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特開2024-41227液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041227
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240319BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240319BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 622R
G09G3/20 650E
G09G3/20 611J
G09G3/20 611A
G09G3/20 650J
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145913
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】野島 孝志
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZC25
2H193ZE04
2H193ZF24
2H193ZF43
2H193ZF44
2H193ZF46
2H193ZH23
5C006AF46
5C006AF50
5C006AF53
5C006AF69
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC06
5C006BC11
5C006BC20
5C006BF01
5C006BF15
5C006FA04
5C006FA07
5C006FA12
5C006FA14
5C006FA48
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD08
5C080DD26
5C080FF11
5C080FF12
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK47
(57)【要約】
【課題】高リフレッシュレートに対応し、高い表示品位で画像を表示することのできる低消費電力の表示装置および表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、制御装置50とを備える。制御装置50は、複数のゲートバスラインGLの一端に接続された第1ゲートドライバ71と、複数のゲートバスラインの他端に接続された第2ゲートドライバ72とを含み、映像信号を受け取り、映像信号に基づいてゲート信号を生成し、映像信号のリフレッシュレートに応じて、ゲート信号を第1ゲートドライバのみ、または、第1ゲートドライバおよび第2ゲートドライバへ入力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数のゲートバスラインの一端に接続された第1ゲートドライバと、
前記複数のゲートバスラインの他端に接続された第2ゲートドライバと、
を含み、
前記制御装置は、映像信号を受け取り、前記映像信号に基づいてゲート信号を生成し、前記映像信号のリフレッシュレートに応じて、前記ゲート信号を前記第1ゲートドライバのみ、または、前記第1ゲートドライバおよび前記第2ゲートドライバへ入力する、液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記映像信号から前記ゲート信号を生成するタイミングコントローラをさらに含み、
前記タイミングコントローラは、少なくとも2つの異なるリフレッシュレートに対応しており、前記リフレッシュレートに応じて、前記ゲート信号を前記第1ゲートドライバ、または、前記第1ゲートドライバおよび前記第2ゲートドライバに入力する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記タイミングコントローラは、前記リフレッシュレートが所定の値未満である場合、前記第1ゲートドライバに前記ゲート信号を入力し、前記リフレッシュレートが所定の値以上である場合、前記第1ゲートドライバおよび前記第1ゲートドライバに前記ゲート信号を入力する、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記制御装置はゲート回路をさらに備え、
前記タイミングコントローラは、前記リフレッシュレートが前記所定の値以上である場合にゲート回路制御信号をさらに生成し、
前記タイミングコントローラは、前記ゲート信号を前記第1ゲートドライバおよび前記ゲート回路に前記ゲート信号を入力し、
前記ゲート回路は、前記ゲート回路制御信号を受け取った場合に前記ゲート信号を前記第2ゲートドライバへ出力する、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記タイミングコントローラは、外部から前記リフレッシュレートを指定する信号を受け取る、請求項2から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記タイミングコントローラは、前記映像信号からゲートクロック信号およびゲートスタートパルス信号を生成し、前記ゲートクロック信号および前記ゲートスタートパルス信号から前記リフレッシュレートを判定する、請求項2から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶表示パネルは、それぞれがTFTを含み、行および列方向の2次元に配列された複数の画素を含み、
各ゲートバスラインは、前記複数の画素のうち、前記行方向に配列された画素のTFTのゲート電極を接続している、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、制御装置とを備えた液晶表示装置の制御方法であって、前記制御装置は、映像信号を受け取り、前記映像信号に基づいてゲート信号を生成し、前記映像信号のリフレッシュレートに応じて、前記ゲート信号を前記複数のゲートバスラインに片側、または、両側から入力する、液晶表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画を滑らかに表示するなど、画像の表示品位を高めるために、高リフレッシュレートで画像を表示することが可能な液晶表示装置が求められている。一方、液晶表示装置の消費電力を低減することも求められており、特に、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯デバイスに用いられる表示装置では、消費電力を低減し、駆動時間を長くする改善が求められている。例えば、特許文献1は、可変リフレッシュレートに対応し、消費電力を低減することのできるディスプレイ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-508239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高リフレッシュレートに対応し、高い表示品位で画像を表示することのできる低消費電力の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る液晶表示装置は、複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のゲートバスラインの一端に接続された第1ゲートドライバと、前記複数のゲートバスラインの他端に接続された第2ゲートドライバと、を含み、前記制御装置は、映像信号を受け取り、前記映像信号に基づいてゲート信号を生成し、前記映像信号のリフレッシュレートに応じて、前記ゲート信号を前記第1ゲートドライバのみ、または、前記第1ゲートドライバおよび前記第2ゲートドライバへ入力する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、高リフレッシュレートに対応し、高い表示品位で画像を表示することのできる低消費電力の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の液晶表示装置の一構成例を示す模式的な断面図である。
図2図2は、TFT基板の構成を示す模式図である。
図3図3は、TFT基板の画素を拡大して示す模式図である
図4図4は、制御装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、ゲート信号の波形を説明する模式図である。
図6図6は、第2実施形態の液晶表示装置におけるタイミングコントローラの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、リフレッシュレートの計測方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されていたり、一部の構成部材が省略されていたりする場合がある。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0009】
図1は、本実施形態の液晶表示装置100の一構成例を示す模式的な断面図である。本実施形態では、液晶表示装置100は、液晶表示パネル10と、制御装置50とを備える。液晶表示パネル10は、TFT基板20と、対向基板30と、液晶層40とを含む。
【0010】
液晶層40は、TFT基板20と対向基板30との間に位置しており、シール41によって、TFT基板20と対向基板30との間で封止されている。液晶表示装置100は、さらに一対の偏光板42を備えていてもよい。一対の偏光板42は、液晶表示パネル10を挟む状態で、クロスニコルに配置されている。
【0011】
制御装置50は、ソースドライバ60と、第1ゲートドライバ71と、第2ゲートドライバ72と、タイミングコントローラ80とを含む。
【0012】
図2は、TFT基板20の構成を示す模式図である。TFT基板20は、基板21と、複数のソースバスラインSLと、複数のゲートバスラインGLと、複数の画素PXとを含む。
【0013】
基板21は、表示領域21hおよび表示領域21h以外の領域である非表示領域21gを含む主面21aを有している。複数のゲートバスラインGL、複数のソースバスラインSLおよび複数の画素PXは、表示領域21hに配置されている。具体的には、複数のゲートバスラインGLは、行方向(x方向)に伸びており、列方向(y方向)に所定の間隔で配置されている。また、複数のソースバスラインSLは、列方向(y方向)に伸びており、行方向(x方向)に所定の間隔で配置されている。隣接する一対のゲートバスラインGLおよび隣接する一対のソースバスラインSLに囲まれる領域に画素PXが配置される。複数の画素PXは、行および列方向の2次元に配列されている。ソースバスラインSLおよびゲートバスラインGLは非表示領域21gに引き伸ばされている。
【0014】
図3は、TFT基板20の画素PXを拡大して示す模式図である。各画素PXは、画素電極PEとスイッチング素子SWとを含む。スイッチング素子SWは、例えば、3端子素子であり、3つの端子にゲートバスラインGL、ソースバスラインSLおよび画素電極PEが接続されている。例えばスイッチング素子はTFTであり、ゲート電極GがゲートバスラインGLに接続され、ソース電極SがソースバスラインSLに接続され、ドレイン電極Dが画素電極PEに接続されている。
【0015】
各ゲートバスラインはGL、複数の画素PXのうち、行方向に配列された画素PXのTFTのゲート電極Gに接続されている。また、各ソースバスラインSLは、複数の画素PXのうち、列方向に配列された画素PXのTFTのソース電極Sに接続されている。
【0016】
図2に示すように、基板21の非表示領域21gには、ソースドライバ60、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72が配置されている。第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、非表示領域21gにおいて、複数のゲートバスラインGLの両端にそれぞれ接続されている。具体的には、ゲートバスラインGLの一端GLaが第1ゲートドライバ71に接続され、ゲートバスラインGLの他端GLbが第2ゲートドライバ72に接続されている。
【0017】
また、ソースバスラインSLが、非表示領域21gにおいて、ソースドライバ60と接続されている。ソースドライバ60、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、タイミングコントローラ80と、フレキシブル基板(FPC)90で接続されている。
【0018】
なお、図2では、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、それぞれ1つのICとして示しているが、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、それぞれ複数のICで構成されていてもよい。また、ソースドライバ60は、複数のICとして示しているが、1つのICで構成されていてもよい。
【0019】
ソースドライバ60、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、樹脂等に覆われたパッケージの部品、あるいは、ベアチップであり、TFT基板20の基板21の非表示領域21gに実装されていてもよい。あるいは、ソースドライバ60、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72は、基板21の非表示領域21gに作製された複数のTFTなどによって構成されたモノリシックドライバであってもよい。
【0020】
図4は、制御装置50の概略的な構成を示すブロック図である。制御装置50は、液晶表示装置100が搭載され、CPUやGPUなどの演算装置201を含むホスト機器200から、映像信号を受け取り、液晶表示パネル10のゲートバスラインGLおよびソースバスラインSLを駆動する。本開示の液晶表示装置100は、少なくとも2つの異なるリフレッシュレートに対応しており、異なる2つのリフレッシュレートで画像を表示することが可能である。例えば、液晶表示装置100は、プログレッシブ走査で30Hzおよび240Hzのリフレッシュレートに対応している。
【0021】
制御装置50は、タイミングコントローラ80と、レベルシフト回路81と、ゲート回路82と、前述したソースドライバ60、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72とを備える。
【0022】
タイミングコントローラ80は、ホスト機器200から映像信号および制御信号を受け取る。制御信号には、映像信号のリフレッシュレートに関する情報が含まれる。例えば、EDID(Extended Display Identification Data)のフォーマットに従ったリフレッシュレートに関する情報を受け取る。ホスト機器200は、上述した少なくとも2つの異なるリフレッシュレートで画像を表示できるように映像信号を生成することが可能である。また、ホスト機器200は、生成した映像信号のリフレッシュレートに関する情報を生成する。
【0023】
タイミングコントローラ80は、メモリを備え、ホスト機器200から受け取ったリフレッシュレートに関する情報を記憶する。また、タイミングコントローラ80は、ホスト機器200から受け取った映像信号から、ゲート信号および表示データ信号を生成する。
【0024】
タイミングコントローラ80は、さらに、リフレッシュレートに応じて、ゲート信号を第1ゲートドライバ71、または、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72に入力する。より具体的には、タイミングコントローラ80は、メモリに記憶したリフレッシュレートが所定の値未満である場合、第1ゲートドライバ71にのみゲート信号を入力し、リフレッシュレートが所定の値以上である場合、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72にゲート信号を入力する。このために、タイミングコントローラ80は、リフレッシュレートが所定の値以上である場合にゲート回路制御信号を生成する。例えば、タイミングコントローラ80は、リフレッシュレートが120Hz以上である場合にゲート回路制御信号を生成する。
【0025】
タイミングコントローラ80で生成された表示データ信号は、ソースドライバ60に入力される。ソースドライバ60は、前述したようにソースバスラインSLに接続されており、受け取った表示データ信号をソースバスラインSLへ出力する。
【0026】
一方ゲート信号は、ハイレベルを調節するためのレベルシフト回路81を介して第1ゲートドライバ71およびゲート回路82に入力される。
【0027】
ゲート回路82は、例えば、AND回路であり、さらに、タイミングコントローラ80からゲート回路制御信号を受け取る。ゲート回路82は、ゲート回路制御信号を受け取っている場合にのみ、論理積条件が成立するため、ゲート信号を第2ゲートドライバ72へ出力する。
【0028】
つまり、ゲート回路制御信号が生成されている期間は、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72からゲート信号が出力され、ゲート回路制御信号が生成されていない期間は、第2ゲートドライバ72からゲート信号が出力されず、第1ゲートドライバ71からのみゲート信号が出力される。
【0029】
前述したように、ゲートバスラインGLの一端GLaは、第1ゲートドライバ71に接続され、他端GLbは第2ゲートドライバ72に接続される。このため、制御装置50は、ゲート回路制御信号を生成しているか否か、つまり、映像信号のリフレッシュレートに応じて、ゲート信号をゲートバスラインGLの片側、または、両側に入力する。特に、リフレッシュレートが高い場合に、ゲート信号をゲートバスラインGLの両側から入力する。
【0030】
液晶表示装置100を動作させる場合、操作者は、まず、ホスト機器200が対応可能なリフレッシュレートの中から1つを選択し、選択したリフレッシュレートをホスト機器200に入力する。ホスト機器200は、入力されたリフレッシュレートに適合した映像信号を生成し、制御装置50へ出力する。また、ホスト機器200は、入力されたリフレッシュレートを含む制御信号を制御装置50へ出力する。
【0031】
制御装置50のタイミングコントローラ80は、制御信号に含まれるリフレッシュレートを記憶し、リフレッシュレートに応じてゲート回路制御信号を生成する。例えば、リフレッシュレートが30Hzである場合には、ゲート回路制御信号を生成せず、リフレッシュレートが240Hzである場合には、ゲート回路制御信号を生成する。これにより、制御装置50は、映像信号のリフレッシュレートが所定の値未満である場合、例えば、30Hzである場合、第1ゲートドライバ71にのみゲート信号を入力し、リフレッシュレートが所定の値以上である場合、例えば240Hzである場合、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72にゲート信号を入力する。
【0032】
本実施形態の液晶表示装置100によれば、上述した構成を備えることによって、高リフレッシュレートに対応し、高い表示品位で画像を表示することができる。また、低リフレッシュレートで画像を表示する場合に消費電力を低減することができる。この理由を説明する。
【0033】
図5は、ゲートバスラインの一端にゲートドライバが接続されている液晶表示装置に、ゲートドライバからパルス状のゲート信号をゲートバスラインに印加した場合において、1つのゲートバスライン上の3つの位置で観測されるゲート信号の波形を示す。実線は、ゲートバスライン上でゲートドライバに最も近い位置で観測される波形P1を示し、破線は、前記ゲートバスラインの中間の位置で観測される波形P2を示し、一点鎖線は、前記ゲートバスラインでゲートドライバが接続された一端とは反対側の端部で観測される波形P3を示す。
【0034】
図5の波形P1に示されるように、ゲートドライバに近い位置では、ゲート信号のパルス形状が維持されるが、ゲートドライバからの距離が長くなるにつれて、波形P2、P3に表れているように波形がなまる。また、信号に遅れが生じる。これは、ゲートバスラインの抵抗およびゲートバスラインに接続された画素の容量等による分布定数回路に起因していると考えられる。
【0035】
このため、例えば、ゲート信号の1/2の電圧が画素のTFTに印加されるタイミングでTFTがONとなると仮定すると、波形P1、P2、P3のそれぞれについてTFTがONとなるのは時刻t1、t2、t3である。つまり、1つのゲートライン上において、画素がONとなるタイミングは、ゲートドライバからの距離が長くなるほど遅れる。
【0036】
画素がONとなるタイミングの遅れは、高リフレッシュレートで画像を表示しており、1フレーム期間が短い場合に、特に表示品位の低下の原因となる。このため、本実施形態の液晶表示装置では、リフレッシュレートが高い場合に、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72を用いて、ゲート信号をゲートバスラインGLの両側から入力する。これによって、ゲート信号の遅延を抑制し、画像の表示品位を高めている。
【0037】
一方、低リフレッシュレートで画像を表示している場合には、同じ画像を表示している期間が相対的に長いため、画素がONとなるタイミングが多少遅れても表示品位に与える影響は小さい。このため、第1ゲートドライバ71を用い、第2ゲートドライバ72を休止させることによって、ゲート信号をゲートバスラインGLの片側からのみ入力する。これによって、低リフレッシュレート時に消費する電力を低減させる。
【0038】
このように本実施形態の液晶表示装置によれば、リフレッシュレートに応じて使用するゲートドライバの数を変更するため、ゲート信号の遅延による表示品位の低下を抑制しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図6は本実施形態の液晶表示装置のタイミングコントローラ90の構成例を示すブロック図である。本実施形態の液晶表示装置は、可変リフレッシュレート(VRR)に対応している点で、第1実施形態の液晶表示装置と異なる。タイミングコントローラ90は、例えば、インターフェース91と、メモリ92と、画像処理部93と、タイミング制御部94と、リフレッシュレート判定部95と、制御信号生成部96とを含む。タイミングコントローラ90は、全体として例えば、eDP(Embedded Display Port)規格に適合している。
【0040】
インターフェース91は、映像信号を受け取り、各画素のRGBデータや各種クロック信号などの信号を取得し、メモリ92へ出力する。メモリ92は、パネルセルフリフレッシュなどのためにRGBデータを記憶する。画像処理部93は、カラーマネージメント、ガンマ補正などの処理をRGBデータに施す。タイミング制御部94は、各種クロック信号からソースバスラインSLおよびゲートバスラインGLを駆動するためのクロック信号を生成する。具体的には、タイミング制御部94は、ソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK、ゲートスタートパルス信号GSP、ゲートクロック信号GCKなどを生成する。
【0041】
リフレッシュレート判定部95は、映像信号のリフレッシュレートを判定する。例えば、リフレッシュレート判定部95は、ゲートスタートパルス信号GSPおよびゲートクロック信号GCKを受け取り、ゲートスタートパルス信号GSPをトリガとして、ゲートクロック信号GCKのパルス数をカウントすることによって、リフレッシュレートを判定する。例えば図7は、ゲートスタートパルス信号GSPの間隔が異なる2つのリフレッシュレートの例を示しており、上に示す例が60Hzであり、下に示す例が120Hzである。
【0042】
制御信号生成部96は、判定したリフレッシュレートを受け取り、リフレッシュレートが所定の値以上である場合にゲート回路制御信号を生成する。例えば、所定の値は60Hzであり、リフレッシュレートが30Hzである場合には、制御信号生成部96は、ゲート回路制御信号を生成せず、リフレッシュレートが60Hz以上である場合には、制御信号生成部96は、ゲート回路制御信号を生成する。
【0043】
図4を参照して第1実施形態で説明したように、ゲート回路82は、ゲート回路制御信号を受け取っている間、ゲート信号を第2ゲートドライバ72へ出力する。
【0044】
本実施形態の液晶表示装置によれば、タイミングコントローラ90がリフレッシュレートを判定することによって、高リフレッシュレートで画像を表示している場合に、第1ゲートドライバ71および第2ゲートドライバ72を用いて、ゲート信号をゲートバスラインGLの両側から入力する。これによって、ゲート信号の遅延を抑制し、画像の表示品位を高めている。また、低リフレッシュレートで画像を表示している場合には、第1ゲートドライバ71を用い、第2ゲートドライバ72を休止させることによって、ゲート信号をゲートバスラインGLの片側からのみ入力する。これによって、低リフレッシュレート時に消費する電力を低減させることができる。動作させるゲートドライバの数を動的に変化させることによって、画像の表示品位を高めながら、より適切に消費電力を低減させることが可能となる。
【0045】
本実施形態の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法には種々の改変が可能である。例えば、リフレッシュレートを検出する構成は上記実施形態に限られず他の制御信号などを利用してもよい。また、液晶表示パネル10の構造および駆動方法に制限はなく、種々の構造を備え、種々の駆動方法で駆動される液晶表示パネルを本実施形態の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法に用いることができる。
【0046】
本開示の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法は、以下のようにも説明することができる。
【0047】
第1の構成に係る液晶表示装置は、複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、制御装置と、を備え、制御装置は、映像信号を受け取り、映像信号に基づいてゲート信号を生成し、映像信号のリフレッシュレートに応じて、ゲート信号を複数のゲートバスラインに片側、または、両側から入力する。具体的には、制御装置は、複数のゲートバスラインの一端に接続された第1ゲートドライバと、複数のゲートバスラインの他端に接続された第2ゲートドライバと、映像信号からゲート信号を生成するタイミングコントローラと、を含んでおり、映像信号のリフレッシュレートに応じて、ゲート信号を第1ゲートドライバ、または、第1ゲートドライバおよび第2ゲートドライバに入力してもよい。
【0048】
第1の構成によれば、リフレッシュレートに応じて使用するゲートドライバの数を変更することができるため、ゲート信号の遅延による表示品位の低下を抑制しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【0049】
第2の構成に係る液晶表示装置は、第1の構成において、制御装置は、映像信号からゲート信号を生成するタイミングコントローラをさらに含んでいてもよい。タイミングコントローラは、少なくとも2つの異なるリフレッシュレートに対応しており、リフレッシュレートに応じて、ゲート信号を第1ゲートドライバ、または、第1ゲートドライバおよび第2ゲートドライバに入力してもよい。
【0050】
第3の構成に係る液晶表示装置は、第2の構成において、タイミングコントローラは、リフレッシュレートが所定の値未満である場合、第1ゲートドライバにゲート信号を入力し、リフレッシュレートが所定の値以上である場合、第1ゲートドライバおよび第1ゲートドライバにゲート信号を入力してもよい。
【0051】
第4の構成に係る液晶表示装置は、第3の構成において、制御装置はゲート回路をさらに備え、タイミングコントローラは、リフレッシュレートが所定の値以上である場合にゲート回路制御信号をさらに生成し、タイミングコントローラは、ゲート信号を第1ゲートドライバおよびゲート回路にゲート信号を入力し、ゲート回路は、ゲート回路制御信号を受け取った場合にゲート信号を第2ゲートドライバへ出力してもよい。
【0052】
第5の構成に係る液晶表示装置は、第2~第4のいずれか1つの構成において、タイミングコントローラは、外部からリフレッシュレートを指定する信号を受け取ってもよい。
【0053】
第6の構成に係る液晶表示装置は、第2~第4のいずれか1つの構成において、タイミングコントローラは、映像信号からゲートクロック信号およびゲートスタートパルス信号を生成し、ゲートクロック信号およびゲートスタートパルス信号からリフレッシュレートを判定してもよい。
【0054】
第7の構成に係る液晶表示装置は、第1~第5のいずれか1つの構成において、液晶表示パネルは、それぞれがTFTを含み、行および列方向の2次元に配列された複数の画素を含み、各ゲートバスラインは、複数の画素のうち、行方向に配列された画素のTFTのゲート電極を接続していてもよい。
【0055】
第8の構成に係る液晶表示装置の制御方法は、複数のゲートバスラインを含む液晶表示パネルと、制御装置とを備えた液晶表示装置の制御方法であって、制御装置は、映像信号を受け取り、映像信号に基づいてゲート信号を生成し、映像信号のリフレッシュレートに応じて、ゲート信号を複数のゲートバスラインに片側、または、両側から入力する。
【0056】
第8の構成によれば、リフレッシュレートに応じて使用するゲートドライバの数を変更することができるため、ゲート信号の遅延による表示品位の低下を抑制しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の液晶表示装置および液晶表示装置の制御方法は、2以上のリフレッシュレートに対応した、あるいは、可変リフレッシュレートに適合した液晶表示装置およびその制御方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
10…液晶表示パネル、20…TFT基板、21…基板、21a…主面、21g…非表示領域、21h…表示領域、30…対向基板、40…液晶層、41…シール、42…偏光板
50…制御装置、60…ソースドライバ、71…第1ゲートドライバ、72…第2ゲートドライバ、80,90…タイミングコントローラ、81…レベルシフト回路、82…ゲート回路、85…リフレッシュレート判定部、86…駆動能力決定部、91…インターフェース、92…メモリ、93…画像処理部、94…タイミング制御部、95…リフレッシュレート判定部、96…制御信号生成部、100…液晶表示装置、200…ホスト機器、201…演算装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7