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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041268
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】試験システム、試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/20 20060101AFI20240319BHJP
   G05B 23/02 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
E02B7/20 105
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145982
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 義和
【テーマコード(参考)】
2D019
3C223
【Fターム(参考)】
2D019AA43
3C223AA04
3C223BA01
3C223BB08
3C223DD01
3C223EA09
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】ダム管理システムの試験を効率的に実行することが可能な試験システム、試験装置および方法を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る試験システムは、ダム管理システムを試験する試験システムである。試験システムは、端末装置と、提示装置と、録画機器と、試験装置と、を備える。端末装置は、ダム管理システムに試験データを送信する。提示装置は、試験データに応じてダム管理システムから出力される各種通知を管理者に提示する。録画機器は、提示装置近辺に設置され、提示装置の様子を撮影する。試験装置は、端末装置および録画機器と通信可能に接続される。試験装置は、管理者の操作に応じて入力される試験データを端末装置に送信する。試験装置は、試験データが端末装置からダム管理システムに送信されるタイミングに基づいて、録画機器の動作を制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム管理システムを試験する試験システムであって、
前記ダム管理システムに試験データを送信する端末装置と、
前記試験データに応じて前記ダム管理システムから出力される各種通知を管理者に提示する提示装置と、
前記提示装置近辺に設置され、前記提示装置の様子を撮影可能な録画機器と、
前記端末装置および前記録画機器と通信可能に接続される試験装置と、を具備し、
前記試験装置は、
前記管理者の操作に応じて入力される前記試験データを前記端末装置に送信するデータ送信部と、
前記試験データが前記端末装置から前記ダム管理システムに送信されるタイミングに基づいて、前記録画機器の動作を制御する録画動作制御部と、
を備える試験システム。
【請求項2】
前記ダム管理システムは、ダムに設置されたゲートの動作を制御する放流操作装置を含み、
前記放流操作装置のディスプレイは、前記提示装置として機能し、
前記録画機器は、前記放流操作装置のディスプレイ近辺にも設置される、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記放流操作装置は、前記ダム管理システムからの出力として、前記試験データに応じた前記各種通知を、前記提示装置および前記放流操作装置のディスプレイに出力する、
請求項2に記載の試験システム。
【請求項4】
前記放流操作装置は、前記試験装置と通信可能に接続され、前記試験装置からの入力に応じて、前記試験データに応じた前記各種通知をリセットするためのボタンであって前記放流操作装置のディスプレイに表示されたボタンを押下する、
請求項3に記載の試験システム。
【請求項5】
前記試験装置は、
前記録画機器により録画された録画データであって、前記試験データが前記ダム管理システムによって受信された際の前記提示装置の様子を示す録画データを受信する録画データ受信部と、
前記受信された録画データを保存する録画データ保存部と、
前記保存された録画データを前記試験装置のディスプレイに表示出力する表示処理部と、をさらに備える、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項6】
前記試験データは、時系列に沿って変化する複数のデータを含み、
前記試験装置は、前記試験データに含まれるデータ毎に、前記録画機器により録画された録画データを保存する、
請求項5に記載の試験システム。
【請求項7】
前記試験装置は、
前記保存された録画データの変化量に基づき、前記提示装置の様子に変化がないことを検出し、この旨を前記試験装置のディスプレイに表示出力する、
請求項5に記載の試験システム。
【請求項8】
前記試験データは、前記各種通知の1つとして、前記ダム管理システムから出力される警報の発報条件に基づき設定される、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項9】
前記録画機器は、ビデオカメラである、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項10】
前記提示装置は、大型モニタ、警報表示盤、警報灯または電話応答通報装置である、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項11】
前記端末装置は、河川情報システムとして模擬的に動作可能な端末装置、テレメータ装置として模擬的に動作可能な端末装置、または、ダムに設置されたゲート盤あるいは貯水位計として模擬的に動作可能な端末装置である、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項12】
ダム管理システムに試験データを送信する端末装置と、前記試験データに応じて前記ダム管理システムから出力される各種通知を管理者に提示する提示装置近辺に設置され、前記提示装置の様子を撮影可能な録画機器と、に通信可能に接続される試験装置であって、
前記管理者の操作に応じて入力される前記試験データを前記端末装置に送信する送信部と、
前記試験データが前記端末装置から前記ダム管理システムに送信されるタイミングに基づいて、前記録画機器の動作を制御する制御部と、
を具備する試験装置。
【請求項13】
ダム管理システムに試験データを送信する端末装置と、前記試験データに応じて前記ダム管理システムから出力される各種通知を管理者に提示する提示装置近辺に設置され、前記提示装置の様子を撮影可能な録画機器と、に通信可能に接続される試験装置に適用される方法であって、
前記管理者の操作に応じて入力される前記試験データを前記端末装置に送信することと、
前記試験データが前記端末装置から前記ダム管理システムに送信されるタイミングに基づいて、前記録画機器の動作を制御することと、
を具備する試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試験システム、試験装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等に設けられるダムには、放流操作を管理するダム管理システム(ダム管理用制御処理設備、ダムコン)が設けられている。このようなダム管理システムの製造時に制御が正しく行われることを確認するための試験システムがある。
【0003】
上記した試験システムにおいては、ダムのゲート盤や貯水位計として模擬的に動作する試験システムの端末装置からダム管理システムに向けて各種信号が出力される。管理者は、上記した各種信号がダム管理システムに取り込まれた際のダム管理システムの各種装置の様子を確認し、ダム管理システムにおける制御が正しく行われているかどうかを確認する。
【0004】
ここで、ダム管理システムに取り込まれる信号には、例えば10分周期あるいは60分周期等、長い周期をもって取り込まれる信号がある。このような周期の信号がダム管理システムに取り込まれた際のダム管理システムの各種装置の様子の確認に失敗した場合(例えば、警報表示盤や警報灯の様子の確認に見落としや見誤りが発生した場合)、管理者は再度同様な試験を行う必要がある。以上のように、システム試験には多くの時間がかかり、試験期間中の管理者の行動を大幅に制限してしまうといった不都合がある。このため、ダム管理システムの試験を効率的に実行することが可能な技術の実現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-180494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ダム管理システムの試験を効率的に実行することが可能な試験システム、試験装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る試験システムは、ダム管理システムを試験する試験システムである。前記試験システムは、端末装置と、提示装置と、録画機器と、試験装置と、を具備する。前記端末装置は、前記ダム管理システムに試験データを送信する。前記提示装置は、前記試験データに応じて前記ダム管理システムから出力される各種通知を管理者に提示する。前記録画機器は、前記提示装置近辺に設置され、前記提示装置の様子を撮影する。前記試験装置は、前記端末装置および前記録画機器と通信可能に接続される。前記試験装置は、データ送信部および録画動作制御部を備える。前記データ送信部は、前記管理者の操作に応じて入力される前記試験データを前記端末装置に送信する。前記録画動作制御部は、前記試験データが前記端末装置から前記ダム管理システムに送信されるタイミングに基づいて、前記録画機器の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る試験システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態における試験システム用コンピュータの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、同実施形態における第1システム試験用の初期設定データのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、同実施形態における第2システム試験用の初期設定データのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、同実施形態における第3システム試験用の初期設定データのデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、同実施形態における第4システム試験用の初期設定データのデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、同実施形態における第1システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、同実施形態におけるボタン自動押下処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、同実施形態における第2システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、同実施形態における第3システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、同実施形態における第4システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、同実施形態における試験システム用コンピュータの画面例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る試験システム1の一例を示すブロック図である。試験システム1は、試験対象のダム管理システム2における制御が正しく行われているかどうかを確認するための試験システムである。
【0010】
試験システム1は、図1に示すように、大型モニタ3と、警報表示盤4と、警報灯5と、電話応答通報装置6と、河川情報システムを模した第1試験用コンピュータ7と、テレメータ装置を模した第2試験用コンピュータ8と、ダムのゲート盤および貯水位計を模したゲート試験装置9と、複数の録画機器10a~10eと、試験システム用コンピュータ100と、を備える。以下では、まず、試験対象のダム管理システム2側の構成について説明する。
【0011】
試験対象となるダム管理システム2(以下、ダムコン2と称する)は、情報入力・提供装置21と、表示制御装置22と、放流操作装置23と、入出力装置24と、遠方手動操作装置25と、光ケーブル接続盤26と、機側伝送装置27,28と、を備えたシステムである。各装置が情報系LANおよび制御系LANを介して接続されている。情報入力・提供装置21および表示制御装置22は、情報系LANに接続される。放流操作装置23は、情報系LANおよび制御系LANの両方に接続される。入出力装置24および遠方手動操作装置25は、制御系LANに接続される。
【0012】
情報入力・提供装置21は、ダムコン2に各種情報を入力・提供するために用いられる。情報入力・提供装置21は、例えば産業用コンピュータ(FA-PC: Factory Automation PC)として実現される。放流操作装置23もまた、例えばFA-PCを備えて構成される装置である。
表示制御装置22は、大型モニタ3に接続される。表示制御装置22は、各種情報を大型モニタ3に表示するための制御を行う。
【0013】
放流操作装置23は、管理者の操作に応じて、起動命令、ゲートの開放命令、閉鎖命令、あるいは目標開度等を、制御系LANを介して入出力装置24に与える装置である。
遠方手動操作装置25は、ダムの各種設備を遠隔から制御するための装置である。
【0014】
入出力装置24は、光ケーブル接続盤26に接続される。光ケーブル接続盤26は、機側伝送装置27,28に接続される。入出力装置24および遠方手動操作装置25は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)を備えて構成される。
【0015】
光ケーブ接続盤26は、LANインタフェースを光インタフェースに変換するために設けられ、入出力装置24と機側伝送装置27,28との間を接続する各種ケーブル(メタルケーブル、光ファイバ等)を収容する。
【0016】
機側伝送装置27,28は、ダムの堤体の近傍に設けられ、ダムの堤体等に設けられるゲートを制御する装置である。機側伝送装置27,28は、入出力装置24および遠方手動操作装置25と同様に、例えばPLCを備えて構成される。
【0017】
次に、試験システム1側の構成を説明する。
大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5および電話応答通報装置6は、ダムコン2に入力された信号に応じた表示や出力、ダムコン2により検知された異常に応じた警報表示や警報出力、等を行う。
【0018】
録画機器10a~10eは、映像と音声を録画可能ないわゆるビデオカメラである。
録画機器10aは、大型モニタ3近辺に設置され、大型モニタ3の様子を録画する。
録画機器10bは、警報表示盤4近辺に設置され、警報表示盤4の様子を録画する。
録画機器10cは、警報灯5近辺に設置され、警報灯5の様子を録画する。
録画機器10dは、電話応答通報装置6近辺に設置され、電話応答通報装置6の様子を録画する。
録画機器10eは、放流操作装置23が備えるディスプレイ近辺に設置され、放流操作装置23のディスプレイの様子を録画する。
なお、録画機器10a~10eは、ネットワークを介して、試験システム用コンピュータ100と通信可能に接続されている。なお、録画機器10a~10eと試験システム用コンピュータ100とは、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよい。
【0019】
第1試験用コンピュータ7は、ダムコン2に接続される河川情報システムを模擬的に動作することが可能なコンピュータである。河川情報システムは、各所に設置された水位局から観測データ(水位データ、流量データ)を収集・伝送するシステムであり、第1試験用コンピュータ7は、このような河川情報システムとして模擬的に動作する。
詳細については後述するが、試験システム用コンピュータ100は、第1試験用コンピュータ7と連動して第1システム試験を実行し(図7参照)、各所に設置された水位局により観測された水位データ(または流量データ)の変化に伴い、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23が正しく動作するかどうかを試験する。
【0020】
第2試験用コンピュータ8は、ダムコン2に接続されるテレメータ装置を模擬的に動作することが可能なコンピュータである。テレメータ装置は、各所に設置された雨量局・水位局から観測データ(雨量データ、水位データ)を収集・伝送する装置であり、第2試験用コンピュータ8は、このようなテレメータ装置として模擬的に動作する。
詳細については後述するが、試験システム用コンピュータ100は、第2試験用コンピュータ8と連動して第2システム試験を実行し(図9参照)、各所に設置された雨量局により観測された雨量データ(または水位データ)の変化に伴い、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23が正しく動作するかどうかを試験する。
【0021】
ゲート試験装置9は、ダムのゲートに設けられるゲート盤および貯水位計として模擬的に動作することが可能な装置である。ゲート盤は、監視対象の信号や異常信号を放流操作装置23に伝送する装置であり、ゲート試験装置9は、このようなゲート盤として模擬的に動作する。貯水位計は、ダムの貯水位を計測し当該貯水位を示す貯水位データを放流操作装置23に伝送する装置であり、ゲート試験装置9は、このような貯水位計としても模擬的に動作する。
詳細については後述するが、試験システム用コンピュータ100は、ゲート試験装置9と連動して第3システム試験を実行し(図10参照)、ダムコン2に監視対象の信号が入力された際に、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23が正しく動作するかどうかを試験する。また、試験システム用コンピュータ100は、ゲート試験装置9と連動して第4システム試験を実行し(図11参照)、貯水位計により観測された貯水位データの変化に伴い、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23が正しく動作するかどうかを試験する。
【0022】
試験システム用コンピュータ100は、上記したように、第1試験用コンピュータ7、第2試験用コンピュータ8およびゲート試験装置9と連動して、各種システム試験を実行する。試験システム用コンピュータ100は、各種システム試験が実行された際の各装置3~6,23の様子を録画した録画データを録画機器10a~10eより収集する。
管理者は、この録画データを用いて、ダムコン2による制御が正しく行われ、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23が正しく動作するかどうかを確認する。
【0023】
試験システム用コンピュータ100は、第1試験用コンピュータ7、第2試験用コンピュータ8およびゲート試験装置9のそれぞれと、ネットワークを介して通信可能に接続される。試験システム用コンピュータ100は、第1試験用コンピュータ7、第2試験用コンピュータ8およびゲート試験装置9のそれぞれに、各種初期設定データを送信する。
試験システム用コンピュータ100は、録画機器10a~10eのそれぞれと、ネットワークを介して通信可能に接続される。試験システム用コンピュータ100は、録画に関する各種命令を録画機器10a~10eに送信する。
試験システム用コンピュータ100は、放流操作装置23とネットワークを介して通信可能に接続される。試験システム用コンピュータ100は、放流操作装置23のディスプレイに表示されたGUI(Graphical User Interface)ボタンを当該放流操作装置23に押下させるための命令を送信する。
【0024】
なお、本明細書における、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23のディスプレイは、いずれもダムコン2から出力される各種通知(表示・出力)を管理者に提示する装置であるため、「提示装置」と称されてもよい。
また、本明細書における、第1試験用コンピュータ7、第2試験用コンピュータ8およびゲート試験装置9は、「端末装置」と称されてもよい。
さらに、本明細書における、試験システム用コンピュータ100は、「試験装置」と称されてもよい。
また、本明細書における、システム試験用の初期設定データおよび各装置7~9からダムコン2に向けて送信される各種データは、「試験データ」と称されてもよい。
【0025】
図2は、試験システム用コンピュータ100の構成例を示すブロック図である。
試験システム用コンピュータ100は、操作部101、表示部102および制御部103を備えている。
操作部101は、いわゆる入力インタフェースであり、例えばマウスやキーボード、タッチパネル等がこれに相当する。
表示部102は、いわゆるディスプレイ(例えば、液晶表示パネルディスプレイ等)であり、画像や映像を表示する。
【0026】
制御部103は、図2に示すように、初期設定受付部111、初期設定データ保存部112、送信命令処理部113、設定データ送信部114(データ送信部)、ボタン押下命令送信部115、ボタン押下通知受信部116、録画開始・終了命令送信部117(録画動作制御部)、録画データ受信部118、録画データ保存部119およびデータ表示処理部120(表示処理部)、等を含む。
【0027】
初期設定受付部111は、操作部101を介した管理者の操作に応じて、各種初期設定データの入力を受け付ける。入力を受け付けた各種初期設定データは、初期設定データ保存部112に保存される。
詳細については後述するが、各種初期設定データには、河川情報システムを模した第1試験用コンピュータ7を用いた第1システム試験に使用される初期設定データ、テレメータ装置を模した第2試験用コンピュータ8を用いた第2システム試験に使用される初期設定データ、ゲート盤を模したゲート試験装置9を用いた第3システム試験に使用される初期設定データ、貯水位計を模したゲート試験装置9を用いた第4システム試験に使用される初期設定データ、等が含まれる。
【0028】
送信命令処理部113は、設定データ送信部114、ボタン押下命令送信部115および録画開始・終了命令送信部117の動作を制御する。
【0029】
設定データ送信部114は、送信命令処理部113の制御の下、初期設定データ保存部112に保存される各種初期設定データや各種命令を、第1試験用コンピュータ7、第2試験用コンピュータ8およびゲート試験装置9に送信する。
【0030】
ボタン押下命令送信部115は、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23のディスプレイに表示される確認ボタンまたは復帰ボタンを当該放流操作装置23に押下させるためのボタン押下命令を送信する。
【0031】
ボタン押下確認部116は、上記した確認ボタンまたは復帰ボタンが押下された際に放流操作装置23より送信されるボタン押下通知を受信する。受信されたボタン押下通知は、送信命令処理部113に送られる。
【0032】
録画開始・終了命令送信部117は、送信命令処理部113の制御の下、複数の録画機器10a~10eに対して録画を開始させるための録画開始命令を送信する。また、録画開始・終了命令送信部117は、送信命令処理部113の制御の下、複数の録画機器10a~10eに対して録画を終了させるための録画終了命令を送信する。
【0033】
録画データ受信部118は、複数の録画機器10a~10eから送信される録画データを受信する。受信された録画データは、システム試験の内容(例えば、設定データ送信部114により送信された初期設定データの内容)に基づきリネームされた上で、録画データ保存部119に保存される。
【0034】
データ表示処理部120は、録画データ保存部119に保存された録画データを表示部102に表示出力する。
【0035】
図3は、河川情報システムを模した第1試験用コンピュータ7と連動して実行される第1システム試験用の初期設定データ(以下、河川情報システム設定データと称する)のデータ構造の一例を示す図である。
【0036】
河川情報システム設定データは、図3に示すように、第1システム試験の開始時刻を示す時刻情報を含む。図3に示す河川情報システム設定データよれば、第1システム試験の開始時刻が「時刻T0」であることが示される。
なお、開始時刻T0は、ダムコン2が河川情報システムから水位データを取得し始めるタイミング(時刻T1)よりも少し前の時刻(例えば、水位データを取り込む周期が1分周期の場合は十数秒前、10分あるいは1時間周期の場合は数分前等)に設定されることが望ましい。
【0037】
河川情報システム設定データは、時系列に沿って変化する複数のデータを含む。より詳しくは、河川情報システム設定データは、水位局情報と、水位データと、時刻情報(送信時刻)とが対応づけられた水位設定情報を含む。
【0038】
ここで、水位局情報は、各所に設置された水位局を識別するための情報である。水位データは、対応づけられた水位局情報により識別される水位局により観測された水位を示す。時刻情報は、対応づけられた水位データをダムコン2に送信する時刻(送信時刻)を示す。この送信時刻は、ダムコン2が河川情報システムから水位データを取得するタイミング(データ取り込みタイミング)に相当する。
【0039】
例えば、図3に示す水位設定情報Ia1によれば、「A水位局」により観測されたデータとして、「水位X1」を示す水位データが「時刻T1」にダムコン2に送信されることが示される。また、図3に示す水位設定情報Ia2によれば、「A水位局」により観測されたデータとして、「水位X2」を示す水位データが「時刻T2」にダムコン2に送信されることが示される。
ここでは一例として、水位設定情報Ia1,Ia2についてのみ具体的に説明したが、その他の水位設定情報Ia3,Ia4等も同様である。
【0040】
図4は、テレメータ装置を模した第2試験用コンピュータ8と連動して実行される第2システム試験用の初期設定データ(以下、テレメータ装置設定データと称する)のデータ構造の一例を示す図である。
【0041】
テレメータ装置設定データは、図4に示すように、第2システム試験の開始時刻を示す時刻情報を含む。図4に示すテレメータ装置設定データによれば、第2システム試験の開始時刻が「時刻T10」であることが示される。
【0042】
また、テレメータ装置設定データは、雨量局情報と、雨量データと、時刻情報(送信時刻)とが対応づけられた雨量設定情報を含む。
【0043】
ここで、雨量局情報は、各所に設置された雨量局を識別するための情報である。雨量データは、対応づけられた雨量局情報により識別される雨量局により観測された雨量を示す。時刻情報は、対応づけられた雨量データをダムコン2に送信する時刻(送信時刻)を示す。この送信時刻は、ダムコン2がテレメータ装置から雨量データを取得するタイミング(データ取り込みタイミング)に相当する。
【0044】
なお、雨量データは、1つの雨量局につき、10分雨量上限を示す雨量データと、30分雨量上限を示す雨量データと、60分雨量上限を示す雨量データと、累計雨量上限を示す雨量データと、時間雨量上限を示す雨量データと、を含んでいる。
但し、30分雨量上限は、10分雨量上限よりも大きく、10分雨量上限を2倍した値よりも小さな値に設定されることが望ましい。つまり、30分雨量上限は、「10分雨量上限<30分雨量上限<10分雨量上限×2」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。これによれば、30分雨量上限を示す雨量データがダムコン2に送信された際に、10分雨量上限に対応する警報と、30分雨量上限に対応する警報とが、各装置3~6,23から一度に出力されてしまい、どちらの雨量上限に対応する警報が出力されているのかが分からなくなるといった事態の発生を防ぐことができる。
【0045】
同様な理由により、60分雨量上限は、30分雨量上限よりも大きく、10分雨量上限を3倍した値よりも小さな値に設定されることが望ましい。つまり、60分雨量上限は、「30分雨量上限<60分雨量上限<10分雨量上限×3」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。
【0046】
また、累計雨量上限は、60分雨量上限よりも大きく、10分雨量上限を4倍した値よりも小さな値に設定されることが望ましい。つまり、累計雨量上限は、「60分雨量上限<累計雨量上限<10分雨量上限×4」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。
【0047】
さらに、時間雨量上限は、累計雨量上限よりも大きく、10分雨量上限を5倍した値よりも小さな値に設定されることが望ましい。つまり、時間雨量上限は、「累計雨量上限<時間雨量上限<10分雨量上限×5」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。
【0048】
例えば、図4に示す雨量設定情報Ib1によれば、「C雨量局」により観測されたデータとして、10分雨量上限に相当する「雨量Y1」を示す雨量データが「時刻T11」にダムコン2に送信されることが示される。また、図4に示す雨量設定情報Ib2によれば、「C雨量局」により観測されたデータとして、30分雨量上限に相当する「雨量Y2」を示す雨量データが「時刻T12」にダムコン2に送信されることが示される。ここでは一例として、雨量設定情報Ib1,Ib2についてのみ具体的に説明したが、その他の雨量設定情報Ib3~Ib6等も同様である。
【0049】
図5は、ダムのゲート盤を模したゲート試験装置9と連動して実行される第3システム試験用の初期設定データ(以下、対象信号一覧データと称する)のデータ構造の一例を示す図である。
【0050】
対象信号一覧データは、図5に示すように、監視対象の信号名をリスト形式で示す。例えば図5に示す対象信号一覧データによれば、監視対象の信号として、「自動」、「手動」、「動力電源」、「制御電源」、「機側」、等の信号があり、これら信号をダムコン2に順に送信する必要があることが示される。
【0051】
図6は、貯水位計を模したゲート試験装置9と連動して実行される第4システム試験用の初期設定データ(以下、貯水位計設定データと称する)のデータ構造の一例を示す図である。
【0052】
貯水位計設定データは、図6に示すように、貯水位計により観測される初期貯水位を示す初期値情報を含む。図6に示す貯水位計設定データによれば、初期貯水位が「Z0」であることが示される。また、貯水位計設定データは、図6に示すように、貯水位計により観測される貯水位に基づく警報出力条件の1つとして、下降変化速度しきい値と上昇変化速度しきい値とを示すしきい値情報を含む。図6に示す貯水位計設定データによれば、下降変化速度しきい値が「Zd」であり、上昇変化速度しきい値が「Zu」であることが示される。
【0053】
貯水位計設定データは、貯水位計により観測された貯水位を示す貯水位データを含む。貯水位データは、ダムコン2に送信される順序に従って上から順に並んでいる。
【0054】
図6に示す貯水位計設定データによれば、まず、初期貯水位「Z0」を示す貯水位データがダムコン2に送信される。
【0055】
また、図6に示す貯水位計設定データによれば、初期貯水位「Z0」から変化させる貯水位を示す貯水位データとして、下限に相当する「貯水位Z1a」を示す貯水位データがダムコン2に送信されることが示される。
さらに、図6に示す貯水位計設定データによれば、「貯水位Zma」から変化させる貯水位を示す貯水位データとして、上限に相当する「貯水位Z1b」を示す貯水位データがダムコン2に送信されることが示される。
また、図6に示す貯水位計設定データによれば、「貯水位Zmb」から変化させる貯水位を示す貯水位データとして、下降変化速度しきい値「Zd」を超える「貯水位Z1c」を示す貯水位データがダムコン2に送信されることが示される(つまり、Zmb-Z1c>Zdである)。
さらに、図6に示す貯水位計設定データによれば、「貯水位Z1c」から変化させる貯水位を示す貯水位データとして、上昇変化速度しきい値「Zu」を超える「貯水位Z1d」を示す貯水位データがダムコン2に送信されることが示される(つまり、Z1d-Z1c>Zuである)。
【0056】
なお、下限に相当する貯水位は、直前の貯水位よりも小さく、直前の貯水位から下降変化速度しきい値を減算した値よりも大きな値に設定されることが望ましい。つまり、下限に相当する貯水位は、「直前の貯水位>下限に相当する貯水位>直前の貯水位-下降変化速度しきい値」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。
これによれば、下限に相当する貯水位を示す貯水位データがダムコン2に送信された際に、下限に対応する警報と、下降変化速度しきい値に対応する警報とが、各装置3~6,23から一度に出力されてしまい、どちらに対応する警報が出力されているのかが分からなくなるといった事態の発生を防ぐことができる。
【0057】
同様な理由により、上限に相当する貯水位は、直前の貯水位よりも大きく、直前の貯水位から上昇変化速度しきい値を減算した値よりも小さな値に設定されることが望ましい。つまり、上限に相当する貯水位は、「直前の貯水位<上限に相当する貯水位<直前の貯水位-上昇変化速度しきい値」の関係を満たす値に設定されることが望ましい。
【0058】
図7は、河川情報システムを模した第1試験用コンピュータ7と連動して、試験システム用コンピュータ100により実行される第1システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS1として、初期設定を行う。具体的には、試験システム用コンピュータ100の初期設定受付部111は、操作部101を介した管理者の操作に応じて、第1システム試験用の初期設定データとして河川情報システム設定データの入力を受け付けると、当該河川情報システム設定データを初期設定データ保存部112に保存する。初期設定データ保存部112に保存された河川情報システム設定データは、送信命令処理部113の制御の下、設定データ送信部114により、第1試験用コンピュータ7に送信される。
【0060】
なお、第1試験用コンピュータ7は、試験システム用コンピュータ100から送信された河川情報システム設定データを受信すると、当該河川情報システム設定データに基づく初期設定を行う。具体的には、第1試験用コンピュータ7は、各所に設置された水位局により観測されたデータとして、予め決められた水位データを、予め決められた時刻に、ダムコン2(放流操作装置23)に送信するための初期設定を行う。
【0061】
ステップS2において、試験システム用コンピュータ100は、河川情報システム設定データにより示される開始時刻になると、第1システム試験を開始する。これによれば、第1試験用コンピュータ7は、所定の水位局により観測されたデータとして、予め決められた水位データを、予め決められた時刻に、ダムコン2に送信する処理を開始する。
【0062】
なお、第1システム試験は、試験システム用コンピュータ100の表示部102に表示される開始ボタンが管理者により押下されることで開始されてもよい。この場合、河川情報システム設定データは、開始時刻を示す時刻情報を含んでいなくてもよく、試験システム用コンピュータ100は、上記した開始ボタンが押下された旨の通知(つまり、第1システム試験が開始された旨の通知)を第1試験用コンピュータ7に送信することで、第1システム試験の開始を第1試験用コンピュータ7に通知すればよい。
【0063】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、現在時刻と、初期設定データ保存部112に保存された河川情報システム設定データとを参照し、現在時刻に最も近い時刻を示す時刻情報を含む水位設定情報を認識し、所定の水位局に関する所定の水位データが第1試験用コンピュータ7からダムコン2に送信される時刻(送信時刻)を認識する。
そして、ステップS3において、送信命令処理部113は、上記した送信時刻の直前(例えば、送信時刻の数秒前から数十秒前)になると、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を開始するための録画開始命令を送信する。なお、第1試験用コンピュータ7は、上記した送信時刻になると、上記した所定の水位データをダムコン2に送信する。
【0064】
ステップS4において、試験システム用コンピュータ100のボタン押下命令送信部115は、上記した所定の水位データの送信時刻から所定時間が経過すると(例えば、送信時刻の数秒後から数十秒後)、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23に対して、当該放流操作装置23のディスプレイに表示された確認ボタンを押下させるための確認ボタン押下命令を送信する。放流操作装置23は、試験システム用コンピュータ100から送信された確認ボタン押下命令を受信すると、ディスプレイに表示された確認ボタンを押下する処理を実行し(図8参照)、確認ボタンを押下した旨の確認ボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信する。
【0065】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、ボタン押下通知受信部116を介して、放流操作装置23から返信された確認ボタン押下通知を受信する。
そして、ステップS5において、送信命令処理部113は、確認ボタン押下通知を受信してから所定時間が経過した後に(例えば、確認ボタン押下通知を受信した数秒後から数十秒後)、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を終了するための録画終了命令を送信する。
【0066】
ステップS6において、試験システム用コンピュータ100の録画データ受信部118は、録画機器10a~10eから録画データを受信し、これら録画データを録画データ保存部119に保存する。この時、録画データ受信部118は、受信した録画データが、所定の水位局に関する所定の水位データが所定の送信時刻にダムコン2に送信された時の録画データであることが判別可能なように、当該録画データをリネームして、録画データ保存部119に保存する。
【0067】
しかる後、ステップS7において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、現在時刻と、初期設定データ保存部112に保存された河川情報システム設定データとを参照して、全ての水位局の全ての水位データが第1試験用コンピュータ7からダムコン2に送信されたかどうかを判定する。この処理では、所定の水位局に関する水位データとしてまだ送信されていない水位データがあるかどうかと、まだ水位データを送信していない水位局があるかどうかと、の両方の有無を判定することができる。
【0068】
ステップS7の処理の結果、まだ送信されていない水位データがあると判定された場合には(ステップS7のNo)、試験システム用コンピュータ100は、まだ送信されていない水位データについて、上記したステップS3~S6の処理を実行する。
【0069】
一方、ステップS7の処理の結果、全ての水位局の全ての水位データが第1試験用コンピュータ7からダムコン2に送信されたと判定された場合には(ステップS7のYes)、試験システム用コンピュータ100は、第1試験用コンピュータ7と連動した第1システム試験を終了させる。
【0070】
ここで、図8のフローチャートを参照して、放流操作装置23により実行されるボタン自動押下処理について説明する。
まず、ステップS11において、放流操作装置23は、初期設定として、放流操作装置23のディスプレイ上の所定の範囲を指定することで、所定のボタン押下命令を受信した際にクリックする座標を設定する。具体的には、確認ボタン押下命令を受信した際にクリックする座標として放流操作装置23のディスプレイ上で確認ボタンが表示される範囲と、復帰ボタン押下命令を受信した際にクリックする座標として放流操作装置23のディスプレイ上で復帰ボタンが表示される範囲とが指定される。
【0071】
ステップS12において、試験システム用コンピュータ100から送信された所定のボタン押下命令を受信すると、ステップS13において、放流操作装置23は、所定のボタン押下命令を受信した際にクリックする座標として設定された座標をクリックする。
【0072】
しかる後、ステップS14において、放流操作装置23は、所定のボタンを押下した旨のボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信し、一連のボタン自動押下処理を終了させる。
【0073】
図9は、テレメータ装置を模した第2試験用コンピュータ8と連動して、試験システム用コンピュータ100により実行される第2システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
【0074】
まず、試験システム用コンピュータ100の初期設定受付部111は、操作部101を介した管理者の操作に応じて、第2システム試験用の初期設定データとしてテレメータ装置設定データの入力を受け付けると、当該テレメータ装置設定データを初期設定データ保存部112に保存する。
ステップS21において、初期設定データ保存部112に保存されたテレメータ装置設定データは、送信命令処理部113の制御の下、設定データ送信部114により、第2試験用コンピュータ8に送信される。
【0075】
なお、第2試験用コンピュータ8は、試験システム用コンピュータ100から送信されたテレメータ装置設定データを受信すると、当該テレメータ装置設定データに基づく初期設定を行う。具体的には、第2試験用コンピュータ8は、各所に設置された雨量局により観測されたデータとして、予め決められた雨量データを、予め決められた時刻に、ダムコン2(放流操作装置23)に送信するための初期設定を行う。
【0076】
ステップS22において、試験システム用コンピュータ100は、テレメータ装置設定データにより示される開始時刻になると、第2システム試験を開始する。これによれば、第2試験用コンピュータ8は、所定の雨量局により観測されたデータとして、予め決められた雨量データを、予め決められた時刻に、ダムコン2に送信する処理を開始する。
【0077】
なお、第2システム試験は、試験システム用コンピュータ100の表示部102に表示される開始ボタンが管理者により押下されることで開始されてもよい。この場合、テレメータ装置設定データは、開始時刻を示す時刻情報を含んでいなくてもよく、試験システム用コンピュータ100は、上記した開始ボタンが押下された旨の通知(つまり、第2システム試験が開始された旨の通知)を第2試験用コンピュータ8に送信することで、第2システム試験の開始を第2試験用コンピュータ8に通知すればよい。
【0078】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、現在時刻と、初期設定データ保存部112に保存されたテレメータ装置設定データとを参照し、現在時刻に最も近い時刻を示す時刻情報を含む雨量設定情報を認識し、所定の雨量局に関する所定の雨量データが第2試験用コンピュータ8からダムコン2に送信される時刻(送信時刻)を認識する。
そして、送信命令処理部113は、上記した送信時刻の直前(例えば、送信時刻の数秒前から数十秒前)になると、ステップS23において、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を開始するための録画開始命令を送信する。
なお、第2試験用コンピュータ8は、上記した送信時刻になると、上記した所定の雨量データをダムコン2に送信する。
【0079】
上記した所定の雨量データの送信時刻から所定時間が経過する(例えば、送信時刻から数秒または数十秒が経過する)。
その後、ステップS24において、試験システム用コンピュータ100のボタン押下命令送信部115は、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23に対して、当該放流操作装置23のディスプレイに表示された確認ボタンを押下させるための確認ボタン押下命令を送信する。
放流操作装置23は、試験システム用コンピュータ100から送信された確認ボタン押下命令を受信すると、ディスプレイに表示された確認ボタンを押下する処理を実行し、確認ボタンを押下した旨の確認ボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信する。
【0080】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、ボタン押下通知受信部116を介して、放流操作装置23から返信された確認ボタン押下通知を受信する。そして、確認ボタン押下通知を受信してから所定時間が経過する(例えば、確認ボタン押下通知を受信してから数秒または数十秒が経過する)。
その後、ステップS25において、送信命令処理部113は、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を終了するための録画終了命令を送信する。
【0081】
試験システム用コンピュータ100の録画データ受信部118は、録画機器10a~10eから録画データを受信し、これら録画データを録画データ保存部119に保存する。
この時、ステップS26において、録画データ受信部118は、受信した録画データが、所定の雨量局に関する所定の雨量データが所定の送信時刻にダムコン2に送信された時の録画データであることが判別可能なように、当該録画データをリネームして、録画データ保存部119に保存する。
【0082】
しかる後、ステップS27において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、現在時刻と、初期設定データ保存部112に保存されたテレメータ装置設定データとを参照して、全ての雨量局の全ての雨量データが第2試験用コンピュータ8からダムコン2に送信されたかどうかを判定する。この処理では、所定の雨量局に関する雨量データとしてまだ送信されていない雨量データがあるかどうかと、まだ雨量データを送信していない雨量局があるかどうかと、の両方の有無を判定することができる。
【0083】
ステップS27の処理の結果、まだ送信されていない雨量データがあると判定された場合には(ステップS27のNo)、試験システム用コンピュータ100は、まだ送信されていない雨量データについて、上記したステップS23~S26の処理を実行する。
【0084】
一方、ステップS27の処理の結果、全ての雨量局の全ての雨量データが第2試験用コンピュータ8からダムコン2に送信されたと判定された場合には(ステップS27のYes)、試験システム用コンピュータ100は、第2試験用コンピュータ8と連動した第2システム試験を終了させる。
【0085】
図10は、ゲート盤を模したゲート試験装置9と連動して、試験システム用コンピュータ100により実行される第3システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
【0086】
まず、試験システム用コンピュータ100の初期設定受付部111は、操作部101を介した管理者の操作に応じて、第3システム試験用の初期設定データとして対象信号一覧データの入力を受け付けると、ステップS31において、当該対象信号一覧データを初期設定データ保存部112に保存する。
なお、対象信号一覧データは、上記した河川情報システム設定データやテレメータ装置設定データとは異なり、ゲート試験装置9に予め送信されなくてもよいし、上記した河川情報システム設定データやテレメータ装置設定データと同様に、ゲート試験装置9に予め送信されてもよい。
【0087】
ステップS32において、試験システム用コンピュータ100は、第3システム試験を開始する。ステップS33において、送信命令処理部113は、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を開始するための録画開始命令を送信する。
【0088】
ステップS34において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、初期設定データ保存部112に保存された対象信号一覧データを参照し、まだオン状態にしていない所定の監視対象の信号をオン状態にするための信号オン命令を、初期データ設定部114を介して、ゲート試験装置9に送信する。
ゲート試験装置9は、試験システム用コンピュータ100から送信された信号オン命令を受信すると、当該信号オン命令に従って上記した所定の監視対象の信号をオン状態にする(つまり、所定の監視対象の信号を放流操作装置23に向けて出力する)。
【0089】
試験システム用コンピュータ100のボタン押下命令送信部115は、ゲート試験装置9に信号オン命令を送信してから所定時間が経過すると(例えば、信号オン命令を送信した数秒後から数十秒後)、ステップS35において、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23に対して、当該放流操作装置23のディスプレイに表示された確認ボタンを押下させるための確認ボタン押下命令を送信する。
放流操作装置23は、試験システム用コンピュータ100から送信された確認ボタン押下命令を受信すると、ディスプレイに表示された確認ボタンを押下する処理を実行し、確認ボタンを押下した旨の確認ボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信する。
【0090】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、ボタン押下通知受信部116を介して、放流操作装置23から返信された確認ボタン押下通知を受信する。そして、ステップS36において、送信命令処理部113は、確認ボタン押下通知を受信してから所定時間が経過した後に(例えば、確認ボタン押下通知を受信した数秒後から数十秒後)、ステップS34の処理によりオン状態になった所定の監視対象の信号をオフ状態にするための信号オフ命令を、初期データ設定部114を介して、ゲート試験装置9に送信する。
ゲート試験装置9は、試験システム用コンピュータ100から送信された信号オフ命令を受信すると、当該信号オフ命令に従って上記した所定の監視対象の信号をオン状態からオフ状態にする(つまり、所定の監視対象の信号の放流操作装置23への出力を停止する)。
【0091】
試験システム用コンピュータ100のボタン押下命令送信部115は、ゲート試験装置9に信号オフ命令を送信してから所定時間が経過すると(例えば、信号オフ命令を送信した数秒後から数十秒後)、ステップS37において、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23に対して、当該放流操作装置23のディスプレイに表示された復帰ボタンを押下させるための復帰ボタン押下命令を送信する。
放流操作装置23は、試験システム用コンピュータ100から送信された復帰ボタン押下命令を受信すると、ディスプレイに表示された復帰ボタンを押下する処理を実行し、復帰ボタンを押下した旨の復帰ボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信する。
【0092】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、ボタン押下通知受信部116を介して、放流操作装置23から返信された復帰ボタン押下通知を受信する。そして、送信命令処理部113は、復帰ボタン押下通知を受信してから所定時間が経過した後に(例えば、復帰ボタン押下通知を受信した数秒後から数十秒後)、ステップS38において、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を終了するための録画終了命令を送信する。
【0093】
試験システム用コンピュータ100の録画データ受信部118は、録画機器10a~10eから録画データを受信し、これら録画データを録画データ保存部119に保存する。この時、ステップS39において、録画データ受信部118は、受信した録画データが、所定の監視対象の信号がダムコン2に送信された時の録画データであることが判別可能なように、当該録画データをリネームして、録画データ保存部119に保存する。
【0094】
しかる後、ステップS40において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、初期設定データ保存部112に保存された対象信号一覧データを参照し、全ての監視対象の信号がオン状態にしたかどうかを判定する。
【0095】
ステップS40の処理の結果、まだオン状態にしていない監視対象の信号があると判定された場合には(ステップS40のNo)、試験システム用コンピュータ100は、まだオン状態にしていない監視対象の信号について、上記したステップS33~S39の処理を実行する。
【0096】
一方、ステップS40の処理の結果、全ての監視対象の信号をオン状態にしたと判定された場合には(ステップS40のYes)、試験システム用コンピュータ100は、ゲート試験装置9と連動した第3システム試験を終了させる。
【0097】
図11は、貯水位計を模したゲート試験装置9と連動して、試験システム用コンピュータ100により実行される第4システム試験の手順の一例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、試験システム用コンピュータ100の初期設定受付部111は、操作部101を介した管理者の操作に応じて、第4システム試験用の初期設定データとして貯水位計設定データの入力を受け付けると、当該貯水位計設定データを初期設定データ保存部112に保存する。
そして、ステップS41において、初期設定データ保存部112に保存された貯水位計設定データは、送信命令処理部113の制御の下、設定データ送信部114により、ゲート試験装置9に送信される。
【0099】
なお、ゲート試験装置9は、試験システム用コンピュータ100から送信された貯水位計設定データを受信すると、当該貯水位計設定データに基づく初期設定を行う。具体的には、ゲート試験装置9は、貯水位を、貯水位計設定データにより示される初期貯水位に設定し、下降変化速度しきい値および上昇変化速度しきい値を、貯水位計設定データにより示される値に設定する。
【0100】
ステップS42において、試験システム用コンピュータ100は、第4システム試験を開始する。
そして、ステップS43において、送信命令処理部113は、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を開始するための録画開始命令を送信する。
【0101】
ステップS44において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、初期設定データ保存部112に保存された貯水位計設定データを参照し、まだ送信していない貯水位データであって次に送信すべき所定の貯水位データを、初期データ設定部114を介して、ゲート試験装置9に送信する。
ゲート試験装置9は、試験システム用コンピュータ100から送信された所定の貯水位データを受信すると、当該所定の貯水位データをダムコン2に送信する。これによれば、貯水位は、直前の値(現在値)から、受信された所定の貯水位データにより示される値に変更される。
【0102】
試験システム用コンピュータ100のボタン押下命令送信部115は、上記した所定の貯水位データを送信してから所定時間が経過すると(例えば、貯水位データを送信した数秒後から数十秒後)、ステップS45において、送信命令処理部113の制御の下、放流操作装置23に対して、当該放流操作装置23のディスプレイに表示された確認ボタンを押下させるための確認ボタン押下命令を送信する。
放流操作装置23は、試験システム用コンピュータ100から送信された確認ボタン押下命令を受信すると、ディスプレイに表示された確認ボタンを押下する処理を実行し、確認ボタンを押下した旨の確認ボタン押下通知を試験システム用コンピュータ100に送信する。
【0103】
試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、ボタン押下通知受信部116を介して、放流操作装置23から返信された確認ボタン押下通知を受信する。そして、送信命令処理部113は、確認ボタン押下通知を受信してから所定時間が経過した後に(例えば、確認ボタン押下通知を受信した数秒後から数十秒後)、ステップS46において、録画開始・終了命令送信部117を介して、各所に設置された録画機器10a~10eに、録画を終了するための録画終了命令を送信する。
【0104】
試験システム用コンピュータ100の録画データ受信部118は、録画機器10a~10eから録画データを受信し、これら録画データを録画データ保存部119に保存する。
この時、ステップS47において、録画データ受信部118は、受信した録画データが、所定の貯水位データがダムコン2に送信された時の録画データであることが判別可能なように、当該録画データをリネームして、録画データ保存部119に保存する。
【0105】
しかる後、ステップS48において、試験システム用コンピュータ100の送信命令処理部113は、初期設定データ保存部112に保存された貯水位計設定データを参照して、全ての貯水位データがゲート試験装置9からダムコン2に送信されたかどうかを判定する。
【0106】
ステップS48の処理の結果、まだ送信されていない貯水位データがあると判定された場合には(ステップS48のNo)、試験システム用コンピュータ100は、まだ送信されていない貯水位データについて、上記したステップS43~S47の処理を実行する。
【0107】
一方、ステップS48の処理の結果、全ての貯水位データがゲート試験装置9からダムコン2に送信されたと判定された場合には(ステップS48のYes)、試験システム用コンピュータ100は、ゲート試験装置9と連動した第4システム試験を終了させる。
【0108】
図12は、データ表示処理部120により表示部102に表示される録画データ表示画面200の一例を説明するための図である。
【0109】
録画データ表示画面200は、図12に示すように、設定バー201、データ選択欄202、動画表示欄203、音声再生欄204、再生・停止ボタン205、経過時間表示欄206および時間スクロールバー207、等を含む。
【0110】
設定バー201には、例えば図12に示すように、試験システム用コンピュータ100と通信可能に接続された録画機器10a~10eに対応するボタンB1~B5が選択可能に表示されている。設定バー201内の録画機器10に対応するボタンBが選択されることで、当該録画機器10に対応する動画表示欄203および音声再生欄204が画面上に表示される。
図12においては、設定バー201内の録画機器10a~10eに対応する全てのボタンB1~B5が選択され、録画機器10a~10eに対応する動画表示欄203a~203eおよび音声再生欄204a~204eが表示された状態の録画データ表示画面200を示している。
【0111】
データ選択欄202において、管理者は、動画表示欄203および音声再生欄204で再生する録画データを選択する。データ選択欄202には、例えば、録画データ保存部119に保存された録画データの名称が表示される。録画データ保存部119に保存された録画データは、録画データ受信部118によりリネームされているため、管理者は、データ選択欄202に表示される録画データの名称から当該録画データがどのような内容の録画データであるかを判別することができ、再生したい録画データを容易に見つけ出すことが可能である。
【0112】
動画表示欄203a~203eは、データ選択欄202にて選択された録画データを表示する。音声再生欄204a~204eは、データ選択欄202にて選択された録画データの音声のみを再生する。
なお、図12では、動画表示欄203と音声再生欄204とが別々に設けられている場合を示したが、これに限定されず、例えば動画表示欄203と音声再生欄204の機能を併せ持った1つの表示欄が設けられてもよい。
【0113】
再生・停止ボタン205は、動画表示欄203および音声再生欄204で再生する録画データの再生開始・再生停止を行うためのボタンである。経過時間表示欄206には、動画表示欄203および音声再生欄204で再生中の録画データの再生経過時間が表示される。時間スクロールバー207には、例えば左右方向に移動させることが可能なスクロールバーが設けられ、管理者は、当該スクロールバーを用いて、動画表示欄203および音声再生欄204で再生中の録画データの時間(再生箇所)を任意の時間(再生箇所)に変化させることができる。
【0114】
なお、試験システム用コンピュータ100のデータ表示処理部120は、録画データの変化量に基づき、様子に全く変化が見られない録画データ(例えば、音声が一切出力されない録画データや、映像に全く変化が見られない録画データ等)を検出し、当該検出された録画データの名称をデータ選択欄202にて強調表示してもよい。
【0115】
以上説明した本実施形態に係る試験システム1によれば、管理者は、試験システム用コンピュータ100に各種初期設定データを入力さえすれば、以降は、試験システム用コンピュータ100が各装置7~9と連動した第1~第4システム試験を自動的に実行し、各種データ(例えば、水位データ、雨量データ、貯水位データ等)や各種信号(例えば、監視対象の信号等)を、各装置7~9からダムコン2(放流操作装置23)に送信させる。
このとき、試験システム用コンピュータ100は、各種データや各種信号がダムコン2に取り込まれた際の大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6および放流操作装置23のディスプレイの様子を録画するように、各装置3~6,23近辺に設置された録画機器10a~10eの動作を制御する。
【0116】
これによれば、管理者は、各種初期設定データを入力した後は、録画機器10a~10eにより録画された録画データであって、録画データ保存部119に保存された録画データを確認するだけで、各種データや各種信号がダムコン2に取り込まれた際の各装置3~6,23の様子を確認することができるため、システムの試験が実行されている最中の行動が制限されることなく、システムの試験を完了させることが可能である。つまり、本実施形態に係る試験システム1によれば、システムの試験時に管理者にかかる負担を大幅に軽減することが可能である。
【0117】
また、一般的な試験システムでは、各種データや各種信号がダムコン2に取り込まれた際の各装置3~6,23の様子の確認に失敗した場合には、再度同じデータや信号をダムコン2に取り込ませて再度同じ試験を行う必要があるが、本実施形態に係る試験システム1によれば、各種データや各種信号がダムコン2に取り込まれた際の各装置3~6,23の様子は、録画データとして保存されているため、再度同じ試験を行う必要がない。例えば60分周期等、取り込み周期が長い各種データや各種信号に関する再試験は、管理者にとって大きな負担になっていたが、本実施形態に係る試験システム1によれば、このような負担を大幅に軽減することが可能である。
【0118】
さらに、一般的な試験システムでは、ダムコン2にデータや信号が取り込まれる度に、管理者は、放流操作装置23のディスプレイに表示される確認ボタンや復帰ボタンを手動で押下して、当該取り込まれたデータや信号に応じた各装置3~6,23の表示や出力をリセットする必要がある。しかしながら、本実施形態に係る試験システム1は、試験システム用コンピュータ100から送信されるボタン押下命令に従って確認ボタンや復帰ボタンを放流操作装置23に自動的に押下させることができるため、本実施形態に係る試験システム1は、この点においても、管理者にかかる負担を軽減することが可能である。
【0119】
また、本実施形態に係る試験システム1において、試験システム用コンピュータ100は、録画データ保存部119に保存された録画データの変化量に基づいて、大型モニタ3、警報表示盤4、警報灯5、電話応答通報装置6または放流操作装置23のディスプレイの様子に変化がないことを検出し、この旨を表示部102に表示出力することができる。これによれば、管理者は、正しい制御が行われていれば警報が出力されるはずなのに、警報が出力されていない装置を容易に認識することができ、短い時間で録画データを確認することが可能である。
【0120】
さらに、本実施形態に係る試験システム1においては、上記したように、試験システム用コンピュータ100が各装置7~9と連動した第1~第4システム試験を自動的に実行するため、ヒューマンエラーを最小限に抑制することが可能である。
【0121】
また、本実施形態に係る試験システム1においては、初期設定データの値を変更するだけで、種々様々なダムコン2の警報出力条件に対応させることができるため、種々様々なダムコン2に適用することが可能である。
【0122】
以上説明した一実施形態によれば、ダム管理システムの試験を効率的に実行することが可能な試験システム、試験装置および方法を提供することが可能である。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1…試験システム、2…ダム管理システム、3…大型モニタ、4…警報表示盤、5…警報灯、6…電話応答通報装置、7…第1試験用コンピュータ、8…第2試験用コンピュータ、9…ゲート試験装置、10a~10e…録画機器、23…放流操作装置、100…試験システム用コンピュータ。
図1
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図12