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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041229
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】作図プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240319BHJP
   G06T 11/20 20060101ALI20240319BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240319BHJP
   G06T 17/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T11/20 600
G06Q50/06
G06T17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145921
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】522068452
【氏名又は名称】東邦ガスネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 充徳
【テーマコード(参考)】
5B050
5B080
5L049
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA11
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA01
5B050DA01
5B050EA19
5B050FA02
5B080AA00
5B080AA13
5B080CA00
5B080EA01
5B080FA00
5B080FA08
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】低コストかつ導入が容易で、正確なベクトルデータを生成可能な作図プログラムを提供すること。
【解決手段】敷設状態を表示した画像データを取得すること、画像データに写る2次元コード40から、管種情報を取得すること、画像データに写る2次元コード40の位置に基づき、継手21A-21Fの位置を特定し、該特定した位置に応じて、継手21A-21Fを点データPD11-PD16として竣工図D11の上にプロットすること、点データPD11-PD16の内から、最も距離の離れた2つの点データである両端点データ(点データPD11,PD12)を認識し、両端点データのうちの一方の点データPD11を始点として、線データLD11-LD15の描画を開始し、管種情報に基づいて、接続可能な点データPD11-PD16同士を線データLD11-LD15により順次接続すること。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の導管と前記導管同士を接続する複数の継手とにより地中に構成される導管ネットワークの敷設状態を表す竣工図を、前記継手に貼付された符牒が含む管種情報に基づいて、前記導管を表す線データにより描画して出力する作図プログラムにおいて、
前記管種情報は、少なくとも、前記符牒の貼付対象である前記継手の、前記導管を接続するための接続口の数を備えること、
前記作図プログラムは、
前記敷設状態を表示した画像データを取得すること、
前記画像データに写る前記符牒から、前記管種情報を取得すること、
前記画像データに写る前記符牒の位置に基づき、前記複数の継手の位置を特定し、該特定した位置に応じて、前記複数の継手のそれぞれを点データとして前記竣工図の上にプロットすること、
前記点データの内から、最も距離の離れた2つの前記点データである両端点データを認識し、前記両端点データのうちの一方の点データを始点として、前記線データの描画を開始し、前記管種情報に基づいて、接続可能な前記点データ同士を前記線データにより順次接続すること、
を特徴とする作図プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の作図プログラムにおいて、
前記管種情報に含まれる、前記両端点データに対応する前記継手の前記接続口の数m(mは2以上の整数)を、数(m-1)として、前記線データの描画を開始すること、
を特徴とする作図プログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作図プログラムにおいて、
前記点データの内、所定の第1の点データから所定の第2の点データまで前記線データを描画した後、
前記第2の点データに対応する前記継手に最も近く、かつ、接続可能な継手に対応する点データであって、前記第2の点データに前記線データによって接続されていない点データの有無を確認すること、
を特徴とする作図プログラム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の作図プログラムにおいて、
前記竣工図の出力の前に、描画エラーを検出するエラー除けステップを備えること、
エラー除けステップは、竣工図に描画されている導管ネットワークのグループ数を認識し、
そのグループ数が2以上である場合には、描画エラーが発生していると判断すること、
そのグループ数が1つである場合には、描画エラーが発生していないと判断し、竣工図を出力すること、
を特徴とする作図プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の導管と導管同士を接続する複数の継手とにより地中に構成される導管ネットワークの敷設状態を表す竣工図を、継手に貼付された符牒が含む管種情報に基づいて、導管を表す線データにより描画して出力する作図プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス管や水道管等の導管は、複数本が継手により接続され、地中において導管ネットワークを構成している。導管ネットワークを敷設する工事が完了したときには、竣工図が作成される。竣工図とは、工事中に発生した設計変更等をもとにして、設計図を修正したもので、実際に竣工した導管ネットワークの位置等を表した図面のことをいう。竣工図としては、例えば、ベクトルデータ、3次元CAD図面、2次元CAD図面が作成される。
【0003】
ベクトルデータとは、導管を線データ、継手を点データとして、導管ネットワークの敷設状態を線データ・点データの属性として保有することで簡素化した図面である。3次元CAD図面や、2次元CAD図面は、敷設されている導管ネットワークの外観や、周囲の状況(道路や建物等)が描画された完成された図面である。
【0004】
ベクトルデータは、属性に保有する情報量に制限がないため、その情報量は、3次元CAD図面や、2次元CAD図面と同等である。また、属性は、情報処理が容易で、統計の作成、フィルタリング、検索などは、3次元CAD図面や、2次元CAD図面以上の使い勝手の良さがある。したがって、見た目が簡素なベクトルデータであっても、それ単体で取引される有用な図面データである。
【0005】
ベクトルデータは、例えば以下のようにして作成される。当日の工事によって敷設した導管ネットワークの敷設状態を、撮影装置により撮影し、複数枚(例えば、一日の工事で約200枚)のデジタル画像を取得する。そして、複数枚のデジタル画像を基に、導管ネットワークの敷設状態を表す3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像を作成する。そして、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像のいずれかを基にして、継手の位置を点データによりプロットし、プロットされた点データ同士を、導管を表す線データにより接続することで、ベクトルデータが作成される。以上のように、デジタル画像を基に、ベクトルデータを作成可能なシステムとしては、例えば、特許文献1に開示される工事図面作成支援システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-160626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には、ベクトルデータを自動生成することが困難であり、作成に時間を要するという問題があった。
【0008】
特許文献1に開示される工事図面作成支援システムにあっては、継手に貼付される符牒を認識することで、継手を示す点データのプロットを自動で行うことが可能である。その一方で、導管がどのように配置されているかを認識することが困難であるため、線データの描画を自動で正確に行うことが出来ない。これは、コンピュータは、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像中に表れている導管ネットワークと、その他のオブジェクト(例えば地面等)との区別をすることが出来ないからである。
【0009】
したがって、正確なベクトルデータを得るためには、作業者が、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像等を参照しながら、点データ同士を線データで接続する作業を行わなければならず、効率的でない。機械学習を利用したシステムを用いれば、ベクトルデータの自動生成は可能であると考えられるが、高コストであるし、膨大なデータによる学習が必要になるため、導入は容易でない。また、使用する管や継手材料は、各社異なるため、他企業の機械学習を流用することは容易ではない。このため、複数社が利用する場合は、複数回の機械学習が必要となる。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、低コストかつ導入が容易で、正確なベクトルデータを生成可能な作図プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の作図プログラムは、次のような構成を有している。
【0012】
(1)複数本の導管と前記導管同士を接続する複数の継手とにより地中に構成される導管ネットワークの敷設状態を表す竣工図を、前記継手に貼付された符牒が含む管種情報に基づいて、前記導管を表す線データにより描画して出力する作図プログラムにおいて、前記管種情報は、少なくとも、前記符牒の貼付対象である前記継手の、前記導管を接続するための接続口の数を備えること、前記作図プログラムは、前記敷設状態を表示した画像データを取得すること、前記画像データに写る前記符牒から、前記管種情報を取得すること、前記画像データに写る前記符牒の位置に基づき、前記複数の継手の位置を特定し、該特定した位置に応じて、前記複数の継手のそれぞれを点データとして前記竣工図の上にプロットすること、前記点データの内から、最も距離の離れた2つの前記点データである両端点データを認識し、前記両端点データのうちの一方の点データを始点として、前記線データの描画を開始し、前記管種情報に基づいて、接続可能な点データ同士を前記線データにより順次接続すること、を特徴とする。
【0013】
なお、画像データとは、例えば、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像などを指し、竣工図(ベクトルデータ)の生成前に予め生成されるものである。また、点データ同士が接続可能か否かは、読み出された管種情報に基づき、各点データに対応する継手同士が、接続口211に接続可能な導管の管種が同種であるか否かという点や、接続口の口径か同じであるか否かという点などにより判断可能である。
【0014】
(2)(1)に記載の作図プログラムにおいて、前記管種情報に含まれる、前記両端点データに対応する前記継手の前記接続口の数m(mは2以上の整数)を、数(m-1)として、前記線データの描画を開始すること、を特徴とする。
【0015】
(3)(1)または(2)に記載の作図プログラムにおいて、前記点データの内、所定の第1の点データから所定の第2の点データまで前記線データを描画した後、前記第2の点データに対応する前記継手に最も近く、かつ、接続可能な継手に対応する点データであって、前記第2の点データに前記線データによって接続されていない点データの有無を確認すること、を特徴とする。
【0016】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の作図プログラムにおいて、前記竣工図の出力の前に、描画エラーを検出するエラー除けステップを備えること、エラー除けステップは、竣工図に描画されている導管ネットワークのグループ数を認識し、そのグループ数が2以上である場合には、描画エラーが発生していると判断すること、そのグループ数が1つである場合には、描画エラーが発生していないと判断し、竣工図を出力すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の作図プログラムは、上記構成を有することにより、作業者による作図作業や、機械学習を利用したシステムよりも低コストかつ導入が容易で、正確なベクトルデータを生成可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る作図プログラムを利用する図面作成支援システムの構成を示したブロック図である。
図2】撮影装置を用いて導管ネットワークを撮影する様子の一例を示す図である。
図3】導管ネットワークの敷設状態の一例を示す図である。
図4】作図プログラムが竣工図を作成するフローを表す図である。
図5】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図6】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図7】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図8】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図9】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図10】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図11】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図12】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図13】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
図14】作図プログラムによる竣工図の生成過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の作図プログラムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本実施形態に係る作図プログラムを利用する図面作成支援システム1の構成を示すブロック図である。図2は、撮影装置11を用いて導管ネットワーク2を撮影する様子の一例を示す図である。図3は、導管ネットワーク2の敷設状態の一例を示す図である。図4は、作図プログラムが竣工図を作成するフローを表す図である。図5乃至図14は、作図プログラムによる竣工図D11の生成過程を説明する図である。
【0020】
図面作成支援システム1は、処理部16に作図プログラムを記憶しており、導管ネットワーク2(図3参照)の敷設状態を表す竣工図を作成するためのシステムである。
【0021】
導管ネットワーク2は、例えば、需要家にガスを供給するための供給ネットワークの一部であり、一日の工事で敷設されたものである。図3に示すように、導管ネットワーク2は、導管20A-20Fと継手21A-21Fとにより、全体として略T字状のネットワークを構成しており、土木工事によって地面30に設けられた設置溝30a内に敷設されている。導管20は、例えばガス管であり、全て同種の導管である。しかし、これはあくまで一例であり、複数種の導管を用いることとしても良い。
【0022】
継手21A,21B,21C,21E,21Fは、それぞれ2つの接続口211を備えており、導管20同士を直線状に接続することができる。また、継手21Dは、接続口211を3つ備えており、導管ネットワーク2を分岐させることができる。また、継手21A-21Fの接続口221の口径は全て同一である。また、継手21A-21Fの表面には、2次元コード40が貼付されている。
【0023】
2次元コード40は、2次元コード40の貼付対象である継手の、導管を接続するための接続口の数と、接続口に接続可能な導管の管種と、接続口の口径と、に関する情報(以下、管種情報)を含んでいる。後述する処理部16は、デジタル画像に写った2次元コード40を認識することで、管種情報を取得することができる。なお、2次元コード40には、必ずしも、導管を接続するための接続口の数と、接続口に接続可能な導管の管種と、接続口の口径と、に関する情報の全てを含める必要はない。例えば、導管ネットワーク2に使用されている導管20が全て同種であることが前提になっている場合には、2次元コード40に、導管を接続するための接続口の数に関する情報さえ含まれていれば、作図プログラムによりベクトルデータを生成可能である。また、2次元コード40としては、特に限定されないが、管種情報を含めることが出来るものであれば良く、例えば特開2020-160626号公報に開示される2次元コードを使用しても良いし、QRコード(登録商標)を用いても良い。
【0024】
図1に示すように、図面作成支援システム1には、撮影装置11と、測位機器12と、通信端末18とが、インターネット等の通信回線19を介して接続されている。
【0025】
撮影装置11は、工事現場の作業者が、導管ネットワーク2の敷設状態を撮影するために用いるデジタルカメラである。図2に示すように、撮影装置11は把手11aを備えている。これにより、工事現場の作業者は、地面30に立った状態で、設置溝30a内に敷設された導管ネットワーク2を上空から撮影可能である。この撮影により、導管ネットワーク2の敷設状態が表されたデジタル画像を取得する。デジタル画像の枚数は、一日の工事で約200枚である。そして、撮影装置11は、通信回線19を介して撮影したデジタル画像を図面作成支援システム1に送信することができる。
【0026】
導管ネットワーク2を構成する継手21の表面には、符牒の一例である2次元コード40(図3参照)が貼付されているため、撮影装置11により取得するデジタル画像には2次元コード40も写っている。
【0027】
なお、本実施形態においては、作業者自身が撮影装置11を用いて撮影することとしているが、ドローン等の遠隔操縦可能な無人航空機に撮影装置11を搭載し、上空から撮影することとしても良い。さらには、作業者が撮影装置11を手に持って撮影を行うこととしてもよい。この場合、撮影位置が把手11aやドローンを用いる場合よりも低い位置となり、撮影範囲が狭くなるため、撮影枚数は把手11aやドローンを用いる場合よりも多くなる。
【0028】
測位機器12は、GPS等により、地形測量もしくは継手位置の測量のため、少なくとも撮影装置11により撮影した範囲内の絶対座標を取得する。そして、測位機器12は、通信回線19を介して取得した絶対座標に関する情報を図面作成支援システム1に送信することができる。
【0029】
図面作成支援システム1は、図1に示すように、通信部13と、登録部14と、データベース15と、処理部16と、通信部17とからなる。
【0030】

通信部13は、撮影装置11や測位機器12から送信されるデジタル画像や絶対座標に関する情報を受信する。そして、通信部13が受信した情報は、登録部14によってデータベース15に登録される。
【0031】
データベース15には登録されたデジタル画像や絶対座標に関する情報の他に、管種情報も登録されている。これにより、2次元コード40が有する管種情報と照会することで、対応する管種情報がデータベース15から取り出すことが可能である。
【0032】
処理部16は、画像判定部161と、図面生成部162と、を備える。
画像判定部161は、撮影装置11により撮影されたデジタル画像が図面作成支援システム1で利用可能か否かを撮影環境が適正か否かによって判断し、その後、デジタル画像が所定の基準を満たすものか否か判定する。
【0033】
撮影環境が適正か否かの判断は、機材のタイプ、照度差、フラッシュガイドナンバー、シャッタースピード、ISO値の5つの判定項目において行われる。また、所定の基準とは、明るさ、シャープネス、撮影間隔、デジタル画像同士のラップ率、被写体の位置の6つの判定項目について、撮影されたデジタル画像に基づいて判定を行う。これらの判定処理については、例えば、特開2020-160626号公報に詳しい。なお、一日に撮影された画像の全てが基準を満たすことが望ましいものの、図面をあくまで参考図として利用する場合など、図面の描画精度の高さを求めない場合には、一部のデジタル画像が基準を満たしていなくても図面を生成可能である場合がある。
【0034】
図面生成部162は、画像判定部161により、所定の基準を満たすと判断されたデジタル画像に基づいて、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像を作成し、さらに、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像のいずれかに基づいて、竣工図としてのベクトルデータを作成する。
【0035】
3次元点群データとは、点の集合により導管ネットワーク2の3次元画像を描画したものであり、高精度に導管ネットワーク2の敷設状態を表すことができる。作成された3次元点群データは、データベース15に記憶される。
【0036】
3次元メッシュデータとは、3次元点群データをメッシュ化し、ポリゴンデータに変換することで、導管ネットワーク2の3次元画像を描画したものである。3次元点群データよりもデータサイズが小さいため、一般的な電子計算機でも導管ネットワーク2の敷設状態をスムーズに確認することができる。作成された3次元メッシュデータは、データベース15に記憶される。
【0037】
オルソ画像とは、正射投影による画像をいう。撮影装置11により撮影したデジタル画像は、中心投影であるため、撮影装置11のレンズの中心から撮影対象物との距離の違いにより、デジタル画像上の像に歪みが生じてしまう。そのような中心投影の画像を正射投影に変換し、歪みを補正した画像がオルソ画像である。歪みが補正されたオルソ画像が生成されることで、オルソ画像上で導管ネットワーク2を構成するガス管20や継手21の位置等を正確に計測することができるようになる。作成されたオルソ画像は、データベース15に記憶される。
【0038】
なお、上記の3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像(以下、画像データ)は、測位機器12により得た絶対座標に関する情報を含んだ状態で生成される。このため、画像データ中の任意に選択された点の緯度経度の情報を取得可能である。
また、上記の3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像は、複数枚のデジタル画像を合成して生成されるものであるため、1枚のデジタル画像で撮影可能な範囲を超えて導管ネットワークの構成を表示するものである。例えば、1日の工事では200枚程度のデジタル画像を撮影するため、これらを合成することで、導管ネットワークの構成を広い範囲(例えば数m~数十mの範囲)で表示する3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像を得ることが可能である。当然に、工事の日数は1日に限定されず、デジタル画像の枚数も200枚に限定されるものではない。
【0039】
次に、ベクトルデータとは、点データ、線データの属性に情報を保有させることによって、導管ネットワークの敷設状態を簡素化した図面である。図面生成部162は、図4に示す作図プログラムを記憶しており、図面生成部162は、このプログラムに従って以下のように、ベクトルデータを生成する。なお、ここでは、図3に示す導管ネットワーク2を表すベクトルデータを生成する例を以って説明する。
【0040】
まず、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像(以下、画像データ)のいずれかをデータベース15から取得する(図4中のS1)。3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像のうち、どのデータを取得するのかは、予め定められたものを自動的に選択することとしても良いし、都度、作業者が選択するものとしても良い。
【0041】
取得した画像データから、画像データに写る2次元コード40を認識し、認識した2次元コード40に対応する管種情報を読み出す(図4中のS2)。
【0042】
次に、画像データに写る2次元コード40の位置を認識する。これは、画像データに含められた、地形測量により得た絶対座標の情報に基づいて行われるか、もしくは継手位置の測量により得た絶対座標に基づいて行われる。そして、その認識した位置に基づいて、継手21A-21Fに対応する点データPD11-PD16を、竣工図D11上にプロットする(図4中のS3)。図5は点データPD11-PD16が竣工図D11上にプロットされた状態を示している。点データPD11は継手21Aに対応し、点データPD12は継手21Bに対応し、点データPD13は継手21Cに対応し、点データPD14は継手21Dに対応し、点データPD15は継手21Eに対応し、点データPD16は継手21Fに対応している。
【0043】
図5中の点データPD11-PD16の円の中に記載されている数字は、点データPD11-PD16に対応する継手21A-21Fが備える接続口211の数である。この接続口211の数は、2次元コード40の管種情報を読み出したものである。なお、ここでは説明を分かりやすくするために、点データPD11-PD16の円の中に接続口211の数を表示しているが、必ずしも竣工図D11上に表示する必要はない。
【0044】
次に、竣工図D11上にプロットされた点データPD11-PD16の内から、最も距離の離れた2つの点データである両端点データを認識する(図4中のS4)。点データPD11-PD16の中で、最も距離が離れている2点は、点データPD11と点データPD12であり、この2点が両端点データである。
【0045】
本実施形態における、両端点データを認識する方法は、プロットされた点データPD11-PD16の位置関係から、最も距離が離れている2点を自動で認識している。しかし、必ずしも自動で認識するものとする必要はなく、例えば、継手21A,21Bに貼付する2次元コード40に、両端点データと認識するような情報を含めるものとしても良い。そのほか、都度、作業者が両端点データを指定するものとしても良い。
【0046】
両端点データを認識すると、両端点データに対応する継手の接続口211の数m(mは2以上の整数)を、数(m-1)として処理する(図4中のS4)。つまり、両端点データ(点データPD11,PD12)に対応する継手21A,21Bの接続口211の数は本来2つであるが、1つとして処理される。これに伴い、図6に示す通り、竣工図D11上の点データPD11,PD12の円の中の数字が、2から1に変更されている。
【0047】
次に、両端点データのうちのいずれか一方を、線データの描画を開始する接続元点データとし、当該接続元点データから接続可能かつ最も近い位置にある点データ(接続先点データ)に向かって、線データを描画する(図4中のS5)。本実施形態においては、両端点データである点データPD11,PD12のうち、点データPD11が接続元点データとして選択されている。そして、点データPD13が接続先点データとして選択されている。よって、図7に示すように、点データPD11から点データPD13に向かって線データLD11aが描画される。
【0048】
点データPD11-PD16同士が接続可能か否かは、読み出された管種情報に基づき、各点データPD11-PD16に対応する継手21A-21F同士が、接続口211に接続可能な導管の管種が同種であるか否かという点、接続口211の口径か同じであるか否かという点、の2点により判断される。本実施形態においては、導管20は全て同種の管であり、継手21A-21Fの接続口211の内径は全て同一であるため、点データPD11を接続元点データとしたとき、管種情報に基づけば、点データPD12-PD16は、全て点データPD11に接続可能と判断される。そして、接続可能な点データPD12-PD16の中でも、最も近い位置にあるのが、点データPD13であるため、接続先点データとして、点データPD13が選択されているのである。
【0049】
次に、接続先点データ(点データPD13)と、接続可能かつ最も近い位置にある点データであって、接続先点データ(点データPD13)に未接続の点データ(第2接続先点データ)の有無を確認する(図4中のS6)。接続先点データ(点データPD13)に接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD14である。さらに、点データPD14は、接続先点データ(点データPD13)と線データにより接続されていないため、未接続の点データである。
したがって、ここでは、接続先点データ(点データPD13)に、接続可能かつ最も近い位置にある点データであって、接続先点データ(点データPD13)に未接続の点データがあると判断される(図4中のS6:YES)。
【0050】
次に、接続先点データと第2接続先点データとを、線データにより接続するとともに、一つ前の接続を取り消す(図4中のS7)。ここでは、図8に示すように、接続先点データである点データP13と第2接続先点データである点データP14とを、線データLD12により接続するとともに、先に行われた点データPD11aと点データPD13の接続を取り消す(すなわち、線データLD11aの削除)。
【0051】
次に、接続元点データに、未接続の接続口211があるか否かを確認する(図4中のS8)。ここでは、接続元点データである点データPD11の接続口の数は1つであると認識されているところ、先に線データLD11aが削除されているため、点データPD11に未接続の接続口があると判断される(図4中のS8:YES)。
【0052】
次に、接続元点データから、接続可能かつ最も近い位置にある点データ(接続先点データ)までを接続する(図4中のS9)。ただし、既に竣工図D11上に描画されている線データと交差してしまう場合や、点データ同士の接続関係にループが生じてしまう場合にはこの限りではない。ここでは、接続元点データである点データPD11と、接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD13である。よって、ここで改めて点データPD13が接続先点データと認識される。そして、点データPD11と点データPD13を接続したとしても、既に描画されている線データLD12と交差することもなく、点データPD11-PD16同士の接続関係にループが生じることもない。よって、図9に示すように、点データPD11から点データPD13へ線データLD11bを描画し、点データPD11と点データPD13とを接続する。
【0053】
次に、既に竣工図D11上に描画されている線データとの交差や、点データ同士の接続関係にループを生じさせずに接続可能な点データがあるか否かを確認する(図4中のS10)。ここでは、図9に示すように、どの点データにも接続されていない点データPD12,PD15,PD16が残っているため、「あり」と判断される(図4中のS10:YES)。
【0054】
次に、接続先点データ(点データPD13)と、接続可能かつ最も近い位置にある点データであって、接続先点データ(点データPD13)に未接続の点データ(第2接続先点データ)の有無を確認する(図4中のS6)。図9に示す通り、接続先点データ(点データPD13)に接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD14であるが、点データPD14は、線データLD12によって既に接続先点データ(点データPD13)と接続されている。したがって、ここでは、第2接続先点データが無いと判断される(図4中のS6:NO)。
【0055】
次に、接続元点データに、未接続の接続口があるか否かを確認する(図4中のS8)。ここでは、図9に示す通り、接続元点データである点データPD11の接続口の数は1つであると認識されているところ、既に線データLD11によって点データPD11と点データPD13とが接続されているため、点データPD11に未接続の接続口211が無いと判断される(図4中のS8:NO)。
【0056】
次に、竣工図D11上にプロットされた点データPD11-PD16の中に未接続の継手があるか否かを確認する(図4中のS11)。具体的には、線データが全く接続されていない点データ、あるいは、接続口の数よりも少ない本数の線データが接続されている点データの有無を確認する。
【0057】
図9に示す通り、点データPD11は、接続口211の数が1つと認識されているところ、既に線データL11bが描画されているため(すなわち接続口の数と同数の線データが接続されているため)、接続可能な接続口211が残っていない。よって、図4中のS11における「未接続の継手」に該当しない。また、点データPD12も同様に、接続可能な接続口211が残っていないため、「未接続の継手」に該当しない。一方、点データPD12,PD14,PD15,PD16は、線データが全く接続されていないか、あるいは、接続口211の数よりも少ない本数の線データが接続されているため、接続可能な接続口211が残っている。よって、点データPD12,PD14,PD15,PD16は、「未接続の継手」に該当する。したがって、ここでは未接続の継手があると判断される(図4中のS11:YES)。
【0058】
次に、「未接続の継手」の中から、線データの描画を開始するための新たな「接続元点データ」を選択し、当該接続元点データから接続可能かつ最も近い位置にある点データ(接続先点データ)に向かって、線データを描画する(図4中のS12)。ただし、既に竣工図D11上に描画されている線データと交差してしまう場合や、点データ同士の接続関係にループが生じてしまう場合にはこの限りではない。新たな「接続元点データ」としては、ここまでの「接続元点データ」に隣接する点データが選択されるところ、ここまでの「接続元点データ」である点データPD11に隣接する点データPD13は既に接続済みであるため、さらに隣接する点データPD14が新たな「接続元点データ」として選択される。そして、接続元点データ(点データPD14)に接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD15である。そして、点データPD14と点データPD15を接続したとしても、既に描画されている線データLD11b,LD12と交差することもなく、点データPD11-PD16同士の接続関係にループが生じることもない。したがって、点データPD15を「接続先点データ」として、図10に示すように、点データPD14から点データPD15まで線データLD13を描画し、これによりPD14とPD15とを接続する。
【0059】
次に、既に竣工図D11上に描画されている線データとの交差や、点データ同士の接続関係にループを生じさせずに接続可能な点データがあるか否かを確認する(図4中のS10)。ここでは、図10に示すように、どの点データにも接続されていない点データPD12,PD16が残っているため、「あり」と判断される(図4中のS10:YES)。
【0060】
次に、接続先点データ(点データPD15)と、接続可能かつ最も近い位置にある点データであって、接続先点データ(点データPD15)に未接続の点データ(第2接続先点データ)の有無を確認する(図4中のS6)。図10に示す通り、接続先点データ(点データPD15)に接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD14であるが、点データPD14は、線データLD13によって既に接続先点データ(点データPD15)と接続されている。したがって、ここでは、第2接続先点データが無いと判断される(図4中のS6:NO)。
【0061】
次に、接続元点データに、未接続の接続口があるか否かを確認する(図4中のS8)。ここでは、図10に示す通り、接続元点データである点データPD14の接続口の数は3つであると認識されているところ、点データPD14には、線データLD12,LD13の2本が接続されており、接続口211が1つ余った状態である。したがって、点データPD14に未接続の接続口211があると判断される(図4中のS8:YES)。
【0062】
次に、接続元点データから、接続可能かつ最も近い位置にある点データ(接続先点データ)までを接続する(図4中のS9)。ただし、既に竣工図D11上に描画されている線データと交差してしまう場合や、点データ同士の接続関係にループが生じてしまう場合にはこの限りではない。竣工図D11で、接続元点データである点データPD14と、最も近い位置にある点データは点データPD15である。しかし、点データPD15は既に点データPD14と線データLD13により接続済みであるため、次に近い位置にある点データPD12が優先され、点データPD12が改めて「接続先点データ」と認識される。そして、点データPD14と点データPD12を接続したとしても、既に描画されている線データLD11b,LD12,LD13と交差することもなく、点データPD11-PD16同士の接続関係にループが生じることもない。よって、図11に示すように、点データPD14から点データPD12へ線データLD14を描画し、点データPD14と点データPD12とを接続する。
【0063】
次に、既に竣工図D11上に描画されている線データとの交差や、点データ同士の接続関係にループを生じさせずに接続可能な点データがあるか否かを確認する(図4中のS10)。ここでは、図11に示すように、どの点データにも接続されていない点データPD16が残っているため、「あり」と判断される(図4中のS10:YES)。
【0064】
次に、接続先点データ(点データPD12)と、接続可能かつ最も近い位置にある点データであって、接続先点データ(点データPD12)に未接続の点データ(第2接続先点データ)の有無を確認する(図4中のS6)。図11に示す通り、接続先点データ(点データPD12)に接続可能かつ最も近い位置にある点データは点データPD14であるが、点データPD14は、線データLD14によって既に接続先点データ(点データPD12)と接続されている。したがって、ここでは、第2接続先点データが無いと判断される(図4中のS6:NO)。
【0065】
次に、接続元点データに、未接続の接続口があるか否かを確認する(図4中のS8)。ここでは、図11に示す通り、接続元点データである点データPD14の接続口の数は3つであると認識されているところ、既に3本の線データLD12,LD13,LD14が接続されているため、点データPD14に未接続の接続口が無いと判断される(図4中のS8:NO)。
【0066】
次に、竣工図D11上にプロットされた点データの中に未接続の継手があるか否かを確認する(図4中のS11)。点データPD15,PD16は、線データが全く接続されていないか、あるいは、接続口の数よりも少ない本数の線データが接続されているため、接続可能な接続口が残っている。よって、「未接続の継手」に該当する。したがって、ここでは未接続の継手があると判断される(図4中のS11:YES)
【0067】
次に、「未接続の継手」の中から、線データの描画を開始するための新たな「接続元点データ」を選択し、当該接続元点データから接続可能かつ最も近い位置にある点データ(接続先点データ)に向かって、線データを描画する(図4中のS12)。ただし、既に竣工図D11上に描画されている線データと交差してしまう場合や、点データ同士の接続関係にループが生じてしまう場合にはこの限りではない。新たな「接続元点データ」としては、ここまでの「接続元点データ」に隣接する点データが選択されるところ、ここまでの「接続元点データ」である点データPD14に隣接する点データPD15が新たな「接続元点データ」として選択される。竣工図D11で、接続元点データ(点データPD15)と、最も近い位置にある点データは点データPD14である。しかし、点データPD14は既に点データPD15と線データLD13により接続済みであるため、次に近い位置にある点データPD16が優先され、点データPD16が改めて「接続先点データ」と認識される。そして、点データPD15と点データPD16を接続したとしても、既に描画されている線データLD11b,LD12,LD13,LD14と交差することもなく、点データPD11-PD16同士の接続関係にループが生じることもない。よって、図12に示すように、点データPD15から点データPD16へ線データLD15を描画し、点データPD15と点データPD16とを接続する。
【0068】
次に、既に竣工図D11上に描画されている線データとの交差や、点データ同士の接続関係にループを生じさせずに接続可能な点データがあるか否かを確認する(図4中のS10)。ここでは、図12に示すように、全ての点データPD11-PD16が接続済みであり、接続可能な点データが残っているため、「なし」と判断される(図4中のS10:NO)。
【0069】
次に、竣工図上に描画された点データおよび線データにより形成されるグループの数を認識する(図4中のS13)。これは、描画エラーを防止するためのステップであり、グループ数が1つであれば描画エラーなしと判断し(図4中のS13:1グループ)、ベクトルデータを出力した上(図4中のS14)、作図プログラムの動作が終了する。一方、グループ数が2以上であれば描画エラーありと判断し(図4中のS13:2グループ以上)ベクトルデータの再生成が行われる。
【0070】
ここでは、図12に示すように、竣工図D11上の点データPD11-PD16および線データLD11-LD15により形成されるグループの数は1つである。よって、作図プログラムは、図12に示した状態のベクトルデータを出力(図4中のS14)し、動作を終了する。出力されたベクトルデータ(図12)は、図3に示す導管ネットワーク2の敷設状態を正確に表している。
【0071】
ここで、描画エラーが発生した場合を説明する。例えば、図13に示す竣工図D12は、図3に示す導管ネットワーク2のベクトルデータを生成しようとした結果、描画エラーが生じたものである。具体的には、接続された点データPD11と点データPD16のグループと、接続された点データPD12と点データPD13と点データPD14のグループとに分かれて、ネットワークが構成されてしまっている。これは、導管ネットワーク2の敷設状態を正確に表しているとは言えない。このようなベクトルデータが生成された場合、図4中のS13では描画エラーありと判断される(図4中のS13:2グループ以上)。エラーの原因は、グループ間の接続足りないためであり、その接続を優先して接続する事によりエラーを抑制する事が可能である。
【0072】
そして、2以上のグループの内のいずれかのグループにおける、未接続の接続口を有する点データから、他のグループの接続可能な点データへの接続を行う(図4中のS15)。このとき、接続可能な点データが複数あるときには、近い方を優先する。具体的には、図13の竣工図D12中の2グループのうち、点データPD11と点データPD16とにより形成されているグループにおいて、点データPD16は、管種情報に基づき接続口が2つあると認識されているところ、線データは1本しか接続されていないため、未接続の接続口があると判断される。一方で、他のグループにおける、点データPD16と接続可能な点データは複数ある。よって、ここでは、未接続の接続口を有する点データPD16から、接続可能かつ最も近い位置にある点データPD15まで、線データLD15が描画され、点データPD16と点データPD15とが接続される。次に、図4中のS5に戻り、正確なベクトルデータが生成されるまで、図4中のS5-S15の処理を繰り返す。なお、図4中のS5に戻った際には、「2巡目は逆から接続」とある通り、両端点データの内、1回目のS5の処理において線データの描画を介した点データとは異なる方の点データから描画を開始する。つまり、1回目のS5の処理で、点データPD11から線データの描画を開始していた場合、図4中のS15からS5に戻ったときには、点データPD12から線データの描画を開始する。これにより、再び描画エラーが発生することが防止される。
【0073】
また、図4中のS15に、「2巡目以降は再接続」とあるが、これは、図4中のS5-S15の処理を繰り返す中で、2回目以降に図4中のS15に到達した場合には、過去のS15で描画した線データを全て描画した上で、新たな接続を行うことを意味する。具体的には、1回目のS15で線データLD15を描画した場合、2回目のS15では、線データLD15を描画するとともに、いずれかのグループにおける、未接続の接続口を有する点データから、他のグループの接続可能な点データへの接続を行う(例えば、点データPD11から点データPD13へ接続を行う等)。なお、この過去のS15で描画した線データを全て描画するステップは、必ずしもS15のステップで行う必要はなく、S15の前で行うなどしても良い。
【0074】
作図プログラムにより出力されたベクトルデータは、データベース15に記憶される。なお、点データ、線データのみでなく、さらに面データ、体データを用いて導管ネットワーク2の敷設状態を描画しても良い。
【0075】
図面生成部162は、ベクトルデータを基に、3次元CAD図面や2次元CAD図面を生成することとしても良い。
【0076】
3次元CADとは、3次元関数により導管ネットワーク2の3次元画像を描画したものである。ベクトルデータに基づき、ベクトルデータ上でプロットされている点データ上には継手を描画し、点データを接続する線データ上には導管20を描画することで3次元CAD図面を生成する。このとき、描画される導管20と継手21の種類は、2次元コード40により表される管種情報に基づいて特定される。描画された内容の編集が容易であるため、例えば、描画された導管20や継手21の移動、拡大、縮小、短絡、延伸等を図面上で行うことができ、図面上で将来行う改修の検討を行うことが可能である。
【0077】
2次元CAD図面とは、導管ネットワークの敷設状態を表す平面図、断面図、側面図などを指す。ベクトルデータに基づき、ベクトルデータ上でプロットされた点データ上には継手を描画し、点データを接続する線データ上には導管20を描画することで2次元CAD図面を生成する。このとき、描画される導管20と継手21の種類は、2次元コード40により表される管種情報に基づいて特定される。
【0078】
さらに、図面生成部162は、3次元CAD図面や、2次元CAD図面を、地理情報システムと連携させた、地理情報システムデータを生成することが可能としても良い。地理情報システムデータとは、3次元CAD図面や、2次元CAD図面をもとに導管ネットワークの敷設状態を地図上に可視化したもので、過去に行われた工事による導管等の敷設状態が全て記録されているものである。地理情報システムデータが生成されることで、将来的に行われる導管ネットワークの改修工事だけでなく、下水管の工事等、導管の埋設位置に配慮しなければならない場合に活用することができる。
【0079】
また、図1に示すように、図面作成支援システム1は、通信回線19を介して、通信端末18に接続されている。通信端末18は、現場の作業者が有するタブレット等である。図面作成支援システム1の処理部16は、通信部17を介して、画像判定部161が判定した結果や、図面生成部162が生成した図面を、通信端末18に送信可能である。現場の作業者は、画像判定部161の判定結果を通信端末18で受信することで、判定結果に応じて、撮影装置11による撮影のし直しが必要か否かを知ることができる。また、図面生成部162が生成した図面を受信することで、受信した図面を用いて通信端末18上で工事日報を作成することも可能である。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の作図プログラム(図4中のS1-S15)によれば、(1)複数本の導管20A-20Gと導管20A-20G同士を接続する複数の継手21A-21Fとにより地中に構成される導管ネットワーク2の敷設状態を表す竣工図D11を、継手21A-21Fに貼付された符牒(2次元コード40)が含む管種情報に基づいて、導管20A-20Gを表す線データLD11-LD15により描画して出力する作図プログラムにおいて、管種情報は、少なくとも、符牒(2次元コード40)の貼付対象である継手21A-21Fの、導管20A-20Gを接続するための接続口211の数を備えること、作図プログラムは、敷設状態を表示した画像データ(例えば、3次元点群データ、3次元メッシュデータ、オルソ画像)を取得すること、画像データに写る符牒(2次元コード40)から、管種情報を取得すること、画像データに写る符牒(2次元コード40)の位置に基づき、複数の継手21A-21Fの位置を特定し、該特定した位置に応じて、複数の継手21A-21Fのそれぞれを点データPD11-PD16として竣工図D11の上にプロットすること、点データPD11-PD16の内から、最も距離の離れた2つの点データである両端点データ(点データPD11,PD12)を認識し、両端点データ(点データPD11,PD12)のうちの一方の点データPD11を始点として、線データLD11-LD15の描画を開始し、管種情報に基づいて、接続可能な点データPD11-PD16同士を線データLD11-LD15により順次接続すること、を特徴とする。
【0081】
(1)に記載の作図プログラムは、例えば、図4中のS4-S5に示すように、両端点データ(点データPD11,PD12)を認識し、そのうちの一方の点データPD11を始点として、線データLD11-LD15の描画を開始する。このように、始点を定めて線データの描画を開始すれば、線データの描画エラーが起こりにくく、正確なベクトルデータを生成可能になる。本実施形態における作図プログラムは、図4中のS5-S15の処理を繰り返すことで、ベクトルデータを生成するが、始点を定めることで、無駄な繰り返しが発生しないため、迅速にベクトルデータを生成することが可能である。
【0082】
(2)(1)に記載の作図プログラムにおいて、管種情報に含まれる、両端点データ(点データPD11,PD12)に対応する継手21A,21Bの接続口211の数m(mは2以上の整数であり、本実施形態においては2)を、数(m-1)として、線データLD11-LD15の描画を開始すること、を特徴とする。
【0083】
(2)に記載の作図プログラムは、例えば、図4中のS4および図6に示すように、両端点データ(点データPD11,PD12)に対応する継手21A,21Bの接続口211の数(m=2)を、数(m-1=1)として、線データLD11-LD15の描画を開始する。このように、両端点データの接続口の数を1つ減らしてから、線データの描画を開始すると、描画エラーが起こりにくく、正確なベクトルデータを生成可能になる。本実施形態における作図プログラムは、図4中のS5-S15の処理を繰り返すことで、ベクトルデータを生成するが、始点を定めることで、無駄な繰り返しが発生しないため、迅速にベクトルデータを生成することが可能である。
【0084】
(3)(1)または(2)に記載の作図プログラムにおいて、点データPD11-PD16の内、所定の第1の点データ(接続元点データ)から所定の第2の点データ(接続先点データ)まで線データLD11-LD15を描画した後、第2の点データ(接続先点データ)に対応する継手に最も近く、かつ、接続可能な継手に対応する点データであって、第2の点データ(接続先点データ)に線データによって接続されていない点データ(第2接続先点データ)の有無を確認すること、を特徴とする。
【0085】
(3)に記載の作図プログラムは、例えば、図4中のS6に示すように、接続先点データに対応する継手に最も近く、かつ、接続可能な継手に対応する点データであって、接続先点データに線データによって接続されていない点データ(第2接続先点データ)の有無を確認する。このように、第2接続先点データの有無を確認することで、描画エラーが起こりにくく、正確なベクトルデータを生成可能になる。
【0086】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の作図プログラムにおいて、竣工図D11の出力の前に、描画エラーを検出するエラー除けステップ(S13)を備えること、エラー除けステップは、竣工図D11に描画されている導管ネットワークのグループ数を認識し、そのグループ数が2以上である場合には、描画エラーが発生していると判断すること、そのグループ数が1つである場合には、描画エラーが発生していないと判断し、竣工図を出力すること、を特徴とする。
【0087】
(4)に記載の作図プログラムは、例えば、図4中のS13に示すように、竣工図D11に描画されている導管ネットワークのグループ数を認識し、そのグループ数が2以上である場合には描画エラーが発生していると判断し、グループ数が1つである場合には描画エラーが発生していないと判断する。エラーの原因は、グループ間の接続足りないためであり、その接続を優先して接続する事によりエラーを抑制する事が可能である。
【0088】
なお、上記実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、導管ネットワーク2は、需要家にガスを供給するためものに限定されず、水道を供給するためのものであっても良い。
【0089】
また、図4中のS3においては、画像データに含まれる絶対座標に基づき、2次元コード40の位置を認識することとしているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、地面上に任意に設けられたマークや、画像データ中に写る構造物等を基準とした相対座標に基づいて、2次元コード40の位置を認識することとしても良い。この場合、1本の導管の長さ、又は、敷設された導管ネットワークの長さについての情報を予め得ておくか、物差しを画像データに映り込ませておくことで、これら長さを基準として、画像データの縮尺を計算した上で、点データPD11-PD16を、プロットする。
【符号の説明】
【0090】
1 図面作成支援システム
20A-20G 導管
21A-21F 継手
40 2次元コード(符牒の一例)
211 接続口
D11 竣工図
LD11-LD15 線データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14