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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041173
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エレベータのかごドア検出装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B66B13/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145832
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307AA02
3F307BA01
3F307EA21
3F307EA23
(57)【要約】
【課題】簡易な調整でかごドアの全開及び全閉を正確に検出できるエレベータのかごドア検出装置を提供する。
【解決手段】かごの出入り口の上方に配置される縦向きのフレーム2に設けられ、かごの出入り口の間口方向に沿って延びるドアレール6に、ドアハンガー9,10を介して吊り下げられるかごドア7,8を設け、かごドア7,8の全開及び全閉を検出する被検出体21及び被検出体21のうちの一方は、フレーム2の上端からかごの出入り口側へ延びる水平部2Bに設けられ、磁気式近接スイッチ20及び被検出体21のうちの他方は、ドアハンガー9,10から延びる延出部に、被検出体21及び磁気式近接スイッチ20のうちの一方に対して上下方向で対向して検出するように設けられた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの出入り口の上方に配置される縦向きのフレームと、
前記フレームに前記かごの出入り口の間口方向に沿って延びるように設けられるドアレールと、
前記ドアレールにドアハンガーを介して吊り下げられて開閉するかごドアと、
前記かごドアの全開及び全閉を検出すべく、被検出体及び当該被検出体を検出する磁気式近接スイッチと、を備え、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方は、前記フレームの上端から前記かごの出入り口側へ延びる水平部に設けられ、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの他方は、前記ドアハンガーから上方へ延びる延出部に、前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方に対して上下方向で対向して検出可能となるように設けられたことを特徴とするエレベータのかごドア検出装置。
【請求項2】
前記フレームの間口方向一端部にモータが取り付けられ、前記フレームの間口方向他端部に前記モータとの間で無端状体を巻回するための回転体が取り付けられ、前記延出部が、前記ドアハンガーと前記無端状体とを連結する連結部材であり、前記連結部材に前記被検出体が設けられ、前記水平部に前記磁気式近接スイッチが設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかごドア検出装置。
【請求項3】
前記フレームにおける前記かごドアの全閉側の端部に、該かごドアの全閉時に前記連結部材に設けられた当接部に当接する全閉ストッパが備えられ、前記全閉ストッパの近傍位置で前記かごドアの全閉を検出するように前記磁気式近接スイッチ及び前記被検出体が配置されたことを特徴とする請求項2に記載のエレベータのかごドア検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごドアの全開及び全閉を検出するエレベータのかごドア検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記エレベータでは、例えばかごの出入り口の上方に配置される縦向きのフレームの上端に備えているモータを駆動源として、かごドアを開閉する。また、乗り場ドアは、かごドアと係合しており、かごドアの開閉に連動して開閉される。前記フレームは、それの上端部がかごの奥行方向奥側へ折り曲げられて構成された水平板部を備えている。その水平板部にモータが載置されて、固定される(例えば、特許文献1の図2参照)。
【0003】
ところで、かごドアの開閉制御を行う際には、かごドアの全開及び全閉を検出する必要がある。一つの手段としては、モータの軸に設けられるエンコーダからのパルス数に基づいて、かごドアの全開及び全閉を検出する手段が提案されている(例えば、特許文献2の図2参照)。
【0004】
前記エンコーダによる全開及び全閉の検出は、エンコーダの分解能、つまりエンコーダの性能に依存するため、エンコーダによっては正確な検出ができないことがある。
【0005】
また、別の手段としては、フレームの出入口側表面に設けられた磁気式近接スイッチが、かごドアの全開時及び全閉時に磁気式近接スイッチに対向するようにドアハンガーに設けられた検出プレートを検出することにより、かごドアの全開及び全閉を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-94573号公報
【特許文献2】特開平10-67480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記磁気式近接スイッチは、一般的に光電式に比べて検出距離が短いため、近接スイッチと検出プレートとの奥行方向における位置関係の調整と上下方向における位置関係の調整とを精度よく行う必要があり、工場での組み立てや現場での据え付け調整に手間がかかる煩わしいものであり、改善の余地があった。
【0008】
そこで本発明は、簡易な調整でかごドアの全開及び全閉を正確に検出できるエレベータのかごドア検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベータのかごドア検出装置は、かごの出入り口の上方に配置される縦向きのフレームと、前記フレームに前記かごの出入り口の間口方向に沿って延びるように設けられるドアレールと、前記ドアレールにドアハンガーを介して吊り下げられて開閉するかごドアと、前記かごドアの全開及び全閉を検出すべく、被検出体及び当該被検出体を検出する磁気式近接スイッチと、を備え、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方は、前記フレームの上端から前記かごの出入り口側へ延びる水平部に設けられ、前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの他方は、前記ドアハンガーから上方へ延びる延出部に、前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方に対して上下方向で対向して検出可能となるように設けられたことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、縦向きのフレームの上端からかごの出入り口側へ延びる水平部に、磁気式近接スイッチ及び被検出体のうちの一方を設け、磁気式近接スイッチ及び被検出体のうちの他方を、ドアハンガーから上方へ延びる延出部に設けることによって、磁気式近接スイッチと被検出体とを上下方向で対向するように配置することができる。これにより、磁気式近接スイッチ及び被検出体のかごの奥行方向における調整を不要にできる。また、フレームの上端の水平部とドアレールとの上下方向の距離が精度よく設定されている。そのため、フレームの上端の水平部に、磁気式近接スイッチ又は被検出体を設けるとともに、ドアハンガーから上方へ延びる延出部に、被検出体又は磁気式近接スイッチを設けるだけで、磁気式近接スイッチと被検出体との上下方向の位置関係を所望通りに略設定できる。これにより、磁気式近接スイッチと被検出体との上下方向の位置調整を行う必要がほとんどなく、例え位置調整を行うとしても、微調整程度で済むため、調整時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明のエレベータのかごドア検出装置は、前記フレームの間口方向一端部にモータが取り付けられ、前記フレームの間口方向他端部に前記モータとの間で無端状体を巻回するための回転体が取り付けられ、前記延出部が、前記ドアハンガーと前記無端状体とを連結する連結部材であり、前記連結部材に前記被検出体が設けられ、前記水平部に前記磁気式近接スイッチが設けられていてもよい。
【0012】
上記のように、ドアハンガーと無端状体とを連結する連結部材に被検出体を設けることによって、被検出体を取り付けるための特別な部材を不要にすることができる。また、磁気式近接スイッチを固定側の水平部に設けることによって、磁気式近接スイッチに対する配線がし易くなる。
【0013】
また、本発明のエレベータのかごドア検出装置は、前記フレームにおける前記かごドアの全閉側の端部に、該かごドアの全閉時に前記連結部材に設けられた当接部に当接する全閉ストッパが備えられ、前記全閉ストッパの近傍位置で前記かごドアの全閉を検出するように前記磁気式近接スイッチ及び前記被検出体が配置されていてもよい。
【0014】
上記のように、全閉ストッパの近傍位置でかごドアの全閉を検出するように磁気式近接スイッチ及び被検出体を配置することによって、かごドアの全閉を目視にて確認しながら、磁気式近接スイッチ及び被検出体の間口方向の位置調整を行うことができるので、磁気式近接スイッチ及び被検出体の間口方向の位置調整を精度よく迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、縦向きのフレームの上端からかごの出入り口側へ延びる水平部に、磁気式近接スイッチ及び被検出体のうちの一方を設け、磁気式近接スイッチ及び被検出体のうちの他方を、ドアハンガーから上方へ延びる延出部に設けることによって、簡易な調整で正確にかごドアの全開及び全閉を検出できるエレベータのかごドア検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るエレベータのかごドア検出装置を備えたかごドア駆動装置の概略正面図である。
図2図1において、磁気式近接スイッチと検出プレートを右側から見た側面図である。
図3図1の要部の拡大図である。
図4】検出プレートを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図5図4の検出プレートが取り付けられる連結部材を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るエレベータのかごドア検出装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
エレベータのかごドア検出装置を備えたかごドア駆動装置を図1に示している。図1は、乗り場側から見た図である。図1において、かごKの出入り口1の間口方向(以下において左右方向という)に沿って延びる縦向きで板状のフレーム(サポートフレームとも言う)2は、かごKの出入り口1の上方でかご側に固定されている。フレーム2は、かごKの出入り口1の上方のかごの壁部(図示せず)に対向する垂直部2Aと、この垂直部2Aの上端部から折り曲げられて乗場側(図1の手前側)へ水平に延びる水平部2Bと、を有している。
【0019】
フレーム2の水平部2BにおけるかごKの出入り口1の左右方向一端部(右側端部)には、かごドア7,8の開閉操作用のモータ3が固定されている。モータ3の駆動軸3Aには、一体回転する歯付き駆動プーリ3Rが取り付けられている。また、フレーム2の水平部2BにおけるかごKの出入り口1の間口方向他端部(左側端部)には、モータ3の駆動軸3Aと略同一高さ位置に回転軸を有する回転体としての歯付き従動プーリ4が設けられている。歯付き駆動プーリ3Rと歯付き従動プーリ4には、それらの外周面に形成の歯に係合する歯が内周面に形成された歯付きベルト(ロープ、あるいはチェーン等でもよい)からなる無端状体5が巻回されている。
【0020】
フレーム2の垂直部2Aの下端部の前面には、かごKの出入り口1の左右方向に沿って延びるドアレール6が取り付けられている。ドアレール6には、第1のかごドア7及び第2のかごドア8がそれぞれドアハンガー9,10を介して吊り下げられている。ドアハンガー9,10のそれぞれには、ドアレール6に沿って転動する左右一対のローラ11,11、12,12が設けられている。第1のかごドア7及び第2のかごドア8のそれぞれは、縦長の略長方形状に構成されている。
【0021】
また、第1のかごドア7及び第2のかごドア8それぞれの上端には、第1のかごドア7及び第2のかごドア8を吊り下げるためのドアハンガー9,10が取り付けられている。一方(図1の左側)のドアハンガー9は、第1連結部材13を介して無端状体5の下側部分に連結され、他方のドアハンガー10は、第2連結部材14を介して無端状体5の上側部分に連結されている。
【0022】
従って、モータ3を一方向に駆動回転させて無端状体5が一方に回動することにより、全閉(閉じ位置)の第1のかごドア7及び第2のかごドア8を互いに離間させて全開(開放位置)へ移動させることができる。また、モータ3を他方向に駆動回転させて無端状体5が他方に回動することにより、全開の第1のかごドア7及び第2のかごドア8を互いに接近させて全閉(図1参照)へ移動させることができる。
【0023】
第1連結部材13は、金属製で構成され、図3及び図5(a),(b),(c)に示すように、縦長で板状の下部13Aと、縦長で上端部がかごKの奥行方向(紙面を貫通する方向)に折り曲げられて水平部13Bが形成され、下部13Aよりも左右方向の幅が大きな上側部13Cと、上側部13Cと下部13Aとを連結し、上端側ほど左右幅が大きくなる連結部13Dと、を備えている。
【0024】
下部13Aには、上下一対のボルト貫通孔13a,13bが形成され、上側部13Cの下端部には、左右一対のボルト貫通孔13c,13dが形成されている。上側部13Cの下端部の左右一対のボルト貫通孔13c,13dのうちの右側のボルト貫通孔13dは、左側のボルト貫通孔13cよりも上方に位置している。そして、これら4個のボルト貫通孔13a,13b,13c,13dに貫通する4個のボルトB1,B2により第1連結部材13を左側のドアハンガー9に固定している(図3参照)。
【0025】
上側部13Cの上端部には、かごドア7,8の全閉時にフレーム2に取り付けられた全閉ストッパ19に当接する当接部15がブラケット17を介して取り付けられている。当接部15は、ブラケット17に備えたナット18に螺合するボルト16の頭部(図示せず)の周囲を覆うように設けられた弾性を有するゴムから構成されている。前記ボルト16を回転させてナット18に対して軸方向に移動させることにより、全閉ストッパ19に当接部15が当接するタイミングを調整することで、かごドア7,8の全閉(閉じ位置)を調整できる。
【0026】
全閉ストッパ19は、図3に示すように、フレーム2にボルト止めされる水平部19Aと、水平部19Aのボルト側端(左端)から折り曲げられてフレーム2の水平部2Bよりも上方に延びて当接部15が当接する垂直部19Bと、を備えるブラケットから構成されている。
【0027】
また、図5(a)に示すように、上側部13Cの上下方向中間部には、後述する第1検出プレート21をボルト止めするための左右一対の取付孔13e,13fが形成されている。これら取付孔13e,13fは、上下方向に長い長孔に構成されており、後述する第1検出プレート21の上下方向の位置の調整が必要であれば、長孔内で微調整することができる。
【0028】
全閉ストッパ19の近傍位置でかごドア7,8の全閉を検出するように全閉検出用の磁気式近接スイッチ20及び被検出体としての金属製の第1検出プレート21を配置している。具体的には、図2及び図3に示すように、フレーム2の水平部2Bのボルト16に対応する部分の下面に、磁界を発生する検出面20Aが下方を向いた状態で全閉検出用の磁気式近接スイッチ20がビス止めされ、上側部13Cの上下中間部に、第1検出プレート21を押し当てた状態で第1検出プレート21を貫通した左右一対のボルトB3,B3を後述する固定部材22にねじ込むことにより第1検出プレート21を第1連結部材13に固定できるようにしている。第1連結部材13は、ドアハンガー9から上方へ延びる延出部を構成する。
【0029】
前記のように、全閉ストッパ19の近傍位置、この実施形態では全閉ストッパ19よりも左側に少し寄った位置に、かごドア7,8の全閉を検出するように全閉検出用の磁気式近接スイッチ20及び被検出体(第1検出プレート21)を配置することによって、かごドア7,8の全閉を目視にて確認しながら、磁気式近接スイッチ20及び被検出体(第1検出プレート21)の間口方向の位置調整を行うことができるので、磁気式近接スイッチ20及び被検出体(第1検出プレート21)の間口方向の位置調整を精度よく迅速に行うことができる。
【0030】
第1検出プレート21は、図3及び図4(a),(b)に示すように、第1連結部材13を貫通して第1連結部材13の裏面に配置される略長方形状で板状の固定部材22にボルト止めされる略長方形で板状の本体部21Aと、本体部21Aの戸閉方向端部(右側端部)の上端から奥行方向の奥側へ延びる水平部21Bと、を備えている。本体部21Aには、ボルトB3,B3を挿通する左右一対の貫通孔21a,21bが形成されている。これら貫通孔21a,21bは、左右方向に長い長孔に構成されており、第1連結部材13に対して第1検出プレート21の左右方向の位置を長孔内で調整することができる。かごドア7,8が全閉側へ移動して、第1検出プレート21の水平部21Bが全閉検出用の磁気式近接スイッチ20の検出面20Aの下方に位置すると、例えば磁気式近接スイッチ20が備える検出コイル(図示せず)から発生する磁気が水平部21Bで遮蔽される。この磁気の遮蔽を検出することによって、第1検出プレート21が磁気式近接スイッチ20に対して上下方向で対向位置したことを検出する。つまり、かごドア7,8の全閉を検出する。
【0031】
第2連結部材14は、金属製で構成され、図3に示すように、縦長で板状の下部14Aと、縦長で上端部がかごKの奥行方向に折り曲げられて水平部14Bが形成され、下部14Aよりも左右方向の幅が大きな上端部14Cと、上端部14Cと下部14Aとを連結し、上端側ほど左右幅が大きくなる連結部14Dと、を備えている。連結部14Dは、下部14Aの右側上端が上方に向かうほど右側に突出して左右幅が広くなり、左端の上端と右端の上端からそれぞれ左斜め上方に延びて上端部14Cに連結される。
【0032】
下部14Aには、第1連結部材13と同様に、上下一対のボルト貫通孔が形成されるとともに、連結部14Dの上下方向中間部にも、左右一対のボルト貫通孔が形成されている。連結部14Dの右側のボルト貫通孔は、左側のボルト貫通孔よりも下方に位置している。そして、これら4個のボルト貫通孔に貫通するボルトB4,B4,B5,B5により第2連結部材14をドアハンガー10に固定している。連結部14Dの上端部には、後述する第2検出プレート24をボルト止めするための左右一対の取付孔14e,14fが形成されている。これら取付孔14e,14fは、上下方向に長い長孔に構成されており、後述する第2検出プレート24の上下方向の位置の調整が必要であれば、長孔内で微調整することができる。
【0033】
また、かごドア7,8の全開を検出するように全開検出用の磁気式近接スイッチ23及び被検出体としての金属製の第2検出プレート24を配置している。具体的には、図1に示すように、フレーム2の水平部2Bの第2のかごドア8の右端に対応する部分の下面に、磁界を発生する検出面23Aが下方を向いた状態で全開検出用の磁気式近接スイッチ23がビス止めされ、第2連結部材14の連結部14Dの上端部に、第2検出プレート24を押し当てた状態で第2検出プレート24を貫通した左右一対のボルトB6,B6を後述する固定部材25(図3参照)にねじ込むことにより第2検出プレート24を第2連結部材14に固定できるようにしている。第2連結部材14は、ドアハンガー10から上方へ延びる延出部を構成する。
【0034】
第2検出プレート24は、図3に示すように、第2連結部材14を貫通して第2連結部材14の裏面に配置される略長方形状で板状の固定部材25にボルト止めされる略長方形で板状の本体部24Aと、本体部24Aの戸開き方向端部の上端から奥行方向奥側へ延びる水平部24Bと、を備えている。本体部24Aには、ボルトB6,B6を挿通する左右一対の貫通孔24a,24bが形成されている。第2検出プレート24は、本体部24Aの左右方向の長さが第1検出プレート21の本体部21Aの左右方向の長さよりも長い以外は、第1検出プレート21と同一である。これら貫通孔24a,24bは、左右方向に長い長孔に構成されており、第2連結部材14に対して第2検出プレート24の左右方向の位置を長孔内で調整することができる。かごドア7,8が全開へ移動して、第2検出プレート24の水平部24Bが全開検出用の磁気式近接スイッチ23の下方に位置すると、例えば磁気式近接スイッチ23が備える検出コイル(図示せず)から発生する磁気が水平部24Bで遮蔽される。この磁気の遮蔽を検出することによって、第2検出プレート24が磁気式近接スイッチ23に対して上下方向で対向位置したことを検出する。つまり、かごドア7,8の全開を検出する。
【0035】
本発明では、フレーム2の上端からかごの出入り口1側(かごの奥行方向手前側)へ延びる水平部2Bに、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20及び全開検出用の磁気式近接スイッチ23を設け、被検出体である第1検出プレート21及び第2検出プレート24を、ドアハンガー9,10から延びる延出部である連結部材13,14に設けることによって、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20及び全開検出用の磁気式近接スイッチ23と第1検出プレート21及び第2検出プレート24とを上下方向で対向するように配置することができる。これにより、磁気式近接スイッチ20,23及び検出プレート21,24のかごの奥行方向における調整を不要にできる。また、フレーム2の上端の水平部2Bとドアレール6との上下方向の距離が精度よく設定されている。そのため、フレーム2の上端の水平部2Bに、磁気式近接スイッチ20,23又は検出プレート21,24を設けるとともに、ドアハンガーから上方へ延びる連結部材13,14に、検出プレート21,24又は磁気式近接スイッチ20,23を設けるだけで、磁気式近接スイッチ20,23と検出プレート21,24との上下方向の位置関係を所望通りに略設定できる。これにより、磁気式近接スイッチ20,23と検出プレート21,24との上下方向の位置調整を行う必要がほとんどなく、例え位置調整を行うとしても、上下方向の長孔(図3に示す取付孔13e,13f又は14e,14f)内での微調整程度で済むため、調整時間を短縮することができる。
【0036】
また、ドアハンガー9,10と無端状体5とを連結する既存の第1連結部材13及び第2連結部材14に検出プレート21,24を設けることによって、検出プレート21,24を取り付けるための特別な部材を不要にすることができる。また、磁気式近接スイッチ20,23を固定側の水平部2Bに設けることによって、磁気式近接スイッチ20,23に対する配線がし易くなる。また、フレーム2の上端の水平部2Bに、検出面20A,23Aが下方を向いた状態で磁気式近接スイッチ20,23を配置することによって、検出面20A,23Aの真上又は斜め上から落下してくる塵や水に対して、防塵性及び防水性が高い磁気式近接スイッチ20,23を構成することができる。
【0037】
また、ドアハンガー9,10のそれぞれには、ドアレール6の下面に当接又は近接(接近)してかごドア7,8の開閉時の不測の跳ね上がりを防止するためのローラ26、27を備えている。ローラ26,27は、金属材料又は弾性材料で構成されている。かごドア7側のローラ26は、ドアハンガー9の右端部に配置し、かごドア8側のローラ27は、ドアハンガー10の左端部に配置している。この実施形態では、ドアレール6の下面に近接(接近)してローラ26、27を配置しており、この場合には、ドアレール6の下面とローラ26、27の外周面との距離は、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20の検出面20Aと第1検出プレート21の上面との距離(全開検出用の磁気式近接スイッチ23の検出面23Aと第2検出プレート24の上面との距離も同一距離に設定されている)よりも短く(小さく)設定されている。尚、ローラ26,27が弾性材料で構成されている場合には、ローラ26,27が弾性変形する変形量も考慮した上でドアレール6の下面とローラ26、27の外周面との距離を設定することになる。これによって、かごドア7,8の開閉時の不測の跳ね上がりが発生した場合に、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20の検出面20A(又は全開検出用の磁気式近接スイッチ23の検出面23A)と第1検出プレート21の上面(又は第2検出プレート24の上面)とが当接して、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20又は全開検出用の磁気式近接スイッチ23が損傷してしまうことを防止している。特に、かごドア7,8の全閉の直前時、つまり全閉検出用の磁気式近接スイッチ20と第1検出プレート21とが対向してかごドア7,8の全閉を検出する直前にローラ26が全閉検出用の磁気式近接スイッチ20の近傍に位置するようにローラ26を配置している。これにより、かごドア7,8の開閉時の不測の跳ね上がりが発生した場合に、全閉検出用の磁気式近接スイッチ20の損傷を確実に防止することができる。
【0038】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0039】
前記実施形態では、被検出体として金属製の検出プレートから構成したが、永久磁石(マグネット)であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、かごドア7,8が異なる方向に移動して出入り口を開閉する両開き式のドアであったが、同一方向に移動して出入り口を開閉する片開き式のドアであってもよい。また、かごドアの枚数は、自由に変更できる。
【0041】
また、前記実施形態では、磁気式近接スイッチ20,23をフレーム2の水平部2Bの下面に取り付けたが、フレーム2の水平部2Bに磁気式近接スイッチ20,23の検出面20A,23Aが下方へ露出するための貫通孔を形成し、その貫通孔に検出面20A,23Aを上方から臨ませた状態で磁気式近接スイッチ20,23をフレーム2の水平部2Bの上面に取り付けてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、磁気式近接スイッチ20,23をフレーム2に設け、被検出体を連結部材13,14に設けたが、磁気式近接スイッチ20,23を連結部材13,14に設け、被検出体をフレーム2に設けてもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、ドアハンガー9,10から上方へ延びる延出部を連結部材13,14としたが、連結部材13,14とは異なる専用の部材としてもよいし、ドアハンガー9,10から上方へ延びる延出部をドアハンガー9,10に一体形成したものであってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、ローラ26、27を、左右方向同一側のローラ11、12の真下の位置ではなく、ローラ11、12に対して左右方向内側にずらした位置に配置したが、ローラ11、12の真下の位置に配置してもよい。また、ローラ26、27は、ローラ11,11、12,12と同様に左右一対ずつ設けて実施してもよい。この場合、ローラ26,27の他に加えるローラを、金属材料で構成されるアップスラストローラとしてもよい。アップスラストローラは、ドアレール6の下面に当接又は近接(接近)して設けることになる。尚、ドアレール6の下面に近接(接近)してアップスラストローラを設ける場合には、それの外周面とドアレール6の下面との距離を、前記ローラ26,27の外周面とドアレール6の下面との距離よりも長く(大きく)設定する。
【0045】
また、前記実施形態では、フレーム2の上端部を折り曲げることで水平部2Bを構成したが、別体形成された水平板材をフレームの上端に溶接やボルト止めすることにより水平部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…出入り口、2…フレーム、2A…垂直部、2B…水平部、3…モータ、3A…駆動軸、3R…歯付き駆動プーリ、4…歯付き従動プーリ、5…無端状体、6…ドアレール、7…第1のかごドア、8…第2のかごドア、9,10…ドアハンガー、11,12…ローラ、13…第1連結部材、13A…下部、13B…水平部、13C…上側部、13D…連結部、13a,13b,13c,13d…ボルト貫通孔、13e,13f,14e,14f…取付孔、14…第2連結部材、14A…下部、14B…水平部、14C…上端部、14D…連結部、15…当接部、16…ボルト、17…ブラケット、18…ナット、19…全閉ストッパ(ブラケット)、19A…水平部、19B…垂直部、20,23…磁気式近接スイッチ、20A,23A…検出面、21,24…検出プレート(被検出体)、21A,24A…本体部、21B,24B…水平部、21a,21b,24a,24b…貫通孔、22,25…固定部材、26,27…アップスラストローラ、B1,B2,B3,B4,B5,B6…ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの出入り口の上方に配置される縦向きのフレームと、
前記フレームに前記かごの出入り口の間口方向に沿って延びるように設けられるドアレールと、
前記ドアレールにドアハンガーを介して吊り下げられて開閉するかごドアと、
前記かごドアの全開及び全閉を検出すべく、被検出体及び当該被検出体を検出する磁気式近接スイッチと、を備え、
前記フレームは、前記かごの出入り口の上方のかごの壁部に対向する垂直部と、当該垂直部の上端部から乗り場側へ水平に延びる水平部と、を備え、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方は、前記水平部に設けられ、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの他方は、前記ドアハンガーから上方へ延びる延出部に、前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方に対して上下方向で対向して検出可能となるように設けられたことを特徴とするエレベータのかごドア検出装置。
【請求項2】
前記フレームの間口方向一端部にモータが取り付けられ、前記フレームの間口方向他端部に前記モータとの間で無端状体を巻回するための回転体が取り付けられ、前記延出部が、前記ドアハンガーと前記無端状体とを連結する連結部材であり、前記連結部材に前記被検出体が設けられ、前記水平部に前記磁気式近接スイッチが設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかごドア検出装置。
【請求項3】
前記フレームにおける前記かごドアの全閉側の端部に、該かごドアの全閉時に前記連結部材に設けられた当接部に当接する全閉ストッパが備えられ、前記全閉ストッパの近傍位置で前記かごドアの全閉を検出するように前記磁気式近接スイッチ及び前記被検出体が配置されたことを特徴とする請求項2に記載のエレベータのかごドア検出装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの出入り口の上方に配置されるフレームと、
前記フレームに前記かごの出入り口の間口方向に沿って延びるように設けられるドアレールと、
前記ドアレールにドアハンガーを介して吊り下げられて開閉するかごドアと、
前記かごドアの全開及び全閉を検出すべく、被検出体及び当該被検出体を検出する磁気式近接スイッチと、を備え、
前記フレームは、前記かごの出入り口の上方のかごの壁部に対向する垂直部と、当該垂直部の上端部から乗り場側へ水平に延びる水平部と、を備え、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方は、前記水平部に設けられ、
前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの他方は、前記ドアハンガーから上方へ延びる延出部に、前記被検出体及び前記磁気式近接スイッチのうちの一方に対して上下方向で対向して検出可能となるように設けられたことを特徴とするエレベータのかごドア検出装置。
【請求項2】
前記フレームの間口方向一端部にモータが取り付けられ、前記フレームの間口方向他端部に前記モータとの間で無端状体を巻回するための回転体が取り付けられ、前記延出部が、前記ドアハンガーと前記無端状体とを連結する連結部材であり、前記連結部材に前記被検出体が設けられ、前記水平部に前記磁気式近接スイッチが設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかごドア検出装置。
【請求項3】
前記フレームにおける前記かごドアの全閉側の端部に、該かごドアの全閉時に前記連結部材に設けられた当接部に当接する全閉ストッパが備えられ、前記全閉ストッパの近傍位置で前記かごドアの全閉を検出するように前記磁気式近接スイッチ及び前記被検出体が配置されたことを特徴とする請求項2に記載のエレベータのかごドア検出装置。