(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041078
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】スケジュール作成システム、スケジュール作成装置、スケジュール作成方法並びに勤務表作成方法及びスケジュール作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240318BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148821
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022145140
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520074387
【氏名又は名称】株式会社CareMaker
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】山村 真稔
(72)【発明者】
【氏名】水谷 優斗
(72)【発明者】
【氏名】入江 龍雅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】訪問によりサービスを提供する業務におけるスタッフのスケジュールを割り当て調整する
【解決手段】
少なくとも通信手段、記憶部、制御部を有するスケジュール作成装置と利用者端末と管理者用端末及びスタッフ用端末とが、通信回線を介して接続され、前記スケジュール作成装置は通信手段、記憶部、制御部を有し、前記記憶部は、利用者登録情報記憶部、スタッフ登録情報記憶部、利用受付情報記憶部、コスト記憶部を有し、前記制御部は、スケジュール割付処理部、コスト付与処理部、コスト算出処理部とを備え、前記コスト付与処理部はスケジュール作成の条件にそれぞれコストを付与し、コスト算出処理部は、前記付与されたコストから合計コストを算出し、算出された合計コストの低い方から複数のスケジュール候補を選出し、スケジュールを決定する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成装置と、
少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末と、管理者用端末と、スタッフ用端末とが、
通信回線を介して接続されてなるスケジュール作成システムであって、
前記スケジュール作成装置は、
少なくとも通信手段、記憶部、制御部を有し、
前記スケジュール作成装置の通信手段には、
前記利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受信する利用受付情報受信部と、
前記利用者端末とスタッフ用端末との間で情報を送受信する情報送受信部とを有し、
前記記憶部には、
訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所、連絡先等の情報が記憶される利用者登録情報記憶部と、前記利用受付情報受信部で受信したサービス利用受付情報を記憶する利用受付情報記憶部を含む利用者情報記憶部と、
訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報が記憶されるスタッフ登録情報記憶部と、
スケジュールの候補作成のために付与されるコストを記憶するコスト記憶部を有し、
前記制御部は、
前記利用者端末から送信されたサービス利用受付情報に対して、前記利用者情報記憶部の情報と、前記スタッフ登録情報記憶部の情報を参照して、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当てるスケジュール割付処理部と、
利用者端末から送信される利用者のサービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストを付与するコスト付与処理部と、
前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者のサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストを算出するコスト算出処理部とを備え、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュール候補を選出することを特徴とするスケジュール作成システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュールを選出し割り当てスケジュール候補を作成するスケジュール候補作成処理部と
前記割り当てスケジュール候補の中から管理者用端末又は利用者端末により選択されたスケジュールを、決定スケジュールとして処理するスケジュール決定処理部と、
前記決定したスケジュール情報を、管理者用端末、利用者端末及びスタッフ用端末のいずれか、または全てで表示可能に可視化処理するシフト情報処理部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項3】
前記スケジュール割付処理部は、前記利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部及び利用者登録情報記憶部の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成するルート作成処理部と、そのルートに割り当てるスタッフの候補をスタッフ登録情報記憶部の情報から算出するスタッフ候補算出処理部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項4】
前記コスト付与処理部において付与されるコストは、サービス利用受付情報ごとに、該サービス利用受付情報と適合する場合には、適合しない場合よりも低いコストが設定され、適合しない場合には適合する場合より大きい所定の値が設定されることを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項5】
前記コスト付与処理部において付与されるコストは、サービス受付情報、利用者登録情報、スタッフ登録情報、移動距離又は移動時間を基準に設定されることを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項6】
既にスケジュールが作成された後に、新たに利用者受付情報を受信した場合において、前記コスト付与処理部は、その新たな利用者受付情報の住所と、関連する他の利用者情報の住所との間で移動距離を算出し、その距離に応じてコストを付与し、
及び関連する全てのスタッフについて、受信した利用者受付情報との関係で同様にコストを算出し、割り当てスケジュール候補を抽出することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項7】
前記利用者情報記憶部に、
過去に付与されたコスト情報を記憶し機械学習させ、
新たにコストを付与する際に、前記記憶したコスト情報に基づいて最適なスケジュールを抽出することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項8】
前記利用者情報記憶部に、
過去に抽出されたスケジュール候補と、前記抽出されたスケジュール候補の中から選択したスケジュールを記憶し機械学習させ、
新たにコストを付与する際に、前記記憶した抽出されたスケジュール候補と、その中から選択したスケジュールとの関係から、最適なコストパラメータを算出するよう機械学習させ、
コスト算出処理部では、前記機械学習により算出したコストパラメータを設定し、コスト算出処理をすることを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項9】
前記ルート作成処理部は、
前記利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部及び利用者登録情報記憶部の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成するにあたり、まずは、利用者情報記憶部から取得したスケジュールを作成する日の全訪問希望件数の希望条件と移動時間及びスタッフ登録情報記憶部から取得したスタッフの情報から、
a)時間が重複しているシフト
b)希望条件上、重複しないルート数
c)合計シフト数/スタッフの目標シフト件数
を算出し、前記a)~c)のうち、最も大きい数を当該スケジュールを作成する日の1日の必要ルート数とし、前記必要ルート数のルート候補を作成し、
前記スタッフ候補算出処理部は、スタッフ登録情報記憶部の情報から前記ルート候補に割り当てるスタッフの候補を算出し、
前記コスト算出処理部は、前記スタッフ候補算出処理部で算出されたスタッフ候補を前記ルート作成処理部で作成されたルート候補に割り付けた場合の合計コストを算出することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成システム。
【請求項10】
前記利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受信する利用受付情報受信部と、情報の送受信を行う情報送受信部とからなる通信手段と、
少なくとも、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所、連絡先等の情報が記憶される利用者登録情報記憶部と、前記利用受付情報受信部で受信したサービス利用受付情報を記憶する利用受付情報記憶部と、を含む利用者情報記憶部と、
訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報が記憶されるスタッフ登録情報記憶部と、
スケジュールの候補作成のために付与されるコストを記憶するコスト記憶部とからなる記憶部と
前記利用者端末から送信されたサービス利用受付情報に対して、前記利用者情報記憶部の情報と、前記スタッフ登録情報記憶部の情報を参照して、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当てるスケジュール割付処理部と、
利用者端末から送信される利用者のサービス利用受付情報について、スタッフ毎のスタッフ登録情報に基づいてあらかじめ定めたコストを付与するコスト付与処理部と、
前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コスト数を算出するコスト算出処理部と、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュールを選出し割り当てスケジュール候補を作成するスケジュール候補作成処理部と
前記割り当てスケジュール候補の中から管理者用端末又は利用者端末により選択されたスケジュールを、決定スケジュールとして処理するスケジュール決定処理部と、
前記決定した情報を、管理者用端末、利用者端末及びスタッフ用端末のいずれか、または全てで表示可能に可視化処理するシフト情報処理部からなる制御部を備えてなることを特徴とするスケジュール作成装置。
【請求項11】
訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成方法であって、
少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部で受け付けるステップと(ステップ1)、
利用受付情報受信部で受け付けたサービス利用受付情報を利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部に記憶するステップと(ステップ2)、
前記サービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストをコスト付与処理部で付与するステップと(ステップ3)、
前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部で算出するステップと(ステップ4)、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部で抽出するステップと(ステップ5)、
前記抽出したスケジュール候補の中から決定したスケジュールを前記スケジュール割付処理部により割付け、シフト情報処理部で勤務表を作成し、利用者端末やスタッフ用端末で確認・情報共有可能にシフト情報を処理するステップと(ステップ6)
を含み、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部で抽出するステップは、前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から順に複数、スケジュール候補とすることを特徴とするスケジュール作成方法。
【請求項12】
訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成方法を利用して勤務表を作成する勤務表自動作成方法であって、
少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部で受け付けるステップと(ステップ1)、
利用受付情報受信部で受け付けたサービス利用受付情報を利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部に記憶するステップと(ステップ2)、
利用者が訪問を希望した日の訪問先の件数と前記訪問先の移動距離を算出し、必要なルートをルート作成処理部で作成するステップと(ステップ3)、
前記ルート作成処理部で作成されたルートに、スタッフ登録情報記憶部の情報からスタッフ候補をスタッフ候補算出処理部で算出するステップと(ステップ4)、
前記スタッフ候補算出処理部で算出されたスタッフ候補を前記ルート作成処理部で作成されたルートに割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部で算出するステップと(ステップ5)、
算出された合計コストのうち、もっとも低いコストのスタッフを抽出し(ステップ6)、
前記もっとも低いコストのスタッフをルート作成処理部で作成されたルートのシフトを割り当てるスタッフ候補とし(ステップ7)、
前記スタッフ候補から構成される勤務表案を含む1つまたは複数の勤務表案を提供することを特徴とする勤務表作成方法。
【請求項13】
利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受け付け、
前記受け付けたサービス利用受付情報のうち、スケジュール作成に関連する希望条件について、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所等の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報を参照し、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当て、
前記サービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストを付与し、
前記付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストをコスト算出し、
前記算出された合計コストを参照して、スケジュール候補を抽出し、
前記抽出したスケジュール候補の中から決定したスケジュールをスケジュール表に割付ける処理をコンピュータに実行させるスケジュール作成プログラム。
【請求項14】
前記算出された合計コストを参照して、抽出するスケジュール候補が、前記算出された合計コストの低い方から順に複数選出し、スケジュール候補とすることを特徴とする請求項13に記載のスケジュール作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訪問によりサービスを提供する業務におけるスタッフのスケジュールを割り当て調整するスケジュール作成システム、スケジュール作成装置、スケジュール作成方法並びに勤務表作成方法及びスケジュール作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
訪問によりサービスを提供する業務は、サービスを提供する事業者が、そのサービスを利用する利用者の条件に合わせてサービスを提供するスタッフを決め、その決まったスタッフを利用者の希望する場所に訪問させて希望するサービスを提供する。
そのため、サービスを提供する事業者は、利用者の条件と、スタッフの勤務要件等を照らし合わせて、サービスを提供するために訪問する日や曜日、時間、サービスの種類についてスケジュールの調整、管理を行う。
【0003】
訪問によりサービスを提供する業務におけるスケジュールの調整は、利用者によって希望する条件が様々であり、画一的にできるものではなく複雑な調整が必要であり、また1度決まったスケジュールに対する変更も少なくなく、さらに、サービスを提供するスタッフの人数も限られていて、様々な条件を満たすようにスケジュールを作成、調整する作業は過大な負担を強いるものである。
【0004】
一般に、このスケジュールの調整は、サービスを提供する事業者の管理者、担当者が手作業で行う。まず、利用者の登録、スタッフの登録、サービス利用の受付を行い、それらの情報を表計算ソフト等に入力して記録し、スケジュール表から利用者の条件を満たすスケジュールを探して調整する。そして、そのスケジュール情報をスケジュール表に入力し可視化した上で、スタッフや利用者等と情報共有するために連絡をする。
また、緊急のサービス利用の受付があった場合や、スタッフの都合に変更があった場合には、また一からスケジュールを調整してシフトを組み直して、上記の手順で関係者に連絡をする。
【0005】
このような手作業によるスケジュール調整は、作業時間がかかる上、入力ミス等によるトラブルも少なくない。また、利用者、スタッフの人数が増えれば増えるほど、調整は複雑になり、過大な労力が必要となる。
特に、訪問によりサービスを提供する業務において、スタッフの移動時間はスケジュール調整の中でも重要な要素であり、しかし、いちいち地図上で利用者毎の住所を確認して調整するような余裕はなく、結局移動に時間がかかってしまい非効率なスケジュールを作成してしまうという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、訪問によりサービスを提供する業務である訪問介護サービスについて、特開2016-91525号公報では、顧客宅までの移動時間が最小のヘルパーに訪問介護を割り付けることにより、業務の軽減および訪問作業の効率化を図ることができる訪問介護業務表の作成システムが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示される訪問介護業務表の作成システムでは、介護ヘルパーの所在場所と介護サービス利用者間の緯度・経度から算出された直線距離に距離係数マスタから読みだされた係数を掛けた移動距離を速度算出マスタから算出された移動速度で割って移動時間を算出する構成であり、そこから算出された最小移動時間の介護ヘルパーがスケジュールに割り当てられるものであり、介護ヘルパーの移動時間が少なく効率的なスケジュールが作成できる。
【0009】
しかし、画一的に算出された介護ヘルパーの移動時間だけで割り当てられた介護ヘルパーが、利用者の希望条件に最適であるとは限らない。訪問によりサービスを提供するという業務の特殊性から、移動時間の効率化を含めて、利用者に最適なサービスを提供できる人材を、的確に割り当てることが重要である。
上記特許文献1に開示されるシステムでは、特殊な介護が必要な場合には、システム内で割付ができず、管理者が手作業で条件にあう介護ヘルパーを探して割り付けざるを得ない。それでは管理者の負担は、中途半端に増えるだけであり、総合的な効率化が図れていない。
【0010】
訪問して提供されるサービスとは、例えば、訪問看護・介護・診療サービス、各種製品の取り付け工事やメンテナンスサービス等であり、これらは利用者の希望に添ったサービスを提供することが最も重要である。
一方、顧客ごとに訪問してサービスを提供するスタッフが、効率よくスケジュールに対応することで、処理できる(受注できる)件数を増やすことは、訪問サービスを提供する事業者の利益に直結する。
また、訪問してサービスを提供するという業務は、心理的にも労働力的にも、プレッシャーが大きく負荷がかかってしまう。過度にスタッフに負荷をかけないように無理のないスケジュールの勤務表を作成することは、スタッフの心身を守るためにも重要である。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するため、訪問サービスを提供するスタッフの移動時間に無駄がなく効率的で、かつ利用者が希望する条件を最大限に満たす最適な割当ができるスケジュールを作成するシステム、スケジュール作成装置、スケジュール作成方法並びに勤務表作成方法及びスケジュール作成プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
[1]訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成装置と、少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末と管理者用端末とスタッフ用端末とが、通信回線を介して接続されてなるスケジュール作成システムであって、前記スケジュール作成装置は、少なくとも通信手段、記憶部、制御部を有し、前記スケジュール作成装置の通信手段には、前記利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受信する利用受付情報受信部と、前記利用者端末とスタッフ用端末との間で情報を送受信する情報送受信部とを有し、前記記憶部には、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所、連絡先等の情報が記憶される利用者登録情報記憶部と、前記利用受付情報受信部で受信したサービス利用受付情報を記憶する利用受付情報記憶部を含む利用者情報記憶部と、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報が記憶されるスタッフ登録情報記憶部と、スケジュールの候補作成のために付与されるコストを記憶するコスト記憶部を有し、前記制御部は、前記利用者端末から送信されたサービス利用受付情報に対して、前記利用者情報記憶部の情報と、前記スタッフ登録情報記憶部の情報を参照して、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当てるスケジュール割付処理部と、利用者端末から送信される利用者のサービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストを付与するコスト付与処理部と、
前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者のサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストを算出するコスト算出処理部とを備え、前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュール候補を選出することを特徴とするスケジュール作成システム。
【0013】
[2]前記制御部は、前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュールを選出し割り当てスケジュール候補を作成するスケジュール候補作成処理部と、前記割り当てスケジュール候補の中から管理者用端末又は利用者端末により選択されたスケジュールを、決定スケジュールとして処理するスケジュール決定処理部と、前記決定したスケジュール情報に基づいて勤務表を作成し、管理者用端末、利用者端末及びスタッフ用端末のいずれか、または全てで表示可能に可視化処理するシフト情報処理部を備えてなることを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0014】
[3]前記スケジュール割付処理部は、前記利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部及び利用者登録情報記憶部の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成するルート作成処理部と、そのルートに割り当てるスタッフの候補をスタッフ登録情報記憶部の情報から算出するスタッフ候補算出処理部を備えてなることを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0015】
[4] 前記コスト付与処理部において付与されるコストは、各サービス利用受付情報毎に、該サービス利用受付情報と適合する場合には、適合しない場合よりも低いコストが設定され、適合しない場合には適合する場合より大きい所定の値が設定されることを特徴とする[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0016】
[5]前記コスト付与処理部において付与されるコストは、サービス受付情報、利用者登録情報、スタッフ登録情報、移動距離又は移動時間を基準に設定されることを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0017】
[6]既にスケジュールが作成された後に、新たに利用者受付情報を受信した場合において、前記コスト付与処理部は、その新たな利用者受付情報の住所と、関連する他の利用者情報の住所との間で移動距離を算出し、その距離に応じてコストを付与し、及び関連する全てのスタッフについて、受信した利用者受付情報との関係で同様にコストを算出し、割り当てスケジュール候補を抽出することを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0018】
[7]前記利用者情報記憶部に、過去に付与されたコスト情報を記憶し機械学習させ、新たにコストを付与する際に、前記記憶したコスト情報に基づいて最適なスケジュールを抽出することを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0019】
[8]前記利用者情報記憶部に、過去に抽出されたスケジュール候補と、前記抽出されたスケジュール候補の中から選択したスケジュールを記憶し機械学習させ、新たにコストを付与する際に、前記記憶した抽出されたスケジュール候補と、その中から選択したスケジュールとの関係から、最適なコストパラメータを算出するよう機械学習させ、コスト算出処理部では、前記機械学習により算出したコストパラメータを設定し、コスト算出処理をすることを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0020】
[9]前記ルート作成処理部は、前記利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部及び利用者登録情報記憶部の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成するにあたり、まずは、利用者情報記憶部から取得したスケジュールを作成する日の全訪問希望件数の希望条件と移動時間及びスタッフ登録情報記憶部から取得したスタッフの情報から、
a)時間が重複しているシフト
b)希望条件上、重複しないルート数
c)合計シフト数/スタッフの目標シフト件数
を算出し、前記a)~c)のうち、最も大きい数を当該スケジュールを作成する日の1日の必要ルート数とし、前記必要ルート数のルート候補を作成し、
前記スタッフ候補算出処理部は、スタッフ登録情報記憶部の情報から前記ルート候補に割り当てるスタッフの候補を算出し、前記コスト算出処理部は、前記スタッフ候補算出処理部で算出されたスタッフ候補を前記ルート作成処理部で作成されたルート候補に割り付けた場合の合計コストを算出することを特徴とする前記[1]に記載のスケジュール作成システム。
【0021】
[10]前記利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受信する利用受付情報受信部と、情報の送受信を行う情報送受信部とからなる通信手段と、少なくとも、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所、連絡先等の情報が記憶される利用者登録情報記憶部と、前記利用受付情報受信部で受信したサービス利用受付情報を記憶する利用受付情報記憶部と、を含む利用者情報記憶部と、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報が記憶されるスタッフ登録情報記憶部と、スケジュールの候補作成のために付与されるコストを記憶するコスト記憶部とからなる記憶部と、前記利用者端末から送信されたサービス利用受付情報に対して、前記利用者情報記憶部の情報と、前記スタッフ登録情報記憶部の情報を参照して、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当てるスケジュール割付処理部と、利用者端末から送信される利用者のサービス利用受付情報について、スタッフ毎のスタッフ登録情報に基づいてあらかじめ定めたコストを付与するコスト付与処理部と、前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コスト数を算出するコスト算出処理部と、前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から複数のスケジュールを選出し割り当てスケジュール候補を作成するスケジュール候補作成処理部と、前記割り当てスケジュール候補の中から管理者用端末又は利用者端末により選択されたスケジュールを、決定スケジュールとして処理するスケジュール決定処理部と、前記決定した情報を、管理者用端末、利用者端末及びスタッフ用端末のいずれか、または全てで表示可能に可視化処理するシフト情報処理部からなる制御部を備えてなることを特徴とするスケジュール作成装置。
【0022】
[11]訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成方法であって、少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部で受け付けるステップと(ステップ1)、利用受付情報受信部で受け付けたサービス利用受付情報を利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部に記憶するステップと(ステップ2)、前記サービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストをコスト付与処理部で付与するステップと(ステップ3)、前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部で算出するステップと(ステップ4)、前記コスト算出処理部で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部で抽出するステップと(ステップ5)、前記抽出したスケジュール候補の中から決定したスケジュールを前記スケジュール割付処理部により割付け、シフト情報処理部で勤務表を作成し、利用者端末やスタッフ用端末で確認・情報共有可能にシフト情報を処理するステップと(ステップ6)を含み、
前記コスト算出処理部で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部で抽出するステップは、前記コスト算出処理部で算出された合計コストの低い方から順に複数、スケジュール候補とすることを特徴とするスケジュール作成方法。
【0023】
[12]訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成方法を利用して勤務表を作成する勤務表自動作成方法であって、少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部で受け付けるステップと(ステップ1)、利用受付情報受信部で受け付けたサービス利用受付情報を利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部に記憶するステップと(ステップ2)、利用者が訪問を希望した日の訪問先の件数と前記訪問先の移動距離を算出し、必要なルートをルート作成処理部で作成するステップと(ステップ3)、前記ルート作成処理部で作成されたルートに、スタッフ登録情報記憶部の情報からスタッフ候補をスタッフ候補算出処理部で算出するステップと(ステップ4)、前記スタッフ候補算出処理部で算出されたスタッフ候補を前記ルート作成処理部で作成されたルートに割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部で算出するステップと(ステップ5)、算出された合計コストのうち、もっとも低いコストのスタッフを抽出し(ステップ6)、前記もっとも低いコストのスタッフをルート作成処理部で作成されたルートのシフトを割り当てるスタッフ候補とし(ステップ7)、前記スタッフ候補から構成される勤務表案を含む1つまたは複数の勤務表案を提供することを特徴とする勤務表作成方法。
【0024】
[13]利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受け付け、前記受け付けたサービス利用受付情報のうち、スケジュール作成に関連する希望条件について、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所等の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報を参照し、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当て、前記サービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストを付与し、前記付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストをコスト算出し、前記算出された合計コストを参照して、スケジュール候補を抽出し、前記抽出したスケジュール候補の中から決定したスケジュールをスケジュール表に割付け、勤務表を作成する処理をコンピュータに実行させるスケジュール作成プログラム。
【0025】
[14]前記算出された合計コストを参照して、抽出するスケジュール候補が、前記算出された合計コストの低い方から順に複数選出し、スケジュール候補とすることを特徴とする前記[13]に記載のスケジュール作成プログラム。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、利用者が希望する様々な条件にそれぞれコストを付与し、あわせてスタッフに関係する条件に対してもコスト付与し、さらに移動距離ごとにもコストを付与し、これらを合算した合計コストから総合的にスケジュールを作成するので、利用者が希望する条件に沿って最適なサービスを提供できるスケジュールの作成ができる。
また、上記のようにスケジュールの候補の作成には、スタッフの登録条件も含まれることから、スタッフが効率よく利用者を訪問してサービスを提供でき、かつ過度な負荷がかかる労働を防止することができる。
また、本発明によれば、利用者からの利用受付情報に基づいて最適なスタッフを割り当ててスケジュールを作成するだけでなく、複数の利用者の希望条件を考慮したルートの作成と、そのルートに対して割り当てる最適なスタッフ候補の抽出ができる、効率のより勤務表案の作成ができる。
このように、本発明によれば、利用者の希望条件に最適なスタッフを優先的に割り当てるスケジュールの作成が自動的にでき煩雑で複雑な手作業が不要となり、また、スタッフとルート、あるいはスタッフの稼働状態を考慮した効率のよい最適な勤務表を作成することができるので、スケジュール作成者の労力を大きく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明にかかるスケジュール作成システムの構成例を示す図
【
図2】本発明にかかるスケジュール作成システムのスケジュール作成装置の構成例を示す図
【
図3】本発明における利用者端末の表示部に表示されるサービス利用受付情報の入力画面の例を示す図
【
図4】本発明における利用受付情報記憶部の情報格納例を示す図
【
図5】本発明における利用者登録情報記憶部の情報格納例を示す図
【
図6】本発明におけるスタッフ登録情報記憶部の情報格納例を示す図
【
図9】本発明におけるスタッフの移動距離に基づくコスト付与処理の例を示す図
【
図10】本発明におけるスタッフAについて処理されたコスト表の他の例を示す図
【
図11】本発明における利用受付情報記憶部221に記憶された情報の例を示す図
【
図12】本発明におけるコスト算出用テーブルの例を示す図
【
図13】本発明におけるスケジュール表の他の例を示す図
【
図14】本発明における提案可能な時間帯を抽出した結果を示す図
【
図15】本発明におけるコスト算出用テーブルの例を示す図
【
図17】本発明におけるスケジュール作成にかかる処理の流れを示すフローチャート
【
図18】本発明にかかるスケジュール作成システムを利用したスケジュール作成にかかる全体の流れを示す説明用図面
【
図19】本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成にかかる処理のうち最適なルートを作成する流れを示すフローチャート
【
図20】ルートを算出する際の処理方法の例を示す説明図
【
図21】ルートに割り当てるスタッフ候補提案処理を説明する図
【
図22】本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成の実施例の説明図
【
図23】本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成の実施例の説明図
【
図24】本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成の実施例の説明図
【
図25】本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成にかかる処理のうち最適なスタッフ候補を選出する流れを示すフローチャート
【
図26】本発明にかかる全訪問先の利用者の希望条件から条件コストの計算手順の流れを示すフローチャート
【
図27】本発明にかかる稼働コストの計算手順の流れを示すフローチャート
【
図28】本発明にかかる相性コストの計算手順の流れを示すフローチャート
【
図29】サービス提供日(稼働日)における訪問ルートに割り当てる最適なスタッフ候補を提案処理するために収集された情報の例を示す説明図
【
図30】サービス提供日(稼働日)における訪問ルートの算出結果を示す例を示す説明図
【
図31】コスト付与処理部で、7月10日に稼働可能なスタッフBについてコスト付与処理をし、コスト算出した結果を示す例の説明図
【
図32】コスト付与処理部で、7月10日に稼働可能なスタッフCについてコスト付与処理をし、コスト算出をした結果を示す例の説明図
【
図33】コスト付与処理部で、7月10日に稼働可能なスタッフDについてコスト付与処理をし、コスト算出した結果を示す例の説明図
【
図35】条件コストと稼働コストの算出情報から合計コストを算出した状態を示す説明図である
【
図36】相性コストを算出するために必要となるグループ内のコスト順位を表す図
【
図37】条件コスト、稼働コスト及び相性コストを合計した算出結果にもとづいて候補スタッフの提案を示す表
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明にかかるスケジュール作成システムの実施の形態を、図に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施可能であり、以下の実施の形態に記載される構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0029】
図1は、本発明にかかるスケジュール作成システムの構成例を示す図、
図2は本発明にかかるスケジュール作成システムのスケジュール作成装置の構成例を示す図である。
図中、1はスケジュール作成システム、2はスケジュール作成装置、3は利用者端末(3aはサービスを受ける利用者用、3bは利用者をサポートする者用)、4はサービスを提供する事業者の管理者用の管理者用端末、5はサービスを提供するスタッフ用のスタッフ用端末、100はインターネット等のネットワークである。
【0030】
本発明にかかるスケジュール作成システム1は、訪問によりサービスを提供する事業において、訪問によりサービスの提供を受ける利用者に最適なサービスを提供できるスケジュールを作成することを目的とするものである。
訪問により提供されるサービスとしては、訪問介護・看護・診療サービス、家電製品や家具の設置や取り付け工事などのサービス、電話回線の工事や特殊技能を必要とする電気工事などのサービス、その他各種製品のメンテナンスサービス等、保険や各種契約の内容の説明のための訪問サービス、住宅の修理サービス等が挙げられ、本発明は、これら様々な業種で訪問により提供されるサービスに利用できるシステムとなっている。
本実施例では、特に利用者側の条件と、サービスを提供する事業者側の条件とが、両方ともいろいろな事情で数が多く多岐にわたり、様々な業種の中でも最もスケジュールの作成が複雑であり、ある意味において人の生命や健全な生活に関わるため非常に気を遣う必要があって重労働であると言われる訪問介護・看護・診療サービスを例として説明する。
【0031】
[本発明における「利用者」]
本発明における「利用者」とは、訪問により提供されるサービスを利用する者である。
本実施例で説明する訪問介護・看護・診療サービスの例では、「利用者」とは、介護サービスを利用する高齢者や障害者等の要介護者、看護・診療サービスを利用する患者や、その親族等である。
【0032】
また、「利用者」には、要介護者や患者が訪問サービスの提供を受けるのをサポートする人も含まれる。例えば、訪問介護サービスの場合、「利用者」である要介護者の介護ケアのプランニングやマネージメントをするケアマネージャーが担当についていて、そのケアマネージャーが介護サービス提供事業所等に申込や相談を行うことが一般的である。
したがって、本実施例において「利用者」は、訪問によりサービスを受ける側となる要介護者や患者、そしてそのような人達をサポートするケアマネージャー(介護支援専門員)を含めて「利用者」として説明する。
以下、実施例の説明では、訪問サービスを利用する要介護者や患者をサポートする人を「利用者」の他、「サポーター」あるいは理解を容易にするために、「ケアマネ」と称する場合がある。
【0033】
なお、訪問介護・看護・診療サービス以外の訪問によりサービスを提供する業種においても、同様であり、例えば、訪問により家電の取付け工事のサービスを提供する場合、利用者は家電の取り付けを希望する家電の購入者であり、そのサポーターは家電の販売店が該当する。家電の販売店が、訪問により取り付けサービスを提供する工事業者との間で、スケジュールを調整するケースの場合、「利用者」に家電の販売店が含まれる。
【0034】
そして、上記「利用者」の訪問サービスを受けるための情報を入力し、情報を送受信する端末が利用者端末3である。利用者がサービスを受けるための情報は、利用者本人、利用者の親族及び利用者をサポートするケアマネから提供される。そして、その情報を入力し、スケジュール作成装置に情報を送信するのに操作される端末が利用者端末3である。すなわち、本発明における「利用者端末」は、サービスを利用する利用者の情報を入力し、スケジュール作成装置2に情報を送受信するための端末を意味し、その入力操作をする者を限定するものではない。
したがって、利用者端末3は、前記情報を入力する利用者本人や親族、ケアマネが操作する端末、利用者に依頼されて情報を入力する介護スタッフや事業所担当者が操作する端末、また、電話やFAXで情報を受けたスタッフや事業者担当者が利用者の情報を入力する端末、及び管理者が直接利用者の情報を入力端末が含まれる。
以下、実施例の説明では、サービスの提供を受ける利用者が使用する端末を利用者端末3aといい、ケアマネや事業者、スタッフ等利用者をサポートする者が利用者の情報を入力のために使用する端末を利用者端末(サポーター用)3bという場合がある。そして、両者を含めて「利用者端末3」とする場合もある。
【0035】
なお、利用者端末3は、少なくともサービスの受付や変更を申し込むための情報を入力するための情報入力部、スケジュールの候補、決定したスケジュール及び変更情報等を表示するための表示部及びスケジュール作成装置2と情報の送受信を行う通信手段を備える。例えば、携帯電話やスマートフォン等の携帯端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ネットワークに接続されたテレビジョン等が挙げられ、またスケジュール作成システムで使用するための専用の端末であってもよい。
【0036】
[本発明における「管理者」]
本発明における「管理者」とは、訪問によりサービスを提供する事業者、企業、団体であり、実際には、これら事業者や企業の中のスケジュールを管理、調整する担当者である。
訪問介護・看護・診療サービスの場合、介護スタッフ、看護師、医師等を取りまとめ、派遣する事業所が管理者であり、具体的には、事業所内のスケジュール調整担当者が、管理者に該当する。
また、家電の取付工事サービスの場合、工事するスタッフを雇用し取りまとめる工事業者が管理者であり、具体的には工事業者のスケジュール調整担当者やオペレータが、管理者に該当する。
【0037】
そして、上記「管理者」がスケジュールの調整、管理に使用する端末を管理者用端末4という。
管理者用端末4は、少なくとも利用者端末3、スケジュール作成装置2からのサービスの受付情報や変更情報、スケジュールの情報、またスタッフ用端末5からの変更情報や確認情報等を受付表示するための表示部、利用者端末3やスタッフ用端末5から送信される情報以外の様々な情報や各種登録情報を入力し、スケジュールを作成、調整するための情報入力部、及びスケジュール作成装置2やスタッフ用端末5等と情報の送受信を行う通信手段を備える。
管理者用端末4も、利用者端末3と同様に、例えば、携帯電話やスマートフォン等の携帯端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が挙げられ、またスケジュール作成システムで使用するための専用の端末であってもよい。
【0038】
[本発明における「スタッフ」]
本発明における「スタッフ」とは、実際に利用者の指定の住所へ訪問し、利用者にサービス(役務)を提供する者である。
訪問介護・看護・診療サービスの場合、ヘルパーさんや看護師、理学療法士、言語聴覚士、医師や歯科医も含まれる。
一方、家電の取付工事サービスの場合、実際にサービスを提供するために工事を行う電気工事業者や取付工事をする職人等であり、すなわち、利用者と直接接触することになる人が「スタッフ」に該当する。
【0039】
スタッフは、前記管理者と直接的な雇用関係の有無は関係なく、管理者が調整するスケジュールに従って利用者宅を訪問し労務を提供する者全般が含まれる。
そして、上記スタッフが情報の表示、確認、入力等を行う端末を、スタッフ用端末5という。
スタッフ用端末5は、少なくともスケジュールを確認するための表示部と通信手段を備え、変更情報や報告情報を入力する情報入力部を備えたものであってもよい。
【0040】
[スケジュール作成装置の基本構成]
本発明にかかるスケジュール作成システム1は、少なくともスケジュール作成装置2と利用者端末3(3a、3b)及び管理者用端末4、スタッフ用端末5がネットワーク100を介して相互に接続可能となっている。
前記スケジュール作成装置2は、訪問によりサービスを希望する利用者の情報を送る利用者端末3から受信したサービス利用受付情報を、前記利用者の登録情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの登録情報とを照合し、条件にあったサービスの提供が可能なスケジュールの候補を作成し割り付ける処理を行う。
したがって、スケジュール作成装置2は、システムを提供する事業者や、訪問によりサービスを提供する事業者等が管理する装置であり、少なくとも通信手段21、記憶部22、制御部23を備える。
【0041】
なお、スケジュール作成装置2は、CPU、メモリ、記録装置、入力装置、各種インターフェースを備えたコンピュータで構成されるが、物理的に一体に構成されるものでなくてもよく、その機能をネットワーク上のクラウドサーバ等を介して提供する構成であってもよい。その場合、利用者端末3、管理者用端末4及びスタッフ用端末5は、専用のアプリケーションやブラウザから情報の入力を行い、クラウド上のサーバで記憶され処理された情報を前記端末の操作で表示画面に表示したり、情報の確認が可能となる。
【0042】
[スケジュール作成装置の通信手段]
前記スケジュール作成装置2の通信手段21は、前記利用者端末3から送信される訪問によるサービスの受付を受信する利用受付情報受信部211と、スケジュールに関する情報を利用者端末3や管理者用端末4、スタッフ用端末5との間で送受信するための情報送受信部212を備える。なお、通信手段21は、理解を助けるために利用受付情報受信部211と情報送受信部212とを備える構成としているが、利用受付情報受信部211と情報送受信部212は、同一の通信用デバイスを利用するものであってよい。
【0043】
図3は、利用者端末3の表示部に表示されるサービス利用受付情報の入力画面の例を示す図である。図に示す入力画面の例は、訪問介護の利用の場合における受付画面を示している。
スケジュール作成装置2の通信手段21の利用受付情報受信部211は、利用者端末3の表示部に表示されるサービス利用受付情報、例えば、利用者が訪問によるサービスの利用を希望する日、曜日、時間、利用者の住所、利用者名の他、利用者の介護度、希望するケア(サービス)内容の入力欄で入力された情報を受信する。
【0044】
その他、サービス利用受付情報は、訪問を希望するスタッフ、他の介護サービス利用などを理由とする訪問不可能な曜日や時間帯、利用者が希望するスタッフの性別、職種(PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)の別)等、事業者が確認したい利用者の細かい希望を含めることができる。
【0045】
そして、本発明にかかるスケジュール作成システム1は、このような利用者からの細かい希望を聞き出して、スケジュール作成の条件として的確に利用する構成となっている。
したがって、図に示す入力画面は一例であり、訪問によりサービスを提供する事業者は、自ら提供できるサービスの種類等により、適宜必要な情報が入力できるよう任意に入力画面を構成する。
【0046】
なお、前記利用受付情報は、直接サービスの提供を受ける利用者の利用者端末3a、利用者をサポートする者、例えば、ケアマネ、介護スタッフ、事業所スタッフなどが利用者の情報を入力するために使用する利用者端末3b、いずれの端末からでも送信可能となっている。
【0047】
また、利用者やケアマネ、あるいは電話やFAXで連絡を受けた事業所スタッフが手間を掛けずに簡単に入力可能なように、入力欄にプルダウンメニューやラジオボタンを設け、文字入力せずに簡単に情報を入力できるようにすることも望ましい。
なお、利用者端末3の表示部に表示される入力画面の構成は、利用受付情報記憶部221に記憶された過去の情報を学習し、過去に選択しなかった選択肢を表示しないように設定することもできる。これにより利用者が選択しない選択肢を何度も見ることがなくなり、また、受付情報として受信する情報を減らし、システムの負荷を低減させることができる。
そして、過去に入力した情報を学習し、その情報を利用者端末3の表示部に入力候補としてあらかじめ表示し、変更がある場合にのみ入力が必要とすることもできる。これにより利用者端末3への入力の手間を最小限にすることができる。
【0048】
[スケジュール作成装置の記憶部]
本発明における前記スケジュール作成装置2の記憶部22は、利用受付情報記憶部221、利用者登録情報記憶部222を含む利用者情報記憶部220、スタッフ登録情報記憶部223及びコスト記憶部224を備え、各情報をデータベース化して記憶する。
【0049】
利用受付情報記憶部
利用者情報記憶部220を構成する利用受付情報記憶部221は、前記利用受付情報受信部211で受信したサービス利用受付情報を記憶する。
図4は、利用受付情報記憶部221の情報格納例を示す図である。
利用受付情報記憶部221は、利用者端末3から送信され、利用受付情報受信部211で受信したサービス利用受付情報、例えば、訪問希望日、訪問希望曜日、訪問希望時間、サービス提供時間、訪問先住所、利用者名、介護度、希望サービス、希望性別、希望・NGスタッフ等の情報を記憶し、データベースに格納する。格納された情報は、スケジュールの作成や訪問ルートの作成に利用するだけでなく、例えば、同じ利用者端末3からのサービス利用受付の際に、前回のサービス利用受付情報を履歴として利用者端末3の表示画面に表示し、利用者の入力作業をサポートすることもできる。
【0050】
利用者登録情報記憶部
利用者情報記憶部220を構成する利用者登録情報記憶部222は、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所、連絡先等の情報が記憶される。ここに記憶される情報は、利用者と訪問によりサービスを提供する事業者とが、あらかじめサービス提供にかかる契約をした場合等に利用者情報として登録される情報と、サービスの利用受付時に入力される情報の履歴等が記憶される。
また、サービス提供時にスタッフが気づいたこと等を入力し、利用者の情報を充実させることもできる。
【0051】
図5は、利用者登録情報記憶部222の情報格納例を示す図である。
利用者登録情報記憶部222は、利用者がサービス利用開始時に提供した利用者情報、例えば、利用者の氏名、住所、連絡先、性別、要支援、要介護等のケア度、担当するケアマネージャー名が記憶される。
そして、サービス提供時にトラブルがあったスタッフをNGスタッフとして登録したり、他の介護サービスが提供される等の理由で原則的にNGな曜日など、利用者ごとに細やかな情報を記憶することができる構成とすることができる。
【0052】
この利用者登録情報記憶部222に記憶された情報は、スケジュール作成の際に、重要な条件として扱われる。したがって、当該利用者について、前記利用受付情報記憶部221に記憶された情報は、自動的に利用者登録情報記憶部222にも記憶する構成としてもよく、このようにして利用者情報記憶部220には、利用者に関する情報が逐次記憶される構成となっている。
なお、本実施例では理解を容易にするため、利用者情報記憶部220は、利用者受付情報記憶部221と利用者登録情報記憶部222とで構成されるが、利用者受付情報記憶部221と利用者登録情報記憶部222を合わせて1つの記憶部としてもよい。
【0053】
スタッフ登録情報記憶部
スタッフ登録情報記憶部223は、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報が記憶される。ここに記憶される情報は、訪問によりサービスを提供する事業者のスタッフとして登録した際や雇用契約を締結した際等にスタッフから提供された情報が記憶される。前記スタッフ登録情報記憶部223には、雇用契約のない臨時や派遣のスタッフについても情報が記憶される。さらに、前記スタッフの家庭環境の変化に伴う勤務条件の変更、勤務にあたっての希望等、随時記憶される。
【0054】
図6(a)は、スタッフ登録情報記憶部223の情報格納例を示す図である。
スタッフ登録情報記憶部223は、スタッフの氏名、性別、スタッフレベル、特殊スキル・資格、移動手段、勤務可能日・曜日、勤務可能時間、一日の訪問上限件数等が記憶される。
また、その他の情報を特記事項として、トラブルのあった利用者をNG利用者として記憶してデータベース化したり、スタッフの相性に関する情報を記憶してグループ化したりすることで、スケジュールの作成の際に重要な条件として扱うこともできる。
【0055】
また、スタッフの個人的な事情で勤務にあたって配慮を希望するような事項、例えば妊娠中である、保育所の迎えがある等の情報を登録しておくこともできる。
これらスタッフの登録情報も、事業所ごとに収集する項目を自由に増やしたり減らしたりして、より利用しやすいものとすることができる。
また、スタッフ登録情報に、勤務履歴やサービス提供履歴を記憶することで、その情報を利用してスタッフレベルの自動決定、特殊スキルの自動判定等をして記憶しておいてもよい。
【0056】
コスト記憶部
コスト記憶部224は、スケジュールの候補作成のために付与されるコストを記憶する。
本発明において「コスト」とは、スケジュールの作成の条件に付与される変数であり、利用者、スタッフ及び訪問によりサービスを提供する事業者にとって、最適なスケジュールを作成するための重みづけの位置づけで用いられる。本発明では、「コスト」が少ないほど、重要な条件が希望に添った最適なスケジュールであり、「コスト」が多いほど、不都合のあるスケジュールとなる。したがって、スケジュールを作成するために参照する条件、情報を相互に照らし、その重要度に合わせて任意の数字を付与し、その数字を「コスト」と称する。
【0057】
コスト付与の処理については、後述するが、コスト記憶部224は、利用者のサービス利用受付情報からスケジュールの候補を抽出するのに参照される条件に付されたコスト、訪問のルートを作成するためのコスト、スタッフごとに条件に照らして付与され算出されたコスト、その他制御部23で処理された合計コストや加算コスト等のコストに関する情報を記憶し格納する。
前記コスト記憶部224に記憶される各種コスト情報は、記憶し学習することで、次回、利用者からのサービス利用受付情報を受信しスケジュールの候補を作成する際に参照され、最適な候補作成を補助する。
【0058】
また、後述するコスト付与処理部232で設定付与され合計コストの算出に利用される条件ごとのコストパラメータもコスト記憶部224に記憶し格納しておくことで、同様の条件において、過去のコストパラメータを参照して新たな条件にコストパラメータを付与することができ、またコスト記憶部224に記憶される情報と、利用者情報記憶部220の情報やスタッフ登録情報記憶部223の情報を抽出し機械学習する際にシステムの処理作業の負担を軽減することができる。
【0059】
[スケジュール作成装置の制御部]
本発明における前記スケジュール作成装置2の制御部23は、少なくともスケジュール割付処理部231、コスト付与処理部232、コスト算出処理部233、スケジュール候補作成処理部234、スケジュール決定処理部235、シフト情報処理部236を備え、利用受付情報受信部211で受信した情報と、記憶部22で記憶されている各種情報から、最適なスケジュールを作成するための処理を行う。
【0060】
スケジュール割付処理部
スケジュール割付処理部231は、前記利用者端末3から送信されたサービス利用受付情報に対して、前記利用者情報記憶部220の情報と、前記スタッフ登録情報記憶部223の情報を参照して、希望訪問日、希望訪問曜日、希望訪問時間、希望訪問スタッフ等の情報を、スケジュール表に割り当てる処理を行う。
なお、前記利用者端末3から送信されたサービス利用受付情報は、サービスの提供を希望する利用者及び利用者をサポートする者が利用者の情報を送信する利用者端末3a、3bから送信した情報であるが、サービス利用受付情報は利用者端末3から送信されたものに限定されるものではなく、例えば、ケアマネや利用者を担当する介護スタッフからの電話問い合わせにより、その電話を受けながら、管理者が管理者用端末4に必要事項を入力・送信することなども含む。このような場合は、管理者が操作している端末が、利用者端末3であり、同時に管理者用端末4を担う。
【0061】
前記スケジュール割付処理部231は、スケジュール表に割り当てるために、前記利用者情報記憶部220の利用者受付情報記憶部221及び利用者登録情報記憶部222の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成するためのルート作成処理部を備えることもできる。また、前記ルート作成処理部で作成されたルートや、利用者受付情報記憶部221の情報から割り当てるスタッフの候補をスタッフ登録情報記憶部223の情報から算出するスタッフ候補算出処理部を備えることもできる。
【0062】
前記スケジュール割付処理部231におけるスケジュール表への割り当ては、後述するコスト付与処理部232で付与されたコストと密接な関係にあり、あらかじめ算出されたコストを参照してスタッフ候補を、(例えばコストの低い順に)スケジュール表に割り付ける処理が行われる場合の他、利用者受付情報記憶部221及びスタッフ登録情報記憶部223の情報から、コストを考慮せずに先にスケジュールの割付処理を行い、その処理結果にコスト付与処理をして最終的なスタッフ候補を抽出する場合や、利用者情報記憶部220の情報からルート作成処理部でルートを作成し、そのルートに割り付けるスタッフ候補をコストを参照して抽出する場合など、スケジュール割付の処理の実行タイミングは特に限定されるものではなく、処理件数(サービス利用受付件数)や、訪問できる稼働スタッフの数、訪問先のエリアの広さ、スケジュール作成装置のデータ処理の性能等を考慮して、状況によって適宜処理の実行順番や方法を変えてスケジュール割付処理を行うことができるものである。
【0063】
基本的な実施例として、
図7には、スケジュール割付処理部231でスケジュール表にスタッフのシフトが割り当てられた状態のスケジュール表の例を示す。
図7に示す例は、基本的な処理によりシフトが割り当てられたスケジュール表であり、曜日ごとに、担当スタッフ、利用者、訪問時間、ケアの重み、訪問場所がカレンダー形式で表され一目でわかるように記録されている。なお、スケジュール表は、曜日ごとに限らず、スタッフごと、利用者ごと等、必要に応じてフォームを変更し、わかりやすく使い勝手がよい任意の勤務表の様式にも処理できる。
【0064】
コスト付与処理部
コスト付与処理部232は、利用者端末3から送信される利用者のサービス利用受付情報に基づいて、スケジュールの候補作成に必要となるサービス利用受付情報から発生する条件にコストを付与し、それに基づいてコスト付与処理が行われる。
すなわち、本発明にかかるスケジュール作成システム1は、利用者の希望に添う最適なサービスを提供するために、スケジュールを決定するにあたり、各条件ごとにコストを付与する。
コスト付与処理部232において付与されるコストは、各サービス利用受付情報毎に、受け付けたサービス利用受付情報と適合する場合には適合しない場合よりも低い値が設定され、適合しない場合には適合する場合より大きい任意の値が設定される。
例えば、受け付けたサービス利用受付情報と適合するスケジュールを作成できる場合(YES=条件通り)には、適合しない場合よりも低いコストとして「0」を付与し、適合しない場合(NO=条件外)には、前記適合する場合に付与した「0」より大きい任意の値、例えば「1」を設定する。
なお、前記任意の値は、事業所ごとに管理者等が必要により設定・変更することが可能である。
【0065】
このコスト付与は、いわゆる重みづけであり、限りなく希望通りでなければならない重要な条件については、付与されるコストがより大きくなるように、コストに対して乗じる変数となるコストパラメータを設定することができる。
本発明におけるコスト付与処理部232は、利用者ごと、あるいは事業者ごとに、任意の条件にコストパラメータを設定し、各条件ごとに付与されているコストに前記コストパラメータを乗じて合計コストを算出する処理を行う。
【0066】
図8は、スケジュールを決定するために必要な各条件に付与するために、あらかじめ定めたコスト及びコストパラメータの付与規則の例を示す図である。
なお、以下において「条件通り」(YES)というのは、利用者端末3から送信されたサービス利用受付情報で希望している情報と、作成されるスケジュールの情報とが適合し一致する場合であり、「条件外」(No)というのは、利用者端末3から送信されたサービス利用受付情報で希望している情報と、作成されるスケジュールの情報とが適合せず一致しない(外れている)場合である。
【0067】
<サービス利用受付情報によるコスト付与処理>
図8(a)は、利用受付情報受信部211で受信し利用者情報記憶部220の利用受付情報記憶部221に記憶された情報から、希望条件ごとにコスト付与するためのコスト及びコストパラメータ付与規則のテーブルの例を示す。
図に示すコスト付与規則のテーブルには、スケジュールを作成する際に考慮する条件を配列し、条件ごとに条件通り(YES)か条件外(NO)によって、コストが付与されている。
図8(a)においては、コストは、すべての条件において「0/1」、すなわち、条件通り(YES)であれば、コスト「0」で、条件外(NO)であれば「1」となっている。
【0068】
例えばNo.502は、作成するスケジュールに関し、訪問日について利用者に希望条件がある場合に、その条件通りなら(YES)コストは「0」、希望の日にスケジュールが組めず条件から外れる場合(NO)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、より重みづけを大きくするため、コストパラメータとして「1」を乗じて加算する設定となっている。
コストパラメータは、コストに乗じる変数であり、No.502の場合、条件外(NO)は、コスト「1」×コストパラメータ「1」となり、合計コストは「1」となる。
No.502のパラメータは訪問希望日であり、スケジュール作成にあたり優先すべき条件と考えられることから、希望日ではない日にスケジュールが組みにくいようにコストパラメータが大きく設定されている。(希望日なら「0」、希望日でないなら「1」)。
なお、コスト付与処理部232の処理の実行のために、あらかじめ定めるコスト、コストパラメータ等は、訪問によりサービスを提供する事業者や、システムを提供する事業者が必要と認める条件を選択し、任意の数値に設定できる。
【0069】
No.503は、作成するスケジュールに関し、訪問する曜日について利用者に希望がある場合に、その条件通りなら(YES)コストは「0」、希望の日にスケジュールが組めない場合(NO)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、より重みづけを大きくするため、コストパラメータとして「1」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「1」となり、合計コストは「1」となる。
【0070】
No.504は、作成するスケジュールに関し、訪問する時間について利用者に希望がある場合に、その条件通りなら(OK)コストは「0」、希望の時間にスケジュールが組めない場合(No)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「0.8」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「0.8」となり、合計コストは「0.8」となる。
【0071】
No.505は、作成するスケジュールに関し、訪問するスタッフの性別について利用者に希望がある場合に、その希望通りなら(OK)コストは「0」、希望に添うスタッフでスケジュールが組めない場合(No)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「0.1」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「0.1」となり、合計コストは「0.1」となる。
【0072】
No.506は、作成するスケジュールに関し、提供を受けるサービスの希望について、その希望通りのサービスを提供できるなら(OK)コストは「0」、希望に添うサービスを提供できない場合(No)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「0.5」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「0.5」となり、合計コストは「0.5」となる。
【0073】
この「希望サービス」の条件は、あらかじめ利用者端末3でサービス利用受付情報を入力する際に、希望サービスを入力する欄が設けられ、例えば1.身体介護、2.生活援助、3.通院の乗車・降車介助、4.買い物の介助等の項目が選択可能に設定されていて、その中から選択されたサービス番号と照らして、希望通りのサービスを提供できるか否かによりコストを付与するように処理されている。
【0074】
したがって、事業所によって、提供する(提供できる)サービスが選択できるように、あらかじめ、利用者端末3で選択できるサービスを設定しておく。
なお、上記のように、希望通りのサービスを提供できるか否か、すなわち二者択一のYES(コスト「0」)とNo(コスト「1」)によるコスト付与だけでなく、希望するサービスを第1候補、第2候補として選択可能とし、それに合わせて付与するコストに段階を設けるという設定とすることもできる。
【0075】
No.507は、作成するスケジュールに関し、訪問するスタッフのレベルについて利用者に条件がある場合に、その条件通りなら(OK)コストは「0」、条件に合うスタッフでスケジュールが組めない場合(No)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「0」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「0」となり、合計コストは「0」となる。これはすなわち、この条件については、実質的には条件通りでもそれ以外でも、スケジュール候補の作成においては考慮しないことを意味する。
【0076】
スタッフのレベルは、例えば、ベテランかそれ以外という選択により、ベテランであれば「YES」、それ以外であれば「No」によりコスト付与処理を行う。また、ベテラン、中堅レベル、新人という選択を可能とする設定としてもよい。
【0077】
No.508は、作成するスケジュールに関し、訪問するスタッフのスキルについて利用者に条件がある場合に、その条件通りなら(OK)コストは「0」、希望に添うスタッフでスケジュールが組めない場合(No)コストは「1」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「0」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「0」となり、合計コストは「0」となる。これはすなわち、この条件については、実質的には条件通りでもそれ以外でも、スケジュール候補の作成においては考慮しないことを意味する。
スタッフのスキルとしては、「精神科」「小児科」「人工呼吸器科」等であるため、訪問によりサービスを提供する事業者ごとに訪問させることが可能なスタッフを選択可能とし、そのスキルに合わせて、独自のコスト付与の設定をすることができる。
【0078】
上記のように希望スキル通りか否かでコスト付与する設定の他、スキルの内容と互換性を考慮して別途コスト付与用の条件を設定してもよい。
例えば、利用者端末3で、介護福祉士と言語聴覚士というように複数選択できるようにし、複数の希望通りにスケジュールの作成できる場合には、コスト「0」として、複数のうち、不足分があるが、それ以外は希望範囲の場合には、コスト「1」とし、希望の範囲内のスタッフが割り当てられない場合は、コスト「1」というようなコストの付与処理を行ってもよい。
【0079】
No.509は、作成するスケジュールに関し、訪問するスタッフの指名による希望がある場合に、その希望通りなら(OK)コストは「0」、希望に添うスタッフでスケジュールが組めない場合(No)コストは「1」、希望がない場合(希望なし)には、コスト「0」を付与するというコスト付与規則の設定となっていることを示している。
そして、条件外(NO)の場合には、コストパラメータとして「1」を乗じて加算する設定となっている。
したがって、条件外(NO)の場合は、コスト「1」×コストパラメータ「1」となり、合計コストは「1」となる。
複数の訪問歴のあるスタッフで、特に相性の良いスタッフがいる場合など、利用者端末3で選択できるように設定し、希望スタッフがある場合には、それを優先できるようにコストパラメータが設定される。
【0080】
なお、その場合、コスト付与処理部232で処理されたコスト情報が記憶されているコスト記憶部224で、過去の訪問におけるコスト算出の際、スタッフの指名がされているデータがあるか照合し、スタッフの指名がなされコスト付与処理がされた履歴がある場合、それを学習させておき、次回の利用受付の際、利用者端末3の希望スタッフ記入欄に、過去に指名したスタッフ名を候補として表示できるよう設定することもできる。
【0081】
このようにコスト付与処理部232は、利用受付情報記憶部221に記憶された受付情報だけでなく、利用者情報記憶部220やコスト記憶部224に過去に付与されたコスト情報を記憶し機械学習させた情報を、新たにコスト付与する際に利用し、利用者の選択を予測し、より簡単な操作で、最適なスケジュールを作成できるよう設定することもできる。
【0082】
また、前記利用者情報記憶部220に、利用者ごとに過去に抽出されたスケジュール候補と、前記抽出されたスケジュール候補の中から選択されたスケジュールを記憶して機械学習させ、前記記憶した抽出されたスケジュール候補と、その中から選択したスケジュールとの関係における選択の適合性を予測し、新たにコストを付与する際に利用可能に適切なコストパラメータを算出するよう適宜機械学習させる設定にすることもできる。コスト算出処理部232では、前記機械学習により算出したコストパラメータを設定し、コスト算出処理をする。
例えば、コスト付与処理部232では、コスト記憶部224に記憶されている情報を機械学習し、過去に抽出されたスケジュール候補と、前記選択されたスケジュール候補のコスト情報から、それぞれの各条件のコスト影響度(全体コストに対する特定のコストの占める大きさ)を算出し、スケジュール候補と、実際に選択したスケジュールに対応するコスト影響度のうち、もっとも差異が大きい条件を特定し、当該条件のコストパラメータを下げ、他の条件のコストパラメータをあげるように機械学習し、コスト付与処理部232の処理に機械学習の結果を反映させるように設定することもできる。
【0083】
本発明にかかるスケジュール作成システム1は、訪問によりサービスの提供をするためのスケジュールの作成にあたり、コスト付与処理部232において、利用者ごと、あるいは事業者ごとに選択された条件にコストを付与し、さらに前記条件には、様々な要素を考慮してコストパラメータを設定することができ、条件ごとに付与されたコストに前記コストパラメータを乗じて合計コストを算出する。
コストパラメータは、例えば、重みづけにおいて重要な条件については、付与されるコストが大きくなるようにパラメータを大きく設定したり、前記のように機械学習によって算出されるコスト影響度の高低によってパラメータの大きさを設定したりして、より最適なスケジュール作成を補助するものとなっている。
【0084】
図8(a)のコスト付与規則の例の図における初列の「On/Off」の欄は、スケジュールの作成にあたり加味する条件か否かを選択設定する構成となっている。
図において、No.502~509の「On/Off」欄はON(墨塗)となっていて、No.510の「On/Off」欄はOff(白塗)となっている。
【0085】
例えば、No.510は「初回訪問」というパラメータで、訪問スタッフがその利用者への訪問が初めてであることに対し、スケジュール作成でその条件を加味する場合にはOnとし、加味しない場合にはOffとする。一般に、顔見知りのスタッフ(過去に訪問歴があるスタッフ)が自宅に来る方が利用者は安心するため、ONの場合、初めて訪問するスタッフに対して一定のコストを付与する設定となっている。
しかし、このようなパラメータは、利用者によってはスケジュール作成にあたって加味する必要がない場合もあり、そのような場合(利用者)にはOffの設定にしておく。
【0086】
また、事業所によってはスケジュール作成にあたって初回訪問自体を加味する必要がない(加味できるほどスタッフ数に余裕がないような場合)には、パラメータ自体を非表示に設定(あるいは削除)としてもよい。
このように、コスト付与処理部232は、スケジュールの作成にあたり必要となる条件ごとに、訪問によりサービスを提供する事業者が任意に付与するコストやコストパラメータを設定し、合計コスト算出のために必要となる基本処理を行うことができる。
【0087】
<
スタッフ登録情報からのコスト付与処理>
図8(b)は、同じくコスト付与処理部232で処理されるコスト付与の例であり、スタッフ登録情報記憶部223に記憶されているスタッフ登録情報と、スケジュール割付処理部231で処理されたスケジュール情報を照合し、付与すべきコストがある場合にコスト付与処理がされる。
【0088】
No.520は、スタッフ訪問上限件数内という条件であり、スタッフ登録情報記憶部223に記憶されているスタッフ登録情報に、当該スタッフが一日に訪問する件数の設定がある場合、現在のスケジュール割付情報に既にその訪問件数分のスケジュールが割付けられている時には、さらにそのスタッフにスケジュールを割り当てると、スタッフ訪問上限を超えるため、Noと判断して、コスト「1」を付与する。そして、そのスタッフにスケジュールを割り当てても、スタッフ訪問上限件数を超えない場合には、YESと判断して、コスト「0」を付与するように設定する。
これにより、訪問するスタッフが偏って、特定のスタッフが過重労働にならないようにスケジュールの作成、調整を行うことができる。
【0089】
No.521は、スタッフの休憩時間の取得という条件であり、スタッフ登録情報記憶部223に記憶されているスタッフ登録情報に、当該スタッフが取得する予定(あるいは希望する)の休憩時間が設定されている場合、割り付けられるスケジュールとの関係で、既に休憩時間を取得できている場合、あるいは、割り付けられるスケジュールとの関係では休憩時間に影響を及ぼさない場合には、YESと判断してコスト「0」を、スケジュールの割付により、休憩時間が取得できないあるいは、訪問時間帯が休憩時間に浸食するような場合には、Noと判断して、コスト「1」を付与するように設定する。
これにより、訪問するスタッフの休憩時間の確保を優先できるスケジュールの作成、調整を行うことができる。
【0090】
上記スタッフ登録情報に基づき設定される条件についても、その条件自体をスケジュールの作成に加味しない場合は、Offの設定にでき、あるいは条件自体の削除もでき、また、事業所によってはその他に加味しなければならないような条件、例えば、保育所の迎え時間など、スタッフにとって優先しなければならない条件を別途に作成し、重みづけしてコスト付与することで、スタッフも快適に勤務することが可能となる。
【0091】
<移動距離からのコスト付与処理>
本発明にかかるスケジュール作成システム1では、スタッフが訪問するために移動する距離にコストを付与し、移動時間に無駄がなく効率的に訪問によるサービスを提供できるように構成される。
これは、利用者端末3からのサービス利用受付情報に基づいて、単に空いている時間帯に、空いているスタッフを割り当ててスケジュールを作成するのではなく、その前後にスタッフが訪れている場所からの移動距離を考慮し、スケジュールを作成することで、移動時間の無駄をなくし、かつスタッフの移動による負担を軽減する。
【0092】
コスト付与処理部232では、利用者端末3から送信されたサービス利用受付情報の住所を受信すると、スケジュール作成に関係する他の訪問先の住所との距離を算出し、移動距離又は移動時間を基準としたコスト付与の処理を行う。
【0093】
図9は、スタッフの移動距離に基づくコスト付与処理の例を示す図である。
図9(a)において、利用者gは新規に利用受付をした者で、利用者a~fは、利用者gのサービス利用受付情報により希望された訪問日又は訪問曜日に関係する他の利用者である。すなわち、利用者a~fは、利用者gのサービス利用受付情報により希望された訪問日又は訪問曜日と同日又は同曜日に既にスケジュールが割り当てられている利用者である。
【0094】
この場合、コスト付与処理部232では、現在のスケジュールの割当状況を考慮せずに、まず、利用者a~f及び利用者gのすべての住所から、相互の移動距離を算出し、その移動距離に合わせてコストを設定する処理を行う。
例えば、利用者aの住所から、利用者bの住所へ移動する場合の距離を算出し、その距離から移動にかかる時間を算出し、その時間をコストとして設定する。
図9(a)においては、利用者aの住所から利用者bの住所への移動は5分かかるため、5分=0.08時間をコストとして「0.08」を設定している。なお、
図9(a)に示す例では、移動時間は自動車での移動時間とし、移動時間=コストとして計算しているが、あらかじめコスト算出の規則を定め、例えば1km=コスト0.01として計算するとしてもよく、徒歩での移動時間を基準として定めてもよく、その規則は、事業者が任意に設定できる。
【0095】
図9(a)では、自動車での移動時間=コストとして設定していて、利用者bと利用者gに付与されたコストが「0.016」であり、利用者bと利用者gの住所は近く、自動車での移動時間が1分程度であることがわかる。
一方、利用者cと利用者gに付与されているコストは「0.16」であり、利用者cの住所から利用者gの住所への移動には自動車で10分程度かかることがわかる。
【0096】
このようにして、関係する利用者間の移動距離に基づいてコストを設定し、移動時間が少ない場合にコストを小さくし、移動時間が多い場合にコストを大きくし、スケジュールの候補を作成する際に、これらを含めて合計コストを算出することで、移動にかかる時間がスケジュール候補の作成に加味されることになる。
【0097】
なお、利用者の住所間の距離の算出は、事業者が独自の算出手段(例えば地図上に描いた円の半径を基準に概算距離を算出する、地図上の直線距離で算出する等)を用いてもよく、また既存のマップアプリケーションやソフト等と連動させて、移動距離を算出し、それをコスト付与処理部232で自動的に参照しコスト付与規則に基づいて処理を行ってもよく、利用者間の距離の算出方法は限定されない。
本実施例においては、システム及び管理者の負担を軽減するため、既存のマップアプリと連動させ、住所から自動的に距離及び自動車での移動時間を算出し、移動時間=コストとしてコスト付与処理を行っている。
【0098】
そして、コスト付与処理部232では、前記利用者の住所間に設定されたコスト情報に、スタッフ登録情報記憶部22の情報を参照して、スタッフごとに移動距離に基づくコスト付与処理を行う。
図9(b)は、スタッフA・Bについて処理されたコスト表の例である。
コスト付与処理部232は、スタッフA・スタッフBについて、それぞれスタッフ登録情報記憶部22に記憶されている情報を参照し、移動手段を確認し、先に利用者の住所間の距離から算出して処理されたコスト設定情報に、移動手段に基づいたコスト付与を行う。
図9(b)においては、スタッフA及びBの移動手段は自動車であることから、コスト付与処理部232は、先に作成した基準となるコストの情報をそのまま、スタッフA及びスタッフBに付与するコストの算出に利用する。
【0099】
なお、スタッフの移動手段が、自動車以外、例えば、徒歩や自転車である場合には、設定されたコストに定数を加算したり減算したりしてコスト付与を調整する。例えば、移動手段によって、自動車の場合には、コストに変数+0、自転車の場合+0.2、徒歩の場合+0.8というように設定することで、コストを調整することができる。
また、あらかじめ、利用者の住所間の距離に基づいて、移動手段が自転車の場合の移動時間を基準にコストを算出する設定としてもよく、また、スタッフの負担を考慮して、例えば、夏は徒歩での移動はコストをより大きくするというように、変数を適宜変更することもできる。
【0100】
さらに、スタッフ登録情報記憶部223に特記事項がある場合には、それについてもコスト付与処理部232でスタッフごとに付与されるコストの処理に加味する。
例えば、スタッフAの登録情報に、「最終シフトは帰社エリア近くを希望」という特記事項がある場合、
図9(b)に示すコストに対し、その日の最終スケジュールに設定される場合の変数を加算する。
【0101】
図10は、スタッフAについて処理されたコストの他の例である。
図10のコスト表には、「最終」の欄が設けられ、例えば、利用者aへの訪問を最終スケジュールとして作成する場合には、コストに「+0.01」するようにコストが設定されている。また、利用者c及びdへの訪問を最終スケジュールとして作成する場合には、コストに「+0.15」するように設定されている。これは、利用者c及びdがスタッフの帰社エリアから遠いため、コストを大きくするためである。このようにコストを設定することで、合計コストが少ない方に最終スケジュールが設定されやすくなって、効率よく訪問し帰社できる設定となり、スタッフの移動による負荷の低減を図ることが可能となっている。
【0102】
この特記事項は一例であるが、本発明にかかるスケジュール作成システム1は、利用者の希望に添った最適なスケジュールの作成をしつつ、スタッフに無駄な労力を強いることのないシフトになるよう配慮したスケジュールの作成が可能となっている。
【0103】
このように本発明にかかるスケジュール作成システム1では、前記コスト付与処理部232は、既にスケジュールが作成された後に、新たにサービス利用受付情報を受信した場合、その新たなサービス利用受付情報にかかる利用者の住所と、既に作成されたスケジュールに関連する他の利用者情報の住所との間で移動距離を算出するという構成となっている。
【0104】
そして、その移動距離に応じてコストを設定し、既に作成されたスケジュールに関連する全てのスタッフについて、受信したサービス利用受付情報との関係で合計コストを算出する。
そして適宜すべての利用者にとって最も希望に添ったスケジュールで、かつスタッフが移動し訪問しやすいシフトになるようスケジュールを作成し、振替するように処理することもできるシステムとなっている。より訪問しやすいシフトになるようにルート作成処理部では、訪問の順番を最適化する。
このような構成とすることで、スケジュールを作成した(サービス利用を受け付けた)時間的前後に関係なくコストの算出が可能となり、関係する利用者全員とスタッフ全員にとって最適なスケジュールの作成を可能とする。
【0105】
コスト算出処理部
コスト算出処理部233は、利用者端末3から送信された利用者のサービス利用受付情報に基づいて、各条件ごとに前記コスト付与処理部232で付与されたコスト及びコストパラメータを基に合計コストを算出する処理を行う。
本発明にかかるスケジュール作成システム1は、上記コスト付与処理部232の処理について説明したように、サービス利用受付情報で希望された条件ごとにコストが付与されるとともに、移動距離を基準としてコストが設定され、さらに訪問するスタッフの条件についてもコスト及びコストパラメータが設定され、それぞれスケジュール作成にあたって、その重要性を基準に重みづけがされている。
そして、本発明にかかるスケジュール作成システム1は、上記付与されたコストにコストパラメータを乗じて、総合した合計値を算出し、その結果に基づいてスケジュール作成に必要となるスケジュール候補、ルート、スタッフ候補を抽出し、最適なスケジュールを作成することを特徴としている。
【0106】
コスト算出処理部233におけるコスト算出処理について、以下説明する。
コスト算出処理部233は、利用受付情報記憶部221に記憶された情報に基づき作成するスケジュールについて、そのスケジュールを構成する各条件に付与されているコスト及びコストパラメータを参照する。
利用受付情報記憶部221に記憶された情報に基づき作成するスケジュールは、スケジュール割付処理部231で処理され、割り付けられたスケジュール表を参照し、サービス利用受付情報の希望に近いスケジュール候補を検索する。
【0107】
図11(a)は、サービス利用受付情報で受け付け利用受付情報記憶部221に記憶された情報の例を示す図、
図11(b)は、スケジュール候補の検索にあたり、考慮すべき条件分岐をまとめた図である。
利用者端末3から受け付けたサービス利用受付情報は、利用者情報記憶部220の利用受付情報記憶部221に記憶され、制御部23の各処理部から参照可能に整理される。
【0108】
図11(a)に示す例では、訪問希望曜日は、月曜と水曜、訪問希望時間は9:00、サービス提供時間は60分という基本的な希望条件と、利用者の住所及び氏名、その他希望するサービスとして看護サービス、希望するスタッフの性別は女性であり、その他希望スタッフはスタッフAという受付情報である。
上記サービス利用受付情報から、スケジュール候補の検索するにあたり、各条件ごとに考慮すべき事項を確認する。
【0109】
図11(b)に示す例では、以下の点を条件分岐として考慮する。
利用者は、利用者gである(601)。
利用者の希望提供サービスは看護サービスであることから、提供サービスについては、スタッフ登録情報記憶部22を参照し、「看護スタッフ」として登録されているスタッフを抽出する(602)。
利用者の希望するサービス提供時間は60分であることから、少なくとも1のシフトの空き時間のうち、60分の枠を確保可能な時間を抽出する(603)。
利用者gに対し、該当NGスタッフに登録されているスタッフがいないか、利用者登録情報記憶部222を参照し、該当するスタッフは除く(604)。
訪問希望の曜日については、月曜と水曜を希望しているので、希望曜日のみ参照する(605)。
希望訪問開始時間は9:00なので、希望曜日内の時間のみ参照する(606)。
【0110】
コスト算出処理部233は、上記の条件分岐を考慮して、スケジュール候補を検索する。
本実施例の場合、希望曜日は月曜と水曜(条件分岐605)であることから、月曜日と水曜日について、曜日ごとに検索する。
また、希望訪問開始時間は9:00(条件分岐606)で、サービス提供時間は60分(条件分岐603)なので、月曜と水曜の9:00から60分の枠が確保可能な時間及びスタッフを検索する。
その際に、利用者登録情報記憶部222からNGスタッフを確認し該当するスタッフを除外し、またスタッフ登録情報記憶部223から看護スタッフとして登録されているスタッフを抽出する。
【0111】
図12は、上記条件に対し、スタッフA及びスタッフBを割り当てた場合のコスト算出用テーブルの例を示す図である。
図12(1)は、月曜日の9:00にサービス時間60分という条件の場合を示す。
図12(1)に示す各条件に対応するコストは、
図11に示した利用者gのサービス利用受付情報及びスケジュール候補検索の際の条件分岐を基に算出される希望条件1~4にかかるコスト、スタッフのその日の労働状況を基に算出される「5 ケアの重み」にかかるコスト、「6 移動距離」に基づくコストである。
そして、それぞれ前記コストにさらに重みづけするために設定されるコストパラメータが示されている。
【0112】
図12(1)のテーブルのうち、「コスト」の欄は、それぞれの条件に対し、コスト付与処理部232で付与されたコストが表示されている。
条件1「希望スタッフ」については、条件通りであればコスト「0」、条件外であればコスト「1」で算出される。そして条件外の場合には、コストパラメータとして「1」が前記コスト「1」に乗算される。
条件2「希望性別」については、条件通りであればコスト「0」、条件外であればコスト「1」で算出される。そして条件外の場合には、コストパラメータとして「0.1」が前記コスト「1」に乗算される。
条件3「特殊資格」については、条件通りであればコスト「0」、条件外であればコスト「1」で算出される。そして条件外の場合には、コストパラメータとして「0.8」が前記コスト「1」に乗算される。
条件4「スキル」については、条件通りであればコスト「0」、条件外であればコスト「1」で算出される。そして条件外の場合には、コストパラメータとして「0」が前記コスト「1」に乗算される。なお、当該条件をコスト算出から除外(無視)する場合には、コストパラメータを「0」として対応してもよい。
【0113】
条件5「ケアの重み」については、その日に既にシフトが組まれている別の利用者に提供するケアの内容によって、コストがプラスされる。「ケアの重み」は、提供するサービスについて重みづけをし、例えば、提供するサービスが、投薬補助のような簡易なサービスであれば「ケアの重み」のコストを「0」とし、身体的ケアのようなやや大変なサービスについては、「ケアの重み」をコスト「0.5」とし、入浴介助のような重労働のサービスであれば「ケアの重み」のコストを「1」とするというように、あらかじめコスト付与処理部232で設定される。
【0114】
これは特定のスタッフに重労働なサービスが重なると、身体的負担が大きいこと、またスタッフ間の平等性を考慮して、提供するサービスにコストを付与し、スケジュール候補の作成に加味するものであるが、事業所によっては、「ケアの重み」をコスト算出の条件に含まなくてよい。条件に含めない(無視)場合には、コストパラメータを「0」として対応できる。
条件に含める場合には、スケジュール割付処理部231で割り付けられたスケジュール表を参照し、スケジュールを組む日に他の利用者へのスケジュールが組まれていれば、その他の利用者へ提供するサービスの負担具合によって当該提供サービスの「ケアの重み」を加算する。
なお、
図12に示す例では、コスト算出しようとしている利用者gに対し提供するサービスは、コスト「1」とし、コストパラメータを「0」としているので、コスト算出には含めない。
条件6「移動距離」については、コスト付与処理部232で移動手段を加味してスタッフごとに付与されたコストをコスト表で参照して、それにコストパラメータを乗算して算出される。
【0115】
コスト算出処理部233は、スケジュール候補の作成にあたり、上記各条件に付されたコスト及びコストパラメータにより合計コストを算出する。
図12(1)に示す月曜日の場合、スタッフAを担当者としてスケジュールを作成した場合の合計コストは以下のように算出される。
【0116】
なお、スタッフAのスタッフ登録情報記憶部223に記憶されている情報は、
図6(b)を参照する。すなわち、スタッフAは、性別は女性、スタッフレベルはベテラン、特殊資格は看護、移動手段は自動車、勤務可能日は月曜から土曜、勤務可能時間は9:00~18:00、一日の訪問上限件数は3件と登録されている。
この情報に照らし、コスト算出処理部233は、スケジュール作成の条件と検証する。
【0117】
1.希望スタッフについては、利用者gはスタッフAを希望していることから、コストは「0」である。
2.希望性別については、利用者gは女性を希望しているところ、スタッフAは女性なので、コストは「0」である。
3.特殊資格については、利用者gは看護を希望しているので、希望通りであり、コストは「0」である。
4.スキルについては、スタッフAのスタッフレベルはベテランなので希望通りであり、コストは「0」であるが、コストパラメータが「0」なので、いずれにしても「0」となる。
5.ケアの重みは、本実施例ではコスト算出から除外する設定のため、コストパラメータが「0」となっていて、コストは「0」となる。
【0118】
6.移動距離は、コスト付与処理部232で付与したスタッフAのコスト表を参照する(
図9(b))。なお、移動距離のコストについては、様々な設定が可能であり、例えば、組まれるスケジュールの前後に、他の利用者への訪問がない場合は、コスト表で設定できないので、あらかじめコスト「0.25」と定義づけておいたり、その日に他の利用者への訪問がない場合には、自動的にコスト「1」を付与すると定義づけておいたりすることができる。また、スケジュール候補の前に他の利用者への訪問がある場合にのみ、移動距離のコストを算出し、後の訪問先の移動距離は加算しないという設定にすることもできる。
本実施例では、その日に他の利用者への訪問がない場合には、コスト「1」を付与し、スケジュール候補の前後の移動にかかる移動距離のコストは加算する設定条件とする。
スタッフAが9:00に利用者gを訪問し、60分のサービスを提供する場合、その後に利用者aに訪問するシフトが組まれているので(
図7参照)、コスト「0.03」(
図9(b)参照)となる。そして、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、コスト「0.03」×コストパラメータ「0.2」=「0.006」が移動距離の算出コストとなる。
したがって、月曜日9時から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望スタッフ0+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.03×コストパラメータ0.2=0.006であり、合計コストは0.006となる。
コスト算出処理部233は、上記手順によって、スタッフAの月曜日の他の時間についての合計コストも算出し、スケジュール候補を作成する。
【0119】
次にコスト算出処理部233は、別のスタッフであるスタッフBの合計コストの算出をする。
スタッフBのスタッフ登録情報記憶部223に記憶されている情報は、
図6(b)を参照する。すなわち、スタッフBは、性別は男性、スタッフレベルはベテラン、特殊資格はなし、移動手段は自動車、勤務可能日は月曜から土曜、勤務可能時間は9:00~18:00、一日の訪問上限件数は3件と登録されている。
【0120】
1.希望スタッフについては、利用者gはスタッフAを希望していることから、スタッフBは条件外でコストは「1」、コストパラメータは「1」であり、「1」×「1」でコストは「1」である。
2.希望性別については、利用者gは女性を希望しているところ、スタッフBは男性なので条件外でコストは「1」、コストパラメータは「0.1」であり、「1」×「0.1」でコストは「0.1」である。
3.特殊資格については、利用者gは看護を希望しているところ、スタッフBはなしなので、条件外でコストは「1」、コストパラメータは「0.8」であり、「1」×「0.8」でコストは「0.8」である。
4.スキルについては、スタッフBのスタッフレベルはベテランなので希望通りであり、コストは「0」であるが、コストパラメータが「0」なので、いずれにしても「0」となる。
5.ケアの重みは、本実施例ではコスト算出から除外する設定のため、コストパラメータが「0」となっていて、コストは「0」となる。
【0121】
6.移動距離は、コスト付与処理部232で付与したスタッフBのコスト表を参照する(
図9(b))。スタッフBは月曜日には、他の利用者への訪問がないので、設定条件に従って、コスト「1」が付与される。そして、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、コスト「1」×コストパラメータ「0.2」=「0.2」が移動距離の算出コストとなる。
【0122】
したがって、月曜日9時から60分間、スタッフBが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望スタッフ「1」+希望性別「0.1」+特殊資格「0.8」+スキル「0」+ケアの重み「0」+移動距離「0.2」であり、合計コストは「2.1」となる。
【0123】
コスト算出処理部233は、上記のような処理を当該1日について各スタッフごとに行い、その条件下における各スケジュールの合計コストを算出する。
そして、スケジュール候補作成処理部234は、コスト算出処理部233で算出されたスケジュール毎の合計コストを比較し、コストの低い方から順にその日のスケジュール候補として処理する。
なお、上記例によれば、スケジュール候補作成処理部234は、月曜日9時から60分間、利用者gを訪問してサービスを提供する担当は、スタッフAの方が最適と判断し処理する。
【0124】
同様に、コスト算出処理部233は、水曜日9時から60分間、利用者gを訪問してサービスを提供する場合のコストをスタッフごとに算出する。
図12(2)に示す水曜日の場合、スタッフAは以下のとおりコストが付与される。
1.希望スタッフについては、利用者gはスタッフAを希望していることから、コストは「0」である。
2.希望性別については、利用者gは女性を希望しているところ、スタッフAは女性なので、コストは「0」である。
3.特殊資格については、利用者gは看護を希望しているので、希望通りであり、コストは「0」である。
4.スキルについては、スタッフAのスタッフレベルはベテランなので希望通りであり、コストは「0」であるが、コストパラメータが「0」なので、いずれにしても「0」となる。
5.ケアの重みは、本実施例ではコスト算出から除外する設定のため、コストパラメータが「0」となっていて、コストは「0」となる。
【0125】
6.移動距離は、コスト付与処理部232で付与したスタッフAのコスト表を参照する(
図9(b))。スタッフAは水曜日には、他の利用者への訪問がないので、設定条件に従って、コスト「1」が付与される。そして、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、コスト「1」×コストパラメータ「0.2」=「0.2」が移動距離の算出コストとなる。
【0126】
したがって、水曜日9時から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望スタッフ0+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み「0」+移動距離コスト「1」×コストパラメータ「0.2」=「0.2」であり、合計コストは「0.2」となる。
【0127】
次にコスト算出処理部233は、別のスタッフであるスタッフBについても、水曜日の合計コストの算出をする。
1.希望スタッフについては、利用者gはスタッフAを希望していることから、スタッフBは条件外でコストは「1」、コストパラメータは「1」であり、「1」×「1」でコストは「1」である。
2.希望性別については、利用者gは女性を希望しているところ、スタッフBは男性なので条件外でコストは「1」、コストパラメータは「0.1」であり、「1」×「0.1」でコストは「0.1」である。
3.特殊資格については、利用者gは看護を希望しているところ、スタッフBはなしなので、条件外でコストは「1」、コストパラメータは「0.8」であり、「1」×「0.8」でコストは「0.8」である。
4.スキルについては、スタッフBのスタッフレベルはベテランなので希望通りであり、コストは「0」であるが、コストパラメータが「0」なので、いずれにしても「0」となる。
5.ケアの重みは、本実施例ではコスト算出から除外する設定のため、コストパラメータが「0」となっていて、コストは「0」となる。
【0128】
6.移動距離は、コスト付与処理部232で付与したスタッフBのコスト表を参照する(
図9(b))。スタッフBはその後に利用者dに訪問するシフトが組まれているので(
図7参照)、利用者gから利用者gの移動距離コスト「0.31」となる。そして、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、コスト「0.31」×コストパラメータ「0.2」=「0.062」が移動距離の算出コストとなる。
【0129】
したがって、水曜日9時から60分間、スタッフBが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望スタッフ「1」+希望性別「0.1」+特殊資格「0.8」+スキル「0」+ケアの重み「0」+移動距離コスト「0.062」=「1.962」であり、合計コストは「1.962」となる。
【0130】
上記算出コストによれば、水曜日9時から60分間、利用者gを訪問してサービスを提供する場合、スタッフAは合計コスト「0.2」、スタッフBは合計コスト「1.962」であることから、これらコスト算出処理部233の算出結果から、スケジュール候補作成処理部234は、水曜日9時から60分間、利用者gを訪問してサービスを提供する担当は、スタッフAが最適と判断し処理する。
【0131】
このように、コスト算出処理部233は、スケジュール作成に考慮される条件ごとに付与されたコストを各スケジュールごとに集計し、合計コストを算出し、スケジュール作成のための候補を抽出するためのデータを作成する。
本発明にかかるスケジュール作成システム1は、利用者の条件、スタッフの条件、及び事業所の利益、これらカテゴリーの異なる条件を、平均化して一つずつコスト付与し、それらを合計することで、1スケジュールごとに総合的な重みづけをし、その中から最適なスケジュール候補を提案し、決定することを可能とする構成となっている。
【0132】
上記説明したコスト算出処理部233の処理は、基本の処理であるが、訪問によるサービスを希望する利用者が増加し、人手不足が慢性化した業界では、利用者の希望条件をすべて満たすスケジュールの作成ができるとは限らない。
そこで、本発明にかかるスケジュール作成システム1は、コスト付与処理部232で付与したコストを有効的に利用して、どのような条件下においても、その条件下において最適なスケジュールを作成するための処理を実行する。
【0133】
図13は、スケジュール割付処理部231でスケジュール表に各スタッフのシフトが割り当てられた状態のスケジュール表の他の例を示す図である。
図13も
図7に示す例と同様に、スケジュール表には、曜日ごとに、担当スタッフ、利用者、訪問時間、訪問場所がカレンダー形式の勤務表の書式で表され一目でわかるように記録されている。
そして、
図7に示す例との違いは、月曜日の9:00にスタッフAのシフトが組まれている点である。
この場合のコスト算出処理部233の処理を以下に説明する。利用者g、スタッフA及びBの条件は先に説明した例と同様とする。
【0134】
利用受付情報受信部211で受信した利用者端末3からの受付情報によれば、利用者gの訪問希望時間は9:00である。
図13のスケジュール表を参照すると、スタッフAは、既に月曜日9:00にシフトが組まれている。
このような場合、コスト算出処理部233は、既にシフトが組まれている訪問希望時間を含めて(重複させて)、訪問希望曜日を基本にしてスケジュール候補として提案可能な時間帯を抽出する機能をカスタムとして備えることもできる。
すなわち、訪問時間を考慮せず、月曜日のうち候補となりうるスケジュールの抽出をする。
【0135】
図14は、提案可能な時間帯を抽出した結果を示す図である。
なお、本実施例においては、
図13に示すスケジュール表において、9:00に組まれたシフト以外のスケジュールである12:00からの利用者aと15:00からの利用者bを訪問するスケジュールは、そのままとして抽出する場合を示す。
【0136】
図14において、スタッフAが利用者gを訪問するスケジュールを組んだ場合、既に組まれている希望時間(701)の他、60分のサービス提供可能な時間帯が抽出されている。703、705は、その時間帯にスケジュールを組んだ場合、その後に訪問する場所が決まっていることから、その後に訪問する場所の訪問時間の五分前に終了するように時間を設定している。
また、704、706は、その前の時間帯に組まれているスケジュールの終了から五分後から開始するように時間を設定している。
【0137】
図15は、上記
図14で抽出した提案可能な時間帯について、スケジュールを割り当てた場合のコスト算出用テーブルの例を示す図である。
スタッフAのスタッフ登録情報記憶部223に記憶されている情報は、
図6(b)に示すように、性別は女性、スタッフレベルはベテラン、特殊資格は看護、移動手段は自動車、勤務可能日は月曜から土曜、勤務可能時間は9:00~18:00、一日の訪問上限件数は3件である。
この情報に照らし、コスト算出処理部233は、
図14の提案可能な時間帯ごとにスケジュール作成の条件と検証する。
【0138】
<9:00~10:00>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望していることから、コストは「0」である。
2.希望性別については、利用者gは女性を希望しているところ、スタッフAは女性なので、コストは「0」である。
3.特殊資格については、利用者gは看護を希望しているので、希望通りであり、コストは「0」である。
4.スキルについては、スタッフAのスタッフレベルはベテランなので希望通りであり、コストは「0」である。
5.ケアの重みは、本実施例ではコスト算出で考慮せずに除外するため「0」である。
【0139】
6.移動距離は、コスト付与処理部232で付与したスタッフAのコスト表を参照する(
図9(b))。組まれるスケジュールの日に他の利用者への訪問がない場合には、自動的にコスト「1」を付与すると定義づけておく設定とする。
スタッフAが9:00に利用者gを訪問し、60分のサービスを提供する場合、その後利用者aを訪問するスケジュールとなっているため、コスト「0.03」で、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.03」×「0.2」=「0.006」である。
【0140】
したがって、月曜日9:00から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間0+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.006であり、合計コストは0.006となる。
【0141】
<10:00~11:00>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」で、コストパラメータは「1」なので、合計コストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記9:00~10:00の場合と同じである。
【0142】
6.移動距離は、スタッフAが10:00に利用者gを訪問し、60分のサービスを提供する場合、その後利用者aを訪問するスケジュールとなっているため、コスト「0.03」で、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.03」×「0.2」=「0.006」である。
【0143】
したがって、月曜日10:00から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.006であり、合計コストは1.006である。
【0144】
<10:55~11:55>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記9:00~10:00の場合と同じである。
【0145】
6.移動距離は、その後12:00から利用者aを訪問するスケジュールとなっているため、コスト「0.03」で、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.03」×「0.2」=「0.006」である。
【0146】
したがって、月曜日10:55から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.006であり、合計コストは1.006である。
【0147】
<13:05~14:05>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記<9:00~10:00>の場合と同じである。
【0148】
6.移動距離は、13:00まで利用者aを訪問するスケジュールとなっているため、利用者aから利用者gまでの移動距離のコスト「0.03」と、その後に利用者bを訪問するスケジュールとなっているため、利用者gから利用者bまでの移動距離のコスト「0.016」が加算され、コストは「0.03」+「0.016」=「0.046」であり、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.046」×「0.2」=「0.0092」である。
【0149】
したがって、月曜日13:05から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.0092であり、合計コストは1.0092である。
【0150】
<13:55~14:55>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記<9:00~10:00>の場合と同じである。
【0151】
6.移動距離は、前に利用者aを訪問するスケジュールとなっているため、利用者aから利用者gまでの移動距離のコスト「0.03」と、その後に利用者bを訪問するスケジュールとなっているため、利用者gから利用者bまでの移動距離のコスト「0.016」が加算され、コストは「0.03」+「0.016」=「0.046」であり、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.046」×「0.2」=「0.0092」である。
【0152】
したがって、月曜日13:55から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.0092であり、合計コストは1.0092である。
【0153】
<16:05~17:05>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記<9:00~10:00>の場合と同じである。
【0154】
6.移動距離は、前に利用者bを訪問するスケジュールとなっているため、利用者bから利用者gまでの移動距離のコスト「0.016」で、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.016」×「0.2」=「0.0032」である。
【0155】
したがって、月曜日16:05から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.0032であり、合計コストは1.0032である。
【0156】
<17:00~18:00>
1.希望時間については、利用者gは9:00を希望しているので、希望以外となりコストは「1」である。
2.希望性別から5.ケアの重みについては、前記<9:00~10:00>の場合と同じである。
【0157】
6.移動距離は、前に利用者bを訪問するスケジュールとなっているため、利用者bから利用者gまでの移動距離のコスト「0.016」で、移動距離のコストパラメータは「0.2」なので、合計コストは「0.016」×「0.2」=「0.0032」である。
【0158】
したがって、月曜日17:00から60分間、スタッフAが利用者gを訪問してサービスを提供する場合、希望時間1+希望性別0+特殊資格0+スキル0+ケアの重み0+移動距離コスト0.0032であり、合計コストは1.0032である。
【0159】
上記のように、各条件ごとに付与されたコストがコスト算出処理部233により各時間帯ごとの合計コストとして算出される。
なお、上記のようにスケジュールを重複して算出した場合、既にスケジュールに組まれていた重複したシフトについてもコスト算出をし、その結果、振替えることを提案した方がよいと判断した場合には、重複したスケジュールを候補として提案する。
このように、本発明にかかるスケジュール作成システムは、スケジュールの作成にあたり、各条件ごとにコストを付与し、合計コストを算出する構成となっているので、必要に応じて優先する条件を変更したり、付与されたコストを変更して、シフトの再割り付けに柔軟に対応できるものとなっている。
【0160】
スケジュール候補作成処理部
スケジュール候補作成処理部234は、前記コスト算出処理部233で算出された合計コストを少ない順にソートして上位の複数のスケジュールを、スケジュール候補として選出し、それをスケジュール候補として処理し、管理者や利用者に提示するための処理を行う。
図16は、スケジュール候補作成処理部により処理されたスケジュール候補を示す図であり、スケジュール候補作成処理部234は、前記コスト算出処理部233で算出された合計コストの低い順に抽出し、スケジュール候補として提案可能か検証し、可能と判断した場合には、提案対象として記憶する。
そして、スケジュール候補として、管理者用端末4や利用者端末3の表示部に表示可能に調整する。管理者用端末4や利用者用端末3での表示は、提案するスケジュール候補のみであっても、抽出されたすべてのスケジュール候補を表示するものであってもよい。
図16では、コスト算出された全てのスケジュール候補が表示され、提案候補として、コスト合計の少ないスケジュール候補を順に候補1~4として提案対象であることがわかるように表示される場合の例である。
全てのスケジュール候補が表示されている場合、提案された候補に承認できない時には、提案候補として挙げられていないスケジュールを選択することも可能となる。
【0161】
スケジュール決定処理部
スケジュール決定処理部235は、前記スケジュール候補作成処理部234によりスケジュール候補として作成された中から、管理者用端末4あるいは利用者端末3の入力操作で選択されたスケジュール候補を、決定スケジュールとして処理をする。
そして、決定したスケジュール情報を、スケジュール割付処理部231にスケジュール表に割り付けるよう指示を送る。
【0162】
シフト情報処理部
シフト情報処理部236はスケジュール決定処理部235で処理されたスケジュール情報を利用者端末3やスタッフ用端末5で確認できるよう、すなわちスケジュールの可視化処理をし、当該スケジュールによるシフトが組まれたという情報を関係者と共有できるよう処理を行う。例えば視覚的に状況の確認、把握がしやすいカレンダー形式の勤務表を作成する。
シフト情報処理部236で、スケジュール情報を勤務表等により可視化、共有可能処理することで、自分に関係するスケジュールはもちろん、自分の担当以外のスケジュールの状況も確認できるようになる。
なお、利用者によっては担当する訪問医が決まっている場合があり、そのような場合、その訪問医がスタッフの訪問するスケジュールを確認したい場合もある。
シフト情報処理部236は、そのような場合にも対応するため、利用者端末3やスタッフ用端末5以外の関係者の端末からもアクセスできるよう処理しておく。
柔軟なアクセスを可能とすることで、スケジュールに不都合が生じた場合等、可視化により早期に情報が繋がり、迅速なシフトの調整を補助することができる。
【0163】
訪問スケジュール作成方法
本発明にかかるスケジュール作成システムを用いた基本的な訪問スケジュールの作成方法について、以下説明する。
図17は、本発明にかかるスケジュール作成システムを利用した基本的な訪問スケジュール作成にかかる処理の流れを示すフローチャートで、
図18は、本発明にかかるスケジュール作成システムを利用した基本的な訪問スケジュール作成にかかる全体の流れを示す説明用図面である。
【0164】
本発明にかかるスケジュール作成システム1を実行し、以下の流れで訪問スケジュールを作成する。
少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末3から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部211で受け付けるステップと(ステップ1)、
利用受付情報受信部211で受け付けたサービス利用受付情報を利用受付情報記憶部221に記憶するステップと(ステップ2)、
前記サービス利用受付情報、及び、スタッフ毎のスタッフ登録情報に基づいてあらかじめ定めたコストを、コスト付与処理部232で付与するステップと(ステップ3)、
前記コスト付与処理部で付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部233で算出するステップと(ステップ4)、
前記コスト算出処理部234で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部234で抽出するステップと(ステップ5)、
前記抽出したスケジュール候補の中からスケジュール決定処理部236で決定したスケジュールを前記スケジュール割付処理部231により割付け、シフト情報処理部236でシフトを割り付けた勤務表を作成し、利用者端末3やスタッフ用端末5で確認・情報共有可能にシフト情報を処理するステップ(ステップ6)によりスケジュールを作成する。
【0165】
なお、前記コスト算出処理部233で算出された合計コストを参照して、スケジュール候補をスケジュール候補作成処理部234で抽出するステップは、前記コスト算出処理部233で算出された合計コストの低い方から順に複数、スケジュール候補とする。
【0166】
本発明にかかるスケジュール作成システム1の全体の流れは、
図18に示すように、まず、利用者端末3からスケジュール作成装置2にアクセスするため、ログイン情報等を送信する。
スケジュール作成装置2は、利用者端末3から受信した情報について、認証処理を行う。そして、スケジュール作成装置2は認証が確認できると、利用者端末3へサービスの利用にかかる受付情報入力画面を送信する。
【0167】
受付情報入力画面を受信した利用者端末3は、希望するサービスについて入力し、受付情報としてスケジュール作成装置2へ送信する。
利用者端末3からサービス利用にかかる受付情報を受信したスケジュール作成装置3は、スケジュール候補作成処理を実行する。スケジュール候補作成処理の流れは、前記
図17で示したものである。このとき、スケジュール作成装置2は、複数のスケジュール候補を作成する。
【0168】
スケジュール作成装置2は、複数のスケジュール候補を作成した後、その情報を管理者用端末4へ送信する。
管理者用端末4は、スケジュール作成装置2から送信された複数のスケジュール候補から、最適なスケジュールを選択し決定し、その情報をスケジュール作成装置2へ送信する。
すると、スケジュール作成装置2は、スケジュール表に決定したスケジュールを割当て、スケジュール決定の処理を行う。
そして、前記決定したスケジュールで割り当てられたシフトを勤務表に入れ込んでスケジュールの内容を可視化するため、勤務表作成処理を実行する。
【0169】
最後に、スケジュール作成装置2は、利用者端末3やスタッフ用端末5、管理者用端末4に、決定スケジュールの内容や、そのスケジュールの情報が書き込まれた最新の勤務表を送信、あるいは、ブラウザやアプリケーションを介して、利用者端末3、スタッフ用端末5及び管理者用端末4の表示部に表示可能となるように処理をして、スケジュール作成が完了する。
なお、各端末や、各処理の詳細については、前記スケジュール作成システムで説明したのと同様の機能、同様の処理なので、説明を省略する。
【0170】
スタッフの勤務表作成方法
本発明にかかるスケジュール作成装置を用いたスタッフの勤務表作成方法について、以下説明する。ここで、スタッフの勤務表とは、いつどの利用者の元に訪問するのかというサービス計画に応じて、どれぐらいスタッフが働く必要があるのかを明確にし、可視化するものである。
【0171】
本発明において勤務表の作成は、訪問によりサービスを受ける利用者のサービス利用受付情報に基づいて、前記利用者の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの情報とから、サービス提供のスケジュールを割り付けるスケジュール作成方法を利用して勤務表を自動で作成する。具体的には以下のような手順である。
a)少なくとも情報入力部、表示部及び通信手段を備える利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を利用受付情報受信部で受け付けるステップと(ステップ1)、b)利用受付情報受信部で受け付けたサービス利用受付情報を利用者情報記憶部の利用受付情報記憶部に記憶するステップと(ステップ2)、c)利用者が訪問を希望した日の訪問先の件数と前記訪問先の移動距離を算出し、必要なルートをルート作成処理部で作成するステップと(ステップ3)、d)前記ルート作成処理部で作成されたルートに、スタッフ登録情報記憶部の希望休の申請の有無等の情報からスタッフ候補をスタッフ候補算出処理部で算出するステップと(ステップ4)、e)前記スタッフ候補算出処理部で算出されたスタッフ候補を前記ルート作成処理部で作成されたルートに割り付けた場合の合計コストをコスト算出処理部で算出するステップと(ステップ5)、f)算出された合計コストのうち、もっとも低いコストのスタッフを抽出し(ステップ6)、g)前記もっとも低いコストのスタッフをルート作成処理部で作成されたルートのシフトを割り当てるスタッフ候補とし(ステップ7)前記スタッフ候補から構成される勤務表案を含む1つまたは複数の勤務表案を提供し、勤務表を作成する。
【0172】
本発明における勤務表作成方法の実施の形態の例として、スケジュール作成装置2により、記憶部22の情報を参照し、制御部23のスケジュール割付処理部231のルート作成処理部で最適なルートを自動で作成する工程と、そのルートに割り当てるスタッフの候補をスタッフ候補算出処理部で自動で算出する工程から、勤務表を自動作成する方法を以下に説明する。なお、上記工程は、それぞれ独立したシステムとして利用することができるものである。
【0173】
図19は、本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成にかかる処理のうち最適なルートを作成する流れを示すフローチャートである。
まず、管理者用端末4で、スケジュール作成装置2にアクセスし、スタッフの勤務表を作成する日付範囲を指定する(ステップ11)。
前記指定された日付範囲について日付ごとに、スケジュール割付処理部231で利用受付情報記憶部221、利用者登録情報記憶部222、スタッフ登録情報記憶部222から必要な情報を取得する(ステップ12)。
必要な情報は、例えば、利用者側の情報としては、利用受付情報記憶部221及び利用者登録情報記憶部222で記憶されている情報から、指定した日に訪問を希望している利用者の氏名、訪問先住所、訪問希望時間、サービス提供時間、希望サービス、希望性別、スタッフレベル等である。スタッフ側の情報としては、スタッフ登録情報記憶部222に記憶されている情報から、指定した日に勤務可能なスタッフ、そのスタッフの性別、レベル、特殊スキル、移動手段、勤務可能時間、一日の訪問上限件数等の情報を取得する。
【0174】
ステップ12で取得した情報から、指定した日の訪問先の件数(稼働データ)、各訪問先の移動距離を算出し、必要なルートを算出する(ステップ13)。
必要なルートは、ルート作成処理部により算出される。
なお、既にルートが算出されている場合は、このステップ13の処理は必要ない。
また、件数が少なく、特にルートを算出する必要がない場合も、この処理は省略できる。本実施例では、ルートの算出処理を含めて説明しているが、勤務表作成にかかるスケジュール作成装置の計算処理の負荷を削減するために、ルート作成処理はせず、割り当てるスタッフの候補をスタッフ候補算出処理部で抽出することのみであってもよい。
【0175】
図20は、ルートを算出する際の処理方法の例を示す説明図である。ここに示す例では、ルートを作成する日(指定した日)を7月10日とし、この日の訪問先は、利用者a、利用者b、利用者cの3件である。
この3件について、訪問先の移動距離間と、利用者の希望サービス、訪問希望時間を参照し、より移動距離が短く、利用者の希望条件が似ていることをルート算出条件とし、必要ルートを抽出する。
図20においては、利用者bと利用者c間の移動距離が短く、両者の希望する条件が似ていた場合であり、利用者aに訪問するルートをルート1とし、利用者bと利用者cに訪問するルートをルート2とし、2つのルートを算出している。
【0176】
次に、算出されたルートに対して、スケジュール割付処理部231のスタッフ候補算出処理部で、スタッフの情報を参照して、候補となりうるスタッフのシフトを割り当てる(ステップ14)。
シフトを割り当てるにあたり、ステップ12で取得した情報を参照し、該当ルート内のシフトに紐付く利用者の希望条件と、該当シフトに紐付くスタッフの希望条件に矛盾が生じないか検討する(ステップ15)。
矛盾が生じるスタッフについては、そのルートにシフトを割り当てない(ステップ16)。
そして、矛盾が生じないスタッフは、該当ルートに割り当てるスタッフ候補として選出し、それぞれコスト付与処理部232でコスト付与処理をする(ステップ17)。
割り当てるスタッフ候補の選出は、(a)最適なルート(当該日を含む週又は月の全訪問予定の稼働効率が最大となるルート)、(b)条件に合致する(矛盾しない)スタッフ候補、(c)ルートに割り当て可能な勤務区分(勤務開示時間と終了時間)を参照する。
【0177】
図21は、ルートに割り当てるスタッフ候補提案処理を説明する図であり、ステップ12で取得した利用者の訪問先住所、訪問希望時間、サービス提供時間、希望サービス、希望性別、スタッフレベル等の希望条件と、移動距離条件、その他スタッフとの相性等の条件について付与されたコストを参照し、ルート1には、スタッフA、B、Cを割当候補とし、ルート2には、スタッフD、E、Fを割当候補として選出している。
それぞれ割り当てたスタッフへのコスト付与は、前述のコスト付与処理部の処理と同様の処理によって行う。
【0178】
次に、付与されたコストについて、条件ごとに合計コストを算出する(ステップ18)。
すべてのルートについて、同様に合計コストを算出し(ステップ19)、算出していないルートがある場合には、ステップ15に戻って同様に処理する。
すべてのルートについて合計コストを算出したら、最もコストが低いスタッフを割り当て可能な勤務区分(勤務開始時間と終了時間)を設定する(ステップ20)。
同様の処理を、勤務表を作成する日付範囲の全日程について行う(ステップ21)。
以上により、最も稼働効率が高い最適なルートに基づく勤務表が作成される。
【0179】
以下に、
図19の本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成にかかる処理のうち最適なルートを作成する流れに基づいて最適なルートを作成する具体的な実施例を示す。
【0180】
図22~
図24は、本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成の実施例の説明図である。
図22(A)は、スタッフの勤務表を作成する日付範囲を2023年7月10日から12日に指定する設定をした場合を示している(ステップ11)。スケジュール作成装置2は、勤務表を作成する日付範囲が入力され指定を受けると制御部23のスケジュール割付処理部231で、指定された日付範囲について、日付ごとに、利用受付情報記憶部221や利用者登録情報記憶部222に記憶されている情報から、指定した日に訪問を希望している利用者の氏名、訪問先住所、訪問希望時間、サービス提供時間、希望サービス、希望性別、スタッフレベル等を抽出する(ステップ12)。図においては、当該指定した日に訪問を希望している利用者を収集した結果として、7月10日は利用者a、b、c、d、e、7月11日は利用者a、d、e、f、7月12日は利用者b、c、d、e、g、hとなっている。
したがって、7月10日の訪問希望件数(シフトを割り当てる合計シフト数)は5件、7月11日は4件、7月12日は6件である。
【0181】
また、
図22(A)に示す実施例では、スケジュール割付処理部2は、スタッフ登録情報記憶部222に記憶されている情報から、シフトを割り当てることが難しいスタッフとして、指定した日に希望休を申請しているスタッフを抽出している。7月10日はスタッフA、7月11日はスタッフBとC、7月12日はスタッフBが希望休を申請しているという情報が取得されている。
【0182】
勤務表作成のための処理は日ごとに行うため、
図22(B)は、勤務表を作成する日付範囲のうち、処理を実行する日(以下、稼働日ともいう。)を指定している。図においては、7月10日が指定されている。
【0183】
図22(C)は、稼働日における全訪問希望の利用者に最適なサービスを提供するために、必要なルート数の算出のために取得された情報である。
訪問先希望件数(合計シフト数)から、該当日付(稼働日)の必要ルートを算出する(ステップ13)ための情報としては、スタッフ登録情報記憶部222に記憶されている情報から、勤務可能なスタッフ、そのスタッフの性別、目標シフト数、勤務区分の種類、レベル、特殊スキル、一日の訪問上限件数(一日の目標シフト件数)等の情報が取得される。図において、スタッフ情報として、スタッフの目標シフト件数は1日2件であること、割当可能スタッフは、女性スタッフAとB、男性スタッフCとDである。そして、勤務区分は(1)全休、(2)日勤、(3)午後休の3種類である。
また、利用受付情報記憶部221等を参照し、各利用者の希望条件のうち、希望するスタッフの性別とレベルに関する情報が取得されている。図において、利用者aの希望条件は、「女性、新人」であり、利用者bの希望条件は「女性」、利用者cの希望条件は「男性、ベテラン」、利用者dの希望条件は「男性」、利用者e~fは特に希望条件はないことが示されている。
【0184】
図22に示す実施例では、(D)に示すように勤務表作成の前に、当該稼働日のスケジュールに、あらかじめ利用者の希望条件に対し、スタッフA、B、Cがシフトに割り当てられている。このシフトに対し、勤務表を作成するにあたっては、当該稼働日に訪問を希望する件数のすべての情報を総合的に取得し、これらすべての訪問をスタッフに割り振るにあたり、最も稼働効率が高い組み合わせを自動で算出する。
そこで、前記利用者情報記憶部220の利用受付情報記憶部221及び利用者登録情報記憶部222の情報から利用者を訪問する順番のルートを作成する。まずは、利用者情報記憶部220から取得したスケジュールを作成する稼働日の全訪問希望件数の希望条件と移動時間及びスタッフ登録情報記憶部223から取得したスタッフの情報から、当該稼働日の1日に必要な必要ルート数を算出する。
【0185】
必要なルートの算出は、以下のうち、最も大きい数を必要ルート数とすることができる。
a)時間が重複しているシフト
b)希望条件上、重複しないルート数
c)合計シフト数/スタッフの目標シフト件数
【0186】
図22(D)によると、希望訪問時間が9:00~10:00である利用者は、利用者a、b、cの3件である。
図22(E)の必要ルート数の算出においては、a)時間が重複しているシフト数が3(件)であることを示している。
また、利用者の希望条件のうち、スタッフ性別は、男性と女性があり、これは重複しないため、b)希望条件上、重複しないルート数というのは2である。
そして、7月10日の訪問希望件数(合計シフト数)は5件であり、スタッフ登録情報記憶部22から取得したスタッフA、B、Cが一日に割り当てられるシフト(訪問する件数)の目標数(スタッフの目標シフト件数)は2件なので、合計シフト数/スタッフの目標シフト件数は5/2=2.5である。
そうすると、最も大きい数は、a)の3であることから、7月10日の必要ルート数は3と算出される。
【0187】
次に、算出されたルートに対しシフトを割り当てる(ステップ14)。
図23(F)は、必要ルート数3を、ルート1、ルート2、ルート3とし、各ルートに対し、まず時間が重複しているシフト(利用者a、b、c)を割り当てた状態を示す。
ここで、各ルートに紐付く利用者の希望条件と該当シフトのスタッフの希望条件との不整合を検証する(ステップ15)。
前記利用者a~cのシフトが割り当てられているルート1~3に、利用者dのシフトを割り当てる場合、利用者dの希望条件である「希望訪問時間17:00から17:30、スタッフは男性」を満たすシフトとするため、スタッフには女性を希望している利用者aと利用者bが割り当てられているルート1と2に割り当てると不整合が生じる。したがって、希望条件の不整合を除外するため、利用者dは、ルート1とルート2には割り当てない(ステップ16)。その結果、利用者dは、ルート3に割り当てられる。
図23(G)は、ルート3の17:00に利用者dのシフトが組まれたことを示している。
【0188】
ルート1~3に、利用者a~dが割り当たっている場合に、利用者eのシフト(10:30-11:30)は、特にスタッフの希望条件はないので、整合の生じるルートはない。そこで、コスト付与(ステップ17)し、最も稼働効率のよいシフトを検証する。
本実施例では、移動距離のコストを付与し検証する(ステップ18)。
【0189】
図23(H)(1)は、利用者a~e間の移動距離にコスト付与処理部232でコストを付与した結果を示す。この例では、利用者間の移動距離から、移動にかかる時間を算出し、その時間をコストとして利用している。1時間をコスト1とし、例えば15分であれば、コストは0.25である。なお特にコストパラメータは設定していない。
図23(H)に示す結果によれば、利用者eとの関係で最も移動コストが低いのは利用者aであることがわかる。
【0190】
上記処理の流れで算出された結果、
図23(H)(2)に示すように、ルート1の利用者aの後に、利用者eのシフトが割り当てられ(ステップ20)、稼働効率の高い最適なルートが算出される。なお、最適なルートを算出した後、
図24(I)に示すように各ルートに勤務区分が割り当てられる(ステップ20)。図においては、ルート1及びルート2の勤務区分は午後休(9:00-13:00)、ルート3の勤務区分は日勤(9:00-19:00)である。これにより、各ルートの勤務開示時間と勤務終了時間が記録され、勤務表が作成される。
【0191】
本発明にかかる勤務表作成方法の実施例の1つは、上記手順により最適ルートを算出し、シフトを割り当てる方法であるが、他の実施例として、最適なルートを作成した後、スタッフの勤務表作成のため、各ルートに最適なスタッフ候補を選出する処理を実行して、自動的にシフトに割り当てるスタッフ候補を選出する方法もある。
そして、この場合、前記選出したスタッフ候補から構成される勤務表案を含む1つまたは複数の勤務表案が作成される。
【0192】
図25は、本発明にかかるスケジュール作成装置を利用したスタッフの勤務表作成にかかる処理のうち最適なスタッフ候補を選出する流れを示すフローチャートである。
本実施例では、あらかじめ最適なルートが算出された場合の例を示すが、ルートの算出がない場合は、利用者受付情報221で希望訪問日を指定して取得した情報からスタッフ候補を算出することもできる。
まず、勤務表を自動作成する日付を選択する(ステップ21)。
次に、スケジュール割付処理部231は、利用者情報記憶部220から、前記選択した日付の訪問先件数を抽出する(ステップ22)。
なお、既に勤務表を作成する日付においてルートの算出処理がされている場合には、当該日付に設定されたルートを抽出する(ステップ22)。
そして、スタッフ候補算出処理部は、抽出された訪問先件数又はルート情報から、必要となるスタッフ数の算出処理をする(ステップ23)。
【0193】
そして、スケジュール作成装置2の制御部23は、スタッフ登録情報記憶部223に登録されている情報から、該当日付に希望休を申請しているスタッフを検索し(ステップ24)、希望休を申請しているスタッフを除外処理し(ステップ25)、当該日付に割り当て可能なスタッフを抽出する(ステップ26)。
次に当該日付の全訪問先の利用者の希望条件から条件コストを計算する(ステップ27)。
そして、該当スタッフについてスタッフごとの稼働コストを計算(ステップ28)し、スタッフ間の相性コストを合計する(ステップ29)。
上記流れでスタッフ全員分の全コストを計算し(ステップ30)、全員分の計算が完了するまで繰り返す。
【0194】
計算された合計コストに基づいて、スタッフをコストの昇順に並び替える(ステップ31)。
上記算出された合計コストのうち、少ないスタッフ順に必要スタッフ分の候補を提案する(ステップ32)。
上記流れの処理をすべてのルートについて実行し、勤務表作成日に割り当てる最適なスタッフ候補の選出処理を完了する。
【0195】
<条件コストの算出>
前記、ステップ27における「全訪問先の利用者の希望条件から条件コストを計算」の「条件コスト」とは、利用者の希望条件に対し、スタッフの情報を参照し、その利用者にそのスタッフを割り当てた場合、利用者の希望条件と合わない場合にコストを高く設定し、できるだけ利用者の希望条件に沿ったシフトができるよう調整されるコストのことで、以下の流れで算出される。
図26は、本発明にかかる全訪問先の利用者の希望条件から条件コストの計算手順の流れを示すフローチャートである。
まず、全訪問先の利用者の希望条件を利用者情報記憶部220から取得する(ステップ261)。利用者情報記憶部220の情報から取得する利用者の希望条件としては、例えば、希望スタッフ、希望するスタッフの性別、特殊資格、期待スキルに関する情報である。
次に、希望休を申請しているスタッフ等を除外して、シフトを割り当て可能なスタッフを抽出する(ステップ262)。
そして、抽出されたスタッフについて、スタッフごとに全利用者の希望条件を検証する(ステップ263)。検証は以下の流れで行われる。
まず、利用者の希望条件において、希望スタッフが指定されている場合、検証の対象となるスタッフが、その希望スタッフであるか判断し、希望のスタッフではない場合、コスト付与処理部232でコスト追加処理を行う(ステップ264)。
【0196】
次に、利用者の希望条件において、スタッフの性別の希望が指定されている場合、検証の対象となるスタッフが、その希望性別であるか判断し、希望性別ではない場合、コスト付与処理部232でコスト追加処理を行う(ステップ265)。
【0197】
さらに、利用者の希望条件において、スタッフの特殊資格が希望されている場合、検証の対象となるスタッフが、その希望資格を有するか判断し、当該資格を有さない場合、コスト付与処理部232でコスト追加処理を行う(ステップ266)。
【0198】
本実施例では、その他、利用者の希望条件において、スタッフのスキルが希望されている場合も参酌し、検証の対象となるスタッフが、その希望される期待スキルを有するか判断し、当該スキルを有さない場合、コスト付与処理部232でコスト追加処理を行う(ステップ267)。
上記手順で、希望条件どおりであれば、コストを低く、希望と違う場合にはコストが高くなるようコスト付与処理部232で処理をし、コスト算出処理部233で合計して(ステップ268)希望条件にかかるコストを条件コストとして算出する。
【0199】
<稼働コストの算出>
前記、ステップ28における「スタッフごとの稼働コストを計算」の「稼働コスト」とは、一部のスタッフの稼働日数が多かったり、連続出勤が続いていたりというように、シフトの偏りによって稼働バランスが不均衡になって負荷がかからないように調整するためのコスト付与処理部232で付与されるコストの一種である。稼働コストについては、コスト付与処理部232でコスト算出に含めるか否か選択できる。
本実施例では、稼働コストを含めて、スタッフ候補を算出場合の例を示している。
図27は、本発明にかかる稼働コストの計算手順の流れを示すフローチャートである。
【0200】
稼働コストの計算は、まず希望休を申請している等により除外されるスタッフ以外のスタッフ、すなわちシフトに割り当て可能なスタッフを抽出する(ステップ271)。
そして、前記抽出されたスタッフについて、スタッフ登録情報記憶部223からスタッフの登録情報を取得する(ステップ272)。
取得した登録情報から、スタッフごとの希望休数に関する情報を収集し、希望休数に関する稼働コストを計算する(詳細は後述する)(ステップ273)。
あわせて、取得した登録情報から、スタッフごとの連続出勤数に関する情報を収集し、連続出勤数に関する稼働コストを計算する(詳細は後述する)(ステップ274)。
【0201】
そして、当該スタッフにカスタムルールが設定されているか検証し、設定されていなければ、上記希望休数の稼働コストと、連続出勤数の稼働コストを合計する(ステップ277)。
カスタムルールが設定されている場合には、カスタムルールの内容に合わせてコスト調整した後に、合計コストを算出する。ここで、カスタムルールとは、職種によって必要人数が定められている場合や、連続出勤人数の制限が定められている場合等で、カスタムで設定可能なルールのことであり、設定は任意であり、より利用者に最適なサービスを提供し、スタッフを平等にシフトを割り振るためにコスト処理に参酌されるものである。
最後に、前記処理の工程により、割り当て可能な全スタッフ分の稼働コストを算出して終了する(ステップ278)。
【0202】
<相性コストの算出>
前記、ステップ29における「スタッフ間の相性コストを計算」の「相性コスト」は、例えば、新人と新人を夜勤で組み合わせないようにする、スキルが被らないようにするなど、複数のスタッフ間において調整されるコストである。相性コストを計算しやすいように、スタッフをグループ分けして、同グループに所属している場合は、相性コストを高く付与するというように、自動的に判断できるように設定される。
本実施例では、グループとスキルレベルを参照して、相性コストを算出する場合の例を示している。
【0203】
図28は、本発明にかかる相性コストの計算手順の流れを示すフローチャートである。
まず、希望休を申請していないスタッフ、すなわち、シフトに割り当て可能なスタッフを抽出する(ステップ281)。
そして、スタッフ登録情報記憶部223に登録されているスタッフ情報を参照し、同日に割り当て可能なスタッフのいずれかとの関係において、同じグループに所属しているか検証する(ステップ282)。ここでは同じグループに所属している場合は、コスト追加の処理をする。
また、スタッフのスキルレベルを検証し(ステップ283)、スキルレベルがない場合に、コストを追加する処理をする。
そして、スタッフのスキルレベルのバランスを調整し(スタッフ284)、相性コストを合計して算出する(スタッフ285)。
【0204】
本発明における最適なスタッフ候補を選出する流れに基づいて、具体的な実施例を以下に説明する。
図29は、サービス提供日(稼働日)における訪問ルートに割り当てる最適なスタッフ候補を提案処理するために取得された情報の例を示す説明図である。
図において、サービス提供日(稼働日)は、2023年7月10日である。
そして、スタッフ登録情報記憶部222に記憶されている情報から、割当可能なスタッフ、スタッフのNGグループ、希望休の申請に有無等の情報が収集される。
図29に示す例において、割当可能なスタッフは、女性スタッフAとB、男性スタッフCとDであり、NGグループとしては、スタッフA,B,Dが属するグループ1であることが情報として取得されている。
また、当該日付において希望休を申請しているのは、スタッフAである。
一方、利用者情報としては、利用者情報記憶部220から利用者の希望条件を取得する。
図29に示す例において、利用者aの希望条件は、女性スタッフ、新人であり、利用者bの希望条件は女性スタッフ、利用者cの希望条件は男性、ベテランであり、利用者dの希望条件は男性スタッフ、利用者eからhは特に希望条件はないという情報が取得されている。
【0205】
図30は、サービス提供日(稼働日)における訪問ルートの算出結果を示す例を示す説明図である。
ここに示す例においては、サービス提供日を7月10日とし、当該日付において訪問希望する全利用者の住所から、先に説明したルート算出方法で算出されたルートは、ルート1、ルート2、ルート3の3つである。
各ルートに最適なスタッフ候補を選出する処理は、ルートごとに行われる。ここではルート1を選択し、当該日付(サービス提供日)に必要なスタッフ数を算出する。
次に、当該日付に割り当て可能なスタッフを抽出するために、希望休を申請していないスタッフを抽出する。7月10日に希望休を申請しているスタッフは、スタッフAなので、希望休を申請していないスタッフは、スタッフB、C、Dが割り当て可能なスタッフである。
【0206】
そこで、希望休を申請していない当該日付(サービス提供日)に稼働可能なスタッフB、C、Dについて、利用者との関係におけるスタッフごとのコストをコスト付与処理部232で付与処理を行い、それぞれコストを計算する。
まず、該当のスタッフとルート1に紐づく全訪問先の利用者(利用者a、b、c)の希望条件から条件コストを計算する。
ルートに紐づく全訪問先の利用者の希望条件から計算する条件コストは、以下の計算式で求めることができる。
計算式:y=ΣnΣmwnanm
y:該当スタッフの条件コスト
n:考え得る条件数(希望性別か等)
m:条件コスト計算対象の利用者数
w:コストパラメータ
a:条件に違反したかどうか(0/1)
【0207】
図31は、コスト付与処理部232で、7月10日に稼働可能なスタッフBについてコスト付与処理をし、コスト算出した結果を示す例の説明図である。
ルート1において訪問希望利用者は、利用者a、b、cであるので、それぞれスタッフBとの条件コストを計算する。
条件コストの算出にあたり、利用者情報記憶部220の情報から参照する利用者の希望条件は、希望スタッフ、希望するスタッフの性別、特殊資格、期待スキルとする。コスト付与処理部232では、前記希望条件にそれぞれコストパラメータとして、希望スタッフについては、1.0、希望性別については0.1、特殊資格については0.8、期待スキルについては0(無視する)を付与する。コストについては、それぞれ希望と一致すれば「0」、希望と相違する場合は「1」が付与される。
【0208】
a)利用者aとスタッフBの条件コストの算出
利用者aの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別は女性スタッフ、特殊資格は精神科、期待スキルはベテランである。スタッフBは女性であり、特殊資格は有さない場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「1」なので、計算結果は「0.8」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者aとスタッフBの条件コストの合計コストは、「0」+「0」+「0.8」+「0」=「0.8」となる。
【0209】
b)利用者bとスタッフBの条件コストの算出
利用者bの希望条件は、希望スタッフはスタッフA、希望性別は男性スタッフ、特殊資格は指定なし、期待スキルは指定なしである。スタッフBは女性であり、特殊資格は有さない場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは希望スタッフがスタッフAなので「1」、したがって計算結果は「1」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは希望性別が男性なので「1」、したがって計算結果は「0.1」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者bとスタッフBの条件コストの合計コストは、「1」+「0.1」+「0」+「0」=「1.1」となる。
【0210】
c)利用者cとスタッフBの条件コストの算出
利用者cの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別も指定なし、特殊資格及び期待スキルも指定なしである。スタッフBは女性であり、特殊資格は有さない場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者cとスタッフBの条件コストの合計コストは、「0」+「0」+「0」+「0」=「0」となる。
【0211】
上記条件コストの算出から、ルート1におけるスタッフBの条件コスト合計は、「0.8+1.1+0=1.9」と算出される。
【0212】
図32は、コスト付与処理部232で、7月10日に稼働可能なスタッフCについてコスト付与処理をし、コスト算出をした結果を示す例の説明図である。
ルート1において訪問希望利用者は、利用者a、b、cであるので、それぞれスタッフCとの条件コストを計算する。
スタッフBの場合と同様に、条件コストの算出にあたり、利用者情報記憶部220の情報から参照する利用者の希望条件は、希望スタッフ、希望するスタッフの性別、特殊資格、期待スキルとする。コスト付与処理部232では、前記希望条件にそれぞれコストパラメータとして、希望スタッフについては、1.0、希望性別については0.1、特殊資格については0.8、期待スキルについては0(無視する)を付与する。コストについては、それぞれ希望と一致すれば「0」、希望と相違する場合は「1」が付与される。
【0213】
a)利用者aとスタッフCの条件コストの算出
利用者aの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別は女性スタッフ、特殊資格は精神科、期待スキルはベテランである。スタッフCは男性であり、特殊資格として精神科関係の資格を有するとした場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは女性スタッフを希望しているので「1」、計算結果は「0.1」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは精神科資格を有するので「0」、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者aとスタッフCの条件コストの合計コストは、「0」+「0.1」+「0」+「0」=「0.1」となる。
【0214】
b)利用者bとスタッフCの条件コストの算出
利用者bの希望条件は、希望スタッフはスタッフA、希望性別は男性スタッフ、特殊資格は指定なし、期待スキルは指定なしである。スタッフCは男性であり、特殊資格は「精神科」である場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは希望スタッフがスタッフAなので「1」、したがって計算結果は「1」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは希望性別が男性なので「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者bとスタッフCの条件コストの合計コストは、「1」+「0」+「0」+「0」=「1」となる。
【0215】
c)利用者cとスタッフCの条件コストの算出
利用者cの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別も指定なし、特殊資格及び期待スキルも指定なしである。スタッフCは男性であり、特殊資格は「精神科」の場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者cとスタッフCの条件コストの合計コストは、「0」+「0」+「0」+「0」=「0」となる。
【0216】
上記条件コストの算出から、ルート1におけるスタッフCの条件コスト合計は、「0.1+1+0=1.1」と算出される。
【0217】
図33は、コスト付与処理部232で、7月10日に稼働可能なスタッフDについてコスト付与処理をし、コスト算出した結果を示す例の説明図である。
ルート1において訪問希望利用者は、利用者a、b、cであるので、それぞれスタッフDとの条件コストを計算する。
スタッフB、Cの場合と同様に、条件コストの算出にあたり、利用者情報記憶部220の情報から参照する利用者の希望条件は、希望スタッフ、希望するスタッフの性別、特殊資格、期待スキルとする。コスト付与処理部232では、前記希望条件にそれぞれコストパラメータとして、希望スタッフについては、1.0、希望性別については0.1、特殊資格については0.8、期待スキルについては0(無視する)を付与する。コストについては、それぞれ希望と一致すれば「0」、希望と相違する場合は「1」が付与される。
【0218】
a)利用者aとスタッフDの条件コストの算出
利用者aの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別は女性スタッフ、特殊資格は精神科、期待スキルはベテランである。スタッフDは男性であり、特殊資格は有さないとした場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは女性スタッフを希望しているので「1」、計算結果は「0.1」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは精神科を希望しているので「1」、計算結果は「0.8」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者aとスタッフDの条件コストの合計コストは、「0」+「0.1」+「0.8」+「0」=「0.9」となる。
【0219】
b)利用者bとスタッフDの条件コストの算出
利用者bの希望条件は、希望スタッフはスタッフA、希望性別は男性スタッフ、特殊資格は指定なし、期待スキルは指定なしである。スタッフDは男性であり、特殊資格はない場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは希望スタッフがスタッフAなので「1」、したがって計算結果は「1」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは希望性別が男性なので「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者bとスタッフDの条件コストの合計コストは、「1」+「0」+「0」+「0」=「1」となる。
【0220】
c)利用者cとスタッフDの条件コストの算出
利用者cの希望条件は、希望スタッフの指定はなし、希望性別も指定なし、特殊資格及び期待スキルも指定なしである。スタッフDは男性であり、特殊資格を有さない場合の計算は以下のとおりとなる。
条件「希望スタッフ」については、コストパラメータは「1.0」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「希望性別」については、コストパラメータは「0.1」、コストは「0」、したがって計算結果は「0」である。
条件「特殊資格」については、コストパラメータは「0.8」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
条件「期待スキル」については、コストパラメータは「0(無視)」、コストは「0」なので、計算結果は「0」である。
したがって、利用者cとスタッフDの条件コストの合計コストは、「0」+「0」+「0」+「0」=「0」となる。
【0221】
上記条件コストの算出から、ルート1におけるスタッフDの条件コスト合計は、「0.9+1+0=1.9」と算出される。
【0222】
上記条件コストの算出処理の後、コスト算出処理部233では、該当スタッフの稼働コストを計算する。
【0223】
本実施例では、稼働コストについて、希望休数と連続出勤数を考慮してコスト算出処理部233で稼働コストを算出する例を示す。
スタッフごとの稼働コストは、以下の計算式で求めることができる。
計算式:y=Σncn
y:該当スタッフの稼働コストの合計
n:考え得る条件数(希望休数、連続出勤数の判定)
c:各条件の稼働コスト
【0224】
まず、希望休数の稼働コストを算出する。希望休数の稼働コストは、スタッフごとに稼働日数が偏らないことを目的に、ここでは「希望休が多いスタッフほど稼働コストが低くなる」ようにコスト付与処理部232で調整する。
希望休数の稼働コストの計算は、以下の計算式より算出される
【0225】
次に、連続出勤数の稼働コストを算出する。スタッフの連続出勤数が多くなって、身体的負荷が過剰にかからないことを目的に、ここでは「連続した勤務日数が多いスタッフほど稼働コストが高くなる」ようにコスト付与処理部232で調整する。
連続出勤数の稼働コストの計算は、以下の計算式より算出される
連続出勤数の稼働コスト=w1a1+w2a2+w3a3
w1:コストパラメータ(0.6)
w2:コストパラメータ(0.3)
w3:コストパラメータ(0.1)
a1:該当日付の1日前の日付に勤務があるか(0/1)
a2:該当日付の2日前の日付に勤務があるか(0/1)
a3:該当日付の3日前の日付に勤務があるか(0/1)
【0226】
上記計算式に基づいて、スタッフごとに稼働コストを計算する。
図34は、稼働コストの算出を説明する説明図であり、コスト付与処理部232で、7月10日から12日の期間における7月10日のルート1に稼働可能なスタッフについて稼働コストを算出するためのコスト付与処理をし、コスト算出処理部233でコスト算出した結果の例を示す。
7月10日のルート1に稼働可能なスタッフは、スタッフB、C、Dである。
図34(a)は、スタッフBの稼働コストの計算を示す。
スタッフBは、前記期間内の希望休数が2である。この期間の全スタッフの希望休数は5の場合、計算式にあてはめるとスタッフBの希望休数の稼働コストは、1-2/5=0.6となる。
また、スタッフBの7月10日の前日である7月9日の勤務データは「全休」なのでコスト「0」、7月10日の2日前である7月8日の勤務データは「出勤」なのでコスト「1」、7月10日の3日前である7月7日の勤務データは「出勤」なのでコスト「1」が付与され、これを上記計算式にあてはめるとスタッフBの連続出勤数の稼働コストは、0.6×0+0.3×1+0.1×1=0.4となる。
上記算出された希望休数の稼働コストと連続出勤数の稼働コストを合計したスタッフBの稼働コストは、0.6+0.4=1.0となる。
【0227】
図34(b)は、スタッフCの稼働コストの計算を示す。
スタッフCは、前記期間内の希望休数が1である。この期間の全スタッフの希望休数は5の場合、計算式にあてはめるとスタッフCの希望休数の稼働コストは、1-1/5=0.8となる。
また、スタッフCの7月10日の前日である7月9日の勤務データは「全休」なのでコスト「0」、7月10日の2日前である7月8日の勤務データも「全休」なのでコスト「0」、7月10日の3日前である7月7日の勤務データも「全休」なのでコスト「0」が付与され、これを上記計算式にあてはめるとスタッフCの連続出勤数の稼働コストは、0.6×0+0.3×0+0.1×0=0となる。
上記算出された希望休数の稼働コストと連続出勤数の稼働コストを合計したスタッフCの稼働コストは、0.8+0=0.8となる。
【0228】
図34(c)は、スタッフDの稼働コストの計算を示す。
スタッフDは、前記期間内の希望休数が0である。この期間の全スタッフの希望休数は5の場合、計算式にあてはめるとスタッフDの希望休数の稼働コストは、1-0/5=1となる。
また、スタッフDの7月10日の前日である7月9日の勤務データは「出勤」なのでコスト「1」、7月10日の2日前である7月8日の勤務データも「出勤」なのでコスト「1」、7月10日の3日前である7月7日の勤務データも「出勤」なのでコスト「1」が付与され、これを上記計算式にあてはめるとスタッフDの連続出勤数の稼働コストは、0.6×1+0.3×1+0.1×1=1となる。
上記算出された希望休数の稼働コストと連続出勤数の稼働コストを合計したスタッフDの稼働コストは、1+1=2となる。
【0229】
上記のように、全コストを合計し、スタッフ全員分の計算を実行する。
図35は、条件コストと稼働コストの算出情報から合計コストを算出した状態を示す説明図である。
【0230】
スタッフ候補算出にあたり、前記条件コストと稼働コストの合計コストから、コストの少ない順にスタッフ候補を選出することができるが、本実施例では、より最適なスタッフ候補の選出のため、その他の考慮要素として、「相性コスト」をコスト付与処理部232で追加する例を示す。
【0231】
本実施例では、相性コストについて、先に算出した条件コストと稼働コストの合計コストを参酌し、スタッフのグループ内のコスト順位と、グループに所属するスタッフの総数からコスト算出処理部233で相性コストを算出する例を示す。
他のスタッフとの相性コストは、以下の計算式で求めることができる。
【0232】
図36は、相性コストを算出するために必要となるグループ内のコスト順位を表す図である。
条件コストと稼働コストの合計コストは、
図36に示すようにスタッフBが2.9、スタッフCが1.9、スタッフDが3.9である。スタッフAは希望休が申請されているため除外される。
相性コストは、該当スタッフのグループ内のコスト順位を利用して算出するため、前記、条件コストと稼働コストの合計コストから、スタッフごとにグループ内の順位を割り振る。
ここで、スタッフA、C、Dはグループ1に所属し、スタッフBはこのグループには所属していないものとする。
合計コストの並び替えの結果は、
図36に示すように、グループ1内の順位は、スタッフCが1位で、スタッフDが2位、スタッフBは当該グループに所属していないので順位なし、スタッフAは希望休が申請されているため除外され順位なしである。
【0233】
グループ内のコスト順位の割り振りが、コスト付与処理部232で処理された後、コスト算出処理部233は上記相性コストの計算式に基づいて相性コストを算出する。
a)スタッフBの相性コスト
スタッフBは、グループ1には所属していないため、相性コストは「0」となる。
【0234】
b)スタッフCの相性コスト
スタッフCのグループ1内のコスト順位は「1」、グループ1に所属するスタッフ総数は、スタッフAが除外されているため「2」であり、計算式にあてはめると、
y=(1/2-1)(1-1)=0
となり、スタッフCの相性コストは「0」となる。
【0235】
c)スタッフDの相性コスト
スタッフDのグループ1内のコスト順位は「2」、グループ1に所属するスタッフ総数は「2」であり、計算式に当てはめると、
y=(1/2-1)(2-1)=1
となり、スタッフDの相性コストは「1」となる。
【0236】
算出された相性コストを、各スタッフの合計コストに加算し、再度スタッフをコストの昇順に並び替える。
図37は、条件コスト、稼働コスト及び相性コストを合計した算出結果にもとづいて候補スタッフの提案を示す表である。
コスト合計が少ない順にソートされ、ルート1に割り振るスタッフの候補のNo.1はスタッフC、No.2はスタッフB。No,3はスタッフDであり、いずれも候補提案対象となっている。
【0237】
勤務表を作成する指定期間における全ルートについて、上記手順で合計コストを算出し、全スタッフ分の候補を算出して提案処理を行う。
そして、前記スタッフの候補提案対象となったスタッフ候補で構成される勤務表案を1又は複数作成し、検討・確認を経て勤務表が決定する。
【0238】
このように、本発明にかかるスケジュール作成装置及びスケジュール作成システムを用いることで、基本的なスケジュール表だけでなく、利用者が希望する条件に対し、最も効率よく、かつスタッフに過度な負担を強いることのないシフトを割り当てる勤務表を作成することができる。
この勤務表によれば、最適なルートとそのルートにシフトを割り振るのに最適なスタッフは誰なのかが明確になり、より使い勝手のよいスケジュール表を作成することが可能となる。
【0239】
スケジュール作成プログラム
前記スケジュール作成システムを実行するためのプログラムは、以下の構成となる。
利用者端末から送信されるサービス利用を希望する日時、住所、希望サービス等のサービス利用受付情報を受け付け、前記受け付けたサービス利用受付情報のうち、スケジュール作成に関連する希望条件について、訪問によりサービスを受ける利用者の氏名、住所等の情報と、訪問によりサービスを提供するスタッフの氏名、性別、スキル等の情報を参照し、訪問日、訪問曜日、訪問時間、訪問スタッフ等のスケジュールを割り当て、前記サービス利用受付情報に基づいて、スタッフ毎のスタッフ登録情報にあらかじめ定めたコストを付与し、前記付与されたコストから、前記利用者からのサービス利用受付情報に基づいてスケジュールを割り付けた場合の合計コストを算出し、前記算出されたスケジュール毎の合計コストを参照して、スケジュール候補を抽出し、前記抽出したスケジュール候補の中から決定したスケジュールをスケジュール表に割付け、勤務表を作成する処理をコンピュータに実行させる。
そして、前記スケジュール作成プログラムにより、前記算出された合計コストを参照して、抽出するスケジュール候補は、前記算出された合計コストの低い方から順に複数、スケジュール候補とする。
なお、各処理の詳細については、前記スケジュール作成システムで説明したのと同様の機能、同様の処理であるので、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0240】
本発明にかかるスケジュール作成システムは、実施例として訪問介護・看護・診療サービスについて説明したが、訪問によりサービスを提供するものであれば、サービスの種類を問わず、利用可能であり、スケジュール作成の条件に合わせてコスト付与規則を任意に変更して利用することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 スケジュール作成システム
2 スケジュール作成装置
21 通信手段
211 利用受付情報受信部
212 情報送受信部
22 記憶部
220 利用者情報記憶部
221 利用受付情報記憶部
222 利用者登録情報記憶部
223 スタッフ登録情報記憶部
224 コスト記憶部
23 制御部
231 スケジュール割付処理部
232 コスト付与処理部
233 コスト算出処理部
234 スケジュール候補作成処理部
235 スケジュール決定処理部
236 シフト情報処理部
3 利用者端末
3a サービスを受ける利用者端末
3b 利用者をサポートする者用の利用者端末
4 サービスを提供する事業者の管理者用の管理者用端末
5 サービスを提供するスタッフ用のスタッフ用端末
100 インターネット等のネットワーク