(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041182
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】スプリング圧接式温度計
(51)【国際特許分類】
F27D 21/00 20060101AFI20240319BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240319BHJP
C21B 7/24 20060101ALI20240319BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F27D21/00 G
G01K1/14 H
G01K1/14 E
C21B7/24 306
F27D1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145844
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390007744
【氏名又は名称】山里産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】永田 清二
(72)【発明者】
【氏名】小林 慧
(72)【発明者】
【氏名】阿南 邦義
(72)【発明者】
【氏名】平田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】児玉 友樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 純一
【テーマコード(参考)】
2F056
4K015
4K051
4K056
【Fターム(参考)】
2F056CE01
4K015KA07
4K051AA01
4K051AB03
4K051AB05
4K051BH00
4K056AA01
4K056CA02
4K056FA13
4K056FA19
(57)【要約】
【課題】炉の内張耐火物の温度を測定する温度計において、作業スペースが限られる狭隘部への設置にも対応可能になるとともに、たとえば変形した炉底鉄皮や計装保護管を流用する場合など、設計寸法に比べて大きな変形誤差が発生している場合にも精度・機能が維持可能となる、スプリング圧接式温度計を提供せんとする。
【解決手段】シース熱電対2の外周側に、該シース熱電対2の先端側が突出した状態に同軸に装着され、且つ計装保護管8の開口端部に固定するための固定部30を有する筒状のサポート管3が設けられ、シース熱電対2は、後端部に設けられたスプリング4により、サポート管3に対して軸方向に移動可能且つ先端側に付勢されており、サポート管3の計装保護管8内部に挿入される領域がフレキシブル管31より構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉の内張耐火物に至る測温用穴に挿着された計装保護管内に取り付けられ、前記内張耐火物の温度を測定するシース熱電対からなる温度計であって、
前記シース熱電対の外周側に、該シース熱電対の先端側が突出した状態に同軸に装着され、且つ前記計装保護管の開口端部に固定するための固定部を有する筒状のサポート管が設けられ、
前記シース熱電対は、後端部に設けられたスプリングにより、前記サポート管に対して軸方向に移動可能且つ先端側に付勢されており、
前記サポート管の計装保護管内部に挿入される少なくとも一部の領域がフレキシブル管より構成されている、
スプリング圧接式温度計。
【請求項2】
前記フレキシブル管が、金属製の波型管である、請求項1記載のスプリング圧接式温度計。
【請求項3】
前記固定部は、前記計装保護管側に設けられる取付用の取合フランジに固定され、前記サポート管の外周面の軸方向の所定範囲内の任意の位置に圧着固定可能なコンプレッションフィッティング構造を有する取付合フランジから構成されている、請求項1又は2記載のスプリング圧接式温度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉の内張耐火物の温度を測定するスプリング圧接式温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の炉床壁レンガの温度を測定する温度計としては、スプリング圧接式温度計が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。高炉鉄皮は、炉内圧力の上昇・下降や内張耐火物からの伝熱による温度の上昇・下降により膨張/収縮するため、鉄皮表面から炉床壁レンガ(内張耐火物)までの温度計挿し込み距離も変動するが、スプリング圧接式温度計を用いることで、これら膨張/収縮にかかわらず測温点のある熱電対シースの先端部を常に測温用穴の底部に位置する炉床壁レンガに圧接した状態に維持することができ、安定した温度測定が可能となる。
【0003】
スプリング圧接式温度計は、高炉鉄皮に形成された測温用穴に設置された計装保護管内に取り付けられる温度計であり、シース熱電対と、その外周側に該シース熱電対の先端側が突出した状態に同軸に装着され、前記計装保護管の開口部に固定されるサポート管とより構成される。シース熱電対は、サポート管の後端部に設けられたスプリングにより、軸方向に移動可能且つ先端側に付勢され、上記圧接した状態を維持する。シース熱電対は、一般的に屈曲容易なものであるが、これを先端側に軸方向に付勢した状態で移動可能に支持する前記サポート管は、そのための容易に屈曲しない剛性を備える管構造とされている。
【0004】
また、このようなスプリング圧接式温度計のサポート管には、熱電対シースとともに鉄皮内側に挿入される比較的細径の前側の領域以外に、鉄皮の外側に突出して前記スプリングを内蔵する比較的太径でかつ所定長さの領域が必要となる。このため、従来のスプリング圧接式温度計では、とくに高炉炉底の狭隘部(たとえば鉄皮外面から500~600mm程度のスペースしか確保できない箇所)などへの設置は、ユニバーサル方式のドリルの使用でスタンプ材及びレンガへの測温用の開口穴の穴明けが可能であるにもかかわらず、上記サポート管が支障となって設置不可能となる場合があった。
【0005】
また、たとえば25mmの移動幅を有するスプリング圧接式温度計を炉底鉄皮にセットする際、熱電対シースの先端を10mm程度、押付け状態で鉄皮に固定される。即ち、高炉稼働状態で約10mmの膨張、約15mmの収縮までは追従可能な状態で取り付けられる。
【0006】
しかし、近年高炉改修時の費用削減の為、変形した炉底鉄皮や、鉄皮に付随した計装保護管を流用する事が多く、設計寸法に比べて大きな変形誤差が発生しており、25mm程度の可動範囲ではシース先端が浮いてしまい、機能・精度を維持できないケースが生じている。スプリング圧接式温度計のシース先端の可動範囲を増やすにはスプリングの長さ、すなわちサポート管の鉄皮外側の突出領域の長さを大きくとる必要があり、温度計全長がさらに長くなってしまううえ、その長さにも限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、炉の内張耐火物の温度を測定する温度計において、作業スペースが限られる狭隘部への設置にも対応可能になるとともに、たとえば変形した炉底鉄皮や計装保護管を流用する場合など、設計寸法に比べて大きな変形誤差が発生している場合にも精度・機能が維持可能となる、スプリング圧接式温度計を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、スプリング圧接式温度計が測温用穴(や該穴に取り付けた計装保護管)の内部に取り付けられることから、シース温度計を先端側に付勢しかつ移動可能に支持するサポート管のうち、少なくとも測温用穴や計装保護管の内部に挿入される領域については、容易に屈曲する管構造であってもその屈曲は測温用穴や計装保護管の内壁にあたることで規制され、シース温度計のスムーズな移動等に支障が生じないこと、及び、サポート管の当該領域を屈曲可能な構造とすることで、従来設置できなかった狭隘部にも、当該領域を屈曲させながら設置することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 炉の内張耐火物に至る測温用穴に挿着された計装保護管内に取り付けられ、前記内張耐火物の温度を測定するシース熱電対からなる温度計であって、前記シース熱電対の外周側に、該シース熱電対の先端側が突出した状態に同軸に装着され、且つ前記計装保護管の開口端部に固定するための固定部を有する筒状のサポート管が設けられ、前記シース熱電対は、後端部に設けられたスプリングにより、前記サポート管に対して軸方向に移動可能且つ先端側に付勢されており、前記サポート管の計装保護管内部に挿入される少なくとも一部の領域がフレキシブル管より構成されている、スプリング圧接式温度計。
【0011】
(2) 前記フレキシブル管が、金属製の波型管である、(1)記載のスプリング圧接式温度計。
【0012】
(3) 前記固定部は、前記計装保護管側に設けられる取付用の取合フランジに固定され、前記サポート管の外周面の軸方向の所定範囲内の任意の位置に圧着固定可能なコンプレッションフィッティング構造を有する取付合フランジから構成されている、(1)又は(2)記載のスプリング圧接式温度計。
【発明の効果】
【0013】
本願発明に係るスプリング圧接式温度計によれば、サポート管が、計装保護管内部に挿入される少なくとも一部の領域がフレキシブル管より構成されているため、作業スペースが500~600mm程度と限られる狭隘部への設置であっても、サポート管と内部の熱電対を曲げながら計装保護管内に容易に挿着することができ、確実に精度高く設置可能となるケースが多くなる。
【0014】
また、このように作業スペースの問題が低減することは、従来に比べてサポート管の鉄皮外側の突出領域の長さを大きくとることが可能になることを意味している。
【0015】
したがって、スプリングの長さを長くしてシース先端の可動範囲を大きく設定し、たとえば変形した炉底鉄皮や鉄皮に付随した計装保護管を流用して大きな変形誤差が発生しているような状況でも、機能・精度を維持できるように設計すること等も可能となる。すなわち、作業スペースの問題が解消する分、スプリングの長さを大きくするなど、設計の自由度が著しく向上する。
【0016】
また、前記フレキシブル管が、波型管である場合は、サポート管を熱電対とともに曲げながら計装保護管内に挿入する際、外面に計装保護管が接触したり内面に熱電対が接触したりしても、波型であるがゆえに接触面積、すなわち接触による抵抗が小さく抑えられ、互いにスムーズに滑って移動することで破損が防止されるとともに良好な作業性を維持できる。
【0017】
また、前記固定部が、前記計装保護管側に設けられる取付用の取合フランジに固定され、前記サポート管の外周面の軸方向の所定範囲内の任意の位置に圧着固定可能なコンプレッションフィッティング構造を有する取付合フランジから構成されている場合は、上記した変形した炉底鉄皮や鉄皮に付随した計装保護管を流用し、より大きな変形誤差が発生しているような状況であっても、取付合フランジの圧着固定位置、すなわちサポート管の計装保護管への挿入長さを調整することができ、これにより変形誤差を吸収して、確実に精度高く設置可能となる事で、設定されているスプリングによる圧接機能・精度を維持することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の代表的実施形態にかかるスプリング圧着式温度計の高炉への設置状態を示す説明図。
【
図2】同じくスプリング圧着式温度計を示す説明図。
【
図3】同じくスプリング圧着式温度計を示す縦断面図。
【
図4】同じくスプリング圧着式温度計を高炉に設置する様子を示す説明図。
【
図5】同じくスプリング圧着式温度計の設置状態を示す要部の説明図。
【
図6】加工穴の穴あけ加工用のドリルビットの例を示す説明図。
【
図7A】加工穴の穴あけ加工の手順の例を示す説明図。
【
図7B】加工穴の穴あけ加工の手順の例を示す説明図。
【
図7C】加工穴の穴あけ加工の手順の例を示す説明図。
【
図8】同じくスプリング圧着式温度計の変形例を示す説明図。
【
図9】該変形例のスプリング圧着式温度計を高炉に設置する様子を示す説明図。
【
図10】同じくスプリング圧着式温度計の他の変形例を示す説明図。
【
図11】該変形例のスプリング圧着式温度計を高炉に設置する様子を示す説明図。
【
図12】同じくスプリング圧着式温度計の更に他の変形例を示す説明図。
【
図13】該変形例のスプリング圧着式温度計を高炉に設置する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
本発明のスプリング圧接式温度計1は、
図1に示すように、炉の内張耐火物9に至る測温用穴90に挿着された計装保護管8内に取り付けられ、前記内張耐火物9の温度を測定する温度計である。スプリング圧接式温度計1は、
図2及び
図3にも示すように、シース熱電対2と、該シース熱電対2の外周側に、該シース熱電対2の先端側が突出した状態に同軸に装着され、且つ計装保護管8の開口端部の取付用の取合フランジ82に固定するための取付合フランジ34を有する筒状のサポート管3とを備え、シース熱電対2は、後端部に設けられたスプリング4により、サポート管3に対して軸方向に移動可能且つ先端側に付勢されている。
【0021】
本実施形態では、内張耐火物9が高炉の炉床壁レンガ91とした例を示しているが、本発明の測温対象である内張耐火物9は、このような高炉の炉床壁レンガ91に限定されるものではなく、高炉以外に、キュポラ、電気炉、アーク炉等の外周が鉄皮で囲まれその内側が炉床壁レンガ等で煉瓦積された構造の高温溶解炉等の内張耐火物の温度測定にも好適であり、レンガ以外の部材にも広く適用可能である。測温用穴90は、高炉鉄皮表面から鉄皮92、キャスタブル93及びステーブ94の領域にあらかじめ埋設される計装ガイド管96の管内周面90Aと、その先端側に延長してドリル等で穴あけ加工され、スタンプ材95を貫き、炉床壁レンガ91の内部に至る加工穴90Bとで構成されている。
【0022】
計装ガイド管96は、圧力配管用炭素鋼管やステンレス鋼等の耐熱鋼からなる管構造を有しており、具体的には、
図1に示すように、鉄皮92、キャスタブル93及びステーブ94に至る領域に埋設され、鉄皮92の外面に溶接固定されるシール金物81を基端部に有している。加工穴90Bは、上記計装ガイド管96に計装保護管8を挿着したのち、
図6に示すようなユニバーサルジョイント97付きのドリルビットT1やアダプターを用いて、
図7A~
図7Cの手順で、前記計装保護管8内に挿入し、ドリルドライバーT2で計装ガイド管96の先のスタンプ材95及び炉床壁レンガ91に穴あけ加工することで形成できる。計装保護管8は、同じく圧力配管用炭素鋼管やステンレス鋼等の耐熱鋼からなる管構造を有しており、計装ガイド管96の基端側開口8aから鉄皮92、キャスタブル93及びステーブ94に至る領域に挿着され、計装ガイド管96の基端側開口8aから外部に所定長さ突出する基端側の端部に取付用の取合フランジ82を有している。
【0023】
本実施形態では、計装ガイド管96と計装保護管8の双方ともステープ94までの領域に設けられているが、さらに延ばしてもよい。とくに計装保護管8を炉床壁レンガ91内まで延設してもよい。取付用の取合フランジ82には、口述するサポート管3の取付合フランジ34をボルトナット36で取り付けるためのボルト用挿通孔82aが設けられている。
【0024】
シース熱電対2は、一般的に屈曲容易なものであるが、とくに本実施形態のような炉床壁レンガの測温に採用される熱電対シースは、外径が3mm~8mmφ、より具体的には、外径3.2mm~6.4mmφ程度のものであり、柔軟性を有している。
【0025】
サポート管3は、フレキシブル管31より構成されている先端側領域R301と、計装保護管8の前記取付用の取合フランジ82に固定される固定部30としての取付合フランジ34が軸方向の所定範囲内の任意の位置に固定される軸方向所定長さの外周面を有するストレート管32からなる中間領域R302と、後述するシース熱電対2基端部に端板20を介して接続された端子部5と、該端子部5に外装され、端子部5及びシース熱電対2を前端側に付勢するコイル状スプリング4とが収容される比較的大径のストレート管33からなる基端側領域R303とを備えている。取付合フランジ34には、上記ボルトナット36のボルト用挿通孔34aが設けられている。
【0026】
フレキシブル管31は、山部および谷部が交互に連続する金属製の波型管である。本例では、ワンピッチタイプの蛇腹形状の波型管を例示しているが、薄板材料をパイプ成型したものが挙げられ、蛇腹形状以外に、螺旋形状やワイヤーブレードやリボンブレード等のブレード型など、種々の型のフレキシブル管とすることができる。波型管とすることで、その内部のシース熱電対との接触が少なくなり、シース熱電対の移動抵抗を低減でき、シース熱電対先端の常時接触状態を安定して維持できるメリットがある。
【0027】
このように、サポート管3がフレキシブル管3より構成されることで、作業スペースが限られ、ユニバーサル方式のドリル使用でスタンプ材及びレンガへの穴明け(加工穴)が出来るにもかかわらず従来スプリング圧接式温度計を設置できなかった狭隘部への設置であっても、
図4に示すようにサポート管3の前記フレキシブル管31とその内部のシース熱電対2を曲げながら計装保護管8内に容易に挿着することができ、設置可能となるため、販路の拡大が期待できる。この際、フレキシブル管3が上記波型管であると、外面に計装保護管が接触したり内面に熱電対が接触したりしても、波型であるがゆえに接触面積、すなわち接触による抵抗が小さく抑えられ、互いにスムーズに滑って移動することで破損が防止され、良好な作業性を維持できる。
【0028】
また、このようにフレキシブル管3より構成することで作業スペースの問題が低減するということは、鉄皮外側の突出領域の長さを大きくとることも可能になることを意味している。すなわち、コイル状スプリング4を内蔵するストレート管33を長くし、スプリング4を長くしてストロークを多くとることや、中間領域R302を設けて取付合フランジ34の位置を調整するための所定長さのストレート管32を設けることも可能となるのである。
【0029】
取付合フランジ34は、サポート管3のストレート管32外周面上の任意の位置に圧着固定可能なコンプレッションフィッティング構造35を有している。具体的には、
図3に示すように、コンプレッションフィッティング構造35は、取付合フランジ34の内周面にねじ込み又は溶接等で固定される筒状本体350と、該筒状本体350の内周面に形成されたテーパー面350aに当接する傾斜面351aを外周に備えた筒状のコッター351と、前記筒状本体350の端部に螺着され、コッター351を前記テーパー面に押し付けてストレート管32外周面に圧着させるための締付ネジ352とで構成されている。
【0030】
このようにサポート管3の外周面の軸方向の所定範囲内(ストレート管32外周面上)の任意の位置に圧着固定可能なコンプレッションフィッティング構造35を有する取付合フランジ34とすることで、変形した炉底鉄皮や鉄皮に付随した計装保護管を流用し、より大きな変形誤差が発生しているような状況であっても、取付合フランジ34のストレート管32上の圧着固定位置、すなわちサポート管の計装保護管への挿入長さを調整することができ、これにより変形誤差を吸収して機能・精度を維持できるように構成されている。
【0031】
たとえば、上記変形誤差として±50mm程度の大きな誤差を生じている場合、スプリングによるシース熱電対のストロークを考慮して±5mm程度の誤差の範囲内で設置していた従来のスプリング圧接式温度計では、シース熱電対が圧接しなくなる等、機能を発揮することができず、対応不可能であったが、本発明においては、上記取付合フランジ34の上記圧着固定位置を、軸方向(長さ方向)で100mm調整可能とすれば、シース熱電対2の押し付け状態を精度高く確実に維持した状態に設置することが可能となる。
【0032】
サポート管3(フレキシブル管31、ストレート管32)、取付合フランジ34及びコンプレッションフィッティング構造35は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱鋼を用いて構成されている。
【0033】
基端側領域R303のストレート管33は、先部の内面に所定長さにわたって拡径した段付き加工部33cが形成され、この段付き加工部33cに端子部5が挿通可能な内径を有するコイル状スプリング4が一端側から挿入され、段付き加工部33cの終端部の段差部33dに当接するとともにコイル状スプリング4の他端側が端板20に当接し、シース熱電対2および端子部5を先端側へ付勢している。
【0034】
シース熱電対2の基部に設けられた端板20を介して、シース熱電対2からの出力信号を導出する端子部5が設けられている。端子部5のさらに基端側には、図示省略の伸縮性接続ケーブルが設けられている。伸縮性接続ケーブルは、ストレート管33(サポート管3)の基端側に接続されるエルボ60、ニップル61内に配線され、ニップル61の先に接続された端子台62内部の端子部に接続されている。
【0035】
図5は、計装保護管8内に挿着された状態のスプリング圧着式温度計1のサポート管3先端側領域のフレキシブル管31及びその先端に突出しているシース熱電対2の様子を示す説明図である。シース熱電対2の先端部2aはシース後端部に設けられた上記コイル状スプリングの付勢力により常時、測温用穴90(加工穴90B)の奥の炉底壁レンガの穴底部91bに圧着され、精度のよい測温が可能とされている。
【0036】
また、サポート管3の屈曲は、測温用穴90(加工穴90B)や計装保護管8の内壁によって規制を受け、シース熱電対2の軸方向に沿った動きを妨げない形に維持されている。このようなサポート管3の屈曲は、上述の変形誤差をある程度吸収する効果も奏する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。たとえば、上記例では固定部としてフランジ接続を例に説明したが、たとえばコンプレッションフィッティングとの取合いが可能なスリーブ接続なども可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、サポート管の計装保護管内部8に挿入されるほぼすべての領域(先端側領域R301)がフレキシブル管31により構成されているが、本発明はこれに限定されず、当該領域の一部のみフレキシブル管で構成したものでもよい。例えば、
図8に示すようにストレート管32を先端側領域R301まで延ばし、該領域の先端側半分のみフレキシブル管31で構成したものでも、
図9に示すように先端側半分のフレキシブル管31とその内部のシース熱電対2を曲げながら計装保護管8内に容易に挿着することができ、設置可能となる。
【0039】
また、別の例としては、
図10に示すように基端側半分のみフレキシブル管31とし、先端側半分はストレート管32Aで構成することも好ましい。この場合、
図11に示すように、上記
図8の例に比べてより狭い狭隘部への設置が可能となる。更に、この
図10の例を応用すれば、
図12に示すように、先端側領域R301を複数のストレート管32A,32Bとその間を連結する単又は複数のフレキシブル管31A,31Bで構成したものでも、
図13に示すように、フレキシブル管31A,32Bが屈曲することでストレート管32A,32Bが互いに角度を付けて折れ、同様に狭い狭隘部への設置が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 スプリング圧接式温度計
2 シース熱電対
20 端板
3 サポート管
30 固定部
31、31A、31B フレキシブル管
32、32A、32B ストレート管
33 ストレート管
33c 段付き加工部
33d 段差部
34 取付合フランジ
34a 挿通孔
35 コンプレッションフィッティング構造
350 筒状本体
350a テーパー面
351 コッター
351a 傾斜面
352 締付ネジ
36 ボルトナット
4 コイル状スプリング
5 端子部
60 エルボ
61 ニップル
62 端子台
8 計装保護管
8a 開口
81 シール金物
82 取合フランジ
82a 挿通孔
9 内張耐火物
90 測温用穴
90A 管内周面
90B 加工穴
91 炉床壁レンガ
92 鉄皮
93 キャスタブル
94 ステーブ
95 スタンプ材
96 計装ガイド管
97 ユニバーサルジョイント
R301~R303 領域
T1 ドリルビット
T2 ドリルドライバ