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特開2024-41125仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041125
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/04 20060101AFI20240319BHJP
   E04G 7/14 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
E04G5/04 C
E04G7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145771
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】315019894
【氏名又は名称】株式会社杉孝グループホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】川久 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】地附 友恵
(57)【要約】
【課題】仮設足場を建物の外壁に連結する壁つなぎ材を取付け固定するための取付支持装置を提供する。
【解決手段】該壁つなぎ材のクランプ金具を仮設足場に取付け固定するための取付支持装置であり、両端部が仮設足場の隣り合う支柱に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる主軸材(12)と、前記主軸材とほぼ平行に延びる副軸材(13)と、前記主軸材と副軸材を相互に隙間を形成した状態で連結する連結補強材(14)により構成されており、前記壁つなぎ材(6)のクランプ金具(7)を前記隙間(S)を介して前記主軸材(12)の外周面に緊結させるように構成している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に沿って所定間隔をあけて立設された支柱を含んで構築された仮設足場に関して、仮設足場を前記外壁に連結する壁つなぎ材が設けられる構成において、該壁つなぎ材のクランプ金具を仮設足場に取付け固定するための取付支持装置であり、
前記取付支持装置は、両端部が隣り合う支柱に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる主軸材(12)と、前記主軸材とほぼ平行に延びる副軸材(13)と、前記主軸材と副軸材を相互に隙間を形成した状態で連結する連結補強材(14)により構成されており、
前記壁つなぎ材(6)のクランプ金具(7)を前記隙間(S)を介して前記主軸材(12)の外周面に緊結させるように構成して成ることを特徴とする仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置。
【請求項2】
前記主軸材(12)と副軸材(13)は、軸方向の両端部に配置された端部連結補強材(14a)により両軸材の端面が一体に連結されると共に、両軸材の中間部が軸方向に所定間隔をあけて配置された中間部連結補強材(14b)により連結され、隣り合う連結補強材の間における主軸材(12)の軸部により前記クランプ金具を緊結可能とする取付部(21)を形成しており、
前記端部連結補強材(14a)に緊結金具(16)が設けられており、該緊結金具を支柱に着脱自在に固着するように構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置。
【請求項3】
取付支持装置は、前記主軸材(12)の両端を結ぶ軸線の中点(C)を中心として右側軸部(11R)と左側軸部(11L)を構成し、仮設足場における隣り合う一対の支柱に対して、前記中点を中心として反転させたときでも前記緊結金具(16)を支柱に着脱自在に固着可能とするように構成されており、
前記中間部連結補強材(14b)の配置形態に関して、右側軸部(11R)における配置形態と、左側軸部(11L)における配置形態は、前記中点(C)に対して非対称となるように構成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置。
【請求項4】
仮設足場の支柱と建物の外壁の間において、主軸材(12)が支柱の近傍に配置され、副軸材(13)が主軸材の外壁側に前記隙間を形成して配置されるように構成されており、
前記緊結金具(16)を支柱に固着した状態で、前記端部連結補強材(14a)は、主軸材(12)を横断する水平線(H)に対して、副軸材(13)を上下方向の一方に偏位して配置するように構成されて成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の仮設足場における壁つなぎ材の取付支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設足場を建物の外壁に連結する壁つなぎ材を取付け固定するための取付支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁に沿って所定間隔をあけて立設された支柱を含む仮設足場は、支柱と外壁を相互に壁つなぎ材により連結される。
【0003】
一般的に、壁つなぎ材は、仮設足場の支柱から建物の外壁を連結するように構成されており、クランプ金具から外壁に対して壁面に垂直に延びるロッドを備え、ロッドの先端にボルト部を設けている。そこで、クランプ金具を支柱に緊結すると共に、前記ボルト部を外壁に固着されたナット部材に螺着することにより、支柱と外壁を連結する。
【0004】
ところが、この場合、構築された仮設足場の支柱と建物の外壁に固着されたナット部材が相互に正対位置に臨まされていることが必要である。換言すると、支柱とナット部材が正対位置にないときは、壁つなぎ材のロッドが外壁に垂直でない傾斜姿勢で取付けられることになるので、所定の耐力を確保することができない。
【0005】
つまり、壁つなぎ材は、クランプ金具による取付固定位置が支柱の位置に限定されているので、外壁に固着されたナット部材に連結する際、前記のような不具合を生じるおそれがある。
【0006】
そこで、壁つなぎ材のクランプ金具の取付固定位置に関して、支柱の位置に限定されず、自由な範囲の位置で取付け固定できるように構成した支持装置が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
【0007】
前記支持装置は、両端部が隣り合う支柱に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる軸部材を設けており、従って、軸方向に延びる軸部材の上で選択した所望の位置に壁つなぎ材を取付固定することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-56639号公報
【特許文献2】実用新案登録第3211768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記支持装置は、壁つなぎ材のクランプ金具を固定支持する手段が、一対の支柱の間を延びる1本の軸部材のみにより構成されているので、耐力が十分でない。例えば、仮設足場が外壁に対して近接方向又は離反方向に揺動すると、軸部材は、両端部を支柱に固定された状態で、壁つなぎ材により、中間部に曲げ応力を生じさせるので、容易に変形するおそれがある。
【0010】
このため、軸部材の強度を十分なものとするための補強構造が必要となるが、どのような構造で補強するか等について、種々の未解決の課題がある。
【0011】
本発明は、上記に鑑み、壁つなぎ材の取付固定位置に自由度を与える取付支持装置において、高い強度を備えており、しかも、使い勝手が良好とされた装置を提案することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明が手段として構成したところは、建物の外壁に沿って所定間隔をあけて立設された支柱を含んで構築された仮設足場に関して、仮設足場を前記外壁に連結する壁つなぎ材が設けられる構成において、該壁つなぎ材のクランプ金具を仮設足場に取付け固定するための取付支持装置であり、前記取付支持装置は、両端部が隣り合う支柱に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる主軸材と、前記主軸材とほぼ平行に延びる副軸材と、前記主軸材と副軸材を相互に隙間を形成した状態で連結する連結補強材により構成されており、前記壁つなぎ材のクランプ金具を前記隙間を介して前記主軸材の外周面に緊結させるように構成して成る点にある。
【0013】
好ましい実施形態において、前記主軸材と副軸材は、軸方向の両端部に配置された端部連結補強材により両軸材の端面が一体に連結されると共に、両軸材の中間部が軸方向に所定間隔をあけて配置された中間部連結補強材により連結され、隣り合う連結補強材の間における主軸材の軸部により前記クランプ金具を緊結可能とする取付部を形成しており、前記端部連結補強材に緊結金具が設けられており、該緊結金具を支柱に着脱自在に固着するように構成されている。
【0014】
好ましくは、前記主軸材は、両端を結ぶ軸線の中点を中心として右側軸部と左側軸部を構成し、仮設足場における隣り合う一対の支柱に対して、前記中点を中心として反転させたときでも前記緊結金具を支柱に着脱自在に固着可能とするように構成されており、前記中間部連結補強材の配置形態に関して、右側軸部における配置形態と、左側軸部における配置形態は、前記中点に対して非対称となるように構成されている。
【0015】
更に好ましくは、仮設足場の支柱と建物の外壁の間において、主軸材が支柱の近傍に配置され、副軸材が主軸材の外壁側に前記隙間を形成して配置されるように構成されており、前記緊結金具を支柱に固着した状態で、前記端部連結補強材は、主軸材を横断する水平線に対して、副軸材を上下に偏位して配置させるように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、仮設足場と建物の外壁を壁つなぎ材により連結する際、壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結する取付け固定位置が仮設足場の支柱の位置に限定されることはなく、取付支持装置11の主軸材12により、軸方向に選択可能な範囲で任意の位置に取付け固定することができる利点がある。そして、主軸材12にほぼ平行に延びる副軸材13を相互に隙間Sを形成した状態で連結補強材で連結することにより、剛体構造とされた枠組を構成しているので、優れた強度を保持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】仮設足場の1例を示すと共に、本発明の実施形態に係る取付支持装置の使用例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に関して、取付支持装置の全体を示す斜視図である。
図3】実施形態に関して、(A)は取付支持装置の軸方向両端部を示す拡大斜視図、(B)は主軸材と副軸材の関係を示す断面図である。
図4】壁つなぎ材のクランプ金具を主軸材に緊結する際の作用を示しており、(A)はクランプ金具を主軸材に臨ませた状態を示す断面図、(B)は緊結前の状態を示す断面図、(C)は緊結後の状態を示す断面図である。
図5】取付支持装置を左右方向に関して反転させたときの使用形態に関する特徴と作用を示しており、(A)は反転していない状態での使用形態を示す平面図、(B)は反転させた状態での使用形態を示す平面図である。
図6】取付支持装置を外壁方向に関して反転させたときの使用形態に関する特徴と作用を示しており、(A)は反転していない状態での使用形態を示す平面図、(B)は反転させた状態での使用形態を示す平面図である。
図7】本発明の別の実施形態を示しており、(A)は取付支持装置の全体を示す平面図、(B)は主軸材に壁つなぎ材のクランプ金具を緊結した状態を示す斜視図、(C)は主軸材に取付固定された壁つなぎ材の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。図1ないし図5は、取付支持装置の基本的実施形態を示し、図6は、別の実施形態を示している。
【0019】
図1に示すように、仮設足場1は、建物の外壁Wに沿って所定間隔をあけて立設された支柱2を含んで構築されている。図例の場合、支柱2に設けられた横架材3に足場板4を搭載することにより作業床を形成し、隣り合う支柱2、2の間に先行手摺5を跨設した単管足場を示しているが、これに限定されるものではなく、枠組足場としても良い。
【0020】
そこで、仮設足場1は、壁つなぎ材6により、外壁Wに連結される。壁つなぎ材6は、従来公知のものを使用することができ、クランプ金具7から外壁Wに対して垂直方向に延びるロッド8を備えており、ロッド8の先端にボルト部9を設けている。
【0021】
クランプ金具7は、図4に示すように、ロッド8に取付けられた固定顎部7aに回動顎部7bを枢結しており、両顎部7a、7bにより仮設足場1における所定のパイプ材の外周面を抱持した状態で、ボルト・ナットから成る締結手段7cにより緊結するように構成されている。
【0022】
これにより、図示のように、クランプ金具7を仮設足場1の所定のパイプ材に緊結し、前記ボルト部9を外壁Wに固着されたナット部材10に螺着することにより、仮設足場1と外壁Wを連結するように構成されている。
【0023】
因みに、仮設足場1を連結するための建物の外壁Wは、厳格な意味での外壁に限定して解釈する必要はなく、要するに、壁つなぎ材6を使用することにより、仮設足場1を連結保持することができる建物外側の部分であれば良い。
【0024】
仮設足場1に対して壁つなぎ材6のクランプ金具7を取付け固定するパイプ材を提供するために、取付支持装置11が使用されている。
【0025】
(基本的実施形態)
取付支持装置11は、図1ないし図3に示すように、両端部が隣り合う支柱2、2に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる主軸材12と、前記主軸材とほぼ平行に延びる副軸材13と、前記主軸材12と副軸材13を相互に隙間Sを形成した状態で連結する連結補強材14により構成されている。
【0026】
前記主軸材12は、壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結可能とする外径を有する金属製パイプにより形成されており、前記副軸材13は、主軸材12よりも小さい外径を有する金属製パイプにより形成されている。
【0027】
前記連結補強材14は、前記主軸材12及び副軸材13の両端部に配置される金属板から成るブラケット状の端部連結補強材14aと、両軸材12、13の中間部に位置して軸方向に所定間隔をあけて配置される金属板から成るブリッジ状の中間部連結補強材14bにより構成されている。
【0028】
ブラケット状の端部連結補強材14aは、前記主軸材12及び副軸材13の軸端面に添接した状態で溶接により固着され、外側面に断面L形の金属製補強板15を溶接して一体化することにより補強され、該補強板15の折曲片15aに緊結金具16を設けている。
【0029】
前記緊結金具16は、取付支持装置11の両端部を支柱2に着脱自在に固着するための手段を構成し、図示実施形態の場合、固定顎部17に回動顎部18を枢結しており、両顎部17、18により支柱2の外周面を抱持した状態で、ボルト・ナットから成る締結手段19により緊結するクランプ手段により構成されている。従って、緊結金具16は、支柱2の軸方向の任意の個所に固着することができ、これにより、主軸材12を所望の高さ位置に設置することを可能にする。
【0030】
図1ないし図5に示す実施形態の場合、取付支持装置11は、緊結金具16を支柱2に固着したとき、主軸材12が支柱1の近傍に配置され、副軸材12が主軸材12から外壁Wに向かう側に前記隙間Sを介して配置されるように構成されている。
【0031】
そして、図3(B)に示すように、前記ブラケット状の端部連結補強材14aは、鉛直線Vに沿って立設された支柱2に緊結金具16を固着した状態で、主軸材12の中心を横断する水平線Hに対して、副軸材13が角度θで示すように上方向又は下方向(図示の場合は上方向)に偏位して配置させるように構成されている。これにより、水平線Hに沿う通路20が形成され、通路20は、副軸材13と干渉しないように、該副軸材13の下側に形成されており、後述するように、壁つなぎ材6の水平方向の設置を可能とする。
【0032】
ブリッジ状の中間部連結補強材14bは、前記隙間Sを跨いで設けられ、前記主軸材12及び副軸材13に溶接により固着されている。これにより、取付支持装置11は、平行に配置された主軸材12及び副軸材13と、これを連結一体化するブラケット状の端部連結補強材14a並びにブリッジ状の中間部連結補強材14bにより、剛体構造とされた枠組フレームを形成する。
【0033】
以上のように構成した取付支持装置11は、両端部を緊結金具16により支柱2に固着した状態で、一対の支柱2、2の間で延びる主軸材12により、壁つなぎ材6のクランプ金具7を取付け固定するための取付部21を提供する。即ち、軸方向の両端近傍領域においては、端部連結補強材14aと中間部連結補強材14bの間を延びる主軸材12の外周部により取付部21が形成され、中間領域においては、隣り合う一対の中間部連結補強材14b、14bの間を延びる主軸材12の外周部により取付部21が形成されている。従って、これらのうちから選択した取付部21に対して、壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結することにより取付け固定することが可能である。
【0034】
この際、壁つなぎ材6の上下方向の取付位置を定める主軸材12の高さ位置は、取付支持装置11を支柱2に取付けるときに、支柱2の軸方向で緊結金具16の固着位置を調節することにより決定される。つまり、上述のように、緊結金具16の固着位置を上下方向に調節することにより、主軸材12は、外壁Wのナット部材10と同じ高さ位置に固定される。
【0035】
そこで、取付支持装置11を支柱2に固着した後、主軸材12の軸方向に関して、外壁Wのナット部材10に正対する位置となる取付部21を選択し、該取付部21の軸方向の所定位置に壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結すると共に、ボルト部9をナット部材10に螺着すれば、ロッド8を外壁Wに対して垂直姿勢とした状態で外壁Wに固定することができ、これにより、取付支持装置11を介して仮設足場1を建物の外壁Wに連結することができる。
【0036】
上述のように、取付支持装置11は、主軸材12を支柱1の近傍に配置しているので、主軸材12と外壁の間の距離は、支柱1と外壁の間の距離に比較して、大きな差を有していない。このため、従来の壁つなぎ材(支柱と外壁のナット部材の間に設けられるもの)を使用することができ、僅かな距離の差は、前記ボルト部9とナット部材10の調整範囲で吸収することが可能である。
【0037】
そして、壁つなぎ材6は、上下方向には水平姿勢とされ、横方向(主軸材12の軸方向)には外壁Wに直交する姿勢とされ、これにより、外壁Wの壁面に対して垂直に設置されている。
【0038】
この状態において、仮設足場1が外壁Wに対して近接方向又は離反方向に揺動した場合、主軸材12は、両端部が緊結金具16により仮設足場1の支柱2に固定された状態で、中間の取付部21に対して、壁つなぎ材6から、前記水平線Hに沿う往復方向の外力を受けることにより、曲げ応力を生じる。ところが、主軸材12は、ほぼ平行に延びる副軸材13を並設し、両軸材12、13を連結補強材、14a、14bで連結一体化した構成とされ、主軸材12の耐力が副軸材13により補われて増強されているので、容易に変形して曲がるようなことはない。
【0039】
特に、図示実施形態の場合、主軸材12と副軸材13を軸方向に所定間隔をあけてブリッジ状の中間部連結補強材14bにより連結した構成としているので、前記外力を受ける取付部21は、一対の連結補強材14b、14bとその間に延びる主軸材12及び副軸材13の軸部により矩形枠を形成した剛体構造として、主軸材12の軸方向に短冊状に形成されているので、変形のおそれはない。
【0040】
図4は、取付部21に壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結する方法を示している。
【0041】
図4(A)に示すように、壁つなぎ材6のクランプ金具7は、ロッド8に取付けられた固定顎部7aから回動顎部7bを開いた状態で、一方の顎部を主軸材12と副軸材13の間の隙間Sに挿入させることにより、固定顎部7aを取付部21の外周面に臨まされる。
【0042】
上述のように、副軸材13の下側には主軸材12の中心から外壁Wに直交する水平線Hを含む通路20が形成されているので、図4(B)に示すように、ロッド8を水平線Hに沿わせた姿勢として、固定顎部7aと回動顎部7bを閉じることができる。
【0043】
この状態で、締結手段7cを締結すると、固定顎部7aと回動顎部7bが取付部21の外周面を挟着することにより、クランプ金具7は、隙間Sを介して主軸材12の取付部21に緊結される。
【0044】
ところで、取付支持装置11は、剛体構造の剛性枠を形成しているので、主軸材12は、軸方向のうち中間部連結補強材14bが設けられていない個所にだけ取付部21を形成している。換言すると、中間部連結補強材14bが設けられている個所には、壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結することができない構成とされている。このため、外壁Wのナット部材10に対して、中間部連結補強材14bが正対位置にあるとき部分には、壁つなぎ材6を外壁Wに対して垂直姿勢として取付け固定することができない事態を生じることになる。
【0045】
この点の問題を解決するため、図5(A)に示すように、取付支持装置11は、主軸材12の両端を結ぶ軸線の中点Cを中心として右側軸部11Rと左側軸部11Lを構成しており、しかも、図5(B)に示すように、仮設足場1の隣り合う一対の支柱2、2に対して、前記中点Cを中心として反転させたときでも緊結金具16、16を支柱2、2に着脱自在に固着可能とするように構成されている。
【0046】
そして、中間部連結補強材14bの配置形態に関して、右側軸部11Rにおける配置形態と、左側軸部11Lにおける配置形態は、前記中点Cに対して非対称となるように構成されている。図5(A)に示す図示実施形態の場合、右側軸部11Rにおいて中点Cから順に配置された3個の中間部連結補強材14bのそれぞれの距離R1、R2、R3と、左側軸部11Lにおいて中点Cから順に配置された3個の中間部連結補強材14bのそれぞれの距離L1、L2、L3は、R1<L1、R2<L2、R3<L3となるように構成されている。
【0047】
これにより、取付支持装置11は、図5(A)に示すように、右側の支柱2Rに対して右側の緊結金具16Rを固着し、左側の支柱2Lに対して左側の緊結金具16Lを固着することにより取付け固定した取付姿勢P1と、これを左右方向に関して反転し、図5(B)に示すように、右側の支柱2Rに対して左側の緊結金具16Lを固着し、左側の支柱2Lに対して右側の緊結金具16Rを固着することにより取付け固定した取付姿勢P2を選択することにより、主軸材12の全長にわたり任意の個所に壁つなぎ材6のクランプ金具7を緊結することができるように構成されている。
【0048】
即ち、主軸材12の軸方向に関して、図5(A)に示す取付姿勢P1とされたとき、中間部連結補強材14bが設けられた位置ないし個所は、クランプ金具7を緊結することができない緊結不能部となるが、この場合は、図5(B)に示す取付姿勢P2とすれば、緊結不能部とされていた位置に、取付部21が臨まされるので、これによりクランプ金具7を緊結することが可能となる。その結果、主軸材12の全長にわたり任意の個所にクランプ金具7を緊結することが可能となり、常に、壁つなぎ材6を外壁Wに対して垂直姿勢としてナット部材10に連結することができる。
【0049】
更に、図6に示すように、取付支持装置11は、外壁方向に関しても反転させた状態で使用することも可能である。
【0050】
図6(A)の場合、取付支持装置11は、上述のとおり、主軸材12を支柱1の近傍から外壁Wに向けて臨ませた外向き姿勢P3として設置されている。この場合、取付支持装置11は、仮設足場1と外壁Wの間の隙間Dを狭めるが、支柱2に支持された足場板4の上の作業空間に干渉しないので、作業者の往来等を妨げることはない。
【0051】
これに対して、取付支持装置11は、図6(B)に示すように、外壁方向に関して反転させることにより、主軸材12を支柱1の近傍から前記足場板4の上の作業空間に向けて臨ませた内向き姿勢P4として設置されている。この場合、取付支持装置11は、支柱2に支持された足場板4の上の作業空間に干渉するが、仮設足場1と外壁Wの間の隙間Dを狭めることはないので、隙間Dを通路として使用することにより、ALCパネル等の資材やその他の部材等を吊り上げ又は吊り下げる際に、この内向き姿勢P4による使用状態が有利となる。
【0052】
(別の実施形態)
図7は、取付支持装置11の別の実施形態を示しており、取付支持装置11は、両端部が隣り合う支柱2、2に着脱自在に固着された状態で両支柱の間に延びる主軸材12と、前記主軸材とほぼ平行に延びる副軸材13と、前記主軸材12と副軸材13を相互に隙間Sを形成した状態で連結する連結補強材14により構成されている。連結補強材14は、前記主軸材12及び副軸材13の両端部に配置されるブラケット状の端部連結補強材14aと、両軸材12、13の中間部に位置して軸方向に所定間隔をあけて配置されるブリッジ状の中間部連結補強材14bにより構成され、端部連結補強材14aには緊結金具16が設けられている。そして、端部連結補強材14aと中間部連結補強材14bの間を延びる主軸材12の外周部により取付部21が形成され、隣り合う一対の中間部連結補強材14b、14bの間を延びる主軸材12の外周部により取付部21が形成されている。これらの構成は、上記実施形態と同様である。
【0053】
上記実施形態と異なる点を説明すると、取付支持装置11は、緊結金具16を支柱2に固着したとき、副軸材13が支柱1の近傍に配置され、主軸材12が副軸材13から外壁Wに向かう側に隙間Sを介して配置されるように構成されている。そして、主軸材12及び副軸材13は、水平線Hの上に配置されている。このため、上記実施形態のように角度θ(図3(B))により偏位させなくても、壁つなぎ材6のクランプ金具7を隙間Sを介して主軸材12の取付部21に緊結する際、主軸材12の外壁Wに臨む側は開放空間とされているので、容易に作業を行うことができる。
【0054】
そして、主軸材12と副軸材13と中間部連結補強材14bは、壁つなぎ材6のロッド8の軸線(水平線H)に沿って整列されることにより枠組フレームを形成しているので、壁つなぎ材6から取付部21に作用する水平方向の外力に対して、副軸材13と中間部連結補強材14bが主軸材12を好適に補強した剛体構造を提供する。
【符号の説明】
【0055】
W 外壁
1 仮設足場
2 支柱
2R 右側の支柱
2L 左側の支柱
3 横架材
4 足場板
5 先行手摺
6 壁つなぎ材
7 クランプ金具
7a 固定顎部
7b 回動顎部
7c 締結手段
8 ロッド
9 ボルト部
10 ナット部材
11 取付支持装置
11R 右側軸部
11L 左側軸部
12 主軸材
13 副軸材
S 隙間
14 連結補強材
14a ブラケット状の端部連結補強材
14b ブリッジ状の中間部連結補強材
15 補強板
15a 折曲片
16 緊結金具
16R 右側の緊結金具
16L 左側の緊結金具
17 固定顎部
18 回動顎部
19 締結手段
20 通路
21 取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7