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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041272
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電力管理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240319BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240319BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20240319BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240319BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240319BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240319BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240319BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20240319BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/00 170
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J15/00 G
H01M8/04537
H01M8/04 Z
H01M8/0438
H01M8/04746
C01B3/02 H
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145986
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖国
【テーマコード(参考)】
4G140
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
4G140AB01
5G066AA03
5G066HB06
5G066HB08
5G066JA01
5H127AB27
5H127BA02
5H127BA14
5H127BA22
5H127DB02
5H127DB66
5H127DC82
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギーを利用して発電しつつ、水素を安定して生成すること。
【解決手段】電力管理装置10は、自然環境と自然環境において再生エネルギーを利用して発電する発電装置9が発電した発電量との関係を示す相関データを記憶する記憶部11と、相関データに基づいて、予想される自然環境で発電装置9が発電する発電量を示す予想発電量を算出する予想発電量算出部12と、水素生成装置7が予想発電量で生成可能な水素の量を示す水素発生量を算出する水素発生量算出部13と、水素消費装置8が過去に使用した水素の量に基づいて、水素消費装置8が必要な水素の量を示す水素必要量を算出する水素必要量算出部14と、水素生成装置6が過去に生成した水素を貯蔵する貯蔵装置7の水素貯蔵量を取得する水素貯蔵量取得部15と、水素発生量と水素必要量と水素貯蔵量とに基づいて、水素生成装置6の運転条件を決定する決定部16と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然環境と前記自然環境において再生エネルギーを利用して発電する発電装置が発電した発電量との関係を示す相関データを記憶する記憶部と、
前記相関データに基づいて、予想される自然環境で前記発電装置が発電する発電量を示す予想発電量を算出する予想発電量算出部と、
水素生成装置が前記予想発電量で生成可能な水素の量を示す水素発生量を算出する水素発生量算出部と、
水素消費装置が過去に使用した水素の量に基づいて、前記水素消費装置が必要な水素の量を示す水素必要量を算出する水素必要量算出部と、
前記水素生成装置が過去に生成した水素を貯蔵する貯蔵装置の水素貯蔵量を取得する水素貯蔵量取得部と、
前記水素発生量と前記水素必要量と前記水素貯蔵量とに基づいて、前記水素生成装置の運転条件を決定する決定部と、を備える、
電力管理装置。
【請求項2】
前記水素発生量は、所定期間において前記水素生成装置が生成可能な水素の量であり、
前記水素必要量は、前記所定期間において前記水素消費装置が必要な水素の量であり、
前記水素発生量と前記水素貯蔵量との和が前記水素必要量を上回る場合、前記決定部は、前記発電装置が発生した電力に基づいて前記水素生成装置が運転するように、前記運転条件を決定する、
請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記水素発生量は、所定期間において前記水素生成装置が生成可能な水素の量であり、
前記水素必要量は、前記所定期間において前記水素消費装置が必要な水素の量であり、
前記水素発生量と前記水素貯蔵量との和が前記水素必要量以下である場合、前記決定部は、前記発電装置が発生した電力と電力系統からの電力とに基づいて前記水素生成装置が運転するように、前記運転条件を決定する、
請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記水素貯蔵量が閾値以下である場合、前記決定部は、前記発電装置が発生した電力と電力系統からの電力とに基づいて前記水素生成装置が運転するように、前記運転条件を決定する、
請求項1に記載の電力管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルの実現のために、再生可能エネルギーを利用して発電する技術が知られている。また、燃料として化石燃料の代わりに水素を使用することが様々な技術分野において検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-162673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば太陽光発電で発生した電力を利用して水素を生成し、生成された水素をボイラの燃料として使用することにより、二酸化炭素の排出量が格段に抑制される。しかし、太陽光発電の発電量は、天候によって変動する可能性がある。そのため、太陽光発電で発生した電力だけを利用して水素を生成した場合、水素が不足する可能性がある。水素が不足すると、ボイラを安定して稼働させることが困難になる可能性がある。
【0005】
本開示は、再生可能エネルギーを利用して発電しつつ、水素を安定して生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、自然環境と自然環境において再生エネルギーを利用して発電する発電装置が発電した発電量との関係を示す相関データを記憶する記憶部と、相関データに基づいて、予想される自然環境で発電装置が発電する発電量を示す予想発電量を算出する予想発電量算出部と、水素生成装置が予想発電量で生成可能な水素の量を示す水素発生量を算出する水素発生量算出部と、水素消費装置が過去に使用した水素の量に基づいて、水素消費装置が必要な水素の量を示す水素必要量を算出する水素必要量算出部と、水素生成装置が過去に生成した水素を貯蔵する貯蔵装置の水素貯蔵量を取得する水素貯蔵量取得部と、水素発生量と水素必要量と前記水素貯蔵量とに基づいて、水素生成装置の運転条件を決定する決定部と、を備える、電力管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、再生可能エネルギーを利用して発電しつつ、水素を安定して生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電力管理システムを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電力管理装置を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る電力管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[電力管理システム]
図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。電力管理システム1は、アグリゲータ2と、複数の需要家3(3A,3B)と、電力系統4と、通信ネットワーク5と、発電装置9とを備える。
【0011】
電力管理システム1においては、アグリゲータ2から需要家3へのデマンドレスポンス(DR:Demand Response)の要請により、電力の需給バランスが図られる。デマンドレスポンスとは、需要家3が保有するエネルギーリソースを制御することにより、電力需要のパターンを変化させることをいう。デマンドレスポンスには、電力需要の増加を要請する上げデマンドレスポンスと、電力需要の抑制を要請する下げデマンドレスポンスとがある。以下の説明において、デマンドレスポンスを適宜、DR、と称し、上げデマンドレスポンスを適宜、上げDR、と称し、下げデマンドレスポンスを適宜、下げDR、と称する。
【0012】
電力系統4は、発電所において発生した電力を需要家3に供給する。アグリゲータ2は、電力会社からの電力需給指令に基づいて、契約している需要家3に、通信ネットワーク5を介してDRを要請する。需要家3は、DRの要請に応じることにより、アグリゲータ2から報酬を受け取る。
【0013】
上述のように、DRとは、需要家3が保有するエネルギーリソースを制御することにより、電力需要のパターンを変化させることをいう。実施形態において、需要家3が保有するエネルギーリソースは、水素生成装置6を含む。水素生成装置6は、電力系統4及び発電装置9の少なくとも一方からの電力に基づいて水素を生成する。水素生成装置6として、アルカリ水電解装置、固体高分子型水電解装置、又は高温水電解装置が例示される。
【0014】
水素生成装置6で生成された水素は、貯蔵装置7に貯蔵される。貯蔵装置7は、タンクを含む。貯蔵装置7に貯蔵されている水素の少なくとも一部は、水素消費装置8に供給される。水素消費装置8は、貯蔵装置7から供給された水素を消費する。実施形態において、水素消費装置8は、燃料として水素を燃焼して蒸気を発生するボイラ(水素炊きボイラ)である。なお、水素消費装置8は、水素を使用して電力を発生する燃料電池でもよい。
【0015】
発電装置9は、再生エネルギーを利用して発電する。発電装置9として、太陽光を利用して発電する太陽光発電装置、風力を利用して発電する風力発電装置、水力を利用して発電する水力発電装置、地熱を利用して発電する地熱発電装置、又はバイオマスを利用して発電するバイオマス発電装置が例示される。実施形態において、発電装置9は、太陽光を利用して発電するソーラーパネルを含む太陽光発電装置である。
【0016】
電力管理システム1は、電力管理装置10を有する。電力管理装置10は、コンピュータシステムを含む。電力管理装置10は、少なくとも水素生成装置6に供給される電力を制御する。電力管理装置10は、水素生成装置6、貯蔵装置7、及び水素消費装置8のそれぞれを制御してもよい。電力管理装置10は、需要家3に保有されてもよいし、需要家3とは別の第三者に保有されてもよい。
【0017】
[電力管理装置]
図2は、実施形態に係る電力管理装置10を示すブロック図である。電力管理装置10は、記憶部11と、予想発電量算出部12と、水素発生量算出部13と、水素必要量算出部14と、水素貯蔵量取得部15と、決定部16とを有する。
【0018】
記憶部11は、自然環境とその自然環境において発電装置9が発電した発電量との関係を示す相関データを予め記憶する。自然環境は、天候及び日照時間を含む。記憶部11には、過去における自然環境とその自然環境において発電装置9が発電した発電量との関係を示す相関データが予め記憶されている。晴天であれば発電装置9の発電量が多くなり、雨天であれば発電装置9の発電量が少なくなる。日照時間が長ければ発電装置9の発電量が多くなり、日照時間が短ければ発電装置9の発電量が少なくなる。
【0019】
予想発電量算出部12は、記憶部11に記憶されている相関データに基づいて、予想される自然環境で発電装置9が発電する発電量を示す予想発電量を算出する。予想される自然環境は、気象庁などから提供される天気予報を含む。例えば、午前0時に当日の発電装置9の予想発電量を算出する場合、予想発電量算出部12は、記憶部11に記憶されている相関データと当日の天気予報とに基づいて、当日の発電装置9の予想発電量を算出(予想)することができる。なお、相関データとして、入力を自然環境とし出力を発電装置9の発電量とする機械学習モデルが記憶部11に予め記憶されてもよい。予想発電量算出部12は、機械学習モデルに当日の天気予報を入力して、当日の発電装置9の予想発電量を算出してもよい。
【0020】
水素発生量算出部13は、水素生成装置6が予想発電量で生成可能な水素の量を示す水素発生量を算出する。発電装置9の発電量とその発電量が水素生成装置6に供給されたときの水素発生量とは、おおよそ比例する。そのため、水素発生量算出部13は、予想発電量算出部12により算出された発電装置9の予想発電量に基づいて、その予想発電量が水素生成装置6に入力されたときの水素生成装置6による水素発生量を算出(予想)することができる。水素発生量算出部13により算出される水素発生量は、所定期間において水素生成装置6が生成可能な水素の量である。所定期間は、例えば1日である。水素発生量算出部13は、例えば午前0時に、予想発電量算出部12により算出された当日の発電装置9の予想発電量に基づいて、当日の水素生成装置6の水素発生量を算出することができる。
【0021】
水素必要量算出部14は、水素消費装置8が過去に使用した水素の量に基づいて、水素消費装置8が必要な水素の量を示す水素必要量を算出する。水素消費装置8がボイラである場合、水素必要量算出部14は、ボイラが過去に燃料として使用した水素の量に基づいて、ボイラの水素必要量を算出する。ボイラの水素必要量は、ボイラが過去において実際に使用した水素の量を示す実績データより算出(予想)することができる。水素必要量算出部14により算出される水素必要量は、所定期間において水素消費装置8が必要な水素の量である。所定期間は、例えば1日である。水素必要量算出部14は、例えば午前0時に、ボイラが過去において1日に使用した水素の量を示す実績データに基づいて、当日の水素消費装置8の水素必要量を算出する。
【0022】
水素貯蔵量取得部15は、水素生成装置6が過去に生成した水素を貯蔵する貯蔵装置7の水素貯蔵量を取得する。貯蔵装置7のタンクの圧力を検出する圧力センサがタンクに設けられている場合、水素貯蔵量取得部15は、圧力センサの検出データに基づいて、タンクの水素貯蔵率を算出することができる。タンクの容積は、既知データである。水素貯蔵量取得部15は、圧力センサの検出データとタンクの容積とに基づいて、水素貯蔵量を取得することができる。
【0023】
決定部16は、水素発生量算出部13により算出された水素発生量と、水素必要量算出部14により算出された水素必要量と、水素貯蔵量取得部15により取得された水素貯蔵量とに基づいて、水素生成装置6の運転条件を決定する。
【0024】
水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量を上回る場合([水素発生量+水素貯蔵量]>[水素必要量])、決定部16は、発電装置9が発生した電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。すなわち、水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量を上回る場合、決定部16は、水素生成装置6の運転に、発電装置9が発生した電力のみを使用し電力系統4からの電力を使用しないように、水素生成装置6の運転条件を決定する。
【0025】
水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量以下である場合([水素発生量+水素貯蔵量]≦[水素必要量])、決定部16は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。すなわち、水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量以下である場合、決定部16は、水素生成装置6の運転に、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力との両方を使用するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。
【0026】
水素貯蔵量が閾値以下である場合、決定部16は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。閾値は、予め定められた値である。閾値は、貯蔵装置7のタンクの水素貯蔵率に係る閾値でもよい。一例として、閾値は10%である。すなわち、水素貯蔵量(水素貯蔵率)が閾値以下(10%以下)である場合、決定部16は、水素生成装置6の運転に、少なくとも電力系統4からの電力を使用するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。なお、水素貯蔵量(水素貯蔵率)が閾値以下(10%以下)でも、発電装置9が電力を発生している場合、決定部16は、水素生成装置6の運転に、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とを使用するように、水素生成装置6の運転条件を決定してもよい。
【0027】
[電力管理方法]
図3は、実施形態に係る電力管理方法を示すフローチャートである。予想発電量算出部12は、記憶部11に記憶されている相関データと当日の天気予報とに基づいて、当日の発電装置9の予想発電量を算出する(ステップS1)。水素発生量算出部13は、ステップS1において算出された発電装置9の予想発電量で水素生成装置6が当日に生成可能な水素発生量を算出する(ステップS2)。水素発生量算出部13は、過去の実績データに基づいて、当日の水素消費装置8の水素必要量を算出する(ステップS3)。水素貯蔵量取得部15は、例えば貯蔵装置7のタンクに設けられている圧力センサの検出データに基づいて、貯蔵装置7の水素貯蔵量を取得する(ステップS4)。
【0028】
決定部16は、ステップS4において取得された貯蔵装置7の水素貯蔵量が予め定められている閾値以下であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、貯蔵装置7の水素貯蔵量が閾値以下であると判定した場合(ステップS5:Yes)、決定部16は、少なくとも電力系統4からの電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。発電装置9が電力を発生している場合、決定部16は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。水素生成装置6は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とを使用して、水素を生成する(ステップS8)。
【0029】
ステップS5において、貯蔵装置7の水素貯蔵量が閾値を上回ると判定した場合(ステップS5:No)、決定部16は、ステップS2において算出された水素生成装置6の水素発生量とステップS4において取得された貯蔵装置7の水素貯蔵量との和がステップS3において算出された水素消費装置8の水素必要量を上回るか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6において、水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量を上回ると判定した場合(ステップS6:Yes)、決定部16は、発電装置9が発生した電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。水素生成装置6は、電力系統4からの電力を使用せず発電装置9が発生した電力を使用して、水素を生成する(ステップS7)。
【0030】
ステップS6において、水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量以下であると判定した場合(ステップS6:No)、決定部16は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。水素生成装置6は、発電装置9が発生した電力及び電力系統4からの電力の両方を使用して、水素を生成する(ステップS8)。
【0031】
ステップS5において水素貯蔵量が閾値以下であると判定された場合、発電装置9が発生した電力のみでは水素生成装置6の水素発生量が水素消費装置8の水素必要量に対して不足するため、水素の不足量を補うために、電力系統4からの電力が水素生成装置6における水素の生成に使用される。水素生成装置6が発電装置9からの電力及び電力系統4からの電力の両方を使用して水素を生成する場合、電力系統4からの電気代が安い時間帯においては、水素生成装置6は、発電装置9よりも優先して電力系統4からの電力を使用する。電力系統4からの電力に基づいて水素の不足量が生成された時点で、水素生成装置6は、電力系統4からの電力を使用することを辞め、発電装置9が発生した電力を使用する。
【0032】
なお、ステップS5において取得された水素貯蔵率(水素貯蔵量)が99%を上回る場合、すなわち、貯蔵装置7のタンクが満タンである場合、水素生成装置6は、水素を生成しないように制御される。貯蔵装置7のタンクが満タンである場合、水素生成装置6が水素を生成しても、水素生成装置6から貯蔵装置7に水素を送ることができない。そのため、水素生成装置6は、水素を生成しないように制御される。
【0033】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、電力管理装置10は、自然環境とその自然環境において再生エネルギーを利用して発電する発電装置9が発電した発電量との関係を示す相関データを記憶する記憶部11と、相関データに基づいて、予想される自然環境で発電装置9が発電する発電量を示す予想発電量を算出する予想発電量算出部12と、水素生成装置6が予想発電量で生成可能な水素の量を示す水素発生量を算出する水素発生量算出部13と、水素消費装置8が過去に使用した水素の量に基づいて、水素消費装置8が必要な水素の量を示す水素必要量を算出する水素必要量算出部14と、水素生成装置6が過去に生成した水素を貯蔵する貯蔵装置7の水素貯蔵量を取得する水素貯蔵量取得部15と、水素発生量と水素必要量と水素貯蔵量とに基づいて、水素生成装置6の運転条件を決定する決定部16と、を備える。
【0034】
実施形態によれば、再生可能エネルギーを利用して発電装置9において電力が発生され、発電装置9において発生した電力を利用して水素生成装置6において水素が生成され、水素生成装置6において生成された水素を利用して水素消費装置8が駆動されることにより、二酸化炭素の排出量が格段に抑制される。発電装置9の発電量は、自然環境によって変動する可能性がある。そのため、発電装置9が発生した電力だけを利用して水素を生成した場合、水素が不足する可能性がある。水素が不足すると、水素消費装置8を安定して稼働させることが困難になる可能性がある。実施形態によれば、水素生成装置6の水素発生量と水素消費装置8の水素必要量と貯蔵装置7の水素貯蔵量とに基づいて、水素生成装置6の運転条件が決定される。これにより、例えば発電装置9の予想発電量が少ない場合、水素生成装置6の運転に電力系統4からの電力が使用されるように、水素生成装置6の運転条件が決定される。そのため、再生可能エネルギーを利用して発電しつつ、水素を安定して生成することができる。また、電気代が安い時間帯を選んで電力系統4からの電力を使用することで、ピークシフト効果が得られ、電力系統4の需給バランスの安定化にも寄与する。
【0035】
水素発生量は、例えば1日間のような所定期間において水素生成装置6が生成可能な水素の量である。水素必要量は、例えば1日間のような所定期間において水素消費装置8が必要な水素の量である。水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量を上回る場合、決定部16は、発電装置9が発生した電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。発電装置9の予想発電量が十分であり、水素生成装置6の水素発生量が十分である場合、発電装置9が発生した電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件が決定されることにより、二酸化炭素の排出量が抑制される。
【0036】
水素発生量と水素貯蔵量との和が水素必要量以下である場合、決定部16は、発電装置9が発生した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。発電装置9の予想発電量が不足し、発電装置9から入力される電力だけでは水素生成装置6の水素発生量が不足する場合、発電装置9が発生した電力及び電力系統4からの電力の両方に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件が決定されることにより、水素消費装置8に供給される水素の不足が抑制される。
【0037】
水素貯蔵量が閾値以下である場合、決定部16は、発電装置9が発電した電力と電力系統4からの電力とに基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件を決定する。水素貯蔵量が少ない場合、少なくとも電力系統4からの電力に基づいて水素生成装置6が運転するように、水素生成装置6の運転条件が決定されることにより、水素消費装置8に供給される水素の不足が抑制される。
【0038】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、発電装置9は、風力発電装置、水力発電装置、地熱発電装置、及びバイオマス発電装置の少なくとも一つでもよい。例えば、発電装置9が風力発電装置である場合、自然環境は、風速を含む。記憶部11には、風速と風力発電装置の発電量との関係を示す相関データが予め記憶される。予想発電量算出部12は、記憶部11に記憶されている相関データと、当日の天気予報で示される風速とに基づいて、発電装置9の予想発電量を算出することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…電力管理システム、2…アグリゲータ、3…需要家、4…電力系統、5…通信ネットワーク、6…水素生成装置、7…貯蔵装置、8…水素消費装置、9…発電装置、10…電力管理装置、11…記憶部、12…予想発電量算出部、13…水素発生量算出部、14…水素必要量算出部、15…水素貯蔵量取得部、16…決定部。
図1
図2
図3