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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004107
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20240109BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240109BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20240109BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20240109BHJP
【FI】
E06B7/14
E05D15/06 124A
E06B1/70 A
E05F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103585
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 知可
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】小俣 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 理絵
【テーマコード(参考)】
2E011
2E034
2E036
【Fターム(参考)】
2E011MA03
2E034BA02
2E034BE01
2E034EA01
2E036RA08
2E036RB01
2E036RB03
2E036RC02
2E036TA05
(57)【要約】
【課題】下枠に水が溜まることがないように排水開口を形成しながらも好適な内観が得られる建具を提供する。
【解決手段】建具10は、下枠20と、下枠20に設けられた内レール26に案内されて長手方向にスライド可能な内障子15とを有する。内レール26は、室外側見付け壁の立壁26aaを含む室外側レール部材26aと室内側見付け壁である立壁62aを含む第3室内側レール部材62とが係合して構成されている。立壁62aには、室外側レール部材26aとの間に形成される第4上方空洞部55dと連通する第1排水開口70aが形成されている。第1排水開口70aは上方部分に全閉状態の内障子15、または、内障子15が全開状態で当接するストッパ38が配置される。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠と、
前記下枠に設けられたレールに案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な障子と、
を有する建具であって、
前記レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して構成されており、
前記室内側レール部材の前記室内側見付け壁には、前記室外側レール部材との間に形成される空洞部と連通する排水開口が形成されており、
前記排水開口は、少なくともその上方部分に全閉状態の前記障子、または、前記障子が全開状態で当接するストッパが配置される
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記室内側見付け壁には前記障子のシール材が当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記室外側レール部材は前記下枠と一体構成のアルミニウム材であり、
前記室内側レール部材は前記下枠に取り付けられる樹脂材のアタッチメントである
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記レールは、室内側の内レールと室外側の外レールとの2つがあり、
前記障子は、前記内レールに案内される内障子と前記外レールに案内される外障子との2つがあり、
前記外レールにおける前記室外側レール部材は前記下枠と一体構成のアルミニウム材であり、
前記外レールにおける前記室内側レール部材は前記下枠に取り付けられるアタッチメントであり、全閉状態における前記外障子の召合せ部に対向する箇所を境として前記外障子の閉側の箇所が樹脂材で構成され、開側の箇所がアルミニウム材で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記レールは、室内側の内レールと室外側の外レールとの2つがあり、
前記障子は、前記内レールに案内される内障子と前記外レールに案内される外障子との2つがあり、
前記内レールにおける前記室内側レール部材の前記排水開口は、該室内側レール部材の長手方向の両端部と中央部とにのみ設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下枠と、該下枠に設けられたレールに案内されて下枠の長手方向にスライド可能な障子とを有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
引違い窓などの建具では、障子が下枠に設けられたレールによって長手方向に案内されてスライドする。このような建具では下枠に水が溜まることがないようにレールまたは下枠に排水孔を設けていることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-139842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような排水孔は意匠上の観点からはなるべく目立たたないことが望ましく、特に居住スペースである室内側から視認されないような構成となっていることが意匠上で望ましい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、下枠に水が溜まることがないように排水開口を形成しながらも好適な内観が得られる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる建具は、下枠と、前記下枠に設けられたレールに案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な障子と、を有する建具であって、前記レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して構成されており、前記室内側レール部材の前記室内側見付け壁には、前記室外側レール部材との間に形成される空洞部と連通する排水開口が形成されており、前記排水開口は、少なくともその上方部分に全閉状態の前記障子、または、前記障子が全開状態で当接するストッパが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる建具では、下枠に水が溜まることがないように排水開口が形成されている。排水開口は上方部分に全閉状態の障子またはストッパが配置されることから、少なくとも障子が全閉状態では室内側から視認されない。また、排水開口は室内側見付け壁に形成されていることから、障子が開状態であっても人の視点である斜め上方からはほとんど視認されず好適な内観が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態にかかる建具を室内側から見た図である。
図2】建具の横断面図である。
図3】風止板の箇所、および該風止板より左側の箇所における建具下部の縦断面図である。
図4】風止板より右側の箇所における建具下部の縦断面図である。
図5】建具の左下端とその近傍部を室外側から見た斜視図である。
図6】建具の右下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。
図7】建具の中央下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。
図8】下枠および縦枠の分解斜視図である。
図9】下枠を斜め室外側から見た分解斜視図である。
図10】室外側樹脂材のアタッチメントを室外側斜め下方から見た斜視図である。
図11】室外側アルミニウム材のアタッチメントを室外側斜め下方から見た斜視図である。
図12】風止板より左側の箇所における排水経路を説明する模式図である。
図13】風止板より右側の箇所における排水経路を説明する模式図である。
図14】下枠における排水開口の位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる建具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる建具10を室内側から見た図である。図2は、建具10の横断面図である。図3は、風止板42の箇所、および該風止板42より左側の箇所における建具10下部の縦断面図である。図4は、風止板42より右側の箇所における建具10下部の縦断面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る建具10は、建物躯体の開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の内側にスライド可能に配設された左右2枚の外障子14および内障子15とを備える。本実施形態では、障子14,15をスライドさせることにより開口枠12の内側に形成した開口16を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。障子14,15は一方が開口枠12にはめ殺され、他方のみがスライドする片引き窓であってもよい。障子の設置枚数は3枚以上であってもよい。図1図2の障子14,15は全閉状態となっている。図1の矢印は各障子14,15の開方向を示す。
【0012】
開口枠12は、上枠18と、下枠20と、左右の縦枠22,23とを四周枠組みすることで矩形の開口16を形成したものである。各枠18~22は、アルミニウム等を含む金属の押出形材、又は塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材である。本願ではアルミニウム材とは合金材を含むものとする。各枠18~22は、金属枠材の室内側に樹脂枠材を装着した複合構造、例えばアルミ樹脂複合枠でもよい。このうち下枠20はアルミ樹脂複合枠となっているが、これについては後述する。開口枠12は、ねじや釘等の固定具25を用いて建物躯体に固定される(図3参照)。
【0013】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、つまり室内側から室外側に向かう方向又はその逆方向をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠22,23等の場合はその長手方向に直交する左右方向をいい、左右方向に長尺な下枠20等の場合はその長手方向に直交する上下方向をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。また、「左」および「右」については室内側から見た状態、つまり図1図2に示す状態を基準とする。
【0014】
図3に示すように、下枠20は、見込み方向に並んだ外レール24および内レール26を有する。レール24,26は、下枠20の枠内側の見込み面から枠内方向(上方)に突出しており、下枠20の全長に亘って延在している。外レール24は、室外側の外障子14をスライド可能に案内する。内レール26は、内障子15をスライド可能に案内する。
【0015】
上枠18についても、レール24,26と対向するように同様のレールが枠内側の見込み面に設けられている。縦枠22,23は、例えば枠18,20の小口端面を覆うようにこれら枠18,20と連結される(図1及び図2参照)。
【0016】
外障子14は、四周を囲む上框28a、下框28b、戸先框28c及び召合せ框28dと、内側に配置される面材30とを框組みしたものである。面材30は、例えばスペーサを介して一対のガラス板30a,30bを互いに間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスである。
【0017】
各框28a~28dは、金属の押出形材又は樹脂の押出形材の単体で構成されてもよいし、アルミニウム等の金属の押出形材と塩化ビニル樹脂等の樹脂の押出形材とによる複合構造でもよい。
【0018】
図3及び図4に示すように、下框28bは、外レール24を飲み込む開口溝32を下側の見込み面に有し、面材30の下縁部を飲み込む面材配置溝33を上側の見込み面に有する。開口溝32は、下框28bの見込み面から下方に突出し、見込み方向に並んだ一対の垂下片32a,32b間に形成されている。面材配置溝33は、下框28bに形成された一対の突出片の間に形成されている。他の框28a,28c,28dも、それぞれの面材配置溝33が面材30の上縁部又は側縁部を飲み込んでいる。
【0019】
室外側の垂下片32aの下端からは室内側に突出するようにシール材34aが設けられ、室内側の垂下片32bの下端からは室外側に突出するようにシール材34bが設けられている。シール材34a,34bは垂下片32a,32bの下端に形成されたポケットによって保持されている。シール材34aとシール材34bとは対向配置されており、外レール24の上端近傍を挟み込んで室外側と室内側との間で気密および水密作用を奏している。外レール24は室内側と室外側の両方からシール材34a,34bによって当接されておりバランスがよい。シール材34a,34bは、完全防水や完全気密に限らずある程度の気密性および防水性を有するものであってもよい。シール材34a,34bは、例えばモヘア材である。シール材34bは、後述するフック部24adとフック部54bとの係合箇所におけるフック部54bの側面に当接している。
【0020】
外障子14のローラ17は、下框28bで回転可能に支持され、下部が開口溝32に配置されている。ローラ17は外レール24上を転動することにより、外障子14を開口枠12に対して円滑にスライド移動させる。
【0021】
内障子15は、下枠20の内レール26をローラ17が転動することで外障子14に対して引違いにスライド可能である。内障子15は、外障子14と同一又は同様な構造でよい。そこで、内障子15については、上記した外障子14の構成要素と対応する構成要素について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。内障子15の召合せ框28dと外障子14の召合せ框28dとの間はクレセント36(図1参照)によってロック可能であり、これにより障子14,15が閉状態に保持される。
【0022】
本実施の形態では、外障子14は図1図2における最も左寄り位置になるとき戸先框28cが縦枠22に当接して全閉状態となり、内障子15は最も右寄り位置になるとき戸先框28cが縦枠23に当接して全閉状態となる。外レール24の最も右端部分には外障子14が全開状態で召合せ框28dが当接して動作制限をするストッパ38が設けられている。内レール26の最も左端部分には内障子15が全開状態で召合せ框28dが当接して動作制限をするストッパ40が設けられている。
【0023】
下枠20の見込み面の左右略中央部には、風止板42(図7参照)が装着されている。風止板42は、レール24,26間の隙間を塞ぎ、障子14,15の召合せ部、つまり召合せ框28d,28dの相互間の隙間から室内への水や風の進入を防ぎ、室内外間の気密性・水密性を保持するための樹脂部品である。
【0024】
以下、下枠20についてさらに詳細に説明する。
図3図4に示すように、下枠20は室外側下枠44と室内側下枠46とが充填材48を介して連結されることによって構成されている。室外側下枠44と室内側下枠46はそれぞれアルミニウム材である。室外側下枠44と室内側下枠46との対向部には充填材48を保持するポケット47a,47bが形成されている。充填材48は樹脂材の一種であり室外側下枠44と室内側下枠46との間の熱伝達を防止する。
【0025】
室外側下枠44は、上壁44a、下壁44b、室外側壁44cおよび室内側壁44dを有し、これらの4つの壁によって断面積がやや大きい下方空洞部44eが形成されている。上壁44aの室内寄りの箇所は室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜しているが、外レール24の近傍部は水平となっている。
【0026】
上壁44aにおける見込み方向中央よりやや室外側の箇所からは上方に向かって室外側レール部材24aが立設している。室外側レール部材24aは上壁44aと一体のアルミニウム材である。室外側レール部材24aは、外レール24の室外側見付け壁を形成する立壁24aaと、該立壁24aaの上端から室内側に向かってやや突出する屈曲部24abと、該屈曲部24abから上にやや突出するローラ受部24acと、屈曲部24abの先端に設けられたフック部24adとを有する。フック部24adはローラ受部24acに対して室内側に近接し、かつ低い位置にあり、上方に開口する形状となっている。ローラ受部24acの頂部は半円弧形状である。
【0027】
上壁44aの下面側で、室外側レール部材24aの突出箇所の下方に相当する箇所の近傍にはビスホール44fが設けられている。上壁44aの上面側で室外側レール部材24aの突出箇所よりやや室内側の箇所には上方に突出する小さい位置決め片44gが設けられている。室外側下枠44の下部で室内側端部には固定具25で躯体に固定するための固定片44hが設けられている。上壁44aは、室外側レール部材24aとの接続箇所からやや下方に屈曲しながら室外側に延出しており、その室外側端からは上方に向けて網戸レール44iが立設している。
【0028】
室内側下枠46は、見込み板46aと、室内側見付け板46bと、中間部下方板46cとを有する。室内側見付け板46bは、見込み板46aの室内側端部とT字を形成するように交差しており、躯体に面接触している。中間部下方板46cは見込み板46aの略中間から下方に突出しており、先端が躯体の段差面に当接している。見込み板46aの室外側端部の下方にはポケット47bが設けられている。見込み板46aの室外側端部からは上方に向かって室外側レール部材26aが立設している。室外側レール部材26aは立壁26aa、屈曲部26ab、ローラ受部26ac、フック部26adを有しており、これらは上記の室外側レール部材24aにおける立壁24aa、屈曲部24ab、ローラ受部24ac、フック部24adに相当する。ローラ受部24acとローラ受部26acとは同じ高さになっている。見込み板46aの上面側で室外側レール部材26aの突出箇所よりやや室内側の箇所には上方に突出する小さい位置決め片46dが設けられている。位置決め片46dは上記の位置決め片44gと同形状である。
【0029】
室外側下枠44には第1アタッチメント50(図3参照)および第2アタッチメント52(図4参照)が設けられている。第1アタッチメント50と第2アタッチメント52とは上記の風止板42の箇所(換言すれば、全閉状態における外障子14および内障子15の召合せ框28dに対向する箇所)を境として左側が第1アタッチメント50であり、右側が第2アタッチメント52となっている。第1アタッチメント50は樹脂材で構成され、第2アタッチメント52はアルミニウム材で構成されている。アタッチメント50,52および後述する第3アタッチメント60は押出形材であり、長手に沿った全長がほぼ一様の断面を有するように構成してある。
【0030】
図3に示すように、第1アタッチメント50は、見込み板50aと、室内側下方板50bと、室外側下方板50cと、第1室内側レール部材54とを有している。見込み板50aは位置決め片44gのやや上方位置から室外側レール部材26aの室外側面にほぼ当接するように配置されている。見込み板50aと室外側レール部材26aとの間には小さい隙間が確保されていてもよい。見込み板50aは室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜している。室内側下方板50bは、見込み板50aの下面から突出して先端が上壁44aの上面に当接している。室内側下方板50bの先端は室内側に向けた突出部を有しており、ポケット47aに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。室外側下方板50cは、見込み板50aの室外側端部から下方に突出して先端が上壁44aの上面に当接している。室外側下方板50cの先端は室外側に向けた突出部を有しており、位置決め片44gに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。
【0031】
第1室内側レール部材54は、見込み板50aの端部から上方に延在している。第1室内側レール部材54は、立壁54aおよびフック部54bを有している。立壁54aと室外側下方板50cとは一直線上にあり、見込み板50aの室外側端部とT字を形成するように交差している。フック部54bは立壁54aにおける上端部の室外側にあり、下方に開口する形状となっている。
【0032】
フック部24adとフック部54bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材24aと第1室内側レール部材54とにより外レール24における左側略半分が形成されている。立壁24aaと立壁54aとの間には第1上方空洞部55aが形成されている。第1アタッチメント50は室内側から室外側下枠44および充填材48が視認されないように配置されている。第1アタッチメント50は、例えば木目調となっており好適な意匠を有する。
【0033】
見込み板50a、室内側下方板50b、室外側下方板50cおよび上壁44aで囲まれた空間は第2上方空洞部55bとなっている。見込み板50a、室内側下方板50b、室外側レール部材26a、ポケット47aおよび充填材48で囲まれた空間は第3上方空洞部55cとなっている。
【0034】
図4に示すように、第2アタッチメント52は、見込み板52aと、室内側下方板52bと、室外側下方板52cと、第2室内側レール部材56とを有している。見込み板52aは第1アタッチメント50における見込み板50aに相当するものであるが、該見込み板50aよりも室内側への突出長さがやや短く、室外側レール部材26aの室外側面とは当接せずに隙間58が確保されている。第2アタッチメント52はアルミニウム材であって伝熱性が高いが、隙間58が確保されているため熱的に絶縁され、該第2アタッチメント52が室外側下枠44と室内側下枠46との間で熱伝達することがない。
【0035】
室内側下方板52bおよび室外側下方板52cは上記の室内側下方板50bおよび室外側下方板50cと同形状であり、各下端部がポケット47aの側部および位置決め片44gと係合している。第2室内側レール部材56は上記の第1室内側レール部材54とほぼ同形状であって、立壁56aおよびフック部56bを有している。
【0036】
フック部24adとフック部56bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材24aと第2室内側レール部材56とにより外レール24における右側略半分が形成されている。立壁24aaと立壁56aとの間には第1上方空洞部55aが形成されている。第2アタッチメント52は内障子15の全閉状態では室内側からは視認されることがないため、意匠上特段の処理をしなくてもよい。第2アタッチメント52はアルミニウム材で構成されていることから樹脂材と比較して耐候性に優れており、外気および日光に曝される箇所に配置しても劣化が少ない。
【0037】
図3に示すように、室内側下枠46には第3アタッチメント60が設けられている。第3アタッチメント60は室内側下枠46の長手方向全長に亘って設けられている。第3アタッチメント60は樹脂材であり、上記の第1アタッチメント50と同様の色、模様、質感となっている。
【0038】
第3アタッチメント60は、見込み板60aと、室内側下方板60bと、室外側下方板60cと、躯体当接片60dと、第3室内側レール部材62とを有している。第3室内側レール部材62は内レール26の室内側部分を形成する。
【0039】
躯体当接片60dは躯体の角部に沿うように見付け部と見込み部とを有するアングル形状となっており、その見込み部は固定具25によって躯体に固定されている。見込み板60aは位置決め片46dのやや上方位置から室外側の躯体当接片の端部まで延在している。見込み板60aは室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜している。室内側下方板60bは、見込み板60aの室内側端部から下方に突出して先端が見込み板46aの上面に当接している。室内側下方板60bの先端は室内側に向けた突出部を有しており、室内側見付け板46bに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。室外側下方板60cは、見込み板60aの室外側端部から下方に突出して先端が見込み板46aの上面に当接している。室外側下方板60cの先端は室外側に向けた突出部を有しており、位置決め片46dに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。
【0040】
第3室内側レール部材62は見込み板60aの上端から上方に延在している。第3室内側レール部材62は上記の第1室内側レール部材54と同形状であり、立壁62aおよびフック部62bを有している。立壁62aと室外側下方板60cとは一直線上にあり、見込み板60aの室外側端部とT字を形成するように交差している。フック部62bは立壁62aにおける上端部の室外側にあり、下方に開口する形状となっている。
【0041】
フック部26adとフック部62bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材26aと第3室内側レール部材62とにより内レール26が形成されている。立壁26aaと立壁62aとの間には第4上方空洞部55dが形成されている。見込み板60a、室内側下方板60b、室外側下方板60cおよび見込み板46aで囲まれた空間には第5上方空洞部55eが形成されている。
【0042】
下枠20では、外レール24において第1上方空洞部55aが形成されるとともに内レール26において第4上方空洞部55dが形成されており断熱性が向上する。下枠20では、見込み板60aを底部として立壁62aおよび室内側下方板60bを両壁とした室内側溝64と、見込み板50aを底部として立壁54aおよび立壁26aaを両壁とした中間溝66と、上壁44aを底部として網戸レール44iおよび立壁24aaを両壁とした室外側溝68とが形成されている。室外側溝68には外障子14を伝って雨が浸入し得る。また、室内側溝64および中間溝66にも水掃除などによって水が浸入し得る。
【0043】
建具10ではこれらの溝64,66,68に浸入する水を室外に排出するための排水開口が形成されている。以下、これらの排水開口について説明する。なお、本願における「排水開口」とは排水が可能な形状であればよく、孔形状や切欠形状を含むものとする。以下の説明では、煩雑になることを避けるために孔形状および切欠形状とも「排水開口」として記す。各排水開口は壁を境として上流側空間(通常は室内側空間)と下流側空間(通常は室外側空間)とを連通して排水が可能となるように設けられる。また、各排水開口は上流側に水が溜まることが無いように、可能な限り壁の下方部分に設けられている。
【0044】
図5は、建具10の左下端とその近傍部を室外側から見た斜視図である。図6は、建具10の右下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。図7は、建具10の中央下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。図8は、下枠20および縦枠22,23の分解斜視図である。図9は、下枠20を斜め室外側から見た分解斜視図である。図10は、第1アタッチメント50を室外側斜め下方から見た斜視図である。図11は、第2アタッチメント52を室外側斜め下方から見た斜視図である。
【0045】
内レール26における第3室内側レール部材62の室内側見付け壁である立壁62aには、下縁が見込み板60aまで達する第1排水開口70aが3つ設けられている。第1排水開口70aは1つが左端部(図8参照、第1排水開口70aaとも呼ぶ)に設けられ、1つが右端部(図8参照、第1排水開口70abとも呼ぶ)に設けられ、残る一つが中央部(図8参照、第1排水開口70acとも呼ぶ)に設けられている。換言すると、第1排水開口70aは左右両端(内レール26の長手方向の両端)と中央部にのみ設けられている。第1排水開口70aaは切欠形状であり、第1排水開口70ab,70acは孔形状である。
【0046】
内レール26における室外側レール部材26aの室外側見付け壁である立壁26aaには、下縁が見込み板46aまで達する第2排水開口70bが設けられている。第2排水開口70bは内レール26の左端近傍に2つ、略中央に2つ設けられている。
【0047】
外レール24における左側略半分の第1室内側レール部材54の室内側見付け壁である立壁54aには、下縁が見込み板50aまで達する第3排水開口70cが設けられている。第3排水開口70cは第1室内側レール部材54の左右端部近傍に設けられている。
【0048】
第1アタッチメント50の室外側下方板50cには第4排水開口70d(図10参照)が設けられている。第1アタッチメント50の室内側下方板50bには第5排水開口70e(図10参照)が設けられている。排水開口70d,70eはそれぞれ2つ設けられており、第3排水開口70cよりやや中央に寄った位置にある。排水開口70d,70eは下方に開放する切欠形状である。第4排水開口70dと第5排水開口70eとは対向位置にあり、それぞれ適度な幅を有している。
【0049】
外レール24における右側略半分の第2室内側レール部材56の室外側見付け壁である立壁56aには、下縁が見込み板52aまで達する第6排水開口70fが設けられている。第6排水開口70fは第2室内側レール部材56の左右端部近傍に2つずつ設けられている。
【0050】
第2アタッチメント52の室外側下方板52cには第7排水開口70g(図11参照)が設けられている。第2アタッチメント52の室内側下方板52bには第8排水開口70h(図11参照)が設けられている。排水開口70g,70hはそれぞれ2つ設けられており、第6排水開口70fよりやや中央に寄った位置にある。排水開口70g,70hは下方に開放する切欠形状である。第7排水開口70gと第8排水開口70hとは対向位置にあり、それぞれ適度な幅を有している。
【0051】
下枠20の室外側下枠44には4種の排水開口、つまり第9排水開口70i、第10排水開口70j、第11排水開口70kおよび第12排水開口70mが設けられている。第9排水開口70iは、上壁44aにおける左寄りの箇所で、かつ第1排水開口70aaに近い箇所で複数が左右方向に並んで設けられている。第10排水開口70jは、室外側レール部材24aにおける立壁24aaで上記の第6排水開口70f(図8参照)に対応して同数の4つが、それぞれ該第6排水開口70fと見込み方向でほぼ対向する位置で且つ下方の部分に設けられている。
【0052】
第11排水開口70kは網戸レール44iの左右両端近傍に設けられている。第12排水開口70mは、室外側壁44cの左右両端近傍に設けられている。第11排水開口70kおよび第12排水開口70mは、下枠20の溝64,66,68に流入した水を最終的に室外側に排水する部分である。第12排水開口70mには排水弁71が設けられている。
【0053】
室外側レール部材24aの右端近傍には、ストッパ38を位置決めおよび固定するための切欠75が形成されている。室外側レール部材26aの左端近傍には、ストッパ40を位置決めおよび固定するための切欠77が形成されている。位置決め片46dの右端近傍には切欠81が形成されている。切欠81は排水開口の一種であるが、メインの排水用ではなく第5上方空洞部55eに入り込んだ水の排水用である。
【0054】
図8に示すように、縦枠22の下端と下枠20の小口部とは、パッキン85を介して複数のビス87によって固定される。縦枠23の下端と下枠20の小口部との固定も同様である。図8の符号98は防虫ブロックであり、符号97は防虫ブロック98を取り付けるための部品取付孔である。図5に示すように、ストッパ40の下端の四隅には脚40aが設けられており、該脚40a以外の箇所と見込み板50a,60aとの間には隙間40bが形成されている。
【0055】
図12は、風止板42より左側の箇所における排水経路を説明する模式図である。図13は、風止板42より右側の箇所における排水経路を説明する模式図である。図13図13では、理解が容易となるように各排水開口を同じ断面上に示している。
【0056】
第1排水開口70aは、室内側溝64と第4上方空洞部55dを連通している。第2排水開口70bは、第4上方空洞部55dと第3上方空洞部55cとを連通している。第3排水開口70cは、中間溝66と第1上方空洞部55aとを連通している。第4排水開口70dは、第1上方空洞部55aと第2上方空洞部55bとを連通している。第5排水開口70eは、第3上方空洞部55cと第2上方空洞部55bとを連通している。第6排水開口70fは、中間溝66と第1上方空洞部55aとを連通している。第7排水開口70gは、第1上方空洞部55aと第2上方空洞部55bとを連通している。第8排水開口70hは、第3上方空洞部55cと第2上方空洞部55bとを連通している。第9排水開口70iは、第2上方空洞部55bと下方空洞部44eとを連通している。第10排水開口70jは、第1上方空洞部55aと室外側溝68とを連通している。第11排水開口70kは、室外側溝68と室外側空間とを連通している。第12排水開口70mは、下方空洞部44eと室外側空間とを連通している。
【0057】
第2排水開口70bは孔形状である。第3排水開口70cは孔形状である。第4排水開口70dは切欠形状である。第5排水開口70eは切欠形状である。第6排水開口70fは孔形状である。第7排水開口70gは切欠形状である。第8排水開口70hは切欠形状である。第9排水開口70iは孔形状である。第10排水開口70jは孔形状である。第11排水開口70kは孔形状である。第12排水開口70mは孔形状である。また、上記のとおり、第1排水開口70aaは切欠形状であり、第1排水開口70ab,70acは孔形状である。それぞれの排水開口は、孔形状および切欠形状のいずれであってもよい。
【0058】
経路R1として破線で示すように室内側溝64に入った水は、第1排水開口70aを通って第4上方空洞部55dに入り、第2排水開口70bを通って第3上方空洞部55cに入り、第5排水開口70eを通って第2上方空洞部55bに入り、第9排水開口70iを通って下方空洞部44eに入り、第12排水開口70mを通って室外に排出される。なお、室内側溝64に入った水は、右端と中央の第1排水開口70ab,70acに対して直接的に流入するが、左端の第1排水開口70aaに対しては上記の隙間40b(図5参照)を通ってから流入する。
【0059】
経路R2として破線で示すように、第1アタッチメント50が設けられている範囲で中間溝66に入った水は、第3排水開口70cを通って第1上方空洞部55aに入り、第4排水開口70dを通って第2上方空洞部55bに入り、第9排水開口70iを通って下方空洞部44eに入り、第12排水開口70mを通って室外に排出される。
【0060】
また、経路R2では、水が第4排水開口70dを介して第2上方空洞部55bに入り込む箇所だけが、室外側から室内側に向かう経路となっている。なお、第1上方空洞部55aにおける底面に排水開口を設ければ直下の下方空洞部44eと連通させることも概念上は可能である。しかしながら、第1上方空洞部55aは見込み幅が狭く、しかもその下方部周囲にはビスホール44fや位置決め片44gが設けられていることから加工や強度の観点から実用上からは排水開口を形成することは好ましくなく、第4排水開口70dを通して一度第2上方空洞部55bおよび第9排水開口70iを経由してから下方空洞部44eに排水させるようにしている。また、経路R2では室外側から室内側に向かう流れが生じるが、第2上方空洞部55bにおいて底面を形成する上壁44aは、第9排水開口70iの周囲が水平面となっており、排水の妨げとならない。
【0061】
経路R3(図13参照)として破線で示すように、第2アタッチメント52が設けられている範囲で中間溝66に入った水は、第6排水開口70fを通って第1上方空洞部55aに入り、第10排水開口70jを通って室外側溝68に入り、第11排水開口70kを通って室外に排出される。なお、第2アタッチメント52が設けられている範囲で中間溝66に入った水は、経路R4として破線で示すように、第1上方空洞部55aから第7排水開口70gを通って第2上方空洞部55bに入り、第9排水開口70iを通って下方空洞部44eに入り、第12排水開口70mを通って室外に排出され得る。
【0062】
また、第2アタッチメント52が設けられている範囲で中間溝66に入った水は、経路R5として破線で示すように、隙間58を通って第3上方空洞部55cに入り、第8排水開口70hを通って第2上方空洞部55bに入り、第7排水開口70gを通って第1上方空洞部55aに入り、第9排水開口70iを通って室外側溝68に入り、第11排水開口70kを通って室外に排出され得る。
【0063】
さらに第2アタッチメント52が設けられている範囲で中間溝66に入った水は、経路R6として破線で示すように、隙間58を通って第3上方空洞部55cに入り、第8排水開口70hを通って第2上方空洞部55bに入り、第9排水開口70iを通って下方空洞部44eに入り、第12排水開口70mを通って室外に排出され得る。
【0064】
なお、図12の経路R1の経路で入った水は、第4上方空洞部55dに溜まって排水しきれない場合に、隙間などから第5上方空洞部55eに入り込むこともあり得る。このように第5上方空洞部55eに入り込んだ水は、切欠81(図8参照)を通って第4上方空洞部55dに入り、第2排水開口70bを通って第3上方空洞部55cに入り、その先は経路R5および経路R6と同様となって排出される。つまり、この経路では第4上方空洞部55dを2回通ることになる。
【0065】
経路R7として破線で示すように、室外側溝68に入った水は第11排水開口70kを通って室外に排出される。このように、建具10では排水開口70a~70mによって適切な排水がなされ、溝64,66,68に水が溜まることがない。
【0066】
図14は、下枠20における排水開口の位置を示す模式図である。図14では排水開口の位置が分かるように一部の構成要素を仮想線や輪郭線だけで示すとともに、排水開口にハッチングを付している。図14では、図1図2と同様に障子14,15が全閉状態となっている。
【0067】
内レール26に関して、左端の第1排水開口70aaは上方部分にストッパ40が配置されることからを覆われて視認されない。また、右端と中央の第1排水開口70ab,70acは、少なくともその上方部分に全閉状態の内障子15の戸先框28cまたは召合せ框28dが配置されることによって覆われる。厳密に言えば、第1排水開口70ab,70acは側方については覆われていないが、戸先框28cおよび召合せ框28dはある程度の見込み幅を有しているため、実質的には室内側の人の視点である斜め上方からは視認されることがない。
【0068】
また、外レール24に関して、左端および略中央の第3排水開口70cは、少なくともその上方部分に全閉状態の外障子14の戸先框28cまたは召合せ框28dが配置されることによって覆われる。第3排水開口70cについても上記の第1排水開口70aと同様に、側方部分は覆われないが、戸先框28cおよび召合せ框28dはある程度の見込み幅を有しているため、実質的には室内側の人の視点である斜め上方からは視認されることがなく、好適な内観が得られる。
【0069】
さらに、外レール24に関して、右端および略中央の第6排水開口70fは、全閉状態の内障子15よりも室外側にあるため、室内側の人の視点である斜め上方からは内障子15のガラス板30aを通して視認され得るが、実際上は奥まった暗い箇所であり、しかも反射や映り込みなどによってほとんど目立つことはなく好適な内観が維持される。
【0070】
一般的な使用態様において、障子14,15は全閉状態となっていることがほとんどであることから、第1排水開口70ab,70ac、第3排水開口70cは視認されることがほとんどない。また、第1排水開口70a、第3排水開口70cおよび第6排水開口70fは、障子14,15またはストッパ40が上方部分に配置されて覆われることから異物が嵌り込むことがほとんどなく、障子14,15のスライド操作に支障が発生しにくい。
【0071】
第1排水開口70ab,70ac、第3排水開口70cおよび第6排水開口70fは、障子14,15が開状態である場合には視認され得るが、それぞれ見付け壁を形成する立壁62a,54a,56aに設けられていることから、見込み板60a,50a,52aに形成されている場合と比較すると、斜め上方からはほとんど視認されることがない。また、各排水開口70は見付け壁を形成する立壁62a,54a,56aに設けると、見込み板60a,50a,52aに形成されている場合と比較して異物が詰まりにくく、排水に支障がない。
【0072】
第1排水開口70ab,70ac、第3排水開口70cおよび第6排水開口70fは、立壁62a,54a,56aにおける比較的低い位置に設けられており、比較的高い位置でのシール材34b(図3参照)の摺動代が確保される。障子14,15はシール材34bを有していることから必然的に室内側に向かってある程度の見込み幅を有しており、第1排水開口70ab,70ac、第3排水開口70cおよび第6排水開口70fが一層視認されにくくなる。
【0073】
レール24,26は、室外側レール部材と室内側レール部材とが頂部で係合しており、これによって形成される第1上方空洞部55a、第4上方空洞部55dが断熱効果を奏する。内障子15の閉状態においては、第1アタッチメント50は室内側空間に含まれることになるが、該第1アタッチメント50は樹脂材であって、室外側レール部材24aと係合していても室外に対する断熱効果がある。室内側空間に含まれるアタッチメント50,60は樹脂材であることから様々な表面処理などを施すことができて意匠性に優れる。
【0074】
一方、第2アタッチメント52は室外側空間に含まれることになるが、上記の通り該第2アタッチメント52はアルミニウム材であって耐候性に優れている。第2アタッチメント52と室外側レール部材26aとには隙間58が確保されており両者間が断熱される。なお、本願では説明の便宜上アタッチメント50,52,60は下枠20に取り付けられる部材としているが、該下枠20の構成要素であると見做してもよい。
【0075】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0076】
本発明にかかる建具は、下枠と、前記下枠に設けられたレールに案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な障子と、を有する建具であって、前記レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して構成されており、前記室内側レール部材の前記室内側見付け壁には、前記室外側レール部材との間に形成される空洞部と連通する排水開口が形成されており、前記排水開口は、少なくともその上方部分に全閉状態の前記障子、または、前記障子が全開状態で当接するストッパが配置されることを特徴とする。
【0077】
このような建具では、下枠に水が溜まることがないように排水開口が形成されている。排水開口は上方部分に全閉状態の障子またはストッパが配置されて覆われることから、少なくとも障子が全閉状態では視認されない。また、排水開口は室内側見付け壁に形成されていることから、障子が開状態であっても人の視点である斜め上方からはほとんど視認されず好適な内観が得られる。
【0078】
本発明にかかる建具は、前記室内側見付け壁には前記障子の室内側シール材が当接してもよい。シール材により気密性および水密性が得られる。
【0079】
前記室外側レール部材は前記下枠と一体構成のアルミニウム材であり、前記室内側レール部材は前記下枠に取り付けられる樹脂材のアタッチメントであってもよい。このような樹脂・アルミニウム複合構造では好適な強度、意匠性、断熱性が得られる。
【0080】
本発明にかかる建具は、前記レールは、室内側の内レールと室外側の外レールとの2つがあり、前記障子は、前記内レールに案内される内障子と前記外レールに案内される外障子との2つがあり、前記外レールにおける前記室外側レール部材は前記下枠と一体構成のアルミニウム材であり、前記外レールにおける前記室内側レール部材は前記下枠に取り付けられるアタッチメントであり、全閉状態における前記外障子の召合せ部に対向する箇所を境として前記外障子の閉側の箇所が樹脂材で構成され、開側の箇所がアルミニウム材で形成されていてもよい。このように、外レールについては場所により樹脂材とアルミニウム材とを使い分けることによって、適用箇所に応じた強度、意匠性、断熱性が得られる。
【0081】
本発明にかかる建具は、前記レールは、室内側の内レールと室外側の外レールとの2つがあり、前記障子は、前記内レールに案内される内障子と前記外レールに案内される外障子との2つがあり、前記内レールにおける前記室内側レール部材の前記排水開口は、該室内側レール部材の長手方向の両端部と中央部とにのみ設けられていてもよい。これにより長手方向の一端にある排水開口をストッパで覆い、他の2つは内レールの閉状態の内障子15で覆うことができる。
【符号の説明】
【0082】
10 建具、14 外障子、15 内障子、20 下枠、22,23 縦枠、24 外レール、26 内レール、24a,26a 室外側レール部材、24aa,26aa 立壁(室外側見付け壁)、24ad,26ad フック部、28c 戸先框、28d 召合せ框、34a,34b シール材、38,40 ストッパ、44 室外側下枠、46 室内側下枠、50 第1アタッチメント、52 第2アタッチメント、60 第3アタッチメント、54 第1室内側レール部材、56 第2室内側レール部材、62 第3室内側レール部材、54a,56a,62a 立壁(室内側見付け壁)、70a 第1排水開口、70b 第2排水開口、70c 第3排水開口、70d 第4排水開口、70e 第5排水開口、70f 第6排水開口、70g 第7排水開口、70h 第8排水開口、70i 第9排水開口、70j 第10排水開口、70k 第11排水開口、70m 第12排水開口
図1
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