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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041256
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240319BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145962
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】田中 百合香
(72)【発明者】
【氏名】藪内 昂平
(72)【発明者】
【氏名】勝又 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC642
4C083AD331
4C083AD332
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】
【課題】皮膚への刺激性がなく、触感及び吸着性に優れる化粧料を提供することができる。
【解決手段】化粧料は、ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体を含有する。前記ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体が、一般式(I)で表される繰り返し単位を有してもよい。前記一般式(I)中のRがコレステリル基であってもよい。化粧料は、生理活性成分を更に含有してもよい。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体を含有する、化粧料。
【請求項2】
前記ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載の化粧料。
【化1】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-6アルキル、ホルミル及びC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択され;
Zは、直接結合、又は2個以上30個以下の任意のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーを表し;
は、以下の式:
-NR-R、
-NR-COO-R、
-NR-CO-R、
-NR-CO-NR-R、
-COO-R、
-O-COO-R、
-S-R、
-CO-Y-S-R、
-O-CO-Y-S-R、
-NR-CO-Y-S-R、及び
-S-S-R、
で表される基からなる群より選択される基であり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、ここで当該基のアルキル部分は、-O-及び-NR-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-12アルキル、アミノC2-12アルキル及びヒドロキシC2-12アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
Rは、ステリル基であり;
Yは、C2-30アルキレン、又は-(CHCHO)-CHCH-であり、ここで、当該アルキレンは、-O-、-NR-及び-S-S-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、C1-5アルキレンであり;
は、C2-8アルキレン又はC2-8アルケニレンであり;
mは、1以上100以下の整数である。)
【請求項3】
前記Rがコレステリル基である、請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
生理活性成分を更に含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は生体由来の高分子物質であり、生体適合性が高いことから、医薬品、化粧品、食品用途等、各種分野で応用されている。特にヒアルロン酸の高い保湿性、触感の良さは、化粧品用途に適した成分として幅広い製品に用いられている。
【0003】
化粧品用途により適したヒアルロン酸として、例えば、特許文献1には、従来のヒアルロン酸よりも、曳糸性の点で大幅に改善され、かつ高度の皮膚柔軟化効果を発揮する高機能なヒアルロン酸誘導体が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-071602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、最近では、消費者の高機能品及び高級品志向に伴い、様々な生理活性成分が開発されているが、一部の生理活性成分は製品中での安定性が悪く分解したり、水への溶解性が悪く高温での加熱が必要であることや、配合量が増やせない等の問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、皮膚への刺激性がなく、触感及び吸着性に優れる化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体を含有する、化粧料。
(2) 前記ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する、(1)に記載の化粧料。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-6アルキル、ホルミル及びC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択され;
Zは、直接結合、又は2個以上30個以下の任意のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーを表し;
は、以下の式:
-NR-R、
-NR-COO-R、
-NR-CO-R、
-NR-CO-NR-R、
-COO-R、
-O-COO-R、
-S-R、
-CO-Y-S-R、
-O-CO-Y-S-R、
-NR-CO-Y-S-R、及び
-S-S-R、
で表される基からなる群より選択される基であり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、ここで当該基のアルキル部分は、-O-及び-NR-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-12アルキル、アミノC2-12アルキル及びヒドロキシC2-12アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
Rは、ステリル基であり;
Yは、C2-30アルキレン、又は-(CHCHO)-CHCH-であり、ここで、当該アルキレンは、-O-、-NR-及び-S-S-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、C1-5アルキレンであり;
は、C2-8アルキレン又はC2-8アルケニレンであり;
mは、1以上100以下の整数である。)
【0010】
(3) 前記Rがコレステリル基である、(2)に記載の化粧料。
(4) 生理活性成分を更に含有する、(1)~(3)のいずれか一つに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0011】
上記態様の化粧料によれば、皮膚への刺激性がなく、触感及び吸着性に優れる化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0013】
以下、本明細書において使用される用語を説明する。
【0014】
本明細書において使用される「C1-20アルキル」という用語は、炭素数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル等の「C1-4アルキル」が含まれ、さらに、n-ペンチル、3-メチルブチル、2-メチルブチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3-エチルブチル、2-エチルブチル等が含まれる。C1-20アルキルには、炭素数が1以上12以下のC1-12アルキル、炭素数が1以上6以下のC1-6アルキル基も含まれる。
【0015】
本明細書において使用される「C1-6アルキルカルボニル」という用語は、アルキル部分が既に言及したC1-6アルキルであるアルキルカルボニル基を意味し、例えば、アセチル、プロピオニル、n-プロピルカルボニル、iso-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、iso-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル等の「C1-4アルキルカルボニル」が含まれる。
【0016】
本明細書において使用される「アミノC2-20アルキル」という用語は、置換基としてアミノ基を有する炭素数2以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルを意味し、例えば、アミノ基はアルキル基の末端の炭素原子上に位置していてもよい。アミノC2-20アルキルには、炭素数が2以上12以下のアミノC2-12アルキルも含まれる。
【0017】
本明細書において使用される「ヒドロキシC2-20アルキル」という用語は、置換基としてヒドロキシ基を有する炭素数2以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシ基はアルキル基の末端の炭素原子上に位置していてもよい。ヒドロキシC2-20アルキルには、炭素数が2以上12以下のヒドロキシC2-12アルキルも含まれる。
【0018】
本明細書において使用される「C2-30アルキレン」という用語は、炭素数2以上30以下の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基を意味し、例えば、エチレン、プロピレン等を含み、炭素数が2以上20以下のC2-20アルキレン、炭素数が2以上8以下のC2-8アルキレン、基「-(CH-」(ここで、nは2以上30以下であり、2以上20以下が好ましく、2以上15以下がより好ましい。)を含む。
【0019】
本明細書において使用される「C1-5アルキレン」という用語は、炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン等を含む。
【0020】
本明細書で言及する用語「C2-8アルケニレン」とは、炭素数2以上8以下の直鎖状又は分岐鎖状の、1以上の二重結合を含む、2価の飽和炭化水素基を意味し、例えば、-CH=CH-、-C(CH)=CH-、2-ブテン-1,4-ジイル、ヘプタ-2,4-ジエン-1,6-ジイル、オクタ-2,4,6-トリエン-1,8-ジイル等を含む。幾何異性が存在する場合は、それぞれの異性体及びそれらの混合物も含まれる。
【0021】
≪化粧料≫
本実施形態の化粧料は、ステリル基を導入したヒアルロン酸誘導体(以下、単に「ヒアルロン酸誘導体」と称する場合がある)を含有する。
【0022】
本実施形態の化粧料は、ヒアルロン酸誘導体の側鎖に導入されているステリル基により皮膚との親和性が向上されている。そのため、本実施形態の化粧料を皮膚に塗布した際に、皮膚表面への吸着性を高めることができる。すなわち、本実施形態の化粧料は、通常のヒアルロン酸と比較して肌浸透性の改善が期待される。また、本実施形態の化粧料は、後述する実施例に示すように、肌の美白、保湿及び抗酸化の効果を高める可能性が期待できる。
【0023】
本実施形態の化粧料において、ヒアルロン酸誘導体は生理活性成分と複合体を形成することができる。それにより、水に対して難溶性の生理活性成分を高濃度で簡便に化粧料中に配合させることができる。また、化粧料中での生理活性成分の活性安定性を維持し、本実施形態の化粧料を皮膚に塗布した際に、生理活性物質を徐々に放出させることができる。さらに、生理活性成分の経皮吸収性を向上する効果が期待され、生理活性成分の種類により、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患の改善やニキビの改善、毛穴を小さくする効果、保湿による皺の改善等が期待される。
【0024】
本実施形態の化粧料は、特にその形態は限定されず、例えば、ジェル、美容液、化粧水、乳液、洗顔料、パック等のスキンケア化粧料;口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、サンスクリーン等のメーキャップ化粧料;口腔化粧料、芳香化粧料、毛髪化粧料、ボディ化粧料等、従来化粧料に用いるものであればいずれの形態でも広く適用可能である。ただし、ミノキシジルを用いた発毛剤、育毛剤は除くことが望ましい。
【0025】
次いで、本実施形態の化粧料に含まれる構成成分について以下に詳細を説明する。
【0026】
<ヒアルロン酸誘導体>
ヒアルロン酸誘導体において、ステリル基は、ヒアルロン酸に対して直接的に結合していてもよく、リンカーを解して結合されていてもよい。
ここでいう「リンカー」とは、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカーを用いることができるが、本実施形態のヒアルロン酸誘導体においては、ペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、好ましい長さは2アミノ酸以上(上限は特に限定されないが、通常、30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下)であり、特に好ましくは15アミノ酸である。ヒアルロン酸誘導体に含まれるペプチドリンカーは、全て同じ長さのペプチドリンカーを用いてもよく、異なる長さのペプチドリンカーを用いてもよい。
【0027】
[ステリル基]
本明細書において使用される「ステリル基」という用語は、ステロイド骨格を有する基であれば特に制限されない。ここでステロイドとしては、具体的には、コレステロール、コレスタノール、カンペスタノール、エルゴスタノール、スチグマスタノール、コプロスタノール、スチグマステロール、シトステロール、ラノステロール、エルゴステロール、シミアレノール、胆汁酸、テストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、コルチゾール、コルチゾン、アルドステロン、コルチコステロン、デオキシコルチステロン等が挙げられる。ステリル基としては、コレステリル基、スチグマステリル基、ラノステリル基、エルゴステリル基等が挙げられ、中でも、コレステリル基(特に、コレスタ-5-エン-3β-イル基)が好ましい。
【0028】
[ステリル基導入率]
ヒアルロン酸誘導体に対するステリル基の導入率(以下、単に「ステリル基導入率」と称する場合がある)は1%以上60%未満であり、4%以上50%以下が好ましく、8%以上45%以下がより好ましい。ステリル基導入率が上記範囲内であることで、ステリル基による皮膚との親和性や吸着性の改善効果をより発現することができ、且つ、ヒアルロン酸誘導体が水中でより良好にナノ粒子を形成し分散するという性質を発現することができる。ステリル基導入率を制御することで、ヒアルロン酸誘導体は生理食塩濃度下で凝集・沈殿し、生理活性成分を長時間皮膚表面に存在させることができる。皮膚表面での滞留性の観点からは、ステリル基導入率は1%以上35%以下が好ましく、5%以上33%以下がより好ましく、6%以上22%以下がさらに好ましく、6%以上20%以下が特に好ましい。
【0029】
ステリル基導入率は、H-NMR測定により測定することができる。すなわち、ヒアルロン酸誘導体組成物のH-NMRスペクトルにおけるヒアルロン酸誘導体のステリル基に由来するピークの積分値と、ヒアルロン酸誘導体に含まれるN-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基に由来するピーク(COCH、1.6ppm以上2.0ppm以下、3H)の積分値と、を用いて、以下の式に基づいて計算することができる。なお、式中nはピークに対応する水素原子の数を表す。具体的には、例えば後述する実施例に記載した方法に従って測定することができる。
【0030】
[ステリル基導入率](%)
=[(ステリル基に由来するピーク積分値×3/n)/(N-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基に由来するピーク積分値)]×100
【0031】
[ヒアルロン酸誘導体の分子量]
ヒアルロン酸誘導体の分子量は特に限定はされないが、分子の絡み合いを高め、皮膚表面での滞留性を高める観点では、分子量の比較的大きいヒアルロン酸誘導体が好ましい。このようなヒアルロン酸誘導体の分子量としては、1k以上1000k以下が好ましく、5k以上500k以下がより好ましく、10k以上300k以下がさらに好ましい。ヒアルロン酸誘導体の分子量が上記下限値以上であることで、ヒアルロン酸誘導体1分子あたりのステリル基導入数が増え、生理活性成分との複合体をより形成しやすくなる。また、分子の絡み合いよりを高め、皮膚表面の滞留性をより高めることができる。一方、ヒアルロン酸誘導体の分子量が上記上限値以下であることで、粘度の上昇を抑制でき、より高濃度のヒアルロン酸誘導体を化粧料中に溶解させることができる。これにより、より曳糸性の低い優れた触感を化粧料に付与することができる。ヒアルロン酸誘導体の分子量は、一般的には、対応する分子量を有する原料を使用することにより調節することができる。
【0032】
ここでいう、「ヒアルロン酸誘導体の分子量」は、サイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱検出器(SEC-MALS)により決定された重量平均分子量である。具体的には、後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
【0033】
好ましいヒアルロン酸誘導体として具体的には、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I)」と称する場合がある)を1以上有するヒアルロン酸誘導体等が挙げられる。
【0034】
【化2】
【0035】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-6アルキル、ホルミル及びC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択され;
Zは、直接結合、又は2個以上30個以下の任意のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーを表し;
は、以下の式:
-NR-R、
-NR-COO-R、
-NR-CO-R、
-NR-CO-NR-R、
-COO-R、
-O-COO-R、
-S-R、
-CO-Y-S-R、
-O-CO-Y-S-R、
-NR-CO-Y-S-R、及び
-S-S-R、
で表される基からなる群より選択される基であり;
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、ここで当該基のアルキル部分は、-O-及び-NR-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-12アルキル、アミノC2-12アルキル及びヒドロキシC2-12アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
Rは、ステリル基であり;
Yは、C2-30アルキレン、又は-(CHCHO)-CHCH-であり、ここで、当該アルキレンは、-O-、-NR-及び-S-S-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、水素原子、C1-20アルキル、アミノC2-20アルキル及びヒドロキシC2-20アルキルからなる群より選択され、当該基のアルキル部分は-O-及び-NH-からなる群より選択される基が挿入されていてもよく;
は、C1-5アルキレンであり;
は、C2-8アルキレン又はC2-8アルケニレンであり;
mは、1以上100以下の整数である。)
【0036】
ヒアルロン酸誘導体は、下記一般式(Ia)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(Ia)」と称する場合がある)を、1以上有するヒアルロン酸誘導体を含むことが好ましい。
【0037】
【化3】
【0038】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C1-6アルキル、ホルミル及びC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択され;
Xは、-NR-Y-NR-COO-Rで表される疎水性基であり;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子及びC1-6アルキルからなる群より選択され;
Rは、ステリル基であり;
Yは、C2-30アルキレン、又は-(CHCHO)-CHCH-であり、
mは、1以上100以下の整数である。)
【0039】
ここで、ヒアルロン酸誘導体に繰り返し単位(I)又は繰り返し単位(Ia)がそれぞれ2以上含まれる場合に、当該繰り返し単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0040】
ヒアルロン酸誘導体は、繰り返し単位(I)又は繰り返し単位(Ia)以外の位置において、修飾されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基は-O(C1-6アルキル)、-O(ホルミル)、-O(C1-6アルキルカルボニル)等に変換されていてもよく、カルボキシ基は、アミド又はエステルに変換されていてもよく、塩を形成していてもよい。
【0041】
[繰り返し単位(I)]
一般式(I)中の基「-Z-N(R)Y-X」は、以下の式:
-NH-(CHmz-NH-R;
-NH-(CHmz-NH-COO-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-NH-COO-R;
-NH-(CHmz-COO-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-COO-R、
-NH-(CHmz-O-COO-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-O-COO-R、
-NH-(CHmz-S-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-S-R;
-NH-(CHmz-O-CO-CH(R)-CH-S-R;
-NH-(CHmz-NHCO-CH(R)-CH-S-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-NHCO-CH(R)-CH-S-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-O-CO-CH(R)-CH-S-R;
-NH-(CHmz-S-S-R;及び
-Z-NR-Y-NR-COO-R
(ここで、mzは、2以上30以下の整数であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、R及びmは、本明細書で既に定義したとおりである。)
で表される基からなる群より選択される基を含む。
当該基としては、
-NH-(CHmz-NH-COO-R;
-NH-(CHCHO)-CHCH-NH-COO-R;及び
-NH-(CHmz-S-S-R
(ここで、mz、R、及びmは、本明細書で既に定義したとおりである。)
からなる群より選択される基が好ましい。
【0042】
(Z)
一般式(I)において、Zは直接結合であることが好ましい。また、別の態様において、Zがペプチドリンカーである場合に、Xは-NR-COO-Rであることが好ましい。さらに、別の態様において、Zは、-NH-[CH(-Z)-CONH]n-1-CH(-Z)-CO-で表されるペプチドリンカーであってもよく、ここで、nは2以上30以下の整数であり、Zは、それぞれ独立に、HN-CH(-Z)-COOHとして表されるα-アミノ酸中の置換基を表す。当該ペプチドリンカーは、N末端にてグルクロン酸部分のカルボキシ基に結合し、C末端にて基-N(-R)-Y-Xに結合する。当該ペプチドリンカーのアミノ酸残基として利用できるアミノ酸の例としてはα-アミノ酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン(Gly)、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン(Leu)、リジン、メチオニン、フェニルアラニン(Phe)、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンといった天然型(L型)のアミノ酸、それらのD体等が挙げられ、合成されたアミノ酸を含む全てのα-アミノ酸を用いることができる。すなわち、Zとしては、例えば、-CH、HNC(NH)NH(CH-、HNCOCH-等が挙げられる。また、n個のZは、同一でも異なっていてもよい。nは、2以上30以下の整数であるが、2以上10以下が好ましく、2以上4以下がより好ましい。ペプチドリンカーの好ましい例としては、例えば、-Gly-Phe-Leu-Gly-、-Asn-Phe-Phe-、-Phe-Phe-、Phe-Gly-等が挙げられる。
【0043】
(Y)
一般式(I)において、Yは-(CHn1-及び-(CHCHO)m1-CHCH-(ここで、n1は、2以上20以下の整数であり、2以上15以下の整数が好ましく、2以上12以下の整数がより好ましく、2以上6以下の整数がさらに好ましい。m1は、1以上4以下の整数である)からなる群より選択される基が好ましい。具体的には、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH12-、又は、-(CHCHO)-CHCH-が好ましい。また、純水中乃至低塩濃度下では高い溶解性を実現させつつ、生理食塩濃度下では高い沈殿形成能を示させるという観点からは、Yは-(CH-、-(CH-、-(CH-及び-(CH12-からなる群より選択される基が好ましく、-(CH-がより好ましい。
【0044】
Yは、例えば、-CHCHO-CHCH-S-S-CHCHO-CHCH-、-(CHCHO)-CHCH-S-S-CHCHO-CHCH-、-CHCHO-CHCH-S-S-(CHCHO)-CHCH-、-(CHCHO)-CHCH-S-S-(CHCHO)-CHCH-等であってもよい。
【0045】
(Y
としては、-CH-又は-CH-CH-が好ましい。
【0046】
(Y
としては、-CH-CH-、-CH(CH)CH-、2-ブテン-1,4-ジイル、ヘプタ-2,4-ジエン-1,6-ジイル又はオクタ-2,4,6-トリエン-1,8-ジイルが好ましく、-CH-CH-又は-CH(CH)CH-がより好ましい。
【0047】
基「-Z-N(R)Y-X」の具体例としては、-NH-(CH-NH-CO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH-N(-(CH-NH)-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-N(-(CH-NH)-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-N(-(CH-NH-(CH-NH)-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-N(-(CH-NH)-CO-NH-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-N(-(CH-NH)-CO-コレステリル、-NH-(CH-NH-(CH-N(-(CH-NH)-コレステリル等が挙げられる。好ましい基「-Z-N(R)Y-X」としては、R、R及びRが、水素原子であり、Yが、直鎖状のC2-30アルキレン又は-(CHCHO)-CHCH-であり、Yが、直鎖状のC1-5アルキレンであるか、又はYが、直鎖状のC2-8アルキレン若しくは直鎖状のC2-8アルケニレンである。
【0048】
[繰り返し単位(Ia)]
一般式(Ia)において、Xは、-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH12-NH-COO-コレステリル又は-NH-(CHCHO)-CHCH-NH-COO-コレステリルが好ましく、-NH-(CH-NH-COO-コレステリル、-NH-(CH-NH-COO-コレステリル又は-NH-(CHCHO)-CHCH-NH-COO-コレステリルがより好ましい。
【0049】
ヒアルロン酸誘導体は、繰り返し単位(I)に加えて、一般式(II)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(II)」と称する場合がある)を更に含むことができる。
【0050】
【化4】
【0051】
(式中、R1a、R2a、R3a、及びR4aは、それぞれ独立に、水素原子、C1-6アルキル、ホルミル及びC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択され;
は、ヒドロキシ及び-O-Qからなる群より選択され;ここで、Qは、カウンターカチオンである。)
【0052】
ここで、ヒアルロン酸誘導体に繰り返し単位(II)が2以上含まれる場合に、当該繰り返し単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。
別の態様において、ヒアルロン酸誘導体は、繰り返し単位(I)、繰り返し単位(Ia)及び繰り返し単位(II)から実質的になるヒアルロン酸誘導体であってもよい。
【0053】
[繰り返し単位(II)]
一般式(II)において、Qはカルボキシ基と水中で塩を形成するカウンターカチオンであれば特に限定されず、2価以上の場合は価数に応じて複数のカルボキシ基と塩を形成する。カウンターカチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の金属イオン;式:N(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子及びC1-6アルキルからなる群より選択される)で表されるアンモニウムイオン等が挙げられる。中でも、Qは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はテトラアルキルアンモニウムイオン(例えば、テトラn-ブチルアンモニウムイオン等)が好ましい。R、R、R及びRは、C1-6アルキルからなる群より選択される同一の基であることが好ましく、n-ブチル基が好ましい。
【0054】
、R、R、及びR、並びにR1a、R2a、R3a、及びR4aは、全て水素原子であることが好ましい。また、R及びRは、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0055】
中でも、ヒアルロン酸誘導体は、繰り返し単位(I)及び繰り返し単位(II)から実質的になるヒアルロン酸誘導体であることが好ましい。ヒアルロン酸誘導体は、当該誘導体に含まれるD-グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンとから成る二糖の繰り返し単位のうちの、例えば80%以上が、好ましくは90%以上が、より好ましくは95%以上が繰り返し単位(I)及び繰り返し単位(II)である。ヒアルロン酸誘導体は、繰り返し単位(I)及び繰り返し単位(II)のみから構成されていてもよい。
【0056】
ヒアルロン酸誘導体は、水溶液中においてナノサイズの微粒子ゲルを形成することができる。水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度の下限値としては、0.1mg/mLであることが好ましく、1mg/mLであることがより好ましい。一方、水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度の上限値としては、100mg/mLであることが好ましく、50mg/mLであることがより好ましく、20mg/mLであることがさらに好ましい。
すなわち、水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度としては、0.1mg/mL以上100mg/mL以下であることが好ましく、1mg/mL以上50mg/mL以下であることがより好ましく、1mg/mL以上20mg/mL以下であることがさらに好ましい。
水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度が上記下限値以上であり、且つ、上記下限値付近の濃度であることで、より希薄な溶液とすることができ、ヒアルロン酸誘導体からなる微粒子ゲル同士がより会合しにくく、より低粘度でより軽い使用感となり、化粧料に適した触感を付与することができる。一方、水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度が上記上限値以下であり、且つ、上記上限値付近の濃度であることで、ヒアルロン酸誘導体からなる微粒子ゲル同士が適度に会合して、よりとろみのあるリッチな使用感となり、化粧料に適した触感を付与できる。すなわち、水溶液中のヒアルロン酸誘導体の濃度が上記数値範囲内であることで、ヒアルロン酸誘導体や生理活性成分の凝集や沈殿を防ぎながら、目的に応じた所望の触感を有する化粧料が得られる。
【0057】
<生理活性成分>
本実施形態の化粧料は、生理活性成分を更に含有することができる。
【0058】
生理活性成分の種類としては、特に限定されないが、例えば、老化防止剤、ひきしめ剤、抗炎症剤、美白剤、保湿剤、血行促進剤、ビタミン類、アミノ酸、ペプチド、セラミド類、創傷治癒促進剤、紫外線防御剤、刺激緩和剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。
【0059】
本実施形態の化粧料は、ヒアルロン酸誘導体と生理活性成分とが複合体を形成することで、化粧料中での生理活性成分の活性安定性を維持し、本実施形態の化粧料を皮膚に塗布した際に生理活性成分を徐々に放出させることができる。さらに、ヒアルロン酸誘導体と水に対して難溶性の生理活性成分を複合化させることで、水に対して難溶性の生理活性成分を高濃度で簡便に化粧料中に配合させることができる。すなわち、本実施形態の化粧料においては、水に対して難溶性の生理活性成分を好ましく配合させることができる。
【0060】
抗炎症剤としては、例えば、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0061】
美白剤としては、例えば、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、リン酸L-アスコルビルナトリウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、イソステアリルアスコルビルリン酸2ナトリウム、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸、エラグ酸、4-n-ブチルレゾルシン、リノール酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アデノシン一リン酸二ナトリウム、5,5’-ジプロピルビフェニル-2,2′-ジオール、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール、ナイアシンアミド、トラネキサム酸セチル塩酸塩、デクスパンテノールW、プラセンタエキス、ヒノキチオール等が挙げられる。
【0062】
保湿剤としては、例えば、エストラジオール、エテニルエストラジオールなどのホルモン、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等が挙げられる。
【0063】
血行促進剤としては、例えば、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマーオリザノール、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル、γ-オリザノール等が挙げられる。
【0064】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC配糖体、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等が挙げられる。
【0065】
アミノ酸としては、例えば、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0066】
セラミド類としては、例えば、スフィンゴ脂質、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド、糖セラミド含有エキス等が挙げられる。
【0067】
創傷治癒促進剤としては、例えば、レチノール、レチノール誘導体等が挙げられる。
【0068】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2,4-ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン、4-イソプロピル ジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、並びに、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられる。また、有機系紫外線防御剤がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。
【0069】
細胞賦活剤としては、例えば、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸等が挙げられる。
【0070】
その他にも、例えば、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;l-メントール、カンフル等の清涼剤;ユビキノン、アスタキサンチン、リコピン等のカロテノイド;カンゾウ抽出物、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、モノニトログアヤコール、レゾルシン、L-メチルセリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ酪酸-β-ヒドロキシ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコルチゾン、ハッカ油等を生理活性成分として配合することができる。
【0071】
生理活性成分としては、植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分等の天然系成分を配合することもできる。天然系成分としては、例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等が挙げられる。
【0072】
また、生理活性成分としては、例えば、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子を配合することもできる。
【0073】
生理活性成分の含有量としては、その種類や求められる化粧料としての効果を奏する有効量に応じて当業者が適宜選択することができる。本実施形態の化粧料は、ヒアルロン酸誘導体と生理活性成分が複合体を形成することで、例えば、0.01mg/mL以上1g/mL以下程度の生理活性成分を化粧料中に配合することができる。
【0074】
<その他添加剤>
本実施形態の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品への使用が可能な添加剤を更に含有することができる。添加剤としては、通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール;各種抽出液;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤;油分;保湿剤、酸化防止剤、酸化防止助剤;緩衝剤;防腐剤又は抗菌剤;有機系粉末;顔料、染料又は色素;香料;キレート剤;pH調整剤;増粘剤又はゲル化剤等が挙げられる。
【0075】
高級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0076】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、マルチトール、ソルビット液、ペンチレングリコール等が挙げられる。
【0077】
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアリールエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、オレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアミド硫酸及びその塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等のアシルエステル硫酸及びその塩;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ミリスチルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸及びその塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩;ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン重縮合物等のホルマリン縮合系スルホン酸及びその塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸2ナトリウム等のスルホコハク酸及びその塩;ドデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸カリウム、デトラデセンスルホン酸カリウム等のα-オレフィンスルホン酸及びその塩;α-スルホラウリン酸メチルエステル、α-スルホミリスチン酸メチルエステル、α-スルホラウリン酸(EO)nメチルエステル等のα-スルホ脂肪酸エステル及びその塩;ヤシ油脂肪酸アシル-Nメチルタウリンカリウム、ラウロイル-Nメチルタウリンナトリウム、ラウロイル-Nメチルタウリンカリウム、ラウロイル-Nメチルタウリントリエタノールアミン、ミリストイル-Nメチルタウリンナトリウム、ミリストイル-Nメチルタウリントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシル-Nメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル-Nメチルタウリントリエタノールアミン等のN-アシルメチル-タウリン及びその塩;ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ミリストイルイセチオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸ナトリウム等のアシルイセチオン酸及びその塩;アルキルスルホ酢酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルリン酸カリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸及びその塩;アルキルアリールエーテルリン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等の脂肪酸アミドエーテルリン酸及びその塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸リン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸カリウム、ラウリルリン酸トリエタノールアミン、オレイルリン酸ジエタノールアミン等のアルキルリン酸及びその塩;N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸カリウム、N-ミリストイルグルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、N-ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N-ミリストイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイルグリシンナトリウム、N-ミリストイルグリシントリエタノールアミン、N-ラウロイル-β-アラニンカリウム、N-ラウロイルスレオニントリエタノールアミン、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニントリエタノールアミン等のN-アシルアミノ酸及びその塩;ラウロイルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸ジナトリウム、パーム核脂肪酸イミノジ酢酸ナトリウム等のアシルイミノジ酢酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル酢酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリグリセリルラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のエーテルカルボン酸及びその塩;ヤシ油脂肪酸シルクペプチド等のアシル化ペプチド;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテルカルボン酸トリエタノールアミン等のアミドエーテルカルボン酸及びその塩;アシル乳酸塩;アルケニルコハク酸及びその塩等が挙げられる。
【0078】
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアン酢酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ココアンホジ酢酸ジナトリウム、ヘプタデシルヒドロキシエチルカルボキシラートメチルイミダゾリニウムクロリド/ヘプタデシルビスヒドロキシエチルイミダドリニウム、パーム核脂肪酸アミドエチルヒドロキシエチルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヒドロキシアルキル(C12、14)ヒドロキシエチルアラニン、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム等のイミダゾリン型;ラウリルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、パーム核脂肪アミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、(カプリル/カプラミド)プロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型;ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等のアミドスルホベタイン型;ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、オレアミンオキシド、PEG-3ラウラミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウラミンオキシド、ステアラミンオキシド、ミリスタミンオキシド、ラウラミドプロピルアミンオキシド等のアミンオキシド型等が挙げられる。
【0079】
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、レシチン;高分子乳化剤;グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類;モノオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類;ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類;モノステアリン酸エチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド等が挙げられる。
【0080】
油分としては、特に限定されないが、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
【0081】
また、他にも、油分としては、例えば、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等のグリセライド油;ジメチルポリシロキサン、ビフェニルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、アルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0082】
酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体;BHT、BHA;没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体;ビタミンC(アスコルビン酸)及び/又はその誘導体;エリソルビン酸及びその誘導体;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩;メタ亜硫酸水素塩;チオタウリン、ヒポタウリン;チオグリセロール、チオ尿素、チオグリコール酸、システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0083】
防腐剤又は抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン(ヒドロキシ安息香酸エステル)類;フェノキシエタノール;1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の1,2-アルカンジオール類;2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(エチルヘキシルグリセリン)等のアルキルグリセリルエーテル類;サリチル酸;安息香酸ナトリウム;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸及びその塩;フェノール類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール;フェノール、イソプロピルフェノール、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム等のその他フェノール類;フェニルエチルアルコール、感光素類、抗菌性ゼオライト、銀イオン等が挙げられる。
【0084】
顔料、染料又は色素としては、特に限定されないが、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、赤色102号、赤色104-1号、赤色105-1号、赤色106号、赤色2号、赤色3号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230-1号、赤色230-2号、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、黄色201号、黄色202-1号、黄色202-2号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403-1号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、黄色5号等の法定色素;Acid Red 14等のその他酸性染料;Arianor Sienna Brown、Arianor Madder Red、Arianor Steel Blue、Arianor Straw Yellow等の塩基染料;HC Yellow 2、HC Yellow 5、HC Red 3、4-hydoxypropylamino-3-nitrophenol、N,N’-bis(2-hydroxyethyl)-2-nitro-p-phenylenediamine、HC Blue 2、Basic Blue 26等のニトロ染料;分散染料;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、金等の金属粉末顔料;アスタキサンチン、アリザリン等のアントラキノン類、アントシアニジン、β-カロチン、カテナール、カプサンチン、カルコン、カルサミン、クエルセチン、クロシン、クロロフィル、クルクミン、コチニール、シコニン等のナフトキノン類、ビキシン、フラボン類、ベタシアニジン、ヘナ、ヘモグロビン、リコピン、リボフラビン、ルチン等の天然色素及び染料;p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、o-,m-,若しくはp-アミノフェノール、m-フェニレンジアミン、5-アミノ-2-メチルフェノール、レゾルシン、1-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン等及びその塩等の酸化染料中間体及びカップラー;インドリン等の自動酸化型染料;ジヒドロキシアセトン等が挙げられる。また、表面処理された顔料、染料又は色素を用いることも可能である。
【0085】
香料としては、特に限定されないが、例えば、アセチルセドレン、アミルシンナムアルデヒド、アリルアミルグリコレート、β-イオノン、イソイースーパー、イソブチルキノリン、イリス油、イロン、インドール、イランイラン油、ウンデカナール、ウンデセナール、γ-ウンデカラクトン、エストラゴール、オイゲノール、オークモス、オポポナックスレジノイド、オレンジ油、オイゲノール、オーランチオール、ガラクソリッド、カルバクロール、L-カルボン、カンファー、キャノン、キャロットシード油、クローブ油、ケイヒ酸メチル、ゲラニオール、ゲラニルニトリル、酢酸イソボルニル、酢酸ゲラニル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸スチラリル、酢酸セドリル、酢酸テレピネル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸ベチベリル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ベンジル、サンダルウッド油、サンタロール、シクラメンアルデヒド、シクロペンタデカノリド、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロミルセノール、ジャスミンアブソリュート、ジャスミンラクトン、cis-ジャスモン、シトラール、シトロネノール、シトロネラール、シナモンバーク油、1,8-シネオール、シンナムアルデヒド、スチラックスレジノイド、セダーウッド油、セドレン、セドロール、セロリシード油、タイム油、ダマスコン、ダマセノン、チモール、チュベローズアブソリュート、デカナール、デカラクトン、テルピネオール、γ-テルピネン、トリプラール、ネロール、ノナナール、2,6-ノナジエノール、ノナラクトン、パチョリアルコール、バニラアブソリュート、バニリン、バジル油、パチョリ油、ヒドロキシシトロネラール、α-ピネン、ピペリトン、フェネチルアルコール、フェニルアセトアルデヒド、プチグレン油、ヘキシルシンナムアルデヒド、cis-3-ヘキセノール、ペルーバルサム、ベチバー油、ベチベロール、ペパーミント油、ペパー油、ヘリオトロピン、ベルガモット油、ベンジルベンゾエート、ボルネオール、ミルレジノイド、ムスクケトン、メチルノニルアセトアルデヒド、γ-メチルヨノン、メントール、L-メントール、L-メントン、ユーカリ油、β-ヨノン、ライム油、ラベンダー油、D-リモネン、リナロール、リラール、リリアール、レモン油、ローズアブソリュート、ローズオキシド、ローズ油、ローズマリー油、各種精油等の合成香料及び天然香料並びに各種調合香料等が挙げられる。
【0086】
キレート剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等のエデト酸及びその塩(エチレンジアミン四酢酸及びその塩);HEDTA3Na等のヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);フィチン酸;エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩等の塩類;シュウ酸ナトリウム;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸等のポリポリアミノ酸類;ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸;クエン酸ナトリウム、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸等が挙げられる
【0087】
pH調整剤(酸及びアルカリ)としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3ープロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3ープロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
【0088】
増粘剤又はゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、ペクチン酸、ペクチン酸ナトリウム等のペクチン酸塩、マンナン;コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等のデンプン;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム等の塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース;可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプン等のデンプン系高分子、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム等のデンプン誘導体;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル等アルギン酸誘導体;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルメチルエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体;(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー等の両性メタクリル酸エステル共重合体;(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP;ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体;ビニルピロリドン・メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合体;アクリル樹脂アルカノールアミン;ポリエステル、水分散性ポリエステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸エチル等のポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びそのナトリウム塩等の塩、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体;アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;ポリクオタニウム-10等のカチオン化セルロース、ポリクオタニウム-7等のジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ポリクオタニウム-22等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ポリクオタニウム-39等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、ポリクオタニウム-47等のアクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体;カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン化多糖類;ポリエチレンイミン;カチオンポリマー;ポリクオタニウム-51等の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体及びメタクリル酸ブチル共重合体等との共重合体;アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ラテックス等の高分子エマルジョン;ニトロセルロース;ポリウレタン類及び各種共重合体;各種シリコーン類;アクリル-シリコーングラフト共重合体等のシリコーン系各種共重合体;各種フッ素系高分子;12-ヒドロキシステアリン酸及びその塩;パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;無水ケイ酸、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、金属石鹸、ジアルキルリン酸金属塩、ベントナイト、ヘクトライト、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0089】
<化粧料の製造方法>
本実施形態の化粧料は、ヒアルロン酸誘導体を水又は水系溶媒に溶解させることで製造することができる。また、ヒアルロン酸誘導体の水溶液に、上述した生理活性成分や添加剤(以下、単に「その他成分」と称する場合がある)を添加してもよく、ヒアルロン酸誘導体及びその他成分をそれぞれ同時に添加してもよく、或いは、ヒアルロン酸誘導体を水又は水系溶媒に溶解させて得られた水溶液に、その他成分又は予め溶媒に溶解させたその他成分の溶液を添加してもよい。中でも、水に対して難溶性の成分を配合する場合、難溶性成分を溶解する溶媒としては、難溶性成分の種類に応じて、化粧料に使用可能な溶媒を適宜選択することができる。
【0090】
まず、ヒアルロン酸誘導体の製造方法としては、例えば、グルクロン酸のカルボキシ基をアミドに変換し、ステリル基を導入することで、ヒアルロン酸誘導体が得られる。また、原料のヒアルロン酸又はその誘導体に対して、反応させるステリル基を有する化合物の配合量を調整することで、ステリル基導入率1%以上60%未満とすることができる。
【0091】
グルクロン酸のカルボキシ基をアミドに変換して、ステリル基を導入する方法として具体的には、例えば、原料のヒアルロン酸又はその誘導体、好ましくは、繰り返し単位(II)のみから構成されるヒアルロン酸又はその誘導体を、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム(TBA)塩)にイオン交換し、適当な縮合剤存在下、溶媒中で当該ヒアルロン酸塩と、式:「HNR-Y-NR-R、NHR-Y-NR-COO-R、HNR-Y-NR-COO-R、HNR-Y-NR-CO-R、HNR-Y-NR-CO-NR-R、HNR-Y-COO-R、HNR-Y-O-COO-R、HNR-Y-S-R、HNR-Y-CO-Y-S-R、HNR-Y-O-CO-Y-S-R、HNR-Y-NR-CO-Y-S-R、HNR-Y-S-S-R、又は-Z-NR-Y-NR-COO-R(式中、R、R、R、Y、Y、Y、Z及びRは本明細書で既に定義したとおりである)」で表されるステリル基(特に、コレステリル基)を導入したアミンと、を反応させる方法が挙げられる。
【0092】
上記の反応において使用することができる縮合剤は特に限定されず、例えば、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン)-4-メチルモルホリウム(DMT-MM)、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、2-ベンゾトリアゾール-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム4フッ化ホウ酸塩(TBTU)、3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HODhbt)、ベンゾトリアゾール-1-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム6フッ化リン酸塩(PyBOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)等が挙げられる。
【0093】
特に、限定はされないが、DMT-MMは水及び有機溶媒の混合溶媒中でも反応が高効率に進む点において好ましい。また、DMT-MMを縮合剤として使用することにより、多数のヒドロキシが共存する系において、エステル結合形成を抑えつつ、高選択的にアミノ基とカルボキシ基によるアミド結合形成を行うことができる。この縮合剤の使用により、例えば、溶媒であるアルコールがヒアルロン酸部分のカルボキシ基と反応することや、ヒアルロン酸部分に同時に存在するカルボキシ基とヒドロキシとが、分子内又は分子間で結合して、望まない架橋を形成してしまうことを防ぐことができる。
【0094】
ステリル基導入反応において用いる溶媒としては、水、DMSO、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、多価アルコール、アセトニトリル、DMF、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。多価アルコールとしては、上記その他添加剤において例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0095】
或いは、原料のヒアルロン酸又はその誘導体を、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム(TBA)塩)にイオン交換し、適当な縮合剤存在下、溶媒中で当該ヒアルロン酸塩とスペーサー部分を反応させ(この際、必要に応じて保護及び脱保護反応を行ってもよい)、原料のヒアルロン酸又はその誘導体のカルボキシ基(-COOH)を変換し、その後に適当な試薬と反応させてもよい。カルボキシ基から誘導される基と、反応試薬の組み合わせの例を以下に示す。
-CONR-Y-NRH + Hal-R;
-CONR-Y-NRH + Hal-COOR;
-CONR-Y-NRH + HOCO-R;
-CONR-Y-NRH + Hal-CO-R;
-CONR-Y-NR-COOH + HNR-R;
-CONR-Y-NR-CO-NRH + Hal-R;
-CONR-Y-NRH + HOCO-NR-R;
-CONR-Y-NRH + Hal-CO-NR-R;
-CONR-Y-COOH + HO-R;
-CONR-Y-OH + Hal-COO-R;
-CONR-Y-OCOOH + HO-R;
-CONR-Y-OCOOH + Hal-R;
-CONR-Y-OCO-Hal + HO-R;
-CONR-Y-SH + Hal-R;
-CONR-Y-Hal + HS-R;
-CONR-Y-CO-Y-Hal + HS-R;
-CONR-Y-CO-Y-SH + Hal-R;
-CONR-Y-O-CO-CH=CH + HS-R;
-CONR-Y-NR-CO-CH(CH)=CH + HS-R;
-CONR-Y-SH + HS-R;
-COZ-OH + HNR-Y-NR-COO-R;
-COZ-NR-Y-NRH + Hal-COO-R
(式中、R、R、R、Y、Y、Y、及びZは本明細書で既に定義したとおりであり、Halは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲン原子を表す)。
【0096】
反応様式としては、脱ハロゲン化水素反応、縮合反応、脱水反応、マイケル付加等の求核付加反応、酸化的なジスルフィド形成反応等が挙げられ、これらは周知な反応であり、当業者が適宜選択し、好ましい反応条件を見出して行うことができる。変換体又は反応物がカルボキシ基を有する場合は、N-ヒドロキシコハク酸イミド(以下、「NHS」とも称す)エステルとし、反応させてもよい。
【0097】
また、原料のヒアルロン酸又はその誘導体のカルボキシ基に、2-アミノエチル2-ピリジルジスルフィドを反応させて、末端に脱離基で修飾されたメルカプト基を有するスペーサーが導入されたヒアルロン酸誘導体を調製し、これにチオコレステロールを求核置換反応させてジスルフィド結合を形成する方法が挙げられる。
【0098】
さらに、ヒアルロン酸又はその誘導体のカルボキシ基にスペーサーの一部を導入したものと、ステリル基にスペーサーの一部を導入したものを調製し、これらを反応させる方法も挙げられる。具体例の一部は上述したが、さらに、Yに-S-S-が挿入されている場合は、ヒアルロン酸のカルボキシ基に、末端にメルカプト基を有するスペーサーが導入されたヒアルロン酸誘導体と、末端にメルカプト基を有するスペーサーが導入されたステリル基をそれぞれ調製し、これらを酸化的に反応させてジスルフィド結合を形成させる方法も挙げられる。このとき、一方のメルカプト基を2-メルカプトピリジンと反応させてジスルフィドとした後に、他方のメルカプト基と置換させることもできる。
【0099】
また、本発明のヒアルロン酸誘導体を調製後、さらに他の置換基を導入してもよい。例えば、繰り返し単位(I)、及び繰り返し単位(II)から実質的になるヒアルロン酸誘導体におけるカルボキシ基の0.1%以上99.5%以下、好ましくは40%以上65%以下を、-CO-X、[ここで、Xは、以下の基:
-NH-(CHp1-O-CO-C(R17)=CH
-NH-(CHp1-O-CO-CH(R17)-CH-S-CH-CH(OH)-CH(OH)-CH-SH;
-NH-(CHp1-SH;
-NH-(CHp1-NH-CO-C(R17)=CH
-NH-(CHp1-NH-C(=NH)-(CH-SH;
-NH-(CHp1-NH-CO-(CH-SH;
-NH-(CHp1-NH-CO-CH(R17)-CH-S-CH-CH(OH)-CH(OH)-CH-SH;
-NH-(CHp1-NH-CO-CH(NH)-CH-SH;
-NH-(CHp1-NH-CO-CH(NH)-(CH-SH;
-NH-NH-CO-(CH-CO-NH-NH-C(=NH)-(CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-O-CO-C(R17)=CH
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-O-CO-CH(R17)-CH-S-CH-CH(OH)-CH(OH)-CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-CO-C(R17)=CH
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-C(=NH)-(CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-CO-(CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-CO-CH(R17)-CH-S-CH-CH(OH)-CH(OH)-CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-CO-CH(NH)-CH-SH;
-NH-(CH-CH-O)-CH-CH-NH-CO-CH(NH)-(CH-SH;
-NH-CH(COH)-(CH)-SH;
-NH-CH(COH)-(CH-SH;及び
-NH-CH(COH)-(CH-CONH-CH(CONH-CH-COH)-CH-SH
(ここで、R17は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、p1は2以上10以下の整数、qは1以上200以下の整数、rは1以上3以下の整数を、それぞれ表す)からなる群より選択される]
に変換することで、分子内或いは他分子を含めた分子間で架橋させてゲル化することもできる。
【0100】
次いで、上述した方法を用いて得られたヒアルロン酸誘導体を水又は水系溶媒に添加することで、化粧料を作製することができる。
或いは、上述した方法を用いて得られたヒアルロン酸誘導体を水又は水系溶媒に添加して水溶液とした後に、当該ヒアルロン酸誘導体水溶液に、その他成分又は予め溶媒に溶解したその他成分を添加することで、化粧料を作製することができる。
【実施例0101】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を実施例に制限することを意図したものではない。
【0102】
<物性の測定方法>
[物性1]
(ヒアルロン酸誘導体の分子量)
ヒアルロン酸誘導体の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱検出器(SEC-MALS)により決定された重量平均分子量である。
ヒアルロン酸誘導体の分子量の測定方法として具体的には、まず、ヒアルロン酸誘導体(20mg)を超純水(10mL)に溶解して室温で12時間以上撹拌し、ヒアルロン酸誘導体水溶液(2mg/mL)を得た。このヒアルロン酸誘導体水溶液(750μL)に対して300mM ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)水溶液(750μL)加えて振とう機を用いて10秒間混合し、37℃にて1時間インキュベートした。そして、得られた試料をSEC-MALS測定に供して重量平均分子量を決定した。SEC-MALS測定の条件を以下に示す。
【0103】
(測定条件)
カラム:TSKgel GMPWXL(東ソー株式会社製)2本
カラム温度:30℃
溶離液:10mM HP-β-CD入りリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)
流速:1mL/分
注入量:200μL
【0104】
[物性2]
(ステリル基導入率)
ヒアルロン酸誘導体のステリル基導入率は、H-NMR測定により決定した。まず、ジメチルスルホキシド-d(99.9v/v%、0.05v/v%のトリメチルシリル(TMS)含有、富士フィルム和光製)と20%重塩酸(99.5v/v%、富士フィルム和光製)とを質量比99:1にて混合し、測定溶媒を調製した。続いて、この測定溶媒(0.6mL)にヒアルロン酸誘導体組成物(2mg)を添加し、超音波バスにて30分間処理して完全に溶解させてH-NMR測定に供した。H-NMR測定は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT-NMR装置)(ECS400、日本電子製)を用いてサンプル温度85℃にて実施した。ステリル基導入率は、N-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基由来のピーク(COCH、1.6ppm以上2.0ppm以下、3H)の積分値と、コレステリル基中のメチル基由来のピーク(CH、0.7ppm、3H)の積分値より、以下に示す式を用いてヒアルロン酸ユニットに対するコレステリル基の導入率を算出した。なお、N-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基由来のピークが含まれる1.6ppm以上2.0ppm以下付近のピークにはコレステリル基由来のピーク(5H)が重なっているため、1.6ppm以上2.0ppm以下付近のピークの積分値からコレステリル基メチル由来のピーク(0.7ppm)の積分値を5/3倍したものを差し引いて算出した値(即ち、積分値(1.6ppm以上2.0ppm以下)-積分値(0.7ppm)×5/3)をN-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基由来のピークの積分値として、ステリル基導入率の計算に使用した。
【0105】
[ステリル基導入率(%)]
=[(コレステリル基中のメチル基由来のピーク積分値)/(N-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基由来のピーク積分値)]×100
=[積分値(0.7ppm)/{積分値(1.6ppm以上2.0ppm以下)-積分値(0.7ppm)×5/3}]×100
【0106】
<ヒアルロン酸誘導体の製造>
[製造例1]
(ヒアルロン酸誘導体HA-a1の製造)
ヒアルロン酸誘導体を次の工程1~工程3に従って調製した。
【0107】
1.工程1
(コレステリル 6-アミノヘキシルカーバメート塩酸塩の合成)
コレステリル 6-アミノヘキシルカーバメート塩酸塩(Chol塩酸塩)を次に示す工程1-1、続いて工程1-2に従って合成した。
【0108】
(1)工程1-1
コレステリルクロロホルメート(3.37g、7.5mmol)の無水ジクロロメタン(20mL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(TEA、1.05mL)を加えて撹拌した。氷冷下で、6-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-1-アミノヘキサン(1.12mL、5mmol)を滴下して加え、そのまま氷冷下で30分間攪拌後、室温まで昇温し、当該混合物を一晩撹拌した。反応混合物を、超純水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:n-ヘキサン=1:4)で精製し、目的物のフラクションを合わせて溶媒を減圧下留去した。
【0109】
(2)工程1-2
得られた残渣を酢酸エチル(40mL)に溶解し、4N塩酸/酢酸エチル溶液(40mL)を加えて室温で一晩撹拌した。生じた沈殿物を遠心分離により回収した。得られた固体を酢酸エチルにて4回洗浄後、減圧下で乾燥し、コレステリル 6-アミノヘキシルカーバメート塩酸塩(Chol塩酸塩)1.2gを得た。
【0110】
2.工程2
(ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム(TBA)塩の調製)
ヒアルロン酸のTBA塩(HA-TBA)を次に示す工程2-1、続いて工程2-2に従って調製した。
【0111】
(1)工程2-1
DOWEX(登録商標)50WX-8-400(アルドリッチ社製)を超純水に懸濁させ、デカンテーションにより樹脂を超純水で3回程度洗浄した。40wt%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TBA-OH)(アルドリッチ社製)を樹脂のカチオン交換能に対し約1.5倍モル等量加え、30分間撹拌した。余剰のTBA-OH溶液をデカンテーションにより除去した後、さらに過剰の超純水で洗浄することで、TBA塩化したカチオン交換樹脂を得た。
【0112】
(2)工程2-2
分子量53,000(53kDa)の原料ヒアルロン酸ナトリウム塩(HA-Na)を15mg/mLの濃度で超純水に溶解した。「(1)工程2-1」でTBA塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液をHAユニット(ユニット分子量401.3)のモル数に対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間撹拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、ヒアルロン酸のTBA塩(HA-TBA)を白色固体として得た。
【0113】
3.工程3
「2.(2)工程2-2」で調製したHA-TBAの無水DMSO溶液(10mg/mL)を調製した。その後、「1.工程1」で合成したHA-TBA中に存在する二糖繰り返し単位(HAユニット)に対するChol塩酸塩の添加量がモル比で18/100となるように添加した。次に、HAユニットに対する4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)の添加量がモル比で23/100となるように加え、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、0.3M 酢酸アンモニア/DMSO溶液、0.15M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア7、分画分子量(MWCO):2,000)した。得られた透析液を凍結乾燥して目的物(HA-C-Chol)を白色固体として得た。生成物のH-NMRスペクトルにおいて、N-アセチル-D-グルコサミンのアセチル基由来のピーク(COCH、1.6ppm以上2.0ppm以下、3H)、コレステリル基中のメチル基由来のピーク(CH、0.7ppm、3H)が確認され、コレステロール導入率は15%であった。
【0114】
[製造例2]
(ヒアルロン酸誘導体HA-a2の製造)
分子量が10,000(10kDa)であるヒアルロン酸を用いて、HA-TBA中に存在する二糖繰り返し単位(HAユニット)に対するChol塩酸塩の添加量がモル比で9/100となるように添加し、さらに、HAユニットに対する4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)の添加量がモル比で11/100となるように加えた以外は、製造例1と同様の方法を用いて、ヒアルロン酸誘導体HA-a2を製造した。コレステロール導入率は8%であった。
【0115】
[製造例3]
(ヒアルロン酸誘導体HA-a3の製造)
分子量が10,000(10kDa)であるヒアルロン酸を用いて、HA-TBA中に存在する二糖繰り返し単位(HAユニット)に対するChol塩酸塩の添加量がモル比で42/100となるように添加し、さらに、HAユニットに対する4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)の添加量がモル比で54/100となるように加えた以外は、製造例1と同様の方法を用いて、ヒアルロン酸誘導体HA-a3を製造した。コレステロール導入率は40%であった。
【0116】
[製造例4]
(ヒアルロン酸誘導体HA-a4の製造)
分子量が90,000(90kDa)であるヒアルロン酸を用いて、HA-TBA中に存在する二糖繰り返し単位(HAユニット)に対するChol塩酸塩の添加量がモル比で9/100となるように添加し、さらに、HAユニットに対する4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)の添加量がモル比で13/100となるように加えた以外は、製造例1と同様の方法を用いて、ヒアルロン酸誘導体HA-a4を製造した。コレステロール導入率は8%であった。
【0117】
[実施例1]
(化粧料の皮膚刺激性試験)
1.化粧料A-a1~A-a5の調製
製造例1で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a1を10mg/mLの濃度となるように水に溶解させて、化粧料A-a1を得た。
製造例1で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a1を20mg/mLの濃度となるように水に溶解させて、化粧料A-a2を得た。
製造例2で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a2を50mg/mLの濃度となるように水に溶解させて、化粧料A-a3を得た。
製造例3で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a3を50mg/mLの濃度となるように水に溶解させて、化粧料A-a4を得た。
製造例4で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a4を10mg/mLの濃度となるように水に溶解させて、化粧料A-a5を得た。
【0118】
2.化粧料A-a1、A-a3及びA-a4の皮膚刺激性試験
本試験は、OECD Guidelines for the Testing ofChemicals Test No.439及びEuropean Center for the Validation of Alternative Methods(ECVAM)にて公開されているプロトコールであるSKINETHIC SKIN IRRITATION TEST-42bis TEST METHOD FOR THE PREDICTION OF ACUTE SKIN IRRITATION OF CHEMICALS:42 MINUTES APPLICATION +42 HOURS POST-INCUBATION-Standard Operating Procedure(SOP)に準じて実施された。皮膚一次刺激性評価の原理は、MTT法による皮膚モデルの細胞生存率(MTT viability(%))を指標とした。
【0119】
具体的には、まずSkinEthicTM-RHEを増殖培地にて24時間インキュベートし、維持培地に移した。化粧料A-a1、A-a3及びA-a4は表皮側から16μLを暴露し、上からナイロン膜(φ=7.5mm)を適用した。なお陰性コントロールとしてPBS(-)、刺激性コントロールとして5%SDS水溶液を用いた。試験試料を42分間暴露した後、速やかに試験試料を洗浄操作により皮膚モデルを1.0mg/mLのMTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiozolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide)を含有する維持培地に移し、3時間培養した。その後、皮膚モデルをイソプロパノールに2時間浸漬することによりブルーホルマザンを抽出し、抽出液の570nmにおける吸収光をマイクロプレートリーダーにて測定した。
【0120】
MTT viability(%)は、陰性コントロールを暴露した皮膚モデルの吸光度に対する百分率で表した。試験成立の判定基準及び試験試料の皮膚一次刺激性(R38、Risk Phrase38)判定基準は表1及び表2にそれぞれ示す。なお、表1中において、「N.C.」は陰性コントロールを意味し、PBS(-)を示す。「P.C.」は陽性(刺激性)コントロールを意味し、5v/v%SDS水溶液を示す。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
得られた陰性コントロール及び刺激性コントロールの結果が表1に示した試験成立判定基準を全て満たしていたことから、本試験は適正に行われたと判断した。MTT試験による細胞生存率の結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】
表3に示すように、表2の判定基準から、いずれの化粧料も無刺激性であると判定された。
【0126】
3.化粧料A-a2~A-a4のパッチテスト
20歳から60歳までの男女の被験者20名につき、24時間閉塞ヒトパッチテストを行った。具体的には、パッチテストユニット(Finn Chambers on Scanpor tape(フィンチャンバー:直径8mm))に、15μLの化粧料A-a2~A-a4をチャンバー上のろ紙に塗布し、被験者の背部に24時間閉塞貼布した。なお、陰性コントロールとして生理食塩液、注射用水及び白色ワセリンを使用した。貼布24時間後にパッチテストユニットを除去し、除去2時間後及び除去24時間後に判定し撮影した。
【0127】
パッチテストユニット除去2時間後及び除去24時間後の判定において、反応の強い評点を総和し被験者数で除した値を百分率で皮膚刺激指数とした。
【0128】
(皮膚刺激指数) = (評点総和)/(被験者数)×100
【0129】
パッチテストの判定基準及び香粧品の皮膚刺激指数による分類(1995年度)を表4及び表5にそれぞれ示す。また、試験の判定結果及び分類結果を表6に示す。なお、表6において、生理食塩液、注射用水及び白色ワセリンはいずれも陰性コントロールである。
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
表6に示すように、陰性コントロールの皮膚刺激指数は全て0.0であった。また、化粧料A-a2の皮膚刺激指数は2.5、化粧料A-a3及びA-a4の皮膚刺激指数は0.0であった。これらのことから、全ての試験試料は安全品と分類された。
【0134】
[実施例2]
(化粧料A-a1、A-a3及びA-a5の官能試験)
化粧料A-a1、A-a3及びA-a5を手の甲に塗布し、使用感を評価した。その結果、いずれの化粧料も適度な粘性を有するが、曳糸性はなく、非常に肌馴染みがよく、肌への吸着性に優れていた。
【0135】
[実施例3]
(化粧料C-a1の製造)
製造例3で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a3を10mg/mLの濃度となるように水に溶解させた。セラミドTIC-001(セラミド2、高砂香料工業株式会社)を10mg/mLの濃度となるようにTHFに溶解させた。ヒアルロン酸誘導体HA-a3の水溶液とセラミドTIC-001溶液を100:1(v/v)の割合で混合することで、ヒアルロン酸誘導体とセラミドの複合体を含む化粧料C-a1を得た。化粧料C-a1は、9.9mg/mLのヒアルロン酸誘導体、0.099mg/mLのセラミド及び0.99%THFを含んでいた。
【0136】
[比較例1]
(化粧料C-b1の製造)
セラミドTIC-001(セラミド2、高砂香料工業株式会社)を10mg/mLの濃度となるようにTHFに溶解させた。水とセラミドTIC-001溶液を100:1(v/v)の割合で混合することで、化粧料C-b1を得た。化粧料C-b1は、0.099mg/mLのセラミド及び0.99%THFを含んでいた。
【0137】
[試験例1]
(外観評価)
実施例1及び比較例1で得られた化粧料について、製造後に外観を観察し、以下の基準に従い評価した。
【0138】
(評価基準)
○(良好):沈殿や浮遊物がない、均一な外観。
×(不良):沈殿や浮遊物がある、不均一な外観。
【0139】
化粧料C-a1(実施例3)では、均一な白濁状態を呈し、外観は良好であった。
一方で、化粧料C-b1(比較例1)では、粒状の不溶物が観察され、見た目に不均一な外観を呈しており、外観は不良であった。
【0140】
[実施例4]
(DNAマイクロアレイによる有用性評価)
1.有用性評価用の化粧料A-a6の調製
製造例2で得られたヒアルロン酸誘導体HA-a2を40μg/mLの濃度となるようにHuMedia KB2培地に溶解させ、φ0.45μmフィルター滅菌して、有用性評価用の化粧料A-a6を得た。
【0141】
2.化粧料A-a6のDNAマイクロアレイによる有用性評価
正常ヒト表皮細胞をHuMedia KB2培地を用いて、2.5×10cells/wellの細胞密度にて12穴プレートに播種した。24時間培養後、半分の細胞は培地を化粧料A-a6と交換した。ここで残り半分の化粧料A-a6と交換しない細胞はコントロールとした。さらに24時間培養し、リン酸緩衝生理食塩水にて洗浄した。その後、細胞をQIAzol(登録商標)reagentを用いて溶解した。溶解液からmiRNeasy(登録商標)Mini Kit(QIAGEN)を用いて精製したRNAを回収し、Clarion Sを用いたDNAマイクロアレイを実施した。得られた結果から皮膚関連の遺伝子群をピックアップした。各種遺伝子発現解析の結果は、コントロールの数値を1とした比で表した。Student t検定を行い、p値0.05未満を統計学的に有意差ありとした。
【0142】
化粧料A-a6のDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析結果より、皮膚に対して改善方向への変化で、且つ有意な発現変動を示した遺伝子をピックアップした結果を表7に示す。
【0143】
【表7】
【0144】
表7に示すように、化粧料A-a6は、フィラグリン合成に関わる遺伝子群をはじめとする、表皮の主要な分化マーカーである遺伝子群(FLG、BLMH、PADI3、TGM1、及びIVL)の増加傾向が確認された。このことから、化粧料A-a6は、表皮細胞の分化を促進し、皮膚を成熟化させる作用を有し、肌の保湿に寄与する効果が示唆された。
【0145】
化粧料A-a6は、かゆみ抑制に寄与するSEMA3Aを増加させ、美白関連因子の各遺伝子群PTGS2、PLA2G4A、及びEDN1の発現を顕著に抑制した。また、内在性抗酸化因子であるグルタチオン関連の遺伝子群GPX1、及びGSSの発現を増加させた。このことから、化粧料A-a6は、内在性の抗酸化能力を高め、かゆみを抑制し、色素沈着に関わる炎症反応を抑制することが示唆された。
【0146】
細胞外マトリックスに関わる作用としては、化粧料A-a6は、ヒアルロン酸生合成に関わる遺伝子群HAS2、及びHAS3の発現を増加させ、マトリックス分解酵素であるMMP群の遺伝子群MMP2、MMP3、及びMMP9の発現を減少させた。このことから、化粧料A-a6は、ヒアルロン酸合成による保湿とマトリックス分解を防ぐことで、アンチエイジングにつながる可能性が考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本実施形態の化粧料によれば、皮膚への刺激性がなく、触感及び吸着性に優れる化粧料を提供することができる。また、本実施形態の化粧料は、肌の美白、保湿及び抗酸化の効果の向上が期待できる。