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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041286
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 27/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
F25D27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146007
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ゆり子
(72)【発明者】
【氏名】加納 奨一
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA01
3L045EA01
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、照明装置の天井部内壁面からの突出を抑制し、かつ光源から射出された光を庫内後方にも照射することができる冷蔵庫を提供することにある。
【解決手段】
本実施例の冷蔵庫1は、第1天井部81と、第1天井部81に対して後方かつ上方に位置する第2天井部82と、第1天井部81と第2天井部82とをつなぐ傾斜面を含む第3天井部83と、を有する天井部80と、天井部80の第3天井部83を含む範囲に配される照明装置40と、を備え、照明装置40は、第3天井部83の傾斜面に沿う傾斜部(第2カバー部)412を有するカバー部材41を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1天井部と、前記第1天井部に対して後方かつ上方に位置する第2天井部と、前記第1天井部と前記第2天井部とをつなぐ傾斜面を含む第3天井部と、を有する天井部と、
前記天井部の前記第3天井部を含む範囲に配される照明装置と、
を備え、
前記照明装置は、前記第3天井部の前記傾斜面に沿う傾斜部を有するカバー部材を備える冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記照明装置は、前記第1天井部と前記第3天井部とに跨って設けられ、
前記照明装置の前記カバー部材は、前記第3天井部の前記傾斜面に沿う前記傾斜部を第2カバー部として、前記第1天井部に沿う第1カバー部を有する冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記第1天井部は、庫内後側に向かって進むに従って下降するように傾斜した傾斜面として構成された冷蔵庫。
【請求項4】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記天井部は、前記第1天井部と前記第3天井部とに跨って設けられて庫内側から外側に向かって窪んだ凹部を有し、
前記第1カバー部および前記第2カバー部は、前記凹部の開口面上に位置するか、或いは前記凹部の開口面に対して前記凹部の内側に位置する冷蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の冷蔵庫において、
前記カバー部材は、前記第1カバー部の前端が庫内に設けられる棚の前端の位置よりも前方に位置し、前記第2カバー部の後端が前記棚の前端の位置よりも後方に位置するように配置される冷蔵庫。
【請求項6】
請求項5に記載の冷蔵庫において、
前記第1天井部は、前記照明装置の側方を後方に向かって延設された延設部分を有し、
前記照明装置は、当該冷蔵庫の幅方向に長手方向を有し、長手方向における長さ寸法が、庫内の幅寸法の半分の長さ寸法よりも大きい冷蔵庫。
【請求項7】
請求項6に記載の冷蔵庫において、
前記カバー部材は、前記照明装置の光源に近い側のシボ加工が前記光源から遠い側のシボ加工に比べて濃くなるように、シボ加工が施されている冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷蔵室の内壁面に取り付けられ、冷蔵室内を照明する照明装置を備えた冷蔵庫が記載されている。この照明装置は、照明光源と、照明光源の発光面側を覆い、内部に照明光源の収納空間を形成する透明な照明カバーと、照明カバーと照明光源との間に設けられ、照明光源から射出された光を拡散させる印刷が施された拡散シートと、照明カバーの内面に拡散シートの面を接触させて拡散シートを保持するシート保持部とを有し、拡散シートには、照明光源との位置関係に応じて異なる印刷が施されている(要約及び図5,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-156983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷蔵庫では、照明光源から射出された光が庫内後方にも照射されるように配慮しているものの、照明装置の照明カバーが冷蔵室の天面(天井部)の内壁面よりも下方に向けて突出している。照明装置の照明カバーが天面の内壁面よりも突出していると、食品を冷蔵室から出し入れする際に照明装置が邪魔になる。
【0005】
本発明の目的は、照明装置の天井部内壁面からの突出を抑制し、かつ光源から射出された光を庫内後方にも照射することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、
第1天井部と、前記第1天井部に対して後方かつ上方に位置する第2天井部と、前記第1天井部と前記第2天井部とをつなぐ傾斜面を含む第3天井部と、を有する天井部と、
前記天井部の前記第3天井部を含む範囲に配される照明装置と、
を備え、
前記照明装置は、前記第3天井部の前記傾斜面に沿う傾斜部を有するカバー部材を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明装置の天井部内壁面からの突出を抑制し、かつ光源から射出された光を庫内後方にも照射することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る冷蔵庫の外観を示す正面図。
図2】本発明に係る冷蔵庫における断熱箱体の構成を示す斜視図。
図3】本発明に係る冷蔵庫を上方から見た平面図。
図4図3のA-A断面に相当する断面図。
図5】本発明に係る冷蔵庫の冷蔵室部分の内箱を斜め前方から見た斜視図。
図6図5の内箱を異なる角度から見た斜視図。
図7】内箱の天井部を中央部から左側に向かって見た断面図。
図8図7の内箱の照明装置の近傍を拡大した拡大断面図。
図9図8と同様な図面に各部の寸法関係を記入した拡大断面図。
図10図5の内箱を中央部から左側に向かって見た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0010】
[実施例1]
実施例1に係る冷蔵庫に関し、添付の図面を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明に係る冷蔵庫1の外観を示す正面図である。
【0011】
<冷蔵庫の基本構造>
図1に示すように、本実施例に係る冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、左右に並設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1は、それぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a,2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3aと、上段冷凍室ドア4aと、下段冷凍室ドア5aと、野菜室ドア6aとで構成される。なお、本実施例では、6つのドアを有する冷蔵庫を例に挙げて説明するが、6ドアの冷蔵庫に限定されるものではない。引出式のドアにはそれぞれ、収納容器と、前後に延在するドア側レールが設けられており、冷蔵庫1の内箱8側のレールに例えば摺動可能である。
【0012】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度にした冷蔵貯蔵室で、間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。
【0013】
冷蔵室2の両側面に配された棚リブ13(図2参照)は、冷蔵庫1の前端から離間したところに前端が位置し、そこから後方に延在している。棚リブ13には、食品を載置可能な棚が載置され、本実施例では複数が上下に並んでいる。
【0014】
下段冷凍室5の後側には、各貯蔵室内を冷却する冷却器が配置されている。図示は省略するが、冷却器と、圧縮機と、凝縮器と、キャプラリーチューブと、は接続され、冷凍サイクルが構成される。そして、冷却器の上方には、冷却器にて冷却された冷気を循環させるための送風機が配置され、送風機の下流には貯蔵室内に冷気を吐出する吐出口が形成されている。なお、冷却器は複数あっても良く、配置は下段冷凍室5の後側に限定されるものではなく、冷蔵室2の後側に配置されてもよい。
【0015】
引出式のドアは、引出式のドアに接続されたドア側のレール(不図示)が内箱8側のレール(不図示)に接続され、内箱8に支持される。引出式のドア又はドア側レールには食品を収納可能な容器が取付けられ、引出式のドアとともに移動する。
【0016】
<断熱箱体の基本構造>
図2は、本発明に係る冷蔵庫1における断熱箱体の構成を示す斜視図である。上下方向、前後方向および左右方向が図2に図示するように定義される。上下方向は、冷蔵庫1が水平面に設置された状態において、鉛直方向に一致する。前後方向は水平面に平行であり、奥行き方向と呼ぶ場合もある。左右方向は水平面に平行で、かつ前後方向に垂直な方向あり、冷蔵庫1の幅方向と一致する。
【0017】
図2に示すように、断熱箱体は、天面、底面、両側面および背面からなり、前面は開口した箱型形状をしている。また、断熱箱体は、金属製の外箱7(図2では不図示、図5参照)と、合成樹脂製の内箱8と、を備え、外箱7と内箱8とによって形成される断熱箱体の内部の空間に、硬質ウレタンフォーム等の発泡断熱材9がいわゆる現場発泡で充填され、貯蔵室と外部とを断熱している。
【0018】
外箱7は、薄い鋼板を門型に折り曲げて形成された天面板および左右の側面板と、別部材で構成された背面板と、別部材で構成された底面板と、によって箱状に構成されている。一方、内箱8は、合成樹脂板を成形することにより、箱状に形成されている。天面板および左右の側面板は別体でもよい。
【0019】
また、冷蔵室2と、製氷室3および上段冷凍室4とは、略水平な面として配された断熱仕切部10によって隔てられている。また、下段冷凍室5と野菜室6とは、略水平な面として配された断熱仕切部11によって隔てられている。これらの断熱仕切部10,11は、異なる温度帯の貯蔵室を区画する部分に設けられ、冷凍温度帯室の冷気によって冷蔵温度帯室内が冷え過ぎないようにする役割を果たす。
【0020】
さらに、外箱7と内箱8との間には、発泡断熱材9に加えて、発泡断熱材9よりも熱伝導率の低い真空断熱材12(図2では不図示、図5参照)が実装されており、食品収納容積を低下させることなく断熱性能が高められている。ここで、真空断熱材12は、ガスバリア性を確保するため、グラスウール等の芯材が、例えばアルミニウム等の金属層で形成される外包材で包んで構成されている。真空断熱材12は、外箱7の内壁面、すなわち、天面板、側面板、背面板および底面板のそれぞれの内壁面に、両面テープやホットメルトなどの接着剤を真空断熱材12の一部または全面に用いてそれぞれ貼り付けられる。
【0021】
現場発泡した発泡断熱材9は熱伝導率の点で真空断熱材12より劣るが、内箱8と外箱7の間の空間に注入された発泡断熱材9の接着力により内箱8と外箱7を一体化できるので、断熱箱体の強度を向上させるのに有用である。
【0022】
なお、外箱7と内箱8との間に発泡断熱材9とともに埋設されるものは真空断熱材12に限らず、発泡断熱材9よりも熱伝導率λが小さいものであればよい。
【0023】
発泡断熱材9は、内箱8と外箱7、あるいは真空断熱材12などで構成される断熱空間に充填、固化して冷蔵庫の強度を確保するが、全ての空間で構造体として同様には寄与していない。すなわち本実施例の冷蔵庫1では、発泡断熱材9の設けられていない部分が設けられている。以下、このような構成を部分ウレタンレスと呼び、照明装置60が取り付けられる天面の部分ウレタンレスについて詳細に説明する。
【0024】
<天面における部分ウレタンレスの詳細>
図3は、本発明に係る冷蔵庫1を上方から見た平面図である。図4は、図3のA-A断面に相当する断面図である。
【0025】
断熱箱体の天面(天井部)の構造に関し、説明する。天井部の真空断熱材12の前側および後側には、図4に示すように、発泡断熱材9が連続的に充填されている。ここで、真空断熱材12の下面と内箱8との間については、発泡断熱材9は天井部の前端から庫内灯(照明装置)40に跨る前側領域と、真空断熱材12の後端から角部20(背面から天面へ繋がる後方上側の傾斜部)終端に跨る後側領域と、にのみ充填され、中央領域(前側領域と後側領域との間)には、発泡断熱材9が充填されていない。
【0026】
なお、図4は概略図であり、照明装置40と内箱8との間に発泡断熱材9は設けられていないような図になっているが、後述するように、照明装置40と内箱8との間の微小な隙間にも発泡断熱材9が充填されている。
【0027】
天井部の真空断熱材12の鉛直投影下方のうち中央領域(前側領域と後側領域との間)を部分ウレタンレスとすることで、ウレタン断熱材の注入量を低減できる。また、部分ウレタンレスとしても、天井部の真空断熱材12の周囲(前後左右の側面)については発泡断熱材9が存在し、特に、前側領域と後側領域では、発泡断熱材9が真空断熱材12の端部を下面から側面にかけて咥え込むように支持しているため、真空断熱材12の落下やヒートブリッジが防止される。同時に、ウレタンレス近傍に配置した照明装置40の周囲には少なくとも発泡断熱材9が充填されていることで、照明装置40に関わる部品の固定強度も確保することができる。
【0028】
<冷蔵室の構成>
図5および図6を参照して、冷蔵室2について説明する。図5は、本発明に係る冷蔵庫1の冷蔵室2部分の内箱8を斜め前方から見た斜視図である。図6は、図5の内箱8を異なる角度から見た斜視図である。
【0029】
冷蔵室2内には、複数の棚70が設けられる。棚70は内箱8に形成された棚リブ13に支持される。複数段の棚リブ13を選択的に使用することにより、上下に配置される複数の棚70の間隔が変更可能である。
【0030】
図5に示すように、内箱8の天井部80には照明装置40を収納する凹部85が形成されている。この凹部85については後で詳細に説明する。
【0031】
図6に示すように、冷蔵室2内には照明装置40が設けられる。照明装置40は内箱8の天井部80に取り付けられる。照明装置40は、冷蔵庫1の幅方向(左右方向)に長手方向を有し、照明装置40の、冷蔵庫1の幅方向における寸法(長さ寸法)L40(図6参照)が、冷蔵庫1の奥行き方向(前後方向)における寸法(幅寸法)W40(図6参照)よりも大きい。また、照明装置40の長さ寸法L40は、内箱8の幅方向(左右方向)における寸法(幅寸法)W8(図5参照)の半分の長さ寸法(W8/2)よりも大きい。ここで、W8は内箱8の内面(内壁面)における幅寸法(庫内の幅寸法)とする。
【0032】
<冷蔵室の天井部>
図7を参照して、冷蔵室2の天井部80の構成について説明する。図7は、内箱8の天井部80を中央部から左側に向かって見た断面図である。
【0033】
内箱8の天井部80は、前後方向において前側に位置する前側天井部(第1天井部)81と、前側天井部81に対して後側(後方)かつ上方に位置する後側天井部(第2天井部)82と、を有する。前側天井部81は後側天井部82に対して前側(前方)に位置し、後側天井部82は前側天井部81に対して後側(後方)に位置する。
【0034】
本実施例では、前側天井部(第1天井部)81は、庫内後側(庫内奥側)に向かって進むに従って下降するように傾斜した傾斜部として構成される。一方、後側天井部82は水平面で構成される。前側天井部81と後側天井部82との間には、上下方向(高さ方向)の段差部84が設けられており、段差部84に逆傾斜部(第3天井部)83が設けられている。
【0035】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、前側天井部(第1天井部)81と、前側天井部81に対して後方かつ上方に位置する後側天井部(第2天井部)82と、前側天井部81と後側天井部82とをつなぐ傾斜面を含む逆傾斜部(第3天井部)83と、を有する天井部80を備える。
【0036】
逆傾斜部83は前側天井部81の傾斜とは逆の傾斜を有する。すなわち逆傾斜部(第3天井部)83は、庫内後側(庫内奥側)に向かって進むに従って上昇する傾斜面として構成される。
【0037】
前側天井部81および後側天井部82には、上述した構成に限らず、種々の構成を採用し得る。例えば、前側天井部81を水平面で構成してもよい。ただし、前側天井部81と後側天井部82との間に、上下方向(高さ方向)の段差部84が設けられるものとする。
【0038】
逆傾斜部83は内箱8の前後方向中央よりも前方に設けられている。逆傾斜部83を含む領域には照明装置40が設けられる。照明装置40は、逆傾斜部(第3天井部)83を含む範囲の天井部80に配されたカバー部材41を有する。その結果、照明装置40は内箱8の前後方向中央よりも前方に位置している。図7の一点鎖線8aは内箱8の前後方向中央を示す。また照明装置40は、前後方向において、棚70の前端70aの位置を含む領域に設けられている。図7の一点鎖線70aは、前後方向における棚70の前端70aの位置を示す。
【0039】
段差部84の第3天井部(逆傾斜部)83を傾斜面とすることで、冷蔵室2の後方から吐出された冷気が斜め下へ案内され、ドアポケット内の食品を冷却し易くなる。また、傾斜のない段差と比べて、食品を出し入れし易い利点や、ウレタン断熱材の注入時にウレタン断熱材が流動し易くなる利点もある。
【0040】
この場合、段差部84よりも前側の前側天井部81を、庫内前側に向かって進むに従って上昇する傾斜面とすることにより、冷蔵室2前側の開口を大きくすることができ、食品の出し入れが容易になる。
【0041】
<照明装置>
図8および図9を参照して、照明装置(庫内灯)40の構成について説明する。
【0042】
図8は、図7の内箱8の照明装置40の近傍を拡大した拡大断面図である。
本実施例の照明装置40は、逆傾斜部83を含む領域に設けられ、内箱8の前後方向中央よりも前方に取り付けられている。
【0043】
照明装置40は、カバー部材41と、カバー部材41を固定するカバー部材固定部材42と、光源基板43と、ハウジング44と、を有する。
【0044】
カバー部材41は、光源基板43やハウジング44等を覆う透光性の部材であり、レンズ414が形成されている。またカバー部材41は、光源431の光を下方及び後方に向けて拡散し、照射する。カバー部材41の材質は、特に限定されるものではないが、透明の合成樹脂が望ましい。
【0045】
カバー部材41は、第1カバー部411と、第2カバー部412と、を有する。第1カバー部411と第2カバー部412とは一体に成形されている。第1カバー部411は第2カバー部412に対して前方に設けられる。言い換えると、第2カバー部412は第1カバー部411に対して後方に設けられる。第2カバー部412は第1カバー部411との接続部に曲り部412aを有し、第1カバー部411に対して傾斜した傾斜面を構成している。
【0046】
カバー部材固定部材42は内箱8の天井部80に固定されており、カバー部材41を天井部80に対して固定する部材である。すなわちカバー部材41は、カバー部材固定部材42を介して天井部80に取り付けられる。
【0047】
光源基板43は光源431が設けられた基板であり、本実施例では光源431としてLEDが用いられている。光源431の種類はLEDに限定される訳ではない。なお、光源431は冷蔵庫1の幅方向に複数個が分散して配置されている。
【0048】
ハウジング44は光源基板43上に設けられ、光源基板43と制御基板収納部14(図10参照)に収納された制御基板とを電気配線部品(図示せず)で接続する。光源基板43からの電気配線は、真空断熱材12の側方を通って後方へ至り、さらに冷蔵室2の背面側を下降して制御基板収納部14(図10参照)に収納された制御基板に接続される。
【0049】
天井部80は、照明装置40が収納される凹部85を有する。凹部85は、内面側(庫内側)から外側に向かって窪んだ第1凹部85aと、第1凹部85aからさらに外側に向かって窪んだ第2凹部85bと、を有する。第1凹部85aはカバー部材41を収納し、第2凹部85bはカバー部材固定部材42、光源基板43およびハウジング44を収容する。これにより、照明装置40は凹部85の内側に完全に収納され、凹部85からはみ出さないように構成されている。
【0050】
凹部85は、天井部80の前側天井部81と逆傾斜部83とに跨って設けられる。具体的には、凹部85は、前後方向において、前側天井部81の後側(奥側)の部分から逆傾斜部83の後端部(最奥部)までの範囲に設けられる。このために、凹部85の両側方には、後方に向かって延設された、前側天井部81の延設部分81aが設けられ(図6参照)、延設部分81aの後端部(最奥部)が逆傾斜部83に接続される。
【0051】
凹部85が設けられていることにより、逆傾斜部83は凹部85の両側方にしか存在しない。逆傾斜部83は、前側(前端部)に、下方に向かって凸状となる曲面部83aを有し、延設部分81aの傾斜面に滑らかに接続される。また、逆傾斜部83は、後側(後端部)に、上方に向かって凸状となる曲面部83bを有し、後側天井部81の平面に滑らかに接続される。
【0052】
天井部80の凹部85の周囲には、外側(図8中、上側)から見て凹状に窪んだ凹部87a,87b,87cが形成される。凹部87a,87b,87cには発泡断熱材9が充填され、照明装置40の支持強度を向上させている。
【0053】
図9は、図8と同様な図面に各部の寸法関係を記入した拡大断面図である。
図9において、一点鎖線411cは第1カバー部411の下面(外面)を示しており、第1カバー部411の下面411cは照射面を構成する。また一点鎖線412cは第2カバー部412の下面(外面)を示しており、第2カバー部412の下面412cは照射面を構成する。前側天井部81の延設部分81aに沿って引いた破線88aと逆傾斜部83に沿って引いた破線88bとは、凹部85の開口面88を表す。開口面88は、冷蔵庫1の前後方向において、W88の範囲に形成される。
【0054】
矢印411bは第1カバー部411の照射面に垂直な方向であり、第1カバー部411の照射面が指向する方向である。矢印411bは第1カバー部411から庫内に照射される光線の代表的な放射方向である。矢印412bは第2カバー部412の照射面に垂直な方向であり、第2カバー部412の照射面が指向する方向である。矢印412bは第2カバー部412から庫内に照射される光線の代表的な放射方向である。
【0055】
本実施例では、第1カバー部411は前側天井部81、およびその延設部分81aより突出せず、好ましくは前側天井部81および延設部分81aに平行な傾斜面として構成されている。このため矢印411bは、矢印411bの根本から鉛直方向(上下方向)に下した二点鎖線に対して前方を指向している。
【0056】
一方、第2カバー部412は逆傾斜部83に沿う傾斜部(傾斜面)として構成されている。このため矢印412bは、矢印412bの根本から鉛直方向(上下方向)に下した二点鎖線に対して後方を指向している。見方を変えれば、矢印412bは矢印411bに対して後方を指向する。
【0057】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、天井部80の逆傾斜部(第3天井部)83を含む範囲に配される照明装置40を有し、照明装置40は逆傾斜部(第3天井部)83の傾斜面に沿う傾斜部を有するカバー部材41を備える。
【0058】
より具体的に説明すると、本実施例の冷蔵庫1は、
第1天井部81と、第1天井部81に対して後方かつ上方に位置する第2天井部82と、第1天井部81と第2天井部82とをつなぐ傾斜面を含む第3天井部83と、を有する天井部80と、
天井部80の第3天井部83を含む範囲に配される照明装置40と、
を備え、
照明装置40は、第3天井部83の傾斜面に沿う傾斜部(第2カバー部)412を有するカバー部材41を備える。
【0059】
この構成により、本実施例の冷蔵庫1においては、照明装置40の天井部80の内壁面からの突出を抑制し、かつ光源431から射出された光を庫内後方にも照射することができる。
【0060】
さらに、本実施例の冷蔵庫1においては、照明装置40は前側天井部(第1天井部)81と逆傾斜部(第3天井部)83とに跨って設けられ、照明装置40のカバー部材41は、逆傾斜部(第3天井部)83の傾斜面に沿う傾斜部を第2カバー部412として、第1天井部81に沿う第1カバー部411を有する。
【0061】
この構成により、第1カバー部411と第2カバー部412とは、前後方向において、異なる方向を指向することができ、少ない光源431で、前後方向のより広い範囲に光源431から射出された光を照射することができる。
【0062】
この場合、第2カバー部412は第1カバー部411に対して後方に位置して後方を指向するように構成されることが好ましい。さらに好ましくは、第1カバー部411は上下方向(鉛直線)よりも前方を指向するように構成される、第2カバー部412は上下方向(鉛直線)よりも後方を指向するように構成される。これにより、光源431が設けられた位置から前方および後方の広い範囲に、光源431からの光線を照射することができる。
【0063】
図9の一点鎖線70aは、図7で説明した棚70の前端70aの位置である。照明装置40は、前後方向において、棚70の前端70aの位置を含む領域に設けられている。すなわちカバー部材41の前端41aは前後方向における棚70の前端70aの位置よりも前方に位置し、カバー部材41の後端41bは前後方向における棚70の前端70aの位置よりも後方に位置する。
【0064】
より具体的には、カバー部材41は、第1カバー部411の前端41aが庫内に設けられる棚70の前端70aの位置よりも前方に位置し、第2カバー部材412の後端41bが棚70の前端70aの位置よりも後方に位置するように配置される。
【0065】
このような配置により、最上段の棚70に載置された食品とカバー部材41との接触を避けることができる。また、棚70の前端70aと冷蔵室ドア2a,2bのポケットと隙間に光を照射することができ、特に最上段の棚70に載置された食品による影の発生を抑制することができる。
【0066】
次に、凹部85の開口面88(88a,88b)に対する照明装置40の配置について、詳細に説明する。
【0067】
(1)本実施例では、カバー部材41が照明装置40の中で最も下方に位置している。このため、カバー部材41は、破線で図示された、凹部85の開口面88上に位置するか、または開口面88よりも上方に位置することが好ましい。これにより、最上段の棚70に載置された食品とカバー部材41との接触を抑制することができる。
【0068】
(2)最上段の棚70に載置された食品とカバー部材41との接触は、カバー部材41の第1カバー部411の側で発生し易い。そこで、カバー部材41の第1カバー部411および第2カバー部412のうち、少なくとも第1カバー部411(下面411c)は、開口面88a上に位置するか、或いは開口面88aよりも上方、すなわち開口面88aに対して凹部85の内側に位置することが好ましい。第2カバー部412は天井部80の段差部84に配置され、主として庫内後方を指向するように構成されるため、第1カバー部411と比べて、最上段の棚70に載置された食品との接触の可能性が低い。そのため、第2カバー部412(下面412c)は開口面88bよりも下側、すなわち開口面88bに対して凹部85の外側に位置していてもよい。
【0069】
(3)最上段の棚70に載置された食品との接触の可能性をより低くするためには、照明装置40は凹部85の内側に完全に収納され、凹部85からはみ出さないように構成されることが好ましい。すなわち、照明装置40は、破線で図示された、凹部85の開口面88上に位置するか、或いは開口面88よりも上方に位置することが好ましい。より具体的に説明すると、カバー部材41の第1カバー部411(下面411c)が開口面88a上に位置するか、或いは開口面88aよりも上方、すなわち開口面88aに対して凹部85の内側に位置し、カバー部材41の第2カバー部412(下面412c)が開口面88b上に位置するか、或いは開口面88bよりも上方、すなわち開口面88bに対して凹部85の内側に位置することが好ましい。これにより、最上段の棚70に載置された食品とカバー部材41との接触を抑制する効果が向上する。
すなわち本実施例の冷蔵庫1では、天井部80は、前側天井部(第1天井部)81と逆傾斜部(第3天井部)とに跨って設けられて庫内側から外側に向かって窪んだ凹部85を有し、第1カバー部411および第2カバー部412は、凹部85の開口面88上に位置するか、或いは凹部85の開口面88に対して凹部85の内側に位置する。
なお、図9では、第1カバー部411の下面411cおよび第2カバー部412の下面412cの両方が、開口面88よりも上方、すなわち開口面88bに対して凹部85の内側に位置する例を図示している。
【0070】
(4)カバー部材41の第1カバー部411は前側天井部81の天井面(天面)と平行であり、第2カバー部(カバー部材41の傾斜部)412は逆傾斜部83の傾斜面と平行である。このため、カバー部材41が開口面88上に位置する場合、少なくとも第1カバー部411の下面411cまたは第2カバー部412の下面412cのいずれか一方が、開口面88と同一面を構成するように、カバー部材41は配置されることになる。
【0071】
(5)最上段の棚70に載置された食品との接触の可能性に配慮した場合、第1カバー部411の下面411cが開口面88aよりも上方、すなわち開口面88aに対して凹部85の内側に位置するように、カバー部材41を配置することが好ましい。一方で、照明装置40の照明性能(照明効果)に配慮した場合、第1カバー部411の下面411cが開口面88と同一面を構成するように、カバー部材41を配置することが好ましい。本実施例では、上述した様に、カバー部材41の前端41aが前後方向における棚70の前端70aの位置よりも前方に配置されていることで、第1カバー部411の下面411cが開口面88aよりも上方、すなわち開口面88aに対して凹部85の内側に位置するように、カバー部材41を配置しても、照明性能の低下を抑制することができる。
【0072】
(6)本実施例では、照明装置40の側方に前側天井部81の延設部分81aが設けられている。この場合、第1カバー部411の下面411cが開口面88aよりも上方に位置していると、照明装置40の側方に光が届き難くなる。本実施例では、照明装置40の長さ寸法L40(図6参照)を、内箱8の幅寸法W8(図5参照)の半分の長さ寸法(W8/2)よりも大きくしている。冷蔵室2の側壁部にも照明装置40からの光が届き易くなる。
すなわち本実施例の冷蔵庫1では、前側天井部(第1天井部)81は照明装置40の側方を後方に向かって延設された延設部分81aを有し、照明装置40は冷蔵庫1の幅方向に長手方向を有し、照明装置40の長手方向における長さ寸法L40が庫内の幅寸法W8の半分の長さ寸法(W8/2)よりも大きい。
【0073】
なお、カバー部材41は本実施例で説明した構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、カバー部材41の第1カバー部411は傾斜面ではなく水平な平面として構成されてもよいし、平面でなく緩やかな曲面で構成されてもよい。
【0074】
次に、天井部80の凹部85の内面とカバー部材41との距離について、説明する。
上述した様に、凹部85の周囲に形成される凹部87a,87b,87cには、発泡断熱材9が充填される。発泡断熱材9の充填においては、内箱8の内側から治具を当てて、内箱8が内側に膨らまないようにする。しかしこの膨らみを完全に抑え込むことは難しい。
【0075】
そこで本実施例では、凹部85を形成する天井部80の部分86bとカバー部材41(第2カバー部412)との間隔D41cを、凹部85を形成する天井部80の部分86aとカバー部材41(第1カバー部411)との各間隔D41a,D41bよりも大きくする。
【0076】
凹部85を形成する天井部80の部分86aでは、第1凹部85aと第2凹部85bとが積み重なることで、凹凸面が適度に形成され、剛性が高くなる。一方、凹部85を形成する天井部80の部分86bは、単純な平面部で構成される範囲が広く、剛性が低くなる。このため、部分86bの側では、発泡断熱材9の充填時の膨らみに配慮して、カバー部材41(第2カバー部412)との間隔D41cを大きくとっている。
【0077】
次に、カバー部材41のシボ加工について、説明する。
カバー部材41には光を拡散するためにシボ加工が行われる。シボの濃さを光源431からの距離によって変えることで、光の拡散効果を均一にすることができる。例えば、光源431の近傍ではシボを濃くして光の拡散効果を高め、光源431から離れた位置ではシボを薄くして光の拡散効果を弱めるようにすることができる。
【0078】
すなわちカバー部材41は、照明装置40の光源431に近い側のシボ加工が光源431から遠い側のシボ加工に比べて濃くなるように、シボ加工が施されていることが好ましい。
【0079】
最後に、図10を参照して、本発明に係る残余の構成について説明する。図10は、図5の内箱8を中央部から左側に向かって見た断面図である。
制御基板を収納する制御基板収納部14は、冷蔵室2の背面側(後側)下方に配置されている。天井部80の外面には、凹部87a,87b,87cを含む凹部87が形成されている。
【0080】
天井部80において、内箱8と外箱7との間に形成される空間は、後側天井部82(図7参照)の部分および凹部85(図8参照)を設けた部分で薄くなり、ウレタン断熱材だけでは断熱性能が不足する。そこで、後側天井部82の部分および凹部85を設けた部分に真空断熱材12(図4参照)を単独、或いはウレタン断熱材と併用して用いることで、十分な断熱性能を確保している。
【0081】
なお、図8で説明したカバー部材固定部材42は、自身の裏面に形成された係止部46を天井部80に形成された穴部89に挿通して、天井部80に係止されている。
【0082】
本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。前述した実施例は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…冷蔵庫、40…照明装置、41…カバー部材、41a…カバー部材41(第1カバー部411)の前端、41b…カバー部材41(第2カバー部材412)の後端、70…棚、70a…棚70の前端、80…天井部、81…前側天井部(第1天井部)、81a…前側天井部(第1天井部)81の延設部分、82…後側天井部(第2天井部)、83…逆傾斜部(第3天井部)、85…凹部、88…凹部85の開口面、411…第1カバー部、412…第2カバー部(カバー部材41の傾斜部)、431…照明装置40の光源、L40…照明装置40の長手方向における長さ寸法、W8…庫内の幅寸法。
図1
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