IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日インテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カテーテル用シャフト 図1
  • 特開-カテーテル用シャフト 図2
  • 特開-カテーテル用シャフト 図3
  • 特開-カテーテル用シャフト 図4
  • 特開-カテーテル用シャフト 図5
  • 特開-カテーテル用シャフト 図6
  • 特開-カテーテル用シャフト 図7
  • 特開-カテーテル用シャフト 図8
  • 特開-カテーテル用シャフト 図9
  • 特開-カテーテル用シャフト 図10
  • 特開-カテーテル用シャフト 図11
  • 特開-カテーテル用シャフト 図12
  • 特開-カテーテル用シャフト 図13
  • 特開-カテーテル用シャフト 図14
  • 特開-カテーテル用シャフト 図15
  • 特開-カテーテル用シャフト 図16
  • 特開-カテーテル用シャフト 図17
  • 特開-カテーテル用シャフト 図18
  • 特開-カテーテル用シャフト 図19
  • 特開-カテーテル用シャフト 図20
  • 特開-カテーテル用シャフト 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041089
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】カテーテル用シャフト
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20240319BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240319BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/00 610
A61M25/00 620
A61M25/14 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145718
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】迎田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】天野 勇
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 翔
(72)【発明者】
【氏名】嶋野 良
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB07
4C267BB09
4C267BB13
4C267BB14
4C267BB31
4C267BB52
4C267CC08
4C267HH30
(57)【要約】
【課題】 管状部材を簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテルを簡単に製造することができるカテーテル用シャフトを提供する。
【解決手段】 、カテーテル用シャフト3は、第1の内腔2と、外周面において第1の内腔2の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝8a及び溝8bを有する内層5と、その内層5の2つの溝8a及び溝8に配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層5及び2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層9と、を備えている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内腔と、外周面において前記第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝と、を有する内層と、
その内層の前記少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、
前記内層及び前記少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、
を備えたことを特徴とするカテーテル用シャフト。
【請求項2】
第1の内腔を有する内層と、
その内層を覆い、外周面において前記第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝を有する中間層と、
その中間層の前記少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、
前記内層、前記中間層、及び前記少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、
を備えたことを特徴とするカテーテル用シャフト。
【請求項3】
前記内層の外周に補強層を備えたことを特徴とする請求項2に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項4】
前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項5】
前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項6】
前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項7】
前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項8】
前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする請求項2に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項9】
前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする請求項3に記載のカテーテル用シャフト。
【請求項10】
前記溝の形状を、前記管状部材の外形に合わせて形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載のカテーテル用シャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血管等の管腔内に挿入可能なカテーテルに使用されるカテーテル用シャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、体外に配置した操作部を操作することにより、患者の血管等の管腔内に挿入されているカテーテルまたはシースの先端部分を撓ませて、その先端の向きを変更することができる先端可動カテーテルまたは先端可動シースが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、メインルーメン21を有する内側チューブ22と、その内側チューブ22を覆う外側チューブ24と、内側チューブ22の中心軸に対して180度の対向位置に埋め込まれた、チューブワイヤルーメン28aを有するワイヤルーメン用チューブ28及びワイヤルーメン29aを有するワイヤルーメン用チューブ29と、を備えたチューブ2と、先端をチューブ2に固定されチューブワイヤルーメン28a内に挿入された第1ワイヤー30と、先端をチューブ2に固定されチューブワイヤルーメン29a内に挿入された第2ワイヤー31と、チューブ2の基端に接続され、第1ワイヤー30及び第2ワイヤ31の基端を接続した操作部3と、を備え、操作部3を操作することにより、チューブ2の先端部分を撓ませて、その先端の向きを変更することができる先端可動シース1が記載されている(図1図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-124394号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の先端可動シース1は、先端部分の向きを効率良く変更させるために、ワイヤルーメン用チューブ28及びワイヤルーメン用チューブ29を内側チューブ22の中心軸に対して180度の対向位置に位置決めしてしっかり埋め込む必要があるものの、特許文献1に記載の先端可動シース1においては、ワイヤルーメン用チューブ28及びワイヤルーメン用チューブ29の位置決めが非常に困難であるという問題があった。
【0006】
また、一般に、操作部3の操作によって、第1ワイヤー30及び第2ワイヤー31が摺動動作を繰り返したとしても、壊れないように先端可動シースを頑丈に設計することが望ましい。
【0007】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、ワイヤルーメン用チューブ(以下、「管状部材」と記す)を簡単に位置決めすることができ、操作性の良いシースまたはカテーテルを簡単に製造することができるシース用シャフトまたはカテーテル用シャフト(以下、シース用シャフト及びカテーテル用シャフトを纏めて、「カテーテル用シャフト」と記す)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様は、第1の内腔と、外周面において前記第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝と、を有する内層と、その内層の前記少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、前記内層及び前記少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、第1の内腔を有する内層と、その内層を覆い、外周面において前記第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝を有する中間層と、その中間層の前記少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、前記内層、前記中間層、及び前記少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記内層の外周に補強層を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第5の態様は、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第6の態様は、第3の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝と前記管状部材との間には、前記外層を形成する材料が入り込んでいることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第7の態様は、第1の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第8の態様は、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第9の態様は、第3の態様のカテーテル用シャフトにおいて、前記溝の深さを、前記管状部材の半径以上としたことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第9の態様の何れかのカテーテル用シャフトにおいて、前記溝の形状を、前記管状部材の外形に合わせて形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、第1の内腔と、外周面において第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝と、を有する内層と、その内層の少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、内層及び少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、を備えているので、カテーテル用シャフトの管状部材を内層に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフトを簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフトを使用することによって、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの基端側の操作力をシャフトの遠位側に効率良く伝えることができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の内腔を有する内層と、その内層を覆い、外周面において第1の内腔の中心に対して対称な位置に配置された少なくとも2つの溝を有する中間層と、その中間層の少なくとも2つの溝に配置され、第2の内腔を有する少なくとも2つの管状部材と、内層、中間層、及び少なくとも2つの管状部材を覆う外層と、を備えているので、カテーテル用シャフトの管状部材を中間層に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフトを簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフトを使用することによって、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの基端側の操作力をシャフトの遠位側に効率良く伝えることができる。
【0020】
また、本発明の第3の態様によれば、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、内層の外周に補強層を備えているので、第2の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、中間層の剛性を増大させて、中間層の外周面に溝を形成し易くすることができる。また、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの摺動による内層および/または中間層の割けを防止することができる。
【0021】
また、本発明の第4の態様によれば、第1の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝と管状部材との間には、外層を形成する材料が入り込んでいるので、第1の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材をシャフトに確実に固着することができ、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの基端側の操作力をシャフトの遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0022】
また、本発明の第5の態様によれば、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝と管状部材との間には、外層を形成する材料が入り込んでいるので、第2の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材をシャフトに確実に固着することができ、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの基端側の操作力をシャフトの遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0023】
また、本発明の第6の態様によれば、第3の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝と管状部材との間には、外層を形成する材料が入り込んでいるので、第3の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材をシャフトに確実に固着することができ、管状部材の第2の内腔に挿入される操作用ワイヤーの基端側の操作力をシャフトの遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0024】
また、本発明の第7の態様によれば、第1の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝の深さを、管状部材の半径以上としたので、第1の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材を溝にさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材の位置ずれをさらに防止することができる。
【0025】
また、本発明の第8の態様によれば、第2の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝の深さを、管状部材の半径以上としたので、第2の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材を溝にさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材の位置ずれをさらに防止することができる。
【0026】
また、本発明の第9の態様によれば、第3の態様のカテーテル用シャフトにおいて、溝の深さを、管状部材の半径以上としたので、第3の態様のカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材を溝にさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材の位置ずれをさらに防止することができる。
【0027】
さらに、本発明の第10の態様によれば、第1の態様乃至第9の態様の何れかのカテーテル用シャフトにおいて、溝の形状を、管状部材の外形に合わせて形成したので、第1の態様乃至第9の態様の何れかのカテーテル用シャフトの効果に加え、管状部材を溝にさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材の位置ずれをさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体平面図である。
図2】第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体縦断面図である。
図3】第1実施形態のカテーテル用シャフトから外層を除いたカテーテルの全体側面図である。
図4】第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの先端をCCW方向に曲げた状態を示す全体平面図である。
図5】第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの先端をCW方向に曲げた状態を示す全体平面図である。
図6図1のA-A断面図である。
図7図1のB-B断面図である。
図8】第2実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図9】第3実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図10】第4実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図11】第5実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図12】第6実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図13】第7実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図14】第8実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図15】第9実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図16】第10実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図17】第11実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図18】第12実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図19】第13実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図20】第14実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
図21】第15実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0031】
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体平面図であり、図2は、そのカテーテルの全体縦断面図であり、図3は、第1実施形態のカテーテル用シャフトから外層を除いたカテーテルの全体側面図である。
【0032】
また、図4は、第1実施形態のカテーテル用シャフトを備えたカテーテルの先端をCCW方向に曲げた状態を示す全体平面図であり、図5は、そのカテーテルの先端をCW方向に曲げた状態を示す全体平面図であり、図6は、図1のA-A断面図であり、図7は、図1のB-B断面図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル1は、カテーテル用シャフト3と、そのカテーテル用シャフト3の基端に接合されたコネクタ99と、そのコネクタ99に回転可能に接続された操作部97とから構成されている。
【0034】
カテーテル用シャフト3は、図1乃至図6に示すように、長尺の中空管状体であり、第1の内腔2と、外周面において第1の内腔2の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝8a及び溝8bと、を有する内層5と、その内層5の溝8aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層5の溝8bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層5、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層9とから構成されている。
【0035】
なお、カテーテル用シャフト3は、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0036】
内層5は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔2を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔2の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝8a及び溝8bを有する。
【0037】
内層5に形成された2つの溝8a及び溝8bは、図3に示すように、カテーテル用シャフト3の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト3の長手方向に沿って内層5の外周面に直線状に形成されており、溝8a及び溝8bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0038】
なお、図3には、溝8bが記載され、溝8aは記載されていないが、図6を参照すれば、溝8aは、溝8bに対して紙面裏側に配置されていることが容易に理解できる。
【0039】
内層5を形成する樹脂材料として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)等が使用可能であるが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が使用されている。
【0040】
管状部材6aは、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、後述するワイヤー11aを挿入するための第2の内腔4aを有し、管状部材6bも、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、後述するワイヤー11bを挿入するための第2の内腔4bを有する。
【0041】
管状部材6a及び管状部材6bを形成する樹脂材料は、内層5と同様に、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)等が使用可能であるが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が使用されている。
【0042】
外層9は、樹脂からなり、内層5、管状部材6a及び管状部材6bを被覆している。外層9を形成する樹脂材料は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン、酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリアミド系エラストマーが使用されている。
【0043】
コネクタ99は樹脂からなり、カテーテル用シャフト3の第1の内腔2に連通するルーメンを有し、カテーテル用シャフト3の基端に接続されている。
【0044】
操作部97は、コネクタ99に回転可能に接続され、図2に示すように、操作部本体91と、管状部材6aの第2の内腔4aにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト3の先端部に固定された第1のワイヤー11aと、管状部材6bの第2の内腔4bにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト3の先端部に固定された第2のワイヤー11bと、操作部本体91に立設され、第1のワイヤー11aの基端が固定された第1のボス95aと、操作部本体91に立設され、第2のワイヤー11bの基端が固定された第2のボス95bと、第1のボス95aから延びる第1のワイヤー11aを巻回する回転可能な第1のプーリ93aと、第2のボス95bから延びる第2のワイヤー11bを巻回する回転可能な第2のプーリ93bと、を備える。
【0045】
なお、カテーテル用シャフト3の先端部には、図7に示すように、外層9の内部に金属材料からなるリング部材90が配置されており、第1のワイヤー11aの先端と第2のワイヤー11bの先端は、第1の内腔2の中心に対して対称な位置で、リング部材90に接続されている。
【0046】
そして、カテーテル用シャフト3は、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低いため、操作部97をコネクタ99に対してCCW方向(反時計回り方向)に回すと、図4に示すように、カテーテル用シャフト3の先端部をCCW方向(反時計回り方向)に曲げることができ、操作部97をコネクタ99に対してCW方向(時計回り方向)に回すと、図5に示すように、カテーテル用シャフト3の先端部をCW方向(時計回り方向)に曲げることができる。
【0047】
本実施形態のカテーテル用シャフト3によれば、第1の内腔2と、外周面において第1の内腔2の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝8a及び溝8bと、を有する内層5と、その内層5の2つの溝8a及び溝8bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層5及び2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層9と、を備えているので、カテーテル用シャフト3の管状部材6a及び管状部材6bを内層5に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト3を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト3を使用することによって、管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び第2の内腔4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト3の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0048】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト3によれば、溝8a及び溝8bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝8a及び溝8bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層5に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0050】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0051】
第2実施形態のカテーテル用シャフト13は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と比較して、操作するワイヤーの数が異なる。すなわち、第1実施形態のカテーテル用シャフト3を操作するワイヤーの数が2本であるのに対し、本実施形態のカテーテル用シャフト13を操作するワイヤーの数は4本である。
【0052】
図8は、第2実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0053】
本実施形態のカテーテル10を構成するカテーテル用シャフト13は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図8に示すように、第1の内腔12と、外周面において第1の内腔12の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝18a、溝18b、溝18c及び溝18dと、を有する内層15と、その内層15の溝18aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層15の溝18bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層15の溝18cに配置され、第2の内腔4cを有する管状部材6cと、内層15の溝18dに配置され、第2の内腔4dを有する管状部材6dと、内層15、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを覆う外層19とから構成されている。
【0054】
なお、カテーテル用シャフト13は、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0055】
内層15は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔12を有し、外周面には、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを配置するための、第1の内腔12の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝18a、溝18b、溝18c及び溝18dを有する。
【0056】
内層15に形成された4つの溝18a、溝18b、溝18c及び溝18dも、図3に示すように、カテーテル用シャフト13の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト13の長手方向に沿って内層15の外周面に直線状に形成されており、溝18a、溝18b、溝18c及び溝18dの断面形状は、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dの断面形状に合わせて略円形である。
【0057】
内層15を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0058】
管状部材6cは、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、後述する第3のワイヤー11cを挿入するための第2の内腔4cを有し、管状部材6dも、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、後述する第4のワイヤー11dを挿入するための第2の内腔4dを有する。
【0059】
管状部材6c及び管状部材6dを形成する樹脂材料は、管状部材6a及び管状部材6bと同様の材料を使用することができる。
【0060】
外層19は、樹脂からなり、内層15、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを被覆している。外層19を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0061】
本実施形態の操作部98は、図示されていないが、操作部97と同様の操作部が、操作部97に対してコネクタ99の長軸方向先端側または基端側の位置であって、かつ操作部97に対してコネクタ99の中心軸に対して90度回転させた位置に設けられている。
【0062】
なお、本実施形態の操作部98は、上述のように、コネクタ99に操作部97と別体に設けても良く、操作部97と一体的に設けるようにしても良い。
【0063】
何れにしても、操作部98は、コネクタ99に回転可能に接続され、操作部本体91と同様の操作部本体92(図示せず)と、管状部材6aの第2の内腔4aにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト13の先端部に配置されたリング部材90に固定された第1のワイヤー11aと、管状部材6bの第2の内腔4bにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト13のリング部材90に固定された第2のワイヤー11bと、管状部材6cの第2の内腔4cにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト13のリング部材90に固定された第3のワイヤー11cと、管状部材6dの第2の内腔4dにスライド可能に挿入され、先端がカテーテル用シャフト13のリング部材90に固定された第4のワイヤー11dと、を備える。
【0064】
また、操作部98は、操作部本体92(図示せず)に立設され、第1のワイヤー11aの基端が固定された第1のボス95aと、操作部本体92に立設され、第2のワイヤー11bの基端が固定された第2のボス95bと、操作部本体92に立設され、第3のワイヤー11cの基端が固定された第1のボス95aと同様の第3のボス95c(図示せず)と、操作部本体92に立設され、第4のワイヤー11dの基端が固定された第2のボス95bと同様の第4のボス95d(図示せず)と、を備える。
【0065】
さらに、操作部98は、第1のボス95aから延びる第1のワイヤー11aを巻回する回転可能な第1のプーリ93aと、第2のボス95bから延びる第2のワイヤー11bを巻回する回転可能な第2のプーリ93bと、第3のボス95c(図示せず)から延びる第3のワイヤー11cを巻回する回転可能な第1のプーリ93aと同様の第3のプーリ93c(図示せず)と、第4のボス95d(図示せず)から延びる第4のワイヤー11dを巻回する回転可能な第2のプーリ93bと同様の第4のプーリ93d(図示せず)と、を備える。
【0066】
なお、カテーテル用シャフト13の先端部には、図7と同様に、外層19の内部に金属材料からなるリング部材90が配置されており、第1のワイヤー11aの先端と第2のワイヤー11bの先端、第3のワイヤー11cの先端と第4のワイヤー11dの先端は、それぞれ第1の内腔12の中心に対して対称な位置で、リング部材90に接続されている。
【0067】
そして、前述のように、カテーテル用シャフト13は、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低いため、操作部97をコネクタ99に対してCCW方向(反時計回り方向)に回すと、図4に示すように、カテーテル用シャフト13の先端部をCCW方向(反時計回り方向)に曲げることができ、操作部97をコネクタ99に対してCW方向(時計回り方向)に回すと、図5に示すように、カテーテル用シャフト13の先端部をCW方向(時計回り方向)に曲げることができる。
【0068】
また、操作部98をコネクタ99に対してCCW方向(反時計回り方向)に回すと、カテーテル用シャフト13の先端部を図4のCCW方向(反時計回り方向)からコネクタ99の中心軸に対して90度回転させた方向に曲げることができ、操作部98をコネクタ99に対してCW方向(時計回り方向)に回すと、カテーテル用シャフト13の先端部を図5のCW方向(時計回り方向)からコネクタ99の中心軸に対して90度回転させた方向に曲げることができる。
【0069】
本実施形態のカテーテル用シャフト13によれば、第1の内腔12と、外周面において第1の内腔12の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝18a~溝18dと、を有する内層15と、その内層15の4つの溝18a~溝18dに配置された、第2の内腔4aを有する管状部材6a、第2の内腔4bを有する管状部材6b、第2の内腔4cを有する管状部材6c、及び第2の内腔4dを有する管状部材6dと、内層15、4つの管状部材6a~管状部材6dを覆う外層19と、を備えているので、4つの管状部材6a~管状部材6dを内層15に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト13を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト13を使用することによって、4つの管状部材6a~管状部材6dの第2の内腔4a~4dに挿入される第1のワイヤー11a~11dの基端側の操作力をカテーテル用シャフト13の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0070】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト13によれば、溝18a~溝18dの形状を、管状部材6a~管状部材6dの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a~管状部材6dを溝18a~溝18dにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a~管状部材6dの内層15に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0072】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0073】
第3実施形態のカテーテル用シャフト23は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と比較して、溝の断面形状が異なる。すなわち、第1実施形態のカテーテル用シャフト3の溝の断面形状は、略円形であるのに対し、本実施形態のカテーテル用シャフト23の溝の断面形状は、V字形状である。
【0074】
図9は、第3実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0075】
本実施形態のカテーテル20を構成するカテーテル用シャフト23は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図9に示すように、第1の内腔22と、外周面において第1の内腔22の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝28a及び溝28bと、を有する内層25と、その内層25の溝28aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層25の溝28bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層25、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層29とから構成されている。
【0076】
なお、カテーテル用シャフト23も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0077】
内層25は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔22を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔22の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝28a及び溝28bを有する。
【0078】
内層25に形成された2つの溝28a及び溝28bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト23の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト23の長手方向に沿って内層25の外周面に直線状に形成されており、上述の通り、溝28a及び溝28bの断面形状はV字形状である。
【0079】
内層25を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0080】
外層29は、樹脂からなり、内層25、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝28aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝28bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層29を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0081】
本実施形態のカテーテル用シャフト23によれば、第1の内腔22と、外周面において第1の内腔22の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝28a及び溝28bと、を有する内層25と、その内層25の2つの溝28a及び溝28bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層25、2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層29と、を備えているので、カテーテル用シャフト23の2つの管状部材6a及び管状部材6bを内層25に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト23を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト23を使用することによって、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト23の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0082】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト23によれば、外層29が、管状部材6aの外周全体を覆って溝28aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝28bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト23に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト23の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0083】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト23によれば、外層29が、溝28a及び溝28bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層29と内層25との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト23が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層29が内層25から剥離することを防止することができる。
【0084】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0085】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0086】
第4実施形態のカテーテル用シャフト33は、第3実施形態のカテーテル用シャフト23と比較して、溝の深さが異なる。すなわち、本実施形態のカテーテル用シャフト33の溝の深さは、管状部材の半径以上に設定されている。
【0087】
図10は、第4実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0088】
本実施形態のカテーテル30を構成するカテーテル用シャフト33は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図10に示すように、第1の内腔32と、外周面において第1の内腔32の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝38a及び溝38bと、を有する内層35と、その内層35の溝38aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層35の溝38bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層35、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層39とから構成されている。
【0089】
なお、カテーテル用シャフト33も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0090】
内層35は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔32を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔32の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝38a及び溝38bを有する。
【0091】
内層35に形成された2つの溝38a及び溝38bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト33の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト33の長手方向に沿って内層35の外周面に直線状に形成されており、図10に示すように、上述の通り、溝38a及び溝38bの深さD1は、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上の深さである。
【0092】
内層35を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0093】
外層39は樹脂からなり、内層35、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝38aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝38bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層39を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0094】
本実施形態のカテーテル用シャフト33によれば、第1の内腔32と、外周面において第1の内腔32の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝38a及び溝38bと、を有する内層35と、その内層35の2つの溝38a及び溝38bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層35、2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層39と、を備えているので、カテーテル用シャフト33の2つの管状部材6a及び管状部材6bを内層35に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト33を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト33を使用することによって、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト33の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0095】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト33によれば、外層39が、管状部材6aの外周全体を覆って溝38aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝38bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト33に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト33の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0096】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト33によれば、外層39が、溝38a及び溝38bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層39と内層35との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト33が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層39が内層35から剥離することを防止することができる。
【0097】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト33によれば、溝38a及び溝38bの深さD1を、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上としたので、管状部材6a及び管状部材6bを溝38a及び溝38bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層35に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0098】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0099】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0100】
第5実施形態のカテーテル用シャフト43は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と比較して、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる状態が異なる。すなわち、第1実施形態のカテーテル用シャフト3は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいないのに対して、本実施形態のカテーテル用シャフト43は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる。
【0101】
図11は、第5実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0102】
本実施形態のカテーテル40を構成するカテーテル用シャフト43は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図11に示すように、第1の内腔42と、外周面において第1の内腔42の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝48a及び溝48bと、を有する内層45と、その内層45の溝48aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層45の溝48bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層45、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層49とから構成されている。
【0103】
なお、カテーテル用シャフト43も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0104】
内層45は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔42を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔42の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝48a及び溝48bを有する。
【0105】
内層45に形成された2つの溝48a及び溝48bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト43の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト43の長手方向に沿って内層45の外周面に直線状に形成されており、溝48a及び溝48bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0106】
内層35を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0107】
外層49は、内層45、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周をその両側から溝48aと管状部材6aとの間に入り込んでおり(49a及び49b)、管状部材6bの外周をその両側から溝48bと管状部材6bとの間に入り込んでいる(49c及び49d)。
【0108】
また、外層49は樹脂からなり、その樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0109】
本実施形態のカテーテル用シャフト43によれば、第1の内腔42と、外周面において第1の内腔42の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝48a及び溝48bと、を有する内層45と、その内層45の2つの溝48a及び溝48bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層45、2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層49と、を備えているので、カテーテル用シャフト43の2つの管状部材6a及び管状部材6bを内層45に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト43を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト43を使用することによって、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト43の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0110】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト43によれば、外層49が、管状部材6aの外周をその両側から覆って溝48aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周をその両側から覆って溝48bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので(49a、49b、49c及び49d)、管状部材6a及び管状部材6bをカテーテル用シャフト43に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト43の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0111】
ただし、本実施形態のカテーテル用シャフト43のように、外層が管状部材の両側から覆って入り込むよりも、第4実施形態のカテーテル用シャフト33のように、外層が管状部材の外周全体を覆って入る込む方が、管状部材をカテーテル用シャフトにより確実に固着することができる。
【0112】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト43によれば、溝48a及び溝48bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝48a及び溝48bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層45に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0113】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0114】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0115】
第6実施形態のカテーテル用シャフト53は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と比較して、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる状態が異なる。すなわち、第1実施形態のカテーテル用シャフト3は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいないのに対して、本実施形態のカテーテル用シャフト53は、外層が管状部材の外周全体を覆って溝と管状部材との間に入り込んでいる。
【0116】
図12は、第6実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0117】
本実施形態のカテーテル50を構成するカテーテル用シャフト53は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図12に示すように、第1の内腔52と、外周面において第1の内腔52の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝58a及び溝58bと、を有する内層55と、その内層55の溝58aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層55の溝58bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層55、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層59とから構成されている。
【0118】
なお、カテーテル用シャフト53も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0119】
内層55は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔52を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔52の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝58a及び溝58bを有する。
【0120】
内層55に形成された2つの溝58a及び溝58bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト53の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト53の長手方向に沿って内層55の外周面に直線状に形成されており、溝58a及び溝58bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0121】
内層55を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0122】
外層59は樹脂からなり、内層55、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝58aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝58bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層59を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0123】
本実施形態のカテーテル用シャフト53によれば、第1の内腔52と、外周面において第1の内腔52の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝58a及び溝58bと、を有する内層55と、その内層55の2つの溝58a及び溝58bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層55、2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層59と、を備えているので、カテーテル用シャフト53の2つの管状部材6a及び管状部材6bを内層55に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト53を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト53を使用することによって、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト53の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0124】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト53によれば、外層59が、管状部材6aの外周全体を覆って溝58aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝58bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト53に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト53の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0125】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト53によれば、外層59が、溝58a及び溝58bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層59と内層55との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト53が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層59が内層55から剥離することを防止することができる。
【0126】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト53によれば、溝58a及び溝58bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝58a及び溝58bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層55に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0127】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0128】
以下、本発明の第7実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0129】
第7実施形態のカテーテル用シャフト63は、第6実施形態のカテーテル用シャフト53と比較して、溝の深さが異なる。すなわち、本実施形態のカテーテル用シャフト63の溝の深さは、管状部材の半径以上に設定されている。
【0130】
図13は、第7実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0131】
本実施形態のカテーテル60を構成するカテーテル用シャフト63は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図13に示すように、第1の内腔62と、外周面において第1の内腔62の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝68a及び溝68bと、を有する内層65と、その内層65の溝68aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、内層65の溝68bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層65、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層69とから構成されている。
【0132】
なお、カテーテル用シャフト63も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0133】
内層65は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔62を有し、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔62の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝68a及び溝68bを有する。
【0134】
内層65に形成された2つの溝68a及び溝68bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト63の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト63の長手方向に沿って内層65の外周面に直線状に形成されており、図13に示すように、上述の通り、溝68a及び溝68bの深さD2は、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上の深さである。
【0135】
また、溝68a及び溝68bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形であり、内層65を形成する樹脂材料は、内層5と同様の材料を使用することができる。
【0136】
外層69は、樹脂からなり、内層65、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝68aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝68bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層69を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0137】
本実施形態のカテーテル用シャフト63によれば、第1の内腔62と、外周面において第1の内腔62の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝68a及び溝68bと、を有する内層65と、その内層65の2つの溝68a及び溝68bに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6a及び第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層65、2つの管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層69と、を備えているので、カテーテル用シャフト63の2つの管状部材6a及び管状部材6bを内層65に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト63を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト63を使用することによって、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト63の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0138】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト63によれば、外層69が、管状部材6aの外周全体を覆って溝68aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝68bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト63に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト63の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0139】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト63によれば、外層69が、溝68a及び溝68bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層69と内層65との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト63が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層69が内層65から剥離することを防止することができる。
【0140】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト63によれば、溝68a及び溝68bの深さD2を、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上としたので、管状部材6a及び管状部材6bを溝68a及び溝68bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層65に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0141】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト63によれば、溝68a及び溝68bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝68a及び溝68bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層65に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0142】
以上、本発明の各種実施形態のカテーテル用シャフトについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0143】
例えば、第1実施形態乃至第7実施形態のカテーテル用シャフトにおいては、内層の外周面において、第1の内腔の中心に対して対称な位置に少なくとも2つの溝を設ける実施形態を説明してきたが、本発明は、内層に溝を設けた実施形態に限らず、内層と外層との間に中間層を設けて、その中間層に溝を設けるようにしても良い。
【0144】
なお、ここで示す中間層とは、以下の実施形態で説明するような、1層のみからなる中間層を意味するものではなく、例えば、内層と外層との間に、複数の中間層が存在する場合においては、それら複数の中間層を意味するものであり、溝は、それら複数の中間層のうち何れの中間層に設けられても良い。
【0145】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0146】
以下、本発明の第8実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0147】
第8実施形態のカテーテル用シャフト73は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3に比較して内層ではなく、中間層に溝を設けたものであり、図14は、第8実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0148】
本実施形態のカテーテル70を構成するカテーテル用シャフト73は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図14に示すように、第1の内腔72を有する内層75と、その内層75を覆い、外周面において第1の内腔72の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝78a及び溝78bを有する中間層77と、その中間層77の溝78aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層77の溝78bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層75、中間層77、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層79とから構成されている。
【0149】
なお、カテーテル用シャフト73も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0150】
内層75は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔72を有する。
【0151】
内層75を形成する樹脂材料として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)等が使用可能であるが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が使用されている。
【0152】
中間層77も、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層75を覆い、管状部材6a及び管状部材6bを配置するために、外周面において第1の内腔72の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝78a及び溝78bを有する。
【0153】
中間層77に形成された2つの溝78a及び溝78bは、図3に示すように、カテーテル用シャフト73の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト73の長手方向に沿って中間層77の外周面に直線状に形成されており、溝78a及び溝78bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0154】
中間層77を形成する樹脂材料としては、第1実施形態の外層9と同様の材料が使用可能であって、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン、酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリアミド系エラストマーが使用されている。
【0155】
外層79は、内層75、中間層77、管状部材6a及び管状部材6bを被覆しており、外層79を形成する樹脂材料は、外層9と同様の材料を使用することができる。
【0156】
本実施形態のカテーテル用シャフト73によれば、第1の内腔72を有する内層75と、その内層75を覆い、外周面において第1の内腔72の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝78a及び溝78bを有する中間層77と、その中間層77の溝78aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層77の溝78bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層75、中間層77、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層79と、を備えているので、カテーテル用シャフト73の管状部材6a及び6bを中間層77に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト73を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト73を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第2の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト73の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0157】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト73によれば、溝78a及び溝78bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝78a及び溝78bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの内層75に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0158】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0159】
以下、本発明の第9実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0160】
第9実施形態のカテーテル用シャフト83は、第8実施形態のカテーテル用シャフト73と比較して、操作するワイヤーの数が異なる。すなわち、第1実施形態のカテーテル用シャフト73を操作するワイヤーの数が2本であるのに対し、本実施形態のカテーテル用シャフト83を操作するワイヤーの数は4本である。
【0161】
図15は、第9実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0162】
本実施形態のカテーテル80を構成するカテーテル用シャフト83は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図15に示すように、第1の内腔82を有する内層85と、その内層85を覆い、外周面において第1の内腔82の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dを有する中間層87と、その中間層87の溝88aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層87の溝88bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、中間層87の溝88cに配置され、第2の内腔4cを有する管状部材6cと、中間層87の溝88dに配置され、第2の内腔4dを有する管状部材6dと、内層85、中間層87、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを覆う外層89とから構成されている。
【0163】
なお、カテーテル用シャフト83は、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0164】
内層85は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔82を有する。内層85を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0165】
中間層87は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層85を覆い、外周面には、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを配置するための、第1の内腔82の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dを有する。
【0166】
中間層87に形成された4つの溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dも、図3に示すように、カテーテル用シャフト83の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト83の長手方向に沿って中間層87の外周面に直線状に形成されており、溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dの断面形状は、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dの断面形状に合わせて略円形である。
【0167】
中間層87を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0168】
外層89は樹脂からなり、内層85、中間層87、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを被覆している。外層89を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0169】
本実施形態のカテーテル用シャフト83によれば、第1の内腔82を有する内層85と、その内層85を覆い、外周面において第1の内腔82の中心に対して対称な位置に配置された4つの溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dを有する中間層87と、その中間層87の溝88aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層87の溝88bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、中間層87の溝88cに配置され、第2の内腔4cを有する管状部材6cと、中間層87の溝88dに配置され、第2の内腔4dを有する管状部材6dと、内層85、中間層87、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを覆う外層89と、を備えているので、カテーテル用シャフト83の管状部材6a、6b、6c及び6dを中間層87に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト83を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト83を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a、管状部材6bの第2の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11b、管状部材6cの第3の内腔4cに挿入される第3のワイヤー11c及び管状部材6dの第4の内腔4dに挿入される第4のワイヤー11dの基端側の操作力をカテーテル用シャフト83の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0170】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト83によれば、溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dの形状を、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dを溝88a、溝88b、溝88c及び溝88dにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a、管状部材6b、管状部材6c及び管状部材6dの中間層87に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0171】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0172】
以下、本発明の第10実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0173】
第10実施形態のカテーテル用シャフト103は、第8実施形態のカテーテル用シャフト73と比較して、溝の断面形状が異なる。すなわち、第8実施形態のカテーテル用シャフト73の溝の断面形状は、略円形であるのに対し、本実施形態のカテーテル用シャフト103の溝の断面形状は、V字形状である。
【0174】
図16は、第10実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0175】
本実施形態のカテーテル100を構成するカテーテル用シャフト103は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図16に示すように、第1の内腔102を有する内層105と、その内層105を覆い、外周面において第1の内腔102の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝108a及び溝108bを有する中間層107と、その中間層107の溝108aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層107の溝108bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層105、中間層107、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層109とから構成されている。
【0176】
なお、カテーテル用シャフト103も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0177】
内層105は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔102を有する。内層105を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0178】
中間層107は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層105を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔102の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝108a及び溝108bを有する。
【0179】
中間層107に形成された2つの溝108a及び溝108bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト103の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト103の長手方向に沿って中間層107の外周面に直線状に形成されており、上述の通り、溝108a及び溝108bの断面形状はV字形状である。
【0180】
中間層107を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0181】
外層109は、樹脂からなり、内層105、中間層107、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝108aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝108bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層109を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0182】
本実施形態のカテーテル用シャフト103によれば、第1の内腔102を有する内層105と、その内層105を覆い、外周面において第1の内腔102の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝108a及び溝108bを有する中間層107と、その中間層107の溝108aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層107の溝108bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層105、中間層107、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層109と、を備えているので、カテーテル用シャフト103の管状部材6a及び6bを中間層107に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト103を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト103を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト103の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0183】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト103によれば、外層109が、管状部材6aの外周全体を覆って溝108aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝108bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト103に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト103の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0184】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト103によれば、外層109が、溝108a及び溝108bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層109と内層105との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト103が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層109が内層105から剥離することを防止することができる。
【0185】
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0186】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0187】
第11実施形態のカテーテル用シャフト113は、第10実施形態のカテーテル用シャフト103と比較して、溝の深さが異なる。すなわち、本実施形態のカテーテル用シャフト113の溝の深さは、管状部材の半径以上に設定されている。
【0188】
図17は、第11実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0189】
本実施形態のカテーテル110を構成するカテーテル用シャフト113は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図17に示すように、第1の内腔112を有する内層115と、その内層115を覆い、外周面において第1の内腔112の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝118a及び溝118bを有する中間層117と、その中間層117の溝118aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層117の溝118bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層115、中間層117、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層119とから構成されている。
【0190】
なお、カテーテル用シャフト113も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0191】
内層115は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔112を有する。内層115を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0192】
中間層117は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層115を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔112の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝118a及び溝118bを有する。
【0193】
中間層117に形成された2つの溝118a及び溝118bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト113の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト113の長手方向に沿って中間層117の外周面に直線状に形成されており、図17に示すように、上述の通り、溝118a及び溝118bの深さD3は、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上の深さである。
【0194】
中間層117を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0195】
外層119は、樹脂からなり、内層115、中間層117、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝118aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝118bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層119を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0196】
本実施形態のカテーテル用シャフト113によれば、第1の内腔112を有する内層115と、その内層115を覆い、外周面において第1の内腔112の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝118a及び溝118bを有する中間層117と、その中間層117の溝118aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層117の溝118bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層115、中間層117、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層119と、を備えているので、カテーテル用シャフト113の管状部材6a及び6bを中間層117に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト113を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト113を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト113の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0197】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト113によれば、外層119が、管状部材6aの外周全体を覆って溝118aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝118bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト113に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト113の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0198】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト113によれば、外層119が、溝118a及び溝118bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層119と内層115との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト113が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層119が内層115から剥離することを防止することができる。
【0199】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト113によれば、溝118a及び溝118bの深さD3を、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上としたので、管状部材6a及び管状部材6bを溝118a及び溝118bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの中間層117に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0200】
(第12実施形態)
次に、本発明の第12実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0201】
以下、本発明の第12実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0202】
第12実施形態のカテーテル用シャフト123は、第8実施形態のカテーテル用シャフト73と比較して、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる状態が異なる。すなわち、第8実施形態のカテーテル用シャフト73は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいないのに対して、本実施形態のカテーテル用シャフト123は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる。
【0203】
図18は、第12実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0204】
本実施形態のカテーテル120を構成するカテーテル用シャフト123は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図18に示すように、第1の内腔122を有する内層125と、その内層125を覆い、外周面において第1の内腔122の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝128a及び溝128bを有する中間層127と、その中間層127の溝128aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層127の溝128bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層125、中間層127、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層129とから構成されている。
【0205】
なお、カテーテル用シャフト123も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0206】
内層125は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔122を有する。内層125を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0207】
中間層127は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層125を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔122の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝128a及び溝128bを有する。
【0208】
中間層127に形成された2つの溝128a及び溝128bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト123の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト123の長手方向に沿って中間層127の外周面に直線状に形成されており、図18に示すように、溝128a及び溝128bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0209】
中間層127を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0210】
外層129は、内層125、中間層127、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周をその両側から溝128aと管状部材6aとの間に入り込んでおり(129a及び129b)、管状部材6bの外周をその両側から溝128bと管状部材6bとの間に入り込んでいる(129c及び129d)。
【0211】
また、外層129は樹脂からなり、その樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0212】
本実施形態のカテーテル用シャフト123によれば、第1の内腔122を有する内層125と、その内層125を覆い、外周面において第1の内腔122の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝128a及び溝128bを有する中間層127と、その中間層127の溝128aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層127の溝128bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層125、中間層127、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層129と、を備えているので、カテーテル用シャフト123の管状部材6a及び6bを中間層127に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト123を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト123を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト123の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0213】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト123によれば、外層129が、管状部材6aの外周をその両側から覆って溝128aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周をその両側から覆って溝128bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので(129a、129b、129c及び129d)、管状部材6a及び管状部材6bをカテーテル用シャフト123に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト123の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0214】
ただし、本実施形態のカテーテル用シャフト123のように、外層が管状部材の両側から覆って入り込むよりも、第11実施形態のカテーテル用シャフト113のように、外層が管状部材の外周全体を覆って入る込む方が、管状部材をカテーテル用シャフトにより確実に固着することができる。
【0215】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト123によれば、溝128a及び溝128bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝128a及び溝128bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6dの中間層127に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0216】
(第13実施形態)
次に、本発明の第13実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0217】
以下、本発明の第13実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0218】
第13実施形態のカテーテル用シャフト133は、第8実施形態のカテーテル用シャフト73と比較して、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいる状態が異なる。すなわち、第8実施形態のカテーテル用シャフト73は、外層が溝と管状部材との間に入り込んでいないのに対して、本実施形態のカテーテル用シャフト133は、外層が管状部材の外周全体を覆って溝と管状部材との間に入り込んでいる。
【0219】
図19は、第13実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0220】
本実施形態のカテーテル130を構成するカテーテル用シャフト133は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図19に示すように、第1の内腔132を有する内層135と、その内層135を覆い、外周面において第1の内腔132の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝138a及び溝138bを有する中間層137と、その中間層137の溝138aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層137の溝138bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層135、中間層137、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層139とから構成されている。
【0221】
なお、カテーテル用シャフト133も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0222】
内層135は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔132を有する。内層135を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0223】
中間層137は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層135を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔132の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝138a及び溝138bを有する。
【0224】
中間層137に形成された2つの溝138a及び溝138bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト133の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト133の長手方向に沿って中間層137の外周面に直線状に形成されており、図19に示すように、溝138a及び溝138bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形である。
【0225】
中間層137を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0226】
外層139は、樹脂からなり、内層135、中間層137、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝138aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝138bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層139を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0227】
本実施形態のカテーテル用シャフト133によれば、第1の内腔132を有する内層135と、その内層135を覆い、外周面において第1の内腔132の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝138a及び溝138bを有する中間層137と、その中間層137の溝138aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層137の溝138bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層135、中間層137、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層139と、を備えているので、カテーテル用シャフト133の管状部材6a及び6bを中間層137に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト133を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト133を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト133の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0228】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト133によれば、外層139が、管状部材6aの外周全体を覆って溝138aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝138bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト133に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト133の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0229】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト133によれば、外層139が、溝138a及び溝138bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層139と内層135との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト133が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層139が内層135から剥離することを防止することができる。
【0230】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト133によれば、溝138a及び溝138bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝138a及び溝138bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの中間層137に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0231】
(第14実施形態)
次に、本発明の第14実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0232】
以下、本発明の第14実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0233】
第14実施形態のカテーテル用シャフト143は、第13実施形態のカテーテル用シャフト133と比較して、溝の深さが異なる。すなわち、本実施形態のカテーテル用シャフト143の溝の深さは、管状部材の半径以上に設定されている。
【0234】
図20は、第14実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0235】
本実施形態のカテーテル140を構成するカテーテル用シャフト143は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図20に示すように、第1の内腔142を有する内層145と、その内層145を覆い、外周面において第1の内腔142の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝148a及び溝148bを有する中間層147と、その中間層147の溝138aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層147の溝138bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層145、中間層147、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層149とから構成されている。
【0236】
なお、カテーテル用シャフト143も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0237】
内層145は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔142を有する。内層145を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0238】
中間層147は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層145を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔142の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝148a及び溝148bを有する。
【0239】
中間層147に形成された2つの溝148a及び溝148bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト143の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト143の長手方向に沿って中間層147の外周面に直線状に形成されており、図20に示すように、上述の通り、溝148a及び溝148bの深さD4は、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上の深さである。
【0240】
また、溝148a及び溝148bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形であり、中間層147を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0241】
外層149は、樹脂からなり、内層145、中間層147、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝148aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝148bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層149を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0242】
本実施形態のカテーテル用シャフト143によれば、第1の内腔142を有する内層145と、その内層145を覆い、外周面において第1の内腔142の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝148a及び溝148bを有する中間層147と、その中間層147の溝148aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層147の溝148bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層145、中間層147、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層149と、を備えているので、カテーテル用シャフト143の管状部材6a及び6bを中間層147に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト143を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト143を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト143の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0243】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト143によれば、外層149が、管状部材6aの外周全体を覆って溝148aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝148bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト143に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト143の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0244】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト143によれば、外層149が、溝148a及び溝148bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層149と内層145との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト143が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層149が内層145から剥離することを防止することができる。
【0245】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト143によれば、溝148a及び溝148bの深さD4を、管状部材6a及び管状部材6bの半径R以上としたので、管状部材6a及び管状部材6bを溝148a及び溝148bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6bの中間層147に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0246】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト143によれば、溝148a及び溝148bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝148a及び溝148bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6dの中間層147に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0247】
(第15実施形態)
最後に、本発明の第15実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0248】
以下、本発明の第15実施形態を説明するが、カテーテル用シャフトを備えたカテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0249】
第15実施形態のカテーテル用シャフト153は、第13実施形態のカテーテル用シャフト133と比較して、補強層の有無が異なる。すなわち、第13実施形態のカテーテル用シャフト133は、補強層を備えないのに対し、本実施形態のカテーテル用シャフト153は、補強層を備えている。
【0250】
図21は、第15実施形態のカテーテル用シャフトの図1のA-A断面相当図である。
【0251】
本実施形態のカテーテル150を構成するカテーテル用シャフト153は、第1実施形態のカテーテル用シャフト3と同様に長尺の中空管状体であり、図21に示すように、第1の内腔152を有する内層155と、内層155の外周全体に配置された補強層17と、内層155及び補強層17を覆い、外周面において第1の内腔152の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝158a及び溝158bを有する中間層157と、その中間層157の溝158aに配置された第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層157の溝158bに配置された第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層155、補強層17、中間層157、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層159とから構成されている。
【0252】
なお、カテーテル用シャフト153も、図1に示すように、先端側の位置Pから先端側(+X方向)における硬度が位置Pから基端側(-X方向)における硬度に比べ低い。
【0253】
内層155は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部には、ガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するための第1の内腔152を有する。内層155を形成する樹脂材料は、内層75と同様の材料を使用することができる。
【0254】
補強層17は、カテーテル用シャフト153の先端近傍からコネクタ99まで、カテーテル用シャフト153の長手方向に沿って内層155の外周に巻回されており、図21に示すように、8本の第1素線(17aa、17ab、17ac、17ad、17ae、17af、17ag及び17ah)と、8本の第2素線(17ba、17bb、17bc、17bd、17be、17bf、17bg及び17bh)との合計16本(8本×8本)の素線が交互にメッシュ状に編み込まれた編組として構成されている。
【0255】
また、補強層17は、本実施形態において、8本の第1素線(17aa~17ah)がカテーテル用シャフト153の先端方向に向って左回りに巻回されており、8本の第2素線(17ba~17bh)がカテーテル用シャフト153の先端方向に向って右回りに巻回されている。
【0256】
補強層17を構成する8本の第1素線(17aa~17ah)及び8本の第2素線(17ba~17bh)の材料としては、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0257】
なお、本実施形態においては、補強層17を8本の第1素線と8本の第2素線とからなる編組として説明するが、編組を構成する素線の本数は、何本であっても良く、第1素線の本数と第2素線の本数が異なっていても良い。また、その編組を複数層に構成するようにしても良い。
【0258】
さらに、本実施形態においては、補強層を編組として説明してきたが、補強層は、1本または複数本の素線を同一方向に撚って形成されたコイル体であっても良く、そのコイル体を複数層に構成するようにしても良い。
【0259】
中間層157は、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内層155及び補強層17を覆い、外周面には、管状部材6a及び管状部材6bを配置するための、第1の内腔152の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝158a及び溝158bを有する。
【0260】
中間層157に形成された2つの溝158a及び溝158bも、図3に示すように、カテーテル用シャフト143の先端近傍から操作部97まで、カテーテル用シャフト153の長手方向に沿って中間層157の外周面に直線状に形成されている。
【0261】
また、本実施形態の溝158a及び溝158bは、補強層17により中間層157の剛性が増大した状態で中間層157に形成されているので、補強層17よりも外側に形成されている。
【0262】
また、溝158a及び溝158bの断面形状は、管状部材6a及び管状部材6bの断面形状に合わせて略円形であり、中間層157を形成する樹脂材料は、中間層77と同様の材料を使用することができる。
【0263】
外層159は、樹脂からなり、内層155、補強層17、中間層157、管状部材6a及び管状部材6bを被覆するとともに、管状部材6aの外周全体を覆って溝158aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝158bと管状部材6bとの間に入り込んでいる。外層159を形成する樹脂材料は、外層79と同様の材料を使用することができる。
【0264】
本実施形態のカテーテル用シャフト153によれば、第1の内腔152を有する内層155と、その内層155を覆い、外周面において第1の内腔152の中心に対して対称な位置に配置された2つの溝158a及び溝158bを有する中間層157と、その中間層157の溝158aに配置され、第2の内腔4aを有する管状部材6aと、中間層157の溝158bに配置され、第2の内腔4bを有する管状部材6bと、内層155、中間層157、管状部材6a及び管状部材6bを覆う外層159と、を備えているので、カテーテル用シャフト153の管状部材6a及び6bを中間層157に簡単に位置決めすることができ、操作性の良いカテーテル用シャフト153を簡単に製造することができる。また、製造されたカテーテル用シャフト153を使用することによって、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第4の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト153の遠位側に効率良く伝えることができる。
【0265】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト153によれば、外層159が、管状部材6aの外周全体を覆って溝158aと管状部材6aとの間、及び管状部材6bの外周全体を覆って溝158bと管状部材6bとの間に入り込んでいるので、管状部材6a及び6bをカテーテル用シャフト153に確実に固着することができ、2つの管状部材6a及び管状部材6bの第2の内腔4a及び4bに挿入される第1のワイヤー11a及び第2のワイヤー11bの基端側の操作力をカテーテル用シャフト153の遠位側にさらに効率良く伝えることができる。
【0266】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト153によれば、外層159が、溝158a及び溝158bに入り込んでいるので、アンカー効果により、外層159と内層155との接合強度が増大し、カテーテル用シャフト153が手技中に長手方向に対して右回りまたは左周りに捩れた場合にも、外層159が内層155から剥離することを防止することができる。
【0267】
また、本実施形態のカテーテル用シャフト153によれば、内層155の外周に補強層17を備えているので、中間層157の剛性を増大させて、中間層157の外周面に溝158a及び溝158bを形成し易くすることができる。また、管状部材6aの第2の内腔4aに挿入される第1のワイヤー11a及び管状部材6bの第2の内腔4bに挿入される第2のワイヤー11bの摺動による内層155および/または中間層157の割けを防止することができる。
【0268】
さらに、本実施形態のカテーテル用シャフト153によれば、溝158a及び溝158bの形状を、管状部材6a及び管状部材6bの外形に合わせて断面略円形としているので、管状部材6a及び管状部材6bを溝158a及び溝158bにさらに簡単に位置決めすることができ、管状部材6a及び管状部材6dの中間層157に対する位置ずれをさらに防止することができる。
【0269】
以上、本発明の各種実施形態のカテーテル用シャフトについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0270】
例えば、第15実施形態のカテーテル用シャフト153に使用した補強層17は、第8実施形態乃至第14実施形態のカテーテル用シャフトにおいても使用可能であり、その場合には、各実施形態のカテーテル用シャフトの効果に加え、中間層の剛性を増大させて、中間層の外周面に溝を形成し易くすることができ、また、管状部材の第2の内腔に挿入される操作ワイヤーの摺動による内層および/または中間層の割けを防止することができる。
【0271】
また、上述の実施形態では、内層の外周面または中間層の外周面に2つまたは4つの溝を設ける場合を説明してきたが、溝の数は、2つまたは4つに限定されるものではなく、2つ以上であれば良い。
【0272】
ただし、溝の数が少なければ少ない程、カテーテルの構造は簡単になり、したがって、溝の数が2つの場合には、カテーテルの構造が最も簡単になる。
【符号の説明】
【0273】
1,10,20,30,40,50,60,70,80,100,110,120,130,140,150・・・カテーテル
2,12,22,32,42,52,62,72,82,102,112,122,132,142,152・・・第1の内腔
3,13,23,33,43,53,63,73,83,103,113,123,133,143,153・・・カテーテル用シャフト
4a,4b,4c,4d・・・第2の内腔
5,15,25,35,45,55,65,75,85,105,115,125,135,145,155・・・内層
6a,6b,6c、6d・・・管状部材
8a,8b,18a,18b,18c,18d,28a,28b,38a,38b,48a,48b,58a,58b,68a,68b,
78a,78b,88a,88b,88c,88d,108a,108b,118a,118b,128a,128b,138a,138b,148a,148b,158a,158b・・・溝
9,19,29,39,49,49a,49b,49c,49d,59,69,79,89,109,119,129,129a,
129b,129c,129d,139,149,159・・・外層
11a・・・第1のワイヤー
11b・・・第2のワイヤー
11c・・・第3のワイヤー
11d・・・第4のワイヤー
17・・・補強層
77,87,107,117,127,137,147,157・・・・・中間層
90・・・リング部材
91・・・操作部本体
93a・・・第1のプーリ
93b・・・第2のプーリ
95a・・・第1のボス
95b・・・第2のボス
97・・・操作部
99・・・コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21