形成するかつ取り付けることができる。組成物が固定または硬化したら、TAを患者の歯からはがし、正しい場所で接合されたアタッチメント26を残す。TAは、以下で説明するアライナー10と同様の方法で作製または印刷することができる。
【0043】
あるいは、別に形成されたアタッチメント26を、舌側72と歯30の表面との間の層において、たとえば、Transbond XT(3Mから入手可能)、Transbond PLUS(3Mから入手可能)、Go-To Adhesive(Relianceから入手可能)、Grengloo & Blugloo(Ormcoから入手可能)で、患者の歯に接着取り付けすることができる。概して図2および図3を参照して示すように、患者が自分の顎にアライナー10を置くと、一体式フック22はアタッチメント26を受容する。
【0044】
一体式フック22のように、アタッチメント26が、図8図9、および図10の非限定的な例示的な実施形態について示すものとは異なって配向され得ることが認識される。それにもかかわらず、明確さのため、アタッチメント26の特徴を、図8図9、および図10を参照して次に説明するが、アタッチメント26は、近心側74、遠位側76、咬合側80、および歯肉側82を有する。側74、76、80、および82は外側を向き、それぞれ、一体式フック22の壁56、58、60、62の1つまたは複数と協働することができる。治療中、アタッチメント26の側74、76、80、および82と一体式フック22の壁56、58、60、および62との間の協働により、治療計画に従って、歯30および1つまたは複数の周囲の歯18に対する歯列矯正治療力を生むことができる。図9および図10に示すように、側74、76、80、および82はかぎつめのようなまたはフックのような形状を生み、咬合側80は凹状の弓形を有し、歯肉側82は凸状の弓形を有する。側80および82は、丸みを帯びた先端84で、それぞれ、近心側74および遠位側76と交差し、これらは互いに対して略平行またはわずかに交差する角度である。
【0045】
図8に示す例示的な実施形態において、アタッチメント26は、凹側80が咬合方向に面するように配向されている。先端84はしたがって概して唇側咬合側方向に向いている。歯30上のアタッチメント26の形状および配向は、図示する実施形態に限定されない。たとえば、治療に必要とされる力に応じて、アタッチメント26は、凹側80が歯肉方向(図8に示すものから180°)、近心方向、または遠位方向の任意の単一の方向に面するように配向することができる。
【0046】
一体式フック22内のアタッチメント26の(弾性バンド34なしでの)嵌合が、図12図13、および図14に示され、ここで、アタッチメント26は一体式フック22の内部スペース52に受容されている。いくつかの変形において、アタッチメント26は内部スペース52の全部を満たさない。別の方法で言うと、いくつかの構成においてアタッチメント26の体積が内部スペース52の体積未満である。いくつかの実施形態において、アタッチメント26は内部スペース52のすべてまたはほとんどすべてを占める。図14に描写された非限定的な例示的な実施形態を参照すると、アタッチメント26の相対的な充填体積は25%から75%まで、さらなる例として、45%から75%までとすることができる。この目的のため、側74、76、80、および82の1つまたは複数が、一体式フック22の対応する壁56、58、60、および62と直接接触しないことがある。これにより内部スペース52の一部を満たさず残しておく。すなわち、アタッチメント26の1つまたは複数の側74、76、80、および82と一体式フック22の対応する壁56、58、60、および62との間に隙間がある。
【0047】
この体積関係の一例を図13および図14に示す。一実施形態において、アタッチメント26の近心側74および遠位側76は一体式フック22の対応する壁56および58と直接接触することができる。したがって、近心/遠位方向において、アライナー10とアタッチメント26との間の相対移動は、もしあっても、ほとんどない。アタッチメント26の歯肉側82は歯肉向き壁62に適合することができる。アタッチメント26の唇側と舌側との間の突出P2が唇側舌側方向において内部スペース52を満たすことができる。したがって主にアタッチメント26の咬合側80と一体式フック22の咬合向き壁60との間に隙間が存在し得る。
【0048】
引き続き図13および図14を参照すると、窓50が咬合向き壁60にあり、アタッチメント26と一体式フック22との間の内部スペース52の隙間または非充填部分86が内部スペース52の咬合向き部分であるため、非充填部分86は窓50に対して開いている。一実施形態において、この結果、アタッチメント26の咬合側80が窓50において露出する。別の方法で言えば、咬合向き壁60における開口68から近心壁56に沿った端部66までの窓50の深さであるD1(図13)は、咬合向き壁60における開口68からアタッチメント26の咬合側80までの深さD2より大きい。このように、近心壁56の方向に見ると、アタッチメント26は露出した咬合側歯肉側間部分90を有する。露出部分90は端部66に対して咬合方向に、そして開口68に向かって延在する。咬合側80の一部92がしたがって窓50において露出している。
【0049】
一体式フック22およびアタッチメント26ならびに弾性バンド34の間の協働を、図11図14、および図14Aに示す。システム32のこの例示的な実施形態において、アタッチメント26は内部スペース52の全部を満たさず、弾性バンド34は窓50内において受容されて凹側80でアタッチメント26に接触する。この構成は、上述した、一体式フック22の内部スペース52におけるアタッチメント26の相対的嵌合および窓50の寸法によって達成される。
【0050】
図14および図14Aにおいて、弾性バンド34は、窓50に挿入され、アタッチメント26の咬合側80の露出部分92と接触して示されている。この例示的な実施形態において、対向する貫通壁部分64間の窓50の相対寸法および弾性バンド34の直径により、弾性バンド34がアタッチメント26の咬合側80の露出部分92に対して着座する前に、バンド34と一体式フック22との間に締まり嵌めが作成される。代替構成において、窓50の寸法により、弾性バンド34が露出部分92上に着座することが防止されてもよく、または窓50の寸法により、弾性バンド34と露出部分92との間の接触が妨げられなくてもよい。
【0051】
この例示的な実施形態において、弾性バンド34は対向する壁部分64a、64bでの一体式フック22および露出部分92のそれぞれに接触する。相対寸法はしたがって、弾性バンド34の断面寸法より大きい窓50の開口での幅W1を含むことができる。結果として、弾性バンド34の窓50への挿入中、弾性バンド34をしたがって力なしで窓50に挿入することができる。しかしながら、窓50の横方向の寸法(すなわち、対向する貫通壁部分64間)は端部66に向かう方向において幅W2まで狭くなる。弾性バンド34が咬合側80の露出部分92に接触するところの近くのどこかの点において、対向する貫通壁部分64a、64b間の、図14Aにおける幅W3でのような幅寸法は弾性バンド34の伸びていない断面寸法に等しい。弾性バンド34を着座位置に向かってアタッチメント26の咬合側80に対してさらに挿入するには、弾性バンド34と一体式フック22との間の締まり嵌めに打ち勝つ力が要求される。
【0052】
窓50の寸法が、図14AにおけるW3でのような、弾性バンド34の寸法に等しい挿入の点で、バンド34は、矢印96の方向に、すなわち、窓50の開口からまっすぐ離れて伸びることができる。伸び力は一体式フック22と弾性バンド34との間の干渉に打ち勝ち、したがってバンド34はアタッチメント26の露出部分92に対して着座する。弾性バンド34がアタッチメント26の露出部分92に着座しているとき、弾性バンド34は端部66のいずれにも接触しないことがある。理論によって限定されないが、引き伸ばし中、弾性バンド34の断面寸法は、弾性バンド34が対向する貫通壁部分64a、64b間を摺動して露出部分92と接触することが可能になる寸法まで減少させることができる。一旦着座すると、弾性バンド34は力96がないとき変形したまま留まることができる。その位置における弾性バンド34の変形の一例として、弾性バンド34は、円形の断面から、露出部分92に対して一旦着座した図14Aにおける惰円形の断面まで変形して示されている。弾性バンド34と一体式フック22との間に、着座位置におけるこれら2つの間の接触の領域で、局所的な変形があり得る。例として、窓50の幅寸法は、弾性バンド34が強制的にさらに窓50へ押し込まれるにつれて増加し得る。このように、弾性バンド34が着座した後、矢印96の方向における力がバンド34から除去されると、バンド34および/または一体式フック22は部分的に弾性変形したまま留まることができる。これを図14Aに概略的に示す。堅い歯列矯正器具が窓に挿入されれば、一体式フック22の弾性変形は顕著なまたは唯一の変形であり得る。たとえば、金属リング(図示せず)が窓50に挿入されれば、一体式フック22は変形することができ、これは窓50内における位置においてそしてアタッチメント26に対してリングを保持することができる。いずれの場合においても、残っている弾性変形により、窓50からの弾性バンド34/リングの意図的でない除去に抵抗する弾性バンド34/金属リング上の把持力を作成することができる。弾性バンド34では、これが着座位置にあると、バンド34および/または一体式フック22の弾性変形によってこれを定位置に保持することができる。弾性バンド34は矢印96から反対の方向に加えられた力によってのみ除去することができる。しかしながら、代替構成において、弾性バンド34がアタッチメント26上に着座しているとき、弾性バンド34が一体式フック22の外壁28を変形させないように、応力がかかっていない弾性バンド34の断面積より窓50を大きなサイズにすることができる。
【0053】
図3図14、および図14Aを参照すると、弾性バンド34が力を加える治療中、弾性バンド34からの力の大部分をアタッチメント26に、したがって歯30に移すことができる。例として、アタッチメント26上の弾性バンド34の着座位置のため、弾性バンド34からの力の少なくとも70%が歯30に移される。弾性バンド34からの力の少量が一体式フック22に移され得る。特に、弾性バンド34からの力を、一体式フック22の協働する壁56、58、および62の1つまたは複数ならびにアタッチメント26の対応する側74、76、および82の1つまたは複数を介して間接的にアタッチメント26を通して一体式フック22に移すことができる。例として、弾性バンド34からの力の多くとも30%を、アタッチメント26を介して間接的に一体式フック22に移すことができる。有利には、アタッチメント26は、間接的に弾性バンド34からの力がアライナー10を変位させないように一体式フック22を安定させるのに役立つ。すなわち、弾性バンド34から加えられた力の全部がアライナー10のみによって伝えられることなくアタッチメント26を介してアライナー10に力を加えることが可能になる。
【0054】
ここで図15図20を参照すると、本発明の一態様に従って、アライナー10が製造される。その目的のため、臨床医が、複数の別個のキャビティ14上の、任意の単一のキャビティ14に隣接するシェル12において一体式フック22を、または歯列矯正治療計画プロセスの一部を形成するアライナー10の任意の単一のものの単一のキャビティに隣接する複数の一体式フック22を設計することを決めることができる。本明細書に記載するとき、臨床医は、患者ではない人とすることができ、臨床医によって提供されるような歯列矯正治療計画を実装するようにアライナーを設計するように訓練することができる。臨床医はしたがって設計者であってもよく、または代わりに患者の医者または医者に報告する他の人とすることもできる。本明細書での臨床医および/または医者への言及は本発明の実施形態に限定されない。
【0055】
図15図20を参照すると、一例として、臨床医は歯列矯正治療の一部の間にアライナー10の1つまたは複数のキャビティ14について一体式フック22を設計し、次いで歯列矯正治療の別の一部の間に異なるアライナー10の1つまたは複数の異なるキャビティ14に異なる一体式フック22を加えることができる。これらの修正は、治療計画の設計中およびアライナーを製造する前に行われる。さらに、1つのアライナー10に関して1つの一体式フック22を記載および図示しているが(たとえば、図1および図15参照)、任意の単一の歯列矯正治療計画に従って単一のアライナー上にまたは複数のアライナー上に複数の一体式フック22を形成することができる。このように、臨床医は、治療中にアライナーからアライナーへと配向および場所が変化する複数の一体式フック22を有するアライナー10を利用して治療計画を発展させることができる。本発明の実施形態は、図面に示すように、単一の構造を備えた単一のアライナーに限定されない。
【0056】
その目的のため、本発明の一態様によれば、臨床医は歯列矯正治療計画中に1つまたは複数のアライナー上に1つまたは複数の一体式フック22を選択的に配置および構成することができる。以下で説明するように、臨床医は、アライナーを製造してもらう前に仮想一体式フックのモデルを作ることができる。コンピュータモデルを使用して、1つまたは複数の一体式フックを有するアライナーを形成することができるモールドを製造する。コンピュータモデルは患者の最初の歯列に基づいている。例として、歯列矯正医は、適切な印象材料を用いて、患者の歯列の印象を取得することができる。次いで三次元スキャニングデバイスを使用してこの印象をコンピュータへとスキャンして患者の最初の歯列の三次元コンピュータモデルを生成することができる。三次元スキャニングデバイスは、患者の歯列を直接スキャンすることによってコンピュータモデルを取得するために使用することができる。
【0057】
最初の歯列のコンピュータモデルは、目標歯列モデルおよび1つまたは複数の中間の歯列モデルを生成する出発点として歯列矯正医によって使用され得る。目標歯列モデルは歯列矯正治療の終結での患者の歯の所望の配置を表すことができる。したがって、歯列矯正治療計画プロセスの間、最初の歯列から1つまたは複数の中間の歯列モデルまでの、そして目標歯列で終わる逐次的なステップを提供する一連のコンピュータモデルが生成される。コンピュータ歯列モデルが生成されたら、付加製造(たとえば、3-D製造技術)、CNCマシニング、これらの組み合わせ、または任意の他の適切な方法を使用して、仮想モデルから1つまたは複数のモールド200を製造することができる。
【0058】
図15を参照して、モールド200が製造されると、それぞれのモールドからアライナーが形成される。モールドの製造に続いて、ワークピース100をモールド200の上で変形させる。図示しないが、モールド200は、患者の歯列の対応するコンピュータモデルに基づいてそれぞれが作製される一連のモールドの1つとすることができ、各モールドが歯列矯正治療中の患者の歯の目標方位をとらえている。モールド200は、モデル歯茎206(すなわち、歯肉)から延在するモデル歯の形態の複数の突起204を支持するとともに歯肉マージン210を画定するベース202を含むことができる。このように、それぞれのモデル歯204が、デンタルアライナー10において対応するキャビティ14を生む方位を有することができ、歯肉マージン210は理想的にはアライナー10の縁16の場所について限定的な境界を提供する。例示的な一実施形態によれば、モールド200は、図15および図16に示す、モデル歯214上のフックモールド212を含む。フックモールド212は歯肉マージン210から咬合方向に離間している。
【0059】
図示しないが、この形成プロセスによりワークピース100が変形し、モデル歯204のそれぞれがアライナー10において対応するキャビティ14を生成する。変形領域102は一体式フック22を含み、モデル歯214上にフックモールド212を含むモールド200の特徴によって確立される。フックモールド212は、ワークピース100の変形中に一体式フック22の少なくとも一部を形成するように構成されている。このように、フック22は、変形すると、そして患者の歯肉マージン210から離れた場所で、ワークピース100に一体化される。換言すれば、一体式フック22は、形成後にシェル12に接着される追加の構造的コンポーネントではない。
【0060】
図16を参照すると、一実施形態において、モールド臼歯214は、キャビティ24の咬合部分40、唇向き部分42、および舌向き部分44(図1に示す)がワークピース100の変形中に適合する咬合表面224、唇向き表面226および舌向き表面228を画定する。図示するように、フックモールド212はモールドされた臼歯214の唇向き表面226から唇方向に突出する。フックモールド212は、唇側230、近心側232、遠位側234、咬合側236、および歯肉側240を有する。側230、232、234、236、および240は全体的に、変形中、一体式フック22の壁54、56、58、60、および62を形成する。すなわち、変形中、シェル12は加熱され、臼歯214の表面上およびその周囲へと変形し、したがって側230、232、234、236、および240の1つまたは複数の部分に適合する。しかしながら、図示する実施形態において、一体式フック22の窓50(たとえば図12に示す)は形成された状態ではない。その点において、事前形成フック242が変形領域102においてモールドフック212の周囲に形成される。図示するように、事前形成フック242(図15)は、ドーム様構成を有する突起であり、キャビティ14を形成するシェル12に対して外向きに突出する。事前形成フック242は窓50を欠く。
【0061】
モールドフック212の例示的な特徴に関して、一体式フック22は、たとえば、図1に示すアタッチメント26を受容するように設計されているが、アタッチメント26およびフックモールド212は一実施形態によれば形状がまたはサイズが同一ではない。図16および図17を参照すると、フックモールド212はモデル歯214の唇向き表面226から外向きに延在する。この例示的な実施形態において、フックモールド212の主要本体部分244が全体的にアタッチメント26の対応する側と同様に成形されている。たとえば、主要本体部分244の側232、234、240、および230は全体的に、図9および図10に示すアタッチメント26の側74、76、82、および84の位置および方位を再現する。したがって、ワークピース100の形成中、側232により変形領域102において一体式フック22の壁56が位置決めされる。同様に、側234により一体式フック22の壁58が位置決めされ、側240により変形領域102において側62が位置決めされる。一体式フック22の残り、すなわち、咬合向き壁60はフックモールド212の咬合側236によって形成される。
【0062】
図17および図18を参照すると、モールドフィン部分246が主要本体部分244から離れて延在する。この例示的な実施形態において、モールドフィン部分246は咬合方向に延在する。その点において、モールドフィン部分246はフックモールド212の咬合側236を画定する。モールドフィン部分246は主要本体部分244より狭く、全体的に主要本体部分244に対して中心に置かれており、フックモールド212が、唇側舌側方向に沿ってモールドフィン部分246を分割する平面に沿って対称であるようになっている。例として、モールドフィン部分246は主要本体部分244の全幅の5%と25%との間とすることができる。面取り部250がモールドフィン部分246から側232まで延在する。図示しないが、同様の面取り部がモールドフィン部分246と遠位側234との間に延在する。面取り部250は弓形でわずかに傾斜しており、したがって近心咬合および遠位咬合方向に外向きにすることができる。面取り部250により、形成後にフックモールド212から変形領域を取り出すことが容易になる。いくつかの変形において、面取り部250は、たとえば、窓50を形成するためにワークピースが切断されるべきところを示すためのワークピースにおける標示標識を形成することができる。いくつかの構成において、モールドフィン部分246はU形状の浮彫領域または突起254を含む。
【0063】
ワークピース100の変形中、モールドフィン部分246は一体式フック22の咬合向き壁60を形成し、浮彫領域または突起254は切断パターン256(架空線で示す)を形成する。特に、モールドフィン部分246は、アタッチメント26がフック22に挿入されているときアタッチメント26と一体式フック22との間に画定される非充填部分86の全体または一部を形成する。有利には、変形中、モールドフィン部分246は一体式フック22の咬合向き壁60上での欠陥形成を制御する。たとえば、モールドフィン部分246は唇向き部分42と咬合向き壁60との間の変形領域102の移行部でのウェブ形成を低減または排除する。この理由のため、咬合向き壁60および突起/浮彫領域254の場所は、サイズ、形状、および方位に関してより一貫している。
【0064】
図15に示すようにモールド200から変形領域102を除去する間、フックモールド212は事前形成フック242から除去される。フックモールド212は除去中、モールド200から離脱することができる。事前形成フック242はフックモールド212上でのモールディングに続いて図19に示されている。図示するように、形成後、事前形成フック242は窓を欠く。したがって、モールド除去に続いて、窓50は切断パターン256に沿って事前形成フック242から切断される。一実施形態において、窓50は、突起/浮彫領域254から転写された切断パターン256に従って切断される。例として、窓50は手によってパンチツールで、または機械加工によって切断することができる。
【0065】
さまざまな実施形態の説明によって本発明を例示してきたが、そしてこれらの実施形態をいくらか詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限または何らかの方法で限定することは発明者の意図ではない。したがって、追加の利点および修正が当業者には容易に想起されるであろう。本発明のさまざまな特徴は、ユーザの必要性および好みに応じて、単独でまたは任意の組み合わせにおいて使用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 デンタルアライナー
12 シェル
14 キャビティ
16 縁
18 歯
20 開口
22 一体式フック
24 キャビティ
26 アタッチメント
28 外壁
30 歯
32 システム
34 弾性バンド
36 一時的アンカーデバイス
40 咬合部分
42 唇向き部分
44 舌向き部分
46 遠位部分
50 窓
52 内部スペース
54 唇向き壁
56 近心壁
58 遠位壁
60 咬合向き壁
62 歯肉向き壁
64 貫通壁
64a 舌側部分
64b 唇側部分
66 端部
68 開口
70 外表面
72 舌側
74 近心側
76 遠位側
78 内表面
80 咬合側
82 歯肉側
84 先端
86 非充填部分
90 露出部分
92 露出部分
96 矢印
100 ワークピース
102 変形領域
200 モールド
202 ベース
204 モデル歯
206 モデル歯茎
210 歯肉マージン
212 フックモールド
214 モールド臼歯
224 咬合表面
226 唇向き表面
228 舌向き表面
230 唇側
232 近心側
234 遠位側
236 咬合側
240 歯肉側
242 事前形成フック
244 主要本体部分
246 モールドフィン部分
250 面取り部
254 浮彫領域
256 切断パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図14A
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【外国語明細書】