(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041232
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】仕切板部材
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20240319BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D25/04 G
B65D25/04 Z
B65D25/20 Q
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145926
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】504354472
【氏名又は名称】愛協産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】大島 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 純一
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062DA02
3E062DA05
3E062EA02
3E062EA03
3E062EA04
3E062EA05
3E062EB01
3E062EC03
(57)【要約】
【課題】 単一の板材部を用いて縦仕切板及び横仕切板の区別、使い分けを必用とせず、容器等の大きさに合わせて仕切りを組み立てて収容することができる。
【解決手段】 仕切板部材は、平面視矩形状の板材部と、板材部の長手方向となる第1辺部から板材部の短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部の溝部が進入し、当該板材部と他の板材部との間の係合に用いられる第1切れ溝部と、第1辺部から短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部を重ね合わせて当該板材部を長手方向に延長して用いる場合の位置合わせに用いられ、板材部の短手方向に伸長する長さが第1切れ溝部より長い第2切れ溝部と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の板材部と、
前記板材部の長手方向となる第1辺部から前記板材部の短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部の溝部が進入し、当該板材部と前記他の板材部との間の係合に用いられる第1切れ溝部と、
前記第1辺部から前記短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部を重ね合わせて当該板材部を前記長手方向に延長して用いる場合の位置合わせのための目印に用いられ、前記板材部の前記短手方向に伸長する長さが前記第1切れ溝部より長い第2切れ溝部と、
を備えることを特徴とする仕切板部材。
【請求項2】
前記第1切れ溝部の前記第1辺部側の開口部の付近に形成された突起部と、
前記第1切れ溝部の延長線上であって前記第1辺部と対向する第2辺部の近傍に形成され、前記他の板材部の前記突起部と係合する孔部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項3】
当該板材部と他の板材部との前記重ね合わせは、当該板材部の前記突起部と前記他の板材部の前記孔部との前記係合、及び当該板材部の前記孔部と前記他の板材部の前記突起部との前記係合により保持されることを特徴とする請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項4】
他の板材部との重ね合わせの位置合わせに際し、当該板材部の第2切れ溝部に他の板材部の第2切れ溝部が重ねられる請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項5】
前記突起部は前記第1切れ溝部の奥側から前記開口部に向けて傾斜する返し部を備える請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項6】
前記孔部は円形状である請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項7】
前記板材部にエンボス部が備えられる請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項8】
前記板材部は、合成樹脂のシート材により形成される請求項1に記載の仕切板部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出し、コンテナ、ケース、箱、容器など(以下、容器等)の内部空間を複数の区画に仕切る仕切板部材に関する。
【背景技術】
【0002】
物品、部品、材料など物を容器等に収納等する際に、容器等に入れられた物が移動若しくは変形することが無いように、又は、同じ容器等に入れられた物同士が混在若しくは干渉することが無いように、容器等の内部空間を複数の区画に仕切る仕切板部材が用いられる(例えば、特許文献1,2,3等参照)。
この仕切板部材は、容器等に収納される物の形状又は外形寸法に合わせて区画の形状又は寸法が変更可能であることが求められた。このことはSDGs(Sustainable Development Goals)の目標に叶うものでもあった。
【0003】
特許文献1に開示の仕切体は、単一の仕切板からなり、縦仕切板と縦仕切板と同一形状の横仕切板とを備えるとしている。特許文献1に開示の仕切板によれば、容器等の内部空間の区画数を収納等する物に合わせて容易に変更することができるとしている。
特許文献2の箱用組仕切り及び特許文献3の包装用の中仕切りは、縦仕切板と縦仕切板と形状の異なる横仕切板とを備え、容器等の内部空間を複数の区画に仕切るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5205479号公報
【特許文献2】特開2004-42919号公報
【特許文献3】実開昭63-091424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器等が流通しており、これらの容器等の内部空間を複数の区画に仕切る仕切板部材が必要とされる。従来、容器等の形状及び外形寸法に合わせて仕切板部材の大きさを調整していたため、複数種類の容器等ごとに異なる仕切板部材を用意しなければならず不経済であった。これはSDGsの観点からも是正が求められた。
従って、SDGs及び経済的観点の要請から、形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器等に対応し用いることができる仕切板部材が求められていた。
【0006】
更には、単一の仕切板を用いて、即ち、縦仕切板と縦仕切板と同一形状の横仕切板とを用いて、形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器等に対応し用いることができる仕切部材が、SDGs及び経済的観点の要請から求められている。
しかし、特許文献1に開示の仕切板によれば、縦仕切板と縦仕切板と同一形状の横仕切板とを備え、容器等の内部空間の区画数を容易に変更できるとする一方で、形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器等に対応し用いることについては何ら考慮されていない。
特許文献2の箱用組仕切り及び特許文献3の包装用の中仕切りは、そもそも縦仕切板と横仕切板との形状が同じではないため、縦仕切板と横仕切板とをそれぞれに用意しなければならずSDGsの要請に叶わず不経済であり煩雑であった。
【0007】
そこで、本発明では、単一の板材部を用いて縦仕切板及び横仕切板の区別、使い分けを必要とせず、形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器等の大きさに合わせて、仕切りを組み立てて収容することができる仕切板部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1の態様に係る仕切板部材は、平面視矩形状の板材部と、板材部の長手方向となる第1辺部から板材部の短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部の溝部が進入し、当該板材部と他の板材部との間の係合に用いられる第1切れ溝部と、第1辺部から短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部を重ね合わせて当該板材部を長手方向に延長して用いる場合の位置合わせのための目印に用いられ、板材部の短手方向に伸長する長さが第1切れ溝部より長い第2切れ溝部と、を備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る仕切板部材において、第1切れ溝部の第1辺部側の開口部の付近に形成された突起部と、第1切れ溝部の延長線上であって第1辺部と対向する第2辺部の近傍に形成され、他の板材部の突起部と係合する孔部と、を備えてもよい。
【0010】
第3の態様は、第2の態様に係る仕切板部材において、当該板材部と他の板材部との重ね合わせは、当該板材部の突起部と他の板材部の孔部との係合、及び当該板材部の孔部と他の板材部の突起部との係合により保持されることとしてもよい。
【0011】
第4の態様は、第1の態様に係る仕切板部材において、他の板材部との重ね合わせの位置合わせに際し、当該板材部の第2切れ溝部に他の板材部の第2切れ溝部が重ねられることとしてもよい。
【0012】
第5の態様は、第2の態様に係る仕切板部材において、突起部は第1切れ溝部の奥側から開口部に向けて傾斜する返し部を備えることとしてもよい。
【0013】
第6の態様は、第2の態様に係る仕切板部材において、孔部は円形状であることとしてもよい。
【0014】
第7の態様は、第1の態様に係る仕切板部材において、板材部にエンボス部が備えられることとしてもよい。
【0015】
第8の態様は、第1の態様に係る仕切板部材において、板材部は、合成樹脂のシート材により形成されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る仕切板部材は、平面視矩形状の板材部と、板材部の長手方向となる第1辺部から板材部の短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部の溝部が進入し、当該板材部と他の板材部との間の係合に用いられる第1切れ溝部と、第1辺部から短手方向に伸長する溝部により形成され、他の板材部を重ね合わせて当該板材部を長手方向に延長して用いる場合の位置合わせのための目印に用いられ、板材部の短手方向に伸長する長さが第1切れ溝部より長い第2切れ溝部とを備えるので、単一の板材部を用いて縦仕切板及び横仕切板の区別、使い分けを必用とせず、容器等の大きさに合わせて仕切りを組み立てて収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る仕切板部材を用いた容器の概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る仕切板部材を用いた容器の第1の例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る仕切板部材を用いた容器の第2の例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る仕切板部材を用いた容器の第3の例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る仕切板部材を用いた容器の第4の例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る仕切板部材の平面図である。
【
図7】本実施形態に係る仕切板部材の斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る仕切板部材の部分拡大図である。
【
図9】本実施形態に係る仕切板部材の板材部同士の重ね合わせを説明する図である。
【
図10】本実施形態に係る仕切板部材の板材部同士の係合を説明する図である。
【
図11】本実施形態に係る仕切板部材の板材部同士の係合を説明する部分拡大断面図である。
【
図12】本実施形態に係る仕切板部材の板材部同士の重ね合わせの保持について説明する図である。
【
図13】本実施形態に係る仕切板部材の不使用時の積み上げ態様について説明する図である。
【
図14】他の実施形態に係る仕切板部材の斜視図である。
【
図15】他の実施形態に係る仕切板部材の不使用時の積み上げ状態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して仕切板部材9の使用態様について説明する。
図1は本実施形態に係る仕切板部材9を用いた容器1の例を示す図である。
【0019】
容器1は、例えば全国的に広く流通している工業部品用コンテナであり、複数種類の大きさがある。仕切板部材9は、容器1の大きさに合わせて、後述するように、その大きさ(長さ)が可変可能である。なお、容器1は、工業部品用コンテナに限定されるものではなく、工業製品の完成品、半製品、若しくは材料、薬品、日用品、又は医療用品など様々な物品を収納等する容器であってもよい。
【0020】
また、本実施形態に係る仕切板部材9は容器1の内部空間2を所定数の区画に仕切るために用いられるが、仕切板部材9の用途はこれに限定されるものでは無く、例えば、机に供えられている引き出しの内部空間を所定の区画に仕切るために用いてもよく、このほかにもケース、箱、入れ物など物を収納若しくは保管するためのものの内部空間を所定数の区画に仕切るために用いられてもよい。さらには、仕切板部材9は、容器等の外郭を兼ねるように用いることもできる。
【0021】
図1(a)に示す容器1は、仕切板部材9を用いて内部空間2に3行2列で合計6個の区画が形成される。仕切板部材9は3枚の縦板材部10aと2枚の横板材部10bとから構成される。
【0022】
図1(b)に示す容器1は、仕切板部材9を用いて内部空間2に4行3列で合計12個の区画が形成される。仕切板部材9は2枚の縦板材部10aと3枚の横板材部10bとから構成される。
【0023】
板材部10は、縦板材部10aと横板材部10bとからなる。縦板材部10aと横板材部10bとは、板材部10からなり、板材部10の短手方向12の天地(上下)を逆にして使い分ける。
【0024】
容器1は、略直方体の外形及び略直方体の内部空間2を有し、上面が開口されている。容器1の上面の開口の縁は枠3により形成される。枠3は平面視略矩形状を有し、枠3の内寸の大きさは縦内寸3a及び横内寸3bである。
【0025】
縦板材部10aの長手方向11(
図6参照)の寸法は、容器1の枠3の縦内寸3aにほぼ一致する。横板材部10bの長手方向11(
図6参照)の寸法は、容器1の枠3の横内寸3bにほぼ一致する。
【0026】
縦板材部10a及び横板材部10bを、縦内寸3a及び横内寸3bにほぼ一致するように長手方向11の長さを調整する場合は複数枚の板材部10を用いる。複数枚の板材部10は、隣り合う2枚の板材部10との間に重ね合わせを形成して連結される。
【0027】
図2乃至
図5を参照して、形状又は外形寸法が異なる複数種類の容器1に用いる仕切板部材9について説明する。
図2乃至
図5は、本実施形態に係る仕切板部材9を用いた容器1の第1乃至第4の例を示す図である。
【0028】
図2を参照して仕切体部材9を用いた容器1の第1の例について説明する。
図2に示す仕切板部材9は縦板部材10aと横板部材10bを備え、縦板部材10aは1枚の板部材10からなり、横板部材10bも1枚の板部材10からなる。
【0029】
図2(a)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって4分割に区画される。容器1に用いる板材部10は6枚である。
図2(b)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって6分割に区画される。容器1に用いる板材部10は7枚である。
図2(c)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって12分割に区画される。容器1に用いる板材部10は9枚である。
【0030】
図3を参照して仕切板部材9を用いた容器1の第2の例について説明する。
図3に示す仕切板部材9は縦板部材10aと横板部材10bを備え、縦板部材10aは1枚の板部材10からなり、横板部材10bは2枚の板部材10からなる。横板部材10bは、2枚の板材部10を重ね合わせて、容器1の大きさに合わせて長手方向11に延長して用いる。
【0031】
図3(a)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって10分割に区画される。容器1に用いる板材部10は12枚である。
図3(b)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって15分割に区画される。容器1に用いる板材部10は14枚である。
【0032】
図4を参照して仕切板部材9を用いた容器1の第3の例について説明する。
図4に示す仕切板部材9は縦板部材10aと横板部材10bを備え、縦板部材10aは1枚の板部材10からなり、横板部材10bは3枚の板部材10からなる。横板部材10bは、3枚の板材部10を重ね合わせて、容器1の大きさに合わせて長手方向11に延長して用いる。
【0033】
図4(a)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって14分割に区画される。容器1に用いる板材部10は17枚である。
図4(b)に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって21分割に区画される。容器1に用いる板材部10は20枚である。
【0034】
図5を参照して仕切板部材9を用いた容器1の第4の例について説明する。
図5に示す仕切板部材9は縦板部材10aと横板部材10bを備え、縦板部材10aは2枚の板部材10からなり、横板部材10bは2枚の板部材10からなる。縦板材部10a及び横板部材10bは、2枚の板材部10を重ね合わせて、容器1の大きさに合わせて長手方向11に延長して用いる。
図5に示す容器1は、内部空間2を仕切板部材9によって35分割に区画される。容器1に用いる板材部10は28枚である。
【0035】
図6は本実施形態に係る仕切板部材9の平面図であり、
図7は板材部10の斜視図であり、
図8は板材部10の部分拡大図である。
図9は本実施形態に係る仕切板部材9の板材部同士の重ね合わせを説明する図であり、
図10は仕切板部材9の板材部同士の係合を説明する図である。
図11は本実施形態に係る仕切板部材9の板材部同士の係合を説明する部分拡大断面図であり、
図12は仕切板部材9の板材部同士の重ね合わせの保持について説明する図である。
【0036】
板材部10は、平面視矩形状である。
板材部10の材質は、特に限定するものではなく、プラスチック樹脂、アルミニウム板等の金属、ボール紙等の紙類、竹、木材などでもよい。プラスチック樹脂の例としては、汎用樹脂、汎用エンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂、その他熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0037】
板材部10は、合成樹脂のシート材により形成することができる。
汎用樹脂の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)などである。
【0038】
木材の例としては、合板が挙げられる。合板とは、木材を薄くスライスした単板を多層に重ね合わせ接着した木質材料のことである。合板は、熱間プレス成型により所望の形状に加工することができるので、例えば、板材部10の表面にエンボスを施す加工をする際に容易に行うことができる。
【0039】
板材部10は、板材部10の長手方向11となる第1辺部13から板材部10の短手方向12に伸長する溝部15を備える。
溝部15は、長手方向11に沿って所定の間隔に配置される。
溝部15は、他の板材部30(
図10参照)の溝部15が進入し、当該板材部10と他の板材部30との間の係合に用いられる第1切れ溝部16となる。
【0040】
板材部10は、第1辺部13から短手方向12に伸長する溝部17を備える。
溝部17は、板材部10の短手方向12に伸長する長さが第1切れ溝部16より長い第2切れ溝部18となる。
【0041】
本実施形態において、第2切れ溝部18を第1切れ溝部16より長くするのは、第1切れ溝部16より第2切れ溝部18が短い場合、仕切板部材9を組み立てた際に容器1の底面に仕切板部材9の一部が接地しなくなるためであり、生じた隙間から容器1に収容した部材等が出てしまうからである。
第2切れ溝部18は、他の板材部30(
図9参照)を重ね合わせて当該板材部10を長手方向11に延長して用いる場合の位置合わせのための目印に用いられる。
【0042】
他の板材部30との重ね合わせの位置合わせに際し、当該板材部10の第2切れ溝部18に他の板材部30の第2切れ溝部18が重ねられる(
図9参照)。
【0043】
板材部10にエンボス部23が備えられる。
エンボス部23とは、板材部10においてエンボス加工を施した部分のことである。エンボス加工とは、表面を立体的に浮きだした模様を作る加工のことである。板材部10にエンボス加工を施すことで、エンボス加工による板材部10の塑性変形により強度を高めることができる。さらに、板材部10の表面にエンボス加工を施すことで、エンボス加工の凹凸により滑りにくくなり板材部10が取り扱いやすくなる。さらに、板材部10同士を重ね合わせる際に、板材部10のエンボス加工による凹凸の上から他の板材部10のエンボス加工による凹凸を重ね合わせることで、重なり合う2個の板材部10の相対的位置関係を所望の位置に誘導することができる。
【0044】
図8から理解されるように、突起部20は、第1切れ溝部16の第1辺部13側の開口部19の付近に形成される。
突起部20は、第1切れ溝部16の奥側から開口部19に向けて傾斜する返し部22を備える。
返し部22は、その傾斜により突起部20が孔部21に進入する際の抵抗を軽減して係合し易くなる。
【0045】
孔部21は、第1切れ溝部16の延長線上であって第1辺部13と対向する第2辺部14の近傍に形成され、他の板材部30の突起部20と係合する。
孔部21は、円形状である。
孔部21は円形状に形成されるため、例えば、成形時の型抜き、成形が容易であり、また、突起部20を取り外す際の割れを防ぐことができる。更に、孔部21を円形状にすることで、製造工程における孔部21の成形時に、カス(成形時に生じた樹脂のはみ出し等)が除去されやすく、カスの付着を抑制することができる。
【0046】
図9を参照して、板材部10と他の板材部30との重ね合わせ(重ね合わせ構造)24について説明する。
図9に示すように、重ね合わせ24は、板材部10と他の板材部30との重なり合う部分のことをいう。板材部10と他の板材部30とは、それぞれ2個の第2切れ溝部18を備える。縦板材部10a及び横板材部10bが複数枚の板材部10を用いて長手方向11に伸長する場合、板材部10は隣り合う他の板材部30と1個の第2切れ溝部18同士の位置を一致させて用いられる。板材部10と他の板材部30とは、互いのエンボス部23を重ね合わせることで、板材部10の第2切れ溝部18と他の板材部30の第2切れ溝部18とが重なり合うように所望の位置に誘導される。
【0047】
図10、
図11を参照して、板材部10と他の板材部30との係合25について説明する。板材部10と他の板材部30とを係合させる際、他の板材部30は板材部10に対して短手方向12を逆にして用いられる。他の板材部30の第1切れ溝部16は、板材部10の第1切れ溝部16に侵入する。板材部10の突起部20は他の板材部30の孔部21に係止する。他の板材部30の突起部20は板材部10の孔部21に係止する。このように、板材部10と他の板材部30との係合25は、板材部10と他の板材部30との2か所の係止からなるので、係合25は1か所の係止からなる係合と比較して外れ難くなる。
さらに、仕切板部材9として組み立てられ使用されている状態では、板材部10の突起部20は他の板材部30に対して直交するように他の板材部30の孔部21に侵入して係合25を形成し、他の板材部30の突起部20は板材部10に対して直交するように板材部10の孔部21に侵入して係合25を形成する。従って、係合25において形成される2個の係止(すなわち、板材部10の突起部20と他の板材部30の孔部21とからなる係止、および、他の板材部30の突起部20と板材部10の孔部21とからなる係止)は、突起部20が孔部21に侵入する方向が互いにほぼ90度異なるため係合25はより外れ難くすることができる。
【0048】
図12を参照して、本実施形態に係る仕切板部材9に用いられる板材部10の板材部同士の重ね合わせ24の保持について説明する。
当該板材部10と他の板材部30との重ね合わせ24は、当該板材部10の突起部20と他の板材部31の孔部21との係合25、及び当該板材部10の孔部21と他の板材部31の突起部20との係合25により保持される。
【0049】
縦板材部10a及び横板材部10bは、容器1の縦内寸3a及び横内寸3bに合わせて伸長して用いる場合に複数枚の板材部10を連結する。隣り合う板材部10と他の板材部30の間に重ね合わせ24を形成して複数枚の板材部30を連結する。重ね合わせ24は、その外側から他の板材部30を係合25させることで重ね合わせ24を保持する。
【0050】
この場合、重ね合わせ24において形成される板材部10の孔部21と他の板材部30の孔部21の重なりに対して他の板材部31の突起部20が係止する。さらに、重ね合わせ24において形成される板材部10の突起部20と他の板材部30の突起部20の重なりに対して他の板材部31の孔部21が係止される。このように、重ね合わせ24は、外側から他の板材部31が係合されることで保持される。
【0051】
次に
図13を参照して、本実施形態に係る仕切板部材9に用いられる板材部10の不使用時の積み上げ態様について説明する。
図13は本実施形態に係る仕切板部材9に用いられる板材部10の不使用時の積み上げ態様について説明する図である。
【0052】
板材部10の不使用時は、複数枚の板材部10を平面視1枚の板材部10となるように重ね合わされて保管される。このことで平面視1枚の板材部10と同等の収納面積とすることができ、収納スペースを効率よく用いることができる。
【0053】
上記した本実施形態に係る仕切板部材9によれば、縦板材部10a及び横板材部10bは、複数枚の板材部10を連結して用いることで容器1の縦内寸3a及び横内寸3bにほぼ一致するように長手方向11の長さを調整することができる。
【0054】
さらに上記した本実施形態に係る仕切板部材9によれば、第1切れ溝部16と第2切れ溝部18の長さを異ならせたので、板材部10と他の板材部30とを重ね合わせる際に板材部10の第2切れ溝部18と他の板材部30の第2切れ溝部18との位置合わせを容易に行うことができる。
【0055】
さらに上記した本実施形態に係る仕切板部材9によれば、板材部10はエンボス部23を備えるので、板材部10の塑性変形により強度を高めることができ、エンボス部23の凹凸により滑りにくく扱いやすい。また、板材部10同士をあてる際に、エンボス部23の凹凸を重ね合わせることで、2個の板材部10の相対的位置関係を所望の位置に誘導することができる。
【0056】
(他の実施形態)
次に
図14、
図15を参照して、他の実施形態に係る仕切板部材40について説明する。仕切板部材40に用いられる板材部41は、前出の板材部10と比較し、エンボス部を施す代わりに目印部26を備えるものである。板材部41の目印部26と板材部10のエンボス部23との相違点以外に板材部41と板材部10との間に差異点は無いので、板材部41の目印部26以外の構成については、その説明は省略する。
【0057】
目印部26は、板材部41の表面に添付するシール材、若しくは塗布された塗料である。目印部26の色について特に限定されるものではないが、板材部41との関係で目立つ色が好ましい。また、板材部41における目印部26の位置についても特に限定はないが長手方向11の端部側が好ましい。
【0058】
板材部41の不使用時は、複数枚の板材部41を平面視1枚の板材部41となるように重ねあわされて保管される。隣り合う板材部41と他の板材部41とをそれぞれが備える2個の第2切れ溝部18同士の位置を一致させることで平面視1枚の板材部41と同等の収納面積とすることができ、収納スペースを効率よく用いることができる。隣り合う板材部41と他の板材部41とは、互いの目印部26を重ね合わせることで、それぞれが備える2個の第2切れ溝部18とが重なり合うように所望の位置に誘導される。
【0059】
本開示は上記した実施形態に係る仕切板部材9、40に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 容器
2 内部空間
3 枠
3a 縦内寸
3b 横内寸
5 取手穴
9 仕切板部材
10 板材部
10a 縦板材部
10b 横板材部
11 長手方向
12 短手方向
13 第1辺部
14 第2辺部
15 溝部
16 第1切れ溝部
17 溝部
18 第2切れ溝部
19 開口部
20 突起部
21 孔部
22 返し部
23 エンボス部
24 重ね合わせ
25 係合
26 目印部
30 他の板部材
31 他の板材部
40 仕切板部材
41 板材部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の板材部と、
前記板材部の長手方向となる第1辺部から前記板材部の短手方向に伸長する溝部により形成され、板材部同士を係合させる係合用の他の板材部の溝部が進入し、当該板材部と前記係合用の他の板材部との間の係合に用いられる第1切れ溝部と、
前記第1辺部から前記短手方向に伸長する溝部により形成され、板材部の長さを延長させる延長用の他の板材部を重ね合わせて当該板材部を前記長手方向に延長して用いる場合の位置合わせのための目印に用いられ、前記板材部の前記短手方向に伸長する長さが前記第1切れ溝部より長い第2切れ溝部と、
を備えることを特徴とする仕切板部材。
【請求項2】
前記第1切れ溝部の前記第1辺部側の開口部の付近に形成された突起部と、
前記第1切れ溝部の延長線上であって前記第1辺部と対向する第2辺部の近傍に形成され、前記係合用の他の板材部の前記突起部と係合する孔部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項3】
当該板材部と延長用の他の板材部との前記重ね合わせは、当該板材部の前記突起部と前記延長用の他の板材部の前記孔部との前記係合、及び当該板材部の前記孔部と前記係合用の他の板材部の前記突起部との前記係合により保持されることを特徴とする請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項4】
延長用の他の板材部との重ね合わせの位置合わせに際し、当該板材部の第2切れ溝部に板材部の長さを延長させる延長用の他の板材部の第2切れ溝部が重ねられる請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項5】
前記突起部は前記第1切れ溝部の奥側から前記開口部に向けて傾斜する返し部を備える請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項6】
前記孔部は円形状である請求項2に記載の仕切板部材。
【請求項7】
前記板材部にエンボス部が備えられる請求項1に記載の仕切板部材。
【請求項8】
前記板材部は、合成樹脂のシート材により形成される請求項1に記載の仕切板部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
図12を参照して、本実施形態に係る仕切板部材9に用いられる板材部10の板材部同士の重ね合わせ24の保持について説明する。
当該板材部10と他の板材部3
1との重ね合わせ24は、当該板材部10の突起部20と他の板材部3
0の孔部21との係合25、及び当該板材部10の孔部21と他の板材部31の突起部20との係合25により保持される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
縦板材部10a及び横板材部10bは、容器1の縦内寸3a及び横内寸3bに合わせて伸長して用いる場合に複数枚の板材部10を連結する。隣り合う板材部10と他の板材部31の間に重ね合わせ24を形成して複数枚の板材部30を連結する。重ね合わせ24は、その外側から他の板材部31を係合25させることで重ね合わせ24を保持する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
この場合、重ね合わせ24において形成される板材部10の孔部21と他の板材部31の孔部21の重なりに対して他の板材部30の突起部20が係止する。さらに、重ね合わせ24において形成される板材部10の突起部20と他の板材部31の突起部20の重なりに対して他の板材部30の孔部21が係止される。このように、重ね合わせ24は、外側から他の板材部30が係合されることで保持される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】