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特開2024-41175操作支援システム、操作支援方法、プログラム、情報処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041175
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】操作支援システム、操作支援方法、プログラム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240319BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145835
(22)【出願日】2022-09-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年度東北電力グループ研究開発報告会 開催日 令和3年9月16日 〔刊行物等〕 電気新聞 発行日 令和3年9月29日 〔刊行物等〕 東北電力ネットワーク株式会社のウェブサイト https://nw.tohoku-epco.co.jp/information/1222733_2390.html 掲載日 令和3年12月20日
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡 雅明
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】▲裴▼ 秉哲
(72)【発明者】
【氏名】澤根 慧
(72)【発明者】
【氏名】早坂 保
(72)【発明者】
【氏名】柳 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】操作対象物について現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保する。
【解決手段】本発明の操作支援システムでは、操作者によって操作が行われるときに、操作手順データに基づいて、当該操作に対応する操作対象物、操作箇所、操作内容を音声合成して、操作者が携帯する端末装置から音声出力させる。操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応するARマーカが含まれていれば、ARマーカからARマーカ識別情報を読み取る。読み取られたARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、端末装置において撮影画像を表示するときに、当該操作箇所にAR表示を重畳表示させる。入力音声から文字を認識して判定文言が含まれているか否かを判定する。音声認識部によって判定文言が含まれていると判定された場合に、次の操作手順に関する音声合成、音声出力を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象場所に設置され操作箇所ごとに対応するARマーカが取り付けられている操作対象物に対する操作手順データとして、操作手順ごとに、操作箇所、操作内容、ARマーカ識別情報、判定文言を記憶する操作手順データ記憶部と、
操作者によって操作が行われるときに、前記操作手順データに基づいて、当該操作に対応する前記操作対象物、前記操作箇所、前記操作内容を音声合成して、前記操作者が携帯する端末装置から音声出力させる音声合成部と、
前記操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応する前記ARマーカが含まれていれば、前記ARマーカからARマーカ識別情報を読み取るARマーカ認識部と、
読み取られた前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させるAR合成部と、
音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記判定文言が含まれているか否かを判定する音声認識部と、を備え、
前記音声認識部によって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記音声合成部は、次の前記操作手順に関する音声合成、音声出力を行う、操作支援システム。
【請求項2】
前記操作対象場所は、電気所であり、
前記操作対象物は、電力機器または制御盤である、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項3】
前記操作箇所ごとに、前記ARマーカ識別情報、ARマーカ表示位置座標、操作の種類に対応したAR表示を含む操作箇所情報を記憶する操作箇所情報記憶部を、さらに備え、
前記AR合成部は、前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させる場合に、前記操作箇所情報を参照して、前記撮影画像における前記ARマーカ表示位置座標に前記AR表示を重畳表示させる、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項4】
前記AR合成部は、前記撮影画像における当該操作に対応する前記操作箇所以外の操作箇所に、操作禁止マークをAR表示させる、請求項3に記載の操作支援システム。
【請求項5】
前記操作対象場所以外の場所で前記操作者以外の者によって用いられ、前記端末装置における音声出力と画像表示が共有可能であるとともに、前記端末装置と双方向の音声通信が可能である情報処理装置を、さらに備える、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項6】
前記音声認識部によって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記撮影画像における当該操作箇所の画像と、予め作成された操作結果確認用の学習モデルと、に基づいて、当該操作が正しく完了したか否かを判定する画像認識部を、さらに備える、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項7】
前記端末装置は、メガネ形状のウェアラブルデバイスであるスマートグラスである、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項8】
密集している複数の前記操作箇所に対応して、1つの前記ARマーカが前記操作対象物に取り付けられている、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項9】
前記音声認識部は、音声合成内容の再出力を要求する文言の判定用の第2判定文言を記憶しており、前記音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記第2判定文言が含まれていると判定した場合に、
前記音声合成部は、直近の音声合成内容を前記端末装置から再び音声出力させる、請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項10】
操作対象場所に設置され操作箇所ごとに対応するARマーカが取り付けられている操作対象物に対する操作手順データとして、操作手順ごとに、操作箇所、操作内容、ARマーカ識別情報、判定文言を記憶する操作手順データ記憶部を備える操作支援システムによる操作支援方法であって、
音声合成部が、操作者によって操作が行われるときに、前記操作手順データに基づいて、当該操作に対応する前記操作対象物、前記操作箇所、前記操作内容を音声合成して、前記操作者が携帯する端末装置から音声出力させる音声合成ステップと、
ARマーカ認識部が、前記操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応する前記ARマーカが含まれていれば、前記ARマーカからARマーカ識別情報を読み取るARマーカ認識ステップと、
AR合成部が、読み取られた前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させるAR合成ステップと、
音声認識部が、音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記判定文言が含まれているか否かを判定する音声認識ステップと、を含み、
前記音声認識ステップによって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記音声合成部は、次の音声合成ステップで、次の前記操作手順に関する音声合成、音声出力を行う、操作支援方法。
【請求項11】
操作対象場所に設置され操作箇所ごとに対応するARマーカが取り付けられている操作対象物に対する操作手順データとして、操作手順ごとに、操作箇所、操作内容、ARマーカ識別情報、判定文言を記憶する操作手順データ記憶部を備えるコンピュータを、
操作者によって操作が行われるときに、前記操作手順データに基づいて、当該操作に対応する前記操作対象物、前記操作箇所、前記操作内容を音声合成して、前記操作者が携帯する端末装置から音声出力させる音声合成部と、
前記操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応する前記ARマーカが含まれていれば、前記ARマーカからARマーカ識別情報を読み取るARマーカ認識部と、
読み取られた前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させるAR合成部と、
音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記判定文言が含まれているか否かを判定する音声認識部と、して機能させるためのプログラムであって、
前記音声認識部によって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記音声合成部は、次の前記操作手順に関する音声合成、音声出力を行う、プログラム。
【請求項12】
操作支援システムに含まれる情報処理装置であって、
前記操作支援システムは、
操作対象場所に設置され操作箇所ごとに対応するARマーカが取り付けられている操作対象物に対する操作手順データとして、操作手順ごとに、操作箇所、操作内容、ARマーカ識別情報、判定文言を記憶する操作手順データ記憶部と、
操作者によって操作が行われるときに、前記操作手順データに基づいて、当該操作に対応する前記操作対象物、前記操作箇所、前記操作内容を音声合成して、前記操作者が携帯する端末装置から音声出力させる音声合成部と、
前記操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応する前記ARマーカが含まれていれば、前記ARマーカからARマーカ識別情報を読み取るARマーカ認識部と、
読み取られた前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させるAR合成部と、
音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記判定文言が含まれているか否かを判定する音声認識部と、を備え、
前記音声認識部によって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記音声合成部は、次の前記操作手順に関する音声合成、音声出力を行い、
前記情報処理装置は、
前記操作対象場所以外の場所で前記操作者以外の者によって用いられ、前記端末装置における音声出力と画像表示が共有可能であるとともに、前記端末装置と双方向の音声通信が可能である、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作支援システム、操作支援方法、プログラム、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気所(変電所等)において電力機器や制御盤などに関する点検・取替等の工事を行う場合、対象設備を電力系統から切り離して安全に作業を実施するために、関係する電力機器を停止する必要がある。この停止操作方法としては、遠隔にある制御所から遠方操作して停止する方法と、現場に設置された制御盤等に備えてあるスイッチ類を直接操作して停止する方法がある。また、作業時の不要なトリップ(遮断器などの誤操作による電力供給停止)等を防ぐために、現場では制御盤等に対してロック操作を行う。これらの停止操作やロック操作を行った上で、対象設備に対する作業を開始する。
【0003】
現場で実施する停止操作やロック操作については、多数の操作箇所を、あらかじめ決めた手順に沿って誤認なく確実に操作するために、通常は二人体制で操作を実施する。一人は責任者であり、当該手順と注意事項の読み上げや、操作箇所の相互確認、操作結果の承認などを担当する。また、もう1人は操作者であり、責任者が読み上げた手順と注意事項に沿った操作箇所の確認、操作実施、操作後の指差呼称などを担当する。
【0004】
しかし、現場業務のコストダウンに向けて、二人体制と同等の確実性を担保しつつ、現場では一人で操作を実施することが求められている。例えば、従来技術として、RFID(Radio Frequency Identification)タグやバーコードなどを用いて操作対象機器の誤認を防止しつつ、操作後の機器の状態を関連付け、電子的に管理する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4057580号公報
【特許文献2】特開2017-41193号公報
【特許文献3】特開2019-219917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、各操作盤に多数ある個々の操作箇所とその操作方向を具体的に示すものではないため、誤操作を行う可能性がある。また、映像や音声による支援がなく、二人体制で責任者が担っていた役割が補完できていない。よって、この従来技術を用いて現場で一人で操作を行ったとしても、二人体制のときと同等の確実性が担保されているとはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作支援システムは、操作対象場所に設置され操作箇所ごとに対応するARマーカが取り付けられている操作対象物に対する操作手順データとして、操作手順ごとに、操作箇所、操作内容、ARマーカ識別情報、判定文言を記憶する操作手順データ記憶部と、操作者によって操作が行われるときに、前記操作手順データに基づいて、当該操作に対応する前記操作対象物、前記操作箇所、前記操作内容を音声合成して、前記操作者が携帯する端末装置から音声出力させる音声合成部と、前記操作対象物を撮影する撮影部から出力された撮影画像に当該操作に対応する前記ARマーカが含まれていれば、前記ARマーカからARマーカ識別情報を読み取るARマーカ認識部と、読み取られた前記ARマーカ識別情報に基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して、前記端末装置において前記撮影画像を表示するときに、当該操作箇所に前記AR表示を重畳表示させるAR合成部と、音声入力部によって入力した音声から文字を認識して前記判定文言が含まれているか否かを判定する音声認識部と、を備える。前記音声認識部によって前記判定文言が含まれていると判定された場合に、前記音声合成部は、次の前記操作手順に関する音声合成、音声出力を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の概要を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の操作支援システムの全体構成図である。
図3図3は、第1実施形態における電気所内の操作箇所とARマーカの例を示す図である。
図4A図4Aは、第1実施形態の各装置の機能構成の第1の例を示す図である。
図4B図4Bは、第1実施形態の各装置の機能構成の第2の例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態の操作箇所管理部の機能の概要を示す図である。
図6図6は、第1実施形態の操作手順表管理部の機能の概要を示す図である。
図7A図7Aは、第1実施形態の操作支援中の操作手順表を示す図である。
図7B図7Bは、第1実施形態の操作支援中の映像表示部が表示する映像の例を示す図である。
図8A図8Aは、第1実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。
図8B図8Bは、第1実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態の概要を示す図である。
図10図10は、第2実施形態の操作支援システムの全体構成図である。
図11図11は、第2実施形態の各装置の機能構成の例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。
図13図13は、第3実施形態の概要を示す図である。
図14図14は、第3実施形態の各装置の機能構成の例を示す図である。
図15図15は、第3実施形態の画像認識部の機能の概要を示す図である。
図16図16は、第3実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。
図17図17は、従来技術の例の概要を示す図である。
図18図18は、従来技術における現場操作のフローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の操作支援システム、操作支援方法、プログラム、情報処理装置の実施形態(第1実施形態~第3実施形態)について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(従来技術)
実施形態の理解を助けるために、まず、従来技術としての現行の現場操作業務についてあらためて説明する。図17は、従来技術の例の概要を示す図である。図18は、従来技術における現場操作のフローの例を示す図である。
【0013】
ここでは、電気所における電力機器や制御盤などに関する点検・取替等の工事を行う場合に、対象設備を電力系統から切り離して安全に作業を実施するために、現場に設置された制御盤等に備えてあるスイッチ類を直接操作して停止する方法を例にとる。
【0014】
現場操作を実施する前には、あらかじめ直接の停止操作やロック操作のための操作手順表(図17の右下)を作成する。一般的に、直接の停止操作については制御所が、ロック操作については事務所にいる変電課が、作成する。作成した操作手順表を紙に印刷し、現場操作者と現場責任者の二人が、現場の電気所に向かう。
【0015】
電気所に設置された電力機器や制御盤は複数のスイッチなどの操作箇所を有している。現場操作者が、現場責任者からの指示の元、一連の操作を実施することで、直接の停止操作とロック操作を行うことができる。
【0016】
次に、現場操作におけるフローを図18に沿って説明する。現場操作者と現場責任者は操作実施に関する所掌を分担し、確実な操作を行う。
【0017】
まず、現場責任者は当該手順と注意事項を読み上げ、現場操作者に操作の指令を出す(L1)。具体的には、現場責任者は「盤2 8スイッチを切(きり)にしてください」などと発話する。次に、現場操作者は電気所にある盤と操作箇所を探し、操作方向を確認する(L2)。このとき、現場操作者と現場責任者がお互いに、当該操作箇所に間違いないことを相互確認する。
【0018】
その後、現場操作者が指示された操作方向に対して操作を実施する(L3)。操作後、現場操作者は「盤2 8スイッチ きりヨシ」などと指差呼称し、確実に操作されたことを自身が再確認する(L4)。次に、現場責任者は操作結果を目視等で確認し、操作実施がOKであれば、紙に操作時刻等を記載し、次の手順に移る(L5)。
【0019】
しかし、このような現場での二人体制には、高コストになってしまうという問題がある。そして、上述のように、例えばRFIDタグやバーコードなどによって現場での一人体制を支援する従来技術があるが、各操作盤に多数ある個々の操作箇所とその操作方向を具体的に示すものではないため誤操作を行う可能性がある。また、映像や音声による支援がなく、二人体制で責任者が担っていた役割が補完できていない。よって、この従来技術を用いて現場で一人で操作を行ったとしても、二人体制のときと同等の確実性が担保されているとはいえない。
【0020】
そこで、以下では、現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保できる技術について説明する。
【0021】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の概要を示す図である。図2は、第1実施形態の操作支援システムSの全体構成図である。まず、図1図2を参照して概要について説明し、その後に、図3以降を参照して詳細について説明する。
【0022】
操作支援システムSは、事務所1に設置されたサーバ10と、電気所2(操作対象場所の例)で操作する現場操作者M(操作者)が装着するスマートグラス21(メガネ形状のウェアラブルデバイス。現場操作者Mが携帯する端末装置の例)と、を備える。電気所2に設置されている制御盤20(操作対象物の例)の操作箇所の近傍には、操作箇所ごとに対応するAR(Augmented Reality)マーカ24(二次元のコード)が取り付けられている。ARマーカ24は、例えば、シールやマグネットなどによって、制御盤20に取り付けられる。
【0023】
現場の電気所2にいるのは現場操作者Mの一人だけである。現場操作者Mが装着するスマートグラス21は、通信回線Nを介して、サーバ10と接続されている。サーバ10は操作手順を管理(記憶)しており、当該手順の操作箇所、操作内容、注意事項などを音声合成し(図1の符号(1))、通信回線N経由でスマートグラス21から音声出力させることで、現場操作者Mに現在の操作手順を認識させる。
【0024】
また、サーバ10はスマートグラス21による映像入力に対し、ARマーカを認識して対象操作箇所があるかどうか判断し、対象操作箇所があれば操作箇所と操作方向をAR合成し、通信回線N経由でスマートグラス21に映像出力させる(図1の符号(2))。具体的には、現場操作者Mがスマートグラス21で見る映像22では、対象操作箇所の近傍にARマーカ24bがあり、対象操作箇所に対して操作方向を含むAR表示23bが重畳表示される。また、対象操作箇所以外の操作箇所がある場合には操作禁止マークを示すAR表示23aが重畳表示される。これにより、現場操作者Mは正しい操作箇所と操作内容を認識できる。
【0025】
さらに、サーバ10は現場操作者Mが操作完了後に発する「8スイッチ 〇〇よし」というスマートグラス21による音声入力を認識し(図1の符号(3))、当該手順の操作完了を示す判定文言が含まれていれば、当該手順の完了を判断し、次の手順に移行する。
【0026】
次に、操作支援システムSについて詳細に説明する。図3は、第1実施形態における電気所2内の操作箇所とARマーカの例を示す図である。図3における「盤」(盤1、盤2)とは、独立した制御盤や、電力機器本体やその付属となる制御盤等を意味する。電気所2内には多数の盤があり、各盤は1つまたは複数の操作箇所を有している。この操作箇所毎に、異なるパターンの模様を持つARマーカを貼り付ける。
【0027】
サーバ10などが保持するARマーカ情報240は、ARマーカID(Identifier)とARマーカを対応付けた情報である。例えば、サーバ10は、ARマーカを画像認識すると、ARマーカ情報240を参照して、対応するARマーカIDを読み出すことができる。ARマーカは、例えば図示のような二次元のバーコードが好ましいが、本発明はこれに限定されない。また、基本的には操作箇所とARマーカは1対1で対応するが、例えば操作箇所が密集している場合は1対1対応で複数のARマーカを貼り付けることが困難な場合があり、その場合は1つのARマーカを複数の操作箇所に対応させてもよい。
【0028】
図4Aは、第1実施形態の各装置の機能構成の第1の例を示す図である。スマートグラス21は、映像入力部211と、映像表示部212と、音声入力部213と、音声出力部214と、通信部215と、記憶部216と、カメラ217(撮影部)と、ディスプレイ218と、マイク219と、スピーカ2191と、を備える。映像入力部211と、映像表示部212と、音声入力部213と、音声出力部214とは、CPU(Central Processing Unit)等により実現される機能部である。
【0029】
映像入力部211は、カメラ217から映像を取り込む。
【0030】
映像表示部212は、ディスプレイ218により映像を表示する。
【0031】
音声入力部213は、マイク219から音声(現場操作者の音声など)を取り込む。
【0032】
音声出力部214は、スピーカ2191により音声(音声ガイダンスなど)を出力する。
【0033】
通信部215は、サーバ10などの外部装置と通信を行う通信インタフェースである。
【0034】
記憶部216は、各種データ、各種プログラム、各種演算結果などを記憶する。
【0035】
なお、現場操作者Mは現場操作時に両手を使える状態であることが望ましいため、ハンズフリーとなるスマートグラス21が適している。しかし、スマートグラス21の代わりに、同様の機能構成をもつスマートフォンなどの携帯端末を用いてもよい。
【0036】
サーバ10は、操作箇所管理部101と、操作手順表管理部102と、通信部103と、記憶部104と、音声合成部105と、ARマーカ認識部106と、AR合成部107と、音声認識部108と、処理部109と、ディスプレイ1091と、マイク1092と、スピーカ1093と、を備える。
【0037】
ディスプレイ1091は、操作箇所管理部101による管理情報や、操作手順表などの各種情報を表示する。マイク1092は、音声入力手段であり、例えば、音声認識のテスト時などに用いられる。スピーカ1093は、音声出力手段であり、例えば、音声合成のテスト時などに用いられる。
【0038】
操作箇所管理部101と、操作手順表管理部102と、音声合成部105と、ARマーカ認識部106と、AR合成部107と、音声認識部108と、処理部109とは、CPU、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等により実現される機能部である。
【0039】
操作箇所管理部101について、図5を併せて参照して説明する。図5は、第1実施形態の操作箇所管理部101の機能の概要を示す図である。操作箇所管理部101(操作箇所情報記憶部)は、操作箇所ごとに、ARマーカID(ARマーカ識別情報。図5(a)の「ARマーカ1-1」)、ARマーカ表示位置座標((a)に示す、ARマーカの位置に対して実際にAR表示を行いたい位置の差分を示すX座標とY座標)、操作の種類((b)(c)のAR種別)に対応したAR表示((c))を含む操作箇所情報を管理(記憶、更新など)する。また、操作箇所情報には、(b)に示す操作方向や判定文言も含まれる。判定文言は、対応する操作方向への操作を実施した直後に現場操作者Mが指差呼称するときに発すると想定される文字情報である。操作箇所情報における各項目は、後述する操作手順表を作成する前に、あらかじめサーバ10等に登録されているものとする。なお、ARマーカ情報240の箇所で説明したように、複数の操作箇所が密集している箇所については、複数の操作箇所に対して1つのARマーカで対応させることができる。その場合は、各操作箇所は同一のARマーカIDと対応することになるが、当然各操作箇所はARマーカを起点とした位置が異なることから、それぞれ対応するARマーカ表示位置座標を登録することで、操作箇所として区別し、AR表示することができる。
【0040】
次に、操作手順表管理部102について、図6を併せて参照して説明する。図6は、第1実施形態の操作手順表管理部102の機能の概要を示す図である。操作手順表管理部102(操作手順データ記憶部)は、制御盤20に対する操作手順データとして、操作手順(操作)ごとに、手順の順番(No,)、盤名称、操作箇所、操作内容、実施時刻(日時)、注意確認事項を管理する。また、操作手順表管理部102は、操作箇所管理部101を参照し、各操作に対応するその管理項目として、ARマーカID、X座標、Y座標、操作方向/AR種別、判定文言を保持する。操作手順表における各項目は、現場操作の前に、あらかじめサーバ10等に登録されているものとする。
【0041】
図4Aに戻って、通信部103は、スマートグラス21などの外部装置と通信を行う通信インタフェースである。
【0042】
記憶部104は、各種データ、各種プログラム、各種演算結果などを記憶する。
【0043】
音声合成部105は、現場操作者Mによって操作が行われるときに、操作手順表(操作手順データ)に基づいて、当該操作に対応する操作対象物、操作箇所、操作内容を組み合わせたテキストデータから音声合成データを作成して、通信部103及び通信部215を介してスマートグラス21の音声出力部214に音声合成データを送り、スピーカ2191から音声出力させる。
【0044】
ARマーカ認識部106は、カメラ217から映像入力部211に入力された撮影画像データを通信部215及び通信部103を経由して取得し、前記撮影画像データに1つまたは複数のARマーカが含まれていることを認識した場合、各ARマーカに対応するARマーカIDを読み取る。
【0045】
AR合成部107は、操作手順表管理部102における当該操作の情報を参照し、当該操作に対応するARマーカIDが存在することを検知した場合、前記撮影画像データに対し、当該操作箇所の位置とその操作方向等を示すARを重畳表示した画像データを合成する。そして、AR合成部107は、通信部103及び通信部215を経由してスマートグラス21の映像表示部212に前記画像データを送り、ディスプレイ218においてAR合成画像を表示させる(図1の映像22におけるAR表示23b)。
【0046】
また、AR合成部107は、当該操作に対応しないARマーカIDを検知した場合、操作箇所管理部101における前記ARマーカIDに対応する座標の情報を参照し、その操作位置に操作禁止マークのAR表示を重畳表示させる。(図1の映像22におけるAR表示23a)。
【0047】
音声認識部108は、スマートグラス21のマイク219から音声入力部213に入力された音声データを通信部215及び通信部103を経由して取得し、次に音声データを分析して音声データ内の文字をテキストや音声波形の形で認識し、当該操作に対応する判定文言が含まれているか否かを判定する。また、音声認識部108によって判定文言が含まれていると判定された場合、当該操作が完了したしたとみなし、操作手順表管理部102における当該操作の実施時刻に現在時刻を入力する。
【0048】
処理部109は、各種情報処理を実行する。例えば、処理部109は、音声合成部105、ARマーカ認識部106、AR合成部107、音声認識部108などからの情報を元に操作手順を進める処理を実行する。
【0049】
なお、スマートグラス21とサーバ10の機能構成はこれに限定されない。図4Bは、第1実施形態の各装置の機能構成の第2の例を示す図である。図4Aにおけるサーバ10の音声合成部105、ARマーカ認識部106、AR合成部107、音声認識部108、処理部109の各機能をスマートグラス21側に持たせるために、スマートグラス21に音声合成部2101、ARマーカ認識部2102、AR合成部2103、音声認識部2104、処理部2105を設けた。このように、ソフトウエアの各機能構成は、スマートグラス21とサーバ10のいずれかに設けられればよい。
【0050】
次に、図7A図7Bを参照して、操作手順が実行される場合について説明する。図7Aは、第1実施形態の操作支援中の操作手順表を示す図である。図7Bは、第1実施形態の操作支援中の映像表示部212が表示する映像の例を示す図である。
【0051】
図7Aでは、サーバ10内の操作手順表管理部102に従って現場操作を実行している状況を示している。現在実行中の手順は、「No.3」である。手順「No.3」を開始する場合、まず、音声合成部105が、操作手順表に基づいて、当該操作に対応する操作対象物、操作箇所、操作内容、注意確認事項などのテキスト情報を元に音声合成して、スマートグラス21から音声出力させる。具体的な音声合成内容は、例えば、「〇〇に注意 盤2 8スイッチ 切(きり)」である。
【0052】
なお、図7Bに示すように、当該操作に対応する操作対象物、操作箇所、操作内容、注意確認事項などの文字情報も合わせて映像に表示してもよい。また、操作対象物が離れている場合は、音声合成による指示の後、現場操作者Mが操作対象物の箇所まで移動する間に指示内容を忘れることが想定される。そのため、音声認識部108(記憶部104)に例えば「もういっかい」などの音声合成内容の再出力を要求する文言の判定用の判定文言(第2判定文言)を登録しておき、操作対象物の前に移動した後、現場操作者Mが「もういっかい」などと発声することで音声認識部108に認識させ、それにより再度、前記音声合成内容を音声出力することで、改めて操作内容を確認できる。
【0053】
次に、ARマーカ認識部106は、カメラ217から入力された撮影画像から複数のARマーカを認識し、それぞれのARマーカIDがARマーカ2-1とARマーカ2-2であることを読み取る。次に、AR合成部107は操作手順表管理部102を参照し、当該操作に対応するARマーカIDがARマーカ2-2であること、また当該操作箇所はそのARマーカ2-2から相対的にX座標で40(mm)、Y座標で28(mm)、離れた箇所にあること、そして操作方向(8スイッチ「切」)に対応するAR種別がAR1であることを確認する。それらの情報を元に、前記撮影画像における当該操作箇所(図7Bの操作箇所2-2)にAR表示(図7Bの符号AR1)を重畳表示させ、スマートグラス21のディスプレイ218に表示する。また、AR合成部107は、撮影画像における当該操作に関係しないARマーカID(ここではARマーカ2-1)に対応する操作箇所(図7Bの操作箇所2-1)に、操作禁止マークをAR表示させる(図7Bの操作禁止AR表示D)。
【0054】
現場操作者Mは、当該箇所の「切」操作後に、例えば「~きりヨシ」と発声する。そして、音声認識部108は、スマートグラス21の音声入力部213によって入力された音声データを分析し、その中に判定文言と一致する文言(または音声波形による比較・一致でもよい)があるか否かを判定する。音声認識部108によってそれらがあると判定されると、現場操作者Mによる当該操作が完了したと操作支援システムSで認識したことになり、次の手順「No.4」の処理に移る。
【0055】
図8Aは、第1実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。まず、操作手順を開始すると、従来技術のように現場責任者によって当該手順や注意事項を読み上げるのではなく、音声合成部105による音声合成により当該手順、注意事項を読み上げて音声を出力し、「盤2 8スイッチを切にしてください」などと操作の指令を出す(L11)。
【0056】
次に、現場操作者Mは、前記音声による操作指令や映像内に文字表示した操作指令を確認の上、盤と操作箇所を探し、さらにAR表示を参照し(図1の映像22)、正しい操作箇所と操作方向を確認する(L12)。そして、現場操作者Mが操作を実施する(L13)。操作後、現場操作者Mは「盤2 8スイッチ きりヨシ」と指差呼称する(L14)。
【0057】
音声認識部108は指差呼称を音声認識し、当該手順に関係づけられた判定文言が含まれていることを確認すれば、現場での操作が完了したものと判定する。サーバ10は、操作手順表(図6)における当該手順に対応する実施時刻欄に操作完了時刻を記録し、次の手順に移る(L15)。
【0058】
図8Bは、第1実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。操作を開始する場合、まず、サーバ10の音声合成部105は、操作手順表に基づいて、当該操作に対応する操作対象物、操作箇所、操作内容、注意確認事項などを音声合成して(ステップS1)、スマートグラス21から音声出力させる(ステップS2)。
【0059】
次に、スマートグラス21のカメラ217は撮影した映像をサーバ10に送信する(ステップS3)。そうすると、サーバ10のARマーカ認識部106は、映像からARマーカを認識してARマーカIDを読み取る(ステップS4)。
【0060】
次に、AR合成部107は、読み取られたARマーカIDに基づいて当該操作に対応するAR表示を合成して(ステップS5)、スマートグラス21において撮影画像を表示するときに、操作手順表を参照して、撮影画像におけるARマーカ表示位置座標(X座標、Y座標)に当該操作方向を示すAR表示を重畳表示させる(ステップS6。図1の映像22)。
【0061】
次に、スマートグラス21の音声入力部213は、現場操作者Mによって操作後に発声された音声を入力し、サーバ10に送信する(ステップS7)。そして、サーバ10の音声認識部108は、その音声から文字を認識して判定文言が含まれるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8で含まれると判定されると、サーバ10は、操作手順表(図6)における当該手順に対応する実施時刻に操作完了時刻を記録し、次の操作がある場合は、次の操作に関してステップS1~S8を実行する。
【0062】
このように、第1実施形態によれば、操作支援システムSによって音声合成技術(人間の音声を人工的に作り出し、出力する技術)、AR表示技術(現実世界の撮影画像にデジタルコンテンツを重ねて表示する技術)、音声認識技術(人間の声などをコンピュータに認識させる技術)などを用いた支援を行うことで、現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保できる。
【0063】
つまり、現場操作者Mは従来技術のときと大きく変わらないフローで、かつ、従来技術のときと同等の確実性を持って、現場操作を行うことができる。これにより、現場一人体制に変更することができ、結果的に業務効率化を図ることができる。
【0064】
また、当該操作箇所以外の操作箇所に操作禁止マークをAR表示させることで、誤操作をより確実に防止できる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。図9は、第2実施形態の概要を示す図である。
【0066】
第2実施形態では、図9に示すように、事務所1に事務所責任者Rをおき、事務所PC11(外部モニタ12を含む。以下同様)によって現場での映像と音声を共有する(符号(4))。これにより、例えば、音声合成した手順の読み上げ内容を事務所責任者Rも確認でき、また、現場操作者Mと事務所責任者Rは音声会話も実施できる。さらに、事務所責任者Rは、AR合成を行った映像(現地映像13)を事務所1の事務所PC11でも見ることができる。また、事務所責任者Rは、事務所PC11によって、操作手順表14を見ることもできる。また、事務所責任者Rは、現地映像13内の右下の「停止指令」を押下することで現場操作者Mが操作箇所を間違えているなど、危険な行動をしているときなどに注意喚起したり、「カメラ切替」を押下することでカメラ映像の拡大縮小を切り替えたりすることができる。
【0067】
事務所責任者Rがこれらの映像と音声を元に現場での操作結果に対して手順完了の最終承認を行うことで、操作の確実性をより担保できる。事務所PC11は、操作対象場所以外の場所で操作者以外の者によって用いられ、スマートグラス21における音声出力と画像表示が共有可能であるとともに、スマートグラス21と双方向の音声通信が可能である情報処理装置の例である。
【0068】
図10は、第2実施形態の操作支援システムSの全体構成図である。第1実施形態(図2)の場合と比べて、サーバ10と通信可能な事務所PC11が追加されている。
【0069】
図11は、第2実施形態の各装置の機能構成の例を示す図である。サーバ10とスマートグラス21は、第1実施形態の場合(図4A)と同様である。事務所PC11は、映像表示部111と、音声入力部112と、音声出力部113と、操作手順表表示部114と、操作結果承認部115と、通信部116と、記憶部117と、ディスプレイ118と、マイク119と、スピーカ120と、を備える。映像表示部111と、音声入力部112と、音声出力部113と、操作手順表表示部114と、操作結果承認部115とは、CPU等により実現される機能部である。
【0070】
映像表示部111は、ディスプレイ118により映像(例えばスマートグラス21と同じ映像)を表示する。
【0071】
音声入力部112は、マイク119から音声(事務所責任者Rの音声など)を取り込む。
【0072】
音声出力部113は、スピーカ120により音声を出力する。
【0073】
操作手順表表示部114は、操作手順表を表示する。その場合、例えば、実施中の操作手順がわかるように表示する。
【0074】
操作結果承認部115は、事務所責任者Rによる操作に基づいて、操作結果の承認処理を実行する。
【0075】
通信部116は、サーバ10などの外部装置と通信を行う通信インタフェースである。
【0076】
記憶部117は、各種データ、各種プログラム、各種演算結果などを記憶する。
【0077】
図12は、第2実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。まず、事務所PC11と現場のスマートグラス21をサーバ10に接続した状態で、事務所責任者Rは事務所PC11を用いて現場操作開始を指示する。そうすると、従来技術のように事務所責任者Rなどによって当該手順や注意事項を読み上げるのではなく、音声合成部105による音声合成によって当該手順、注意事項を読み上げて音声を出力し、「盤2 8スイッチを切にしてください」などと操作の指令を出す(L21)。この指令は通信回線Nを介して事務所PC11でも音声出力され、事務所責任者Rも聞くことができる。
【0078】
次に、現場操作者Mは前記音声による操作指令や映像内に文字表示した操作指令を確認の上、盤と操作箇所を探し、さらにAR表示を参照し(図9の映像22)、正しい操作箇所と操作方向を確認する(L22)。また、現場操作者Mと事務所責任者Rがお互いに、当該操作箇所に間違いないことをAR付き映像と音声会話により相互確認する。そして、現場操作者Mが操作を実施する(L23)。操作後、現場操作者Mは「盤2 8スイッチ きりヨシ」と指差呼称する(L24)。
【0079】
音声認識部108は指差呼称を音声認識し、当該手順に関係づけられた判定文言が含まれていれば、現場での操作が完了したものと判定する。ただし、本実施形態での手順の最終承認者は事務所責任者Rであることから、事務所責任者Rは映像と音声から操作結果を確認し、問題なければ事務所PC11を用いて承認操作を行い、操作結果承認部115は承認処理を実行する。操作結果承認部115による承認処理の完了後、サーバ10は、操作手順表(図6)における当該手順に対応する実施時刻欄に操作完了時刻を記録し、次の手順に移る(L25)。
【0080】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保できるとともに、事務所責任者Rの確認が入るため、誤認防止効果をより高めることができる。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態、第2実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については、説明を適宜省略する。
【0082】
図13は、第3実施形態の概要を示す図である。第3実施形態では、図13に示すように、操作結果の承認について、操作前後のスイッチ等の状態を画像認識し、操作が確かに行われたことを確認する手段(映像22a、22b、符号(4)参照)を取り入れ、操作結果完了の信頼性をより高める。
【0083】
第3実施形態の全体構成は、第1実施形態(図2)と同様である。
【0084】
図14は、第3実施形態の各装置の機能構成の例を示す図である。第1実施形態の場合(図4A)と比べて、サーバ10に、画像認識部1094が追加されている。画像認識部1094は、現場操作者の指差呼称について音声認識部108によって当該手順の操作完了を示す判定文言が含まれており操作完了と判定された後、撮影画像における当該操作箇所の画像と、予め作成された操作結果確認用の学習モデルと、に基づいて、当該操作が正しく完了したか否かを追加で判定する。
【0085】
図15は、第3実施形態の画像認識部1094の機能の概要を示す図である。画像認識部1094は、図15に示すように、操作箇所ごとに、操作方向への操作後のスイッチ等状態を示す画像を登録しておく。そして、画像認識部1094は、ARマーカにより示された操作箇所近傍の映像を取り込み、当該操作箇所の画像が図15で定義される参照画像(操作結果画像)と一致すると判定すれば、その操作が行われたものと判定する。なお、スイッチによっては、スイッチの状態(位置)ではなくランプの点灯消灯で操作の有無を判断するものや、CT(Current Transformer:変流器)やVT(Voltage Transformer:計器用変成器)のようにTT(Test Terminal:試験用端子)の挿抜状態で判断するものもある。
【0086】
図16は、第3実施形態における現場操作のフローの例を示す図である。第1実施形態の場合(図8A)と比べて、L31~L34は、L11~L14と同様である。
【0087】
L34の後、音声認識部108は指差呼称を音声認識し、当該手順に関係づけられた判定文言が含まれていれば、現場での操作が完了したものと判定する。また、画像認識部1094による画像認識によって、操作結果が参照画像と一致していると判定した場合、最終的にその手順の完了を承認する。その後、サーバ10は、操作手順表(図6)における当該手順に対応する実施時刻欄に操作完了時刻を記録し、次の手順に移る(L35)。
【0088】
このように、第3実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に現場で一人で操作を行ったとしても二人体制での操作時と同等の確実性を担保できるとともに、画像認識による操作結果確認を併用することで、操作結果完了の確実性をより高めることができる。
【0089】
なお、本実施形態のサーバ10、スマートグラス21、事務所PC11で実行されるプログラムは、例えば、ROM等にあらかじめ組み込まれて提供される。また、これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0090】
さらに、これらのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、これらのプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0091】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0092】
例えば、操作対象物は、電気所における電力機器や制御盤に限定されず、複数の操作箇所を有する設備であれば、その他の設備であってもよい。
【0093】
また、判定文言として、1つの操作に対して2つ以上が対応付けられてもよい。例えば、図6の操作(手順)「No.1」について、判定文言として「てどうよし」と「しゅどうよし」の2つを対応付けてもよい。
【0094】
また、現場操作者Mによる操作中はサーバ10とスマートグラス21の通信を無しにして、操作完了後に両者で通信して必要な情報の送受信(例えばスマートグラス21からサーバ10への操作結果情報の送信など)を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…事務所、2…電気所、10…サーバ、11…事務所PC、20…制御盤、21…スマートグラス、22…映像、23…AR表示、24…ARマーカ、101…操作箇所管理部、102…操作手順表管理部、103…通信部、104…記憶部、105…音声合成部、106…ARマーカ認識部、107…AR合成部、108…音声認識部、109…処理部、1091…ディスプレイ、1092…マイク、1093…スピーカ、1094…画像認識部、111…映像表示部、112…音声入力部、113…音声出力部、114…操作手順表表示部、115…操作結果承認部、116…通信部、117…記憶部、118…ディスプレイ、119…マイク、120…スピーカ、211…映像入力部、212…映像表示部、213…音声入力部、214…音声出力部、215…通信部、216…記憶部、217…カメラ、218…ディスプレイ、219…マイク、240…ARマーカ情報、2101…音声合成部、2102…ARマーカ認識部、2103…AR合成部、2104…音声認識部、2105…処理部、S…操作支援システム、2191…スピーカ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18