IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図1
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図2
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図3
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図4
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図5
  • 特開-半導体装置、電子機器、及び車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041277
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】半導体装置、電子機器、及び車両
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20240319BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240319BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20240319BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H01L27/06 102A
H02M1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145994
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 克明
(72)【発明者】
【氏名】佐田 誠
(72)【発明者】
【氏名】宅間 徹
【テーマコード(参考)】
5F048
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA02
5F048BB05
5F048BC03
5F048CC01
5F048CC06
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB07
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM02
5J055AX25
5J055AX37
5J055CX01
5J055DX13
5J055DX55
5J055EY01
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
(57)【要約】
【課題】アクティブクランプ耐量の向上と高速スイッチングとを両立できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置(1A)は、第1端子(T1)と第2端子(T2)との間に接続されるように構成された第1出力トランジスタ(M1)及び第2出力トランジスタ(M2)と、前記第1出力トランジスタの第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路(ACLP1)と、制御信号が供給されるように構成されたノード(N1)と前記第1制御端子との間に設けられる第1可変抵抗部(Q3)と、前記ノードと前記第2出力トランジスタの第2制御端子との間に設けられる第2可変抵抗部(Q4)と、前記第2可変抵抗部と前記第2制御端子との接続ノードに接続され、前記第2出力トランジスタをオフにできるように構成されたオフ回路(Q5)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と第2端子との間に接続されるように構成された第1出力トランジスタ及び第2出力トランジスタと、
前記第1出力トランジスタの第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路と、
制御信号が供給されるように構成されたノードと前記第1制御端子との間に設けられる第1可変抵抗部と、
前記ノードと前記第2出力トランジスタの第2制御端子との間に設けられる第2可変抵抗部と、
前記第2可変抵抗部と前記第2制御端子との接続ノードに接続され、前記第2出力トランジスタをオフにできるように構成されたオフ回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記オフ回路は、前記アクティブクランプ回路が動作中に前記第2出力トランジスタをオフにする、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1可変抵抗部及び前記第2可変抵抗部はそれぞれ非線形素子である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記非線形素子は、トランジスタである、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トランジスタは、MOS電界効果トランジスタである、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記MOS電界効果トランジスタは、デプレッション型MOS電界効果トランジスタである、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1制御端子及び前記第2制御端子がチャージされるときに、前記非線形素子はオンである、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記アクティブクランプ回路が動作中であるときに、前記非線形素子はオフである、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1可変抵抗部に並列接続される第1抵抗と、前記第2可変抵抗部に並列接続される第2抵抗と、をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に接続される誘導性負荷と、
を備える、電子機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電子機器を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体装置、電子機器、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、これまで、車載IPD[intelligent power device]などの半導体装置
に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/187785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載IPDなどの半導体装置は、一般に、誘導性負荷の逆起電力を吸収する
ための手段として、アクティブクランプ回路を備えている。
【0005】
しかしながら、従来の半導体装置では、アクティブクランプ耐量(アクティブクランプ回路で吸収できるエネルギー限界)の向上と高速スイッチングとの両立について、さらなる検討の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている半導体装置は、第1端子と第2端子との間に接続されるように構成された第1出力トランジスタ及び第2出力トランジスタと、前記第1出力トランジスタの第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路と、制御信号が供給されるように構成されたノードと前記第1制御端子との間に設けられる第1可変抵抗部と、前記ノードと前記第2出力トランジスタの第2制御端子との間に設けられる第2可変抵抗部と、前記第2可変抵抗部と前記第2制御端子との接続ノードに接続され、前記第2出力トランジスタをオフにできるように構成されたオフ回路と、を備える。
【0007】
本明細書中に開示されている電子機器は、上記構成の半導体装置と、前記半導体装置に接続される誘導性負荷と、を備える。
【0008】
本明細書中に開示されている車両は、上記構成の電子機器を備える。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている発明によれば、アクティブクランプ耐量の向上と高速スイッチングとを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。
図2図2は、Nチャネルのデプレッション型MOS電界効果トランジスタの断面構造を示す概略図である。
図3図3は、入力電圧、ゲート信号、及び出力電圧の波形例を示すタイミングチャートである。
図4図4は、半導体装置を備えた電子機器の他の構成例を示す図である。
図5図5は、入力電圧、ゲート信号、及び出力電圧の波形例を示すタイミングチャートである。
図6図6は、車両の一構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOS電界効果トランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0012】
<電子機器>
図1は、半導体装置を備えた電子機器の一構成例を示す図である。本構成例の電子機器10Aは、半導体装置1Aと、誘導性負荷であるインダクタL1と、直流電源VS1及びVS2と、を備える。
【0013】
半導体装置1Aは、インダクタL1とグラウンド電位との間を導通/遮断するローサイドスイッチIC(IPDの一種)である。
【0014】
半導体装置1Aは、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、端子T1~T4を備える。端子T1は、インダクタL1の第1端に接続される。インダクタL1の第2端は、直流電源VS1の正極に接続される。端子T2は、グラウンド電位に接続される。端子T3は、入力信号INを受け取る。端子T4は、直流電源VS2の正極に接続される。直流電源VS1及びVS2の各負極は、グラウンド電位に接続される。直流電源VS1は電圧VCCを出力する。直流電源VS2は電圧VDDを出力する。電圧VCCと電圧VDDとは、互いに同じ値の電圧であってもよく、互いに異なる値の電圧であってもよい。
【0015】
半導体装置1Aは、制御回路CNT1と、抵抗R0と、MOS電界効果トランジスタQ1~Q5と、アクティブクランプ回路ACLP1と、出力トランジスタM1及びM2と、を備える。
【0016】
制御回路CNT1は、端子T4に接続される。また、制御回路CNT1は、グラウンド電位にも接続される。制御回路CNT1は、端子T3に接続されており、入力信号INに基づき制御動作を実行する。
【0017】
抵抗R0の第1端は、端子T4に接続される。抵抗R0の第2端は、MOS電界効果トランジスタQ1のソース及びバックゲートに接続される。
【0018】
MOS電界効果トランジスタQ1は、Pチャネルのエンハンスメント型MOS電界効果トランジスタである。なお、制御回路CNT1は、MOS電界効果トランジスタQ1と対になってカレントミラーを構成するMOS電界効果トランジスタを含む。
【0019】
MOS電界効果トランジスタQ1のドレインは、MOS電界効果トランジスタQ2のドレインと、ノードN1と、に接続される。MOS電界効果トランジスタQ2のソース及びバックゲートは、グラウンド電位に接続される。
【0020】
MOS電界効果トランジスタQ2は、Nチャネルのエンハンスメント型MOS電界効果トランジスタである。なお、制御回路CNT1は、MOS電界効果トランジスタQ2と対になってカレントミラーを構成するMOS電界効果トランジスタを含む。
【0021】
制御回路CNT1は、入力信号INがHIGHレベルであるときに、MOS電界効果トランジスタQ1のゲートに供給するゲート信号G1をLOWレベルにし、MOS電界効果トランジスタQ2のゲートに供給するゲート信号G2をLOWレベルにする。制御回路CNT1が、MOS電界効果トランジスタQ1のゲートに供給するゲート信号G1をLOWレベルにし、MOS電界効果トランジスタQ2のゲートに供給するゲート信号G2をLOWレベルにすると、MOS電界効果トランジスタQ1がオンになり、MOS電界効果トランジスタQ2がオフになる。MOS電界効果トランジスタQ1がオンであってMOS電界効果トランジスタQ2がオフであるとき、ノードN1に供給される制御信号PreGATEはHIGHレベル(≒電圧VDD)になる。
【0022】
一方、制御回路CNT1は、入力信号INがLOWレベルであるときに、MOS電界効果トランジスタQ1のゲートに供給するゲート信号G1をHIGHレベルにし、MOS電界効果トランジスタQ2のゲートに供給するゲート信号G2をHIGHレベルにする。制御回路CNT1が、MOS電界効果トランジスタQ1のゲートに供給するゲート信号G1をHIGHレベルにし、MOS電界効果トランジスタQ2のゲートに供給するゲート信号G2をHIGHレベルにすると、MOS電界効果トランジスタQ1がオフになり、MOS電界効果トランジスタQ2がオンになる。MOS電界効果トランジスタQ1がオフであってMOS電界効果トランジスタQ2がオンであるとき、ノードN1に供給される制御信号PreGATEはLOWレベル(≒グラウンド電位)になる。
【0023】
ノードN1は、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4の各ソースに接続される。MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4は、Nチャネルのデプレッション型MOS電界効果トランジスタである。MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4の各バックゲートは、グラウンド電位に接続される。MOS電界効果トランジスタQ3のドレインは、出力トランジスタM1のゲートに接続される。MOS電界効果トランジスタQ4のドレインは、出力トランジスタM2のゲートに接続される。
【0024】
MOS電界効果トランジスタQ3は、ノードN1と出力トランジスタM1のゲートとの間に設けられる第1可変抵抗部の一例である。第1可変抵抗部は、エンハンスメント型MOS電界効果トランジスタ、MOS電界効果トランジスタ以外のトランジスタなどの非線形素子であってもよく、線形素子であってもよい。ただし、第1可変抵抗部が非線形素子である場合には、第1可変抵抗部の抵抗値の範囲を容易に広くすることができる。また、第1可変抵抗部がデプレッション型MOS電界効果トランジスタである場合には、バックゲートがグラウンド電位に接続されることで、寄生素子による電流経路が形成されないので(図2参照)、双方向での第1可変抵抗部の抵抗値を容易に高くすることができる。図2は、Nチャネルのデプレッション型MOS電界効果トランジスタであるMOS電界効果トランジスタQ3の断面構造例を示す概略図である。MOS電界効果トランジスタQ3は、N型エピタキシャル層30と、N型エピタキシャル層30内に形成される高レベルP型ウェル31、低レベルP型ウェル32、N型ウェル33、及び低レベルP型ウェル34と、低レベルP型ウェル32内に形成される高濃度P型不純物領域35及び高濃度N型不純物領域36と、N型ウェル33内に形成される高濃度N型不純物領域37と、低レベルP型ウェル34内に形成される高濃度P型不純物領域38と、N型ウェル33上に形成される絶縁層39と、低レベルP型ウェル32、高レベルP型ウェル31、N型ウェル33、及び絶縁層39上に形成されるゲート電極40と、を備える。
【0025】
MOS電界効果トランジスタQ4は、ノードN1と出力トランジスタM2のゲートとの間に設けられる第2可変抵抗部の一例である。第2可変抵抗部は、エンハンスメント型MOS電界効果トランジスタ、MOS電界効果トランジスタ以外のトランジスタなどの非線形素子であってもよく、線形素子であってもよい。ただし、第2可変抵抗部が非線形素子である場合には、第2可変抵抗部の抵抗値の範囲を容易に広くすることができる。また、第2可変抵抗部がデプレッション型MOS電界効果トランジスタである場合には、バックゲートがグラウンド電位に接続されることで、寄生素子による電流経路が形成されないので、双方向での第2可変抵抗部の抵抗値を容易に高くすることができる。
【0026】
MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4はそれぞれ高耐圧素子である。つまり、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4の各耐圧は、MOS電界効果トランジスタQ1及びQ2の各耐圧より高い。
【0027】
出力トランジスタM1及びM2はそれぞれNチャネルのパワーMISFET[metal insulator semiconductor field effect transistor]である。出力トランジスタM1及びM2の各ドレインは、端子T1に接続される。出力トランジスタM1及びM2の各ソース及び各バックゲートは、端子T2に接続される。
【0028】
MOS電界効果トランジスタQ5のドレインは、出力トランジスタM2のゲートと、MOS電界効果トランジスタQ4のドレインと、に接続される。MOS電界効果トランジスタQ5は、Nチャネルのエンハンスメント型MOS電界効果トランジスタである。MOS電界効果トランジスタQ5のソース及びバックゲートは、グラウンド電位に接続される。
【0029】
MOS電界効果トランジスタQ5は、出力トランジスタM2をオフにできるオフ回路の一例である。制御回路CNT1は、アクティブクランプ回路ACLP1が動作中に、MOS電界効果トランジスタQ5のゲートに供給するゲート信号G5をHIGHレベルにする。つまり、制御回路CNT1は、出力トランジスタM1及びM2がオンからオフに切り替わる遷移時において、MOS電界効果トランジスタQ5のゲートに供給するゲート信号G5をHIGHレベルにする。これにより、MOS電界効果トランジスタQ5は、前記アクティブクランプ回路ACLP1が動作中に出力トランジスタM2をオフにする。これにより、逆起エネルギーを吸収する出力トランジスタが出力トランジスタM1に限定されるため、アクティブクランプ時における出力トランジスタでの熱集中が緩和され、アクティブクランプ耐量が高まる。
【0030】
アクティブクランプ回路ACLP1は、端子T1と端子T2との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限する。アクティブクランプ回路ACLP1は、MOS電界効果トランジスタQ6と、ツェナーダイオードD1と、ダイオードD2と、ツェナーダイオードD3と、を含む。MOS電界効果トランジスタQ6は、Nチャネルのエンハンスメント型MOS電界効果トランジスタである。
【0031】
ツェナーダイオードD1のカソード及びMOS電界効果トランジスタQ6のドレインは、端子T1と、出力トランジスタM1及びM2の各ドレインと、に接続される。ツェナーダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のアノードに接続される。ダイオードD2のカソード及びツェナーダイオードD3のカソードは、MOS電界効果トランジスタQ6のゲートに接続される。ツェナーダイオードD3のアノード及びMOS電界効果トランジスタQ6のバックゲートはグラウンド電位に接続される。MOS電界効果トランジスタQ6のソースは、出力トランジスタM1のゲートと、MOS電界効果トランジスタQ3のドレインと、に接続される。なお、ツェナーダイオードD1の代わりに、複数のツェナーダイオードによって構成される直列回路が用いられてよい。
【0032】
制御回路CNT1は、入力信号INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったタイミングから所定期間が経過するまでの間、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4をオンにする。これにより、出力トランジスタM1及びM2の各ゲートがチャージされるときに、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4が30Ω程度の低抵抗になるため、出力トランジスタM1及びM2が高速でターンオンする。
【0033】
制御回路CNT1は、入力信号INがHIGHレベルからLOWレベルに切り替わったタイミングから所定期間が経過するまでの間、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4をオンにする。これにより、出力トランジスタM1及びM2の各ゲートがディスチャージされるときに、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4が30Ω程度の低抵抗になるため、出力トランジスタM1及びM2が高速でターンオフする。
【0034】
制御回路CNT1は、アクティブクランプ回路ACLP1が動作中であってMOS電界効果トランジスタQ5がオフであるときに、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4をオフにする。これにより、アクティブクランプ回路ACLP1が動作中であるときに、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4が10kΩ以上の高抵抗になる。したがって、アクティブクランプ回路ACLP1が動作中であってMOS電界効果トランジスタQ5及びQ6がオンであっても、ゲート信号GATE1とゲート信号GATE2とを互いに異なるレベルの信号にすることができる。
【0035】
以上により、半導体装置1Aは、アクティブクランプ耐量の向上と高速スイッチングとを両立することができる。
【0036】
制御回路CNT1は、出力トランジスタM1及びM2のゲート絶縁層の欠陥有無を調べるスクリーニングテスト時に、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4をオフにする。これにより、スクリーニングテスト時に、MOS電界効果トランジスタQ3及びQ4が10kΩ以上の高抵抗になる。したがって、スクリーニングテスト時にMOS電界効果トランジスタQ3及びQ4の各ソース電位とMOS電界効果トランジスタQ3及びQ4の各ドレイン電位を異なるレベルにすることができる。このため、出力トランジスタM1及びM2に高電圧が印加されてもMOS電界効果トランジスタQ1及びQ2に高電圧が印加されないようにできる。
【0037】
図3は、半導体装置1Aにおける入力電圧IN、ゲート信号GATE1、及び端子T1に印加される出力電圧VOUTの波形例を示すタイミングチャートである。図3は、入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったときのタイミングチャートである。
【0038】
入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったタイミングTM1でMOS電界効果トランジスタQ3がオンになり、MOS電界効果トランジスタQ3は低抵抗になる。入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったタイミングTM1の後、出力トランジスタM1のゲートへのチャージが始まる。出力トランジスタM1のゲート電位の上昇に伴って、タイミングTM2から出力トランジスタM1のハーフオンが始まり、出力電圧VOUTが減少し始める。そして、出力電圧VOUTがグラウンド電位近くまで減少したタイミングTM3でMOS電界効果トランジスタQ3がオフになり、MOS電界効果トランジスタQ3は高抵抗になる。そして、ゲート信号GATE1は電圧VDDからMOS電界効果トランジスタQ3の閾値電圧Vth及び利得係数βを引いた値で安定する。
【0039】
図4は、半導体装置を備えた電子機器の他の構成例を示す図である。本構成例の電子機器10Bは、半導体装置1Bと、誘導性負荷であるインダクタL1と、直流電源VS1及びVS2と、を備える。半導体装置1Bは、上述した半導体装置1Aに抵抗R1及びR2が追加された構成である。
【0040】
抵抗R1は、MOS電界効果トランジスタQ3に並列接続される。抵抗R2は、MOS電界効果トランジスタQ4に並列接続される。抵抗R1及びR2はそれぞれ高抵抗、すなわち抵抗値が10kΩ以上の固定抵抗である。
【0041】
抵抗R1及びR2が設けられることで、出力トランジスタM1及びM2がオンであるときのゲート信号GATE1及びGATE2が高くなるので、出力トランジスタM1及びM2の各オン抵抗を低くすることができる。
【0042】
図5は、半導体装置1Bにおける入力電圧IN、ゲート信号GATE1、及び端子T1に印加される出力電圧VOUTの波形例を示すタイミングチャートである。図5は、入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったときのタイミングチャートである。なお、図5中の細い実線は、半導体装置1Aにおけるゲート信号GATE1の波形を示している。
【0043】
入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったタイミングTM1でMOS電界効果トランジスタQ3がオンになり、MOS電界効果トランジスタQ3は低抵抗になる。入力電圧INがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わったタイミングTM1の後、出力トランジスタM1のゲートへのチャージが始まる。出力トランジスタM1のゲート電位の上昇に伴って、タイミングTM2から出力トランジスタM1のハーフオンが始まり、出力電圧VOUTが減少し始める。そして、出力電圧VOUTがグラウンド電位近くまで減少したタイミングTM3でMOS電界効果トランジスタQ3がオフになり、MOS電界効果トランジスタQ3は高抵抗になる。そして、抵抗R1が設けられているため、ゲート信号GATE1は電圧VDD近くまで増加する。
【0044】
<車両への適用>
図6は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器を搭載している。
【0045】
車両Xには、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle]、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0046】
車両Xは、例えば先に説明した電子機器10A又は10Bを搭載することができる。
【0047】
<その他>
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。これまでに説明してきた各種の実施形態は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【0048】
例えば、上記実施形態では、ローサイドスイッチICへの適用例を挙げたが、ハイサイドスイッチICにも上記実施形態と同様の回路構成を適用することが可能である。
【0049】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0050】
本開示の半導体装置(1A、1B)は、第1端子(T1)と第2端子(T2)との間に接続されるように構成された第1出力トランジスタ(M1)及び第2出力トランジスタ(M2)と、前記第1出力トランジスタの第1制御端子に接続されて前記第1端子と前記第2端子との間に現れる端子間電圧をクランプ電圧以下に制限するように構成されたアクティブクランプ回路(ACLP1)と、制御信号が供給されるように構成されたノード(N1)と前記第1制御端子との間に設けられる第1可変抵抗部(Q3)と、前記ノードと前記第2出力トランジスタの第2制御端子との間に設けられる第2可変抵抗部(Q4)と、前記第2可変抵抗部と前記第2制御端子との接続ノードに接続され、前記第2出力トランジスタをオフにできるように構成されたオフ回路(Q5)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0051】
上記第1の構成の半導体装置において、前記オフ回路は、前記アクティブクランプ回路が動作中に前記第2出力トランジスタをオフにする構成(第2の構成)であってもよい。
【0052】
上記第1又は第2の構成の半導体装置において、前記第1可変抵抗部及び前記第2可変抵抗部はそれぞれ非線形素子である構成(第3の構成)であってもよい。
【0053】
上記第3の構成の半導体装置において、前記非線形素子は、トランジスタである構成(第4の構成)であってもよい。
【0054】
上記第4の構成の半導体装置において、前記トランジスタは、MOS電界効果トランジスタである構成(第5の構成)であってもよい。
【0055】
上記第5の構成の半導体装置において、前記MOS電界効果トランジスタは、デプレッション型MOS電界効果トランジスタである構成(第6の構成)であってもよい。
【0056】
上記第3~第6いずれかの構成の半導体装置において、前記第1制御端子及び前記第2制御端子がチャージされるときに、前記非線形素子はオンである構成(第7の構成)であってもよい。
【0057】
上記第3~第7いずれかの構成の半導体装置において、前記アクティブクランプ回路が動作中であるときに、前記非線形素子はオフである構成(第8の構成)であってもよい。
【0058】
上記第1~第8いずれかの構成の半導体装置において、前記第1可変抵抗部に並列接続される第1抵抗と、前記第2可変抵抗部に並列接続される第2抵抗と、をさらに備える構成(第9の構成)であってもよい。
【0059】
本開示の電子機器(10A、10B)は、上記第1~第9いずれかの構成である半導体装置と、前記半導体装置に接続される誘導性負荷(L1)と、を備える構成(第10の構成)である。
【0060】
本開示の車両(X)は、上記第10の構成である電子機器を備える構成(第11の構成)である。
【符号の説明】
【0061】
1A、1B 半導体装置
10A、10B 電子機器
30 N型エピタキシャル層
31 高レベルP型ウェル
32 低レベルP型ウェル
33 N型ウェル
34 低レベルP型ウェル
35 高濃度P型不純物領域
36 高濃度N型不純物領域
37 高濃度N型不純物領域
38 高濃度P型不純物領域
39 絶縁層
40 ゲート電極
ACLP1 アクティブクランプ回路
CNT1 制御回路
D1、D3 ツェナーダイオード
D2 ダイオード
L1 インダクタ
VS1、VS2 直流電源
M1、M2 出力トランジスタ
Q1~Q6 MOS電界効果トランジスタ
R0~R2 抵抗
T1~T4 端子
X 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6