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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041247
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】開閉体の止水構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20240319BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B7/23 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145947
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036DA08
2E036DA09
2E036EB07
2E036EC03
2E036GA03
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】 止水構造を複雑化することなく、さらに、確実な止水性能を確保することができる止水構造を提供する
【解決手段】 止水構造1であって、止水部材30(31)は、中空状の弾性変形可能な弾性変形部310を有し、前記弾性変形部310は、開閉体20が開口を閉鎖する閉鎖位置で、枠体10と前記開閉体20に当接して断面形状略U字状に弾性変形する第1変形部31a及び第2変形部31bを有し、前記第1変形部31aは、前記枠体10と、前記開閉体20における内表面との間の隙間を塞ぎ、前記第2変形部31bは、前記枠体10と、前記開閉体20における前記内表面と直交する端面との間の隙間を塞ぐ。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口に設けられる枠体と、
前記枠体の前記開口を開閉する開閉体と、
前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体との間に介在する止水部材と、を備え、
前記止水部材は、中空状の弾性変形可能な弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体に当接して断面形状略U字状に弾性変形する第1変形部及び第2変形部を有し、
前記第1変形部は、前記枠体と、前記開閉体における内表面との間の隙間を塞ぎ、
前記第2変形部は、前記枠体と、前記開閉体における前記内表面と直交する端面との間の隙間を塞ぐことを特徴とする開閉体の止水構造。
【請求項2】
前記止水部材は、前記枠体に形成された嵌合凹部内に収容される基部と、この基部に連接される前記弾性変形部とを一体に備え、
前記弾性変形部は、前記第1変形部及び前記第2変形部の弾性変形を促進するための変形促進部が設けられることを特徴とする請求項1記載の開閉体の止水構造。
【請求項3】
前記変形促進部は、前記弾性変形部の内面に形成された凹凸部からなり、
前記凹凸部は、前記弾性変形部における前記第1変形部及び前記第2変形部の内面に設けられることを特徴とする請求項2記載の開閉体の止水構造。
【請求項4】
前記弾性変形部の最外幅W1と前記嵌合凹部の内面間の幅W2とは、1.3W2≧W1≧1.1W2に設定されることを特徴とする請求項2又は3記載の開閉体の止水構造。
【請求項5】
前記第1変形部の先端をなす頂部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、少なくとも前記枠体に形成された前記嵌合凹部の端縁の位置に達することを特徴とする請求項2又は3記載の開閉体の止水構造。
【請求項6】
前記第1変形部の先端をなす頂部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体に形成された前記嵌合凹部の端縁の位置を超えた位置に達することを特徴とする請求項2又は3記載の開閉体の止水構造。
【請求項7】
前記弾性変形部には、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で前記第1変形部の頂部から外方に突出する突出片部が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の開閉体の止水構造。
【請求項8】
前記弾性変形部は、その断面形状が略円環状の一部をなすように形成された第1の領域と、その断面形状が略くの字状をなし、外方に突出するように形成された第2の領域とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の開閉体の止水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉体の止水構造として、例えば、特許文献1に記載されているように、ドア枠に、四周状の第1水密部材及び第2水密部材を装着し、扉体閉鎖時に、扉体の外縁面が第1水密部材に圧接して第1水密面を形成し、主面部の周縁面が第2水密部材に圧接して第2水密面を形成する止水構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の止水構造は、水密部材を、第1水密部材及び第2水密部材の2段に配設するものであり、その配設構造が複雑化するため更なる改善の余地がある。
また、従来、中空の弾性変形部する止水ゴムも知られているが、扉を閉鎖位置に回動させた場合、上記弾性変形部の変形にばらつきも見られ、止水性能が安定しないという問題も生じていた。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、止水構造を複雑化することなく、さらに、確実な止水性能を確保することができる止水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
構造物の開口に設けられる枠体と、前記枠体の前記開口を開閉する開閉体と、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体との間に介在する止水部材と、を備え、前記止水部材は、中空状の弾性変形可能な弾性変形部を有し、前記弾性変形部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体に当接して断面形状略U字状に弾性変形する第1変形部及び第2変形部を有し、前記第1変形部は、前記枠体と、前記開閉体における内表面との間の隙間を塞ぎ、前記第2変形部は、前記枠体と、前記開閉体における前記内表面と直交する端面との間の隙間を塞ぐことを特徴とする開閉体の止水構造。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉体の止水構造の一例を示す正面図である。
図2】同止水構造の横断面図である。
図3】同止水構造の縦断面図である。
図4】本発明に係る止水部材の一例を示す断面図である。
図5図2に示す戸先側の概要を示す横断面図である。
図6図2に示す戸尻側の概要を示す横断面図である。
図7】本発明に係る止水部材の他の例の概要を示す断面図である。
図8】本発明に係る止水部材の他の例の概要を示す断面図である。
図9】本発明に係る開閉体の止水構造の第2の実施形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、「見付け方向」とは、枠体10の横幅方向(図1の左右方向)を意味し、「見込み方向」とは、「見付け方向」に略直交する枠体10の厚み方向(図2及び図3の左右方向)を意味する。
また、「開口幅方向」とは、開閉体20により開閉される開口部の横幅方向を意味し、「開閉体横幅方向」とは、開閉体20の横幅方向を意味し、共に「見付け方向」と同方向(図1の左右方向)である。
【0009】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る開閉体の止水構造の一例を示す正面図である。また、図2は、同止水構造の横断面図を示し、図3は、同止水構造の縦断面図を示している。
【0010】
図1図3に示す本実施形態の開閉体の止水構造1は、ビル、家屋、倉庫等の建築物を含む構造物に形成された開口を開放あるいは閉鎖するものである。開口は、構造物の第1空間側(例えば、屋外側)と第2空間側(例えば、屋内側)とを連通するように形成される。この止水構造1は、枠体10と、この枠体10内の開口部を開閉する開閉体20と、止水部材30とを備え、構造物の内部に水が浸入することを防止する、いわゆる止水扉として機能する。
【0011】
(枠体)
枠体10は、図1に示すように、構造物の開口に設けられ、全閉位置の開閉体20の戸先側に対向し、上下方向に延びる戸先側枠材11と、全閉位置の開閉体20の戸尻側に対向し、上下方向に延びる戸尻側枠材12と、開閉体20の上方で開口幅方向(水平方向)に延びる上側枠材13と、開閉体20の下方で開口幅方向(水平方向)に延びる下側枠材14とから一体的に構成される。
この枠体10は、金属(例えば、鉄やステンレス、アルミニウム合金)等の硬質材料によって正面視矩形枠状に形成される(図1参照)。
【0012】
枠体10は、構造物の開口に、その周囲を囲むように固定的に取り付けられ、戸先側枠材11、戸尻側枠材12、上側枠材13及び下側枠材14は、開口の各端面との間がコーキング材等により水密状態とされる。
【0013】
なお、戸先側枠材11、戸尻側枠材12、上側枠材13及び下側枠材14は、予め工場や現場等で一体に接合(例えば、溶接やねじ止め、リベット止め等による)されていてもよいし、構造部の開口に設置される際に組み立てられるようにしてもよい。
また、枠体10の他の例としては、図示例の枠体10から下側枠材14部分を省いた正面視コ字枠状(門形状)の態様とすることも可能であり、この場合には、戸先側枠材11及び戸尻側枠材12の下端部を地面や床面等に立設する。
【0014】
<戸先側枠材及び戸尻側枠材>
戸先側枠材11及び戸尻側枠材12は、図2に示すように、それぞれ構造物の開口の上下方向に沿った端面に1つずつ設けられる。戸先側枠材11及び戸尻側枠材12は、水平方向に対して開口の空間部分を挟んで対向し、開口幅方向に対して左右一対で設けられる。
【0015】
<戸先側枠材>
戸先側枠材11は、金属製の板状部材を曲げ加工することにより、開閉体20の戸先側端部20aと表面板26の戸先寄り部分とを略L字状に覆う横断面形状に形成される。
この戸先側枠材11は、図2に示すように、全閉位置の開閉体20の戸先側端部20aに対向する対向面部11aと、全閉位置の開閉体20における表面板26の戸先側部分に対向する嵌合凹部11bとを有する。嵌合凹部11bには後述する止水部材30(戸先側止水部材31)が嵌合固定される。この止水部材30(戸先側止水部材31)は、上下方向へ連続する長尺状に形成され、全閉時の開閉体20の戸先側部分に圧接されて弾性変形する。
【0016】
<戸尻側枠材>
戸尻側枠材12は、金属製の板状部材を曲げ加工することにより、開閉体20の戸尻側端部20bと表面板26の戸尻寄り部分とを略L字状に覆う横断面形状に形成される。
この戸尻側枠材12は、図2に示すように、戸先側枠材11と左右対称形状であり、全閉位置の開閉体20の戸尻側端部20bに対向する対向面部12aと、全閉位置の開閉体20における表面板26の戸尻側部分に対向する嵌合凹部12bとを有する。嵌合凹部12bには後述する止水部材30(戸尻側止水部材32)が嵌合固定される。この止水部材30(戸尻側止水部材32)は、上下方向へ連続する長尺状に形成され、全閉時の開閉体20の表面板26における戸尻側部分に圧接されて弾性変形する。
【0017】
<上側枠材及び下側枠材>
上側枠材13及び下側枠材14は、図3に示すように、それぞれ構造物の開口の水平方向に沿った端面に1つずつ設けられる。上側枠材13は、開口の水平方向に沿った端面であって上下方向上側の端面に設けられ、下側枠材14は、開口の水平方向に沿った端面であって上下方向下側の端面に設けられる。上側枠材13及び下側枠材14は、上下方向に対して開口の空間部分を挟んで対向する。
【0018】
<上側枠材>
上側枠材13は、金属製の板状部材を曲げ加工することにより、開閉体20の上側端部20cと表面板26の上側寄り部分とを略L字状に覆う縦断面形状に形成される。
この上側枠材13は、図3に示すように、全閉位置の開閉体20の上側端部20cに対向する対向面部13aと、全閉位置の開閉体20における表面板26の上側寄り部分に対向する嵌合凹部13bとを有する。嵌合凹部13bには後述する止水部材30(上側止水部材33)が嵌合固定される。この止水部材30(上側止水部材33)は、全閉時の開閉体20の表面板26における上側寄り部分に圧接されて弾性変形する。
【0019】
<下側枠材>
下側枠材14は、金属製の板状部材を曲げ加工することにより、開閉体20の下側骨材24と表面板26の下側寄り部分とを略L字状に覆う縦断面形状に形成される。
この下側枠材14は、図3に示すように、全閉位置の開閉体20の下側骨材24と下り勾配状に対向する対向面部14aと、全閉位置の開閉体20における表面板26の下側寄り部分に対向する嵌合凹部14bとを有する。嵌合凹部14bには後述する止水部材30(下側止水部材34)が嵌合固定される。この止水部材30(下側止水部材34)は、全閉時の開閉体20の表面板26における下側寄り部分に圧接されて弾性変形する。
【0020】
(開閉体)
開閉体20は、枠体10内側の開口部を開閉する扉(ドア)であり、戸尻側の端面が戸尻側枠材12に枢支されて回動する片開き式の扉である。
開閉体20は、図2及び図3に示すように、その上端部及び下端部でそれぞれ開閉体横幅方向(水平方向)に延びる上側骨材23及び下側骨材24と、これら上側骨材23及び下側骨材24間を上下方向に延びてその戸先側で連結する戸先側骨材21と、その戸尻側で連結する戸尻側骨材22と、これら骨材21,22,23,24を覆うように配置される屋外側の表面板25及び屋内側の表面板26と、開閉操作のための取手29とを具備している。
【0021】
戸先側骨材21、戸尻側骨材22、上側骨材23及び下側骨材24は、金属等の硬質材料から連続する長尺状に形成される。
戸先側骨材21及び戸尻側骨材22は、図2に示すように、横断面コ字状に形成され、開閉体20の上下方向の略全長にわたって連続している。
上側骨材23及び下側骨材24は、図3に示すように、縦断面コ字状に形成され、開閉体20の開閉体横幅方向の略全長にわたって連続している。
【0022】
また、屋外側の表面板25と屋内側の表面板26は、硬質の平板状部材から形成され、図示例によれば、金属板(例えば、鉄板や、ステンレス板、アルミニウム合金板等)の戸幅方向の一端側と他端側をそれぞれ曲げ加工して構成される。
これら表面板25,26は、一枚の平板状部材を曲げ加工した態様や、複数の平板状部材を接続した態様等とすることが可能であり、戸先側骨材21、戸尻側骨材22、上側骨材23及び下側骨材24に対し、ネジやリベットを用いた止着手段、接着剤又は両面テープを用いた接着、溶接、嵌合等によって不動に固定される。
【0023】
なお、この開閉体20は、必要に応じて、表面板25,26間の空間における戸先側骨材21と戸尻側骨材22の間に、芯材(断熱材や遮音材等を含む)や、補強のための単数又は複数の骨材27(図2参照)等を適宜配設することができる。
【0024】
また、開閉体20は、水平方向に沿った戸尻側の端面にヒンジ28が設けられる。ヒンジ28は、上下方向に沿った回動軸を中心として、開閉体20を枠体10の戸尻側枠材12に回動可能に支持する。したがって、開閉体20は、ヒンジ28の回動軸を回動中心として、開口部を閉鎖させる閉鎖位置と、開口部を開放させる開放位置とに回動可能となる。
【0025】
次に、本発明の止水構造における止水部材について説明する。
本実施形態の止水部材30は、開閉体20が閉鎖位置にある状態で、この止水部材30によって枠体10と開閉体20との間の隙間を止水するものである
この止水部材30は、図2及び図3に示すように、戸先側止水部材31、戸尻側止水部材32、上側止水部材33、及び下側止水部材34を含んで構成される。上記各止水部材31~34は、所定の弾性を有する弾性部材であり、例えば、独立気泡型の樹脂材や気泡を有しない柔らかめの樹脂等を用いることができる。
【0026】
また、止水部材30を構成する各止水部材31~34は、同一の断面形状(図4参照)を有し、戸先側止水部材31と戸尻側止水部材32の上下の端部に、それぞれ上側止水部材33の端部と下側止水部材34の端部とが密着状態となるように連続的に連結され、全体として枠体10に対応した正面視矩形枠状に形成される。
なお、枠体10が下側枠材14部分を省いた正面視コ字枠状(門形状)の態様として構成される場合には、止水部材30は、下側止水部材34部分を除いた正面視コ字枠状(門形状)の態様として構成される。
【0027】
以下、止水部材30(戸先側止水部材31、戸尻側止水部材32、上側止水部材33、及び下側止水部材34)の具体的な構造の例について説明する。図4には、本発明に係る止水部材の一例を示す断面図が示されている。
【0028】
(止水部材の具体的構造)
止水部材30(戸先側止水部材31、戸尻側止水部材32、上側止水部材33、下側止水部材34)は、枠体10(戸先側枠材11、戸尻側枠材12、上側枠材13、下側枠材14)に形成された各嵌合凹部11b,12b,13b,14b内に収容される基部300と、基部300に連接される断面形状が略円環状をなす弾性変形部310とを一体に備えている。
【0029】
<基部>
基部300は、各嵌合凹部11b,12b,13b,14b内に収容される部位をなし、各嵌合凹部11b,12b,13b,14bの内面を押圧する押圧片301が設けられている。この押圧片301が各嵌合凹部11b,12b,13b,14bの内面を押圧することで、各嵌合凹部11b,12b,13b,14b内からの脱落が防止される。
【0030】
<弾性変形部>
弾性変形部310は、断面形状が略円環状をなし、基部300に連接されている。この弾性変形部310は、開閉体20の閉鎖時に開閉体20と枠体10(戸先側枠材11、戸尻側枠材12、上側枠材13、下側枠材14)とに挟まれて弾性変形し、後述する第1変形部及び第2変形部を形成することで、開閉体20と枠体10の隙間に密着して止水するように機能する。
具体的には、弾性変形部310は、開閉体20が開口を閉鎖する閉鎖位置で、枠体10と開閉体20に当接して断面形状略U字状に弾性変形する第1変形部及び第2変形部を有し、第1変形部は、枠体10と、開閉体20における内表面(表面板26)との間の隙間を塞ぎ、また、第2変形部は、枠体10と、開閉体20における内表面(表面板26)と直交する端面(戸先側端部20a、戸尻側端部20b、上側端部20c、表面板26の下端面)との間の隙間を塞ぐように構成される。
【0031】
また、弾性変形部310の内面には、開閉体20の閉鎖時に、弾性変形部310が所期の形状(第1変形部及び第2変形部を有する形状)に弾性変形するように変形促進部が形成されている。図4には、変形促進部の一例として、弾性変形部310の内面に凹凸部311を形成した例が示されている。
【0032】
この凹凸部311は、凹部312及び凸部313からなり、これら凹部312及び凸部313は、その断面形状が長手方向に連続するように形成されている。図4には、凹部312及び凸部313が、その断面形状を、周方向に滑らかに連続する湾曲状の曲線をなすように構成した例を示しているが、この断面形状は、例えば、凹部312及び凸部313が、その断面形状を周方向に直線的に連続するように構成(例えば、ギザギザ状等)することもでき、その形状は限定されない。
【0033】
また、図4には、変形促進部としての凹凸部311が、弾性変形部310の内面の全周にわたって形成されている例を示しているが、この変形促進部(凹凸部311)は、少なくとも、開閉体20の閉鎖時に断面略U字状に弾性変形する第1変形部31a,32a,33a,34a及び第2変形部31b,32b,33b,34bの形成領域を含む弾性変形部310の内面に設けられればよい。
【0034】
次に、止水部材30による止水の態様について説明する。先ずは、戸先側枠材11と開閉体20の隙間における止水の態様について説明する。
【0035】
(戸先側枠材と開閉体の隙間における止水の態様)
図5には、戸先側枠材11に設けられた止水部材30(戸先側止水部材31)による止水の態様が示されている。図中、A1~A4で示す二点鎖線は、閉鎖する開閉体20の戸先側の各位置を示す。
【0036】
使用者は、開閉体20の取手29(図1参照)を操作することで、開閉体20を開放位置と閉鎖位置とに亘って回動させることができる。
開閉体20は、図5に示す位置A1、A2を経て閉鎖方向に回動される。開閉体20が戸先側止水部材31の弾性変形部310に当接すると(図5の位置A3)、弾性変形部310は弾性変形を開始する。その後、弾性変形部310は、開閉体20の閉鎖方向の移動により押圧されることでさらに弾性変形し、開閉体20と戸先側枠材11とに挟まれた閉鎖位置(図5の位置A4)において、断面略U字状の戸先側第1変形部31a及び戸先側第2変形部31bを形成する。
【0037】
<戸先側第1変形部>
戸先側第1変形部31aは、図5に示すように、戸先側枠材11における嵌合凹部11bの端縁11b1と、開閉体20(図5の位置A4)における表面板26の戸先側の面に挟まれて、断面略U字状に弾性変形した部位をなす。この戸先側第1変形部31aは、開閉体20における戸先側の表面板26と戸先側枠材11の端縁11b1に密着し、その隙間を塞ぎ止水するように機能する。
【0038】
<戸先側第2変形部>
戸先側第2変形部31bは、図5に示すように、戸先側枠材11における対向面部11aと、開閉体20(図5の位置A4)における戸先側端部20aの面に挟まれて、断面略U字状に弾性変形した部位をなす。この戸先側第2変形部31bは、開閉体20における戸先側端部20aと戸先側枠材11における対向面部11aに密着し、その隙間を塞ぎ止水するように機能する。
【0039】
弾性変形部310には、上述したとおり、その内面に変形促進部としての凹凸部311が設けられている。この変形促進部(凹凸部311)は、少なくとも、開閉体20の閉鎖時に断面略U字状に弾性変形する戸先側第1変形部31a及び戸先側第2変形部31bの形成領域を含む弾性変形部310の内面に設けられているため、弾性変形部310が閉鎖する開閉体20により押圧されると、この変形促進部(凹凸部311)の設けられた部位の弾性変形が促進される(断面略U字状に弾性変形することが促進される)。
【0040】
弾性変形部310の最外幅(直径)W1(図4参照)は、嵌合凹部11bの内面間の幅W2(図2参照)よりも大きく(W1>W2)設定され、好ましくは、1.3W2≧W1≧1.1W2の範囲に設定される。これにより、弾性変形部310は、開閉体20が閉鎖された場合に、効果的に第1変形部31a及び第2変形部31bを形成することができるとともに、開閉体20を円滑に開閉することができる。
【0041】
弾性変形部310の最外幅W1が上記範囲未満であると、嵌合凹部11bの内面間の幅W2からはみ出して弾性変形する弾性変形部310のボリュームが不足するため、開閉体20と戸先側枠材11との隙間(嵌合凹部11bの端縁11b1と開閉体20における表面板26との間の隙間寸法W3、及び戸先側枠材11における対向面部11aと開閉体20における戸先側端部20aとの間の隙間寸法W4)において、第1変形部31a又は第2変形部31bの断面が略U字状に変形しない場合があり、所期の止水性能が発揮できないおそれがある。
また、弾性変形部310の最外幅W1が上記範囲より大きいと、開閉体20を閉鎖する場合の弾性変形部310による抵抗(弾性復元力)が大きくなるため、そのような抵抗(弾性復元力)による開閉体20の開閉に違和感を生じるおそれがある。
【0042】
なお、嵌合凹部11b,12b,13b,14bの内面間の幅W2は、枠体10を構成する各枠材11,12,13,14において同じ寸法である。また、開閉体20と各枠材11,12,13,14との隙間寸法(W3,W4)もほぼ同一寸法であるので、後述する戸尻側枠材12と開閉体20の隙間における止水の態様、上側枠材13と開閉体20の隙間における止水の態様、及び下側枠材14と開閉体20の隙間における止水の態様についても、上述した戸先側枠材11及び戸尻側枠材12と開閉体20の隙間における止水の態様と同様である。
【0043】
したがって、止水部材30(戸先側止水部材31)は、開閉体20の閉鎖位置(図5の位置A4)において、戸先側枠材11における嵌合凹部11bの端縁11b1と開閉体20における表面板26との間の隙間、及び戸先側枠材11における対向面部11aと開閉体20における戸先側端部20aとの間の隙間に、それぞれ断面略U字状に弾性変形した戸先側第1変形部31a及び戸先側第2変形部31bを形成し、それらの隙間を効果的に密封し、止水することができる。
【0044】
より具体的には、断面略U字状をなす戸先側第1変形部31aは、戸先側枠材11における嵌合凹部11bの端縁11b1と開閉体20における表面板26の戸先側の面との間の隙間に沿って見付け方向(開口幅方向)における中央側に延び、その頂部は、少なくとも嵌合凹部11bの端縁11b1の位置には達し、好ましくは、嵌合凹部11bの端縁11b1の位置を超えた位置にまで達するように配置され、確実に止水することができる。
また、戸先側第2変形部31bは、戸先側枠材11における対向面部11aと開閉体20における戸先側端部20aの面との間の隙間に沿って見込み方向における屋外側に延びて断面略U字状に配置されることとなり、確実に止水することができる。
【0045】
なお、図5には、嵌合凹部11b内の止水部材30の設置位置を調整するために、スペーサ40を設けた例が示されている。このスペーサ40は、平板状に形成され、その設置数を適宜調整することで(図5には、1つのスペーサ40を設けている。)、嵌合凹部11b内の止水部材30(戸先側止水部材31)の収容位置(弾性変形部310の位置)を調整することができる。
【0046】
このスペーサ40は、止水部材30における基部300の底部に複数重ねられるとともに、それぞれを除去可能に取り付けることにより、止水部材30と一体的なものとして構成してもよいし、止水部材30とは別体として構成してもよい。
また、スペーサ40の設置は、戸尻側枠材12、上側枠材13及び下側枠材14のそれぞれに形成されている嵌合凹部12b,13b,14bに対する止水部材30の取り付けにおいても同様である。
【0047】
次に、戸尻側枠材12と開閉体20の隙間における止水の態様について説明する。
(戸尻側枠材と開閉体の隙間における止水の態様)
図6には、戸尻側枠材12に設けられた止水部材30(戸尻側止水部材32)による止水の態様が示されている。図中、B1~B4で示す二点鎖線は、閉鎖する開閉体20の戸尻側の各位置を示す。
【0048】
使用者は、開閉体20の取手29(図1参照)を操作することで、開閉体20を開放位置と閉鎖位置とに亘って回動させることができる。
開閉体20は、図6に示す位置B1、B2を経て閉鎖方向に回動される。開閉体20が戸尻側止水部材32の弾性変形部310に当接すると(図6の位置B3)、弾性変形部310は弾性変形を開始する。その後、弾性変形部310は、開閉体20の閉鎖方向の移動により押圧されることでさらに弾性変形し、開閉体20と戸尻側枠材12とに挟まれた閉鎖位置(図6の位置B4)において、断面略U字状の戸尻側第1変形部32a及び戸尻側第2変形部32bを形成する。
【0049】
<戸尻側第1変形部>
戸尻側第1変形部32aは、図6に示すように、戸尻側枠材12における嵌合凹部12bの端縁12b1と、開閉体20(図6の位置B4)における表面板26の戸尻側の面に挟まれて、断面略U字状に弾性変形した部位をなす。この戸尻側第1変形部32aは、開閉体20における戸先側の表面板26と戸尻側枠材12の端縁12b1に密着し、その隙間を塞ぎ止水するように機能する。
【0050】
<戸尻側第2変形部>
戸尻側第2変形部32bは、図6に示すように、戸尻側枠材12における対向面部12aと、開閉体20(図6の位置B4)における戸尻側端部20bの面に挟まれて、断面略U字状に弾性変形した部位をなす。この戸尻側第2変形部32bは、開閉体20における戸尻側端部20bと戸尻側枠材12における対向面部12aに密着し、その隙間を塞ぎ止水するように機能する。
【0051】
弾性変形部310には、上述したとおり、その内面に変形促進部としての凹凸部311が設けられている。この変形促進部(凹凸部311)は、少なくとも、開閉体20の閉鎖時に断面略U字状に弾性変形する戸尻側第1変形部32a及び戸尻側第2変形部32bの形成領域を含む弾性変形部310の内面に設けられているため、弾性変形部310が閉鎖する開閉体20により押圧されると、変形促進部(凹凸部311)の設けられた部位の弾性変形が促進される(断面略U字状に変形することが促進される)。
【0052】
したがって、止水部材30(戸尻側止水部材32)は、開閉体20の閉鎖位置(図6の位置B4)において、戸尻側枠材12における嵌合凹部12bの端縁12b1と開閉体20における表面板26との間の隙間、及び戸尻側枠材12における対向面部12aと開閉体20における戸尻側端部20bとの間の隙間に、それぞれ断面略U字状に弾性変形した戸尻側第1変形部32a及び戸尻側第2変形部32bを形成し、それらの隙間を効果的に密封し、止水することができる。
【0053】
より具体的には、断面略U字状をなす戸尻側第1変形部32aは、戸尻側枠材12における嵌合凹部12bの端縁12b1と開閉体20における表面板26の戸尻側の面との間の隙間に沿って見付け方向(開口幅方向)における中央側に延び、その頂部は、少なくとも嵌合凹部12bの端縁12b1の位置には達し、好ましくは、嵌合凹部12bの端縁12b1の位置を超えた位置にまで達するように配置され、確実に止水することができる。
また、戸尻側第2変形部32bは、戸尻側枠材12における対向面部12aと開閉体20における戸尻側端部20bの面との間の隙間に沿って見込み方向における屋外側に延びて断面略U字状に配置されることとなり、確実に止水することができる。
【0054】
(上側枠材及び下側枠材と、開閉体20の隙間における止水の態様)
上側枠材13と開閉体20の隙間における止水の態様、及び下側枠材14と開閉体20の隙間における止水の態様についても、上述した戸先側枠材11及び戸尻側枠材12と開閉体20の隙間における止水の態様と同様に、上側第1変形部33a、上側第2変形部33b、下側第1変形部34a、及び下側第2変形部34bが形成されて(図3参照)、確実に止水することができる。
【0055】
次に、本発明に係る止水部材の変形例について説明する。
図7及び図8に示す止水部材30’,30’’は、図4に示す止水部材30の弾性変形部310の構成を変更したものであるため、主にその変更部分について説明し、上記止水部材30と同一となる構成には同一の符号を付けて重複する説明を省略する。
【0056】
[変形例1]
図7には、本発明に係る止水部材の他の例(変形例1)の概要を示す断面図が示されている。図7に示す止水部材30’は、図4に示す止水部材30の弾性変形部310を、弾性変形部320に変形して構成したものである。なお、図7に示す二点鎖線は、止水部材30’を、図5に示す戸先側枠材11に設置した場合の例として示しているが、他の枠材12,13,14に設置する場合も同様である。
【0057】
この弾性変形部320には、開閉体20の閉鎖時に断面略U字状に弾性変形する各第1変形部31a,32a,33a,34aの頂部領域から外方に突出する突出片部320aが設けられている。突出片部320aは、その断面形状が連続する真直で長尺な部材として弾性変形部320の外表面に一体として形成される。
この突出片部320aを含む弾性変形部320は、弾性変形部310と同様に、枠体所定の弾性を有する弾性部材であり、例えば、独立気泡型の樹脂(止水ゴム)材や気泡を有しない柔らかめの樹脂等を用いて構成される。
【0058】
この変形例1の止水部材30’も、上述した止水部材30と同様の作用効果を有する。特に、この止水部材30’には、弾性変形部320に突出片部320aが設けられていることから、この突出片部320aが閉鎖方向に回動する開閉体20に押圧されることとなり、弾性変形部320をより確実に所期の形状である断面略U字状に変形させることができる。
【0059】
また、各枠材11,12,13,14における嵌合凹部11b,12b,13b,14bの端縁11b1,12b1,13b1,14b1は、板状部材の曲げ加工により形成された頂部をなすため、止水のための各第1変形部31a,32a,33a,34aとの接触面積(密着させる面積)が狭く制限されるが、この止水部材30’には、各第1変形部31a,32a,33a,34aの頂部領域から外方に突出する突出片部320aが設けられているため、各枠材11,12,13,14における嵌合凹部11b,12b,13b,14bの端縁11b1,12b1,13b1,14b1と開閉体20との間の隙間は、断面略U字状に弾性変形する各第1変形部31a,32a,33a,34a及び突出片部320aによって塞がれることとなり、より効果的に密封し、止水することができる。
【0060】
なお、上記変形例1は、突出片部320aを各第1変形部31a,32a,33a,34aの頂部領域から外方に突出するように形成したが、例えば、各第2変形部31b,32b,33b,34bの頂部領域から外方に突出するように形成することも、あるいは、各第1変形部31a,32a,33a,34aの頂部領域及び各第2変形部31b,32b,33b,34bの頂部領域から外方に突出するように形成してもよい。
【0061】
突出片部320aを各第2変形部31b,32b,33b,34bの頂部領域から外方に突出するように形成すれば、突出片部320aは枠体10の見込み方向に延びて配置されることになる。したがって、開閉体20と枠体10の隙間に浸入した水によって、見込み方向(図2図3の左右方向)に過度な水圧が作用した場合であっても、この隙間は、断面略U字状に弾性変形する各第2変形部31b,32b,33b,34b及び突出片部320aによって塞がれることとなり、より効果的に密封し、止水することができる。
【0062】
[変形例2]
図8には、本発明に係る止水部材の他の例(変形例2)の概要を示す断面図が示されている。なお、図8に示す二点鎖線は、止水部材30’’を、図5に示す戸先側枠材11に設置した場合の例として示しているが、他の枠材12,13,14に設置する場合も同様である。
【0063】
図8に示す止水部材30’’は、図4に示す止水部材30の弾性変形部310を、弾性変形部330に変形して構成したものである。この弾性変形部330は、図8の(i)から(ii)までの領域である第1の領域330aと、図8の(ii)から(iii)までの領域である第2の領域330bとを有する。
第1の領域330aは、その断面形状が略円環状の一部をなすように形成され、また、第2の領域330bは、その断面形状が略くの字状をなし、外方に突出するように形成されている。
【0064】
各枠材11,12,13,14の嵌合凹部11b,12b,13b,14bに止水部材30’’を装着する場合には、図8に示すように、第2の領域330bが、嵌合凹部11b,12b,13b,14bの端縁11b1,12b1,13b1,14b1側に突出するように配置される。
【0065】
この変形例2の止水部材30’’も、上述した止水部材30と同様の作用効果を有する。特に、弾性変形部330の第2の領域330bは、嵌合凹部11b,12b,13b,14bの端縁11b1,12b1,13b1,14b1側に突出するように配置されていることから、この第2の領域330bが閉鎖方向に回動する開閉体20に押圧されることとなり、弾性変形部330をより確実に所期の形状である断面略U字状に変形させることができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係る開閉体の止水構造は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態によれば、開閉体の止水構造として方開き式の止水構造1として構成したが、他の例としては、図9に示すように、第1開閉体200及び第2開閉体210を有する両開き式の開閉体の止水構造100として構成することも可能である。なお、図中、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0068】
[実施形態2]
図9は、本発明に係る開閉体の止水構造の第2の実施形態(実施形態2)を示す横断面図である。この実施形態2は、両開き式の止水構造100として構成されており、第1開閉体200及び第2開閉体210と、その第1開閉体200及び第2開閉体210をヒンジ28,28などで支持する正面視矩形枠状の枠体110とからなる。
【0069】
この両開き式の止水構造100は、実施形態1における片開き式の止水構造1の構成と同様に、枠体110に、第1開閉体200及び第2開閉体210の内面の外周部と対向する部分に嵌合凹部111が設けられる。この嵌合凹部111には、枠体110に対応した正面視矩形枠状に形成された止水部材30Aが嵌合固定され、第1開閉体200及び第2開閉体210と、枠体110の間の隙間を止水する。
この止水部材30Aの構成は、実施形態1の止水部材30と同様の構成であり、また、枠体110と第1開閉体200との間、枠体110と第2開閉体210との間の止水の態様についても、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0070】
また、この実施形態2の止水構造100では、第1開閉体200と第2開閉体210の合わせ部にも、実施形態1の止水部材30と同様の止水部材30Bが設けられる。
この例では、第2開閉体210の側に嵌合凹部211を設け、この嵌合凹部211に止水部材30Bを設けている。この止水部材30Bは、上下方向へ連続する長尺状に形成され、全閉時の開閉体200と開閉体210の間の隙間に圧接されて実施形態1と同様に弾性変形することで止水する。
【0071】
具体的には、止水部材30Bは、第2開閉体210を閉め、さらに第1開閉体200を閉めた際に弾性変形し、第1開閉体200と第2開閉体210との間の隙間を密封し、止水する。この止水の態様は、実施形態1と同様である。
このように、両開き式の止水構造においても、止水部材により外部からの浸水を防止することができる。
【0072】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
構造物の開口に設けられる枠体と、前記枠体の前記開口を開閉する開閉体と、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体との間に介在する止水部材と、を備え、前記止水部材は、中空状の弾性変形可能な弾性変形部を有し、前記弾性変形部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体と前記開閉体に当接して断面形状略U字状に弾性変形する第1変形部及び第2変形部を有し、前記第1変形部は、前記枠体と、前記開閉体における内表面との間の隙間を塞ぎ、前記第2変形部は、前記枠体と、前記開閉体における前記内表面と直交する端面との間の隙間を塞ぐことを特徴とする開閉体の止水構造(図1~9参照)。
(2)
前記止水部材は、前記枠体に形成された嵌合凹部内に収容される基部と、この基部に連接される前記弾性変形部とを一体に備え、前記弾性変形部は、前記第1変形部及び前記第2変形部の弾性変形を促進するための変形促進部が設けられることを特徴とする(1)記載の開閉体の止水構造(図4図7図8参照)。
(3)
前記変形促進部は、前記弾性変形部の内面に形成された凹凸部からなり、前記凹凸部は、前記弾性変形部における前記第1変形部及び前記第2変形部の内面に設けられることを特徴とする(2)記載の開閉体の止水構造(図4図7~8参照)。
(4)
前記弾性変形部の最外幅W1と前記嵌合凹部の内面間の幅W2とは、1.3W2≧W1≧1.1W2に設定されることを特徴とする(2)又は(3)記載の開閉体の止水構造(図2~4参照)。
(5)
前記第1変形部の先端をなす頂部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、少なくとも前記枠体に形成された前記嵌合凹部の端縁の位置に達することを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の開閉体の止水構造(図2~3、図5~6、図9参照)。
(6)
前記第1変形部の先端をなす頂部は、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で、前記枠体に形成された前記嵌合凹部の端縁の位置を超えた位置に達することを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の開閉体の止水構造(図2~3、図5~6、図9参照)。
(7)
前記弾性変形部には、前記開閉体が前記開口を閉鎖する閉鎖位置で前記第1変形部の頂部から外方に突出する突出片部が設けられていることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の開閉体の止水構造(図7参照)。
(8)
前記弾性変形部は、その断面形状が略円環状の一部をなすように形成された第1の領域と、その断面形状が略くの字状をなし、外方に突出するように形成された第2の領域とを有することを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の開閉体の止水構造(図8参照)。
【符号の説明】
【0073】
1、100:開閉体の止水構造
10、110:枠体
20、200、210:開閉体
30、30’、 30’’、30A、30B:止水部材
300:基部
310、320、330:弾性変形部
31a、32a、33a、34a:第1変形部
31b、32b、33b、34b:第2変形部
311:凹凸部(変形促進部)
320a:突出片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9