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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041225
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】モータ監視センサ
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240319BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01M99/00 A
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145911
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 昂志
(72)【発明者】
【氏名】初田 健典
(72)【発明者】
【氏名】山下 英祐
(72)【発明者】
【氏名】川本 真吾
(72)【発明者】
【氏名】岡本 曜
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD03
2G024AD25
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA09
3C223AA06
3C223AA21
3C223AA23
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EA06
3C223EB02
3C223FF46
3C223GG01
(57)【要約】
【課題】より低コストで継続的に運用できるモータ監視センサを提供する。
【解決手段】本モータ監視センサは、監視対象のモータに取り付けられて上記モータの振動を検知する加速度センサと、上記加速度センサによって検知された上記モータの振動を示す検出値を基に上記モータの状態を示す状態情報を決定する処理部と、決定された上記状態情報を上位装置に送信する送信部と、上記モータに取り付けられて上記モータの振動を受けて発電し、発電した電力を上記加速度センサ、上記処理部、及び上記送信部に供給する振動発電部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象のモータに取り付けられて前記モータの振動を検知する加速度センサと、
前記加速度センサによって検知された前記モータの振動を示す検出値を基に前記モータの状態を示す状態情報を決定する処理部と、
決定された前記状態情報を上位装置に送信する送信部と、
前記モータに取り付けられて前記モータの振動を受けて発電し、発電した電力を前記加速度センサ、前記処理部、及び前記送信部に供給する振動発電部と、を備える、
モータ監視センサ。
【請求項2】
前記振動発電部は、
前記モータの振動によって発電する振動発電素子と、前記振動発電素子によって発電された前記電力を蓄電する蓄電部とを含み、
前記蓄電部に蓄電された前記電力を前記処理部と前記送信部に供給する、
請求項1に記載のモータ監視センサ。
【請求項3】
電池をさらに備え、
前記振動発電部によって発電された前記電力が前記処理部及び前記送信部の駆動に不足する場合には、前記電池からも前記処理部及び前記送信部に電力を供給する、
請求項1に記載のモータ監視センサ。
【請求項4】
前記処理部は、前記振動発電部からの前記電力の供給が所定の閾値以下となると、前記モータが停止していることを示す情報を前記状態情報に含める、
請求項1に記載のモータ監視センサ。
【請求項5】
前記モータを停止させる時間帯を記憶する記憶部をさらに備え、
前記処理部は、前記モータの停止が検出された時間が前記時間帯と異なる場合に、前記状態情報に前記モータの故障を示す情報を付加する、
請求項4に記載のモータ監視センサ。
【請求項6】
前記処理部は、前記加速度センサによって検出された前記検出値の時系列データから前記状態情報を決定する、
請求項1に記載のモータ監視センサ。
【請求項7】
前記処理部は、
前記検出値を基に前記モータの故障度合いを示す故障値を決定し、
前記状態情報に前記故障値を付加する、
請求項1に記載のモータ監視センサ。
【請求項8】
前記故障値は、前記モータの故障の度合いに応じた3段階以上の指標値を含む、
請求項7に記載のモータ監視センサ。
【請求項9】
前記故障値は、前記モータの正常を示す指標値または前記モータの異常を示す指標値を含む、
請求項7に記載のモータ監視センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ監視センサに関する。
【背景技術】
【0002】
機器を駆動するモータを監視するセンサが利用されている。例えば、非特許文献1では、電池で駆動するセンサが提案されている。また、例えば、非特許文献2には、外部電源から電力の供給を受けて動作するセンサが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社アドバンテック,“WISE-2410 LoRaWANワイヤレス状態監視センサ”,[online],[令和4年8月7日検索],インターネット,<URL:https://www.advantech.co.jp/products/78b36b30-8dc1-44b3-91a3-01337cc09b11/wise-2410/mod_25018dc7-355c-40b4-bf9b-c93f6c73f1a0>
【非特許文献2】三菱電機株式会社,” iQ Monozukuri 回転機振動診断 動作確認機器のご紹介”,[online],[令和4年8月7日検索],インターネット,令和元年2月<https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/document/technews/sol/iqmonozukuri/bcn-e2113-0033/bcne21130033f.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故障等によりモータが稼働中に急停止すると、モータの回転軸に取り付けられたベルトの絡まりや二次側の空回り等から、モータに接続された他の機器にも故障等が生ずる虞がある。そのため、センサによって継続的にモータの状態が監視されることが好ましい。しかしながら、電池で駆動するセンサがモータの監視に採用される場合、継続的にモータの監視を行うには電池の交換作業が発生するため、交換作業に係る作業費が必要となる。また、外部電源から電力を受けるセンサがモータの監視に採用される場合、センサ設置のために電源工事が必要となる。すなわち、電池で駆動するセンサ及び外部電源から電力を受けるセンサのいずれがモータ監視に採用されても、運用コストは高いものとなる。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、より低コストで継続的に運用できるモータ監視センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなモータ監視センサによって例示される。本モータ監視センサは、監視対象のモータに取り付けられて上記モータの振動を検知する加速度センサと、上記加速度センサによって検知された上記モータの振動を示す検出値を基に上記モータの状態を示す状態情報を決定する処理部と、決定された上記状態情報を上位装置に送信する送信部と、上記モータに取り付けられて上記モータの振動を受けて発電し、発電した電力を上記加速度センサ、上記処理部、及び上記送信部に供給する振動発電部と、を備える。
【0007】
モータ監視センサは、監視対象とするモータの振動によって発電する振動発電部を備える。そして、モータ監視センサでは、振動発電部から供給される電力によって、処理部、加速度センサ及び通信部が駆動される。そのため、モータ監視センサは、電池を備えなくとも駆動させることができる。このようなモータ監視センサによれば、電池を交換作業に係る運用コストを低減することができ、ひいては、より低コストで継続的にモータ監視セ
ンサを運用できる。
【0008】
上記モータ監視センサは、次の特徴を備えてもよい。上記振動発電部は、上記モータの振動によって発電する振動発電素子と、上記振動発電素子によって発電された上記電力を蓄電する蓄電部とを含む。そして、モータ監視センサは、上記蓄電部に蓄電された上記電力を上記処理部と上記送信部に供給するものであってよい。振動発電素子による発電はモータの振動に依存するため、処理部、加速度センサ及び送信部を駆動させる電力を安定的に供給できない場合も考えられる。振動発電素子によって発電された電力のうち余剰分を蓄電部に蓄電し、振動発電素子によって発電された電力が不足する場合に蓄電部に蓄電された電力も利用することで、より安定してモータ監視センサを駆動できる。
【0009】
ここで、上記モータ監視センサは、さらに、電池を備えてもよい。そして、上記振動発電部によって発電された上記電力が上記処理部及び上記送信部の駆動に不足する場合には、上記電池からも上記処理部及び上記送信部に電力を供給してもよい。上記の通り、振動発電部による発電はモータの振動に依存するため、安定的に供給できない場合も考えられる。モータ監視センサは、電池をさらに備えることで、振動発電部から供給される電力が不足する場合であっても電池から供給される電力も用いることで、より安定してモータの監視を行える。
【0010】
上記モータ監視センサは、次の特徴を備えてもよい。上記処理部は、上記振動発電部からの上記電力の供給が所定の閾値以下となると、上記モータが停止していることを示す情報を上記状態情報に含める。振動発電部はモータの振動によって発電するため、振動発電部の発電量が所定の閾値以下となることでモータの停止を検出することもできる。モータ監視センサは、このような特徴を備えることで、例えば、加速度センサが故障したり、加速度センサの駆動に電力が不足したりする場合であっても、モータの停止を上位装置に通知できる。
【0011】
上記モータ監視センサは、次の特徴を備えてもよい。上記モータを停止させる時間帯を記憶する記憶部をさらに備え、上記処理部は、上記モータの停止が検出された時間が上記時間帯と異なる場合に、上記状態情報に上記モータの故障を示す情報を付加する。モータは常に駆動するとは限らず、計画的に停止される場合も考えられる。モータを停止させる時間帯を予め記憶部に記憶しておくことで、モータ監視装置は、モータの停止が検出された時間帯がモータを停止させる時間帯に含まれる場合に、モータの停止を通知することを抑制できる。
【0012】
なお、上記状態情報は、上記加速度センサによって検出された上記検出値の時系列データから決定されてもよい。また、上記処理部は、上記検出値を基に上記モータの故障度合いを示す故障値を決定し、上記状態情報に上記故障値を付加してもよい。また、上記故障値は、上記モータの故障の度合いに応じた3段階以上の指標値を含むものであってもよいし、上記モータの正常を示す指標値または上記モータの異常を示す指標値を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、より低コストで継続的に運用できるモータ監視センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係るモータ監視センサの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るモータ監視センサの使用態様の一例を示す図である。
図3図3は、モータの振動速度のRMS値とモータの状態の対応関係の一例を示す図である。
図4図4は、モータ監視センサによる処理フローの一例を示す第1の図である。
図5図5は、モータ監視センサによる処理フローの一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<適用例>
以下、本発明の適用例について、図面を参照して説明する。本発明は、例えば、図1に一例を示すモータ監視センサ1に適用される。モータ監視センサ1は、筐体10、振動発電部11、供給部14、推定部15、記憶部16、加速度センサ17、通信部18、及び電池19を備える。振動発電部11は、振動発電素子12と蓄電池13とを含む。振動発電素子12と加速度センサ17とは、筐体10の外に配置される。蓄電池13、供給部14、推定部15、記憶部16、通信部18、及び電池19は、筐体10内に収容される。
【0016】
モータ監視センサ1は、例えば、図2に例示するように、加速度センサ17及び振動発電素子12がモータ本体21に設置された状態で使用される。駆動されたモータ2の振動によって振動発電素子12が発電する。振動発電素子12によって発電された電力は、例えば、推定部15、加速度センサ17及び通信部18に供給される。加速度センサ17は、モータ2の振動を検知する。推定部15は、加速度センサ17によって検知されたモータ2の振動を示す検出値を用いて、モータ2の状態を示す状態情報を決定する。通信部18は、推定部15によって決定された状態情報を上位装置に送信される。
【0017】
このようなモータ監視センサ1では、モータ2の振動を基に振動発電素子12が発電し、振動発電素子12によって発電された電力を用いて推定部15、加速度センサ17及び通信部18の各部が駆動される。そのため、モータ監視センサ1は、電池や外部電源を用いなくとも駆動できるため、電池交換や電源工事に係る作業工数を削減できる。そのため、モータ監視センサ1は、より低コストで継続的にモータ2を監視できる。
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照してモータ監視センサ1についてさらに説明する。図1は、実施形態に係るモータ監視センサ1の構成の一例を示す図である。図2は、実施形態に係るモータ監視センサ1の使用態様の一例を示す図である。図2では、モータ本体21内におけるモータ軸22の位置が点線で示される。モータ監視センサ1は、モータ2の振動を検知し、検知した振動を基にモータ2の状態を診断するセンサである。
【0019】
ここで、モータ監視センサ1が監視対象とするモータ2は、例えば、ビルにおいて様々な機器を駆動する電動機である。モータ2は、例えば、自家発電設備や受変電設備に用いられる。また、モータ2は、例えば、冷温水発生器、吸収式冷凍機及びターボ冷凍機等に用いられる。また、モータ2は、上下水道のポンプ、昇降機、自動ドア及びシャッター等の動力として用いられる。また、モータ2は、空気調和機や照明等に用いられてもよい。
【0020】
振動発電部11は、振動を受けると発電する振動発電素子12と、振動発電素子12によって発電された電力を蓄電する蓄電池13とを含む。蓄電池13としては、例えば、コンデンサ及び二次電池が挙げられる。電池19は、例えば、一次電池である。電池19としては、例えば、ボタン電池及び乾電池が挙げられる。
【0021】
供給部14は、振動発電部11及び電池19から供給された電力を推定部15、加速度センサ17及び通信部18に供給する。供給部14は、例えば、推定部15、加速度センサ17及び通信部18が消費する電力を振動発電部11から供給される電力によって賄える場合には、振動発電部11からの電力を推定部15、加速度センサ17及び通信部18
に供給するとともに、電池19からの電力の供給は抑制(または禁止)する。また、供給部14は、例えば、推定部15、加速度センサ17及び通信部18が消費する電力を振動発電部11から供給される電力によって賄えない場合には、振動発電部11から供給される電力に加えて電池19から供給される電力も推定部15、加速度センサ17及び通信部18に供給する。
【0022】
加速度センサ17は、加速度を検出するセンサである。加速度センサ17は、2軸のセンサであっても3軸のセンサであってもよい。加速度センサ17は、モータ2に取り付けられて、モータ2の振動を検出する。加速度センサ17は、検出したモータ2の振動を示す検出値を推定部15に出力する。加速度センサ17は、モータ2のモータ軸22上に配置されることが好ましい。このような位置として、例えば、図2の領域A1及び領域A2が挙げられる。
【0023】
推定部15は、例えば、プロセッサである。推定部15は、記憶部16に記憶された所定のプログラムを実行することで、所望の処理を実現する。記憶部16は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。
【0024】
推定部15は、加速度センサ17から検出値を受信した時刻とともに加速度センサ17から受信した検出値を記憶部16に記憶させる。そして、推定部15は、記憶部16に記憶させた時系列の検出値を基に、モータ2の状態を示す状態情報を決定する。状態情報は、例えば、モータ2の振動速度の実効値(RMS値)を含む。
【0025】
推定部15は、例えば、モータ2の振動速度のRMS値を、例えば、下記の式(1)または式(2)を用いて決定する。
【数1】
【0026】
式(1)において、v(t)は時間の関数としての振動速度、Tはサンプリング時間である。なお、サンプリング時間は、v(t)の主要な振動成分の周期より長い時間となる。また、式(2)において、a、a、a、・・・、aは、振動加速度のRMS値である。また、f、f、f・・・、fは、振動数のRMS値である。そして、式(1)及び式(2)において、vrmsは、振動速度のRMS値である。
【0027】
モータ2の状態は、例えば、振動速度のRMS値vrmsによって示すことができる。図3は、モータ2の振動速度のRMS値とモータ2の状態の対応関係の一例を示す図である。図3では、クラスI、クラスII、クラスIII、及びクラスIVの夫々のモータ2について、vrmsとモータ2の状態が例示される。なお、クラスIのモータ2は15kW以下の電動機であり、クラスIIのモータ2は75kW以下の電動機であり、クラスIIIの電動機は剛基礎上に設置された大型機であり、クラスIVの電動機は柔らかい軟基礎上に設置された大型機である。
【0028】
そして、図3では、vrmsによるモータ2の状態は、「A」、「B」、「C」、及び「D」の4段階に分類される。「A」はモータ2を新設した状態、「B」はモータ2を長
期運転可能な状態、「C」は長期運転を期待できない状態、「D」はモータ2の損傷を起こし得るほど厳しい状態を例示する。このように、vrmsによってモータ2の状態を把握できる。
【0029】
通信部18は、推定部15によって決定された状態情報を上位装置に送信する通信モジュールである。通信部18は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LoRA(登録商標)を用いて、上位装置と通信する。
【0030】
<処理フロー>
図4及び図5は、モータ監視センサ1による処理フローの一例を示す図である。図4の「A」は図5の「A」に接続し、図4の「B」は図5の「B」に接続する。図4及び図5に例示される処理は、振動発電素子12によって振動発電が開始されると繰り返し実行される。以下、図4及び図5を参照して、モータ監視センサ1による処理フローの一例について説明する。
【0031】
ステップS1では、推定部15は、振動発電素子12による振動発電がおこなわれているか否かを判定する。推定部15は、例えば、振動発電素子12による振動発電によって発電される電力が所定の閾値以下の場合、振動発電が行われていないと判定する。振動発電が行われている場合、推定部15は、加速度センサ17によって検出された検出値を検出された時刻とともに記憶部16に記憶させる。振動発電が行われている場合(ステップS1でYES)、処理はステップS2に進められる。振動発電が行われていない場合(ステップS1でNO)、処理はステップS8に進められる。
【0032】
ステップS2では、推定部15は、稼働フラグがオンに設定されているか否かを判定する。稼働フラグは、モータ2が稼働していると判定された場合に推定部15によってオンに設定される。稼働フラグがオンである場合(ステップS2でYES)、処理はステップS5に進められる。稼働フラグがオフである場合(ステップS2でNO)、処理はステップS3に進められる。
【0033】
ステップS3では、推定部15は、モータ2が稼働していることを示す状態情報を通信部18に送信させる。ここで、推定部15は、例えば、記憶部16に記憶された検出値の時系列情報を基に、上記式(1)または式(2)によって算出したvrmsを状態情報に含めて通信部18に送信させてもよい。
【0034】
ステップS4では、推定部15は、稼働フラグをオンに設定する。また、推定部15は、モータ2が不稼働であることを示す不稼働フラグをオフに設定する。設定されたフラグは、例えば、記憶部16に記憶される。
【0035】
ステップS5では、供給部14は、振動発電素子12から供給される電力が推定部15、加速度センサ17及び通信部18の駆動に不足するか否かを判定する。不足する場合(ステップS5でYES)、処理はステップS6に進められる。不足しない場合(ステップS5でNO)、処理はステップS7に進められる。
【0036】
ステップS6では、供給部14は、推定部15、加速度センサ17及び通信部18に対して、電池19からの電力も供給する。ステップS7では、供給部14は、振動発電部11から供給される余剰分の電力を用いて、蓄電池13を充電する。ステップS6またはステップS7の完了後、処理はステップS1に進められる。
【0037】
ステップS8では、推定部15は、不稼働フラグがオンにされているか否かを判定する。不稼働フラグがオンである場合(ステップS8でYES)、処理はステップS1に進め
られる。不稼働フラグがオフである場合(ステップS8でNO)、処理はステップS9に進められる。
【0038】
ステップS9では、推定部15は、モータ2が不稼働(停止)であることを示す状態情報を通信部18に送信させる。ここで、推定部15は、例えば、加速度センサ17から取得した加速度を基に、上記式(1)または式(2)によって算出したvrmsを状態情報に含めて通信部18に送信させてもよい。
【0039】
ステップS10では、推定部15は、不稼働フラグをオンに設定する。また、推定部15は、稼働フラグをオフに設定する。設定されたフラグは、例えば、記憶部16に記憶される。
【0040】
<実施形態の作用効果>
実施形態では、モータ監視センサ1は、モータ2の振動によって発電する振動発電部11を備える。そして、モータ監視センサ1では、振動発電部11から供給される電力によって、推定部15、加速度センサ17及び通信部18が駆動される。そのため、モータ監視センサ1は、電池19を備えなくとも推定部15、加速度センサ17及び通信部18が駆動させることができる。そのため、モータ監視センサ1において電池19を交換する頻度を低減することができ、ひいては、より低コストで継続的にモータ監視センサ1をモータ2の監視に適用できる。
【0041】
また、モータ監視センサ1のように推定部15を備える場合、その消費電力はより大きなものとなる。そのため、振動発電部11を備えずに電池から供給される電力によってモータ監視センサが駆動される場合、電池交換の頻度は高いものとなる。本実施形態では、モータ2の振動によって発電する振動発電部11から供給される電力によって駆動されるため、このような電池交換の頻度を抑制できる。なお、振動発電部11から供給される電力がモータ監視センサ1の駆動に要する電力を充足する場合、モータ監視センサ1から電池19を省略してもよい。
【0042】
ここで、モータ監視センサ1は、振動発電素子12によって発電された電力を蓄電する蓄電池13を備える。振動発電素子12による発電はモータ2の振動に依存するため、推定部15、加速度センサ17及び通信部18を駆動させる電力を安定的に供給できない場合も考えられる。振動発電素子12によって発電された電力のうち余剰分を蓄電池13に蓄電し、振動発電素子12によって発電された電力が不足する場合に蓄電池13に蓄電された電力も利用することで、より安定してモータ監視センサ1を駆動できる。
【0043】
実施形態では、モータ監視センサ1は、振動発電部11に加えて電池19も備える。上記の通り、振動発電素子12による発電はモータ2の振動に依存するため、安定的に供給できない場合も考えられる。本実施形態は、電池19を備えることで、振動発電部11から供給される電力が不足する場合に電池19から供給される電力も用いることで、より安定してモータ監視センサ1を駆動できる。
【0044】
実施形態では、モータ監視センサ1は、振動発電素子12によって発電される電力が所定の閾値以下となるとモータ2の不稼働を通信部18に通知させる。振動発電素子12によって発電される電力が所定の閾値以下の場合、推定部15は通信部18にモータ2不稼働であることを示す状態情報を通信部18に送信させる。本実施形態によれば、加速度センサ17が故障した場合であったり、振動発電素子12によって発電される電力が加速度センサ17の駆動に不足していたりする場合であっても、モータ2の不稼働を通知できる。
【0045】
実施形態では、推定部15は、記憶部16に記憶された加速度センサ17の検出値の時系列データを基に、上記式(1)または式(2)によって、モータ2の状態を示すvrmsが算出される。そして、推定部15は、算出したvrmsを状態情報に含めて上位装置に送信する。vrmsは、図3を参照して説明した様に、その値によってモータ2の状態を示す値である。すなわち、実施形態によれば、モータ監視センサ1は、モータ2が長期間運転可能か、交換を行った方が良いかを示す情報を上位装置に通知できる。
【0046】
なお、推定部15は、vrmsを通知することに代えて、vrmsが示すモータ2の状態を示す指標値を上位装置に通知してもよい。モータ2の状態を示す指標値としては、例えば、図3を参照して説明した、モータ2を新設した状態を示す指標値、モータ2を長期運転可能な状態を示す指標値、長期運転を期待できない状態を示す指標値、及び、モータ2の損傷を起こし得るほど厳しい状態を示す指標値、の4段階であってもよい。モータ2を新設した状態を示す指標値、モータ2を長期運転可能な状態を示す指標値、長期運転を期待できない状態を示す指標値、及び、モータ2の損傷を起こし得るほど厳しい状態を示す指標値は、「3段階以上の指標値」の一例である。
【0047】
また、モータ2の状態としては、例えば、継続運転可能を示す指標値、及び、交換推奨を示す指標値の2段階であってもよい。継続運転可能の状態としては、図3を参照して説明した、モータ2を新設した状態、モータ2を長期運転可能な状態、の2つの状態を挙げることができる。また、交換推奨の状態としては、図3を参照して説明した、長期運転を期待できない状態、モータ2の損傷を起こし得るほど厳しい状態、の2つの状態を挙げることができる。継続運転可能を示す指標値は、「正常を示す指標値」の一例である。交換推奨を示す指標値は、「異常を示す指標値」の一例である。
【0048】
<変形例>
実施形態では、推定部15は、振動発電素子12による振動発電が行われていない場合にモータ2の不稼働を通知した。しかしながら、モータ2は常に駆動されているとは限らず、例えば、計画的にモータ2が停止される期間も考えられる。そこで、予めモータ2を停止する時間帯を示す情報を記憶部16に記憶しておき、推定部15は、振動発電が行われていない場合であっても、当該振動発電が行われていない時間帯が記憶部16に記憶された時間帯に含まれる場合には、モータ2の不稼働の通知を停止してもよい。換言すれば、推定部15は、振動発電素子12による振動発電が行われていない場合、かつ、振動発電が行われていない時間帯が記憶部16に記憶された時間帯と異なる場合に、モータ2の不稼働を通知してもよい。
【0049】
実施形態では、モータ監視センサ1は電池19を備えたが、振動発電部11による振動発電でモータ監視センサ1の駆動に要する電力を賄える場合には、モータ監視センサ1から電池19は省略されてもよい。
【0050】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0051】
<付記>
監視対象のモータ(2)に取り付けられて前記モータ(2)の振動を検知する加速度センサ(17)と、
前記加速度センサ(17)によって検知された前記モータ(2)の振動を示す検出値を基に前記モータの状態を示す状態情報を決定する処理部(15)と、
決定された前記状態情報を上位装置に送信する送信部(18)と、
前記モータ(2)に取り付けられて前記モータ(2)の振動を受けて発電し、発電した電力を前記加速度センサ(17)、前記処理部(15)、及び前記送信部(18)に供給する振動発電部(11)と、を備える、
モータ監視センサ(1)。
【符号の説明】
【0052】
1・・モータ監視センサ
10・・筐体
11・・振動発電部
12・・振動発電素子
13・・蓄電池
14・・供給部
15・・推定部
16・・記憶部
17・・加速度センサ
18・・通信部
19・・電池
2・・モータ
21・・モータ本体
22・・モータ軸
A1・・領域
A2・・領域
図1
図2
図3
図4
図5