(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041179
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145840
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰伸
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減することのできるトルクセンサを提供すること。
【解決手段】径方向における外側に突出するフランジ部52を備える一対のステータ部材51と、一対のステータ部材51とマグネット56との相対的な位置変化に応じた磁束の変化を検出する一対の集磁ヨーク43と、集磁ヨーク43で検出した磁束の変化を電気信号にして出力するホール素子を有するホールIC45とを有し、着脱自在にハウジング20に取り付けられる集磁ヨークアッセンブリ40と、を備え、一対の集磁ヨーク43のうちの一方の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51のうちの一方のステータ部材51のフランジ部52に対して軸方向における一方側からフランジ部52に対向し、一対の集磁ヨーク43のうちの他方の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51のうちの他方のステータ部材51のフランジ部52に対しての軸方向における一方側からフランジ部52に対向する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置されるシャフトと、
内輪が前記シャフトに固定され、外輪が前記ハウジングに固定されて前記シャフトを前記ハウジングに対して回転自在に支持する軸受と、
前記シャフトの径方向における外側に突出するフランジ部を備え、前記シャフトに固定される一対のステータ部材を有するステータアッセンブリと、
前記ステータ部材に対向して配置される円筒状の磁石と、
一対の前記ステータ部材と前記磁石との相対的な位置変化に応じた磁束の変化を検出する一対の集磁ヨークと、前記集磁ヨークで検出した磁束の変化を電気信号にして出力するホール素子とを有し、着脱自在に前記ハウジングに取り付けられる集磁ヨークアッセンブリと、
を備え、
一対の前記集磁ヨークのうちの一方の前記集磁ヨークは、一対の前記ステータ部材のうちの一方の前記ステータ部材の前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向における一方側から前記フランジ部に対向し、
一対の前記集磁ヨークのうちの他方の前記集磁ヨークは、一対の前記ステータ部材のうちの他方の前記ステータ部材の前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向における一方側から前記フランジ部に対向するトルクセンサ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記集磁ヨークアッセンブリが取り付けられる第1ハウジングと、前記軸受の前記外輪が固定される第2ハウジングとを有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが連結される請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記集磁ヨークアッセンブリを収容する収容部を有し、
前記集磁ヨークアッセンブリは、前記集磁ヨークアッセンブリを前記ハウジングに取り付ける取付フランジを有し、
前記集磁ヨークアッセンブリは、前記シャフトの径方向における外側から前記収容部に挿入され前記取付フランジが前記ハウジングに取り付けられる請求項1または2に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
一対の前記集磁ヨークは、前記軸方向において一対の前記ステータ部材から磁性体までの距離が大きい側から前記ステータ部材の前記フランジ部に対向する請求項1または2に記載のトルクセンサ。
【請求項5】
前記磁性体は、前記軸受である請求項4に記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
操舵装置が有する回転体に加わるトルクを検出するトルクセンサの一例として、磁気の変化を検出することによりトルクの検出を行うものがある。例えば、特許文献1に記載されたトルク検出装置は、第1軸に固定されるマグネット部と、第2軸に固定されるステータ部と、マグネット部及びステータ部間に回転位相差を検出するセンサ部を備えている。このうち、ステータ部は、2つの磁気ヨークを有し、センサ部は、2つの磁気ヨークに個別に対応してケースに圧入される2つの集磁端子と、2つの集磁端子間に配置される磁気検出素子としてのホールICとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のように、センサ部がステータ部を軸方向における両側から挟む形態で配置される場合、ステータ部がセンサ部に対して軸方向に相対移動をした際に、ステータ部がセンサ部に対して衝突をしてしまうことが考えられる。即ち、集磁端子である集磁ヨークが、第2軸に固定されるステータを軸方向における両側から挟む形態で配置される場合、第2軸が、例えば、第2軸を支持する軸受の内部隙間によって集磁ヨークに対して軸方向に相対移動をした際に、ステータが集磁ヨークに衝突をしてしまうことが考えられる。
【0005】
ステータと集磁ヨークとの衝突は、ステータと集磁ヨークとの軸方向のギャップを大きくすることにより回避することができるが、ステータと集磁ヨークとのギャップを大きくすると、ステータを通る磁束を集磁ヨークで集磁し難くなるため、トルクセンサでトルクを検出する際の分解能が低下し易くなる。トルクセンサを搭載する車種が、トルクの検出精度が低分解能でもよい車種であれば、ステータと集磁ヨークとのギャップを大きくすることによって双方の衝突を回避できるが、トルクを高分解能で検出する必要がある車種では、ステータを通る磁束を集磁ヨークで効率的に集磁するために、ステータと集磁ヨークとのギャップを小さくする必要がある。
【0006】
つまり、高分解能が要求されるトルクセンサでは、集磁ヨークを有する集磁ヨークアッセンブリに、ステータと集磁ヨークとの軸方向のギャップが低分解のトルクセンサよりも小さくなるように集磁ヨークが配置された集磁ヨークアッセンブリを用いることになる。このため、高分解能が要求されるトルクセンサと、低分解でもよいトルクセンサとでは、異なる集磁ヨークアッセンブリを用いることになり、集磁ヨークを有する集磁ヨークアッセンブリは、高分解能向けの集磁ヨークアッセンブリと、低分解能向けの集磁ヨークアッセンブリとの2種類が必要になる。しかし、このように2種類の集磁ヨークアッセンブリを用意することは、部品の製造時のコストや管理を行う際のコスト等の製造コストの増加の原因となる。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、トルクセンサの仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより、製造コストや管理コストを低減することのできるトルクセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のトルクセンサは、ハウジングと、前記ハウジングの内側に配置されるシャフトと、内輪が前記シャフトに固定され、外輪が前記ハウジングに固定されて前記シャフトを前記ハウジングに対して回転自在に支持する軸受と、前記シャフトの径方向における外側に突出するフランジ部を備え、前記シャフトに固定される一対のステータ部材を有するステータアッセンブリと、前記ステータ部材に対向して配置される円筒状の磁石と、一対の前記ステータ部材と前記磁石との相対的な位置変化に応じた磁束の変化を検出する一対の集磁ヨークと、前記集磁ヨークで検出した磁束の変化を電気信号にして出力するホール素子とを有し、着脱自在に前記ハウジングに取り付けられる集磁ヨークアッセンブリと、を備え、一対の前記集磁ヨークのうちの一方の前記集磁ヨークは、一対の前記ステータ部材のうちの一方の前記ステータ部材の前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向における一方側から前記フランジ部に対向し、一対の前記集磁ヨークのうちの他方の前記集磁ヨークは、一対の前記ステータ部材のうちの他方の前記ステータ部材の前記フランジ部に対して前記シャフトの軸方向における一方側から前記フランジ部に対向する。
【0009】
この構成によれば、一対の集磁ヨークは、ステータ部材のフランジ部に対して軸方向において同じ方向側から対向しているため、ステータ部材に対する集磁ヨークアッセンブリの軸方向の位置を調整することにより、ステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとの2箇所のギャップを、互いに同じように変化させることができる。これにより、必要とされるステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとのギャップごとに集磁ヨークアッセンブリやステータ部材を用意することなく、同じ集磁ヨークアッセンブリとステータ部材を用いてステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとの2箇所のギャップを調整することができる。このため、高分解能が要求される車種に搭載されるトルクセンサに対しても、低分解能でよい車種に搭載されるトルクセンサに対しても、同じ集磁ヨークアッセンブリを適用することができる。従って、トルクセンサの仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことができ、これにより、製造コストや管理コストを低減することができる。
【0010】
望ましい形態として、前記ハウジングは、前記集磁ヨークアッセンブリが取り付けられる第1ハウジングと、前記軸受の前記外輪が固定される第2ハウジングとを有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが連結される。
【0011】
この構成によれば、ハウジングは、第1ハウジングと第2ハウジングとが連結されるため、加工公差の積み上げにより、集磁ヨークとステータ部材との軸方向における相対的な位置が設計時の位置に対してずれ易くなっているが、集磁ヨークアッセンブリの軸方向における配置位置を調整することにより、集磁ヨークとステータ部材の2箇所のギャップを、集磁ヨークとステータ部材との相対的な位置のずれを考慮した大きさにすることができる。これにより、集磁ヨークとステータ部材との相対的な位置にずれが発生した場合でも、ステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとが衝突することを回避することができる。この結果、トルクセンサの仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより製造コストや管理コストの低減を図りつつ、ステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとの衝突を抑制することができる。
【0012】
望ましい形態として、前記ハウジングは、前記集磁ヨークアッセンブリを収容する収容部を有し、前記集磁ヨークアッセンブリは、前記集磁ヨークアッセンブリを前記ハウジングに取り付ける取付フランジを有し、前記集磁ヨークアッセンブリは、前記シャフトの径方向における外側から前記収容部に挿入され前記取付フランジが前記ハウジングに取り付けられる。
【0013】
この構成によれば、集磁ヨークアッセンブリは、ハウジングの収容部に径方向における外側から挿入されてハウジングに固定されるため、加工公差等に起因して設計時の位置に対してずれたり角度が傾いたりして固定され易くなるが、集磁ヨークアッセンブリの軸方向における配置位置を調整することにより、集磁ヨークとステータ部材の2箇所のギャップを調整することができる。このため、集磁ヨークとステータ部材と相対的な位置関係ずれを考慮して製造した専用の集磁ヨークアッセンブリを用いることなく、集磁ヨークとステータ部材の2箇所のギャップを、集磁ヨークとステータ部材と相対的な位置関係ずれを考慮した大きさにすることができる。これにより、集磁ヨークとステータ部材との相対的な位置関係にずれが発生した場合でも、ステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとが衝突することを回避することができ、トルクセンサの仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることによって製造コストや管理コストの低減を図りつつ、ステータ部材のフランジ部と集磁ヨークとの衝突を抑制することができる。
【0014】
望ましい形態として、一対の前記集磁ヨークは、前記軸方向において一対の前記ステータ部材から磁性体までの距離が大きい側から前記ステータ部材の前記フランジ部に対向する。
【0015】
この構成によれば、集磁ヨークを、磁性体から極力遠ざけて配置することができる。これにより、磁石からステータ部材に作用する磁束の変化を集磁ヨークで検出する際に、集磁ヨークの近傍に磁性体が配置されることに起因して、磁性体によって磁束が乱れて集磁ヨークで検出されることを抑制することができる。この結果、磁石からステータ部材に作用する磁束を集磁ヨークによって精度良く検出することができ、操舵トルクを適切に検出することができる。
【0016】
望ましい形態として、前記磁性体は、前記軸受である。
【0017】
この構成によれば、集磁ヨークを、磁性体である軸受から極力遠ざけて配置することにより、磁石からステータ部材に作用する磁束の変化を集磁ヨークで検出する際に、軸受の影響で磁束が乱れて検出されることを抑制することができる。この結果、磁石からステータ部材に作用する磁束を集磁ヨークによって精度良く検出することができ、操舵トルクを適切に検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係るトルクセンサは、トルクセンサの仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより、製造コストや管理コストを低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る操舵装置を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る操舵装置におけるトルクセンサを含む断面での断面図である。
【
図3】
図3は、トルクセンサが有するマグネットとステータアッセンブリ及び集磁ヨークの概要を説明する模式図である。
【
図5】
図5は、集磁ヨークアッセンブリの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1ハウジングに対して集磁ヨークアッセンブリが取り付けられている部分の詳細図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す第1ハウジングに集磁ヨークアッセンブリを取り付ける前の状態を示す詳細図である。
【
図8】
図8は、ステータ部材のフランジ部と一対の集磁ヨークとの相対的な位置関係を示す模式図である。
【
図9】
図9は、高分解能でトルクを検出するトルクセンサのステータ部材のフランジ部と一対の集磁ヨークとの相対的な位置関係を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第2ハウジングに配置される軸受よりも第1ハウジングに配置される軸受の方がステータ部材のフランジ部までの距離が大きい状態を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第1ハウジングに配置される軸受よりも第2ハウジングに配置される軸受の方がステータ部材のフランジ部までの距離が大きい状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0021】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る操舵装置80を説明するための模式図である。
図1に示すように、操舵装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、インタミシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、スタブシャフト87と、ステアリングギア88と、タイロッド89とを備える。また、操舵装置80は、制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)100と、トルクセンサ10と、電動モータ102を備える。車速センサ101は、車両に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号VをECU100に出力する。
【0022】
ステアリングシャフト82は、一方の端部でステアリングホイール81に連結され、他方の端部でユニバーサルジョイント84に連結される。
【0023】
インタミシャフト85は、一方の端部でユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部でユニバーサルジョイント86に連結される。スタブシャフト87は、一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、他方の端部でトルクセンサ10に連結される。トルクセンサ10は、一方の端部でスタブシャフト87に連結され、他方の端部でステアリングギア88が有する第1ピニオンギア88aに連結されている。
【0024】
詳しくは、第1ピニオンギア88aは、スタブシャフト87に連結される側の反対側の端部に、後述するラックバー88bと噛み合うギア(図示省略)が形成される軸状の部材になっており、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トーションバー87a(
図2参照)を介して連結されている。トーションバー87aは、一端がスタブシャフト87に連結され、他端が第1ピニオンギア88aに連結され、トーションバー87aは、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で回転トルクを伝達する。
【0025】
トルクセンサ10は、トルクセンサ10に連結されるシャフトに作用するトルクを検出するトルク検出装置になっており、トーションバー87aを介してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で伝達される回転トルクを検出する。即ち、トーションバー87aを介して連結されるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トルクセンサ10によってトルクを検出する際における検出対象のシャフトになっている。
【0026】
ステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aと、ラックバー88bと、第2ピニオンギア88cとを備える。第1ピニオンギア88aは、トーションバー87aを介してスタブシャフト87に連結される。ラックバー88bは、ラックバー88bに形成されるラック歯(図示省略)が、第1ピニオンギア88aに形成されるギアに噛み合う。また、ラックバー88bは、第1ピニオンギア88aとは異なる位置で第2ピニオンギア88cに噛み合う。
【0027】
第2ピニオンギア88cには、図示しないウォーム減速装置を介して、電動モータ102が連結されており、第2ピニオンギア88cは、電動モータ102から伝達される駆動力により回転可能になっている。電動モータ102は、図示しないウォーム減速装置を介して、第2ピニオンギア88cを回転させる。電動モータ102は、例えばブラシレスモータであるが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。
【0028】
ステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aや第2ピニオンギア88cに伝達された回転運動を、ラックハウジング90の内側に配置されるラックバー88bで直進運動に変換する。本実施形態に係る操舵装置80は、ラックバー88bが第1ピニオンギア88aや第2ピニオンギア88cから伝達される回転運動により直進運動を行うデュアルピニオンアシスト方式である。タイロッド89は、ラックバー88bに連結される。即ち、操舵装置80は、ラックアンドピニオン式の電動パワーステアリング装置である。
【0029】
トルクセンサ10は、ステアリングホイール81を介してステアリングシャフト82に伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ101は、操舵装置80が搭載される車両の走行速度(車速)を検出する。電動モータ102と、トルクセンサ10と、車速センサ101とがECU100に、電気的に接続される。
【0030】
ECU100は、電動モータ102の動作を制御する。また、ECU100は、トルクセンサ10及び車速センサ101のそれぞれから信号を取得する。即ち、ECU100は、トルクセンサ10から操舵トルクTを取得し、且つ、車速センサ101から車両の車速信号Vを取得する。ECU100は、イグニッションスイッチ103がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)104から電力が供給される。ECU100は、操舵トルクTと車速信号Vとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出する。そして、ECU100は、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動モータ102へ供給する電力値Xを調節する。ECU100は、電動モータ102から誘起電圧の情報又は電動モータ102に設けられたレゾルバ等の回転検出装置から出力される情報を動作情報Yとして取得する。
【0031】
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、第1ピニオンギア88aに伝達される。第1ピニオンギア88aに伝達された操舵力は、ステアリングギア88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
【0032】
また、ステアリングホイール81に入力された操作者の操舵力は、ステアリングホイール81から第1ピニオンギア88aまでの操舵力の伝達経路に配置されるトルクセンサ10に伝わる。このとき、ECU100は、操舵トルクTをトルクセンサ10から取得し、且つ、車速信号Vを車速センサ101から取得する。そして、ECU100は、電動モータ102の動作を制御する。電動モータ102が作り出した補助操舵トルクは、第2ピニオンギア88cに伝達される。
【0033】
第2ピニオンギア88cに伝達された補助操舵トルクは、ステアリングギア88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。即ち、操舵装置80は、第1ピニオンギア88aを介してラックバー88bに伝達された操作者の操舵力に加え、第2ピニオンギア88cを介してラックバー88bに伝達された電動モータ102の補助操舵トルクも用いて車輪を変位させる。
【0034】
図1に示すように、操舵装置80は、第2ピニオンギア88cにアシスト力が付与されるデュアルピニオン方式であるがこれに限定されない。操舵装置80は、例えば、ステアリングシャフト82にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式や、第1ピニオンギア88aにアシスト力が付与されるシングルピニオンアシスト方式の電動パワーステアリング装置でもよい。また、ボールネジによりラックバー88bにアシスト力を付与するボールネジ式など、ピニオンを介さずにラックバー88bにアシスト力を付与する種類のラックアシスト式の電動パワーステアリング装置でもよい。
【0035】
図2は、実施形態に係る操舵装置80におけるトルクセンサ10を含む断面での断面図である。なお、以下の説明では、方向について具体的な記載が無い場合は、トルクセンサ10が配置されるスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸方向を、トルクセンサ10においても軸方向として説明する。同様に、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸心を中心とする周方向を、トルクセンサ10においても周方向として説明し、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸心を中心とする径方向を、トルクセンサ10においても径方向として説明する。
【0036】
スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとにおける、トーションバー87aを介して連結される部分の周囲には、ハウジング20が配置されている。ハウジング20は、互いに連結される第1ハウジング21と第2ハウジング31とを有している。第1ハウジング21は、軸方向においてスタブシャフト87寄りの位置に配置されて主にスタブシャフト87を覆っており、第2ハウジング31は、軸方向において第1ピニオンギア88a寄りの位置に配置されて主に第1ピニオンギア88aを覆っている。換言すると、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、少なくとも一部が第1ハウジング21と第2ハウジング31との内側に配置されており、スタブシャフト87は少なくとも一部が第1ハウジング21との内側に配置され、第1ピニオンギア88aは少なくとも一部が第2ハウジング31の内側に配置されている。第1ハウジング21は、第2ハウジング31に対して取付けボルト37(
図6参照)により取り付けられており、これにより第1ハウジング21は、第2ハウジング31に固定されている。
【0037】
また、第1ハウジング21の内側には軸受60が配置されており、軸受60は、スタブシャフト87と第1ハウジング21との間に配置されている。スタブシャフト87は、第1ハウジング21との間に配置される軸受60を介して第1ハウジング21に回転自在に支持されている。スタブシャフト87と第1ハウジング21との間に配置される軸受60は、いわゆる転がり軸受になっており、外輪60aと、内輪60bと、外輪60aと内輪60bとの間に配置されて外輪60aと内輪60bとにより保持される複数の転動体60cとを有している。軸受60は、内輪60bがスタブシャフト87に固定され、外輪60aが第1ハウジング21に固定されることにより、スタブシャフト87を第1ハウジング21に対して回転自在に支持している。
【0038】
また、第2ハウジング31の内側には軸受65が配置されており、軸受65は、第1ピニオンギア88aと第2ハウジング31との間に配置されている。第1ピニオンギア88aは、第2ハウジング31との間に配置される軸受65を介して第2ハウジング31に回転自在に支持されている。第1ピニオンギア88aと第2ハウジング31との間に配置される軸受65は、いわゆる転がり軸受になっており、外輪65aと、内輪65bと、外輪65aと内輪65bとの間に配置されて外輪65aと内輪65bとにより保持される複数の転動体65cとを有している。軸受65は、内輪65bが第1ピニオンギア88aに固定され、外輪65aが第2ハウジング31に固定されることにより、第1ピニオンギア88aを第2ハウジング31に対して回転自在に支持している。
【0039】
スタブシャフト87は、第1ハウジング21に回転自在に支持され、第1ピニオンギア88aは、第2ハウジング31に回転自在に支持されるため、トーションバー87aを介して連結されるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、一体となって第1ハウジング21と第2ハウジング31とに回転自在に支持されている。
【0040】
ハウジング20は、車体に対して回転不可の状態で取り付けられ、第1ハウジング21に配置される軸受60と第2ハウジング31に配置される軸受65とによって、ハウジング20はスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aを回転自在に支持する。
【0041】
トルクセンサ10は、第1ハウジング21内に配置されており、第1のシャフトであるスタブシャフト87と、トーションバー87aを介してスタブシャフト87に連結される第2のシャフトである第1ピニオンギア88aとの端部付近に配置されている。スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、いずれも中空となる部分を有する軸になっており、一方の軸の端部が、他方の軸の端部から当該軸の内側に入り込んでいる。本実施形態では、スタブシャフト87の端部が、第1ピニオンギア88aの内側に入り込んでいる。
【0042】
トーションバー87aは、スタブシャフト87の内側から第1ピニオンギア88aの内側に亘って配置されており、一端がスタブシャフト87に連結され、他端が第1ピニオンギア88aに連結されている。つまり、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、直接連結されておらず、軸状の部材であるトーションバー87aを介して連結されている。このため、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aは相対回転が可能になっており、トーションバー87aに捩じれが発生した際には、トーションバー87aの捩じれに伴って、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは相対回転をする。
【0043】
トルクセンサ10は、これらのようにトーションバー87aを介して連結されるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの端部付近に配置されており、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの相対回転の角度を検出することにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用するトルクを検出することが可能になっている。
【0044】
トルクセンサ10は、マグネット56と、ステータアッセンブリ50(
図3参照)と、集磁ヨーク43(
図3参照)とを有している。マグネット56とステータアッセンブリ50とは、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとに分かれてそれぞれ取り付けられている。集磁ヨーク43は、集磁ヨークアッセンブリ40が有するセンサハウジング41に取り付けられており、これにより、集磁ヨーク43は、集磁ヨークアッセンブリ40に含まれている。集磁ヨーク43は、集磁ヨークアッセンブリ40が第1ハウジング21に取り付けられることにより、集磁ヨーク43は第1ハウジング21に固定されている。
【0045】
集磁ヨークアッセンブリ40は、第1ハウジング21に対して着脱自在に取り付けされる。集磁ヨークアッセンブリ40は、第1ハウジング21に取り付けた際には、第1ハウジング21が有する収容部25に収容される。収容部25は、第1ハウジング21における、第2ハウジング31に連結される部分の近傍に配置され、第1ハウジング21の外周面から径方向における外側に突出して形成されている。第1ハウジング21が有する収容部25は、第1ハウジング21の内側に連通する空間が収容部25の内側に形成されており、集磁ヨークアッセンブリ40は、このように形成される収容部25の内側に配置されることにより収容部25に収容される。
【0046】
さらに、第1ハウジング21が有する収容部25には、磁気シールドカバー70が取り付けられている。磁気シールドカバー70は、金属製の板部材が折り曲げられることにより形成されている。収容部25は、軸方向における両側が、収容部25に取り付けられる磁気シールドカバー70によって覆われている。
【0047】
これらのように構成されるトルクセンサ10は、トーションバー87aが捩じれてスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対回転をした際における磁気の変化に基づいて、トルクの検出を行うことが可能になっている。
【0048】
図3は、トルクセンサ10が有するマグネット56とステータアッセンブリ50及び集磁ヨーク43の概要を説明する模式図である。トルクセンサ10が有するマグネット56とステータアッセンブリ50とは、一方が第1のシャフトに取り付けられており、他方が第2のシャフトに取り付けられている。本実施形態では、マグネット56は、第1のシャフトであるスタブシャフト87に取り付けられており、ステータアッセンブリ50は、第2のシャフトである第1ピニオンギア88aに取り付けられている。このうち、マグネット56は、略円筒状の形状で形成されており、複数のN極とS極とが周方向に交互に配置された多極磁石になっている。
【0049】
ステータアッセンブリ50は、一対のステータ部材51を有している。一対のステータ部材51は、それぞれフランジ部52と、ティース部53とを有している。フランジ部52は、厚み方向が軸方向となる、円環状の板状の形状で形成されている。ティース部53は、円環状のフランジ部52の内周部分からフランジ部52の軸方向に向かって延出し、板の厚み方向がフランジ部52の径方向となる向きとなる板状の形状で形成されている。また、ティース部53は、複数のティース部53が間隔をあけてフランジ部52の周方向に並んで配置されている。ティース部53は、フランジ部52の内周部分から軸方向に向かって延出するため、換言すると、フランジ部52は、ティース部53から径方向における外側に向かって突出して形成されている。
【0050】
それぞれのステータ部材51がこのように形成される一対のステータ部材51は、同等の形状で形成される第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとを有している。一対のステータ部材51である第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとは、それぞれフランジ部52とティース部53とを有している。即ち、第1ステータ部材51aは、円環状の第1フランジ部52aと複数の第1ティース部53aとを有しており、第2ステータ部材51bは、円環状の第2フランジ部52bと複数の第2ティース部53bとを有している。第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとは、双方のフランジ部52が同軸上に位置し、且つ、フランジ部52が他方のステータ部材51から離れる方向に位置する向きで、いずれも同じシャフトに取り付けられる。本実施形態では、第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとは、いずれも第1ピニオンギア88aに取り付けられる。
【0051】
つまり、第1ステータ部材51aは、第1ティース部53aが第1フランジ部52aから第2ステータ部材51b側に向かって延出する向きで配置され、第2ステータ部材51bは、第2ティース部53bが第2フランジ部52bから第1ステータ部材51a側に向かって延出する向きで配置される。その際に、第1ティース部53aと第2ティース部53bとは、いずれも複数が間隔をあけて第1フランジ部52aや第2フランジ部52bに設けられるため、第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとは、周方向において他方のステータ部材51のティース部53が位置しない部分に、自己のステータ部材51のティース部53が位置するように組み合わされる。
【0052】
スタブシャフト87に取り付けられるマグネット56は、このように組み合わされる第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとの内側に配置される。また、マグネット56とステータ部材51とは、軸方向がスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸方向と一致する向きで配置される。これらのため、マグネット56とステータ部材51とは、マグネット56の外周面がステータ部材51のティース部53に対して対向する位置関係となる状態で、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとに取り付けられて配置される。マグネット56とステータ部材51とは、これらの位置関係で配置されることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間でトーションバー87aを介してトルクが伝達されてスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対的に微小に回転をした際には、マグネット56とステータ部材51との相対的な位置関係が変化することに伴って、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束が変化する。
【0053】
また、ステータ部材51の近傍には、集磁ヨークアッセンブリ40が有する集磁ヨーク43が配置される。集磁ヨーク43は、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束の変化を検出するための部材になっており、ステータ部材51が有するフランジ部52の近傍に配置される。ステータ部材51としては、第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとの一対が設けられているため、これに対応して集磁ヨーク43も、第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとの一対が設けられている。即ち、集磁ヨーク43は、第1ステータ部材51aが有する第1フランジ部52aの近傍には第1集磁ヨーク43aが配置され、第2ステータ部材51bが有する第2フランジ部52bの近傍には第2集磁ヨーク43bが配置されている。
【0054】
一対の集磁ヨーク43は、それぞれステータ部材51が有するフランジ部52に対して、軸方向において隙間を有してフランジ部52と重なっている。また、一対の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51のそれぞれが有するフランジ部52に対して一対一の関係を有しており、一対の集磁ヨーク43は、対応するステータ部材51のフランジ部52に対して、それぞれ軸方向における同じ側からフランジ部52に対向して配置されている。本実施形態では、一対の集磁ヨーク43のうちの一方の集磁ヨーク43である第1集磁ヨーク43aは、一対のステータ部材51のうちの一方のステータ部材51である第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aに対して、軸方向における一方側から第1フランジ部52aに対向している。また、一対の集磁ヨーク43のうちの他方の集磁ヨーク43である第2集磁ヨーク43bは、一対のステータ部材51のうちの他方のステータ部材51である第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して、軸方向における一方側から第2フランジ部52bに対向している。
【0055】
詳しくは、一対の集磁ヨーク43は、周方向における所定の範囲でステータ部材51のフランジ部52に重なる集磁部43aa、43baを有しており、集磁部43aa、43baが、軸方向においてフランジ部52に対向している。即ち、第1集磁ヨーク43aは、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aに重なる集磁部43aaを有しており、第1集磁ヨーク43aは、第1ステータ部材51aのフランジ部52に対して、軸方向における一方側からの集磁部43aaが第1フランジ部52aに対向している。同様に、第2集磁ヨーク43bは、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに重なる集磁部43baを有しており、第2集磁ヨーク43bは、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して、軸方向における一方側からの集磁部43baが第2フランジ部52bに対向している。
【0056】
このように、フランジ部52の近傍に集磁ヨーク43が位置することにより、一対の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51とマグネット56との相対的な位置変化に応じた磁束の変化を検出することが可能になっている。つまり、集磁ヨーク43は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対的に微小に回転をした際における、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束が変化を検出することが可能なっている。
【0057】
さらに、2つの集磁ヨーク43の間には、ホールIC45が配置されている。ホールIC45は、集磁ヨーク43における集磁部43aa、43baから離れた位置で、集磁ヨーク43同士の間に配置されている。つまり、ホールIC45は、集磁ヨーク43が有する第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとによって挟み込まれている。ホールIC45は、集磁ヨーク43で検出した磁束の変化を検出するホール素子(図示省略)と、磁束の変化に応じてホール素子より出力される出力電圧をデジタル電気信号に変換する出力回路(図示省略)とを有している。これにより、ホールIC45は、2つの集磁ヨーク43に作用する磁束密度の変化を検出し、検出した磁束密度の変化を電気信号に変換して電気信号として出力することが可能になっている。なお、ホールICに代えて、磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果を応用した磁気センサを用いることができる。要するに、集磁ヨーク43の間に生じる磁束密度の変化を、電気信号として出力することができればよい。
【0058】
図4は、
図2に示すトルクセンサ10周りの詳細図である。マグネット56は、第1スリーブ57によってスタブシャフト87に取り付けられている。第1スリーブ57は、筒状の部材になっており、第1スリーブ57に対してスタブシャフト87を圧入することにより、第1スリーブ57はスタブシャフト87に取り付けられている。マグネット56は、第1スリーブ57の外周面に、例えば接着剤により固定されており、これにより、マグネット56は、スタブシャフト87と一体となって回転可能になっている。
【0059】
ステータアッセンブリ50が有する一対のステータ部材51は、第2スリーブ54とキャリア55とによっていずれも第1ピニオンギア88aに取り付けられている。第2スリーブ54は、筒状の部材になっており、第2スリーブ54に対して第1ピニオンギア88aを圧入することにより、第2スリーブ54は第1ピニオンギア88aに取り付けられている。キャリア55は、筒状の部材になっており、射出成形により第2スリーブ54と一体に形成されている。このため、キャリア55は、第2スリーブ54が第1ピニオンギア88aに取り付けられることにより、第2スリーブ54と共にキャリア55も第1ピニオンギア88aに取り付けられる。
【0060】
第2スリーブ54によって第1ピニオンギア88aに取り付けられるキャリア55は、第2スリーブ54に支持されることにより、第1ピニオンギア88aからスタブシャフト87側に向かった位置に配置され、スタブシャフト87の径方向における外側の位置に配置される。さらに、キャリア55は、軸方向においてマグネット56が位置する位置と同じ位置に配置されており、マグネット56の径方向に外側に配置されている。
【0061】
一対のステータ部材51は、このように配置されるキャリア55に取り付けられている。詳しくは、第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとのそれぞれのステータ部材51は、ティース部53がキャリア55の径方向における内側に位置し、フランジ部52が、キャリア55の径方向における内側から外側に向かって突出する形態で、キャリア55に取り付けられている。これにより、一対のステータ部材51である第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bはいずれも、軸方向においてマグネット56が位置する位置と同じ位置に配置され、マグネット56の径方向に外側に配置される。
【0062】
また、第1ステータ部材51aと第2ステータ部材51bとは、第1ピニオンギア88aに取り付けられる第2スリーブ54と一体に形成されるキャリア55に取り付けられるため、第1ピニオンギア88aと一体となって回転可能になっている。このように第1ピニオンギア88aと一体となって回転可能に配置される一対のステータ部材51は、換言すると、それぞれ第1ピニオンギア88aの径方向における外側に突出するフランジ部52を備え、且つ、第1ピニオンギア88aに固定されている。
【0063】
これらのように、マグネット56はスタブシャフト87に固定され、ステータ部材51は第1ピニオンギア88aに固定されることにより、マグネット56とステータ部材51とは、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aと共にハウジング20の内側に配置される。
【0064】
第2ハウジング31における、軸方向において第1ハウジング21と連結される側の端部寄りの位置は、内面側にインロー凹部32が形成されている。インロー凹部32は、後述する第1ハウジング21のインロー凸部22が入り込む凹部になっている。
【0065】
第2ハウジング31に内面における、インロー凹部32よりも軸方向において第1ハウジング21と連結される側の反対側の位置には、軸受格納凹部35が形成されている。軸受格納凹部35は、径方向における大きさがインロー凹部32よりも小さくなっている。
【0066】
軸受格納凹部35は、第1ピニオンギア88aを支持する軸受65を格納することが可能になっている。第1ピニオンギア88aには、軸受65の内輪65bが組み付けられ、軸受格納凹部35は、軸受65の外輪65aが格納される。このため、軸受格納凹部35の内径は、軸受65の外輪65aの外径と同程度の大きさになっている。
【0067】
また、軸受格納凹部35は、軸受65の外輪65aにおける、軸方向において第1ハウジング21が位置する側の反対側の面に対向し、軸受65の外輪65aに対して軸方向から当接する面を有している。このため、軸受格納凹部35は、軸受65の外輪65aが嵌め込まれ、軸受65の外輪65aにおける、軸方向において第1ハウジング21が位置する側の反対側の面に当接することにより、軸受格納凹部35に軸受65が格納される。
【0068】
第2ハウジング31の内面における、軸受格納凹部35よりも軸方向において第1ハウジング21が位置する側の位置には、雌ねじ34が形成されており、当該雌ねじ34には、カバースクリュ66が螺合する。
【0069】
カバースクリュ66は、内径が第1ピニオンギア88aの外径より大きく、外周面に、第2ハウジング31の雌ねじ34と螺合する雄ねじ67が形成される円環状の形状で形成されている。カバースクリュ66は、外周面の雄ねじ67が第2ハウジング31の内周面の雌ねじ34に螺合することによって、第2ハウジング31の内側に配置される。第2ハウジング31の内側に配置されるカバースクリュ66の内側には、第1ピニオンギア88aが軸方向に通って配置される。
【0070】
第2ハウジング31の内側に配置されるカバースクリュ66は、軸受格納凹部35に格納される軸受65の外輪65aに対して、軸方向において第1ハウジング21が位置する側から当接する。これにより、カバースクリュ66は、軸受65の軸方向における移動を規制し、軸受65を第2ハウジング31との間で軸方向に挟み込んで固定する。
【0071】
インロー凹部32は、第2ハウジング31の内周面に形成される雌ねじ34よりも、第2ハウジング31における第1ハウジング21が配置される端部側に形成されている。第2ハウジング31に固定される第1ハウジング21には、インロー凹部32に入り込むインロー凸部22が形成されている。インロー凸部22は、軸方向において第1ハウジング21から第2ハウジング31が位置する側に向かって突出して形成されており、第1ハウジング21は、インロー凸部22がインロー凹部32に入り込むことにより、第2ハウジング31に対する径方向への位置決めが行われる。
【0072】
インロー凸部22は、円筒状に形成されて第1ハウジング21から突出しており、外径が、インロー凹部32の内径よりも僅かに小さくなっている。インロー凸部22の外周面には、シール部材であるOリング23が嵌り込む溝部が形成されており、インロー凸部22は、溝部にOリング23が嵌り込んだ状態で、インロー凹部32に入り込む。これにより、インロー凸部22がインロー凹部32に入り込んだ状態では、Oリング23によって第1ハウジング21と第2ハウジング31との間のシール性が確保される。
【0073】
第1ハウジング21と第2ハウジング31とは、第1ハウジング21のインロー凸部22が第2ハウジング31のインロー凹部32に入り込んだ状態で、取付けボルト37(
図6参照)によって第1ハウジング21を第2ハウジング31に取り付けることにより、第1ハウジング21と第2ハウジング31との連結が行われる。
【0074】
第1ハウジング21に形成される収容部25に収容される集磁ヨークアッセンブリ40は、収容部25に収容された状態において、第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとによって、ホールIC45を軸方向における両側から挟み込む向きで収容部25に取り付けられる。詳しくは、ホールIC45は、集磁ヨークアッセンブリ40が有する回路基板44に配置されており、回路基板44は、集磁ヨークアッセンブリ40が有するセンサハウジング41に取り付けられている。
【0075】
また、一対の集磁ヨーク43は、ホールIC45を回路基板44の厚み方向における両側から第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとで挟み込む向きで、センサハウジング41に取り付けられている。本実施形態では、第1集磁ヨーク43aが軸方向においてスタブシャフト87が位置する側に位置し、第2集磁ヨーク43bが軸方向において第1ピニオンギア88aが位置する側に位置している。集磁ヨークアッセンブリ40は、ホールIC45が配置される回路基板44の厚み方向が軸方向になる向きで収容部25に収容されており、これにより、第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとは、集磁ヨークアッセンブリ40が収容部25に収容された状態では、ホールIC45を軸方向における両側から挟み込む。
【0076】
また、第1ハウジング21の収容部25は、軸方向における位置が、ハウジング20内に配置されるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aに固定されるマグネット56やステータ部材51の軸方向における位置に対して近い位置となって、径方向における外側に突出して形成されている。これにより、収容部25は、集磁ヨークアッセンブリ40を収容部25に収容する状態において、集磁ヨークアッセンブリ40が有する第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとを、第1ピニオンギア88aに固定される第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aと第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bとの近傍に配置することができる。
【0077】
本実施形態では、第1集磁ヨーク43aは、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aよりも軸方向において第2集磁ヨーク43bが位置する側の反対側の位置で、第1フランジ部52aの近傍に配置されている。また、第2集磁ヨーク43bは、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bよりも軸方向において第1集磁ヨーク43aが位置する側の位置で、第2フランジ部52bの近傍に配置されている。
【0078】
収容部25に収容される集磁ヨークアッセンブリ40は、蓋部42を有している。蓋部42は、センサハウジング41に取り付けられる回路基板44を覆う部材になっている。集磁ヨークアッセンブリ40は、回路基板44に対して軸方向における第2ハウジング31が位置する側の反対側に配置されて回路基板44を覆う第1蓋部42aと、回路基板44に対して軸方向における第2ハウジング31が位置する側に配置されて回路基板44を覆う第2蓋部42bとを有している。
【0079】
また、収容部25に収容される集磁ヨークアッセンブリ40のセンサハウジング41の外周面と、収容部25の内周面との間には、双方に当接するシール部材であるOリング47が配置されている。Oリング47は、蓋部42が配置される位置よりも、径方向における外側に配置されている。
【0080】
詳しくは、集磁ヨークアッセンブリ40のセンサハウジング41には、蓋部42が配置される位置よりも径方向における外側の部分の外周面に、段付き部41dが形成されている。段付き部41dは、段付き部41dより径方向における外側に位置する部分よりも、外周面が一段下がって形成される部分になっている。即ち、段付き部41dは、センサハウジング41の外周面が一周に亘って切り欠かれた切欠き状の形状で形成されている。Oリング47は、内周面がセンサハウジング41の段付き部41dの嵌め込まれることによりセンサハウジング41に当接し、外周面が収容部25の内周面に当接することにより、センサハウジング41の外周面と収容部25の内周面との双方に当接している。
【0081】
第1ハウジング21の収容部25に取り付けられる磁気シールドカバー70は、第1シールド部71と第2シールド部72とを有している。第1シールド部71は、軸方向において第2ハウジング31が位置する側の反対側から収容部25を覆う部分になっている。第2シールド部72は、軸方向において第2ハウジング31が位置する側から収容部25を覆う部分になっている。これにより、集磁ヨークアッセンブリ40を収容する収容部25は、軸方向における両側が、収容部25に取り付けられる磁気シールドカバー70によって覆われている。
【0082】
次に、集磁ヨークアッセンブリ40の構成について説明する。
図5は、集磁ヨークアッセンブリ40の分解斜視図である。なお、
図5は、回路基板44を図示するために、
図4や後述する
図6、
図7に示す集磁ヨークアッセンブリ40に対して、軸方向における反対側から見た斜視図になっている。集磁ヨークアッセンブリ40は、センサハウジング41と、蓋部42と、集磁ヨーク43と、回路基板44と、接続端子46とを有している。
【0083】
センサハウジング41は、取付フランジ41aと、コネクタ部41bと、基板配置部41cとを有している。取付フランジ41aは、集磁ヨークアッセンブリ40を収容部25に対して径方向における外側から取り付ける部分になっている。集磁ヨークアッセンブリ40は、径方向における外側から収容部25に挿入され、取付フランジ41aが第1ハウジング21に取り付けられることにより、第1ハウジング21に取り付けられる。
【0084】
取付フランジ41aは、厚み方向が径方向となる向きで形成される板状の部材になっている。取付フランジ41aには、取付フランジ41aの厚み方向に貫通し、ブッシュ48が配置されるブッシュ挿入孔41aaが形成されている。ブッシュ挿入孔41aaは、収容部25に形成される、後述する2箇所のねじ孔27(
図7参照)に対応する2箇所の位置に形成されている。ブッシュ挿入孔41aaに配置されるブッシュ48は、金属材料からなる略円筒形の形状で形成される部材になっており、ブッシュ挿入孔41aaに挿入されブッシュ挿入孔41aaで保持される。
【0085】
コネクタ部41bと基板配置部41cとは、板状の取付フランジ41aに対して、取付フランジ41aの厚み方向における互いに反対側に配置されている。コネクタ部41bは、トルクセンサ10からの電気信号を外部に出力するための外部のコネクタ(図示省略)が接続される部分になっている。コネクタ部41bは、取付フランジ41aに形成される2箇所のブッシュ挿入孔41aaの間に配置されており、取付フランジ41aから径方向における外側、即ち、取付フランジ41aの厚み方向における基板配置部41cが位置する側の反対側に突出して形成されている。
【0086】
基板配置部41cは、軸方向に見た場合における形状が略矩形の枠状に形成され、回路基板44は、枠状に形成される基板配置部41cの内側に配置される。一対の集磁ヨーク43は、基板配置部41cに配置される回路基板44に対して、第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとが、軸方向において回路基板44の両側に配置されている。回路基板44の両側に配置される第1集磁ヨーク43aと第2集磁ヨーク43bとは、回路基板44を両側から挟み込んだ状態で、それぞれ基板配置部41cに取り付けられている。
【0087】
蓋部42は、枠状に形成される基板配置部41cを、軸方向における両側から塞いでセンサハウジング41に取り付けられる回路基板44を覆う部材になっており、第1蓋部42aと第2蓋部42bとを有している。第1蓋部42aは、基板配置部41cに対して、第1集磁ヨーク43aが配置される側に配置されて基板配置部41cに取り付けられ、第2蓋部42bは、基板配置部41cに対して、第2集磁ヨーク43bが配置される側に配置されて基板配置部41cに取り付けられる。これにより、枠状に形成されて回路基板44と集磁ヨーク43とが配置される基板配置部41cは、軸方向における両側から第1蓋部42aと第2蓋部42bとによって塞がれる。
【0088】
また、センサハウジング41が有するコネクタ部41bには、外部のコネクタとの間で電気的に接続される接続端子46が配置される。接続端子46は、複数の端子ピン46aと、これらの複数の端子ピン46aを一体に保持する保持部材46bとを有している。接続端子46は、センサハウジング41が有するコネクタ部41bの内側に配置され、基板配置部41cに配置される回路基板44に対して端子ピン46aの一端側が接続される。接続端子46が有する端子ピン46aの他端側は、コネクタ部41bに接続される外部のコネクタに対して、電気的に接続することが可能になっている。
【0089】
本実施形態では、端子ピン46aはL字状に形成されており、回路基板44に接続される側の部分は、回路基板44に対して回路基板44の厚み方向に接続される。端子ピン46aにおける、外部のコネクタに対して電気的に接続される側の部分は、径方向に延びて配置される。これにより、接続端子46は、回路基板44と外部のコネクタとを、電気的に接続することが可能になっている。
【0090】
次に、第1ハウジング21に対する集磁ヨークアッセンブリ40の取り付けの構成について説明する。
図6は、第1ハウジング21に対して集磁ヨークアッセンブリ40が取り付けられている部分の詳細図である。
図7は、
図6に示す第1ハウジング21に集磁ヨークアッセンブリ40を取り付ける前の状態を示す詳細図である。集磁ヨークアッセンブリ40は、第1ハウジング21有する収容部25に収容されて収容部25に取り付けられる。
【0091】
収容部25における集磁ヨークアッセンブリ40が取り付けられる部分には、径方向における外側に向けて開口する開口部26(
図7参照)が形成されている。収容部25の開口部26は、収容部25の内側の空間の開口部分になっている。また、収容部25の径方向における外側の面には、開口部26の側方に、集磁ヨークアッセンブリ40を収容部25に取り付ける取付けボルト78が螺合するねじ孔27が形成されている。
【0092】
集磁ヨークアッセンブリ40は、収容部25に対して径方向における外側から取り付けられる取付フランジ41aを有しており、取付けボルト78を収容部25のねじ孔27に螺合させることによって収容部25に取り付けられる。詳しくは、集磁ヨークアッセンブリ40を収容部25に取り付ける際には、取付フランジ41aが有する2箇所のブッシュ挿入孔41aa(
図5参照)に金属材料からなるブッシュ48を挿入し、ブッシュ挿入孔41aaにブッシュ48を配置する。
【0093】
集磁ヨークアッセンブリ40を収容部25に取り付ける際には、集磁ヨークアッセンブリ40を、コネクタ部41bが径方向における外側に位置する向きで、基板配置部41cを収容部25の開口部26から収容部25の内側に挿入する。これにより、集磁ヨークアッセンブリ40における、集磁ヨーク43や回路基板44が配置される基板配置部41cは、収容部25に収容される。さらに、集磁ヨークアッセンブリ40の取付フランジ41aに配置されるブッシュ挿入孔41aaに取付けボルト78を通し、取付けボルト78を収容部25のねじ孔27に螺合させる。これにより、集磁ヨークアッセンブリ40は第1ハウジング21の収容部25に取り付けられ、第1ハウジング21に固定される。
【0094】
収容部25の内側に基板配置部41cが収容される状態で第1ハウジング21に固定される集磁ヨークアッセンブリ40は、集磁ヨークアッセンブリ40が有する一対の集磁ヨーク43の集磁部43aa、43ba(
図5参照)が、一対のステータ部材51がそれぞれ有するフランジ部52の近傍に位置する状態で、第1ハウジング21に固定される。これにより、一対の集磁ヨーク43は、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaと第2集磁ヨーク43bの集磁部43baとのそれぞれが、一対のステータ部材51のフランジ部52に対して軸方向において隙間を有して重なる状態で、第1ハウジング21に固定される。
【0095】
集磁ヨークアッセンブリ40が第1ハウジング21に取り付けられた状態では、集磁ヨークアッセンブリ40が有するコネクタ部41bは、収容部25の外部に露出して配置される。コネクタ部41bには、トルクセンサ10からの電気信号をECU100に伝達する信号線のコネクタが接続されることにより、コネクタ部41bに配置される接続端子46は、電気信号をECU100に伝達する信号線に対して、電気的に接続される。
【0096】
次に、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置関係について説明する。
図8は、ステータ部材51のフランジ部52と一対の集磁ヨーク43との相対的な位置関係を示す模式図である。一対の集磁ヨーク43は、それぞれ一対のステータ部材51のフランジ部52の近傍で、フランジ部52に対して軸方向における同じ方向側から対向して配置されている。つまり、第1集磁ヨーク43aは、集磁部43aaが第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aの近傍の位置で第1フランジ部52aとの間に隙間をあけて、第1フランジ部52aに対して軸方向における一方側から対向している。また、第2集磁ヨーク43bは、集磁部43baが第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bの近傍の位置で第2フランジ部52bとの間に隙間をあけて、第2フランジ部52bに対して軸方向における一方側から対向している。
【0097】
本実施形態では、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaと第2集磁ヨーク43bの集磁部43baとは、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aや第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して、軸方向において、第2ハウジング31の内側に配置される軸受65が位置する側の反対側から対向している。
【0098】
また、一対の集磁ヨーク43と一対のステータ部材51とは、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaと第2集磁ヨーク43bの集磁部43baとの軸方向における間隔と、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aと第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bとの間隔とが、同程度の大きさになっている。このため、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaと第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aとの軸方向におけるギャップGaと、第2集磁ヨーク43bの集磁部43baと第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bとの軸方向におけるギャップGbとは、同程度の大きさになっている。
【0099】
次に、操舵装置80の作用について説明する。操舵装置80が搭載される車両の運転時に、ステアリングホイール81が操作をされた場合は、ステアリングホイール81に付与された操舵力は、ステアリングホイール81からステアリングシャフト82に伝えられる。ステアリングシャフト82に伝えられた操舵力は、操舵トルクとしてステアリングシャフト82からインタミシャフト85に伝達され、インタミシャフト85からスタブシャフト87を経て第1ピニオンギア88aに伝達される。これにより、第1ピニオンギア88aを有するステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aから伝達された回転運動を、ラックバー88bの直線運動に変換し、タイロッド89を動作させる。
【0100】
また、本実施形態に係る操舵装置80は、運転者の操舵をアシストする補助操舵トルクを発生させる電動モータ102を有している。電動モータ102は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aと間に亘って配置されるトルクセンサ10により検出した操舵トルクに基づいて補助操舵トルクを発生する。
【0101】
トルクセンサ10は、スタブシャフト87に付与された操舵トルクを、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対回転した際における相対回転の角度に基づいて検出する。即ち、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トーションバー87aを介して連結されているため、スタブシャフト87に操舵トルクが付与された際には、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間では、トーションバー87aを介して操舵トルクが伝達される。その際に、トーションバー87aが僅かに捩じれることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、相対回転をする。
【0102】
トルクセンサ10は、マグネット56がスタブシャフト87に取り付けられ、ステータ部材51が第1ピニオンギア88aに取り付けられることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対回転をした際には、トルクセンサ10が有するマグネット56とステータ部材51も、相対的に回転をする。マグネット56とステータ部材51と相対回転の角度は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用する操舵トルクが大きくなるに従って相対回転の角度が大きくなる。
【0103】
マグネット56とステータ部材51とが相対回転した場合は、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束が変化する。ステータ部材51の近傍に配置される一対の集磁ヨーク43は、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束の変化を検出することが可能になっている。つまり、第1集磁ヨーク43aは、マグネット56から第1ステータ部材51aに作用する磁束の変化を、集磁部43aaによって第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aから検出することができ、第2集磁ヨーク43bは、マグネット56から第2ステータ部材51bに作用する磁束の変化を、集磁部43baによって第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bから検出することができる。このため、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの相対回転に伴ってマグネット56とステータ部材51が相対回転をした際には、ステータ部材51の近傍に配置される一対の集磁ヨーク43は、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束の変化を検出することができる。
【0104】
このように、一対の集磁ヨーク43で検出する、マグネット56からステータ部材51に対して作用する磁束は、マグネット56とステータ部材51と相対回転の角度に応じて変化する。ホールIC45は、集磁ヨーク43によって検出したマグネット56とステータ部材51との相対回転の角度に応じて変化する磁束を、ホール素子で検出すると共に出力回路で電気信号に変換し、接続端子46から第1ハウジング21の外部に伝達してECU100に伝達する。つまり、トルクセンサ10は、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束の変化を集磁ヨーク43とホールIC45とで検出することにより、スタブシャフト87に付与された操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクを電気信号としてECU100に伝達する。
【0105】
ECU100は、トルクセンサ10から伝達された電気信号に基づいて電動モータ102を作動させ、電動モータ102に補助操舵トルクを発生させる。つまり、トルクセンサ10のホールIC45からECU100に伝達された電気信号は、マグネット56とステータ部材51との相対回転の角度に応じて変化し、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用する操舵トルクTに基づいて変化する。このため、ECU100は、トルクセンサ10のホールIC45から伝達された電気信号を、スタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aに作用する操舵トルクTによって変化する情報として使用し、ホールIC45から伝達される電気信号に基づいて電動モータ102へ供給する電力値Xを調節し、電動モータ102に補助操舵トルクを発生させる。
【0106】
即ち、ECU100は、トルクセンサ10から操舵トルクTの信号を取得し、車速センサ101から車両の車速信号Vを取得し、さらに、電動モータ102に設けられた回転検出装置から電動モータ102の動作情報Yを取得し、これらの動作情報Yと操舵トルクTと車速信号Vとに基づいて電動モータ102に補助操舵トルクを発生させる。電動モータ102で発生した補助操舵トルクは、第2ピニオンギア88cに伝達される。第2ピニオンギア88cを有するステアリングギア88は、第2ピニオンギア88cから伝達された回転運動を、ラックバー88bの直線運動に変換する。これにより、運転者がステアリングホイール81に付与した操舵力は、電動モータ102で発生した補助操舵トルクによりアシストされる。
【0107】
ここで、トルクセンサ10によって操舵トルクを検出する際における検出精度は、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを極力小さくすることにより、ステータ部材51を通る磁束を集磁ヨーク43によって効率良く集磁することができ、操舵トルクの検出精度を高めることができる。しかし、集磁ヨーク43はハウジング20に固定されており、ステータ部材51は第1ピニオンギア88aに固定されている。このため、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを小さくした場合、軸方向におけるハウジング20と第1ピニオンギア88aとの相対的な位置関係が規定の位置関係からずれた際に、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とが衝突してしまうことが考えられる。
【0108】
例えば、軸受65は、外輪65aや内輪65bと転動体65cとの間の隙間である内部隙間に応じて外輪65aと内輪65bとが軸方向に相対的に動くことができるため、軸受65によって回転自在に支持される第1ピニオンギア88aは、軸受65に内部隙間に応じて、ハウジング20に対して軸方向に相対移動することができる。このため、第1ピニオンギア88aを支持する軸受65に、内部隙間が大きい軸受65が用いられる場合、第1ピニオンギア88aに固定されるステータ部材51は、ハウジング20に固定される集磁ヨーク43に対して、軸方向における相対的な位置が大きくずれてしまい、相対的な位置が設計時の位置から大きくずれてしまうことがある。この場合、ステータ部材51は、ステータ部材51のフランジ部52が集磁ヨーク43に対して衝突してしまうことが考えられる。
【0109】
このため、トルクセンサ10が搭載される車種が、トルクの検出精度が低分解能でもよい車種の場合は、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを大きくすることにより、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突を回避することができる。つまり、トルクの検出精度が低分解能でもよい車種では、ステータ部材51を通る磁束を集磁ヨーク43によって検出する際の検出精度が低くてもよいため、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを大きく設定することができる。これにより、第1ピニオンギア88aに固定されるステータ部材51が、ハウジング20に固定される集磁ヨーク43に対して、軸方向における相対的な位置が設計時の位置から大きくずれた場合でも、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とが衝突することを回避することができる。
【0110】
一方で、トルクセンサ10が搭載される車種が、トルクを高分解能で検出する必要がある車種の場合は、ステータ部材51を通る磁束を集磁ヨーク43によって検出する際に、高い精度で検出する必要がある。このため、高分解能でトルクを検出する必要がある車種に搭載されるトルクセンサ10では、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを、極力小さくする必要がある。本実施形態では、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と、ギャップGa、Gbが小さいトルクセンサ10とで、集磁ヨーク43やステータ部材51に互いに同じものを用いることができる。
【0111】
図9は、高分解能でトルクを検出するトルクセンサ10のステータ部材51のフランジ部52と一対の集磁ヨーク43との相対的な位置関係を示す模式図である。集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを小さくするトルクセンサ10では、ギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と比較して、集磁ヨーク43全体を、軸方向において集磁部43aa、43baをステータ部材51のフランジ部52に近付けることができる位置に配置する。つまり、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを小さくするトルクセンサ10では、ギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と比較して、ハウジング20に固定する集磁ヨークアッセンブリ40を、ギャップGa、Gbを小さくすることができる方向に軸方向にずらした位置に固定する。
【0112】
本実施形態では、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaと第2集磁ヨーク43bの集磁部43baとは、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aや第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して、軸方向において、第2ハウジング31の内側に配置される軸受65が位置する側の反対側から対向している。このため、ギャップGa、Gbを小さくするトルクセンサ10では、ギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と比較して、ハウジング20に固定する集磁ヨークアッセンブリ40を、軸方向において第2ハウジング31の内側に配置される軸受65が位置する側に近付く方向にずらして固定する。
【0113】
つまり、ギャップGa、Gbを小さくするトルクセンサ10では、ギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と比較して、第1ハウジング21に形成する収容部25(
図4、
図7参照)を、軸方向において第2ハウジング31が位置する側に近付けて形成する。このように、第1ハウジング21に形成する収容部25を、軸方向において第2ハウジング31が位置する側に近付けて形成し、当該収容部25に集磁ヨークアッセンブリ40を収容して第1ハウジング21に集磁ヨークアッセンブリ40を固定することにより、集磁ヨークアッセンブリ40が有する集磁ヨーク43を、ギャップGa、Gbが大きいトルクセンサ10と比較して、軸方向において第2ハウジング31が位置する側にずらした位置に配置することができる。
【0114】
一方で、トルクセンサ10によってトルクを高分解能で検出する必要がある車種では、部品の加工精度や組み立て精度が、トルクの検出精度が低分解能でもよい車種と比較して高い傾向にある。例えば、トルクを高分解能で検出する必要がある車種では、第1ピニオンギア88aを回転自在に支持する軸受65には、トルクの検出精度が低分解能でもよい車種に用いられる軸受65と比較して、内部隙間が小さいものが用いられる。内部隙間が小さい軸受65は、内部隙間が大きい軸受65よりも外輪65aと内輪65bとが軸方向に相対的に動くことができる範囲が小さいため、軸受65により支持される第1ピニオンギア88aは、ハウジング20に対して軸方向に相対移動することができる範囲が、軸受65に内部隙間が大きいものが用いられる場合よりも小さくなる。
【0115】
このため、第1ピニオンギア88aを支持する軸受65に、内部隙間が小さい軸受65が用いられる場合、第1ピニオンギア88aに固定されるステータ部材51は、ハウジング20に固定される集磁ヨーク43に対して、軸方向における相対的な位置のずれが小さくなる。これにより、集磁ヨーク43の集磁部43aa、43baと、ステータ部材51のフランジ部52との軸方向におけるギャップGa、Gbを小さくした場合でも、ステータ部材51のフランジ部52が、集磁ヨーク43に対して衝突してしまうことを抑制することができる。
【0116】
以上のように、本実施形態に係るトルクセンサ10は、集磁ヨークアッセンブリ40が有する一対の集磁ヨーク43のうち、一方の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51のうちの一方のステータ部材51のフランジ部52に対して軸方向における一方側からステータ部材51のフランジ部52に対向している。また、集磁ヨークアッセンブリ40が有する一対の集磁ヨーク43のうち、他方の集磁ヨーク43は、一対のステータ部材51のうちの他方のステータ部材51のフランジ部52に対して軸方向における一方側からフランジ部52に対向している。つまり、一対の集磁ヨーク43は、それぞれの集磁ヨーク43が近傍に位置するステータ部材51のフランジ部52に対して、軸方向において同じ方向側からフランジ部52に対向している。
【0117】
このため、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突の回避するために、トルクセンサ10に要求されるトルクの分解能に応じてステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とのギャップGa、Gbを調整する際に、要求されるトルクの分解能に関わらず、同じ集磁ヨークアッセンブリ40を用いることができる。即ち、一対の集磁ヨーク43は、ステータ部材51のフランジ部52に対して軸方向において同じ方向側から対向しているため、ステータ部材51に対する集磁ヨークアッセンブリ40の軸方向の位置を調整することにより、2箇所のギャップGa、Gbを、互いに同じように変化させることができる。
【0118】
例えば、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aと第1集磁ヨーク43aとのギャップGaを大きくする方向に集磁ヨークアッセンブリ40の軸方向の位置を調整した場合は、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bと第2集磁ヨーク43bとのギャップGbも大きくすることができる。反対に、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aと第1集磁ヨーク43aとのギャップGaを小さく方向に集磁ヨークアッセンブリ40の軸方向の位置を調整した場合は、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bと第2集磁ヨーク43bとのギャップGbも小さくすることができる。
【0119】
これにより、必要とされるステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とのギャップGa、Gbごとに集磁ヨークアッセンブリ40やステータ部材51を用意することなく、同じ集磁ヨークアッセンブリ40とステータ部材51を用いてステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とのギャップGa、Gbを調整することができる。このため、高分解能が要求される車種に搭載されるトルクセンサ10に対しても、低分解能でよい車種に搭載されるトルクセンサ10に対しても、同じ集磁ヨークアッセンブリ40を適用することができるため、部品の製造時のコストや管理を行う際のコストを低減することができる。この結果、トルクセンサ10の仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより、製造コストや管理コストを低減することができる。
【0120】
また、ハウジング20は、第1ハウジング21と第2ハウジング31とが連結されるため、集磁ヨーク43とステータ部材51との軸方向における相対的な位置が、設計時の位置に対してずれ易くなっているが、本実施形態では、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置のずれに起因するステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突を回避することができる。つまり、集磁ヨーク43を有する集磁ヨークアッセンブリ40は第1ハウジング21に取り付けられ、ステータ部材51は、外輪65aが第2ハウジング31に固定される軸受65によって回転自在に支持される第1ピニオンギア88aに固定されており、集磁ヨーク43とステータ部材51とは、互いに異なるハウジング20に支持されている。このため、トルクセンサ10の製造時における加工公差の積み上げにより、集磁ヨーク43とステータ部材51とは、軸方向における相対的な位置が設計時の位置に対してずれ易くなっている。
【0121】
本実施形態では、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置のずれを考慮して製造した専用の集磁ヨークアッセンブリ40を用いることなく、集磁ヨークアッセンブリ40の軸方向における配置位置を調整することにより、集磁ヨーク43とステータ部材51の2箇所のギャップGa、Gbを、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置のずれを考慮した大きさにすることができる。これにより、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置にずれが発生した場合でも、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とが衝突することを回避することができる。この結果、トルクセンサ10の仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより製造コストや管理コストの低減を図りつつ、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突を抑制することができる。
【0122】
また、集磁ヨークアッセンブリ40は、第1ハウジング21の収容部25に径方向における外側から挿入され、取付フランジ41aが第1ハウジング21に取り付けられることにより第1ハウジング21に固定されるため、集磁ヨークアッセンブリ40は、取付フランジ41aに形成されるブッシュ挿入孔41aa(
図5参照)の加工公差やブッシュ挿入孔41aaに挿入されるブッシュ48(
図5参照)の加工公差に起因して、設計時の位置に対してずれたり角度が傾いたりして固定され易くなる。集磁ヨークアッセンブリ40の位置がずれたり、角度が傾いたりした場合は、集磁ヨーク43とステータ部材51と相対的な位置関係が、設計時の位置関係に対してずれることになるが、本実施形態では、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置関係のずれに起因するステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突を回避することができる。
【0123】
つまり、本実施形態では、集磁ヨークアッセンブリ40の軸方向における配置位置を調整することにより、集磁ヨーク43とステータ部材51の2箇所のギャップGa、Gbを調整することができる。このため、集磁ヨーク43とステータ部材51と相対的な位置関係ずれを考慮して製造した専用の集磁ヨークアッセンブリ40を用いることなく、集磁ヨーク43とステータ部材51の2箇所のギャップGa、Gbを、集磁ヨーク43とステータ部材51と相対的な位置関係ずれを考慮した大きさにすることができる。これにより、集磁ヨーク43とステータ部材51との相対的な位置関係にずれが発生した場合でも、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43とが衝突することを回避することができる。この結果、トルクセンサ10の仕様が異なる場合でも同種の部品を使い回すことを可能とすることにより製造コストや管理コストの低減を図りつつ、ステータ部材51のフランジ部52と集磁ヨーク43との衝突を抑制することができる。
【0124】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、一対の集磁ヨーク43は、いずれも軸方向における同じ方向側から、一対のステータ部材51のフランジ部52に対して対向しているが、一対の集磁ヨーク43が軸方向においてステータ部材51のフランジ部52に対して対向する方向は、周囲の部材の配置構成に基づいて決めるのが好ましい。例えば、一対の集磁ヨーク43は、軸方向において一対のステータ部材51から磁性体Mgまでの距離が大きい側からステータ部材51のフランジ部52に対向するのが好ましい。
【0125】
図10は、第2ハウジング31に配置される軸受65よりも第1ハウジング21に配置される軸受60の方がステータ部材51のフランジ部52までの距離が大きい状態を示す模式図である。
図11は、第1ハウジング21に配置される軸受60よりも第2ハウジング31に配置される軸受65の方がステータ部材51のフランジ部52までの距離が大きい状態を示す模式図である。一対の集磁ヨーク43は、例えば、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aを回転自在に支持する軸受60、65を、一対の集磁ヨーク43の配置の仕方の決定に用いる磁性体Mgとして用いる場合には、軸方向においてステータ部材51から離れている側の軸受60、65が位置する側から、ステータ部材51のフランジ部52に対向させてもよい。つまり、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aと第1ハウジング21に配置される軸受60との軸方向における距離をH1とし、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bと第2ハウジング31に配置される軸受65との軸方向における距離をH2とする場合に、集磁ヨーク43は、距離H1と距離H2とのうち値が大きい方の軸受60、65が位置する側から、ステータ部材51のフランジ部52に対向させてもよい。
【0126】
具体的には、距離H1と距離H2との関係が、H1>H2である場合は、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaを、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aに対して軸方向において軸受60が位置する側に配置し、第2集磁ヨーク43bの集磁部43baも、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して軸方向において軸受60が位置する側に配置する。また、距離H1と距離H2との関係が、H1<H2である場合は、第1集磁ヨーク43aの集磁部43aaを、第1ステータ部材51aの第1フランジ部52aに対して軸方向において軸受65が位置する側に配置し、第2集磁ヨーク43bの集磁部43baも、第2ステータ部材51bの第2フランジ部52bに対して軸方向において軸受65が位置する側に配置する。
【0127】
集磁ヨーク43を、ステータ部材51のフランジ部52に対してこれらのように配置することにより、磁性体Mgである軸受60、65から集磁ヨーク43を極力遠ざけることができる。これにより、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束の変化を集磁ヨーク43で検出する際に、集磁ヨーク43の近傍に磁性体Mgが配置されることに起因して、磁性体Mgによって磁束が乱れて集磁ヨーク43で検出されることを抑制することができる。この結果、マグネット56からステータ部材51に作用する磁束を集磁ヨーク43によって精度良く検出することができ、操舵トルクを適切に検出することができる。
【0128】
以上、本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。実施形態や変形例として説明した構成は、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 トルクセンサ
20 ハウジング
21 第1ハウジング
31 第2ハウジング
40 集磁ヨークアッセンブリ
41 センサハウジング
41a 取付フランジ
43 集磁ヨーク
43a 第1集磁ヨーク
43b 第2集磁ヨーク
44 回路基板
45 ホールIC
50 ステータアッセンブリ
51 ステータ部材
51a 第1ステータ部材
51b 第2ステータ部材
52 フランジ部
52a 第1フランジ部
52b 第2フランジ部
53 ティース部
53a 第1ティース部
53b 第2ティース部
56 マグネット
60、65 軸受
60a、65a 外輪
60b、65b 内輪
60c、65c 転動体
70 磁気シールドカバー
80 操舵装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
84、86 ユニバーサルジョイント
85 インタミシャフト
87 スタブシャフト
87a トーションバー
88 ステアリングギア
88a 第1ピニオンギア
88b ラックバー
88c 第2ピニオンギア
89 タイロッド
90 ラックハウジング
100 ECU
101 車速センサ
102 電動モータ
103 イグニッションスイッチ
104 電源装置