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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041222
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光散乱測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/51 20060101AFI20240319BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01N21/51
G01N21/21 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145900
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000206967
【氏名又は名称】大塚電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱尾 保
(72)【発明者】
【氏名】森澤 且廣
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 悠介
(72)【発明者】
【氏名】中串 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】若山 育央
(72)【発明者】
【氏名】友松 克之
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059BB04
2G059DD13
2G059EE05
2G059FF11
2G059JJ03
2G059JJ19
2G059JJ25
2G059KK01
2G059LL10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光散乱測定装置の小型化に資する光学素子ホルダを備えた光散乱測定装置を提供する。
【解決手段】光源と、試料を収容し、光源からの光が入射する試料セルと、試料セルから出射する出射光を検出する検出部と、試料セルから検出部に向かう出射光の経路LPにより定まる平面と直交する回転軸ARを有するとともに、それぞれ回転軸の周囲において回転軸に向くように設けられた第1の光学素子401-1及び第2の光学素子402-2を含む複数の光学素子を保持する光学素子ホルダ4と、回転軸周りに回転可能となるように光学素子ホルダを支持する光学素子ホルダ支持部と、を備え、光学素子ホルダは、少なくとも、第1の光学素子が経路上に位置する第1の姿勢と、第2の光学素子が経路上に位置する第2の姿勢と、の間を回転可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
試料を収容し、前記光源からの光が入射する試料セルと、
前記試料セルから出射する出射光を検出する検出部と、
前記試料セルから前記検出部に向かう前記出射光の経路により定まる平面と直交する回転軸を有するとともに、それぞれ前記回転軸の周囲において前記回転軸に向くように設けられた第1の光学素子及び第2の光学素子を含む複数の光学素子を保持する光学素子ホルダと、
前記回転軸周りに回転可能となるように前記光学素子ホルダを支持する光学素子ホルダ支持部と、
を備え、
前記光学素子ホルダは、少なくとも、前記第1の光学素子が前記経路上に位置する第1の姿勢と、前記第2の光学素子が前記経路上に位置する第2の姿勢と、の間を回転可能である、
光散乱測定装置。
【請求項2】
前記光学素子ホルダは、本体を有し、前記本体の側面に前記複数の光学素子を保持するものであり、
前記本体の側面には、前記第1の光学素子の反対側に開けられた第1の開口と、前記第2の光学素子の反対側に開けられた第2の開口と、を含む複数の開口が設けられている、
請求項1に記載の光散乱測定装置。
【請求項3】
前記回転軸は、前記経路上に位置し、前記第1の光学素子と前記第1の開口とに挟まれるとともに、前記第2の光学素子と前記第2の開口とに挟まれている、
請求項2に記載の光散乱測定装置。
【請求項4】
前記複数の光学素子及び前記複数の開口は、前記回転軸周りの全周に等角度間隔で配置されている、
請求項3に記載の光散乱測定装置。
【請求項5】
前記光学素子ホルダは、多角形状の部分を断面に含む、
請求項4に記載の光散乱測定装置。
【請求項6】
前記複数の開口は、互いに向かい合う第3の開口及び第4の開口を含む、
請求項2に記載の光散乱測定装置。
【請求項7】
第1の光学素子及び第2の光学素子はそれぞれ偏光素子である、
請求項1に記載の光散乱測定装置。
【請求項8】
前記第1の光学素子の偏光軸の方向と、前記第2の光学素子の偏光軸の方向と、は互いに異なる、
請求項7に記載の光散乱測定装置。
【請求項9】
第1の検出部及び前記第1の検出部に隣り合う第2の検出部を含む複数の前記検出部と、
前記第1の検出部に対応する第1の光学素子ホルダ及び前記第2の検出部に対応する第2の光学素子ホルダを含む複数の前記光学素子ホルダと、を備える、
請求項1に記載の光散乱測定装置。
【請求項10】
第1の歯車と、
前記第1の歯車と噛み合い、前記第1の歯車の回転に伴って回転するとともに、前記第1の光学素子ホルダと一体的に回転可能である第2の歯車と、
前記第1の歯車と噛み合い、前記第1の歯車の回転に伴って回転するとともに、前記第2の光学素子ホルダと一体的に回転可能である第3の歯車と、を備える、
請求項9に記載の光散乱測定装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光散乱測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光散乱測定装置では、試料セルと検出部との間に、偏光方向等の光学特性を変化させる光学素子を保持した光学素子ホルダが設けられることがある。例えば、光散乱測定装置を用いて測定試料の異方性を測定する場合には、試料セルと検出部との間に偏光素子ホルダが設けられる。
【0003】
光学素子ホルダに2種類以上の光学素子が保持されている場合、これらの光学素子を相互に切り換えることが必要となる。例えば、測定試料からの散乱光から、縦方向の直線偏光成分と横方向の直線偏光成分とをそれぞれ抽出して測定したい場合には、偏光軸が縦方向の偏光素子と偏光軸が横方向の偏光素子とを切り換えることが必要となる。
【0004】
従来、複数の光学素子間相互の切換を可能とする光学素子ホルダが種々検討されている。例えば、可変偏光ウェハ検査に関する分野では、複数の偏光素子が配置された板状のホルダを横方向にスライドすることにより偏光方向を切り換える技術(下記特許文献1の図3参照)が知られている。また、複屈折ファイバの外観測定に関する分野では、光の経路に平行な回転軸を有する円盤状のホルダ上に複数の偏光素子を配置し、このホルダを回転軸周りに回転させることにより偏光方向を切り換える技術(下記特許文献2の図3A参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-516574
【特許文献2】特開2011-069805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上記特許文献に記載されたような従来型の光学素子ホルダは、その設置に広いスペースを要する。これは、従来型の光学素子ホルダでは、複数の光学素子が同一平面上に設けられているためである。具体的に説明すると、従来型の光学素子ホルダでは、板状又は円盤状の基板上に複数の光学素子が配置されている。そして、これらの光学素子は全て同じ方向を、すなわち光学素子ホルダに向かって入射してくる光の経路と同一方向を向いている。ここで、光学素子ホルダにおいて、測定に関与する、すなわち光の経路上に置かれる光学素子は複数の光学素子のうち一つだけである。複数の光学素子のうち、この一の光学素子以外の光学素子は、測定に関与しないにもかかわらず、光学素子ホルダにおける上記基板の幅方向において一定の空間を占める。結果として、その一定の空間の分だけデッドスペースが生じてしまう。
【0007】
したがって、上記従来型の光学素子ホルダを用いると、光散乱測定装置自体が大型化するという問題を招来する。特に、光散乱測定装置が2以上の検出部を有する場合、すなわち多角度光散乱法による測定を行う場合には、光学素子ホルダも2以上必要となる。この場合に従来型の光学素子ホルダを用いると、上記デッドスペースが増大するため測定装置の大型化がより顕著となる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、光散乱測定装置の小型化に資する光学素子ホルダを備えた光散乱測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る光散乱測定装置は、光源と、試料を収容し、前記光源からの光が入射する試料セルと、前記試料セルから出射する出射光を検出する検出部と、前記試料セルから前記検出部に向かう前記出射光の経路により定まる平面と直交する回転軸を有するとともに、それぞれ前記回転軸の周囲において前記回転軸に向くように設けられた第1の光学素子及び第2の光学素子を含む複数の光学素子を保持する光学素子ホルダと、前記回転軸周りに回転可能となるように前記光学素子ホルダを支持する光学素子ホルダ支持部と、を備え、前記光学素子ホルダは、少なくとも、前記第1の光学素子が前記経路上に位置する第1の姿勢と、前記第2の光学素子が前記経路上に位置する第2の姿勢と、の間を回転可能である。
【0010】
(2)(1)の光散乱測定装置において、前記光学素子ホルダは、本体を有し、前記本体の側面に前記複数の光学素子を保持するものであり、前記本体の側面には、前記第1の光学素子の反対側に開けられた第1の開口と、前記第2の光学素子の反対側に開けられた第2の開口と、を含む複数の開口が設けられていてもよい。
【0011】
(3)(2)の光散乱測定装置において、前記回転軸は、前記経路上に位置し、前記第1の光学素子と前記第1の開口とに挟まれるとともに、前記第2の光学素子と前記第2の開口とに挟まれていてもよい。
【0012】
(4)(3)の光散乱測定装置において、前記複数の光学素子及び前記複数の開口は、前記回転軸周りの全周に等角度間隔で配置されていてもよい。
【0013】
(5)(1)から(4)のいずれかの光散乱測定装置において、前記光学素子ホルダは、多角形状の部分を断面に含んでいてもよい。
【0014】
(6)(2)から(5)のいずれかの光散乱測定装置において、前記複数の開口は、互いに向かい合う第3の開口及び第4の開口を含んでいてもよい。
【0015】
(7)(1)から(6)のいずれかの光散乱測定装置において、第1の光学素子及び第2の光学素子はそれぞれ偏光素子であってもよい。
【0016】
(8)(1)から(7)のいずれかの光散乱測定装置において、前記第1の光学素子の偏光軸の方向と、前記第2の光学素子の偏光軸の方向と、は互いに異なっていてもよい。
【0017】
(9)(1)から(8)のいずれかの光散乱測定装置は、第1の検出部及び前記第1の検出部に隣り合う第2の検出部を含む複数の前記検出部と、前記第1の検出部に対応する第1の光学素子ホルダ及び前記第2の検出部に対応する第2の光学素子ホルダを含む複数の前記光学素子ホルダと、を備えていてもよい。
【0018】
(10)(1)から(9)のいずれかの光散乱測定装置は、第1の歯車と、前記第1の歯車と噛み合い、前記第1の歯車の回転に伴って回転するとともに、前記第1の光学素子ホルダと一体的に回転可能である第2の歯車と、前記第1の歯車と噛み合い、前記第1の歯車の回転に伴って回転するとともに、前記第2の光学素子ホルダと一体的に回転可能である第3の歯車と、を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る光散乱測定装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る光散乱測定装置の平面的な配置を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る光学素子ホルダを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る光学素子ホルダを示す側面図である。
図5】回転軸ARを含む面により切断した図4の縦断面図である。
図6】VI-VI線切断面による図4の断面図である。
図7】変形例に係る光散乱測定装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
はじめに、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る光散乱測定装置の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光散乱測定装置を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る光散乱測定装置の平面的な配置を模式的に示す図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、光散乱検出装置100は、光源1と、試料セル2と、複数の検出部3と、複数の光学素子ホルダ4と、光学素子ホルダ支持部5と、を備える。本実施形態の光散乱検出装置100は、多角度光散乱測定装置である。
【0023】
光源1は、試料に照射される光Lを発生させる。試料セル2は、試料を収容する透明の容器である。試料セル2(試料セル2内の試料)には、光源1からの光Lが入射する。試料セル2(試料セル2内の試料)からは、試料セル2まわりに角度θずつ異なる複数の方向に散乱光SLが出射する。
【0024】
複数の検出部3のそれぞれは、上記複数方向に出射する散乱光SLのうち、その検出部3に対応する散乱光SLを検出する。そのため、複数の検出部3のそれぞれは、試料セル2を囲む円周C1上において、試料セル2を中心として互いに角度θ離間して隣り合うように設けられている(図2)。複数の検出部3のそれぞれの出力は制御装置(不図示)に伝達される。そして、制御装置は、複数の検出部3のそれぞれにて検出された散乱光SLの強度の角度依存性に基づいて、試料中の物質の粒子径や分子量を算出する。本実施形態では、試料は液体試料であるものとするが、試料は固体試料であってもよい。
【0025】
複数の光学素子ホルダ4のそれぞれは、後述するように、第1の光学素子401-1と第2の光学素子401-2とを保持する(図3~6参照)。複数の光学素子ホルダ4のそれぞれは、試料セル2とその光学素子ホルダ4に対応する検出部3との間に設けられている。すなわち、複数の光学ホルダ4のそれぞれは、試料セル2を囲むとともに円周C1の内側に位置する同心の円周C2上において、互いに角度θ離間して隣り合うように設けられている(図2)。そして、複数の光学素子ホルダ4のそれぞれは、試料セル2からその光学素子ホルダ4に対応する検出部3に向かう散乱光SLの経路LP上に第1の光学素子401-1が位置する第1の姿勢と、経路LP上に第2の光学素子401-2が位置する第2の姿勢と、の間を回転可能となっている(図3~6参照)。
【0026】
このように、複数の光学素子ホルダ4のそれぞれが第1の姿勢と第2の姿勢との間を回転可能となっていることにより、光散乱測定装置100において、第1の光学素子401-1を用いた測定と第2の光学素子401-2を用いた測定との切換が可能となる。なお、図1及び図2では、検出部3及び光学素子ホルダ4の数がそれぞれ11個である場合が示されているが、検出部3及び光学素子ホルダ4の数はこれより少なくても、又は多くてもよい。
【0027】
光学素子ホルダ支持部5は、上記したように、複数の光学素子ホルダ4を回転可能となるように支持している。すなわち、光学素子ホルダ支持部5は、円周C2に沿った円環形状の板材により形成されており、その円環形状の中心の穴部分に試料セル2が配置されている。なお、光学素子ホルダ支持部5の形状は円環形状に限られず、他の形状であってもよい。
【0028】
以下では、光学素子ホルダ4の詳細について説明する。まず、図3から図5を用いて、光学素子ホルダ4の全体について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る光学素子ホルダを示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る光学素子ホルダを示す側面図である。図5は、回転軸ARを含む面により切断した図4の縦断面図である。なお、図3から図5では、経路LP、及び光学素子ホルダ支持部5の一部分のみを示す。
【0029】
図3から図5に示すように、光学素子ホルダ4は、本体40とつまみ41とを有する。本体40は、下部40aと上部40bとを含む。
【0030】
下部40aの形状は六角柱状であり、上部40bの形状は円柱状である(図3)。下部40aの中心軸と上部40bの中心軸とは同一直線上に並んでおり(図5)、その直線が光学素子ホルダ4の回転軸ARとなる。なお、下部40aの形状は、六角柱状に限られず、円柱状や半球状等、他の形状であってもよい。
【0031】
上部40bの下端部は、スペーサ51,51を介して光学素子ホルダ支持部5により回転可能に支持されている(図5)。スペーサ51,51の形状は、それぞれ円環板状であり、その内周に円筒壁が立ち上がった形状である。光学素子ホルダ支持部5上には円周C2に沿って複数の孔が開けられており、各孔の上側からスペーサ51,51の一方がはめ込まれ、各孔の下側からスペーサ51,51の他の一方がはめ込まれている。また、上部40aの上端部には、円筒状のつまみ41が回転不能にはめ込まれている(図3、5)。これにより、ユーザは、つまみ41をつまんで、光学素子ホルダ4を回転軸AR周りに回転させることができる。つまみ41の形状は円筒状以外のものであってもよい。
【0032】
以下、図6を更に参照しながら、光学素子ホルダ4の詳細について説明する。図6は、VI-VI線切断面による図4の断面図である。
【0033】
下部40aには、対向する側面を貫通する第1の貫通孔TH1及び第2の貫通孔TH2が設けられている(図6)。第1の貫通孔TH1の一端には第1の光学素子401-1が設けられ、第1の貫通孔TH1の他端は第1の開口402-1となっている。第2の貫通孔TH2の一端には第2の光学素子401-2が設けられ、第2の貫通孔TH2の他端は第2の開口402-2となっている。また、第1の光学素子401-1と第1の開口402-1とは互いに向かい合っている。同様に、第2の光学素子401-2と第2の開口402-2とは互いに向かい合っている。
【0034】
これにより、第1の光学素子401-1に入射した散乱光SLが、第1の貫通孔TH1を通り、第1の開口402-1から出射されるため、第1の光学素子401-1を通過した散乱光SLを検出部3が検出することができる。同様に、第2の光学素子401-2に入射した散乱光SLが、第2の貫通孔TH2を通り、第2の開口402-2から出射されるため、第2の光学素子401-2を通過した散乱光SLを検出部3が検出することができる。なお、第1の開口402-1に入射した散乱光SLが、第1の貫通孔TH1を通った後、第1の光学素子401-1を通過するようにしてもよい。また、第2の開口402-2に入射した散乱光SLが、第2の貫通孔TH2を通った後、第2の光学素子401-2を通過するようにしてもよい。
【0035】
更に下部40aには、対向する側面を貫通する第3の貫通孔TH3が設けられている(図6)。第3の貫通孔TH3の一端は第3の開口402-3となっており、第3の貫通孔TH3の他端は第4の開口402-4となっている。第3の開口402-3と第4の開口402-4とは互いに向かい合っている。また、光学素子ホルダ4を回転させることにより、第3の開口402-3及び第4の開口402-4を経路LP上に位置させることができる。このように、光学素子が設けられない貫通孔を設けておくことにより、光散乱測定装置100が光学素子ホルダ4を備える場合においても、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2を関与させない通常の測定を実施することができる。
【0036】
なお、光学素子ホルダ4は、4つ以上の複数の貫通孔を有するものであってもよい。すなわち、光学素子ホルダ4は、3つ以上の複数の光学素子を保持するものであってもよい。また、光学素子ホルダ4は、5つ以上の複数の開口を有するものであってもよい。また、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2の配置態様は図6に示したものに限られず、例えば第1の光学素子401-1と第2の光学素子401-2とが隣り合う位置にあってもよい。
【0037】
また、第1の開口402-1等の開口は円形状の穴であったが(図3等)、光を通過させるという機能を発揮する範囲内において、穴以外の形状に変更してもよい。例えば、開口は、下部40aの上端又は下端に設けられた切り欠きであってもよい。
【0038】
第1の貫通孔TH1の中心線CL1は、回転軸ARに直交するとともに、回転軸ARと経路LPとの交点である回転中心CRを通る(図6)。同様に、第2の貫通孔TH2の中心線CL2は、回転軸ARに直交するとともに、回転軸ARと経路LPとの交点である回転中心CRを通る(図6)。さらに、第3の貫通孔TH3の中心線CL3は、回転軸ARに直交するとともに、回転軸ARと経路LPとの交点である回転中心CRを通る(図6)。また、回転軸ARは、経路LP上に位置し、経路LPと直交している(図3~5)。
【0039】
これにより、光学素子ホルダ4を回転させたときに、散乱光SLが、第1の貫通孔TH1、第2の貫通孔TH2及び第3の貫通孔TH3を通過することができる。なお、この作用を奏する限りにおいて、回転軸ARと経路LPとは、直交以外の態様で交差していてもよい。また、この作用を奏する限りにおいて、回転軸ARと、第1の貫通孔TH1の中心線CL1、第2の貫通孔TH2の中心線CL2又は第3の貫通孔TH3の中心線CL3と、は直交以外の態様で交差していてもよい。さらに、回転軸ARは、経路LP上に位置していなくてもよく、上記作用を奏する限りにおいて経路LPと直交以外の態様で交差していてもよい。
【0040】
第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2の形状はそれぞれ、2つの主面を有する板状である。ここで、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2のそれぞれの主面の法線方向(すなわち、第1の貫通孔TH1の中心線CL1の方向及び第2の貫通孔TH2の中心線CL2の方向)は、回転軸ARと直交している(図5~6)。換言すれば、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2は、それぞれ回転軸ARの周囲において回転軸ARに向くように設けられている。すなわち、複数の光学素子401が同一平面上に設けられておらず、測定に関与しない光学素子に起因するデッドスペースを小さくすることができるため、光学素子ホルダ4を小型にすることができる。なお、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2の主面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0041】
第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2は、ここでは一例として、それぞれ偏光素子(偏光板)である。第1の光学素子401-1の偏光軸の方向は回転軸ARと平行な方向、すなわち縦方向であり、第2の光学素子401-2の偏光軸の方向は回転軸ARに垂直な方向、すなわち横方向である。なお、第1の光学素子41aの偏光軸の方向及び第2の光学素子41bの偏光軸の方向は、測定の目的に応じて任意に設定してよい。また、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2としては、偏光素子のほか、光量調整のためのNDフィルタや、波長調整のための色ガラスフィルタ等、種々の光学素子を選択することができる。例えば、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2のうち一方を偏光素子とし、第1の光学素子401-1及び第2の光学素子401-2のうち他方をNDフィルタとするなど、異なる種類の光学素子を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0042】
ところで、本実施形態の光学素子ホルダ4では、回転軸ARが経路LP上に位置し、且つ、第1の光学素子401-1と第1の開口402-1とが回転軸ARを挟むように配置されるとともに、第2の光学素子401-2と第2の開口402-2とが回転軸ARを挟むように配置されている(図5~6)。このような構成とすることで、光学素子ホルダ4の下部40aの側面をより有効活用することができるため、光学素子ホルダ4をより小型にすることができる。
【0043】
さらに、第1の貫通孔TH1の中心線CL1の方向と、第2の貫通孔TH2の中心線CL2の方向と、第3の貫通孔TH2の中心線CL3の方向と、は回転中心CRまわりに60度ずつ異なっている(図6)。すなわち、第1の光学素子401-1と、第3の開口402-3と、第2の光学素子401-2と、第1の開口402-1と、第4の開口402-4と、第2の開口402-2と、は回転軸AR周りの全周に等角度間隔で配置されている。このような構成としたことにより、光学素子ホルダ4の下部40aの側面を最大限有効活用することができるので、光学素子ホルダ4を更により小型にすることができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。以下、図7を用いて本発明の変形例の一つについて説明する。図7は、変形例に係る光散乱測定装置を示す斜視図である。
【0045】
本変形例では、光散乱測定装置100は、大歯車6と、複数の小歯車7と、を更に備える。大歯車6は、光学素子ホルダ支持部5上に設けられ、その複数の歯が試料セル2を囲んでいる。また、大歯車6の回転軸は、複数の光学素子ホルダ4のそれぞれの回転軸ARと平行となっている。
【0046】
複数の小歯車7のそれぞれは、先に説明した実施形態におけるつまみ41の代わりに、光学素子ホルダの上部40bの上端部に回転不能にはめ込まれており、光学素子ホルダと一体的に回転可能となっている。複数の小歯車7のそれぞれは、大歯車6と噛み合い、大歯車6の回転に伴って回転する。先に説明した実施形態では、つまみ41を手動で回すことにより複数の光学素子ホルダ4のそれぞれを回転させていたが、本変形例では、大歯車6をモータ等の動力により回転させることで、複数の光学素子ホルダ4の全てを一挙に回転させることができる。
【符号の説明】
【0047】
100 光学測定装置、1 光源、2 試料セル、3 検出部、4 光学素子ホルダ、5 光学素子ホルダ支持部、6 大歯車、7 小歯車、40 本体、41 つまみ、401 光学素子、402 開口、51 スペーサ、L 光、SL 散乱光、LP 経路、AR 回転軸、TH 貫通孔、CR 回転中心。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7