(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041167
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】プロトンポンプ機能促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240319BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240319BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240319BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20240319BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240319BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240319BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20240319BHJP
A23L 2/60 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00 ZNA
A61K36/232
A61P17/00
A61P17/16
A61P43/00 111
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L2/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145824
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
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4C088AB41
4C088AC11
4C088BA09
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4C088CA05
4C088CA06
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚のpHを調整し、皮膚のバリア機能を改善する植物由来成分を見出し、これを有効成分とする、作用点が明確であり、且つ、優れた皮膚pH調整剤及び皮膚バリア機能改善剤を提供する。
【解決手段】水からなる前処理剤で抽出したトウキの抽出残渣から、水(前処理剤より高い温度)、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤で抽出して得られたトウキの抽出物は、優れたプロトンポンプ機能促進作用、皮膚pH調整作用、皮膚バリア機能改善作用を有し、安定性にも優れていた。本発明の抽出物は、プロトンポンプ機能を促進する作用を介して、皮膚のpHを弱酸性に維持することによる皮膚のバリア機能の改善を目的とする化粧品、医薬品、医薬部外品及び食品への応用が期待される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水からなる前処理剤で抽出したトウキの抽出残渣から、水、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤で抽出し、前記抽出剤が水の場合は前記前処理剤より高い温度であることを特徴とするトウキの抽出物を含有するプロトンポンプ機能促進剤。
【請求項2】
抽出剤がエタノール濃度50%のエタノール水溶液であることを特徴とする請求項1記載の機能促進剤。
【請求項3】
プロトンポンプがナトリウム/水素イオン交換輸送体である請求項1~2いずれか記載の機能促進剤。
【請求項4】
請求項1記載の剤を含む、皮膚pH調整剤。
【請求項5】
請求項1記載の剤を含む、皮膚バリア機能改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚におけるプロトンポンプの機能を促進する皮膚pH調整剤及び皮膚バリア機能改善剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表皮の最も重要な機能の一つに、ケラチノサイトの分裂とその後の分化により、常に新しい角質細胞をつくり出すことで、外界の種々の刺激から皮膚を防御するバリア機能が挙げられる。様々な内的及び外的要因によるバリア機能の低下は、経表皮水分蒸散量を増加させ、かさつき、落屑、掻痒感、炎症等を引き起こす。これらは、更にバリア機能を低下させる。
【0003】
バリア機能の一つに皮膚の弱酸性化が挙げられ、これは透過障壁の恒常性や角質層の耐久性に働く(非特許文献1)。また、細胞外脂質二重膜の脂質間結合や(非特許文献2)、セラミド産生酵素であるβ-グルコセレブロシダーゼ(β-glucocerebrosidase)、酸性スフィンゴミエリナーゼ(acidic sphingomyelinase)の活性にも関与する(非特許文献3)。
【0004】
一方、皮膚のpH上昇は、バリア機能回復の遅延や角質層セリンプロテアーゼの活性化を引き起こす(非特許文献4及び5)。中性からアルカリ性に至適pHを有するセリンプロテアーゼは、角質細胞の剥離・脱落に関わるタンパク質分解酵素であり、コルネオデスモソームを分解して皮膚の剥離を誘発する。
【0005】
皮膚のpH低下、即ち、弱酸性化には、汗や皮脂に含まれる成分の影響が考えられていたが、近年、ケラチノサイトに存在するプロトンポンプが重要な役割を果たしており、プロトンポンプの一種であるナトリウム/水素イオン交換輸送体(Na+/H+ exchanger:NHE)の機能低下が皮膚のpH上昇につながることが明らかにされてきた(非特許文献6及び7)。
【0006】
皮膚のバリア機能を改善する手段としては、保湿性の高い物質、例えば、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等を含有した組成物を塗布することが主流であったが、これらは一時的に角質層表面に水分を補うものであることから、十分な効果を有するものではなかった。また、皮膚を弱酸性に保つために酸性化粧水が開発されているが、これらの効果は一時的であり、効果の持続性に問題があった。
【0007】
これまでに、皮膚pH調整剤として鎮痒外用剤(特許文献1)、皮膚バリア機能改善剤として皮膚バリア機能増強剤(特許文献2)等が知られているが、より安全で、効果の高い製剤が求められている。
【0008】
トウキ(学名:Angelica acutiloba)は、セリ科シシウド属に属する多年草である。これまでトウキの根部の抽出物が、浄血、鎮静、強壮効果があり、主に婦人薬として用いられていることが知られている(非特許文献8)。近年、トウキの研究が進められ、トウキの皮膚バリア機能増強剤についてはすでに公知であるが(特許文献2)、より効果の高いトウキの製造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】平2-164823
【特許文献2】特開2015-105269
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Schmid-Wendtner MH et al,Skin Pharmacol.Physiol.,19,296-302(2006)
【非特許文献2】Gibbs S et al,Arch.Dermatol.Res.,289,585-595(1997)
【非特許文献3】Hachem JP et al,J.Invest.Dermatol.,130,500-510(2010)
【非特許文献4】Mauro T et al,Arch.Dermatol.Res.,290,215-222(1998)
【非特許文献5】Hachem JP et al,J.Invest.Dermatol.,125,510-520(2005)
【非特許文献6】Behne MJ et al,J.Biol.Chem.,277,47399-47406(2002)
【非特許文献7】Choi EH et al,J.Invest.Dermatol.,127,2847-2856(2007)
【非特許文献8】薬用植物大辞典、廣川書店、236(1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決する課題は、皮膚のpHを調整し、皮膚のバリア機能を改善する植物由来成分を見出し、これを有効成分とする、作用点が明確であり、且つ、優れた皮膚pH調整剤及び皮膚バリア機能改善剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題の解決に向け鋭意検討を行った結果、水からなる前処理剤で抽出したトウキの抽出残渣から、水(前処理剤より高い温度)、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤で抽出して得られたトウキの抽出物に、優れたプロトンポンプ機能促進作用を有することを見出した。更に、本発明者らは、その抽出物を含有する組成物に、優れた皮膚pH調整効果及び皮膚バリア機能改善効果を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、水からなる前処理剤で抽出したトウキの抽出残渣から、水(前処理剤より高い温度)、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤で抽出して得られたトウキの抽出物を含有することを特徴とするプロトンポンプ機能促進剤、皮膚pH調整剤、皮膚バリア機能改善剤に関する。
【0014】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)水からなる前処理剤で抽出したトウキの抽出残渣から、水、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤で抽出し、前記抽出剤が水の場合は前記前処理剤より高い温度であることを特徴とするトウキの抽出物を含有するプロトンポンプ機能促進剤。
(2)抽出剤がエタノール濃度50%のエタノール水溶液であることを特徴とする(1)記載の機能促進剤。
(3)プロトンポンプがナトリウム/水素イオン交換輸送体である(1)~(2)いずれか記載の機能促進剤。
(4)(1)記載の剤を含む、皮膚pH調整剤。
(5)(1)記載の剤を含む、皮膚バリア機能改善剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトウキの抽出物は、プロトンポンプ機能促進効果に優れていた。この抽出物を含有することを特徴とするプロトンポンプ機能促進剤は、皮膚のpHを弱酸性に維持することにより、皮膚のバリア機能改善効果に優れていた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明におけるプロトンポンプは、哺乳類細胞の膜に存在し、細胞内の水素イオン(H+)を細胞外に能動輸送するタンパク質である。
【0017】
本発明におけるプロトンポンプ機能促進は、ケラチノサイトにおけるプロトンポンプ遺伝子の発現及びそのタンパク質合成の促進をいうが、それに続く細胞内から細胞外への水素イオン(H+)輸送の促進をも包含する。
【0018】
本発明におけるナトリウム/水素イオン交換輸送体は、細胞内の水素イオン(H+)と細胞外のナトリウムイオン(Na+)を1:1で交換輸送する交換輸送体タンパク質であり、細胞内のイオン濃度や浸透圧の調整に重要な役割を果たしている。
【0019】
本発明における皮膚pH調整は、皮膚表面のpHを4.0~6.5、好ましくは4.5~6.0の弱酸性に維持することをいう。
【0020】
本発明における皮膚バリア機能は、ケラチノサイトの分裂とその後の分化により常に新しい角質細胞をつくり出すことで、角質層の内側の水分蒸散を防いだり、外界の種々の刺激から皮膚を守ったりすることをいう。
【0021】
ケラチノサイトにおいて、プロトンポンプの一種であるNHEが正常に機能すると、細胞内にナトリウムイオン(Na+)が取り込まれると共に細胞外に水素イオン(H+)が輸送される。この細胞外に輸送された水素イオン(H+)が皮膚pHの弱酸性化に寄与する(非特許文献6及び7)。従って、本発明のトウキの抽出物は、プロトンポンプ機能を促進する作用を介して、皮膚のpHを弱酸性に維持することにより、皮膚のバリア機能改善に有用である。
【0022】
本発明に用いるトウキ(別名:ニホントウキ、ヤマトトウキ、オオブカトウキ、イワテトウキ、ミヤマトウキ、イブキトウキ)(学名:Angelica acutiloba)やホッカイトウキ(学名:Angelica acutiloba Kitagawa var.sugiyamae Hikino)はセリ科シシウド属に属する日本原産の多年草である。また、カラトウキ(学名:Angelica sinensis)は主に中国で栽培されている。本発明に用いるトウキは、好ましくはトウキ又はホッカイトウキが良く、最も好ましくはトウキが良い。
【0023】
本発明に用いるトウキは、花、果実、種子、葉、茎、根等の植物体の一部又は植物体全体(全草)、或いは、それらの混合物を用いることができるが、特に根が好ましい。また、植物体をそのまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。尚、Angelica acutiloba又はAngelica sinensisを基原植物として市販された生薬「当帰(トウキ)」又は「唐当帰(カラトウキ)」を用いることもできる。
【0024】
[前処理剤での抽出]
前処理剤としては、水を用いることが好ましい。また、上記前処理剤に酸やアルカリを添加して、pH調整した前処理剤を使用することもできる。前処理剤の使用量については、特に限定はなく、例えば、トウキ(乾燥重量)に対し、5倍以上であれば良い。好ましくは20倍以上が良く、特に好ましくは60倍以上が良い。前処理剤での抽出温度や抽出時間は抽出時の圧力等により適宜選択できるが、抽出温度は好ましくは40℃以下である液体の水が良く、より好ましくは2℃以上20℃以下が良く、最も好ましくは5℃以上10℃以下が良い。前処理剤での抽出に用いるトウキは根のままでも良く、粉砕、細切等の処理を行っても良い。粉砕や細切を行う場合には1~20mmが良く、2~15mmがより好ましく、3~10mmが最も好ましい。
【0025】
[抽出剤での抽出]
抽出剤としては、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)及び液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いる。好ましくは水又は含水エタノールが良く、エタノール濃度50%のエタノール水溶液がより好ましい。また、上記抽出剤に酸やアルカリを添加して、pH調整した抽出剤を使用することもできる。抽出剤の使用量については、特に限定はなく、例えば、トウキ(乾燥重量)に対し、5倍以上、好ましくは10倍以上であれば良いが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上100倍以下であることが好ましい。また、抽出温度や抽出時間は、用いる抽出剤の種類や抽出時の圧力等により適宜選択できる。但し、水を用いる場合は、前処理剤より高い温度であることが必要である。中でも、前処理剤より60℃以上高いことが好ましく、75℃以上高いことがより好ましく、90℃以上高いことが最も好ましい。
【0026】
尚、前処理剤での抽出残渣は、乾燥してから抽出剤で抽出しても良いし、乾燥せずにそのまま抽出剤で抽出しても良い。抽出剤による抽出方法は特に限定されず、例えば、撹拌抽出又はカラム抽出する方法等により行うことができる。本発明に用いるトウキは、天然由来の植物であり、トウキから抽出される成分は、多様な構造の化合物が多数同時に存在する混合物である。従って、含有する成分の構造又は特性を全て明らかにすることは困難であり、抽出物として扱うことが好ましい。
【0027】
上記抽出剤による抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良いが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理を行ってから用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0028】
また、上記抽出剤による抽出物は、抽出物の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていても良い。
【0029】
本発明は、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
【0030】
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。更に、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を超えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0031】
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人あたりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。更に、20mg~2gが最も好ましい。
【0032】
次に、本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例と処方例に示す%とは重量%を示す。
【実施例0033】
[トウキの抽出物の製造例]
本発明のトウキの抽出物を、製造例1~10の通り、製造した。従来のトウキの抽出物を、比較製造例1~3の通り、製造した。抽出材料にはトウキ(学名:Angelica acutiloba)の根部の粉砕品(大きさ1~15mm)を用いた。
【0034】
(製造例1)前処理を施したトウキの熱水抽出物1の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、5℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の水(抽出剤)を加え、95℃で2時間抽出した。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの熱水抽出物を0.2g得た。
【0035】
(製造例2)前処理を施したトウキの熱水抽出物2の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、20℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の水(抽出剤)を加え、95℃で2時間抽出した。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの熱水抽出物を0.2g得た。
【0036】
(製造例3)前処理を施したトウキの熱水抽出物3の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、40℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の水(抽出剤)を加え、95℃で2時間抽出した。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの熱水抽出物を0.1g得た。
【0037】
(比較製造例1)従来のトウキの熱水抽出物の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し10倍量の水を加え、95℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの熱水抽出物を2.8g得た。
【0038】
(製造例4)前処理を施したトウキの50%エタノール抽出物1の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、5℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の50%エタノール水溶液(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの50%エタノール抽出物を0.3g得た。
【0039】
(製造例5)前処理を施したトウキの50%エタノール抽出物2の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、20℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の50%エタノール水溶液(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの50%エタノール抽出物を0.2g得た。
【0040】
(製造例6)前処理を施したトウキの50%エタノール抽出物3の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、40℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量の50%エタノール水溶液(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの50%エタノール抽出物を0.2g得た。
【0041】
(比較製造例2)従来のトウキの50%エタノール抽出物の調製
トウキの根部の乾燥物10gに対し10倍量の50%エタノール水溶液に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキの50%エタノール抽出物を3.3g得た。
【0042】
(製造例7)前処理を施したトウキのエタノール抽出物1の調製
トウキの根部の乾燥物100gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、5℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量のエタノール(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキのエタノール抽出物を0.5g得た。
【0043】
(製造例8)前処理を施したトウキのエタノール抽出物2の調製
トウキの根部の乾燥物100gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、20℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量のエタノール(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキのエタノール抽出物を0.5g得た。
【0044】
(製造例9)前処理を施したトウキのエタノール抽出物3の調製
トウキの根部の乾燥物100gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、40℃で24時間抽出した(20時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量のエタノール(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキのエタノール抽出物を0.5g得た。
【0045】
(製造例10)前処理を施したトウキのエタノール抽出物4の調製
トウキの根部の乾燥物100gに対し60倍量の水(前処理剤)を加え、95℃で3時間抽出した(3時間以内で抽出液の固形分濃度上昇が停止し、これ以上抽出されなくなった)。得られた抽出液を濾過した後、その残渣を乾燥し、得られた乾燥残渣に対し10倍量のエタノール(抽出剤)に20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。抽出剤から得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキのエタノール抽出物を0.4g得た。
【0046】
(比較製造例3)従来のトウキのエタノール抽出物の調製
トウキの根部の乾燥物100gに対し10倍量のエタノールに20℃で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトウキのエタノール抽出物を1.7g得た。