(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041273
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電子時計、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G04G 9/00 20060101AFI20240319BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240319BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240319BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240319BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240319BHJP
G04B 37/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G04G9/00 305
G09G5/00 510V
G09G5/00 550H
G09G5/38 A
G09G5/00 550C
G09G5/36 520K
G09F9/00 350Z
G04B37/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145988
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】松田 英明
【テーマコード(参考)】
2F002
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
2F002AA05
2F002AB02
2F002AB06
2F002AC03
2F002EH01
5C182AA03
5C182AB13
5C182AB37
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA03
5C182BA29
5C182BA46
5C182BB02
5C182BB03
5C182BB04
5C182BB12
5C182BB14
5C182BB17
5C182CB32
5C182CB43
5C182CC13
5C182CC21
5C182DA52
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE02
5G435EE18
5G435EE50
5G435LL10
(57)【要約】
【課題】表示画面を簡易に拡張可能とする。
【解決手段】表示部12は、上側に第1表示部12a、その下側に第2表示部12bが重なるように配設されている。電子時計1は、所定の条件を満たしているか否かに応じて、非展開状態とするか、展開状態とするかを決定する。非展開状態では、第1表示部12aのみに各種コンテンツなどを表示する。展開状態では、フック5による係合を外し、第1表示部12aをバネ等の弾性部材(不図示)の力でヒンジ4を軸に回転させる。これにより、第1表示部12aの下側に収納されていた第2表示部12bが露出する。展開状態では、第1表示部12a及び第2表示部12bの双方に各種コンテンツを表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部と、
前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部と、
前記第1表示部に表示される表示内容が所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させる制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示内容の情報量が所定量以上だった場合に、前記所定の条件を満たしていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記表示内容の情報量は、当該表示内容に含まれる画像の表示面積又は文字数の情報を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御部は、すでに前記第1表示部に表示されている前記表示内容に対する補足情報を取得した場合に、前記所定の条件を満たしていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は、すでに前記第1表示部に表示されている前記表示内容を複製して表示させるための指示を受け付けた場合に、前記所定の条件を満たしていると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項6】
角速度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記第1表示部に表示される表示内容が所定の条件を満たしており、かつ、前記角速度センサから取得された検出値が第1閾値の範囲内であった場合に、前記非展開状態から前記展開状態に遷移させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項7】
加速度センサ又は角速度センサの少なくとも一方をさらに備え、
前記制御部は、前記展開状態において、前記加速度センサ又は前記角速度センサから取得された検出値が第2閾値の範囲内であった場合に、前記展開状態から前記非展開状態に遷移させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項8】
前記第1表示部は、前記制御部によって周辺部に設けたヒンジを軸に水平方向に回転制御されることで前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能となるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項9】
前記第1表示部は、前記制御部によって一方向にスライドされることで前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能となるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項10】
前記第1表示部が前記第2表示部上に重なった位置で係合される係合部と、
前記係合部による係合が外れると、前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能になる位置に前記第1表示部を移動させるように常時外力を加える弾性部材と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1表示部に表示される内容が前記所定の条件を満たしている場合に、前記係合部による係合を外す、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項11】
前記第1表示部が前記第2表示部に重なっている非展開状態では、前記第1表示部に前記表示内容を表示させ、前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能になるように前記第1表示部が移動された展開状態では、前記第1表示部と前記第2表示部とのそれぞれに同一の又は異なる表示内容を表示させる表示制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記展開状態では、前記非展開状態で前記第1表示部に表示されている表示内容を前記第2表示部に表示させ、補足コンテンツを前記表示内容として前記第1表示部に表示させることを特徴とする請求項11に記載の電子時計。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記展開状態では、前記第1表示部から前記第2表示部まで連続した横長のコンテンツを前記表示内容として表示させることを特徴とする請求項11に記載の電子時計。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記展開状態では、前記第1表示部と前記第2表示部とのいずれか一方の表示内容を上下反転して表示させることを特徴とする請求項11に記載の電子時計。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記第1表示部と前記第2表示部に表示させる表示内容が略同一であった場合に、前記いずれか一方の表示内容を上下反転して表示させることを特徴とする請求項14に記載の電子時計。
【請求項16】
少なくとも1つのプロセッサと、第1表示部と、前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部とを備えた電子時計の表示制御方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記第1表示部に表示される内容が所定の条件を満たしているか否かを判断するステップと、
前記所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させるように制御するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサと、第1表示部と、前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部とを備えた電子時計に実行されるプログラムであって、
前記第1表示部に表示される内容が所定の条件を満たしているか否かを判断する機能と、
前記所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させるように制御する機能と、
を実現する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学習や、電車の乗り換え時刻、天気予報(温度、湿度、風速、注意・警報情報)など、小さい画面に多くのコンテンツを表示する場合、文字を小さくしたり言葉を削ったりして見やすさを犠牲にして表示しなければならない。これを解決するには、表示をスクロールしたり、表示部の画面を大きくしたりするなどの手段があるが、スクロールする場合には、全体を見渡すことができず、また、操作が煩わしいなどの問題があり、表示画面を大きくすると、リスト型ウェアラブル端末としての携帯性が損なわれるため、表示画面を大きくするには限界がある。
【0003】
そこで、リスト型ウェアラブル端末において、携帯性と操作性を両立するために、2つに折り畳み可能な大型表示部と、2つに折り畳んだ大型表示部の外面(1/2面)に設けられた小型の表示部とを備え、通常は大型表示部を2つに折り畳んで小型の表示部に表示し、必要に応じて折り畳まれた大型表示部を展開して表示面積を約2倍にする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1によるリスト型ウェアラブル端末では、ユーザが手動で表示部を展開する必要があり、煩わしかったという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、表示画面を簡易に拡張可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子時計は、第1表示部と、前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部と、前記第1表示部に表示される表示内容が所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る表示制御方法は、少なくとも1つのプロセッサと、第1表示部と、前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部とを備えた電子時計の表示制御方法であって、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1表示部に表示される内容が所定の条件を満たしているか否かを判断するステップと、前記所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させるように制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この発明に係るプログラムは、少なくとも1つのプロセッサと、第1表示部と、前記第1表示部の下に重なるように配設された第2表示部とを備えた電子時計に実行されるプログラムであって、前記第1表示部に表示される内容が所定の条件を満たしているか否かを判断する機能と、前記所定の条件を満たしている場合に、前記第1表示部又は前記第2表示部を移動させることで、前記第1表示部が前記第2表示部の上に重なっている状態である非展開状態から前記第1表示部の表示画面及び前記第2表示部の表示画面がユーザから視認可能な状態である展開状態に遷移させるように制御する機能と、を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、表示画面を簡易に拡張可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本第1実施形態による電子時計1の構造及び表示部の展開機構を示す模式図である。
【
図2】本第1実施形態による電子時計1の構成を示すブロック図である。
【
図3】本第1実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本第1実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本第1実施形態による他の態様による電子時計1の構造及び表示部の展開機構を示す模式図である。
【
図6】本第2実施形態による電子時計1の構成を示すブロック図である。
【
図7】本第2実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本第2実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本第2実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本第2実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。
【
図12】本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。
【
図13】本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。
【
図14】本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、本実施形態による電子時計は、手首に装着して用いられる、所謂、リスト型ウェアラブル端末の一つである。
【0013】
A.第1実施形態の構成
図1は、本第1実施形態による電子時計1の構造及び表示部12の展開機構を示す模式図である。
図1において、電子時計1は、本体2と当該電子時計1を手首に装着するためのバンド3とからなる。本体2は、電子回路等を収納する筐体(不図示)と筐体上部に配置された表示部12とを備える。
【0014】
表示部12は、上側に第1表示部12a、下側に第2表示部12bが重なるように配設されている。以下では、第1表示部12aと第2表示部12bとが重なった状態を非展開状態、第1表示部12aが移動して第2表示部12bが露出している状態を展開状態とする。電子時計1は、表示部12に表示するコンテンツ(表示内容)や、電子時計1の利用状況など(所定の条件)に応じて、非展開状態とするか、展開状態とするかを決定する。
【0015】
例えば、表示部12に表示するコンテンツの情報量が所定量以上だった場合に、上記所定の条件を満たしていると判定してもよい。コンテンツの情報量は、当該コンテンツに含まれる画像の表示面積又は文字数の情報を含でもよい。また、すでに第1表示部12aに表示されているコンテンツに対する補足情報を取得した場合に、上記所定の条件を満たしていると判定してもよい。また、すでに第1表示部12aに表示されているコンテンツを複製して表示させるための指示を受け付けた場合に、上記所定の条件を満たしていると判定してもよい。さらに、単に一画面での表示が適切であれば非展開状態とし、二画面での表示が適切であれば展開状態としてもよい。
【0016】
非展開状態では、第1表示部12aは、フック(係合部)5によって本体2に係合(固定)されており、例えば、時計としての日付、曜日、時刻等や、各種コンテンツなどを表示する。また、第1表示部12aは、矢印Aで示すようにフック5による係合が外されると、バネ等の弾性部材(不図示)の力で、周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に矢印Bに示す方向に回転する。第1表示部12aは、180°回転した位置で停止し、バネ等の弾性部材(不図示)の力で固定される。これにより、第1表示部12aの下側に収納されていた第2表示部12bが露出して展開状態となる。展開状態では、第1表示部12a及び第2表示部12bの双方に各種コンテンツを表示する。展開状態から非展開状態に戻すには、ユーザが手動で矢印Bとは反対方向に回転させる。第1表示部12aは、ユーザの手動操作で元の位置に戻されると、フック5によって本体2に再び係合(固定)される。
【0017】
なお、第1表示部12aを移動させて第2表示部12bが露出している状態を展開状態としたが、第1表示部12aを動かさずに第2表示部12bを移動させることで展開状態に遷移させる構造であってもよい。
【0018】
図2は、本第1実施形態の電子時計1の構成を示すブロック図である。電子時計1は、CPU10、メモリ11、表示部12(第1表示部12a、第2表示部12b)、操作部13、及びフック駆動部14を備えている。CPU10は、メモリ11(ROM)に格納されているプログラムに従って、電子時計1の各種動作を制御するCPUである。CPU10は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、CPU10は、2つ以上のCPUで構成されていてもよい。
【0019】
CPU10は、操作部13のうちの特定の操作キーの入力を判定する判定部として動作する。また、CPU10は、特定の操作キーの操作に応じて実行する処理を変える制御部として動作する。特に、本実施形態では、CPU10は、表示部12に表示するコンテンツの情報量や、コンテンツの種類、あるいはコンテンツの利用状況(所定の条件)などに応じて、非展開状態で第1表示部12aのみに表示するか、展開状態にして、第1表示部12a及び第2表示部12bの双方に表示するかを判断し、後述するフック駆動部14を制御し、第1表示部12aを回転させる制御を行う。
【0020】
メモリ11は、当該電子時計1の全体の動作を司るシステムプログラム(不図示)や、表示部12の展開動作を制御するためのプログラム、第1表示部12a及び/又は第2表示部12bにコンテンツを表示するためのプログラムなどを記憶する。第1表示部12a及び第2表示部12bは、液晶ディスプレイ等のm×nドットの表示器であり、各種コンテンツを表示する。
【0021】
操作部13は、ユーザが電子時計1を操作するための各種のキーである。操作部13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がCPU10に伝達される。フック駆動部14は、電磁式や、モータなどの駆動機構からなり、CPU10による制御の下、第1表示部12aを固定しているフック5を外す。フック5が外れることで、第1表示部12aが、バネ等の弾性部材(不図示)の力で周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に自動で回転(移動)し、第2表示部12bが現れるようになっている。
【0022】
B.第1実施形態の動作
図3は、本第1実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。CPU10は、表示部12を展開状態とするか否かを判断する(ステップS10)。ここで、所定の条件を満たし、コンテンツを二画面上に表示した方がユーザに認知しやすい場合などに展開状態とすることが必要と判断される。そして、展開状態にする必要がないと判断した場合には(ステップS10のNO)、当該処理を終了する。一方、展開状態にする必要があると判断した場合には(ステップS10のYES)、第1表示部12aと第2表示部12bとの双方で表示するための展開処理を実行する(ステップS12)。その後、当該処理を終了する。
【0023】
図4は、本第1実施形態による電子時計1の動作(展開処理)を説明するためのフローチャートである。展開処理において、CPU10は、フック駆動部14により、フック5を外す(ステップS20)。フック5が外れると、第1表示部12aは、
図1に示すように、バネ等の弾性部材(不図示)の力で、周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に矢印Bに示す方向に回転(移動)する(ステップS22)。そして、第1表示部12aは、180°回転した位置でバネ等の弾性部材(不図示)の力で固定される(ステップS24)。これにより、第1表示部12aの下側に収納されていた第2表示部12bが露出して展開状態となる。CPU10は、展開状態において、第1表示部12a及び第2表示部12bの双方にコンテンツを表示する(ステップS26)。コンテンツの表示例については後述する。
【0024】
ユーザは、第1表示部12a及び第2表示部12bの双方に表示されたコンテンツを確認した後、展開状態から非展開状態に戻すべく、手動で第1表示部12aを、ヒンジ4を軸に矢印Bとは反対方向に回転させる。第1表示部12aは、元の位置に戻されると、フック5によって本体2に係合(固定)される。
【0025】
図5は、本第1実施形態による他の態様による電子時計1の構造及び表示部の展開機構を示す模式図である。なお、
図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。
図5において、非展開状態では、第1表示部12aは、フック5によって本体2に係合(固定)されており、例えば、時計としての日付、曜日、時刻等や、各種コンテンツなどを表示する。第1表示部12aは、矢印Cに示すようにフック5による係合が外されると、スリット6a、6b内に格納されているバネ(不図示)の力でスリット6a、6bに沿って矢印Dの方向にスライド(移動)する。第1表示部12aは、バネの力で所定の位置で固定される。これにより、第1表示部12aの下側に収納されていた第2表示部12bが露出して展開状態となる。展開状態から非展開状態に戻すには、ユーザが手動で矢印Dとは反対方向にスライドさせる。第1表示部12aは、ユーザの手動操作で元の位置に戻されると、フック5によって本体2に係合(固定)される。
【0026】
C.第2実施形態
本第2実施形態では、基本的に、上述した第1実施形態の電子時計1と同様の構造を有するが、第1表示部12aの展開/収納をモータの駆動力により自動的に行うようになっている。なお、以下の説明では、
図1に示すように、周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に第1表示部12aを回転(移動)させることにより、表示部12を非展開状態及び展開状態とする構造の電子時計1を例に説明するが、
図5に示すような第1表示部12aをスライドさせる構造でも同様に実現可能である。
【0027】
図6は、本第2実施形態の電子時計1の構成を示すブロック図である。なお、
図2に対応する部分には同一の符号付けて説明を省略する。モータ駆動部15は、CPU10による制御の下、モータ16を駆動する。モータ16は、ヒンジ4を軸に第1表示部12aを回転させることにより、表示部12を非展開状態及び展開状態とする。ジャイロ(角速度)センサ17は、電子時計1の姿勢(ユーザが表示部12を見ている状態)を検知する。加速度センサ18は、電子時計1に生じる加速度(ユーザの腕振り歩行)を検知する。
【0028】
D.第2実施形態の動作
図7及び
図8は、本第2実施形態による電子時計1の動作を説明するためのフローチャートである。
図7及び
図8に示す処理は、表示部12にコンテンツを表示するタイミングで実行されるとともに、表示部12にコンテンツを表示しているときには所定の時間間隔で実行される。
【0029】
CPU10は、表示部12が展開しているか否か、すなわち第1表示部12aが展開しているか否かを判断する(ステップS30)。そして、表示部12が展開されている場合には(ステップS30のYES)、CPU10は、展開状態にする必要があるか否かを判断する(ステップS32)。そして、展開状態にする必要がない場合、すなわち所定の条件を満たし、二画面にコンテンツを表示する必要がない場合には(ステップS32のNO)、後述する表示部12の収納処理で第1表示部12aを閉じて非展開状態とする(ステップS34)。その後、当該処理を終了する。
【0030】
一方、展開状態にする必要がある場合、すなわち所定の条件を満たし、二画面にコンテンツを表示する必要がある場合には(ステップS32のYES)、加速度センサ18で腕振り歩行を検知したか否か、すなわちユーザが歩行しているか否かを判断し(ステップS36)、さらに、ジャイロセンサ17で特定の姿勢を検知したか否か、すなわちユーザが腕を上げて表示部12を見ている状態であるか否かを判断する(ステップS38)。そして、腕振り歩行が検知されず(ステップS36のNO)、ジャイロセンサ17で特定の姿勢が検知された場合には(ステップS38のYES)、ユーザが歩行せずに、電子時計1の表示部12を見ている状態であると判断し、展開状態の表示部12に、すなわち第1表示部12a及び第2表示部12bにコンテンツを表示する(ステップS40)。その後、当該処理を終了する。
【0031】
展開状態の表示部12にコンテンツを表示している状態で、展開状態にする必要性がなくなった場合には(ステップS32のNO)、後述する表示部12の収納処理で第1表示部12aを閉じて非展開状態とする(ステップS34)。その後、当該処理を終了する。また、展開状態の表示部12にコンテンツを表示している状態で、ユーザが歩行し始めたり、特定の姿勢を止めたりした場合には(ステップS36のYES又はステップS38のNO)、後述する表示部12の収納処理で第1表示部12aを閉じて非展開状態とする(ステップS42)。すなわち、展開状態において、加速度センサ18及びジャイロセンサ17から取得された検出値が第2閾値の範囲内(走行状態又は特定の姿勢でない状態)であった場合に、展開状態から非展開状態に遷移させる。
【0032】
一方、表示部12が展開状態でない場合(ステップS30のNO)、あるいは展開状態の表示部12(第1表示部12a及び第2表示部12b)にコンテンツを表示している状態で、ユーザが歩行し始めたり、特定の姿勢を止めたりして(ステップS36のYES又はステップS38のNO)、表示部12の収納処理で第1表示部12aを閉じて非展開状態とした場合には(ステップS42)、CPU10は、展開状態にする必要があるか否かを判断する(ステップS44)。そして、展開状態にする必要がない場合、すなわち所定の条件を満たさず、二画面にコンテンツを表示する必要がない場合には(ステップS44のNO)、当該処理を終了する。
【0033】
一方、展開状態にする必要がある場合、すなわち所定の条件を満たし、二画面にコンテンツを表示する必要がある場合には(ステップS44のYES)、加速度センサ18で腕振り歩行を検知したか否か、すなわちユーザが歩行しているか否かを判断し(ステップS46)、さらに、ジャイロセンサ17で特定の姿勢を検知したか否か、すなわちユーザが腕を上げて表示部12を見ている状態であるか否かを判断する(ステップS48)。
【0034】
そして、ユーザが歩行している場合(ステップS46のYES)、あるいは特定の姿勢でない(表示部12を見ていない)場合には(ステップS48のNO)、ステップS44に戻り、ユーザが表示部12を見る状態になるまで待機する。
【0035】
一方、腕振り歩行が検知されず(ステップS46のNO)、ジャイロセンサ17で特定の姿勢(表示部12を見ていること)が検知された場合には(ステップS48のYES)、ユーザが表示部12に表示されたコンテンツを見られる状態になった判断し、後述する表示部12の展開処理で第1表示部12aを展開して展開状態とする(ステップS50)。すなわち、第1表示部12aに表示される表示内容が所定の条件を満たしており、かつ、ジャイロセンサ17及び加速度センサ18から取得された検出値が第1閾値の範囲内(非走行状態で、特定の姿勢状態)である場合には、非展開状態から展開状態に遷移させる。その後、展開状態の表示部12、すなわち第1表示部12a及び第2表示部12bにコンテンツを表示し(ステップS40)、当該処理を終了する。
【0036】
図9は、本第2実施形態による電子時計1の動作(展開処理)を説明するためのフローチャートである。展開処理において、CPU10は、モータ駆動部15によりモータ16を駆動し、周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に第1表示部12aを回転させて展開状態とする(ステップS60)。次に、CPU10は、モータ駆動部15によりモータ16を停止して第1表示部12aを固定する(ステップS62)。その後、メインルーチンに戻る。
【0037】
図10は、本第2実施形態による電子時計1の動作(収納処理)を説明するためのフローチャートである。収納処理において、CPU10は、モータ駆動部15によりモータ16を駆動し、周縁部(フレーム部分)に配設されたヒンジ4を軸に第1表示部12aを回転させて非展開状態とする(ステップS70)。次に、CPU10は、モータ駆動部15によりモータ16を停止して第1表示部12aを固定する(ステップS72)。その後、メインルーチンに戻る。
【0038】
E.第2実施形態の表示例
次に、上述した第2実施形態による電子時計1における表示部12の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するが、表示例については、第1実施形態による電子時計1でも同様である。
【0039】
図11は、本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。通常のコンテンツに加えて、追記すべきコンテンツがあった場合、一画面の表示から二画面での表示に切り替える。例えば、
図11に示すように、通常画面として第1表示部12aに電車の乗り換え時刻を表示している場面において、周辺で電車遅延があった場合には、矢印Eの方向に第1表示部12aを展開して、第1表示部12aに周辺電車遅延情報を表示し、第2表示部12bに電車の乗り換え時刻を表示する。図示の例では、展開後、最初、第1表示部12aに表示していた電車の乗り換え時刻を第2表示部12bに表示し、周辺電車遅延情報を第1表示部12aに表示している。これは、最初に表示していた電車の乗り換え時刻をそのまま第1表示部12aに表示したまま、周辺電車遅延情報を第2表示部12bに表示すると、表示位置が入れ替わってしまうことで、ユーザが違和感を覚えるのを防止するためである。但し、第1表示部12aと第2表示部12bにそれぞれ表示する内容は、見やすさを考慮して入れ替えるようにしてもよい。また、第1表示部12aに周辺電車遅延情報を表示し、第2表示部12bに電車の乗り換え時刻を表示するタイミングを、第1表示部12aの展開後としたが、これに限らず、完全に展開し終わる前、つまり周辺電車遅延情報を取得したタイミングで表示を切り替えるようにしてもよい。
【0040】
図12は、本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。一画面のコンテンツに対し、一画面に表示するほどではない補足的なコンテンツがある場合、「補足コンテンツ表示モード」がオンになっている場合のみ二画面に拡張して表示する。図示の例は、英単語帳において、覚える上で知識として有った方が好ましいが、必須ではない程度の補足的なコンテンツを、矢印Eの方向に展開した第1表示部12aに表示させている。ここで、上記「補足コンテンツ表示モード」は、別途手動で設定を行ってもよいし、学習の習熟レベルに合わせて、自動でオン/オフが切り替わるようにしてもよい。この例でも、展開後には、最初、第1表示部12aに表示していた英単語長を第2表示部12bに表示し、補足的なコンテンツを第1表示部12aに表示しているが、適宜、見やすさを考慮して入れ替えるようにしてもよい。この場合も、
図11と同様に、第1表示部12aに表示していた英単語帳を第2表示部12bに表示し、補足的なコンテンツを第1表示部12aに表示するタイミングを、第1表示部12aの展開後としたが、これに限らず、完全に展開し終わる前、つまり補足的なコンテンツを取得したタイミングで、表示を切り替えるようにしてもよい。
【0041】
図13は、本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。表や図など、横長に連続した表示が必要な場面において、一画面の表示から二画面での表示に切り替える。この場合、図示するように、矢印Eの方向に展開した第1表示部12aと第2表示部12bとが一体型表示となり得るフチなしスクエア型の表示部であることが好ましい。図示の例では、穴埋め形式の歴史年表を、第1表示部12aと第2表示部12bに連続して表示させている。これにより歴史の流れをより鮮明にし、学習効率を上げる効果を期待できる。この場合も、同様に、第1表示部12aに表示していた歴史年表を第2表示部12bに表示し、追加する歴史年表を第1表示部12aに表示するタイミングを、第1表示部12aの展開後としたが、これに限らず、完全に展開し終わる前、つまり追加する歴史年表を取得したタイミングで、表示を切り替えるようにしてもよい。
【0042】
図14は、本第2実施形態による電子時計1における表示部の収納状態から展開状態への遷移及び表示例を説明するための模式図である。向かい合う相手と同じ情報を共有したい場面において、一画面の表示から二画面での表示に切り替え、矢印Eの方向に展開した第1表示部12aに上下反転した内容を表示し、第2表示部12bにはユーザ側から視認しやすいように正立させて表示する。図示の例では、単語帳での学習を向かい合う2名のユーザに対して提示する場面において、展開した第1表示部12aにコンテンツを上下反転して表示している。特に、満員電車内など、狭い空間で2名で学習を行いたい場合に格別な効果を有する。このとき、表示部12を展開するか否かは、向かい合う相手が所有する携帯情報端末(スマートフォンなど)との一定時間以上の接続があるか否かで判定するようにしてもよい。この場合も、同様に、第1表示部12aに表示していたコンテンツを第2表示部12bに表示し、同じコンテンツを第1表示部12aに反転表示するタイミングを、第1表示部12aの展開後としたが、これに限らず、完全に展開し終わる前、つまり表示部12を展開することを決定したタイミングで、表示を切り替えるようにしてもよい。
【0043】
上述した本実施形態によれば、第1表示部12aの下に重なるように第2表示部12bを配設し、第1表示部12aに表示される内容が所定の条件を満たしている場合に、第1表示部12aの表示画面がユーザから視認可能な状態のまま、第2表示部12bの表示画面がユーザから視認可能になるように第1表示部12aを移動させるようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができる。
【0044】
上述した本実施形態によれば、第1表示部12aを、周辺部に設けたヒンジ4を軸に水平方向に回転させることで第2表示部12bの表示画面がユーザから視認可能となるようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、簡単な構造で、必要に応じて表示画面を拡張することができる。
【0045】
上述した本実施形態によれば、第1表示部12aを、一方向にスライドさせることで第2表示部12bの表示画面がユーザから視認可能となるようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、簡単な構造で、必要に応じて表示画面を拡張することができる。
【0046】
上述した本実施形態によれば、第1表示部12aに表示される内容が所定の条件を満たしている場合に、第1表示部12aを第2表示部12b上に重なった位置で係合しているフック5を外し、バネ等の弾性部材により、第2表示部12bの表示画面がユーザから視認可能になる位置に第1表示部12aを移動させるようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、簡単な構造で、必要に応じて表示画面を拡張することができる。
【0047】
上述した本実施形態によれば、第1表示部12aが第2表示部12bに重なっている非展開状態では、第1表示部12aにコンテンツを表示し、第2表示部12bの表示画面がユーザから視認可能になるように第1表示部12aが移動させた展開状態では、第1表示部12aと第2表示部12bとのそれぞれにコンテンツを表示するようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができる。
【0048】
上述した本実施形態によれば、展開状態では、非展開状態で第1表示部12aに表示されているコンテンツを第2表示部12bに表示し、補足コンテンツを第1表示部12aに表示するようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができ、かつ視認性を向上させることができる。
【0049】
上述した本実施形態によれば、展開状態では、第1表示部12aから第2表示部12bまで連続した横長のコンテンツを表示するようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができ、かつ視認性を向上させることができる。
【0050】
上述した本実施形態によれば、展開状態では、第1表示部12aと第2表示部12bとのいずれか一方のコンテンツを上下反転して表示するようにしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができ、かつ対面する他のユーザとコンテンツを共有することができる。
【0051】
上述した本実施形態によれば、所定の条件を、コンテンツの情報量、コンテンツの種類、コンテンツの利用状況の少なくとも1つとしたので、携帯性及び耐久性を損なうことなく、必要に応じて表示画面を拡張することができ、かつ様々なコンテンツや、様々な使用状況などで効果的にコンテンツを表示することができる。
【0052】
なお、上述した実施形態において、第1表示部12aを透明液晶とし、非展開状態でも第2表示部12bがユーザから視認可能な状態であってもよい。また、電子時計1は、ユーザの身体に装着して使用されるウェアラブル機器を含んでもよい。また、第1表示部12aと第2表示部12bだけでなく、第3表示部等、3つ以上の表示部を備えていて、すべて展開できるような構成になっていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…電子時計、2…本体、3…バンド、4…ヒンジ、5…フック、6a、6b…スリット、10…CPU、11…メモリ、12…表示部、12a…第1表示部、12b…第2表示部、13…操作部、14…フック駆動部、15…モータ駆動部、16…モータ、17…ジャイロセンサ、18…加速度センサ