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特開2024-41209情報処理装置、情報処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041209
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240319BHJP
   B61L 5/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
B61L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145877
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】芝井 貴生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 椋也
(72)【発明者】
【氏名】大澤 侑太郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 正徳
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD01
5H161FF07
(57)【要約】
【課題】転てつ機の状態を検出する精度の向上を図ることができないこと。
【解決手段】本開示の情報処理装置100は、転てつ機1の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、計測データの特徴を表す特徴データを生成する生成部121と、転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得する取得部122と、特徴データと判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する判定部123と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成する生成部と、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得する取得部と、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する判定部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、複数の日それぞれの予め設定された時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、列車が運行されている時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、転てつ機の保守作業後の時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、毎月の動作期間にそれぞれ計測された前記計測データのうち、各月からそれぞれ選定された一部の日の前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、転てつ機の動作期間に生じる転換力を計測した転換力データを除いた他の複数種類の前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、前記計測データを学習データとして学習することで生成された特徴抽出器を用いて前記特徴データを生成すると共に、前記特徴抽出器を用いて前記判定対象データの特徴を表す判定対象特徴データを生成し、
前記判定部は、前記特徴データと前記判定対象特徴データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
情報処理装置。
【請求項8】
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
情報処理方法。
【請求項9】
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の安全運行を図るべく、レールの切り替えを行う転てつ機の点検や保守作業が必要となる。近年では、点検や保守作業の効率化を図るべく、転てつ機の転換動作時のデータを取得して、かかるデータに基づいて転てつ機の状態を検出している。例えば、特許文献1では、転てつ機を保守対象機器とし、かかる保守対象機器から検出した信号から特徴量を抽出し、かかる特徴量に基づいて保守対象機器の状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/140607号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、転てつ機が転換動作する時間は短いため、かかる短時間のデータからでは転てつ機の状態を検出する精度の向上を図ることができない、という問題が生じる。
【0005】
このため、本開示の目的は、上述した課題である、転てつ機の状態を検出する精度の向上を図ることができない、ことを解決することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態である情報処理装置は、
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成する生成部と、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得する取得部と、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する判定部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0007】
また、本開示の一形態である情報処理方法は、
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の一形態であるプログラムは、
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
処理をコンピュータに実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、以上のように構成されることにより、転てつ機の状態を検出する精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態1における情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に開示した情報処理装置による処理の様子を示す図である。
図3図1に開示した情報処理装置による処理の様子を示す図である。
図4図1に開示した情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図5図1に開示した情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図6図1に開示した情報処理装置による処理に関連するデータを示す図である。
図7】本開示の実施形態2における情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】本開示の実施形態2における情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本開示の第1の実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、情報処理装置の構成を説明するための図であり、図2乃至図6は、情報処理装置の処理動作を説明するための図である。
【0012】
[構成]
本実施形態における情報処理装置10は、列車のレールを切り替える装置である転てつ機の状態を判別するために用いるものである。具体的に、情報処理装置10は、後述するように、転てつ機1から転てつ機1の動作に関する計測データを取得し、かかる計測データを用いて転てつ機1に異常が生じている度合いを表す異常スコアを算出し、正常状態であるか異常状態かを判別する。但し、情報処理装置10は、転てつ機1の状態として、正常状態であるか異常状態であるかを判別することに限定されず、転てつ機1のいかなる状態を判別してもよい。
【0013】
転てつ機1は、列車が走行するレール上に設置されており、レールを切り替えるよう構成されている。例えば、転てつ機1は、レールの連結部を移動させる駆動装置としてモータを備えている。そして、転てつ機1には、転てつ機1の転換動作における複数種類の計測データを計測可能なよう各種センサが装備されており、さらに、各種センサによる計測動作を制御して計測データを蓄積する制御装置も装備されている。転てつ機1から計測する複数種類の計測データは、例えば、レールの移動距離であるストローク(mm)、モータに印加される電流(A)・電圧(V)、転換制御リレーにおけるWR電流(mA)・WR電圧(V)、表示リレーにおけるKR電流(mA)・KR電圧(V)、レールを転換させる転換力(kN)、モータのトルク(Nm)、である。これらの計測データは、例えば、制御装置にて、転てつ機1による転換動作の開始から終了までの間、サンプリング周期0.05秒毎に計測されて蓄積され、その後、情報処理装置10に送信される。なお、計測データは、上述した種類の一部であってもよく、あるいは、記載していない別の種類であってもよい。
【0014】
情報処理装置10は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。そして、情報処理装置10は、図1に示すように、取得部11、抽出部12、学習部13、判定部14、を備える。取得部11、抽出部12、学習部13、判定部14の各機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。また、情報処理装置10は、計測データ記憶部16、特徴データ記憶部17、特徴抽出エンジン記憶部18、を備える。計測データ記憶部16、特徴データ記憶部17、特徴抽出エンジン記憶部18は、記憶装置により構成される。
【0015】
取得部11は、上述したように、転てつ機1で計測された複数種類の計測データを取得して、計測データ記憶部16に記憶する。このとき、計測データは複数種類あるため、取得部11は、図2の折れ線グラフに示すような複数のデータ項目からなる時系列データの集合である計測データセットDを取得する。図2の折れ線グラフでは、横軸が時刻であり、縦軸の値が各データ項目の計測値を表していることとする。なお、取得部11は、転てつ機1の状態を判別するためのデータを蓄積する段階である蓄積フェーズでは、転てつ機1の過去の動作期間における計測データを、学習用計測データあるいは特徴抽出用計測データとして取得して、計測データ記憶部16に記憶する。また、取得部11は、転てつ機1の状態を判定する段階である判定フェーズでは、転てつ機1の新たな動作期間における計測データを、状態判定用計測データ(判定対象データ)として取得して、計測データ記憶部16に記憶する。
【0016】
抽出部12(生成部)は、蓄積フェーズでは、過去の計測データである上述した学習用計測データ及び特徴抽出用計測データを用いて、特徴抽出用計測データの特徴を表す特徴データを生成する。例えば、抽出部12は、図2に示すように、転てつ機1の1回の転てつ動作における計測データセットDから1つの特徴データを生成してもよく、計測データセットDを所定の時間ごとに区切った所定の期間からなる部分計測データセットD1,D2毎に特徴データを生成してもよい。そして、抽出部12は、特徴抽出用計測データから生成した特徴データを、特徴データ記憶部17に記憶しておく。また、抽出部12は、判定フェーズでは、新たな計測データである上述した状態判定用計測データの特徴を表す判定対象特徴データを生成する。このとき、抽出部12は、以下に説明するように、学習部13にて生成した特徴抽出エンジンを用いて、各計測データから各特徴データを生成する。
【0017】
学習部13(生成部)は、過去の計測データである上述した学習用計測データを学習データとして学習することで、特徴抽出エンジン(特徴抽出器)を生成する。本実施形態では、学習部13は、図3に示すように、学習用計測データを入力データとし、かかる入力データと一致する出力データを出力することを目的とする教師なし学習によって生成される自己符号化器を、特徴抽出エンジンとして生成する。これにより、自己符号化器である特徴抽出エンジンは、入力データを入力する入力層と出力データを出力する出力層との間に位置する中間層において入力データの次元が圧縮され、かかる中間層の値を入力データの特徴データとして生成する。
【0018】
ここで、学習部13は、転てつ機1から過去に計測された全ての計測データを学習用計測データとして用いるわけではなく、計測データのうち、予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データのみを、学習用計測データとして用いて学習を行う。例えば、学習部13は、計測データを毎月毎日計測した場合、各月からそれぞれ一部の日の計測データを学習用計測データとする。一例として、1月から12月まで計測された計測データのうち、月ごとに数日ずつの計測データを選択して学習用計測データとする。これにより、季節や時期による動作特徴の偏りを排除できる。また、学習部13は、複数の日それぞれの予め設定された時間帯に計測された計測データを、学習用計測データとして選択する。一例として、列車が運行されている時間帯に計測された計測データを学習用計測データとして選択してもよく、あるいは、朝、昼、晩のそれぞれに設定された時間帯の計測データを学習用計測データとして選択してもよい。また、学習部13は、転てつ機1の保守作業後の時間帯に計測された計測データを学習用計測データとして選択してもよい。例えば、学習部13は、事前に保守作業のスケジュールデータを保持していたり、実施後の保守作業のスケジュールデータを取得し、かかる保守作業の翌日から一定期間の計測データを学習用計測データとして選択してもよい。このとき、学習部13は、保守作業後の一定期間の計測データを、他の期間の計測データよりも多くの割合で学習用計測データとして選択してもよく、あるいは、学習時に他の期間の計測データよりも高い重みを付与してもよい。なお、学習部13は、転てつ機1が異常状態ではなかったときの計測データから、学習用計測データを選択することとする。
【0019】
一方で、学習部13は、複数種類からなる計測データのうち、特定の種類の計測データを除いたものを学習用計測データとしてもよい。例えば、学習部13は、複数種類からなる計測データのうち、転換力を計測した転換力データを除いた他の複数種類の計測データを、学習用計測データとして選択してもよい。
【0020】
学習部13は、上述したように学習用計測データを用いて学習することにより生成した特徴抽出エンジンを、特徴抽出エンジン記憶部18に記憶しておく。そして、特徴抽出エンジンは、上述したように抽出部12にて使用される。なお、学習部13は、必ずしも上述したような自己符号化器を特徴抽出エンジンとして生成することに限定されず、いかなる方法で特徴抽出エンジンを生成してもよい。
【0021】
ここで、抽出部12の構成について再度説明する。抽出部12、蓄積フェーズでは、特徴抽出エンジンに特徴抽出用計測データを入力することで、特徴データを生成する。このとき、抽出部12は、転てつ機1が異常状態ではなかったときの計測データを学習用計測データとして用いることとなるが、特徴抽出用計測データとして、上述した学習用計測データと同一の計測データを使用してもよく、あるいは、学習用計測データとは異なる計測データを用いてもよい。この場合、抽出部12は、特徴抽出用計測データとして、上述した学習用計測データと同様に、計測データのうち予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データを使用することが望ましい。また、抽出部12は、判定フェーズでは、特徴抽出エンジンに状態判定用計測データを入力することで、判定対象特徴データを生成する。この場合、抽出部12は、状態判定用計測データとして、上述した学習用計測データが計測された期間に対応する期間に計測された計測データを使用してもよく、いかなる期間に計測した計測データを使用してもよい。
【0022】
判定部14は、判定フェーズにおいて、特徴データ記憶部17に蓄積した特徴データと、転てつ機1から新たに計測した計測データである状態判定用特徴データと、に基づいて、転てつ機1の状態を判定する。例えば、判定部14は、特徴データと状態判定用特徴データとの距離や類似度合いを算出するなど比較し、かかる比較結果に基づいて転てつ機1が異常状態である度合いを表す異常スコアを算出する。そして、判定部14は、異常スコアが閾値を超えた場合には異常状態であると判定する。但し、判定部14は、特徴データと状態判定用特徴データとを用いて、いかなる方法で転てつ機1の状態を判定してもよい。
【0023】
[動作]
次に、上述した情報処理装置10の動作を、主に図4乃至図5のフローチャートを参照して説明する。まず、図4のフローチャートを参照して、転てつ機1の特徴データを蓄積する蓄積フェーズにおける動作を説明する。
【0024】
まず、情報処理装置10は、過去の転てつ機1の転換動作時に計測された計測データを取得する(ステップS1)。続いて、情報処理装置10は、計測データのうち、予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データを、学習用計測データとして選択する(ステップS2)。例えば、情報処理装置10は、各月からそれぞれ一部の日の計測データ、複数の日それぞれの予め設定された時間帯の計測データ、転てつ機1の保守作業後の時間帯に計測された計測データ、などを学習用計測データとして選択する。なお、情報処理装置10は、複数種類からなる計測データのうち、転換力を計測した転換力データは除いて学習用計測データとしてもよい。そして、情報処理装置10は、選択された学習用計測データを用いて学習を行い(ステップS3)、特徴抽出エンジンを生成する(ステップS4)。例えば、情報処理装置10は、図3に示すような自己符号化器を特徴抽出エンジンとして生成する。
【0025】
続いて、情報処理装置10は、過去の転てつ機1の転換動作時に計測された計測データを特徴抽出用計測データとし、かかる特徴抽出用計測データを特徴抽出エンジンに入力して、特徴データを生成して、蓄積しておく(ステップS5)。このとき、情報処理装置10は、過去の計測データのうち、学習用計測データを特徴抽出用計測データとしてもよく、学習用計測データと同様に予め設定された基準により選択された計測データを特徴抽出用計測データとしてもよい。
【0026】
次に、図5のフローチャートを参照して、転てつ機1の状態を判定する判定フェーズにおける動作を説明する。
【0027】
情報処理装置10は、新たな転てつ機1の転換動作時に計測された計測データを、状態判定用計測データとして取得する(ステップS11)。続いて、情報処理装置10は、状態判定用計測データを特徴抽出エンジンに入力して、判定対象特徴データを生成する(ステップS12)。そして、情報処理装置10は、蓄積している特徴データと、転てつ機1から新たに計測した計測データから生成した状態判定用特徴データと、を比較して、転てつ機1の状態を判定する(ステップS13)。例えば、情報処理装置10は、蓄積している特徴データと状態判定用特徴データとの距離や類似度合いなどから異常スコアを算出し、かかる異常スコアの値に応じて異常であるか否か、あるいは、異常度合い、などの状態を判定する。
【0028】
ここで、図6に、転てつ機1の計測データから異常スコアを算出したときの一例を示す。図6における横軸は時間であり、縦軸は異常スコアを示している。そして、図6の上段のグラフG1は、計測データのうち、上述したように予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データを、学習用計測データとして選択して学習して特徴抽出エンジンを生成し、かかる特徴抽出エンジンを使用して転てつ機1の状態を判定した場合を示している。また、図6の下段のグラフG2は、計測データのうち、上述したように予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データを選択すると共に、このうち、転換力を計測した転換力データを除いた学習用計測データを用いて学習して特徴抽出エンジンを生成し、かかる特徴抽出エンジンを使用して転てつ機1の状態を判定した場合を示している。また、図中の符号M1は、定期的な保守作業が行われた時間を示しており、符号M2は、緊急で保守作業が行われた時間を示している。
【0029】
図6のグラフG1,G2から、保守作業M1,M2後の一定期間の異常スコアが低下しており、保守作業M1,M2から時間が経過するにつれて異常スコアが徐々に上昇していることがわかる。このため、上述したように予め設定された基準により選択された複数の動作期間に計測された計測データを学習用計測データとして使用することで、より転てつ機1の状態が精度よく表される特徴データを生成でき、状態判定の精度の向上を図ることができる。そして、図6の上下のグラフG1,G2を比較すると、転換力データを除いた計測データを用いることで、さらに転てつ機1の状態が精度よく表される特徴データを生成でき、状態判定の精度の向上を図ることができる。
【0030】
<実施形態2>
次に、本開示の第2の実施形態を、図7乃至図8を参照して説明する。図7乃至図8は、実施形態2における情報処理装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、上述した実施形態で説明した情報処理装置の構成の概略を示している。
【0031】
まず、図7を参照して、本実施形態における情報処理装置100のハードウェア構成を説明する。情報処理装置100は、一般的な情報処理装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を装備している。
・CPU(Central Processing Unit)101(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)102(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)103(記憶装置)
・RAM103にロードされるプログラム群104
・プログラム群104を格納する記憶装置105
・情報処理装置外部の記憶媒体110の読み書きを行うドライブ装置106
・情報処理装置外部の通信ネットワーク111と接続する通信インタフェース107
・データの入出力を行う入出力インタフェース108
・各構成要素を接続するバス109
【0032】
なお、図7は、情報処理装置100である情報処理装置のハードウェア構成の一例を示しており、情報処理装置のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、情報処理装置は、ドライブ装置106を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。また、情報処理装置は、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(TensorProcessingUnit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0033】
そして、情報処理装置100は、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、図8に示す生成部121と取得部122と判定部123とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した生成部121と取得部122と判定部123とは、かかる手段を実現させるための専用の電子回路で構築されるものであってもよい。
【0034】
上記生成部121は、転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成する。例えば、生成部121は、予め設定された基準により選定された複数の動作期間の計測データを学習データとして学習することで特徴抽出器を生成し、かかる特徴抽出器を用いて計測データから特徴データを生成する。
【0035】
上記取得部122は、転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得する。なお、判定対象データからは、例えば、上述した特徴抽出器を用いて判定対象特徴データが生成される。
【0036】
上記判定部123は、特徴データと判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する。例えば、特徴データと判定対象特徴データとの比較結果に基づいて、転てつ機の状態を判定する。
【0037】
本開示は、以上のように構成されることにより、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて特徴データを生成することで、より転てつ機の状態が精度よく表される特徴データを生成でき、状態判定の精度の向上を図ることができる。
【0038】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0039】
以上、上記実施形態等を参照して本開示を説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、上述した生成部121と取得部122と判定部123との機能のうちの少なくとも一以上の機能は、ネットワーク上のいかなる場所に設置され接続された情報処理装置で実行されてもよく、つまり、いわゆるクラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0040】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本開示における情報処理装置、情報処理方法、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本開示は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成する生成部と、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得する取得部と、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する判定部と、
を備えた情報処理装置。
(付記2)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、複数の日それぞれの予め設定された時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
(付記3)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、列車が運行されている時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
(付記4)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、転てつ機の保守作業後の時間帯に計測された前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
(付記5)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、毎月の動作期間にそれぞれ計測された前記計測データのうち、各月からそれぞれ選定された一部の日の前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
(付記6)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、転てつ機の動作期間に生じる転換力を計測した転換力データを除いた他の複数種類の前記計測データを用いて、前記特徴データを生成する、
情報処理装置。
(付記7)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記生成部は、前記計測データを学習データとして学習することで生成された特徴抽出器を用いて前記特徴データを生成すると共に、前記特徴抽出器を用いて前記判定対象データの特徴を表す判定対象特徴データを生成し、
前記判定部は、前記特徴データと前記判定対象特徴データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
情報処理装置。
(付記8)
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
情報処理方法。
(付記9)
転てつ機の過去の動作期間のうち、予め設定された基準により選定された複数の動作期間にそれぞれ計測された転てつ機の動作に関する複数種類の計測データを用いて、当該計測データの特徴を表す特徴データを生成し、
転てつ機の新たな動作期間における転てつ機の動作に関する複数種類の計測データである判定対象データを取得し、
前記特徴データと前記判定対象データとに基づいて、転てつ機の状態を判定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0041】
1 転てつ機
10 情報処理装置
11 取得部
12 抽出部
13 学習部
14 判定部
16 計測データ記憶部
17 特徴データ記憶部
18 特徴抽出エンジン記憶部
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プログラム群
105 記憶装置
106 ドライブ装置
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
110 記憶媒体
111 通信ネットワーク
121 生成部
122 取得部
123 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8