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特開2024-41075二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いたセパレータ、およびそれを含む電気化学素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041075
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いたセパレータ、およびそれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20240318BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240318BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240318BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20240318BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240318BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/417
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/489
H01M50/411
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148649
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0114782
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】クォン テ ウク
(72)【発明者】
【氏名】イ サン イク
(72)【発明者】
【氏名】クァク ウォン スブ
(72)【発明者】
【氏名】キム チョル ウ
(72)【発明者】
【氏名】クァク ヒョ シン
(72)【発明者】
【氏名】ベ フン テク
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE21
5H021EE22
5H021EE34
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱的、電気化学的安定性に優れ、気孔確保に有利な新しいセパレータのための二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いて製造されたセパレータ、および前記セパレータを含む電気化学素子を提供する。
【解決手段】無機粒子および特定の構造のシラン塩化合物を含む二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いたセパレータ、およびそれを含む電気化学素子に関し、具体的には、多孔性基材の片面または両面に無機物層を形成するためのコーティング組成物中に酸/高分子系有機バインダーを含まなくても、無機物層と多孔性基材との接着性を実現するだけでなく、無機粒子の分散のための別の分散剤が必要ない二次電池用セパレータコーティング組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物および無機粒子を含むセパレータコーティング組成物。
【化1】
前記化学式1中、
およびMは、それぞれ独立してアルカリ金属であり、
Lは、C1-C3アルキレンであり、
およびRは、それぞれ独立して水素またはアルカリ金属である。
【請求項2】
前記MおよびMは、それぞれ独立してリチウムまたはナトリウムであり、
Lは、C2-C3アルキレンであり、
およびRは、それぞれ独立して水素、リチウム、またはナトリウムである、請求項1に記載のセパレータコーティング組成物。
【請求項3】
前記化学式1の化合物は、下記化学式2、化学式3、または化学式4で表される化合物である、請求項1に記載のセパレータコーティング組成物。
【化2】
【化3】
【化4】
前記化学式2~4中、Mは、リチウムまたはナトリウムである。
【請求項4】
前記無機粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属カーボネート、金属水和物、および金属炭窒化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物である、請求項1に記載のセパレータコーティング組成物。
【請求項5】
前記無機粒子は、ベーマイト(Boehmite)、アルミナ(Alumina、Al)、二酸化チタン(Titanium oxide、TiO)、酸化セリウム(Cerium(IV)oxide、CeO)、酸化マグネシウム(Magnesium oxide、MgO)、酸化ニッケル(Nickel(II)oxide、NiO)、酸化イットリウム(Yttrium(III)oxide、Y)、酸化カルシウム(Calcium oxide、CaO)、チタン酸ストロンチウム(Strontium titanate、SrTiO)、酸化スズ(Tin dioxide、SnO)、酸化亜鉛(zinc oxide、ZnO)、および酸化ジルコニウム(Zirconium dioxide、ZrO)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物である、請求項4に記載のセパレータコーティング組成物。
【請求項6】
前記無機粒子の平均粒子サイズは0.001~10μmである、請求項1に記載のセパレータコーティング組成物。
【請求項7】
前記無機粒子100重量部に対して前記化学式1の化合物0.1~45重量部を含む、請求項1に記載のセパレータコーティング組成物。
【請求項8】
(a)多孔性基材と、
(b)前記多孔性基材の片面または両面に、請求項1~7のいずれか一項に記載のセパレータコーティング組成物が塗布されて形成された無機物層と、
を含む、二次電池用セパレータ。
【請求項9】
前記多孔性基材は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、またはこれらの誘導体の中から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物である、請求項8に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項10】
前記無機物層の厚さは、前記セパレータの厚さの40%以下である、請求項8に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項11】
前記セパレータの厚さは1~100μmである、請求項8に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項12】
前記セパレータは、通気度が20sec/100cc以下であり、熱収縮変化(%)が1%以下である、請求項8に記載の二次電池用セパレータ。
【請求項13】
請求項8に記載の二次電池用セパレータを含む電気化学素子。
【請求項14】
前記電気化学素子は、リチウム二次電池である、請求項13に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いたセパレータ、およびそれを含む電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池の高容量、高出力の傾向に合わせて、セパレータの高強度、高透過率、熱的安定性、および充放電時の二次電池の電気的安定性のためのセパレータの特性向上への要求がさらに高まっている。リチウム二次電池の場合、電池の製造過程と使用中の安全性向上のために高い機械的強度が求められ、容量および出力向上のために高い透過率および高い熱的安定性が求められる。
【0003】
また、リチウム二次電池は、正極のリチウムイオンが負極に挿入(intercalation)され、脱離(deintercalation)する過程を繰り返しつつ充放電が行われる。このような充放電が繰り返される場合、電極活物質の種類に応じて電池の理論容量が異なるが、概ねサイクルが進行するにつれて充放電容量が低下するという問題が発生する。
【0004】
従来、二次電池用セパレータの耐熱性を増進させるための一態様として、ポリオレフィンなどの多孔性基材上に無機粒子または無機粒子と有機粒子とからなる無機粒子コーティング層を導入することで、電池の安全性を確保して商業化している。
【0005】
しかし、前記無機粒子コーティング層をポリオレフィンなどの多孔性基材層に導入する際に、無機粒子コーティング層と多孔性基材層の接着や無機粒子間の連結固定のために高分子バインダーを用いるが、有機バインダーである高分子バインダーと電池の電解液との間の化学反応が起こるか、有機バインダーが電解質内に溶解して溶出するか、または電解液により有機バインダーが膨潤する現象が発生する。このような有機バインダーと電解液との間の化学反応、有機バインダーの溶出および膨潤が発生する場合、多孔性基材の気孔の閉塞やガス発生または溶出による電解質の性能低下、膨潤による電池の容積を増加させるなど、様々な電池性能を低下させる問題が発生した。
このような問題を解消するための熱的、電気化学的安定性に優れ、気孔確保に有利な新しいセパレータが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を解決するために多くの研究を行った結果、多孔性基材の片面または両面に無機粒子および特定の構造のシラン塩化合物を含むセパレータコーティング用組成物を用いて無機物層を形成したセパレータの場合、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどの公知のシランカップリング剤(Silane Coupling Agent、SCA)の使用時に反応性調節のために必須に用いられていた酸を全く用いず、また、化学的安定性が不足している高分子系有機バインダーを用いなくても、無機粒子とセパレータとの極めて向上した接着性を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本開示は、多孔性基材の片面または両面に無機物層を形成するためのコーティング組成物中に酸/高分子系有機バインダーを含まなくても、無機物層と多孔性基材との接着性を実現するだけでなく、無機粒子の分散のための別の分散剤が必要ない二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いて製造されたセパレータ、および前記セパレータを含む電気化学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、一実施形態は、下記化学式1のシラン塩化合物および無機粒子を含むセパレータコーティング組成物を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
前記化学式1中、
およびMは、それぞれ独立してアルカリ金属であり、
Lは、C1-C3アルキレンであり、
およびRは、それぞれ独立して水素またはアルカリ金属である。
【0011】
また、他の実施形態は、(a)多孔性基材と、(b)前記多孔性基材の片面または両面に、前記セパレータコーティング組成物が塗布されて形成された無機物層と、を含む、二次電池用セパレータを提供する。
【0012】
また、別の他の実施形態は、多孔性高分子樹脂からなるセパレータ基材の片面または両面に、前記セパレータコーティング組成物をコーティングするステップを含む、二次電池用セパレータの製造方法を提供する。
また、さらに他の実施形態は、前記二次電池用セパレータを含む電気化学素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
一実施形態に係るセパレータコーティング組成物は、無機粒子および特定の構造のシラン塩化合物を含んでおり、別の分散剤が存在しなくても無機粒子の分散性に優れるだけでなく、セパレータ基材との接着性にも優れる。また、一実施形態に係るセパレータコーティング組成物は、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどの公知のシランカップリング剤(Silane Coupling Agent、SCA)の使用時に反応性調節のために必須に用いられていた酸を全く用いず、また、ポリビニリデンフルオライドなどの高分子系有機バインダーを用いなくても、十分な接着強度またはさらに優れた接着強度を有する二次電池用セパレータを提供することができる。また、一実施形態に係るセパレータコーティング組成物は、酸の使用を排除することで、工程設備が腐食する問題、工程中の安定性を損なう問題などを解決することができる。
【0014】
また、一実施形態に係るセパレータコーティング組成物を用いて製造されたセパレータは、耐熱性が向上することで急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができるため、高温でのセパレータの寸法安定性を改善させることができる。
【0015】
また、一実施形態に係るセパレータは、有機バインダーによる気孔の閉塞や電解質内への溶出を完全にまたは十分に除去し、二次電池のような電気化学素子に適用する場合、製造されたセパレータのリチウムイオンの移動が円滑になり、二次電池の容量維持率などの電気的特性が著しく向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係る二次電池用セパレータコーティング組成物、それを用いたセパレータ、およびそれを含む電気化学素子について詳しく説明する。
【0017】
この際、特に定義しない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本発明における説明で用いられる用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。また、明細書において、特に記載していない添加物の単位は、重量部であってもよい。
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
【0018】
本開示は、低い熱収縮率、優れた通気度および接着力を有し、急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができるため、高温でのセパレータの寸法安定性が改善された二次電池用セパレータを製造するためのセパレータコーティング組成物、それを用いて製造されたセパレータ、および前記セパレータを含む電気化学素子を提供する。
【0019】
本開示の一態様に係るセパレータコーティング組成物は、下記化学式1の化合物および無機粒子を含む。
【0020】
【化2】
【0021】
前記化学式1中、
およびMは、それぞれ独立してアルカリ金属であり、
Lは、C1-C3アルキレンであり、
およびRは、それぞれ独立して水素またはアルカリ金属である。
【0022】
一態様に係るセパレータコーティング組成物は、無機/有機(または無機)接合特性および高温熱安定性に優れた前記化学式1の化合物をSCA(Silane Coupling Agent)として用い、多孔性基材上にコーティングされ、高温でのセパレータの寸法安定性を改善させることができる。すなわち、本開示によると、特定の構造の化学式1の化合物は、アルカリ金属塩として二次電池の電解質に含まれたリチウムのようなアルカリ金属塩を含む構造であり、イオン伝導度が高く、高温安定性が高いセパレータを提供することができる。
【0023】
また、一態様に係るセパレータコーティング組成物は、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの公知のシランカップリング剤(Silane Coupling Agent、SCA)の使用時に反応性調節のために必須に用いられていた酸を全く用いなくても、無機粒子とセパレータとの極めて向上した接着性を実現することができ、従来の酸の使用により設備が腐食する問題を防止することができ、工程中の安全性を向上させることができる。
【0024】
また、一態様に係るセパレータコーティング組成物は、無機物の分散のための分散剤が別に必要ないという利点があり、無機物との単独混合によりコーティング性および工程性にさらに優れる。
【0025】
前記化学式1中、MおよびMは、それぞれ独立してリチウムまたはナトリウムであり、Lは、C2-C3アルキレンであり、RおよびRは、それぞれ独立して水素、リチウム、またはナトリウムであってもよい。
【0026】
前記化学式1の化合物は、下記化学式2、化学式3、または化学式4で表される化合物であってもよい。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
前記化学式2~4中、Mは、リチウムまたはナトリウムである。
前記化合物は、より具体的に、下記構造から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0031】
【化6】
【0032】
前記無機粒子は、セパレータ上にコーティングされ、セパレータの強度を増加させるためのものであり、電気化学的に安定であれば特に限定されない。一例として、前記無機粒子は、電池が作動する条件で酸化や還元反応が起こらないことがより好ましく、また、イオン伝達能力を有するものを用いてもよい。
【0033】
前記無機粒子としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属カーボネート、金属水和物、および金属炭窒化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物を用いてもよく、具体的には、Al、Ti、Ba、Pb、Zr、Sr、Hf、Li、Zn、Ce、Mg、Ca、Y、Nb、およびSiからなる群から選択される1種以上の金属元素を含む酸化物、炭化物、窒化物、リン酸塩、または合金などが用いられてもよいが、これに限定されない。
【0034】
一実施形態によると、前記無機粒子は、ベーマイト(Boehmite)、アルミナ(Alumina、Al)、二酸化チタン(Titanium oxide、TiO)、酸化セリウム(Cerium(IV)oxide、CeO)、酸化マグネシウム(Magnesium oxide、MgO)、酸化ニッケル(Nickel(II)oxide、NiO)、酸化イットリウム(Yttrium(III)oxide、Y)、酸化カルシウム(Calcium oxide、CaO)、チタン酸ストロンチウム(Strontium titanate、SrTiO)、酸化スズ(Tin dioxide、SnO)、酸化亜鉛(zinc oxide、ZnO)、および酸化ジルコニウム(Zirconium dioxide、ZrO)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよいが、これに限定されず、電気化学的に不安定で電池性能に大きな影響を与えないものであれば限定されない。
【0035】
前記無機粒子の平均粒子サイズは、本開示の目的を達成する限りは限定されないが、例えば0.001~10μm、具体的には0.01~3μmの範囲であることが、本発明の目的を達成しやすいため好ましい。また、前記無機粒子の形態は特に限定されず、例えば、円形、角形、楕円形、ランダム型、またはこれらの混合形態を全て含んでもよい。
【0036】
一態様に係るセパレータコーティング組成物において、前記化学式1の化合物は、前記無機粒子100重量部に対して0.1~45重量部、具体的には0.5~30重量部、より具体的には1~10重量部、さらに具体的には2~5重量部で含まれてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。上記範囲にて、無機物層と基材層の結合力、さらに優れた耐熱性および機械的強度を発現することができ、その結果、セパレータの高温安定性がさらに増大するためより好ましい。
【0037】
一態様に係るセパレータコーティング組成物において、前記化学式1の化合物は、前記無機粒子と無機粒子との間を結合させ、前記無機粒子と多孔性基材を連結させて優れた接着特性を示す役割をするため、別の有機バインダーが存在しなくても目的とする効果を達成することができるが、必要に応じて、具体的に、接着力の増強や突き刺し強度の改善などの物性の改善のために有機バインダーをさらに含んでもよい。
【0038】
前記有機バインダーは、通常、セパレータに用いられる有機バインダーであれば限定なく使用可能であり、その一例として、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(polyester)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチレンオキシド(PMO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアラミド(PA)、セルロース(cellulose)、およびこれらを用いた共重合体などから選択されるいずれか1つまたはこれらの2つ以上の混合物であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
一態様に係るセパレータコーティング組成物は、前記化学式1の化合物および無機粒子を分散させ、コーティング性を確保するために分散溶媒を含んでもよい。前記分散溶媒としては、主に水を用い、その他の分散溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノールなどの低級アルコール、ジメチルホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの溶媒またはこれらの混合物を用いてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0040】
前記分散溶媒は、セパレータコーティング組成物全体に対して50~90重量%、好ましくは60~85重量%で含まれてもよい。
一態様に係るセパレータコーティング組成物は、分散性に優れるため、組成物中での粒子凝集が少ない。
【0041】
一態様に係るセパレータコーティング組成物は、より均一な分散のために、無機粒子と前記化学式1の化合物を混合し、ボールミル(ball mill)、ビーズミル(beads mill)、プラネタリミキサー(planetary mixer)(自転/公転回転による粉砕および混合方式)、ホモジナイザー(homogenizer)などを用いて無機粒子の凝集体の破砕を行うことが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。この際、破砕時間は、0.01~20時間が好適であり、破砕された無機粒子の平均粒子サイズは、上述したように0.001~10μmが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、前記分散は、1mmサイズのジルコニアビーズを含むオービタルシェーカー(Orbital shaker)を用いて行われてもよい。
【0042】
一態様に係るセパレータコーティング組成物は、低い熱収縮率、優れた通気度および接着力を有し、急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができるため、高温でのセパレータの寸法安定性が改善された二次電池用セパレータを製造することができる。
【0043】
本開示の他の態様は、(a)多孔性基材と、(b)前記多孔性基材の片面または両面に、無機粒子および前記化学式1の化合物を含むセパレータコーティング組成物が塗布されて形成された無機物層と、を含む、二次電池用セパレータを提供する。
【0044】
本開示の一態様に係るセパレータは、多孔性基材、および前記多孔性基材の片面または両面に位置する無機物層、すなわち前記セパレータコーティング組成物、すなわち前記化学式1の化合物および無機粒子を含むセパレータコーティング組成物から形成されたコーティング層を含み、前記コーティング層は、一態様に係るセパレータコーティング組成物が塗布されて形成されてもよい。
【0045】
前記多孔性基材は、セパレータとして用いられる高分子から製造された多孔性高分子フィルム、シート、不織布、織布などを多様に使用可能であり、前記各層を2層以上積層した積層構造の多孔性基材を含んでもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0046】
好ましくは、ポリオレフィン系多孔性フィルムとしては、非限定的な例として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、またはこれらの誘導体などが用いられてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0047】
前記多孔性基材の厚さは、本発明の目的を達成する限りは特に限定されないが、1~100μm、好ましくは3~60μm、より好ましくは5~30μmの範囲であってもよい。
【0048】
また、前記多孔性基材の気孔サイズおよび気孔率は特に限定されないが、気孔率は10~95%の範囲、気孔の平均サイズ(平均直径)は0.001~20μm、具体的には0.001~20μm、より具体的には0.01~5μm、さらに具体的には0.05~5μmであることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0049】
前記多孔性基材上に前記一態様に係るセパレータコーティング組成物が塗布されて形成されたコーティング層の厚さは特に限定されないが、セパレータの総厚さの40%以下であってもよい。具体的には0.01~50μm、より具体的には0.1~10μmの範囲であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0050】
前記コーティング層の気孔率(porosity)は、粒子サイズにより決められるものであって、特に限定されないが、例えば10~95%であってもよい。
一態様に係るセパレータの厚さは特に限定されず、1~100μm、具体的には5~100μm、より具体的には5~50μmであってもよい。
【0051】
一態様に係るセパレータは、機械的物性に優れ、コーティング層と基材との接着力に優れ、繰り返し充/放電が行われても無機物粒子の脱落が少ないため、二次電池の寿命特性を改善することができる。また、一態様に係るセパレータは、通気度、すなわちガス透過率に優れ、コーティング層が非常に均一に形成されるだけでなく、高温寸法安定性が150℃で5%以下であり、耐熱性に優れ、急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止することができる。
【0052】
一態様に係るセパレータは、下記式1のような通気度変化量(ΔG)を示すことができる。
【0053】
[式1]
ΔG=G-G≦20
【0054】
前記式1中、前記Gは、前記無機物層が形成されたセパレータのガーレー(Gurley)透気度であり、前記Gは、前記多孔性基材自体のガーレー(Gurley)透気度であり、ASTM D726に準じて測定され、単位はsec/100ccである。
【0055】
一実施形態に係るセパレータは、通気度が20sec/100cc以下、具体的には15sec/100cc以下であってもよく、例えば、1~20sec/100cc、1~15sec/100cc、または5~15sec/100ccであってもよい。上記通気度範囲にて、二次電池の内部抵抗の増加が効果的に抑制されることができる。
【0056】
一実施形態に係るセパレータは、150℃で1時間放置時の熱収縮変化(%)が1%以下であってもよい。例えば、150℃で1時間放置時、長さ方向(MD、Machine Direction)の収縮率および幅方向(TD、Transverse Direction)の収縮率がいずれも1%以下であってもよい。より具体的に、150℃で1時間放置時、MD方向の収縮率が0.5%以下であってもよく、TD方向の収縮率が1%以下であってもよい。上記範囲にて、セパレータの熱収縮特性を抑制することができるため、レート特性および寿命特性が効果的に改善されることができる。
【0057】
一実施形態に係るセパレータにおいて、前記通気度および収縮率を有するセパレータは、負極と正極におけるイオン間の移動が容易であるだけでなく、耐熱性に優れ、電極の短絡を効果的に防止し、電池の安全性を向上させることができる。
【0058】
一態様に係るセパレータは、バインダーとして有機系高分子を用いなくても、高い接着力で無機粒子間および無機粒子と多孔性基材の表面を固定した無機物層を含み、熱収縮率が著しく低く、耐熱性がさらに向上し、急激な温度上昇などの異常現象による発火や破裂を防止できるという利点がある。
【0059】
一態様に係るセパレータは、従来の有機系高分子バインダーにより発生する気孔の閉塞および膨張などにより気孔が閉塞する現象がなく、イオン移動に非常に優れており、リチウムイオンなどのイオン移動に障害がなく、電池の充放電容量や効率などの電気的特性を向上できるという利点がある。
【0060】
一態様に係るセパレータは、耐熱性および耐化学性が著しく上昇し、接着力を十分に確保することができ、熱的安定性、電気化学的安定性、優れたリチウムイオン伝導度、電解液の汚染防止、および電解液含浸率の優れた効果などを同時に示すことができるという利点がある。
【0061】
一態様に係るセパレータは、従来の高分子系有機バインダーを用いた活性層を有するセパレータに比べて、電気化学素子内部での熱膨張や熱収縮が最小化され、高温、過充電、外部衝撃などの内部または外部要因による過度な条件によりセパレータが容易に破裂しないため、安全性の向上を達成できるという利点がある。
【0062】
本開示の別の他の態様は、前記二次電池用セパレータを製造する方法に関し、具体的には、多孔性高分子樹脂からなるセパレータ基材の片面または両面に、一態様に係るセパレータコーティング組成物をコーティングするステップを含んでもよい。
【0063】
前記一態様によると、前記セパレータコーティング組成物のコーティングステップの後に乾燥するステップを含んでもよい。前記乾燥工程は、30℃~150℃の温度で5秒~15時間行われてもよく、バッチ式または連続式の乾燥が可能である。
【0064】
前記一態様に係るセパレータコーティング組成物は、多孔性基材上にコーティングして乾燥することで、多孔性基材の片面または両面に無機粒子および特定の構造の化学式1の化合物を含む無機物層が形成されたセパレータを得ることができる。好ましくは、ポリオレフィン系多孔性フィルム上にコーティングして乾燥することで本発明のセパレータを得ることができる。
【0065】
前記コーティング方法は大きく限定されないが、具体例として、スプレー(spray)コーティング、ナイフ(knife)コーティング、ロール(roll)コーティング、ダイ(die)コーティング、ディップ(dip)コーティング、メイヤーバー(mayer bar)コーティング、スクリーン(screen)コーティング、およびグラビア(Gravure)コーティングなどから選択されてもよく、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0066】
上記のように製造された本開示の二次電池用セパレータは、電気化学素子、例えば、リチウム二次電池のセパレータとして用いることができる。前記電気化学素子としては、特に限定されるものではないが、例えば、一次電池、二次電池、燃料電池、キャパシタなどが挙げられる。
【0067】
本開示のセパレータは、通常、電池に用いられる場合、負極、セパレータ、および正極を配置して組み立て、電解液を注入することで完成される一般的な製造方法によるものである。
【0068】
前記リチウム二次電池は、一態様に係る前記二次電池用セパレータ、正極、負極、および非水電解液を含めて製造することができる。
前記二次電池用セパレータに関する説明は、前述したとおりであるので省略する。
【0069】
前記正極および負極は、正極活物質および負極活物質に溶媒、必要に応じてバインダー、導電材、分散剤などを混合および撹拌して合剤を製造した後、それを金属材料の集電体に塗布し乾燥した後にプレスして製造することができる。
【0070】
前記正極活物質は、二次電池の正極に通常用いられる活物質であれば使用可能である。例えば、Ni、Co、Mn、Na、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Ge、Sr、Ag、Ba、Zr、Nb、Mo、Al、Ga、B、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは2つ以上の金属を含むリチウム金属酸化物粒子を用いてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0071】
前記負極活物質は、二次電池の負極に通常用いられる活物質であれば使用可能である。リチウム二次電池の負極活物質は、リチウムのインターカレーションが可能な物質が好ましい。非限定的な一実施形態として、負極活物質は、リチウム(金属リチウム)、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、グラファイト、シリコン、Sn合金、Si合金、Sn酸化物、Si酸化物、Ti酸化物、Ni酸化物、Fe酸化物(FeO)、およびリチウム-チタン酸化物(LiTiO、LiTi12)の負極活物質群から選択される1つまたは2つ以上の物質であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0072】
前記導電材としては、通常の導電性炭素材を特に限定なく使用可能である。
前記金属材料の集電体は、導電性が高く、前記正極または負極活物質の合剤が容易に接着できる金属であり、電池の電圧範囲で反応性がないものであればいずれを用いてもよい。正極集電体の非限定的な例としては、アルミニウム、ニッケル、またはこれらの組み合わせにより製造される箔などが挙げられ、負極集電体の非限定的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金、またはこれらの組み合わせにより製造される箔などから選択されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0073】
前記正極と前記負極との間にはセパレータが介在され、セパレータを電池に適用する方法としては、一般的な方法である巻き取り(winding)の他にも、セパレータと電極の積層(lamination、stack)および折り畳み(folding)などが可能であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0074】
前記非水電解液は、電解質であるリチウム塩および有機溶媒を含み、リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常用いられるものであれば限定なく使用可能であり、Liで表すことができる。
【0075】
前記リチウム塩のアニオンとしては、特に限定されず、F、Cl、Br、I、NO3-、N(CN)2-、BF4-、ClO4-、PF6-、(CFPF4-、(CFPF3-、(CFPF2-、(CFPF、(CF、CFSO3-、CFCFSO3-、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO3-、CFCO2-、CHCO2-、SCN、および(CFCFSOのいずれか1つまたは2つ以上が用いられてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0076】
前記有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、スルホラン、γ-ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記非水電解液は、正極、負極、および正極と負極との間に介在されたセパレータからなる電極構造体に注入することができる。
【0077】
前記リチウム二次電池の外形は特に限定されないが、缶を用いた円筒形、角形、パウチ(pouch)形、またはコイン(coin)形などから選択されてもよい。
【0078】
以下、実施例および比較例に基づいて本開示についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は本開示をより詳細に説明するための1つの例示にすぎず、本開示が下記の実施例および比較例により限定されるものではない。
【0079】
[物性の測定方法]
(1)無機物層およびセパレータの厚さ
無機物層およびセパレータの厚さは、TESA社製のTESA Mu-HITE Electronic Height Gaugeを用い、測定圧力は0.63Nであった。
【0080】
(2)無機物層のコーティング量
無機物層のコーティング量は、コーティング前後のセパレータの重量を測定して計算した。コーティング前のセパレータおよびコーティング後にエージングステップを経たセパレータに対し、長さ1mに切断されたコーティング前/後の単位面積(m)当たりのセパレータの重量を測定し、コーティング重量(g/m)を計算した。この際、秤としては、Mettler-Toledo社製(USA)のXSE105機器を用いた。
【0081】
(3)通気度変化量(ΔG)
ガーレー(Gurley)透気度は、Toyoseiki社製の気孔測定器(Gurley densometer)を用いて、ASTM D726規格に準じて測定した。100ccの空気がセパレータの1平方インチの面積を通過するのにかかる時間を秒(second)単位で記録して比較した。測定されたガーレー透気度から下記数式1を用いて通気度変化量(ΔG)を計算した。
【0082】
[数式1]
ΔG=G-G
【0083】
前記Gは、無機物層が形成されたセパレータのガーレー(Gurley)透気度であり、前記Gは、多孔性基材自体のガーレー(Gurley)透気度であり、単位はsec/100ccである。
【0084】
(4)ボール紙接着力テスト
セパレータを50mm×50mmサイズに切断し、無機物層が下になるようにゴムパッド上に置いた。黒色ボール紙(20mm×50mm×T 0.25mm)をセパレータとゴムパッドとの間に置き、押圧装置を用いて一定圧力(10g/cm)を加えた。黒色ボール紙を強制的に側方に引き出し、表面上に付着した無機物の程度を確認し、付着の程度により次のグレード(Grade)を参照してA/B/Cまで判別した。
【0085】
A:付着しているものがない
B:無機物が少量付着している
C:バインダーと無機物がともに付着している
【0086】
(5)熱収縮率
横および縦10cm×10cmのセパレータを150℃で1時間放置した後の面積減少率を測定して熱収縮率を決めた。熱収縮評価は、数式2の長さ方向(MD、Machine Direction)の収縮率、および下記数式3の幅方向(TD、Transverse Direction)の収縮率を計算した。
【0087】
[数式2]
長さ方向の熱収縮率(%)=((加熱前の長さ方向の長さ-加熱後の長さ方向の長さ)/加熱前の長さ方向の長さ)×100
【0088】
[数式3]
幅方向の熱収縮率(%)=((加熱前の幅方向の長さ-加熱後の幅方向の長さ)/加熱前の幅方向の長さ)×100
【0089】
[化学式1の化合物の製造]
化学式1の化合物は、参考文献:Silicon、2013、5、187-197に従って製造された。各化合物の具体的な製造過程は次のとおりである。
【0090】
[製造例1]化合物1の製造
【化7】
【0091】
マグネチックスターラーおよびコンデンサーを備えた250mlの丸底フラスコに蒸留水100g、水酸化リチウム2.4g(0.1mole)、およびシアノエチルトリエトキシシラン10.9g(0.05mole)を入れ、撹拌しつつ還流反応を行った。反応中15分以内にアンモニアが発生する臭いがあり、臭いが消えるまで18時間反応させた。反応完了後、蒸留装置を設置し、57gの水を蒸留して除去した。温度は、初期98℃から始まり、10ml程度の除去後、100℃に達した。冷却後、水をさらに添加し、溶液の総体積が146mlになるようにした。この際、溶液中のSiの含量は0.962g/100mlであり、溶液のpHは12~13程度であった。
【0092】
1H NMR(in D2O, 500MHz) δ 3.50(quartet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 2.06(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Li), 1.03(triplet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 0.59.(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Li)
【0093】
[製造例2]化合物2の製造
【化8】
【0094】
マグネチックスターラーおよびコンデンサーを備えた250mlの丸底フラスコに蒸留水100g、水酸化ナトリウム4.0g(0.1mole)、およびシアノエチルトリエトキシシラン10.9g(0.05mole)を入れ、撹拌しつつ還流反応を行った。反応中15分以内にアンモニアが発生する臭いがあり、臭いが消えるまで18時間反応させた。反応完了後、蒸留装置を設置し、57gの水を蒸留して除去した。温度は、初期98℃から始まり、10ml程度の除去後、100℃に達した。冷却後、水をさらに添加し、溶液の総体積が146mlになるようにした。この際、溶液中のSiの含量は0.962g/100mlであり、溶液のpHは12~13程度である。
【0095】
1H NMR(in D2O, 500MHz) δ 3.45(quartet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 2.02(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na), 0.95(triplet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 0.55.(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na)
【0096】
[製造例3]化合物3の製造
【化9】
【0097】
マグネチックスターラーおよびコンデンサーを備えた250mlの丸底フラスコに蒸留水100g、水酸化ナトリウム6.0g(0.15mole)、およびシアノエチルトリエトキシシラン10.9g(0.05mole)を入れ、撹拌しつつ還流反応を行った。反応中15分以内にアンモニアが発生する臭いがあり、臭いが消えるまで18時間反応させた。反応完了後、蒸留装置を設置し、57gの水を蒸留して除去した。温度は、初期98℃から始まり、10ml程度の除去後、100℃に達した。冷却後、水をさらに添加し、溶液の総体積が146mlになるようにした。この際、溶液中のSiの含量は0.962g/100mlである。
【0098】
1H NMR(in D2O, 500MHz) δ 3.50(quartet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 2.06(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na), 1.03(triplet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 0.59.(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na)
【0099】
[製造例4]化合物4の製造
【化10】
【0100】
マグネチックスターラーおよびコンデンサーを備えた250mlの丸底フラスコに蒸留水100g、水酸化ナトリウム8.0g(0.2mole)、およびシアノエチルトリエトキシシラン10.9g(0.05mole)を入れ、撹拌しつつ還流反応を行った。反応中15分以内にアンモニアが発生する臭いがあり、臭いが消えるまで18時間反応させた。反応完了後、蒸留装置を設置し、57gの水を蒸留して除去した。温度は、初期98℃から始まり、10ml程度の除去後、100℃に達した。冷却後、水をさらに添加し、溶液の総体積が146mlになるようにした。この際、溶液中のSiの含量は0.962g/100mlである。
【0101】
1H NMR(in D2O, 500MHz) δ 3.50(quartet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 2.06(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na), 1.03(triplet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 0.59.(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Na)
【0102】
[製造例5]化合物5の製造
【化11】
【0103】
マグネチックスターラーおよびコンデンサーを備えた250mlの丸底フラスコに蒸留水100g、水酸化リチウム4.8g(0.15mole)、およびシアノエチルトリエトキシシラン10.9g(0.05mole)を入れ、撹拌しつつ還流反応を行った。反応中15分以内にアンモニアが発生する臭いがあり、臭いが消えるまで18時間反応させた。反応完了後、蒸留装置を設置し、57gの水を蒸留して除去した。温度は、初期98℃から始まり、10ml程度の除去後、100℃に達した。冷却後、水をさらに添加し、溶液の総体積が146mlになるようにした。この際、溶液中のSiの含量は0.962g/100mlである。
【0104】
1H NMR(in D2O, 500MHz) δ 3.50(quartet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 2.06(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Li), 1.03(triplet, J=7.0 Hz, CH3CH2OH), 0.59.(m, 2H, Si-CH2-CH2-CO2Li)
【0105】
[二次電池用セパレータの製造および物性評価]
[実施例1]
1)コーティング組成物の製造
製造例1で得られた化合物1の溶液24.21gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)34gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0106】
2)セパレータの製造
多孔性基材として、厚さ9μmのポリエチレン多孔性フィルム(porosity 50%、Gullery conct.70sec/100cc、tensile strength MD 2110kgf/cm、TD 1870kgf/cm)を用いた。多孔性基材の両面をコロナ放電処理(電力密度2W/mm)して表面極性基を導入し、この際、コロナ表面処理は、5mpm(meter per minute)の速度とした。前記コロナ放電処理された基材層の両面にカルボン酸基およびヒドロキシ基が存在することをFTIR分析から確認した。
【0107】
前記多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、40℃で1分間乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ1.4μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=11.8μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0108】
[実施例2]
1)コーティング組成物の製造
製造例2で得られた化合物2の溶液20.25gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)34gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0109】
2)セパレータの製造
前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ1.4μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=11.8μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0110】
[実施例3]
1)コーティング組成物の製造
製造例1で得られた化合物1の溶液24.21gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)34gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0111】
2)セパレータの製造
前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、40℃で1分間乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ2μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=13μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0112】
[実施例4]
1)コーティング組成物の製造
製造例2で得られた化合物2の溶液20.25gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)34gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0113】
2)セパレータの製造
前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、40℃で1分間乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ2.25μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=13.5μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0114】
[実施例5]
製造例1で得られた化合物1の溶液24.21gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)17gおよび平均粒径1.6μmのベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)17gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0115】
2)セパレータの製造
前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、40℃で1分間乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ2.35μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=13.7μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0116】
[実施例6]
製造例2で得られた化合物2の溶液20.25gを蒸留水100gに添加して分散させた後、平均粒径300nm(0.3μm)のベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)17gおよび平均粒径1.6μmのベーマイト(Boehmite、γ-AlOOH)17gを添加し、ホモミキサー(製品名:Dispermat LC、製造会社:VMA)を用いて混合し、均一な水系スラリーを製造した。
【0117】
2)セパレータの製造
前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面に前記水系スラリーをメイヤーバー(mayer bar)を用いて塗布し、40℃で1分間乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ2.45μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=13.9μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0118】
[比較例1]
蒸留水50.0gに平均粒径800nm(0.8μm)のベーマイト30.0gおよびTが-52℃のアクリルラテックス(ZEON、BM900B、固形分含量20重量%)15.0gを混合したスラリーを製造し、それを前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面にコーティングして乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ2μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=13μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0119】
[比較例2]
蒸留水56.0gに平均粒径350nm(0.35μm)のベーマイト22.4g、溶融温度が220℃であり、鹸化度が99%であるポリビニルアルコール(PVA)8.5g、およびTが-52℃のアクリルラテックス(ZEON、BM900B、固形分含量20重量%)0.8gを混合したスラリーを製造し、それを前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面にコーティングして乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ1.5μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=12μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0120】
[比較例3]
蒸留水96.7gにアミノプロピルシラントリオール(Aminopropylsilanetriol)3.3gを添加し、乳酸を添加してpH4.5の3.3wt%シラン溶液を製造した後、平均粒径350nm(0.35μm)のベーマイト(Boehmite)29gを添加してスラリーを製造し、それを前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面にコーティングして乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ1.5μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=12μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
【0121】
[比較例4]
蒸留水96.7gにアミノプロピルシラントリオール(Aminopropylsilanetriol)3.3gを添加して3.3wt%シラン溶液を製造した後、平均粒径350nm(0.35μm)のベーマイト(Boehmite)29gを添加してスラリーを製造し、それを前記実施例1と同様の方法で多孔性基材の両面にコーティングして乾燥し、多孔性基材の両面に厚さ1.5μmの無機物層をそれぞれ形成した。無機物層が形成された基材を80℃で12時間エージング(aging)するステップを経て、二次電池用セパレータ(総厚さ=12μm)を製造した。上記で製造されたセパレータを用いて測定した物性を表1に示した。
前記実施例1~6および比較例1~4の二次電池用セパレータの物性を下記表1に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
前記表1に示すように、実施例のセパレータは、いずれも通気度変化量が低く、ボール紙接着力に優れ、150℃の高温収縮率が1%以下と非常に優れる。
【0124】
具体的に、実施例のセパレータは、15sec/100cc以下の通気度変化量を示しており、特定のシランアルカリ金属塩化合物および無機粒子を含むセパレータコーティング組成物から形成された無機物層を有するにもかかわらず、比較例のものと比べて、通気度変化量が著しく低いレベルの優れた通気度を有する。
【0125】
すなわち、実施例のセパレータは、無機粒子と多孔性基材との接着力が向上し、通気度の低い変化量により減少した界面抵抗特性を示す。また、実施例のセパレータは、優れた通気度により電解液の移動、特にリチウムイオンの移動をさらに容易にし、二次電池の内部抵抗の増加を効果的に抑制させ、実施例のセパレータを含む二次電池は、出力および寿命特性に有利な効果を得ることができる。
【0126】
また、実施例のセパレータは、150℃の高温収縮率がいずれも1%以下であって、比較例に比べて熱収縮変化がかなり小さく、具体的に、MD方向の収縮率が0.5%以下、TD方向の収縮率が1%以下であった。このようなセパレータの熱収縮の抑制により、今後の二次電池に適用時にレート特性および寿命特性を効果的に改善させることができる。
【0127】
さらに、実施例のセパレータは、ボール紙接着力テストの結果、比較例のものと比較して、商業的に使用可能なレベルの接着力を有し、優れたコーティング物性を有することが分かる。
【0128】
一方、比較例3の場合、セパレータの製造時に酸を必須に含み、他の比較例に比べて改善された物性を実現したが、必須に含まれる酸により工程設備の腐食を引き起こすか、または工程中の作業安全性を損なうなどの問題が発生し得る。
【0129】
以上のように、実施例のセパレータは、優れた通気度および収縮率を有し、二次電池に適用時に負極と正極でのイオン間の移動が容易であるだけでなく、耐熱性に優れ、電極の短絡を効果的に防止し、電池の安全性を向上させることができる。
【0130】
[リチウム二次電池の製造および物性評価]
前記実施例1~6および比較例1~4で製造されたセパレータを用いて下記のように電池を作製し、電池の放電抵抗を測定した。
【0131】
(1)正極の製造
正極活物質としてLiCoO 94重量%、結合剤としてポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride、PVDF)2.5重量%、および導電材としてカーボンブラック(Carbon-black)3.5重量%を、溶媒であるNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して撹拌し、均一な正極スラリーを製造した。上記で製造された正極スラリーを厚さ30μmのアルミニウム箔上にコーティング、乾燥、および圧着し、総厚さ150μmの正極を製造した。
【0132】
(2)負極の製造
負極活物質として人造黒鉛95重量%、結合剤としてTが-52℃のアクリルラテックス(Acrylic latex、商品名:BM900B、固形分含量:20重量%)3重量%、および増粘剤としてCMC(Carboxymethyl cellulose)2重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、均一な負極スラリーを製造した。上記で製造された負極スラリーを厚さ20μmの銅箔上にコーティング、乾燥、および圧着し、総厚さ150μmの負極を製造した。
【0133】
(3)電池の製造および放電抵抗の測定
前記実施例1~6および比較例1~4で製造されたセパレータを上記で製造された正極と負極との間に積層(Stacking)する方式でパウチ型電池を組み立てた後、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=3:5:2(体積比)の溶液にリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を1Mの濃度で溶解した電解液を注入して密封し、容量2Ahのリチウム二次電池を製造した。前記方法により製造された電池に対し、J-パルス(Japan Electric Vehicle Association Standards、JEVS D 713)方法で放電抵抗を測定し、下記表2にその結果を示した。
【0134】
【表2】
【0135】
前記表2に示すように、前記実施例のセパレータを用いて製造したリチウム二次電池の場合、低い放電抵抗を有し、具体的に、前記比較例のセパレータを用いて製造した電池に比べて3%以上低くなった放電抵抗を示しており、放電時に抵抗安定性に優れ、放電過電圧が低く維持され、優れた電池駆動特性、すなわち電池の充放電効率に優れ、電池の充放電時に熱発生が低く、電池の安定性が増加し、また、電池の高出力の実現に利点を有する。
【0136】
一方、比較例3のセパレータを用いて製造したリチウム二次電池は、実施例と同様な程度の放電抵抗を示すが、上述したように、比較例3のセパレータの製造時に必須に含まれる酸により工程設備の腐食を引き起こすか、または工程中の作業安全性を損なうなどの問題が発生し得る。比較例4のセパレータは、酸を用いずに比較例3のセパレータと同一の成分から製造されたものであるが、前記表2に示すように、セパレータとして役割をするためには必ず酸が必須であることが分かる。
【0137】
以上、本発明では特定の事項と限定された実施例により二次電池用セパレータ、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池を説明したが、これは本発明のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本発明は上記の実施例に限定されない。本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0138】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて決まってはならず、後述の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、いずれも本発明の思想の範囲に属するといえる。