(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041212
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】非接触給電式のエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/34 20060101AFI20240319BHJP
B66B 7/06 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B66B1/34 A
B66B7/06 R
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145881
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】築山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井戸垣 拓実
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 圭司朗
【テーマコード(参考)】
3F305
3F502
【Fターム(参考)】
3F305BB08
3F305BB15
3F502HA07
3F502JA61
(57)【要約】
【課題】送電部が発生させる磁界によって乗りかごに電力が誘起されてしまうことを抑制できる非接触給電式のエレベータの提供。
【解決手段】走行路2と、前記走行路2内を移動するかごユニット3と、前記走行路2内の前記かごユニット3の移動経路に沿って配置される磁界発生部40であって、電力が供給されることによって磁界を発生させるように構成される磁界発生部40を有する送電部4と、前記磁界の中に位置することによって電力が発生する受電部5であって、前記磁界発生部40に対向可能な状態で前記かごユニット3に取り付けられる受電部5と、を備え、前記かごユニット3は、乗りかご30を有し、前記受電部5は、前記かごユニット3の移動方向における前記乗りかご30の全長に亘って対向するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路と、
前記走行路内を移動するかごユニットと、
前記走行路内の前記かごユニットの移動経路に沿って配置される磁界発生部であって、電力が供給されることによって磁界を発生させるように構成される磁界発生部を有する送電部と、
前記磁界の中に位置することによって電力が発生する受電部であって、前記磁界発生部に対向可能な状態で前記かごユニットに取り付けられる受電部と、を備え、
前記かごユニットは、乗りかごを有し、
前記受電部は、前記かごユニットの移動方向における前記乗りかごの全長に亘って対向するように構成されている、
非接触給電式のエレベータ。
【請求項2】
前記受電部は、
前記移動経路に沿って並べて配置される複数の受電モジュールを有し、
前記複数の受電モジュールは、前記磁界の中に位置することによって電力が発生するように構成されるとともに、互いに電気的に接続される、
請求項1に記載の非接触給電式のエレベータ。
【請求項3】
前記走行路内に設置される路内構造物であって、磁性を有する路内構造物を備え、
前記走行路内の空間には、
前記かごユニットの背面が面する後方領域と、
前記かごユニットの側面が面する2つの側方領域とが含まれ、
前記路内構造物は、前記後方領域と前記2つの側方領域のうちの何れかの領域に配置され、
前記磁界発生部は、前記後方領域と前記2つの側方領域のうちの前記路内構造物が配置されている領域とは別の領域に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の非接触給電式のエレベータ。
【請求項4】
前記路内構造物は、カウンターウェイトである、
請求項3に記載の非接触給電式のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電により乗りかごに電力を供給する非接触給電式のエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路内に設置され、且つ電力が供給されることによって磁界を発生させる磁界発生部を有する送電部と、かごに取り付けられる受電部であって、磁界発生部によって発生させた磁界の中に位置することによって電力が生じるように構成される受電部と、を備える非接触給電式のエレベータが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているエレベータは、昇降路と、昇降路内を移動するかごと、昇降路内においてかごの移動経路に沿って配線されている給電線であって、電流が流れると磁界を発生させる給電線(送電部の磁界発生部)と、給電線が発生させている磁界の中に位置することによって電力が生じるように構成される磁気コアであって、かごの側面に取り付けられている磁気コア(受電部)と、を備えている。
【0004】
かかる非接触給電式のエレベータでは、給電線が磁界を発生させると、この磁界に磁気コアが入った状態になり、磁気コアに生じた電力がかごに搭載されている負荷に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のエレベータでは、給電線が発生させる磁界の中に磁性体であるかごも位置するため、かごにおいても電力が誘起されてしまい、発熱等の問題につながることがある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、磁界発生部が発生させる磁界によって乗りかごに電力が誘起されてしまうことを抑制できる非接触給電式のエレベータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非接触給電式のエレベータは、
走行路と、
前記走行路内を移動するかごユニットと、
前記走行路内の前記かごユニットの移動経路に沿って配置される磁界発生部であって、電力が供給されることによって磁界を発生させるように構成される磁界発生部を有する送電部と、
前記磁界の中に位置することによって電力が発生する受電部であって、前記磁界発生部に対向可能な状態で前記かごユニットに取り付けられる受電部と、を備え、
前記かごユニットは、乗りかごを有し、
前記受電部は、前記かごユニットの移動方向における前記乗りかごの全長に亘って対向するように構成されている。
【0009】
このようにすれば、乗りかごと磁界発生部とが横並びになっても、乗りかごと磁界発生部との間が受電部によって遮られるため、磁界発生部が発生させた磁界のエネルギーが乗りかごに到達する前に受電部によって消費される。
【0010】
これにより、前記非接触給電式のエレベータは、磁界発生部が発生させる磁界によって乗りかごに電力が誘起されてしまうことを抑制できる。
【0011】
本発明の非接触給電式のエレベータにおいて、
前記受電部は、
前記移動経路に沿って並べて配置される複数の受電モジュールを有し、
前記複数の受電モジュールは、前記磁界の中に位置することによって電力が発生するように構成されるとともに、互いに電気的に接続される、ように構成されていてもよい。
【0012】
このようにすれば、乗りかごと同等以上の長さの受電部を小型の受電モジュールに分けることができるため、受電部を設置する際の作業性を高めることができる。
【0013】
本発明の非接触給電式のエレベータにおいて、
前記走行路内に設置される路内構造物であって、磁性を有する路内構造物を備え、
前記走行路内の空間には、
前記かごユニットの背面が面する後方領域と、
前記かごユニットの側面が面する2つの側方領域とが含まれ、
前記路内構造物は、前記後方領域と前記2つの側方領域のうちの何れかの領域に配置され、
前記磁界発生部は、前記後方領域と前記2つの側方領域のうちの前記路内構造物が配置されている領域とは別の領域に配置される、ようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、磁界発生部が発生させる磁界と、磁性を有する路内構造物との距離を離すことができるため、路内構造物も磁界発生部が発生させる磁界によって電力が誘起されにくくなる。
【0015】
本発明の非接触給電式のエレベータにおいて、
前記路内構造物は、カウンターウェイトである、ようにしてもよい。
【0016】
このようにした場合においては、磁界発生部が発生させる磁界と、磁性を有するカウンターウェイトとの距離を離すことができるため、カウンターウェイトも磁界発生部が発生させる磁界によって電力が誘起されにくくなる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の非接触給電式のエレベータは、磁界発生部が発生させる磁界によって乗りかごに電力が誘起されてしまうことを抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る非接触給電式のエレベータの走行路内の概要を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る非接触給電式のエレベータの走行路内の概略を示す平面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る非接触給電式のエレベータのかごユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る非接触給電式のエレベータのかごユニットの側面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る非接触給電式のエレベータのかごユニットの背面図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態に係る非接触給電式のエレベータの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる非接触給電式のエレベータ(以下、エレベータと称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態に係るエレベータ1は、
図1に示すように、走行路2と、走行路2内を移動するかごユニット3と、走行路2内でのかごユニット3の移動経路に沿って配線される磁界発生部40であって、電力が供給されることによって磁界が発生する磁界発生部40を有する送電部4と、送電線40が発生させている磁界の中に位置すると電力が生じる受電部5であって、磁界発生部40に対向可能な状態でかごユニット3に取り付けられる受電部5と、走行路2内のかごユニット3の周囲に設置されている路内構造物6と、を備えている。
【0021】
路内構造物6とは、例えば、かごユニット3を移動経路に沿って案内するためのかご用レール60や、かごユニット3に連結されるカウンターウェイト61、かごユニット3を上方に向けて引き操作する巻上機62や、かごユニット3の駆動を制御する制御盤63等のことである。
【0022】
かご用レール60は、かごユニット3の移動経路が延びる方向(かごユニット3の移動方向)と同じ方向に延びている。また、本実施形態のエレベータ1では、一対のかご用レール60が対向配置されており、該一対のかご用レール60の間にかごユニット3が配置されている。
【0023】
カウンターウェイト61は、かごユニット3の移動経路が延びる方向(かごユニット3の移動方向)と同じ方向で延びる一対の錘用レール610と、該一対の錘用レール610に案内されて移動する錘部611と、錘部611とかごユニット3とを連結する錘用索状体612と、を有する。
【0024】
走行路2は、上下方向に延びている。そして、かごユニット3の移動経路は上下方向に沿って設定されている。
【0025】
かごユニット3は、内部にかご室が形成される乗りかご30と、乗りかご30の外面に固定されるかご枠31と、かご枠31に取り付けられる被案内部32であって、かご用レール60によって案内される被案内部32と、かご枠31に取り付けられるかご受部33であって、巻上機62につながる巻上用索状体(図示しない)を受けるかご受部33と、かご枠31に取り付けられ、且つ受電部5を載置可能な載置部34(
図4、
図5参照)と、を有する。
【0026】
乗りかご30は、かご室に連続する出入口が形成される前壁300と、前壁300に対向配置されている後壁301と、前壁300と後壁301の間に配置されている一対の側壁302と、を有する。
【0027】
なお、以下の説明においては、走行路2内における後壁301が面する領域を後方領域S1と称し、走行路2内における一方の側壁302が面する領域と、走行路2内における他方の側壁302が面する領域とを側方領域S2と称する(
図2参照)。
【0028】
かご枠31は、乗りかご30よりも上方側に配置される上枠部310と、乗りかご30よりも下方側に配置される下枠部311と、上枠部310と下枠部311とを連結する中枠部312と、を有する。
【0029】
被案内部32は、かごユニット3の側方に隣り合う位置に配置された状態でかご枠31に固定されるベース部320と、かご用レール60を受けた状態でベース部320の上端部と下端部とに取り付けられる一対のレール受部321と、を有する。
【0030】
なお、本実施形態のエレベータ1では、一方のかご用レール60とかごユニット3の間と、他方のかご用レール60とかごユニット3の間とに一つずつ被案内部32が配置されている(
図3参照)。
【0031】
ベース部320は、かごユニット3の移動方向に沿って延びている。ベース部320の長手方向における一端部は上枠部310に連結され、ベース部320の長手方向における他端部は下枠部311に連結されている。
【0032】
レール受部321は、いわゆる、ローラーガイドである。
【0033】
かご側受部33は、いわゆる、シーブであり、一方のかご用レール60側と、他方のかご用レール60側とに一つずつ配置されている(
図3参照)。
【0034】
載置部34は、乗りかご30よりも下方側の位置でかご枠31に固定されている。
【0035】
送電部4は、上記の磁界発生部40と、磁界発生部40に電力を供給する電源41と、を有する。
【0036】
本実施形態の磁界発生部40は、送電線によって構成されている。磁界発生部40を送電線40として以下の説明を行う。送電線40は、電源41に接続された状態で閉回路を形成するように構成されている。
【0037】
送電線40は、かごユニット3の移動方向と同じ方向に沿って延びるように配置されている。そのため、送電線40には、かごユニット3の移動方向と同じ方向に沿って配置される一対の平行部400であって、互いに平行な状態である一対の平行部400が含まれている。
【0038】
受電部5は、
図5に示すように、かごユニット3に取り付けられるケース50と、ケース50に内装される受電コイル51と、を有する。
【0039】
配線方向(かごユニット3の移動方向)における受電部5の長さは、配線方向における乗りかご30の長さよりも長くなっている。また、受電部5は、乗りかご30と送電線40との間の領域に配置されており、前記配線方向における前記領域の全域に亘って、乗りかご30と送電線40との間を遮っている。
【0040】
受電部5は、配線方向における乗りかご30の全長に亘って対向するように配置される。また、受電部5の長手方向における一端部は、乗りかご30の上端部と同一の位置に配置され、受電部5の長手方向における他端部は、乗りかご30の下端部よりも下方側の位置に配置されている。
【0041】
本実施形態の受電部5は、配線方向に並べて配置される複数の受電モジュール52を有する。受電モジュール52は、モジュール用ケース520と、モジュール用ケース520に内装されるモジュール用コイル521と、を有する。
【0042】
なお、モジュール用ケース520は受電部5のケース50を構成し、モジュール用コイル521は受電部5の受電コイル51を構成している。また、受電モジュール52は、別の受電モジュール52と電気的に接続されることによって、一つの電力供給源として用いることができるようになっている。
【0043】
複数の受電モジュール52には、モジュール用ケース520の長さ(配線方向における長さ)が異なるものが含まれていてもよい。また、複数の受電モジュール52には、モジュール用ケース520に内装されているモジュール用コイル521の数が異なるものが含まれていてもよい。
【0044】
本実施形態の受電部5は、4つの受電モジュール52によって構成されている。また、受電部5には、長さが異なる受電モジュール52が2つずつ含まれている。そして、長い方の2つの受電モジュール52は、それぞれ3つのモジュール用コイル521を有し、短い方の2つの受電モジュール52は、それぞれ2つのモジュール用コイル521を有している。
【0045】
ここで、走行路2内における送電部4と受電部5の配置について説明する。送電部4と受電部5は、
図2に示すように、後方領域S1に配置されている。そして、路内構造物6であるかご用レール60とカウンターウェイト61、巻上機62は、一方の側方領域S2に配置され、路内構造物6である制御盤63は、他方の側方領域S2に配置されている。すなわち、送電部4と受電部5は、路内構造物6のうちかご用レール60及びカウンターウェイト61と異なる領域に配置されている。
【0046】
受電部5は、
図5に示すように、後方領域S1(すなわち、かごユニット3よりも後方側の領域)に配置された状態でかご枠31に固定されている。また、受電部5は、下端部が載置部34に載置されている状態でかご枠31に固定されている。
【0047】
受電部5がかご枠31に固定されている状態において、モジュール用コイル521のコイル面は、一対の平行部400のそれぞれに対向する方向に向いた状態になっている。そして、送電線40が発生させた磁界の中にモジュール用コイル521が位置すると、磁界の振動がモジュール用コイル521に伝わり、モジュール用コイル521に電力が発生する(いわゆる、磁界共鳴が起きる)。
【0048】
本実施形態に係るエレベータ1の構成は、以上の通りである。続いて、添付図面を参照しつつ、エレベータ1における送電部4と受電部5の設置作業を説明する。
【0049】
受電部5をかごユニット3に取り付ける作業では、一つの受電モジュール52を載置部34に乗せてかご枠31に固定する作業が行われる。続いて、かご枠31に固定した受電モジュール52の上端部に別の受電モジュール52を重ねて配置し、該別の受電モジュール52もかご枠31に固定する。
【0050】
さらに、かご枠31に固定されている複数の受電モジュール52のうち、最も上方に配置されている受電モジュール52に別の受電モジュール52を重ねて配置し、該別の受電モジュール52をかご枠31に固定する作業を繰り返し行うことによって、各受電モジュール52がかご枠31に固定された状態になる。このようにして、受電部5がかご枠31に固定される。
【0051】
そして、受電モジュール52同士を電気的に接続する作業を行い、複数の受電モジュール52の全てが互いに電気的に接続された状態にする。
【0052】
載置部34は、乗りかご30よりも下方側に配置されているため、受電部5は、乗りかご30の下端部よりも下方側の位置から乗りかご30の上端部と同一の位置に亘る範囲に配置される。
【0053】
そのため、乗りかご30と送電線40との間の領域は、送電線40の配線方向における全域に亘って受電部5によって遮られる。
【0054】
また、送電部4も受電部5も、カウンターウェイト61や、かご用レール60が配置されていない後方領域S1に配置されているため、送電部4と受電部5とは、カウンターウェイト61や、かご用レール60から離れた位置に配置されている。
【0055】
そのため、送電線40が発生させた磁界のエネルギーは、乗りかご30に到達する前に受電部5によってエネルギーが消費され、また、カウンターウェイト61や、かご用レール60には到達しにくくなっている。
【0056】
以上のように、本実施形態のエレベータ1によれば、乗りかご30と磁界発生部40とが横並びになっても、かごユニット3と送電線40との間が受電部5によって遮られるため、送電線40が発生させた磁界のエネルギーが乗りかご30に到達する前に受電部5によって消費される。
【0057】
これにより、エレベータ1は、送電部4が発生させる磁界によって乗りかご30に電力が誘起されてしまうことを抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【0058】
また、本実施形態のエレベータ1では、送電線40と、路内構造物6であるかご用レール60やカウンターウェイト61とが別々の領域に配置されるため、送電線40が発生させる磁界とかご用レール60やカウンターウェイト61との距離を離すことができる。これにより、かご用レール60や、カウンターウェイト61についても、送電線40が発生させる磁界によって電力が誘起されにくくなる。
【0059】
なお、本実施形態のエレベータ1では、巻上機62や、制御盤63も送電線40が配置されている領域とは別の領域に配置されているため、巻上機62についても送電線40が発生させる磁界によって電力が誘起されにくくなっている。
【0060】
また、受電部5の配線方向における長さは、乗りかご30の配線方向における長さ以上になる(本実施形態では、乗りかご30の配線方向における長さよりも長くなっている)が、受電部5は、複数の小型の受電モジュール52に分けることができるように構成されているため、設置する際の作業性を高めることもできるようになっている。
【0061】
なお、本発明に係る非接触給電式のエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
上記実施形態において、走行路2は、上下方向に沿って延びるように形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、走行路2は、水平方向に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、エレベータ1は、かごユニット3が走行路2内において水平方向に沿って走行するように構成される。
【0063】
上記実施形態では、配線方向における受電部5の長さが、配線方向における乗りかご30の長さよりも長くなっていたが、この構成に限定されない。配線方向における受電部5の長さと、配線方向における乗りかご30の長さは同じであってもよい。
【0064】
このように、受電部5は、乗りかご30と送電線40との間の領域を配線方向における全域に亘って遮ることができ、配線方向における長さが配線方向における乗りかご30の長さ以上になっていればよい。
【0065】
上記実施形態の受電部5の上端部は、乗りかご30の上端部と同一の位置に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、受電部5の上端部は、乗りかご30の上端部よりも上方側に配置されていてもよい。
【0066】
上記実施形態の受電部5の下端部は、乗りかご30の下端部よりも下方側に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、受電部5の下端部は、乗りかご30の下端部と同一の位置に配置されていてもよい。
【0067】
上記実施形態では、送電部4及び受電部5が、かご用レール60及びカウンターウェイト61とは異なる領域に配置されていたが、この構成に限定されない。送電部4及び受電部5は、例えば、かご用レール60とカウンターウェイト61のうちのカウンターウェイト61のみと異なる領域に配置されていてもよいし(
図6参照)、ガイドレールとカウンターウェイト61のうちのかご用レール60のみと異なる領域に配置されていてもよい。
【0068】
このように、送電部4及び受電部5は、かご用レール60及びカウンターウェイト61のうちの少なくとも何れか一方と異なる領域に配置されていることが好ましい。
【0069】
上記実施形態では、受電モジュール52同士を電気的に接続する作業において、複数の受電モジュール52を互いに電気的に接続された状態にしていたが、この構成に限定されない。受電モジュール52同士を電気的に接続する作業では、例えば、複数の受電モジュール52のうちの一部の受電モジュール52同士を電気的に接続してもよい。
【0070】
上記実施形態の磁界発生部40は、送電線40によって構成されていたが、この構成に限定されない。磁界発生部40は、例えば、複数の送電コイルを移動経路に沿って並べることによって構成されていてもよい。
【0071】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、送電部4では、磁界発生部40が移動経路のうちの一部の領域に配置されていてもよい。また、送電部4では、複数の磁界発生部40が移動経路内に配置されていてもよい。このようにする場合、複数の磁界発生部40は、互いの間に間隔をあけた状態で移動方向に沿って並べて配置されていてもよいし、互いに隣接した状態で移動方向に沿って並べて配置されていてもよい。
【0072】
上記実施形態の説明において、特に言及しなかったが、送電線40を磁界発生部40とする場合、平行部400の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0073】
エレベータ1は、何れの場合においても、磁界発生部40の構成によらず、かごユニット3と磁界発生部40との間が受電部5によって遮られるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0074】
1…エレベータ、2…走行路、3…かごユニット、4…送電部、5…受電部、6…路内構造物、30…乗りかご、31…かご枠、32…被案内部、33…かご側受部、34…載置部、40…磁界発生部(送電線)、41…電源、50…ケース、51…受電コイル、52…受電モジュール、60…かご用レール、61…カウンターウェイト、62…巻上機、300…前壁、301…後壁、302…側壁、310…上枠部、311…下枠部、312…中枠部、320…ベース部、321…レール受部、400…平行部、520…モジュール用ケース、521…モジュール用コイル、610…錘用レール、611…錘部、612…錘用索状体、S1…後方領域、S2…側方領域